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【現在】恋人!?、やっぱり助手編
30.大人は交換条件をするそうです
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デュアにキスをしたら、待ってましたと言わんばかりに力強い腕に再び抱え込まれそうになる。いや、駄目だ。ここでデュアに身を任せてしまえば、ただのその場しのぎになってしまう。
二度と不安に駆られないよう、ちゃんと骨の髄まで、わかってもらわないといけない。
「デュア、ちゃんと聞いて。あのね、誰も彼も聖女のことなんて忘れているよ。聖女だったミドリのことを知っているのはもう誰も居ない。……知っているのは、デュアだけだよ」
当たり前のことを、もう一度きちんと言葉にしてみる。
でもデュアはこれを他人から言われたことはない。ずっと自分の中で繰り返してきただけだ。自分の心の中で呟く言葉と、耳から入る言葉は、全然届き方が違うのだ。
だから空って青いねーとか、鳥って飛べるんだねーとか、水って透明なんだねーっていうぐらい、軽い口調で、当たり前だと感じて貰えるように伝えよう。デュアが何を今更?と言いたくなるように。
「ロゼ爺は、私のこと、スイって呼ぶよ」
そこでデュアは、はっと我に返ってくれた。
「この世界で私をミドリって呼ぶのは、デュアだけじゃん。デュア、言ってくれたよね。ミドリ……っていうか私を独り占めしたかったって。だからロゼ爺にも、ミドリって呼ぶのを禁止したんでしょ?」
私の言葉に照れくさそうにデュアが笑ってくれた。私も、自分でこんなことを言って照れくさいよ。できれば今回限りにして欲しい。
そして交代するように俯いた私の頭を、デュアは優しく抱え込んだ。
「そうだったな」
軽い笑い声と力強い声が降ってくる。ああよかった。いつものデュアだ。
ゆるゆると顔を上げれば、デュアは私の頬を両手で包み込んで、こつんと自分の額を押し当てた。
「………ミドリ、舞踏会に行きたいか?」
「うん!」
「アスラ達はお前のことは覚えていないし、当日はあいつらも忙しい。ゆっくり話すこともできないし、遠目からその存在を確かめることしかできないぞ」
「それでも、みんなに会いたい」
「………そうか」
行かせたくないけどな、とデュアが呟いたのは聞かなかったことにする。そしてデュアは私から手を離すと、よっと軽い掛け声を上げて立ち上がった。私も、つられるように立ち上がる。
そして向かい合わせになった途端、デュアはちょっと拗ねたような口調でこう言った。
「まさか、お前に諭されるなんて思いもよらなかった。これはかなりカッコ悪いな、俺」
「年下を舐めないでよね」
ふふんっと、調子こいてそう返せば、デュアは悔しそうに私の頬を軽くつねった。もちろん痛くはない。くすぐったかったけれど。
そして、デュアは申し訳なさそうに、私の頬を撫で上げた。これもまたくすぐったい。思わず身を捻った私の腰にデュアは、流れる手つきで手を回した。
「………そうだな。お前はもうこの世界では成人しているし、もう大人だな」
あれ?なんかデュアが真顔になった。あと、私の気のせいだろうか。なんかちょっと雲行きが怪しくなってきた気配がする。
都合良く【いやいやぁ、私、まだ子供だよー】と口を開こうとしたけれど、それよりデュアの方がちょっと早かった。
「なら、お前を大人として接することにする。ミドリ、どうしても舞踏会に行きたいって言うなら、交換条件だ」
「はい!?」
「対等な立場なら、対等に交渉するべきだよな」
「ええー」
ついさっきまで子犬のように震えていたのに、随分立ち直りが早いねー、デュア。元気になってくれて嬉しいけれど、急に大人カードを抜いて形勢逆転するのはズルいと思うよ。
そして、デュアの求めている条件がすぐにわかってしまった。っていうか、これ一択しかないだろう。
「それって………ずっと、保留になってるアレ?」
おずおずと問いかければ、デュアはそれはそれは静かに頷いた。でも目は【それ以外なにかあるのか?】と雄弁に語っている。
「………ワンランク下げない?」
