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私と司令官様の日常
視察に同行します②
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爽やかな晴天の中、人、人、人、でごった返す市場の中、私と司令官さまは、とにかく歩く。てくてくと歩く。ただし、無言で。
なぜって?ただ単に話すことがないからだ。そしてすれ違う人の視線が痛いから。
都会のパリッとしたイケメンが歩いているのだから、年頃のお姉さま方はチラチラと司令官さまに熱い視線を向ける。カップルで歩いていても関係なく流し目を送ってくる。
次いで、私に気付き『なんだコイツ?』という冷たい視線を向けるのだ。
ちなみに男の方は、私に憐憫の目を向けてくる。やめて、お願い。自分が可哀想になるから。
それしても、お姉さん方の視線の温度の切り替えの早さには称賛モノだ。
けれど、これが何度も続くといたたまれない。いっそ、そんな視線をなげる一人一人の皆様に、私は懇切丁寧に、こうなった事情を説明したい気分になる。
あと、彼氏持ちの女性に対しては、なんかちょっと別の意味で複雑な気持ちになる。でも、あえてそこには深く触れないでおく。
そして、きっと道行く人々に、この事情を話したところで『それで?』の一言で済まされうだろう。それにわざわざ司令官さまが私服に着替えて視察をしてるのだから、それなりに公にしたくない事情があるはずなのだ。
そう………わかっているから言わない。でも、わかっているけど理不尽だと思う私の気持ちもわかってほしい。
ただ司令官さまはそんなことなど無視して、屋台や露店を一件一件丁寧に見ておられる。絶賛お仕事中の為、ちょと声を掛けられないし、掛けたくない。
ということで、私はそれとなく距離を置く。
はーい。私、このイケメンとは他人です。どうか私とセットで見ないでください。という空気をせっせと醸し出しながら。
けれどその作戦も、向かい側から来た酔っ払いのおじさん達のせいで、失敗に終わってしまった。
「シンシア、危ないっ」
千鳥足で歩いていた酔っぱらいのおじさんがふらついて、私にダイブしようとした瞬間、司令官さまは声と同時に、私の腕を強く引っぱった。
あまりの力強さに、ふわりと身体が浮いてしまう。でも、すっころぶことなく、綺麗に着地がきまった私は、ドヤ顔を決めて司令官さまに視線を向ける。けれど、そこには5歳児を見るイケメンの顔があった。
「危なっかしくて見ていられない。今から、君はこちらを歩きたまえ」
「…………はぁ」
そう言って、司令官さまは露店側のスペースを私に譲ってくれた。
でも、私としたら華麗な着地をこれまた綺麗にスルーされ、がっくりと肩を落としてしまう。
しかも、嬉しくないことに、これを皮切りに、司令官はぽつりぽつりと私に質問を投げてきた。
「業務上、何か不便はないか?」
「………………ないです」
「備品など、不足しているものはないか?」
「………………ないです」
「腹は減ってないか?」
「………………ないです」
「何か欲しいものはないか?ここは品揃えが豊富のようだから、好きなものを言うと良い」
「ないです」
最後の言葉は食い気味に否定させていただいた。
っていうか、流れで何を聞いてくれるんだこの人は。イケメンと歩くだけでも神経をすり減らすというのに、何か欲しいだなと聞いてくれるでない。
望むものは唯一つ。今すぐ帰りたい。これしかない。が、そんなこと口にできない。できるなら、外出前にもう言っていた。ああ、もう本当に早く帰りたい………と、思った瞬間、司令官さまが消えた。
これはラッキーと置いて帰って良いのだろうか。い、いや……それとも、ま、まさか迷子になっちゃったとか!?それとも、肉食系女子にロックオンされちゃったのか!?
ということを一瞬の間に考え、その場でオロオロとする私だったけれど、すぐに司令官さまが人混みの中から姿を表した。
「突然、すまなかった」
「あぁ、いいえ。大丈夫です」
本音は、いい歳こいて迷子になるなと叱りたい。
でも、どうやら司令官さまは迷子になったわけではなく、肉食女子の餌食になったわけでもなく、先程通りかかった露店に戻っていたようだ。
なぜなら、司令官さまの手には、可愛らしい銀細工の髪留めがあったから。そしてそれをぐいっと私に突き出した。
「受け取り給え」
「いえ、滅相も…………」
両手を前に振りながら一歩後退する。けれど、司令官さまも一歩距離を詰める。
当然ながら歩幅は司令官さまの方が長い。なのでさっきより距離を詰められた結果となる。コンパスの差を見せつけられ、とても悲しい。
「視察の為に購入したものだ。………それとも君は、これを私に使えと?」
え?やだっなにそれ、ウケるぅー。
思わずイケメンの頭に髪留めが乗っかった姿を想像してみた。うん悪くない。というか、ちょっと見てみたい。ただ、それを目にした瞬間、私の目は光を失ってしまうかもしれない。
そんな代価払いたくない。なら、この断り文句はいかがでしょう?
