アルトリーネさんのいけない修行の日々

すずめのおやど

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アメリカ・カナダ番外編「Le cirque de marionnettes…あやつりサーカス」・3

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でまぁ、私たち北米大陸視察班による遠隔監視という名の覗き行為に気づく事もなく、荒淫とてもやらしいおめこふける聖母教会のソフィー司教と、司教の実兄たるフェルセン元・伯爵の実の兄妹。

この兄妹は、フランス革命に乗じた出兵機会を喪失させたかどで、出身国である自由恋愛王国の王室や政府から不手際を糾弾され、あわや逮捕となる直前だったそうなのです。

そして、突然に崩御なされてしまったルイ16世陛下の訃報に衝撃を受けたあまりに卒倒して崩御したという筋書きで、別人として祖国を離れたアントワネット妃。

在仏中はルイ16世陛下黙認でフェルセン伯爵と不義の密愛を重ねていた王妃様ですが、この3人は祖国を離れて北米大陸は金田北部にある、このオルガ湖畔村聖母教会に赴任。

そしてソフィー司祭を頂点とした、オルガ湖畔林業村荘園の経営に当たっておられます。

で、こうなった経緯、スペイン王立芸術協会と名を改めたロントモン歌劇団制作の映画第二弾「あやつりサーカス」にされていたりしますが、映画ではそのあたりの事実や事情、出演者の氏名役職を含めてかなりボカされたり脚色の手が入っております。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/360

しかし、肉欲と愛欲に爛れたこの湖畔の寒村で起きている事実は、本当に真実だった。

われわれ視察班は、まさにその現実を目の当たりにしている真っ最中なのです…。

まず、映画では助祭にもかかわらず、逸物すなわちポーリャちんぽを生やしておったマリー特命助祭ですが、実際には司祭となっておられますね。

そして、フェルセン助祭の実の妹であり、この教会の長であるソフィー司祭ですが、これまた実際には司祭より1つ上の位階となる、司教の立場です。

そうした細かい違いはあれど、大筋では映画と同様に実質的な教会の支配者であるがごとく振る舞っておるのです、マリーという名の司祭。

そして、映画同様に覗き者を見咎めたマリー司祭ですが。

実のところは、聖母教会という組織や施設では、基本的に覗きそれ自体は罪に問われないのです。

そもそも痴女種になった時点である程度の物体透視を含む超感覚能力がついてきますが、それ以前に聖母教会の建物は「よほど覗かれたくない場所」以外は覗き穴の類がついていたり、あるいはこの聖母教会のように、扉を施錠せずにやることをやっておる場合がほとんど。

つまり、覗きを推奨する局面や場所すら存在するのです…。

で、今回の覗きをしていたのは、助祭のようです。

では、映画のようにこの覗き女を犯してしまうのでしょうか。

いえ…なんと、マリー司祭は覗いていた助祭を引っ立てると、聖堂内に連行します。

そして、この聖母教会は小さめの教会。

内陣の左右に、箱状の告解室…それも組み立て式が各1箇所ずつ存在するのみ。

そのうち祭壇に向かって右側の告解室に覗き助祭を押し込むと、どこからか呼びつけたのか、聖堂内に入ってきた助修士のうち1人に対して、この助祭がなぜ覗いておったのか、罪深くは思わないのかを聞き出すよう指示します。

実は、このオルガ湖畔村聖母教会では、覗きの隙を与えるように日課が組まれておることを知ることになるのです、我々、遠隔覗き組…。

で、人間の生態として、空腹時や疲労時に性欲が高まるというのをご存知でしょうか。

その生態を利用しているのが、聖院学院の茸島での夜間から早朝にかけての淫棒茸いんぽたけ採集実習だったり、あるいは罪人工場での操業クロノグラーマスケジュールだったりするのです。

(聖母教会でのプログラマも似てるんですけど、どうしても夕業や晩導餐が存在しますから…)

んで。

このオルガ湖畔村聖母教会が運営している林業荘園、ペニペのように、木こり役が毎日のように森に出勤する形態ではなく、どちらかといえば絶頂都市聖母教会のような「遠征型」なのです。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/274/

