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欧州女形演芸場ものがたり -l'Okama -・6

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で、エルネスティーヌの使命とは。

それは、噂を立てさせること。

「事もあろうに、あのテレーズ殿下がサン=ドニで夜な夜な男漁りをしているらしいぞ。何人も見たって言ってんだよ…」

「いや…俺の聞いた話じゃ、王室も今金に困っているらしいんだ…でよ、昨今、鉄の道でフランスに女漁りに来やがる外国の富商や貴族が来るからそいつらから援助を引き出す狙いで春を売ってるんだって言うけどよ…ならなんでお供なしで一人で歩いてやがんだよって…」

「いやいや、愛人に出来そうな男を探しているって話らしいぜ。もしもお前さんの逸物が役に立つんなら、一つ、挑戦してみちゃあどうだい」

「そうそう、王女さまだけじゃなくて、お貴族様の娘どもも客を取ってるってはなしじゃねぇか…」

「やり手ババァや女どもに言わせりゃ、相応にぜにを積む必要があるらしいんだけどな…」

「どこの店だよ、調べてくれよ…俺はいちど、あのお高く止まったおんなの股ぐらに突っ込んでみてぇんだ…」

「うまく孕ませりゃ、跡継ぎ様のお父上だぜ…へっへへへ」

などと、巷の雀たちにさえずらせるためなのです。

では、なぜにこんな噂を立てさせるのか。

ひとつは、サン=ドニでの女遊びに、男どもを向かわせるため。

そして、もう一つの目的は、わたくしどもブルボン王家一家をその地位から引きずり下ろそうとした者どもへの復讐…というよりは、有効活用のためなのです。

(なるほどね…確かに、サン=ドニで客を取るのが嫌なら尼僧か女官になってフランス王国に貢献しろって流れにするのか。気に入ったよ、その発想)

(ネメシスさんへの食事提供にもちょうどいいわね…テレーズ殿下、サン=ドニ開発計画について殿下の腹案を盛り込んだ計画書作成や支援、関係部局に内諾を取っておきます。マリアちゃんもそれでいいわね?)

(あとねテレーズちゃん、あんたの遊び相手のあの子、活用してくれていいからね…)

で、マリアリーゼ陛下とタナカ内務局長のこのお話ですが。

実のところ、フランス革命とやらが起きかけた際に、少しでもママンやパパンと苦楽を共にし苦難を乗り越えようとしてくれた少数の貴族やその妻子以外は、こぞって革命派を支持するか、あるいは国外に逃れたのです。

つまり、わたくしテレーズの立場から言わせて頂ければ、そやつめらはことごとく、当時のフランス王国と国王を見限った、裏切り者たちという認識なのです。

そして、普通の人ならば一度たりとて自分を裏切った者ども、仮にわたくしでなくても許したくはないでしょう。

ましてや、国王とその家族を処刑しようとしていたロベスピエールやフーシェについては、これはもう、私としては何がなんでも許したくはないのです。

痴女皇国の不殺の掟なくば、わたくしは万難を廃してでも、暗殺者を仕向けるか…いえ、私が直接に相対するか…ある程度の距離にまで近づけば良いのです。

それなりの位階の痴女種となった今のわたくしならば、刃物いっぽん、ピストル一丁の助けもなく、彼らの命を奪おうと思えば奪えるのです。

ですが、マリアリーゼ陛下やタナカ内務局長、こうも申されます。

(人には死ぬよりも辛いことがありますよ…それに、立身出世の思いがあるんだったら、応えてあげるのも一策です…マリアちゃん)

(んだんだ。そんなにも自分たちの思う通りの国を作りたいなら、新天地を用意したげるからさ、そこ行ってあんたらの理想通りの国を作れるかどうかひとつ、試してみなよってことなんだよね…あの二人を北米に行かせた理由)

(テレーズ殿下、あのフーシェやロベスピエールが果たして、国政の舵取りが出来るのか。そしてある程度政治や経済体制が整ったフランスではなくて「全てがこれから」と言うべき北米大陸ならば、思うがままに国づくりが出来るでしょうから頑張れ。これが、マリアちゃん…マリアリーゼ上皇陛下の沙汰なのですよ…)