「他の方にお渡しすれば───」
「却下。これを使うのは君のほうが相応しい。いや、君に使って欲しいんだ」
ピシャリと言い切られてしまい。うっと言葉が詰まる。
ただ私は気づいてしまった。どうして司令官さまがここまでして、私にこの髪飾りを押し付けたいかを。
「私、そんなにみすぼらしいですか?」
おずおずと問いかければ、司令官さまの眉間に皺が寄った。
「君の質問の意味がわからない」
「だって、………これ、があんまりにもボロっちかったから、そんなこととを言うんですよね?」
そう言いながら私は今現在、自分の髪に付けてある髪留めを外して見せる。
使用歴3年のこの髪留めは、悲しいことにビーズの装飾が歯抜けになっていたのだ。
そして、それを目にした司令官さまは、合点がいったといった感じで、小さく頷いた。
「……なるほど。だが、違う。そうだな、これは………ああ、そうだそうだ。日頃のお礼だ」
「お礼?いえいえ、きちんとお給料をいただいておりますので、わざわざお品を頂戴する必要はありません」
「いや、そうでもない。君はよく働いてくれている。あいつ……いや、失礼。ウィルは書類を配りに行けば、半日は帰ってこない。隙あらば訓練場へ消えていく。それに比べて君は寄り道をせずに、きちんと部屋に戻ってきてくれる。そのおかげで私は、大変、効率よく業務を進めることができるのだ」
どうしよう………比較対象がゴミクズのような相手だった。
隠すことなく微妙な表情を作れば、司令官さまは、まったく別のものに捉えてしまったようだ。
「そうか……気に入らないなら、別のものにしよう。どれが良い?好きなものを言ってくれ。もちろん一つではなくて良い。なんなら店ごと………」
「遠慮なくいただきます」
だんだん規模の大きい話になってしまい、私は不本意ながらも受け取ることにする。
っていうか、店ごと買うのが都会では当たり前のことなのだろうか。いやはや、都会は恐るべし。
そんなことを考えながら、両手で受け取ってペコリと頭を下げた。けれど、なにか言いたげな司令官さまと視線がぶつかる。
………まさか、ここで付けろということです……よね。
どんどん目力が冴える司令官さまを目にして、それが正解だと理解する。それと同時に望まない特技を知らず知らず身につけてしまった自分に泣きたくなる。
でも、髪留めはちゃんと付けた。色々思うところはあったけれど。
なぜって?ただ単に話すことがないからだ。そしてすれ違う人の視線が痛いから。
都会のパリッとしたイケメンが歩いているのだから、年頃のお姉さま方はチラチラと司令官さまに熱い視線を向ける。カップルで歩いていても関係なく流し目を送ってくる。
次いで、私に気付き『なんだコイツ?』という冷たい視線を向けるのだ。
ちなみに男の方は、私に憐憫の目を向けてくる。やめて、お願い。自分が可哀想になるから。
それしても、お姉さん方の視線の温度の切り替えの早さには称賛モノだ。
けれど、これが何度も続くといたたまれない。いっそ、そんな視線をなげる一人一人の皆様に、私は懇切丁寧に、こうなった事情を説明したい気分になる。
あと、彼氏持ちの女性に対しては、なんかちょっと別の意味で複雑な気持ちになる。でも、あえてそこには深く触れないでおく。
そして、きっと道行く人々に、この事情を話したところで『それで?』の一言で済まされうだろう。それにわざわざ司令官さまが私服に着替えて視察をしてるのだから、それなりに公にしたくない事情があるはずなのだ。
そう………わかっているから言わない。でも、わかっているけど理不尽だと思う私の気持ちもわかってほしい。
ただ司令官さまはそんなことなど無視して、屋台や露店を一件一件丁寧に見ておられる。絶賛お仕事中の為、ちょと声を掛けられないし、掛けたくない。
ということで、私はそれとなく距離を置く。
はーい。私、このイケメンとは他人です。どうか私とセットで見ないでください。という空気をせっせと醸し出しながら。
けれどその作戦も、向かい側から来た酔っ払いのおじさん達のせいで、失敗に終わってしまった。
「シンシア、危ないっ」
千鳥足で歩いていた酔っぱらいのおじさんがふらついて、私にダイブしようとした瞬間、司令官さまは声と同時に、私の腕を強く引っぱった。
あまりの力強さに、ふわりと身体が浮いてしまう。でも、すっころぶことなく、綺麗に着地がきまった私は、ドヤ顔を決めて司令官さまに視線を向ける。けれど、そこには5歳児を見るイケメンの顔があった。
「危なっかしくて見ていられない。今から、君はこちらを歩きたまえ」
「…………はぁ」
そう言って、司令官さまは露店側のスペースを私に譲ってくれた。
でも、私としたら華麗な着地をこれまた綺麗にスルーされ、がっくりと肩を落としてしまう。
しかも、嬉しくないことに、これを皮切りに、司令官はぽつりぽつりと私に質問を投げてきた。
「業務上、何か不便はないか?」
「………………ないです」
「備品など、不足しているものはないか?」
「………………ないです」
「腹は減ってないか?」
「………………ないです」
「何か欲しいものはないか?ここは品揃えが豊富のようだから、好きなものを言うと良い」
「ないです」
最後の言葉は食い気味に否定させていただいた。
っていうか、流れで何を聞いてくれるんだこの人は。イケメンと歩くだけでも神経をすり減らすというのに、何か欲しいだなと聞いてくれるでない。
望むものは唯一つ。今すぐ帰りたい。これしかない。が、そんなこと口にできない。できるなら、外出前にもう言っていた。ああ、もう本当に早く帰りたい………と、思った瞬間、司令官さまが消えた。
これはラッキーと置いて帰って良いのだろうか。い、いや……それとも、ま、まさか迷子になっちゃったとか!?それとも、肉食系女子にロックオンされちゃったのか!?
