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弥助の大冒険 -少年は巴里を目指す- 4.2
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(アルトさん|前控室の前側の出入り口に簡易厨房があります!そこの中にシミ抜き用のタオルとか積んでます!引き寄せてください!)
(理恵さん理恵さん…確かキクイ801ってそういう時を見越して半生体素材を内装材に使うって話に…あんぎゃああああああああああ)
え。
このお声、エマニエル部長。
(理恵さん、妻面上に形式番号書いてますよね…見てもらえます?)
(エマちゃん…見なくてもわかるわよ…キクイ801-19…量産先行車で大ミハ配置車がおかみ様用、801-11が京ムコで京都朝廷用、801-36が東タチで幕府用って決めたの、あたしだから…ただ、車両番号を決めたのは誓ってあたしじゃないわよ!)
(淫らな夢関係の数字振るのが好きなん誰かは敢えて言いまへん。それと…どれ…あー、ほんまや…自己浄化素材やなくて通常のウール難燃加工とかシルクですやん…仕様床材とか壁材…それに断熱材にアスベストばっきばき使いまくりやし…)
そこへ、アルトさんが手拭いやら洗剤を持って現れます。
「これですね」
で、弥助が何をやってしまったのか。
土瓶のふたがわりになっている小さな湯呑みを外そうとして、お茶の入った土瓶を手から落としてしまったのです。
幸い、周囲には私または痴女種ばかり。
一瞬で床に落ちかけた土瓶は受け止められて卓子の上に戻されたのですが、こぼれたお茶のいくばくかは床の絨毯を汚してしまったのです…。
ですが、高級そうな床織物を汚したという自責に駆られてぐすぐす泣いている弥助。
その、弥助に対して心配するなと声をかけながら、洗剤を噴いて染みを抜けないか試している室見様。
(アルトさん、おしぼりもう1本、濡らして絞ってきてください…)
(りえさんりえさん、じじょうはわかりましたとエマちゃんが。これからてをうってくれるそうです…)
(とりあえず床敷物の1枚ものの難燃ウールのカーペットだけですやんな?今から遠隔で半生体素材に敷き変えます。一瞬で終わりますよ)
え。
我々の足はもちろん、椅子やら卓子、置かれたまんまですよ。
しかし…私の心配は杞憂でした。
なんと、次の瞬間に床の茶渋の染み、消え失せたのです。
(これで問題解決ですやろ。あと、そこの弥助くんがこぼしかけた土瓶、新しいもんに変えときました。では、良い旅を…あ、理恵さん、大坂で乗り換える第四光號の特等の内装、半生体素材採用の量産型TGV-ZK編成のはずですさかい、少々の汚れは自己分解しますよってに…)
(ありがとうエマちゃん…というか張り替えはこの運用の後で宮原に入区してからでも良かった気がするけど、とにかく助かったわ…)
まぁ、結果はなんとかなったということで。
そして、お茶土瓶の蓋を外して茶を注いであげる役目、弥助と母親でなく私になりました…。
ええ、私、過日の江戸行きの件など色々ありまして、列車に乗るのは初体験じゃないのです。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/134/
ですから、土瓶の扱い方や茶の注ぎ方飲み方も心得ております。
そして、駅弁の包みの外し方とか、理恵さんと二人して教える羽目にも。
ちなみにこのお弁当の掛け紙に書かれている名前は「丹波篠山デカンショぼたんめし」でした。
つまり、猪の肉を冷めても固くならぬようにタレに漬けてから焼いたものが数切れ、錦糸卵を散らした山菜炊き込み飯の上に載っている盛り付けですね。
(連邦世界の篠山口でかつて売られていた駅弁2種類が混ざっている気がしますが、気にせず食べてください)
要は、丹波の名産を盛り込んだ飯、ということのようです。
流石にぼたん鍋、というわけにもいかないと思いますから猪肉を焼いたのは仕方ないでしょうけど、まぁ、猪肉の臭みも抑えられていて焼き豚肉のような風合いも感じます。
そして…弥助たちには、結構なご馳走なんですよね…これ。
「いや…おれたちも、大江のまちの人らよりええめしをくわせてもらってるようだったんですけど…」
