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★君と私の初対面【お茶会編】②
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こちらを見るフリーディアは───まさに一輪の花と例えるべき、大変、可憐な女性であった。私の脳裏に刻まれたゼラルドを池にぶち込んだ勇姿は、一瞬のうちに上書きされた。
艶やかな亜麻色の髪、深い泉のような濃紺の瞳。華奢な身体に、控えめな桃色のドレスに身を包んだ彼女は、やはり丘に咲く一輪花に相応しかった。
そして、つい視線は胸に行きそうだったが、それは自制心を総動員して押し止めた。
これからのお茶会がとても楽しみだ。しかしまず、第一関門である、挨拶がある。私は努めて穏やかに口を開いた。
「おかけ下さい」
私の言葉でに、フリーディアも席に付く。そして私も、彼女の向かい席に腰掛けた。───さて、第一関門の挨拶である。
「始めまして、ルディロークです」
「始めまして、フリーディアです」
私の挨拶にフリーディアは朗らかに返してくれた。完璧な挨拶だ。非の打ちどころがない。
ほっとした瞬間、気の緩みから彼女の胸に視線が行ってしまったのは、ここだけの話にしておく。しかし一言だけ言うなら、彼女はそんなに慎ましいと言われる程の胸ではなかったような気がする。
今にして思えば、ゼラルドの失言にそこまで怒りをあらわにする必要性はなかったかのように思える。が、それを口にするのは詮無きことである。
胸を覗き見したことをごまかすように私は懐から懐中時計を出した。もちろん、これには理由がある。会話を効率よくする為には、ある程度の時間を定めておいた方が良い。また、長時間、女性を屋外に留まらせるのも、申し訳ない。これは、私の一つ目の気遣いなのである。
「有意義な時間にするためにも、時間を決めたほうがいい」
「はい」
フリーディアは私の考えを既に理解してくれているらしい。疑問を口にすることなく、同意してくれた。
「今から1時間。それで良いか?」
「はい」
ルディロークは素直に首肯してくれた。本音を言えば、もう少し長くても良かったのだが───それはまた次回に調整しよう。
順調な滑り出しに満足していると、そこにクラウドがお茶を運んできた。
「坊ちゃ…失礼、ルディローク様、お茶をどうぞ」
ぼっ・・・坊ちゃんだと!?
さらりと、失言という爆弾をぶっこんできたクラウドは、とんだ伏兵であった。
しかし、自分の失言に気付いているはずのクラウドは、私の動揺を軽く受け流し私と彼女に交互にお茶を置く。次いでクラウドは、お茶会用の菓子をワゴンから取った。
「フリーディア様が自らお作り頂いたというとこで、お持ちしました。どうぞ」
そう言ったクラウドの手には、フリーディアが用意した焼菓子が綺麗に皿に盛られていた。彼女の心遣いに感謝すると共に、それをじっくりと鑑賞するには、少々ギャラリーが多すぎる。
それに、クラウドをこのまま野放しにしておいては、危険すぎる。
「クラウド、二人っきりで話がしたい。席を外してくれ」
動揺を押さえ、口を開いた私に、クラウドは穏やかに頷いて、メイド全員を引き連れ去って行った。良くわからないが、フリーディアの侍女も去って行った。
どうやら、フリーディアの侍女は空気が読めるらしい。教育が行き届いているみたいで、大変、好感が持てる。
一先ず、お茶を一口。同時に、フリーディアもお茶を口に運ぶ。
誰にも邪魔されない、穏やかな空気が二人を包む。私はこの時間を待ち望んでいた。
二人で同じ時間を過ごす。これだけでも、十分、有意義な時間だ。だが───
「きょ、今日はいい天気ですね」
なるほど。やはり、フリーディアも女性というだけあって、おしゃべりがしたいようである。私は、無難に返答をした。
「毎年、この時期は乾期で雨が少ないからな」
「そうですか」
彼女は満足してくれたのであろう。
再び、フリーディアはお茶を一口。同時に、私もお茶を口に運ぶ。
正直言って、私は安心していた。フリーディアも我が家の女性陣よろしくマシンガンのように喋り散らかされていたら、私は心身共に1時間も持たなかっただろう。控えめな彼女にますます好感がもてる。
───しかし、彼女は思わぬ爆弾を投下してきた。
「あっ、あのルディローク様」
意を決したように口を開いたフリーディアに、私はただならぬ予感を感じてしまった。そしてそれは、見事に命中した。
「このお菓子、私が作ったんです。是非食べて下さい」
「そう来たか」
「……え?」
目を丸くするフリーディアに、思わず本音が口から出てしまったが、それをフォローする余裕はない。
なぜならフリーディアは、いきなり私にとって未知の領域である、手作りのお菓子の称賛を求めるという高等な技術を要求してきなのだ。
我が家の女性陣の手作りのお菓子なら、いくらでも食べたことはある。しかし彼女達は、手作りお菓子を作った自分に酔っているだけで、適当に美味しいと言っておけば良かった。
しかし、フリーディアが相手となるとそうはいかない。
私は動揺し過ぎて、再度、確認を取ってしまった。
「本日の議題は、これというわけか」
「……え!?」
再び目を丸くするフリーディアであったが、私が躊躇していると見抜かれているかもしれない。そんな腑抜けた男とは思われたくはない。
「では、いただこう」
私はは大きく息を付くと、私の手製の焼菓子をつまみ口に運んだ。───それは、想像以上に美味であった。
「いっ……いかがでしょうか……」
何故フリーディアはそのようなことを聞くのだろうか。女性が手作りのお菓子の感想を聞いたら、男性が口にできる言葉は【美味しい】の一択一しかないはずだ。
しかし、フリーディアは敢えて問うてきた。一応、確認しておこう?