ということを一瞬の間に考え、その場でオロオロとする私だったけれど、すぐに司令官さまが人混みの中から姿を表した。
「突然、すまなかった」
「あぁ、いいえ。大丈夫です」
本音は、いい歳こいて迷子になるなと叱りたい。
でも、どうやら司令官さまは迷子になったわけではなく、肉食女子の餌食になったわけでもなく、先程通りかかった露店に戻っていたようだ。
なぜなら、司令官さまの手には、可愛らしい銀細工の髪留めがあったから。そしてそれをぐいっと私に突き出した。
「受け取り給え」
「いえ、滅相も…………」
両手を前に振りながら一歩後退する。けれど、司令官さまも一歩距離を詰める。
当然ながら歩幅は司令官さまの方が長い。なのでさっきより距離を詰められた結果となる。コンパスの差を見せつけられ、とても悲しい。
「視察の為に購入したものだ。………それとも君は、これを私に使えと?」
え?やだっなにそれ、ウケるぅー。
思わずイケメンの頭に髪留めが乗っかった姿を想像してみた。うん悪くない。というか、ちょっと見てみたい。ただ、それを目にした瞬間、私の目は光を失ってしまうかもしれない。
そんな代価払いたくない。なら、この断り文句はいかがでしょう?
「他の方にお渡しすれば───」
「却下。これを使うのは君のほうが相応しい。いや、君に使って欲しいんだ」
ピシャリと言い切られてしまい。うっと言葉が詰まる。
ただ私は気づいてしまった。どうして司令官さまがここまでして、私にこの髪飾りを押し付けたいかを。
「私、そんなにみすぼらしいですか?」
おずおずと問いかければ、司令官さまの眉間に皺が寄った。
「君の質問の意味がわからない」
「だって、………これ、があんまりにもボロっちかったから、そんなこととを言うんですよね?」
そう言いながら私は今現在、自分の髪に付けてある髪留めを外して見せる。
使用歴3年のこの髪留めは、悲しいことにビーズの装飾が歯抜けになっていたのだ。
そして、それを目にした司令官さまは、合点がいったといった感じで、小さく頷いた。
「……なるほど。だが、違う。そうだな、これは………ああ、そうだそうだ。日頃のお礼だ」
「お礼?いえいえ、きちんとお給料をいただいておりますので、わざわざお品を頂戴する必要はありません」
「いや、そうでもない。君はよく働いてくれている。あいつ……いや、失礼。ウィルは書類を配りに行けば、半日は帰ってこない。隙あらば訓練場へ消えていく。それに比べて君は寄り道をせずに、きちんと部屋に戻ってきてくれる。そのおかげで私は、大変、効率よく業務を進めることができるのだ」
どうしよう………比較対象がゴミクズのような相手だった。
隠すことなく微妙な表情を作れば、司令官さまは、まったく別のものに捉えてしまったようだ。
「そうか……気に入らないなら、別のものにしよう。どれが良い?好きなものを言ってくれ。もちろん一つではなくて良い。なんなら店ごと………」
「遠慮なくいただきます」
だんだん規模の大きい話になってしまい、私は不本意ながらも受け取ることにする。
っていうか、店ごと買うのが都会では当たり前のことなのだろうか。いやはや、都会は恐るべし。
そんなことを考えながら、両手で受け取ってペコリと頭を下げた。けれど、なにか言いたげな司令官さまと視線がぶつかる。
………まさか、ここで付けろということです……よね。
どんどん目力が冴える司令官さまを目にして、それが正解だと理解する。それと同時に望まない特技を知らず知らず身につけてしまった自分に泣きたくなる。
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