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弥助の大冒険 -少年は巴里を目指す- 6.3

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で、お膳に載っていた、お吸い物。

これを頂く際に、私の舌、違和感を感じたのです。

もちろん、お出汁に淫棒茸いんぽたけだの、ハラマスのアラくらいは使われているだろうとは予測していました。

しかし、なんか違うのです。

なぜ、わかるのかと申しますと、痴女宮女官食堂での食事、不定期に試食して味付けやら何やらをチェックする面子、私も入れられておるのです…。

そして、昨今は罪人食堂のメニュー同様、女官食堂でも色々とですね、そっち方面がはかどるような食材がやたら使われておるのですよ…。

ぶっちゃけ、あたし自身の体も性欲昂進食材の効果測定用の実験台にされていると思うんですけどね…。

ですので、昨今はかなりの確率で「あ、これ何か混ぜてるな」というのが分かるのです。

で、聖環を使用して成分分析。

牝狩淫めすかりん成分・少量検知>

おいっ。

ええ、アメリカ大陸編や、お話をさせて頂いてはいない女裂振珍めきしこしこ帝国への鉄道や道路敷設建設の際に、私も錯棒昇天さぼてんから取れる催淫幻覚剤であるという、牝狩淫めすかりんの効能を知る機会があったのです。

その効き目、具体的にはどういうものかと申しますと。

一言で申し上げますと、男性またはちんぽ装備状態の痴女種ならば、視界に入った女を強姦したくなるのです。

または、純粋な女の状態であれば、犯されたくなるのです。

で、その効果が強烈すぎるせいで、普通なら中米行政局、わけても旧・明日輝あすてかまたは魔屋まや領内以外で使うの禁止とかいうお触れをベラちゃんの名前で出したくらいのしろものなのです。

その効能は、痴女皇国の扱うエロカロイド物質の中でも、ほぼ最強級だそうでして…。

で、わたくし室見、一応は公務で来ております。

そして、私はこの牝狩淫めすかりんの効果を中和可能な装備、使えると言えば使える立場。

(牝狩淫の効果を更に強化したり、接触した相手に投与してしまうなら黒薔薇騎士団戦闘服を着たら問答無用でできちゃうんだけど、中和はねぇ…)

ただし、その装備を使用するには他の痴女皇国皇族の許可が必要ではあるのです…。

で、すぐ近くにいる、痴女皇国皇族または聖院皇族である、高木アルトリーゼさんに打診しておきます。

(アルトさん、念のためですけど、あたしの黒化白金衣の使用キュー、出しておいてもらえますか…)

(かしこまりました…でも、りえさん…あれはあれで、着ると黒ばら服いじょうに、すけべいになりますよ…)

(背に腹は変えられません。それに、あの、うずらのミートボールの入った中華風お吸い物、大奥女中の皆さんの今日の昼食と共通ですよ…)

更に悪いことに、実は大奥…というよりは将軍さまに出す食事、まりりがかなり早期に手を入れていたのです。

理由は、毒味だなんだのとやっていては冷めてしまうし、なるべく時間を置かずに食べた方が衛生的にも味としても良いものがある、というそれなりに筋が通ったまりりの主張によって、毒味役を巫女種または痴女種が行うことで、細菌や、あるいは食中毒の原因菌が排出する毒を含めた有害物質の混入検査を一瞬に終わらせる対策が取られたのです。

そして、このお膳についても、今や大奥女中が完全に痴女種互換の巫女種となってしまったせいで、実質的には毒味役無用となってしまった感がある江戸城内の食事事情を受けて、熱いものはほぼ、熱い状態で提供されているのです…。

で、この中華風お吸い物ですが、肉や内臓を取った後のうずらの骨を中心にして取られた中華風スープに、うずらのお肉をミンチにした肉団子と、隠し味めいた豚のモツを少量、そして水芹みずぜりの葉っぱが具です。

横濱よこはめ中華街でうずらの卵を大量に使うからって、野毛山あたりにうずらの養殖場を作らせてくれと傅満洲ふーまんちゅーっさんがですね…)

(で、おっさんはうずらの肉も料理に使いたがってたんですよ…あ、室見様、庄司しょうじ甚右衛門じんえもんでございます…本日はおまつさまお招きで、屏風の向こうにおりますよ、甚内じんないじょうたいで…)

