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とんでもないイスタンブール -昔の名前で出ていません-・4
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オラ・ア・トドス。
連邦世界に復帰し、メキシコ合衆国の臨時大統領なる職務に就いておるテンプレス・セキュリティ中米地区担当部長のフランシスカ・アデライデ・フアナ・グアダルーペと申します。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/270/
Francisca Adelaida Juana Guadalupe. フランシスカ Thousand Suction(Limited million) 千人卒(限定百万)Slut Visual 痴女外観 Black Rosy knights, Imperial of Temptress. 黒薔薇騎士団 Central America Regional Manager, Temtpress Security Co., Ltd. テンプレス・セキュリティ中米担当部長 Presidente Provisional de los Estados Unidos Mexicanos. メキシコ合衆国臨時大統領
で。
今、私はどういうわけか、偽女種の6919号を伴って痴女皇国世界のイスタンブール…いえ、コンスタンチノープルにお邪魔しております。
「マッハバン、マダムフランシスカ…いえ、フランシスカ大統領閣下とお呼びすべきでしょうか」
私の眼前で、嫣然と微笑まれる、銀髪が特徴的な浅黒い女性。
痴女皇国中東行政局長・シェヘラザード様なのは、痴女宮本宮で開催される定例幹部会の際などで直接にお会いした事もありますので、よく存じております。
ただ、その隣にいらっしゃる特徴的な帽子を被った少年…なんと鯖挟国の皇帝であるセリム1世陛下と聞かされました。
いえ、皇帝として擁立した云々、月間痴女宮に載ってましたのは記憶にありますが。
でまぁ、なんで私と6919号がコンスタンチノープルにお邪魔しておるのか。
ええ、痴女皇国の連邦世界、特に日本での活動に邪魔になる人物や、今後の偽女種作戦の障害になりそうな人物の処理、我がメヒコでやってくれないかとマリアリーゼ陛下に依頼された一件がありましてね。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/297/
正直ですね。
こんな案件、大震災や大津波に見舞われたメソ・アメリカ地区に持ち込まれてもどないせぇやという顔だったのです、私。
ただ、話は他の行政局長や支局長・支部長にも意識共有で伝わりました。
そして、中東行政局に大規模な増員を要しているというシェヘラザード様が、こうした連邦世界からの拉致対象者の引き受けに手を挙げて下さったのです。
そしてシェヘラザード様は聖院と呼ばれていた時代からの生え抜きのグラン・ベテラノ…大ベテランです。
その人脈と能力で、本来ならばメキシコシティに設けられた苗床で処理するはずだった、女装趣味者や猥褻コスプレの動画や画像販売で生計を立てておる者の引き受け処理を中東行政局が受け持つという修正案、本宮へ通しておしまいに。
で、その引き渡し第一陣に随行して、お礼方々、このコンスタンチノープルにお伺いしたのですよ…。
ああ、連邦世界のイスタンブールとはいささかに様相が違いますが、アジアと欧州の文化が入り混じる世界的な観光地だというのは存じておりますよ。
6919号と2人して、素晴らしい内外装と規模の皇帝宮殿を案内されたのですがね。
(正直…以前の大統領官邸たるロス・ピノスはもちろん、国立宮殿と比較した場合でやっと大きさが釣り合う程度ですわね…)
確かに、我がメヒコの国立宮殿、正面から見れば差し渡し200メートル。
裏側に回ってもほぼ、正方形です。