つまり、お二人によれば、機会シャンスを与えてやったということになります。

しかしながら、ロベスピエールはアメリカ合州国が英国主導であることに立腹し、金田共和国を築きたいとかわがままを申しておる始末。

これが、アメリカ視察中に、アレーゼ局長さまとアルトさまが、アメリカ合州国の差し当たっての都たる、市とやらに取って返した理由だと聞いては、わたくしは絶句するしかありませんでした…。

更にフーシェに至っては、北米大陸中西部から金田にかけての視察で意欲を無くし、これまた金田の地で下級役人でもいいから仕事をくれとか言って尾羽打ち枯らしたも同然の意気消沈のありさまなの、私自身が確かめました。

そう…二人には、いかに自身が身の程を知らぬ者であったか、痛烈に理解させておしまいになったようなのです。

ふふふ…しかし、これだけでは済まさないそうです。

まぁ、普通に家庭を持って慎ましい開拓者の生活にでも入ってくれれば良いのですが、何せあの地はもともと、嘘つかない族の生活の場。

妻を娶ろうにも、嘘つかない族しかおらぬような土地なのです…いえ、人が住めるようならばまだ御の字、あの広大な大陸、人が入り込む事を拒む場所も決して少なくはないのですよね…。

ま、革命とやらに同調した男どもの末路はともかくとしまして。

女たちにも、それなりの報いが用意されたのです。

まずは、ロントモン歌劇団改め、イスパニア王立過激団こと、スペイン王立歌劇団への入団や、聖母教会への入信、あるいは聖女騎士団への入団など、痴女皇国に貢献するための進路に子女を向かわせるかの打診が行われました。

そしてこれを拒めば、第二身分の剥奪があるとも。

(もともと第二身分は撤廃するというか、実質的に課税対象にするつもりだったからね…)

(痴女皇国の制圧地域だと基本的に女官>住民になりますからね…聖母教会ができても同じことなのです…)

ええ、私はもちろん、フラメンシアが正にそうですね。

奴は罰姦聖母教会の枢機卿位も持っておりますし、厳密に言えばイスパニア王女というよりは痴女皇国幹部としてスペイン国内での地位を保証されているようなものみたいですから。

(クララ姉様やカタリナ姉様が王女扱いされているのって、実はスペイン王国内の内部事情による慣例らしいのよね…要はその国の王制を尊重して「支部内の便宜的な取り扱い」になっているだけで、痴女皇国女官としての地位とは厳密には別だって…)

昨今はフラメンシアも私にはあまりきつく言わないように配慮してくれておりますが、要はわたくしたちブルボン王家の生き残りが王家の子女扱いされているのも「フランス支部の特殊事情を配慮した扱い」なのであって、本当なら、女官としての私の階級はあまり高くないのですよ…。

Marie Thérèse Charlotte de Francise テレーズ Thousand Suction (Limited Ten thousand) . 千人卒(限定万卒)Slut Visual. 痴女外観 Red Rosy knights. 赤薔薇騎士団 France branch, European Headquarters, Imperial of Temptress. 痴女皇国欧州地区本部フランス支部

(ただ、これはテレーズちゃんが本当ならまだ10代前半も前半だってことを逆に武器にしてもらうためでもあるからね…それに、あなたたちもその価値を理解して同情を引いてるだろ?)

ですねぇ…。

で、私の女官としての階級が低いことを逆手に取って、他の国や支部からの支援を盛んに取り付けておる策略、実のところはマリアリーゼ陛下やマサミさんと、他ならぬ我が国のタレーランが考えたものだそうです。

(特に王子お二人や、ソフィー殿下の件を考えまするだに、この方策が有効かと存じましてな…他のお国ならいざ知らず、テレーズ殿下を筆頭とした前王のお子様方には王の王たるやとなる、フランス王であるに相応しい育ちとなるお時間を取って頂くべきかと進言申したまで)

ええ、ほんまは私らを飾りというか生きた王冠のままにしときたい本音がどばどばと泉のごとく溢れておるタレーランめですけど、かと言ってこの方針に反論する有効な策が思いつかないのは私も同じ。

(メッテルニヒにはわたくしめから書簡を送っておきましたるに付き、いずれは都々逸国からの物見遊山、大いにこのパリに押し寄せることとなりましょう…)

(それはいいんですけどね、あの浪費家だっちゅう甥御さん、ベラ子陛下の仲介でイタリアの田舎に封じ込めてあげたのは誰の差配かわかっとりますやろな…おっさん…)

(ははっ、フラメンシア殿下のご配慮、かたじけない限り…)