それが何かなんてわからないけれど、ダメ元で交渉してみる。あ、速攻で首振られた。駄目か。
「俺に抱かれるのがそんなに嫌か?」
「そんなには嫌じゃない、というか初めてはデュアが良いのは変わりがないっ」
「そんなには……か。てっきり前置き無しの嫌じゃないという即答を期待していたんだけどな」
あー……できれば、上の句ではなく、下の句のほうに重点を置いて欲しかった。強調したつもりだったけど、足りなかったか。
もう一度言い直そうか、それともこのまま別の話題を振ってはぐらかそうか、そう考える間もなくデュアが畳みかけるように口を開いた。
「ミドリ、この際だからはっきり言わせてもらうが、俺は待つと言った。だが、限度がある」
あー……ロゼ爺の言った通りだった。
年長者の助言と言うのは耳が痛いけれど、的を得ている。私は一つ賢くなった。
「お前を無理やり抱きたくはない。でも、抑える自信が日に日になくなっていることは、わかってくれ」
あー……ロゼ爺の忠告は、一刻を争うことだったんだ。
でも、おいそれと一歩を踏み出せない事情が私にだってあるのだ。
「……でも」
「でも何だ?」
「でも、痛いんでしょ?」
一歩詰め寄った私に、デュアは後ずさりすることはなかったけれど、困惑した様子で片手で口元を覆ってしまう。そして、消え入りそうな声でぼそっとこう言った。
「………まぁ、そうだな」
それを聞いた瞬間、私が後ずさりさせてもらった。
やっぱりそっか。そんなことないっていう言葉を期待していた分だけ、怖さが増す。だって日本にいた頃、お済になった友達はいた。そして皆、総じて【死ぬほど痛かった】と口を揃えて言っていた。
ある友達は、一日中がに股を強いられたと言っていたし、ある友達はあまりの辛さに学校を休んだ。もう一人の友達は、なんと事の最中に、あまりの痛さに彼氏をグーで殴ったとさえ言っていた。
ちょっと話を盛っていると思っていたんだけど……え?これ実話だったの。
痛いのも怖いけど、がに股になったカッコ悪い私をデュアに見られたくないし、ましてや最中に殴るなんて絶対に嫌だ。と、いうことで───。
「ごめんデュアっ。やっぱり無理っ!」
「まっ待て、ミドリ」
じゃ、また今度と、適当なことを言って逃げ出そうとしたけれど、どんっという音と共に、デュアが壁に手を当て私を閉じ込める。
ここで日本の女子が憧れる壁ドンをしてくれても、ぶっちゃけ困る。っていうか壁ドンごときで、痛い思いをする決心をするのはちょっと足りない。
「わかった。じゃ、こうしよう。ワンランク下げよう」
「は!?」
そして目を剥いて叫んだ私を無視して、デュアはうんうんと頷きながら自分の発言に妙に納得している。お願い自己完結しないでっ。
「よし、交渉成立だ。お前の希望通り、ワンランク下げたやつで呑んでやる」
「それって何よ!?」
「お前.........自分から言い出したくせに、わかってないのか?」
「..................うん」
「まぁ口で説明するより、実地の方が早い。ほら、ベッドに行くぞ」
「ええええええっ」
なんてこったい。後悔先に立たず。私のさっきの発言が、墓穴を掘ってしまったなんて。
そして、避けることができない嵐の予感にたじろぐ私に、デュアが容赦ない言葉を浴びせた。
「ミドリ、痛くないようにするには、練習が必要なんだぞ」
「練習!?」
「そうだ。日々の鍛錬が必要だ」
「鍛錬!?」
「大丈夫、怖じけづくな。何事も訓練あるのみだ」
「訓練!?」
おおよそ男女の営みとは程遠い単語がデュアから飛び出してくる。
ただデュアの瞳は熱を孕んでいて、あの晩を思い出させるもの。マズイ.........ものすっごくマズイ!!一旦、離れて形勢を整えよう。
そう思った時は、空いている反対側もデュアの腕で塞がれてしまった。
そこで気付いた。デュアは別に私に壁ドンをしたかったわけじゃない。逃げないように抑え込んだだけだった。ズルいっ。
必死になって逃げようともがくけれど、デュアはびくともしないし、そんな私を抱え込みながら楽しんでいたりさえする。
「腹を括れ、ミドリ。舞踏会に行きたいんだろ?」
「………行きたいです」