しかしですね、この建物はメヒコの行政機関の官舎と共通なのです。
で、私としては少し離れた場所にある旧・大統領官邸たるロス・ピノス博物館を大統領宮殿として再整備したいと思っておるのですが、それをすると苗床といささか離れてしまうのですよね…今の6919号の身体の事情を考えると、あまりやりたくはないのです、ええ。
つまり、同じくらいの規模の宮殿でも、我が国立宮殿とこの皇帝宮殿、中の作りがあまりに違うのです。
そしてこちらのイェニ・サライの中、本当に鯖挟皇帝のための施設だというのが痛感できました。
更に、歴代鯖挟皇帝はこのコンスタンチノープルのあちこちに避暑用離宮を作らせていたと聞いては、唖然とするしかありません…ええ、私、一応は大統領制かつ議会制民主主義国家の出ですからね…。
更には、広場を挟んで反対側にそびえ立つアヤ・ソフィア大聖堂には絶句するばかり。
この大聖堂、皇帝宮殿と同じだけの敷地面積を確保して建てられており、現在は東方聖母教会の拠点として機能しているそうです。
そこも見学させて頂きましたが、ええ。
ご立派ですねという感想しか、出ません。
(ティノチティトランやティオティワカンなら私の好き放題にぃっ)
(あきまへんでフランシスカ様)
(そーですよ、パパロトルや私をほったらかしにして連邦世界に戻った癖にぃっ)
ええ、女裂振珍帝国に残したパパロトルやピカンテが怒っています。
そーなんですよねぇ…専制君主制度なら、議会とか通さんでもやりたい放題…。
(それやって滅びたり国を傾けた事例あまた。他ならぬ連邦世界のスペインもそうでしょうがっ)
こほん。
まぁともかく、私は宮殿自慢のためにコンスタンチノープルに来た訳ではないのです。
で、さっき、専制君主制度について突っ込みを入れて来られたのは、他ならぬ痴女皇国のマリアヴェッラ皇帝陛下その人です。
しかし、ベラ子陛下は故あって今回、このイェニ・サライ…皇帝宮殿に降り立てないのです。
理由ははっきりしております。
このイェニ・サライの横の広場上空に滞空しているテンプレス級航空宇宙母艦・テンプレス1世。
これの船橋から離れられないからです。
で、今から私と6919号が向かう場所、鯖挟皇帝と摂政役…すなわち、セリム一世陛下とシェヘラザード様の巡幸に併せて案内いただくというのが建前。
実際にはテンプレス1世に積んで来た、苗床送りにする連中男女合わせて100名程度の引き渡しのために随行するのです。
(うう、イェニチェリのみなさんとか小姓団の皆さんの歓待をですね)
(ベラ子陛下。それは滅姦到着後に。それと、イェニチェリの本拠と月星騎士団の本拠は現在、コンスタンチノープルのアジア側…セミリエ兵舎に移しつつありますのは稟議と業報でも上げておりましたかと)
むむ…流石に、ベラ子陛下の発言を柳に風と受け流すのは貫禄ですね。
そう、ベラ子陛下はこのコンスタンチノープルで少年に囲まれるのを期待していた節があるのです。
が、今回は我々も、最低限度の見学に留めざるを得なかったのですから…。
そんな訳で、セリム陛下とシェヘラザード様…そして6919号と私は、高度10メートルほどの高さに浮いているテンプレス1世から伸ばされたエル・アセンソール…エレベーターシャフトの中の人荷用エレベーターで艦内に上がらせて頂きます。
本当ならば鯖挟国皇帝の公式訪問であり、それなりの隊列を組んで向かうのが筋らしいのですが、今回はベラ子陛下が「見せて」と言ったためにお客として迎える立場となるので、鯖挟側は接待役になる模様。
つまり、格上のベラ子陛下を案内して滅姦なる地にお連れするついでに、表敬訪問中が建前で痴女皇国内の地位は同格となるらしい、私が侍従6919号を伴って来ているのでついでに観光がてらの視察どうですか、と持ちかけられたのが建前らしいのです。
実際には…テンプレス1世の貨物船室に凍結睡眠状態で寝かされている「貨物」を送り込むためなのは申し上げるまでもないのですけどね…。