(あと英国にも、観光戦略の工作を仕込むんやで…そのためにうちのなけなしの国費、あんたに相応に回してんねんからな…)

ええ、このフラメンシアとタレーランの会話で、何をやっとるかをお察し頂ければ。

タレーランめには、パリがさも男の楽園であるかのごとき売り込み、他国に対してやらせておるのです。

そして革命後の粛清やら何やらで、生計に困った貴族子女が春を売ってるとか、あらぬ噂まで撒き散らさせとるのです。

(ふふふふふ、戦争とは何も銃や剣のみで行うにあらず…金に困った我が国の貴族たちを救う名目で、金をちらつかせようとする者どもが必ずやパリを目指すはずなのです…)

そう、このセリフだけを聞いておれば悪役狸にして同僚の貴族どもを売ろうとしておるタレーランですが、実のところはマリアリーゼ陛下の構想となる「パリを売春の都にして、欧州の有力者たちの下半身を牛耳る」戦略を忠実に実行しておるのです…。

では、タレーランのうまみは、食事だけなのでしょうか。

いえ、この狸ジジイには、美食に支えられた旺盛な肉欲を満たせる愛人との仲を取り持ってやったのです、痴女皇国が。

ドイツ貴族の家に生まれた、ドロテア・フォン・ビロンというのが、今のタレーランの妻なのです。

それだけなら、私たちのママンも都々逸国の帝室生まれですし、何も問題はないでしょう。

しかし、年齢差が。

年の差が。

(タレーランはぜってーにギョエテを批判しちゃダメよ…)
https://x.com/725578cc/status/1856452207459422567

(あれも、若いにもほどがある女にのぼせておるようですな…スタール夫人にはわしでなくギョエテに目を向かせるように頼んではおりますが…)

ええ、ゲーテとかいう詩人のじじいも、今、とんでもない年齢差の少女に入れあげておるようです。

なんですかね。

男っちゅうのは、トシがいくと今度は、てめぇの娘どころか下手すりゃ孫だろそれっていうほどの若い女に目が向くんですかね。

そして、もぉっと問題がぁっ。

いかに、タレーランが養子にして義理の甥として扱っておる男の嫁に紹介したはずなのに、結局は自分の嫁にしとるんですよ…そのドロテアというねえちゃん!

(あんたねぇ…あんたをドロテアとつりあう年かさにするとさ、罪人か偽女種あつかいになっちゃうからね…)

(いや、おかげさまでドロテアとの夜のお楽しみにも逸物が応えられぬ老いぼれではなくして頂いたのですが、できれば若返りも)

(ならんっ。あんたのそのタヌキ頭から出てくる悪知恵のためには下手な若返りは逆効果になるからあかんって、マリアリーゼ陛下にも釘をぶっすぶすバンバンと打ち込まれて刺されとるでしょうがぁっ)

ええ、私が痴女種化してて、タレーランめの思考や記憶を覗けるのを承知の上で、奴めの醜悪な夜の生活を示唆する話をしとるのです、この嫌味たぬき。

(ほんまはわたくしの年齢のおなごには毒も毒。世が世なれば不敬どころか、せくはら事案やでっ)

(いやいや殿下、そもそも殿下がお生まれになった経緯も存じておりまする…なにせ前王陛下と王妃様はともに、ご成婚当時はあまりにお若くて子作りの作法もご存じなかったわけですからな。さすれば、この老害の知識もお授けさせて頂いても問題はありますまい)

ぐぬぬ。

ええ、うちのパパンとママン、結婚当時はおめこの仕方を知らんかったのです…!

んで家臣有志がまぐわいのやりかたを指導したって一件、このは知ってて言うとるんですよっ。

で、タレーランの狸めは、本当なら若返りして名実共にドロテアをひぃひぃ言わせたいのです。

ですが、私らの主張は、マリアリーゼ陛下のお答えどおり。

偽女種はもちろん、うかつな若返りは罪人男子と同じことになってまうから、あんたのちんぽを元気にするのと老化阻止にとどめるで。

これが、差し当たって、奴に申し渡しとるこっちの条件なのです。

(それにさぁ…ドロテア嬢を十人卒女官にしてる理由も察してよ…彼女があんたのちんぽに力を与えたり、体に悪い美食に耽ってもさっさとくたばらないように延命してる役目なんだからさ…)
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