「この感想を言えば良いのか?」
「……お願いします」
それはつまり、次回も手作りのお菓子を持参してくれる、という事だろうか。
ならば私も、フリーディアの期待に応えるよう、ありきたりな言葉ではなく、きちんとした分析をしなければならない。
先ほどの焼菓子を思い出し、詳細に分析をする。簡潔明瞭な説明文を脳内で組み立て、私は口を開いた。
「少々、砂糖が少ないように感じるな。しっとり感が少々足りないのは、焼き加減というよりは、冷ましかたが足りないようだ。私の感想としては、以上となる。何か質問は?」
「…………」
───何故、彼女は固まってしまったのだろう。私の分析が、よほど残念だったのであろうか。それならば、間違いなく激怒するはずだ。我が家の女性陣なら、【このゴミクズ】くらいの暴言は平気で吐く。と、言うことは、この件については、及第点を貰えたということだろう。
しかし、彼女はもじもじと指を組み、口を開いては閉じるを繰り返している。ああ、多分、私の分析に対しての感謝の言葉を探しているのだろう。
「ルディローク様、あのですね……」
そう口を開いたフリーディアを遮って、私は無言で懐中時計を取り出した。言葉を遮るのは失礼ということは承知だが、時間にだらし無い男は嫌われることはリサーチ済みだ。
ここまで順調に進んだお茶会なのだ。最後の最後で躓く事など許されない。彼女の感謝の言葉は、次回の楽しみに取っておこう。
「そろそろ、時間だ。これで失礼する」
そう言い私は、後ろ髪を引かれるような思いで、席を後にした。
前途洋洋───私は、これからのフリーディアとの交際に胸を躍らせるのであった。
艶やかな亜麻色の髪、深い泉のような濃紺の瞳。華奢な身体に、控えめな桃色のドレスに身を包んだ彼女は、やはり丘に咲く一輪花に相応しかった。
そして、つい視線は胸に行きそうだったが、それは自制心を総動員して押し止めた。
これからのお茶会がとても楽しみだ。しかしまず、第一関門である、挨拶がある。私は努めて穏やかに口を開いた。
「おかけ下さい」
私の言葉でに、フリーディアも席に付く。そして私も、彼女の向かい席に腰掛けた。───さて、第一関門の挨拶である。
「始めまして、ルディロークです」
「始めまして、フリーディアです」
私の挨拶にフリーディアは朗らかに返してくれた。完璧な挨拶だ。非の打ちどころがない。
ほっとした瞬間、気の緩みから彼女の胸に視線が行ってしまったのは、ここだけの話にしておく。しかし一言だけ言うなら、彼女はそんなに慎ましいと言われる程の胸ではなかったような気がする。
今にして思えば、ゼラルドの失言にそこまで怒りをあらわにする必要性はなかったかのように思える。が、それを口にするのは詮無きことである。
胸を覗き見したことをごまかすように私は懐から懐中時計を出した。もちろん、これには理由がある。会話を効率よくする為には、ある程度の時間を定めておいた方が良い。また、長時間、女性を屋外に留まらせるのも、申し訳ない。これは、私の一つ目の気遣いなのである。
「有意義な時間にするためにも、時間を決めたほうがいい」
「はい」
フリーディアは私の考えを既に理解してくれているらしい。疑問を口にすることなく、同意してくれた。
「今から1時間。それで良いか?」
「はい」
ルディロークは素直に首肯してくれた。本音を言えば、もう少し長くても良かったのだが───それはまた次回に調整しよう。
順調な滑り出しに満足していると、そこにクラウドがお茶を運んできた。
「坊ちゃ…失礼、ルディローク様、お茶をどうぞ」
ぼっ・・・坊ちゃんだと!?