「肉もさかなも確かにふつうに食膳に上がっておりましたけど、味付けが当代風といいますか…」
弥助だけではなくて、巫女になった二人も、その弁当の味付けがとてもぜいたくに感じておるようです。
(ああそうか…この時代、やっとお味噌や醤油が地方にも普及し始めるから…)
ええ、味噌だれ漬けとか、かなり味付けが進んだ比丘尼国でもまだまだ普及には先、という塩梅なのです。
しかし、鉄の道の広がりによって、やがては百姓でも塩味噌砂糖醤油を当たり前のように味付けに使うであろうとも言われております。
現に、大江の百姓長屋の飯場でも、この辺の調味料はぼつぼつと使い始めてはおるようです。
(遠慮なく私の分もお食べ…と言ってあげたいのですがね、弥助…昼過ぎに江戸に着いた後で、一席設けて下さるようなのです…ですからお腹は空けておきなさいな…)
これは、瞬く間に自分の弁当を食べ尽くした弥助が、私の分をチラリと見ていたがための注意です。
と言っても、弥助が浅ましいとか思って叱るためじゃないのです。
要は、昼飯の時に、もっといいものをご馳走してもらえるよ、ということなのです。
「ですから、楽しみにしておきなさい…」
(確かに、今の比丘尼国の状況だと、量はともかく味付けとか内容とか、公家や国主の方々向けの食事に匹敵しますよね、この駅弁…)
(これが少々値が張るとは申せ、かねを出せば町民農夫でも食べられるのですからねぇ)
さて、篠山の小さな、しかしこれまでに通って来た道のりのなかでは福知山に次いで町らしいまちを離れた列車、穴の中に突っ込みます。
(実は福知山線ですが、この先の三田から宝塚の間は旧線に該当する路線も敢えて敷設してまして、普通列車は渓谷に沿った旧線を通るのです…)
しかし、この準急列車とやらは、山の中に開いた穴を突っ切って直線で宝塚を目指すそうです。
で、有馬の湯の裏玄関口でもあるという三田の町を離れた列車、理恵さんの言葉通りに穴に突っ込みます。
「プラウファーネさんだからしかたないとはおもいますが、しもねたなのです」
「微妙に下ネタぶっ込んで来る癖、確かにありますね…」
で、次の停車駅である宝塚という場所。
まず、温泉があるそうです。
そして、近いうちに開かれる、遊園地とやらの工事をしているらしい光景も、駅を出てすぐのところに見えるのです。
そればかりか、何やら演劇場らしきとか、あるいは学校めいた場所…聖院時代の修学宮を思わせる建物までもが。
「ああ、聞いてません?…宝塚過激、いえ歌劇女学校、できるんですよ…スペイン王立歌劇団の指導で…」
聞けば、パリの偽女種劇場とやらと対を為すような「女だけの演劇」をマドリードで始めたそうでして。
で、室見様に聞けば、小林なんとかという大坂界隈の新興商人がその話を聞きつけ、観光地としての宝塚や箕面の開発を他の大坂商人たちに呼びかけ資金を募った結果ですね。
大坂の幕府天領ともなった浪速三三四国を担当する知事が江戸にも話を回し、温泉の目玉にしようとなったようなんですよ…。
「で、問題がですね、痴女皇国と提携している比丘尼国の事業の上に、その元になった発想のマドリードの百合歌劇って、単なる百合で終わると思いますか。しかも宝塚温泉とセットですよ、セット」
ええと、それってもしかして売春色街にする気満々なんじゃ…。
「ええ、おとなの遊園地にするつもりだって、おかみ様も口をはさみまくったそうですよ…中洲泡風呂国流のお風呂は福原と雄琴と道頓堀だけでええですやんって私も言ったんですけど…」
「おかみさまもたいがいなすけべいですからね…おさけだけではなく、ちんぽもすきなのはプラウファーネさんもよくごぞんじでしょう…」
ええ、存じてます。
痴女宮地下の墓所と、大江の地下を直結するゲートが整備されてからこっち、おかみ様が痴女宮に赴任していた安井金刀比羅宮の阿波内侍という元・怨霊尼僧の巫女様の酒を盗み飲むとか、痴女宮の横の伊勢神宮分社の御神酒を盗み飲むとか、あげく淋の森で無許可売春していて仕方なしに痴女皇国で売春鑑札を出して売春仕様の聖環も渡したりとか、私と姉が痴女宮地下の常駐を交代する時期に起きたことなんで、今日昨日のことのように鮮やかに覚えておりますから!