つまり、吉原色里頭の庄司甚右衛門さん、偽女種少年の姿で屏風の向こうにおられるってことですね。

んで、甚右衛門さんは偽女種姿の他、元服前の庄司甚内であった時のお姿…少年の状態になっておられることも多い御仁です。

(吉原の開闢かいびゃく当時はお世話になりまして…弁天池にての鰻の養殖も順調の至り、非人どもも大喜びしておる次第でございます…)

ええ、吉原開いた際の干拓工事はもちろん、当時の日本橋付近から、今の浅草に移すまでの作業についても私とエマちゃん…エマニエル建設部長が噛んでいるんですよ。

更には、将来の東北新幹線用にと既に準備工事を進めている上野地下駅トンネルからの湧水、連邦世界の上野駅と同様に発生していたのですが、この湧水は不忍池や江戸城のお堀、そして吉原弁天池に送水しています。

そして、弁天池では江戸でも一般的な食材として認知されつつある鰻の養殖事業をおすすめしたのも、私だったりするんです…。

なんせ、私の出身地である愛知県。

名物の一つに鰻重やひつまぶしが存在するくらい、鰻の消費も多い県なのです。

更に、江戸でも鰻というのは庶民に親しまれた食材であったくらいの知識は持っていましたからね。

(当時はハラマスの原種がまだ、発見されてなかったからな…)

(どうでもいいけど、十和田湖にヒメマスじゃなくてハラマスを養殖するのはやめた方がいいわよ…)

(安心してくれ。口が女性の股間を連想させる秘めマスにした)

(おいっ)

ええ、まりりはハラマスを日本でも養殖させようと躍起になっとるんです。

さすがに田沢湖のクニマスについては保護しろって釘を刺しておきましたが、富士五湖ではクニマスとハラマス双方の放流を行うとかやってますからね…。

でまぁ、鰻自体も精力のつく食べ物ではありますが、ハラマスはもっと強力なのですよ…。

そして、徳川将軍家の気風、食事にも強く出ておりました。

開祖のタヌキいえやすさんが私の生家にも近く、うちの母方の家系にもあるということでなーんとなくは分かるのですが、タヌキさんは部下への手前もあって、貧乏だった三河時代の質素倹約を忘れることなかれとばかりに、夕食ですら一汁二菜程度で済まされておったそうです。

で、その気風を代々引き継いでいる将軍家では、お爺ちゃんっ子だった家光さんも、タヌキさんの方針を守らざるを得なかったと言っておられます。

しかし、育ち盛りの家綱くんには少しばかり気の毒ということで、ちょっと前までの欧州貴族の食事を取り入れてはどうかという提案、まりりによって為されました。

そして、品川の畜肉工場の本格稼働を受けて、水戸藩が井伊家から毎年のお歳暮に味噌漬けの牛肉を送ってもらわなくとも良くなったほど、痴女皇国世界の江戸では肉食が徐々に広まっております。

これも、まりりの方針でして、精力をつけて神社に精気…比丘尼国では生気しょうきと称していますが、とにかくも蛋白質を多量に含む食生活を広めて精気をガンガンと献上して欲しいがための政策なのだそうです。

おかげで、漁業技術の伝達や冷凍・冷蔵装置の密かな導入もあって、比丘尼国では魚肉のみならず畜肉についても、決して庶民に手が届かない高嶺の花でもなくなっているんですよ…。

(ちなみに今日の献立ですがね、ええと、飯とその、うずらの吸い物でしょ。で、台の物としてハラマスの塩焼きと、豚肉の野菜炒め物ですかい、あとは香の物ですね)

(畜生肉と魚の置き場を分けるために、半分に分ける盛り上がりがあるおさらをつかうんですよね…ええと、町衆の食べておるものと、さほどのちがいはないとおもいます…)

(ただ、米がね…ほれ、室見さま…そちらの本宮の食堂でお出しの長細い米がありますわな、独特の香気が漂うあれ。あれを茹でる要領で出されてたんですよ…ですので、町衆連中と同じ炊き方にするってまりや様が沙汰をだしたとき、わしと家綱とおまつさま、思わずをして喜んだほどでして…)

そう、将軍様へのご飯、インディカ種のお米を茹でる要領で調理されていたのです…これではジャポニカ種のうまみを生かした炊き上がりになるどころか、パサパサの状態で供されてしまうことになりかねません。