ただし、現時点では大量の木材を一気に切り出すことはせず、調査伐採という形をとっておるそうです。

つまり、伐採団は一種の、探検隊。

来年以降の本格稼働に備えて、このオルガ湖畔村から更に北側の金田北部の土地を、森林限界線まで探りつつ、道をつけたりここより更に奥の伐採拠点を必要とするか等々を探る、いわば前線基地でもあるようです。

そして、このオルガ湖畔村の聖母教会、ケベック聖母教会の広域管区に含まれておるそうです。

(で…問題なのは、このケベック聖母教会なのですよ…教皇庁直轄じゃなくて、ノートルダム…シャルロットおばさまの管轄から人を出してるんです…)

なぁっ。

このベラ子陛下の発言心話が流れた瞬間に、固まった者、数名。

(そそそそそそそれは、金田東部についてはフランスの権益となるということなのでしょうか…)

(あのさぁテレーズ、ダルブレ大司教って、フランスの貴族扱いだけどさ、アウグスティーナ団長と同郷よ…つまりバスキュばすくじんよ?)

(フラメンシア殿下、それ言い出すとボルジア家や、はたまたグアダルーペ家の先祖の話になりますよ…私も人種的にはバスコ・メめきしこけいキシカーノばすくじんなのですし…)

(んぐぐぐぐぐぐ)

(まぁともかく、オスカー大司教と、マリアンヌ枢機卿の話も聞いてみましょうよ…)

(んほほほほほほっ。フラメンシア殿下にはめっちゃくそ悪いたぁ思うんですけどね、最低でも金田はフランスのもんにさせて欲しいんですわよっ)

でぇえええええっ。

(あのー、マリアンヌ殿下、確かパリに常駐では…)

(分体を認められましたの。で、なんでかっちゅーのは、ベラ子陛下がようご存知のはずなのですけどね、あたくしから申しておきましょうか)

(まぁ、手早く言いますと、金田の林業開発はアレーゼおばさまのご依頼を受けたクレーゼおばさま率いる通商局主導なのです。アメリカや金田の後見支部を決めるのはどうせ揉めるし、それに金田の森林地帯の開発に当たっては林業魔族を運用する苗床の管理が必須。つまり、とりあえずは聖母教会を置く必要があったのです)

(でででででですけど何もフランスの関係者を行かさずともぉっ)

(フラメンシア殿下、こう申し上げてはなんですけど、北方帝国攻略戦当時の冬の東欧やしべりあの大地をご存知でして?)

と、泰然と申されるプロフェソラ・マリーまりーせんせい

つまり、フラメンシア殿下に豪雪地帯や北極に近い極寒の地の経験があるのか。

これを聞いておられるのは、明白。

と同時に、最初は白薔薇三銃士の誰かを金田に行かせようかと画策した件がみごと頓挫したことも、プロフェソーラとベラ子陛下、そしてアルト閣下から語られたのです。

(問題は雪解けの後なのです、後)

(はるさきのうくらいなでみんな、どろだらけになったのです…)

(アンヌマリーとジニアに聞かいでもわかる話でしてよ…あたくしも全期間じゃありませんが、向こうに顔を出しておりましたしね…)

つまり、冬だけでなく、その後に春になると降り積もった雪、当然ですが溶けます。

そして、永久凍土帯以外は…いえ、凍土帯であっても、表層度が存在する場所ではやはり、雪解けによって泥濘地と化すそうです。

つまり、木材の搬出からして、道の整備や春からの保守が熱帯や亜熱帯とは全く異なる作業となるそうです。

中南米のようにロードトレインを使用して行えるのか。

その辺の検証も必要となるでしょう。

(ケベックシティでさえ年平均降雪量は3.5m。控えめに言ってもモスクワ以上に積もりますよ…日本なら札幌が近いですかね、パイセン)

(3.5mって言ったら二階建ての家の天井くらいは行きかねないわね…)

で、連邦世界のケベックシティや、森林地帯の冬の状況を拝見しましたが。

まぁ、マンハッタンの冬を知っている私にはさもありなん、という光景でしたけど、フラメンシア殿下は衝撃を受けたようです。
https://x.com/725578cc/status/1848300792144695557