「だよな。ああ、心配するな。今日は痛いことは何もしない」
「………お手柔らかにお願いします」
上目遣いで蚊の鳴く様な声で懇願すれば、優しいデュアのキスが降ってきた。
でも、その後、全然手加減はしてくれず……私は、へろへろになりました。
二度と不安に駆られないよう、ちゃんと骨の髄まで、わかってもらわないといけない。
「デュア、ちゃんと聞いて。あのね、誰も彼も聖女のことなんて忘れているよ。聖女だったミドリのことを知っているのはもう誰も居ない。……知っているのは、デュアだけだよ」
当たり前のことを、もう一度きちんと言葉にしてみる。
でもデュアはこれを他人から言われたことはない。ずっと自分の中で繰り返してきただけだ。自分の心の中で呟く言葉と、耳から入る言葉は、全然届き方が違うのだ。
だから空って青いねーとか、鳥って飛べるんだねーとか、水って透明なんだねーっていうぐらい、軽い口調で、当たり前だと感じて貰えるように伝えよう。デュアが何を今更?と言いたくなるように。
「ロゼ爺は、私のこと、スイって呼ぶよ」
そこでデュアは、はっと我に返ってくれた。
「この世界で私をミドリって呼ぶのは、デュアだけじゃん。デュア、言ってくれたよね。ミドリ……っていうか私を独り占めしたかったって。だからロゼ爺にも、ミドリって呼ぶのを禁止したんでしょ?」
私の言葉に照れくさそうにデュアが笑ってくれた。私も、自分でこんなことを言って照れくさいよ。できれば今回限りにして欲しい。
そして交代するように俯いた私の頭を、デュアは優しく抱え込んだ。
「そうだったな」
軽い笑い声と力強い声が降ってくる。ああよかった。いつものデュアだ。
ゆるゆると顔を上げれば、デュアは私の頬を両手で包み込んで、こつんと自分の額を押し当てた。
「………ミドリ、舞踏会に行きたいか?」
「うん!」
「アスラ達はお前のことは覚えていないし、当日はあいつらも忙しい。ゆっくり話すこともできないし、遠目からその存在を確かめることしかできないぞ」
「それでも、みんなに会いたい」
「………そうか」
行かせたくないけどな、とデュアが呟いたのは聞かなかったことにする。そしてデュアは私から手を離すと、よっと軽い掛け声を上げて立ち上がった。私も、つられるように立ち上がる。
そして向かい合わせになった途端、デュアはちょっと拗ねたような口調でこう言った。
「まさか、お前に諭されるなんて思いもよらなかった。これはかなりカッコ悪いな、俺」
「年下を舐めないでよね」
ふふんっと、調子こいてそう返せば、デュアは悔しそうに私の頬を軽くつねった。もちろん痛くはない。くすぐったかったけれど。
そして、デュアは申し訳なさそうに、私の頬を撫で上げた。これもまたくすぐったい。思わず身を捻った私の腰にデュアは、流れる手つきで手を回した。
「………そうだな。お前はもうこの世界では成人しているし、もう大人だな」
あれ?なんかデュアが真顔になった。あと、私の気のせいだろうか。なんかちょっと雲行きが怪しくなってきた気配がする。
都合良く【いやいやぁ、私、まだ子供だよー】と口を開こうとしたけれど、それよりデュアの方がちょっと早かった。
「なら、お前を大人として接することにする。ミドリ、どうしても舞踏会に行きたいって言うなら、交換条件だ」
「はい!?」
「対等な立場なら、対等に交渉するべきだよな」
「ええー」
ついさっきまで子犬のように震えていたのに、随分立ち直りが早いねー、デュア。元気になってくれて嬉しいけれど、急に大人カードを抜いて形勢逆転するのはズルいと思うよ。
そして、デュアの求めている条件がすぐにわかってしまった。っていうか、これ一択しかないだろう。
「それって………ずっと、保留になってるアレ?」
おずおずと問いかければ、デュアはそれはそれは静かに頷いた。でも目は【それ以外なにかあるのか?】と雄弁に語っている。
「………ワンランク下げない?」
それが何かなんてわからないけれど、ダメ元で交渉してみる。あ、速攻で首振られた。駄目か。
「俺に抱かれるのがそんなに嫌か?」
「そんなには嫌じゃない、というか初めてはデュアが良いのは変わりがないっ」
「そんなには……か。てっきり前置き無しの嫌じゃないという即答を期待していたんだけどな」