----------------------------------------------
おかみ「おぼえんでええんやぞ」
いばらき「覚えたくもないのですが、何か起きる度に比丘尼国関係者として呼ばれてましてね…」
げどう「あるとはんのかたなとかかりて、泣かしたことも一度や二度にあらず」
あると「かみさまのはずのおかみさまなのですが、あたくしのリトルクロウをおしおきにつかえるのです」
げどう「おかみ様に斬りつけても痛いという程度で済むんですけどな、そもそもおばはんに人や鬼相手の武器が通用するかどうかを考えると、御神刀の部類の刀の威力がわかってもらえると思うんですわ」
おかみ「しんけんにいたいねんぞ!」
いばらき「痛いからお仕置きなんですがな…やいとする程度で済んでますねんから…」
あきひと「いや、藤寺(=安井金刀比羅宮)に願掛けしてくれるならばであるが、もっと効き目のある事を朕が致しても構わんのだが」
いばらき(祟る気満々ですやろ、崇徳上皇陛下…)
げどう(それはそれで困る話に…)
あきひと「なぜじゃ。鬼のそちらにとっても、日の本が荒れ果て羅生門のし放題であれば色々捗ろうに」
いばらき「上皇陛下、酒、備えてもらえなくなりますよ…」
げどう「そうですわ。ほら、この神便鬼毒酒よりもよう効く、赤い小箱に入った酒にこう、筒を刺してですね、ちゅーっと一気に」
りええ(あの…外道ちゃんが崇徳上皇陛下に飲ませてるのって、鬼でもコロコロする強烈な労働者向けのお酒…)
マリア(温泉女歌劇団に対抗して酔いどれガールズバンドでも結成してくれたらいいんじゃないかな)
他全員(それもあまりよくない気がするんですが…人としてダメな女ばかり集まりそうな…)
(理恵さん理恵さん…確かキクイ801ってそういう時を見越して半生体素材を内装材に使うって話に…あんぎゃああああああああああ)
え。
このお声、エマニエル部長。
(理恵さん、妻面上に形式番号書いてますよね…見てもらえます?)
(エマちゃん…見なくてもわかるわよ…キクイ801-19…量産先行車で大ミハ配置車がおかみ様用、801-11が京ムコで京都朝廷用、801-36が東タチで幕府用って決めたの、あたしだから…ただ、車両番号を決めたのは誓ってあたしじゃないわよ!)
(淫らな夢関係の数字振るのが好きなん誰かは敢えて言いまへん。それと…どれ…あー、ほんまや…自己浄化素材やなくて通常のウール難燃加工とかシルクですやん…仕様床材とか壁材…それに断熱材にアスベストばっきばき使いまくりやし…)
そこへ、アルトさんが手拭いやら洗剤を持って現れます。
「これですね」
で、弥助が何をやってしまったのか。
土瓶のふたがわりになっている小さな湯呑みを外そうとして、お茶の入った土瓶を手から落としてしまったのです。
幸い、周囲には私または痴女種ばかり。
一瞬で床に落ちかけた土瓶は受け止められて卓子の上に戻されたのですが、こぼれたお茶のいくばくかは床の絨毯を汚してしまったのです…。
ですが、高級そうな床織物を汚したという自責に駆られてぐすぐす泣いている弥助。
その、弥助に対して心配するなと声をかけながら、洗剤を噴いて染みを抜けないか試している室見様。
(アルトさん、おしぼりもう1本、濡らして絞ってきてください…)
(りえさんりえさん、じじょうはわかりましたとエマちゃんが。これからてをうってくれるそうです…)
(とりあえず床敷物の1枚ものの難燃ウールのカーペットだけですやんな?今から遠隔で半生体素材に敷き変えます。一瞬で終わりますよ)
え。
我々の足はもちろん、椅子やら卓子、置かれたまんまですよ。
しかし…私の心配は杞憂でした。
なんと、次の瞬間に床の茶渋の染み、消え失せたのです。