これ、全部春先には溶けますからね…。

しかも、半溶けの雪によって車は泥だらけ。

更に、冬季以外に装着していると処罰されるなどの制限はありますが、スパイクタイヤが装着可能なのが連邦世界のカナダの道路事情。

ええ、逆に申し上げますと、スパイクタイヤを必要とするほどに凍るのです。

(厄介なのは永久じゃない凍土帯なのです。つまり、春以降に土の基礎が溶けるんですよ…シベリア鉄道を作った時でも、地面に何百本もの長い杭を打ち込んで軌道を安定させましたから…)

室見局長までもが、そう簡単には行かないと申されるのです。

すなわち、大地が泥にまみれるために、安定しない。

そして道路でも高架道や橋など、地面に直接に施工しない場合は同じように、基礎をしっかりと作る措置を必要とするのでしょう。

これは、テスココ湖を埋め立て干拓して市街地を造成したがために、長年にわたって軟弱地盤に悩まされてきたメキシコシティを知っている私でも理解は可能です。

高層ビルを建てられない地域や、基礎固めが必要な地域、多いのですよ…。

つまり、積雪地帯の経験がないと現地事情を踏まえた統治は困難ですよ、ということをプロフェソーラは申されたい訳なのです。

(しかし、フランス東部にさほど雪は降り積もらぬはず…)

(確かにストラスブールはそうですわね。ですが、このわたくしに南独支部の立ち上げ当時のバーデン=バーデンの共同統治経験がありましたこと、思い出して頂けますと助かりますわっ)

(まーまーマリーちゃんも手加減を…)

(そうですよ、まりーはあまり若いこをいじめないようにするのです…でないとあたくしがあいさつにいきますよ…)

(はいはい、わかりましたわかりましたっ。ベラ子陛下はまだしもアルト閣下に下手に来られてケベックを廃墟にされるのも、オスカー大司教には悪いおはなしですからねっ)

(で…現状のラック・オルガ湖畔村聖母教会ですが、ここに教会を置いたのは申し上げるまでもなく、オルガ湖の湖水を利用して生活用水その他を調達できることに尽きます。あ、申し遅れましたが私オスカー、ロレーヌ公国の出身でございます)

このオスカー大司教なる人物、ロレーヌの出身の宮廷画家の家に育ったものの、身長が当時の女性としては異様に高かったせいで嫁の貰い手に縁がなく、なんとロレーヌ公国軍への登用を余儀なくされた人物だそうです。

つまり、痴女皇国世界のフランス方面では珍しいと言えば珍しい、女性軍人だったお方。

で、プロフェソーラ・マリーに目をつけられ、聖母教会の人間となれば男以上の体力知力を得られるぞと吹き込まれてストラスブール大聖堂を主な修練の場所にしていた方であると。

(昨今は聖母教会関係者であれば、本宮幹部を長期で経験せずに出世してしまうケースも少なくありませんからね…オスカーさんは特に、軍人勤務もあってあまり女らしく育っていないことを気になさっておられるようですし…)

ふむふむ。つまり、ちょっと特殊な部類であるものの、他の才能を見込まれておられる方なのでしょう。

通常は聖母教会の司祭以上の場合、おめこ嫌いは特に登用困難という判定が出やすいですから。

ともかく、オスカー大司教によれば、ラック・オルガ聖母教会荘園に在籍する林業部隊の人種構成ですがね。

現地採用の嘘つかない族だけでなく、森林限界を越えて北極圏にまで生息範囲を広げる、いわゆる生食族…燃料が手に入らなかったり、火を使うと足元の氷が溶けてしまう場所で暮らすために生肉を食べる食習慣文化が存在する部類の部族を多数、雇用しているそうです。

この生食族、嘘つかない族とは人種的近似になるそうでして…ええ、連邦世界だとエスキモーとかイヌイットと呼ばれている、北極圏で暮らすことに特化したような民族の方々。

(それは良いのですが、マリー司祭は少しばかり問題児ではあるのですよ…今も覗きをしていたかどで偽女種にとっちめさせている助祭も生食族の者。つまり聖母教会に勤めて見聞する何もかもが目新しい部類なのです…そんな女に、聖堂の中で声だの音だのがして、興味を引かないわけがないんですよ、本来ならば…)
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