で、テンプレス1世のブリッジにお邪魔した私と6919号、それからシェヘラザード様とセリム陛下ですが、ベラ子陛下の操船で動くテンプレスの船橋から周囲を見ながらの移動となります。
「で、なんでまた滅姦をメッカの位置に作らなかったんですか…」
主操舵席とやらにお付きのベラ子陛下が不機嫌そうなのは、なんとなくわかります。
「リヤドなる地が砂漠半島の中心であり、どこからも均等になると思われたからです。これも国土局への建設依頼時他、散々に申し上げておりますが…」
そう、今から向かう東方聖母教会預言派なる宗派の聖地とされる滅姦、連邦世界のメッカと同じ場所には造られていないのです。
「まず、コンスタンチノープルへの苗床設置に伴い、魔毒対策として宮廷、そして東方聖母教会における少年の雇用数を増やすべきという問題が発生しました。これは陛下もご存知ですわね…」
ええ、有無を言わさぬ迫力が、私の横から伝わってきます。
そしてこの迫力、痴女宮での定例幹部会でも私、間接あるいは直接に受けていた立場だったのです、私。
なにせ、こちらが急速に出世したせいで、あれよあれよと支部長や支局長様と肩を並べたり、会議の席では近い場所に座らされる立場だったのです。
そして支部長まではともかく、支局長以上は流石に立場的にもベラ子陛下や本宮局長級の幹部に対し「言うことはきっちり言う部類」の方が揃っています。
つまり、新米支部長とか支局長とか行政局長には、ものすごいプレシオンだったんですよっ。
(今は毎回参加でなくなったんですわよね…幹部会議)
(連邦世界に職場が移ってしまいましたからね…こんな事がなければ、次にお会いしていたのは来年の新年互礼会でしたか…)
「で、眼下に見えておりますハイダルパシャ駅付近に大掛かりな兵舎が出来ておりますが、これがセリミエ兵舎…中東行政局各地から徴兵された少年少女兵士を訓練する場所です…」
ええ、私から見ても巨大な学校めいた施設、港や駅から少し離れた場所にどかん、と造られております。
しかも、三階建てくらいですかね…淫化の挿入器具市の神官や侍従少年寮にも似た構造の建物が、学校校舎めいた建物とは別に、十棟以上は立ち並んでいるのです。
つまり、中東行政局では徴兵制を敷いたようです。
「もっとも、このセリミエ兵学校は聖院学院で申すところの初等科学校。東方聖母教会や、行政局勤務者を目指す少年少女の登竜門なのです。一般的な俗民…農夫や職工に商人といった者たちは必ずしもここに集められて学業を修め騎士や尼僧、あるいは女官を目指せと言っておるわけではありませんよ…」
まぁ、地方学校と国立学校の違いでしょう。
そして、この兵学校なる学舎、尼僧や騎士を要請する…つまり、鯖挟国、ひいては中東行政局の統治のための役人を養成する官僚学校と考えた方が良さそうです。
なぜならば東方や罰姦を問わず聖母教会は明日輝・魔屋の神殿同様に、地域の住民子女に対する学校を兼ねているのは私とて、淫化と明日輝の勤務を経験しておりますから存じておる内容。
単純に、荘園で働いたり、あるいは町に住む者たちの子女を教えるだけならば規模に応じた聖母教会や、場合によってはキュラソーのオトロバンダのような修道院を建設して対応すれば済む話でしょう。
しかし、シェヘラザード様のお話では、どうやら各地の聖母教会所轄地の人口に対して割り当てられる徴用人数以外にも、子供たちをここに入学させたいという志願を入れてくる親が結構な数になっているようなのです。
つまり、子供たちにより高度な教育を受けさせたり、行政側に送り込みたい考えを持つ者が出現しておるようですね。
「今回の滅姦整備は、こうした領民の動きに対応した結果でもあります。滅姦は単なる八端十字騎士団の聖地としてのみならず、東方聖母教会預言派の神学校として開闢しております。すなわち、東方聖母教会の教育施設をあのセリミエだけに集中させないようにした、いわば分校なのです」