(これで問題解決ですやろ。あと、そこの弥助くんがこぼしかけた土瓶、新しいもんに変えときました。では、良い旅を…あ、理恵さん、大坂で乗り換える第四光號の特等の内装、半生体素材採用の量産型TGV-ZK編成のはずですさかい、少々の汚れは自己分解しますよってに…)
(ありがとうエマちゃん…というか張り替えはこの運用の後で宮原に入区してからでも良かった気がするけど、とにかく助かったわ…)
まぁ、結果はなんとかなったということで。
そして、お茶土瓶の蓋を外して茶を注いであげる役目、弥助と母親でなく私になりました…。
ええ、私、過日の江戸行きの件など色々ありまして、列車に乗るのは初体験じゃないのです。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/134/
ですから、土瓶の扱い方や茶の注ぎ方飲み方も心得ております。
そして、駅弁の包みの外し方とか、理恵さんと二人して教える羽目にも。
ちなみにこのお弁当の掛け紙に書かれている名前は「丹波篠山デカンショぼたんめし」でした。
つまり、猪の肉を冷めても固くならぬようにタレに漬けてから焼いたものが数切れ、錦糸卵を散らした山菜炊き込み飯の上に載っている盛り付けですね。
(連邦世界の篠山口でかつて売られていた駅弁2種類が混ざっている気がしますが、気にせず食べてください)
要は、丹波の名産を盛り込んだ飯、ということのようです。
流石にぼたん鍋、というわけにもいかないと思いますから猪肉を焼いたのは仕方ないでしょうけど、まぁ、猪肉の臭みも抑えられていて焼き豚肉のような風合いも感じます。
そして…弥助たちには、結構なご馳走なんですよね…これ。
「いや…おれたちも、大江のまちの人らよりええめしをくわせてもらってるようだったんですけど…」
「肉もさかなも確かにふつうに食膳に上がっておりましたけど、味付けが当代風といいますか…」
弥助だけではなくて、巫女になった二人も、その弁当の味付けがとてもぜいたくに感じておるようです。
(ああそうか…この時代、やっとお味噌や醤油が地方にも普及し始めるから…)
ええ、味噌だれ漬けとか、かなり味付けが進んだ比丘尼国でもまだまだ普及には先、という塩梅なのです。
しかし、鉄の道の広がりによって、やがては百姓でも塩味噌砂糖醤油を当たり前のように味付けに使うであろうとも言われております。
現に、大江の百姓長屋の飯場でも、この辺の調味料はぼつぼつと使い始めてはおるようです。
(遠慮なく私の分もお食べ…と言ってあげたいのですがね、弥助…昼過ぎに江戸に着いた後で、一席設けて下さるようなのです…ですからお腹は空けておきなさいな…)
これは、瞬く間に自分の弁当を食べ尽くした弥助が、私の分をチラリと見ていたがための注意です。
と言っても、弥助が浅ましいとか思って叱るためじゃないのです。
要は、昼飯の時に、もっといいものをご馳走してもらえるよ、ということなのです。
「ですから、楽しみにしておきなさい…」
(確かに、今の比丘尼国の状況だと、量はともかく味付けとか内容とか、公家や国主の方々向けの食事に匹敵しますよね、この駅弁…)
(これが少々値が張るとは申せ、かねを出せば町民農夫でも食べられるのですからねぇ)
さて、篠山の小さな、しかしこれまでに通って来た道のりのなかでは福知山に次いで町らしいまちを離れた列車、穴の中に突っ込みます。
(実は福知山線ですが、この先の三田から宝塚の間は旧線に該当する路線も敢えて敷設してまして、普通列車は渓谷に沿った旧線を通るのです…)
しかし、この準急列車とやらは、山の中に開いた穴を突っ切って直線で宝塚を目指すそうです。
で、有馬の湯の裏玄関口でもあるという三田の町を離れた列車、理恵さんの言葉通りに穴に突っ込みます。
「プラウファーネさんだからしかたないとはおもいますが、しもねたなのです」
「微妙に下ネタぶっ込んで来る癖、確かにありますね…」
で、次の停車駅である宝塚という場所。
まず、温泉があるそうです。