さすがに、江戸城の長い廊下を経て運ばれて来る間に冷めてはまずいとなって炭火で温める工程が入ったそうですけど、それにしてもちょっと悲しいものがある将軍様の、ごはん。

ですが、前回でお話ししました大奥移築・改築に併せまして、将軍家のお住まいとなる御殿向ごてんむきと、奥女中寮である長局向ながつぼねむきを分離した中に、それぞれの専用厨房を設ける意図もあったのです。

その結果、最速で調理完了後、5分未満でお膳が届くようになったのです…。

更には、リュネ世界由来の調理剣技術の応用で、保温機能つきのおひつや配膳かご…つまりワゴンも導入したおかげで、江戸の町の一般庶民同様に炊き立てご飯が頂けるようになりました。

(ただね、連邦世界の俺の代で、権現様じいさまの遺産を半分かた使ったとか聞いちゃ、ちょっと倹約を図っておきたいのと、俺らもお前らとあんま変わらん普段めしだぞってことをするってことでね…)

なんと、幕府広報誌である「讀賣江戸城」なる電子瓦版、痴女皇国内務局広報部の協力を得て出してるんだそうですけどね、その連載コラムに「上様乃御飯」なるコーナーがあって、実際に家綱くんに提供されている食事のメニューを画像付きで公開してるんだそうです…。

(これね、じいさまが鯛の天ぷらにあたって死んだって噂話が出たでしょ…あれの払拭の意味もあるんですよ…)

(でも、相模国から鯵の上物が献上されたときは、てんぷらやあじふらいにして出されますけど、ぼくはあっちのほうがおいしいとおもうのです…)

一見、庶民的に聞こえますが、大船駅弁だった鯵の押し寿司というものを知っている私としては、苦笑いするばかり。

その押し寿司、大物が上がった際にはお値段ちょっとお高めの特上版が調製されることで、テツの間では有名だったこともありましてね…。

連邦世界でも、確か昭和天皇陛下が葉山の御用邸にお越しの際には好まれたとかいう話も聞いておりますが、痴女皇国世界では干物にするだけでなく、新鮮な状態で江戸に到着可能な輸送手段が確立されています。

そして、寿司ネタとして江戸庶民の口に入るだけでなく、将軍家の食材としても活用されているようですね。

(このじだいをかんがえるとぜいたくなおしょくじという気もしますが、聖院本宮やちじょ宮の食堂とおおきな差はないようにもおもえますね…)

聖院女官、そして痴女皇国女官としての経験も長いアルトさんですから、これはまぁ、褒め言葉に受け取ってもいいでしょう。

(しょうゆとおみそ、さとうをよめが導入しましたからね…それまでのあじつけから、大きくかわっただけでなく、いちじきはこのおしょくじができないからと還俗をいやがる女官がでたくらいでしたし…)

ふほほほほほ。

みなさん、思い出してください。

まりりからの無茶を極めた要求があったとは言え、今や南米行政局・尻出ぶらじる支部の重要な出荷資源の一つになるまでに成長した大豆の生産。

あれ、このわたくし室見理恵の仕事ですからね!
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/126/

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マリア「エマ子に頼んだだけともいうが」

えまこ「マリアねーさん、しかし計画の骨子を立案してうちに持って来られたのは理恵さんと日系伯人協会の方々でっせ…それに、ブラジル連邦共和国内部の痴女種の皆様方の協力を得て大豆畑を視察しーのとさせていただけたからこそ、実現できたような話ですやんか…」

りええ「そーよそーよ」

マリア「だから、りええ一人の手柄でもないんだよな、痴女皇国世界の大豆食品の普及…」

いえみつ「しかし、豆腐に味噌に醤油が切れることがないのはありがたい限り」

いえつな(でも、はらますの西京焼きとかけっこう、ひんぱんに出るんですよね…たまには別のおさかなも)

いえみつ(俺らがあじふらいをおいしいって言ってる理由、魚料理に割とはらますが出てくるのが多いせいもあるんです…)

りええ(別にハラマスだけが魚じゃないんですけど…で、このハラマスを食べた家綱くんがどうなるのかぁっ)

おまつ(そういえば室見様も、自分のお膳をきれいに平らげておられましたわね…ふふふふふ)
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