高度を徐々に上げ、トルコ…鯖挟国の西部を飛んで行くテンプレス1世ですが、その広大かつ岩石と砂の国土を見た私は「これはメヒコ同様に広大さと荒地が開発の障害になるな」などと考えております。
いえ、実際に緯度的にも地理条件的にも、メヒコとトルコは比較の対象にもなるのでは…とも考えております。
そんな思いを抱きながら、地中海に出てキプロス上空を飛び抜け、レバノンやイスラエルに該当する辺りで再度、陸地の上を飛ぶことになるテンプレス1世。
チグリス・ユーフラテス川の流域こそ緑が見えますが、国土全体ではやはり緑少ない土地が目立ちますね。
「しかし、滅姦北方にお作り頂いた人工の湖が、遠からずこの地…特に砂漠半島の見た目を一変させる事でしょう。砂漠半島一帯の大規模農地化と、滅姦の八端十字騎士団員養成学校の設立は表裏一体の政策。農夫として住まう俗民を増やすことで、統治者である聖母教会の職員を増やそうというのが私の狙いなのです」
ええ、前方の砂漠の彼方に、その湖とやらが見えて参りました。
氷山になるほどの巨大な氷塊が島の如くに浮かんでいるのも見える状態です。
で、この湖なのですが、淫化でも痴里や堀尻悪で造成され、はたまたメヒコでもチワワ砂漠にこれが造られたので存じておりますけど、湖底や湖岸を特殊硬化地層で固められた人工巨大貯水池です。
そして、砂漠地帯特有の昼夜の寒暖差を利用して、時間をかけて投入した氷山が溶けるように設定されたのも。
この人工貯水池が、周囲の農地の灌漑用水として使われる水の調達のためなのは、湖岸どころか周囲に緑の大地が広がりつつあるのでも明白です。
(防砂林として、必ず湖岸には絶林檎を植えていますからね…ある程度の水量になった場合、河川を建設することも視野に入れていますよ…)
で、この水の水源ですが。
太陽系外惑星…主に木星や土星、そして場合によっては海王星や天王星系からも収集された氷を地球圏に投射装置で送り込み、不純物を除去した純水氷塊として置くか、はたまた液体状態に戻して水源としておるそうです。
で、氷山がいくつも、ぷかぷかと浮いておると。
個人的には、大きな湖をいくつも作っても、雨を他所で降らせたら海面が上昇しないか怖いのですが。
(淫化では雨を降らせずに灌漑を行うことにされていますよ。鯖挟国や砂漠半島でもそうだと思うのですが、日干しレンガでおうちを作る習慣がありますよね。あれ、雨が多い地域では使えませんからね…)
はい。
あまりに降雨が多いと、溶けるのです…日干しレンガ。
ですが、その巨大な湖のほとりに少し離されて建っている円形の神殿らしき建物。
その中心には、画像では見た事があるメッカのカーバ神殿に存在するものの類似物が存在するのが目に入ります。
そして、円形神殿の周囲にはシェヘラザード様が申されたような学校らしき建物群や、巡礼者の宿坊らしい旅館街。
更には、市場やら行政官舎らしい宮殿やら、そして町民たちが住まうと思しい小ぢんまりとした住宅が整然と立ち並ぶ住宅街などが伺えます。
「ここが…復活なった私の実の妹たるダニアリーネのために建立した聖殿都市たる滅姦…その中心となる立方石神殿です…我が妹シャーフィカは聖院女官騎士ダニアリーネとして復活したのみならず、聖院中東支部開闢の祖たるラービア様のお告げを受けて聖戦士ダニヤザードなる新たな出家名を授かり、東方聖母教会の墓所拠点でもあり、また預言派の聖地とすべきこの滅姦のあるじに選ばれたのです…」
連邦世界に復帰し、メキシコ合衆国の臨時大統領なる職務に就いておるテンプレス・セキュリティ中米地区担当部長のフランシスカ・アデライデ・フアナ・グアダルーペと申します。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/270/