そして、近いうちに開かれる、遊園地とやらの工事をしているらしい光景も、駅を出てすぐのところに見えるのです。
そればかりか、何やら演劇場らしきとか、あるいは学校めいた場所…聖院時代の修学宮を思わせる建物までもが。
「ああ、聞いてません?…宝塚過激、いえ歌劇女学校、できるんですよ…スペイン王立歌劇団の指導で…」
聞けば、パリの偽女種劇場とやらと対を為すような「女だけの演劇」をマドリードで始めたそうでして。
で、室見様に聞けば、小林なんとかという大坂界隈の新興商人がその話を聞きつけ、観光地としての宝塚や箕面の開発を他の大坂商人たちに呼びかけ資金を募った結果ですね。
大坂の幕府天領ともなった浪速三三四国を担当する知事が江戸にも話を回し、温泉の目玉にしようとなったようなんですよ…。
「で、問題がですね、痴女皇国と提携している比丘尼国の事業の上に、その元になった発想のマドリードの百合歌劇って、単なる百合で終わると思いますか。しかも宝塚温泉とセットですよ、セット」
ええと、それってもしかして売春色街にする気満々なんじゃ…。
「ええ、おとなの遊園地にするつもりだって、おかみ様も口をはさみまくったそうですよ…中洲泡風呂国流のお風呂は福原と雄琴と道頓堀だけでええですやんって私も言ったんですけど…」
「おかみさまもたいがいなすけべいですからね…おさけだけではなく、ちんぽもすきなのはプラウファーネさんもよくごぞんじでしょう…」
ええ、存じてます。
痴女宮地下の墓所と、大江の地下を直結するゲートが整備されてからこっち、おかみ様が痴女宮に赴任していた安井金刀比羅宮の阿波内侍という元・怨霊尼僧の巫女様の酒を盗み飲むとか、痴女宮の横の伊勢神宮分社の御神酒を盗み飲むとか、あげく淋の森で無許可売春していて仕方なしに痴女皇国で売春鑑札を出して売春仕様の聖環も渡したりとか、私と姉が痴女宮地下の常駐を交代する時期に起きたことなんで、今日昨日のことのように鮮やかに覚えておりますから!
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おかみ「おぼえんでええんやぞ」
いばらき「覚えたくもないのですが、何か起きる度に比丘尼国関係者として呼ばれてましてね…」
げどう「あるとはんのかたなとかかりて、泣かしたことも一度や二度にあらず」
あると「かみさまのはずのおかみさまなのですが、あたくしのリトルクロウをおしおきにつかえるのです」
げどう「おかみ様に斬りつけても痛いという程度で済むんですけどな、そもそもおばはんに人や鬼相手の武器が通用するかどうかを考えると、御神刀の部類の刀の威力がわかってもらえると思うんですわ」
おかみ「しんけんにいたいねんぞ!」
いばらき「痛いからお仕置きなんですがな…やいとする程度で済んでますねんから…」
あきひと「いや、藤寺(=安井金刀比羅宮)に願掛けしてくれるならばであるが、もっと効き目のある事を朕が致しても構わんのだが」
いばらき(祟る気満々ですやろ、崇徳上皇陛下…)
げどう(それはそれで困る話に…)
あきひと「なぜじゃ。鬼のそちらにとっても、日の本が荒れ果て羅生門のし放題であれば色々捗ろうに」
いばらき「上皇陛下、酒、備えてもらえなくなりますよ…」
げどう「そうですわ。ほら、この神便鬼毒酒よりもよう効く、赤い小箱に入った酒にこう、筒を刺してですね、ちゅーっと一気に」
りええ(あの…外道ちゃんが崇徳上皇陛下に飲ませてるのって、鬼でもコロコロする強烈な労働者向けのお酒…)
マリア(温泉女歌劇団に対抗して酔いどれガールズバンドでも結成してくれたらいいんじゃないかな)
他全員(それもあまりよくない気がするんですが…人としてダメな女ばかり集まりそうな…)
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