あー……できれば、上の句ではなく、下の句のほうに重点を置いて欲しかった。強調したつもりだったけど、足りなかったか。
もう一度言い直そうか、それともこのまま別の話題を振ってはぐらかそうか、そう考える間もなくデュアが畳みかけるように口を開いた。
「ミドリ、この際だからはっきり言わせてもらうが、俺は待つと言った。だが、限度がある」
あー……ロゼ爺の言った通りだった。
年長者の助言と言うのは耳が痛いけれど、的を得ている。私は一つ賢くなった。
「お前を無理やり抱きたくはない。でも、抑える自信が日に日になくなっていることは、わかってくれ」
あー……ロゼ爺の忠告は、一刻を争うことだったんだ。
でも、おいそれと一歩を踏み出せない事情が私にだってあるのだ。
「……でも」
「でも何だ?」
「でも、痛いんでしょ?」
一歩詰め寄った私に、デュアは後ずさりすることはなかったけれど、困惑した様子で片手で口元を覆ってしまう。そして、消え入りそうな声でぼそっとこう言った。
「………まぁ、そうだな」
それを聞いた瞬間、私が後ずさりさせてもらった。
やっぱりそっか。そんなことないっていう言葉を期待していた分だけ、怖さが増す。だって日本にいた頃、お済になった友達はいた。そして皆、総じて【死ぬほど痛かった】と口を揃えて言っていた。
ある友達は、一日中がに股を強いられたと言っていたし、ある友達はあまりの辛さに学校を休んだ。もう一人の友達は、なんと事の最中に、あまりの痛さに彼氏をグーで殴ったとさえ言っていた。
ちょっと話を盛っていると思っていたんだけど……え?これ実話だったの。
痛いのも怖いけど、がに股になったカッコ悪い私をデュアに見られたくないし、ましてや最中に殴るなんて絶対に嫌だ。と、いうことで───。
「ごめんデュアっ。やっぱり無理っ!」
「まっ待て、ミドリ」
じゃ、また今度と、適当なことを言って逃げ出そうとしたけれど、どんっという音と共に、デュアが壁に手を当て私を閉じ込める。
ここで日本の女子が憧れる壁ドンをしてくれても、ぶっちゃけ困る。っていうか壁ドンごときで、痛い思いをする決心をするのはちょっと足りない。
「わかった。じゃ、こうしよう。ワンランク下げよう」
「は!?」
そして目を剥いて叫んだ私を無視して、デュアはうんうんと頷きながら自分の発言に妙に納得している。お願い自己完結しないでっ。
「よし、交渉成立だ。お前の希望通り、ワンランク下げたやつで呑んでやる」
「それって何よ!?」
「お前.........自分から言い出したくせに、わかってないのか?」
「..................うん」
「まぁ口で説明するより、実地の方が早い。ほら、ベッドに行くぞ」
「ええええええっ」
なんてこったい。後悔先に立たず。私のさっきの発言が、墓穴を掘ってしまったなんて。
そして、避けることができない嵐の予感にたじろぐ私に、デュアが容赦ない言葉を浴びせた。
「ミドリ、痛くないようにするには、練習が必要なんだぞ」
「練習!?」
「そうだ。日々の鍛錬が必要だ」
「鍛錬!?」
「大丈夫、怖じけづくな。何事も訓練あるのみだ」
「訓練!?」
おおよそ男女の営みとは程遠い単語がデュアから飛び出してくる。
ただデュアの瞳は熱を孕んでいて、あの晩を思い出させるもの。マズイ.........ものすっごくマズイ!!一旦、離れて形勢を整えよう。
そう思った時は、空いている反対側もデュアの腕で塞がれてしまった。
そこで気付いた。デュアは別に私に壁ドンをしたかったわけじゃない。逃げないように抑え込んだだけだった。ズルいっ。
必死になって逃げようともがくけれど、デュアはびくともしないし、そんな私を抱え込みながら楽しんでいたりさえする。
「腹を括れ、ミドリ。舞踏会に行きたいんだろ?」
「………行きたいです」
「だよな。ああ、心配するな。今日は痛いことは何もしない」
「………お手柔らかにお願いします」
上目遣いで蚊の鳴く様な声で懇願すれば、優しいデュアのキスが降ってきた。
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