Francisca Adelaida Juana Guadalupe. フランシスカ Thousand Suction(Limited million) 千人卒(限定百万)Slut Visual 痴女外観 Black Rosy knights, Imperial of Temptress. 黒薔薇騎士団 Central America Regional Manager, Temtpress Security Co., Ltd. テンプレス・セキュリティ中米担当部長 Presidente Provisional de los Estados Unidos Mexicanos. メキシコ合衆国臨時大統領
で。
今、私はどういうわけか、偽女種の6919号を伴って痴女皇国世界のイスタンブール…いえ、コンスタンチノープルにお邪魔しております。
「マッハバン、マダムフランシスカ…いえ、フランシスカ大統領閣下とお呼びすべきでしょうか」
私の眼前で、嫣然と微笑まれる、銀髪が特徴的な浅黒い女性。
痴女皇国中東行政局長・シェヘラザード様なのは、痴女宮本宮で開催される定例幹部会の際などで直接にお会いした事もありますので、よく存じております。
ただ、その隣にいらっしゃる特徴的な帽子を被った少年…なんと鯖挟国の皇帝であるセリム1世陛下と聞かされました。
いえ、皇帝として擁立した云々、月間痴女宮に載ってましたのは記憶にありますが。
でまぁ、なんで私と6919号がコンスタンチノープルにお邪魔しておるのか。
ええ、痴女皇国の連邦世界、特に日本での活動に邪魔になる人物や、今後の偽女種作戦の障害になりそうな人物の処理、我がメヒコでやってくれないかとマリアリーゼ陛下に依頼された一件がありましてね。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/297/
正直ですね。
こんな案件、大震災や大津波に見舞われたメソ・アメリカ地区に持ち込まれてもどないせぇやという顔だったのです、私。
ただ、話は他の行政局長や支局長・支部長にも意識共有で伝わりました。
そして、中東行政局に大規模な増員を要しているというシェヘラザード様が、こうした連邦世界からの拉致対象者の引き受けに手を挙げて下さったのです。
そしてシェヘラザード様は聖院と呼ばれていた時代からの生え抜きのグラン・ベテラノ…大ベテランです。
その人脈と能力で、本来ならばメキシコシティに設けられた苗床で処理するはずだった、女装趣味者や猥褻コスプレの動画や画像販売で生計を立てておる者の引き受け処理を中東行政局が受け持つという修正案、本宮へ通しておしまいに。
で、その引き渡し第一陣に随行して、お礼方々、このコンスタンチノープルにお伺いしたのですよ…。
ああ、連邦世界のイスタンブールとはいささかに様相が違いますが、アジアと欧州の文化が入り混じる世界的な観光地だというのは存じておりますよ。
6919号と2人して、素晴らしい内外装と規模の皇帝宮殿を案内されたのですがね。
(正直…以前の大統領官邸たるロス・ピノスはもちろん、国立宮殿と比較した場合でやっと大きさが釣り合う程度ですわね…)
確かに、我がメヒコの国立宮殿、正面から見れば差し渡し200メートル。
裏側に回ってもほぼ、正方形です。
しかしですね、この建物はメヒコの行政機関の官舎と共通なのです。
で、私としては少し離れた場所にある旧・大統領官邸たるロス・ピノス博物館を大統領宮殿として再整備したいと思っておるのですが、それをすると苗床といささか離れてしまうのですよね…今の6919号の身体の事情を考えると、あまりやりたくはないのです、ええ。
つまり、同じくらいの規模の宮殿でも、我が国立宮殿とこの皇帝宮殿、中の作りがあまりに違うのです。
そしてこちらのイェニ・サライの中、本当に鯖挟皇帝のための施設だというのが痛感できました。
更に、歴代鯖挟皇帝はこのコンスタンチノープルのあちこちに避暑用離宮を作らせていたと聞いては、唖然とするしかありません…ええ、私、一応は大統領制かつ議会制民主主義国家の出ですからね…。
更には、広場を挟んで反対側にそびえ立つアヤ・ソフィア大聖堂には絶句するばかり。