さらりと、失言という爆弾をぶっこんできたクラウドは、とんだ伏兵であった。
しかし、自分の失言に気付いているはずのクラウドは、私の動揺を軽く受け流し私と彼女に交互にお茶を置く。次いでクラウドは、お茶会用の菓子をワゴンから取った。
「フリーディア様が自らお作り頂いたというとこで、お持ちしました。どうぞ」
そう言ったクラウドの手には、フリーディアが用意した焼菓子が綺麗に皿に盛られていた。彼女の心遣いに感謝すると共に、それをじっくりと鑑賞するには、少々ギャラリーが多すぎる。
それに、クラウドをこのまま野放しにしておいては、危険すぎる。
「クラウド、二人っきりで話がしたい。席を外してくれ」
動揺を押さえ、口を開いた私に、クラウドは穏やかに頷いて、メイド全員を引き連れ去って行った。良くわからないが、フリーディアの侍女も去って行った。
どうやら、フリーディアの侍女は空気が読めるらしい。教育が行き届いているみたいで、大変、好感が持てる。
一先ず、お茶を一口。同時に、フリーディアもお茶を口に運ぶ。
誰にも邪魔されない、穏やかな空気が二人を包む。私はこの時間を待ち望んでいた。
二人で同じ時間を過ごす。これだけでも、十分、有意義な時間だ。だが───
「きょ、今日はいい天気ですね」
なるほど。やはり、フリーディアも女性というだけあって、おしゃべりがしたいようである。私は、無難に返答をした。
「毎年、この時期は乾期で雨が少ないからな」
「そうですか」
彼女は満足してくれたのであろう。
再び、フリーディアはお茶を一口。同時に、私もお茶を口に運ぶ。
正直言って、私は安心していた。フリーディアも我が家の女性陣よろしくマシンガンのように喋り散らかされていたら、私は心身共に1時間も持たなかっただろう。控えめな彼女にますます好感がもてる。
───しかし、彼女は思わぬ爆弾を投下してきた。
「あっ、あのルディローク様」
意を決したように口を開いたフリーディアに、私はただならぬ予感を感じてしまった。そしてそれは、見事に命中した。
「このお菓子、私が作ったんです。是非食べて下さい」
「そう来たか」
「……え?」
目を丸くするフリーディアに、思わず本音が口から出てしまったが、それをフォローする余裕はない。
なぜならフリーディアは、いきなり私にとって未知の領域である、手作りのお菓子の称賛を求めるという高等な技術を要求してきなのだ。
我が家の女性陣の手作りのお菓子なら、いくらでも食べたことはある。しかし彼女達は、手作りお菓子を作った自分に酔っているだけで、適当に美味しいと言っておけば良かった。
しかし、フリーディアが相手となるとそうはいかない。
私は動揺し過ぎて、再度、確認を取ってしまった。
「本日の議題は、これというわけか」
「……え!?」
再び目を丸くするフリーディアであったが、私が躊躇していると見抜かれているかもしれない。そんな腑抜けた男とは思われたくはない。
「では、いただこう」
私はは大きく息を付くと、私の手製の焼菓子をつまみ口に運んだ。───それは、想像以上に美味であった。
「いっ……いかがでしょうか……」
何故フリーディアはそのようなことを聞くのだろうか。女性が手作りのお菓子の感想を聞いたら、男性が口にできる言葉は【美味しい】の一択一しかないはずだ。
しかし、フリーディアは敢えて問うてきた。一応、確認しておこう?
「この感想を言えば良いのか?」
「……お願いします」
それはつまり、次回も手作りのお菓子を持参してくれる、という事だろうか。
ならば私も、フリーディアの期待に応えるよう、ありきたりな言葉ではなく、きちんとした分析をしなければならない。
先ほどの焼菓子を思い出し、詳細に分析をする。簡潔明瞭な説明文を脳内で組み立て、私は口を開いた。
「少々、砂糖が少ないように感じるな。しっとり感が少々足りないのは、焼き加減というよりは、冷ましかたが足りないようだ。私の感想としては、以上となる。何か質問は?」
「…………」
───何故、彼女は固まってしまったのだろう。私の分析が、よほど残念だったのであろうか。それならば、間違いなく激怒するはずだ。我が家の女性陣なら、【このゴミクズ】くらいの暴言は平気で吐く。と、言うことは、この件については、及第点を貰えたということだろう。
しかし、彼女はもじもじと指を組み、口を開いては閉じるを繰り返している。ああ、多分、私の分析に対しての感謝の言葉を探しているのだろう。
「ルディローク様、あのですね……」
そう口を開いたフリーディアを遮って、私は無言で懐中時計を取り出した。言葉を遮るのは失礼ということは承知だが、時間にだらし無い男は嫌われることはリサーチ済みだ。
ここまで順調に進んだお茶会なのだ。最後の最後で躓く事など許されない。彼女の感謝の言葉は、次回の楽しみに取っておこう。
「そろそろ、時間だ。これで失礼する」
そう言い私は、後ろ髪を引かれるような思いで、席を後にした。
前途洋洋───私は、これからのフリーディアとの交際に胸を躍らせるのであった。
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