この大聖堂、皇帝宮殿と同じだけの敷地面積を確保して建てられており、現在は東方聖母教会の拠点として機能しているそうです。
そこも見学させて頂きましたが、ええ。
ご立派ですねという感想しか、出ません。
(ティノチティトランやティオティワカンなら私の好き放題にぃっ)
(あきまへんでフランシスカ様)
(そーですよ、パパロトルや私をほったらかしにして連邦世界に戻った癖にぃっ)
ええ、女裂振珍帝国に残したパパロトルやピカンテが怒っています。
そーなんですよねぇ…専制君主制度なら、議会とか通さんでもやりたい放題…。
(それやって滅びたり国を傾けた事例あまた。他ならぬ連邦世界のスペインもそうでしょうがっ)
こほん。
まぁともかく、私は宮殿自慢のためにコンスタンチノープルに来た訳ではないのです。
で、さっき、専制君主制度について突っ込みを入れて来られたのは、他ならぬ痴女皇国のマリアヴェッラ皇帝陛下その人です。
しかし、ベラ子陛下は故あって今回、このイェニ・サライ…皇帝宮殿に降り立てないのです。
理由ははっきりしております。
このイェニ・サライの横の広場上空に滞空しているテンプレス級航空宇宙母艦・テンプレス1世。
これの船橋から離れられないからです。
で、今から私と6919号が向かう場所、鯖挟皇帝と摂政役…すなわち、セリム一世陛下とシェヘラザード様の巡幸に併せて案内いただくというのが建前。
実際にはテンプレス1世に積んで来た、苗床送りにする連中男女合わせて100名程度の引き渡しのために随行するのです。
(うう、イェニチェリのみなさんとか小姓団の皆さんの歓待をですね)
(ベラ子陛下。それは滅姦到着後に。それと、イェニチェリの本拠と月星騎士団の本拠は現在、コンスタンチノープルのアジア側…セミリエ兵舎に移しつつありますのは稟議と業報でも上げておりましたかと)
むむ…流石に、ベラ子陛下の発言を柳に風と受け流すのは貫禄ですね。
そう、ベラ子陛下はこのコンスタンチノープルで少年に囲まれるのを期待していた節があるのです。
が、今回は我々も、最低限度の見学に留めざるを得なかったのですから…。
そんな訳で、セリム陛下とシェヘラザード様…そして6919号と私は、高度10メートルほどの高さに浮いているテンプレス1世から伸ばされたエル・アセンソール…エレベーターシャフトの中の人荷用エレベーターで艦内に上がらせて頂きます。
本当ならば鯖挟国皇帝の公式訪問であり、それなりの隊列を組んで向かうのが筋らしいのですが、今回はベラ子陛下が「見せて」と言ったためにお客として迎える立場となるので、鯖挟側は接待役になる模様。
つまり、格上のベラ子陛下を案内して滅姦なる地にお連れするついでに、表敬訪問中が建前で痴女皇国内の地位は同格となるらしい、私が侍従6919号を伴って来ているのでついでに観光がてらの視察どうですか、と持ちかけられたのが建前らしいのです。
実際には…テンプレス1世の貨物船室に凍結睡眠状態で寝かされている「貨物」を送り込むためなのは申し上げるまでもないのですけどね…。
で、テンプレス1世のブリッジにお邪魔した私と6919号、それからシェヘラザード様とセリム陛下ですが、ベラ子陛下の操船で動くテンプレスの船橋から周囲を見ながらの移動となります。
「で、なんでまた滅姦をメッカの位置に作らなかったんですか…」
主操舵席とやらにお付きのベラ子陛下が不機嫌そうなのは、なんとなくわかります。
「リヤドなる地が砂漠半島の中心であり、どこからも均等になると思われたからです。これも国土局への建設依頼時他、散々に申し上げておりますが…」
そう、今から向かう東方聖母教会預言派なる宗派の聖地とされる滅姦、連邦世界のメッカと同じ場所には造られていないのです。
「まず、コンスタンチノープルへの苗床設置に伴い、魔毒対策として宮廷、そして東方聖母教会における少年の雇用数を増やすべきという問題が発生しました。これは陛下もご存知ですわね…」
ええ、有無を言わさぬ迫力が、私の横から伝わってきます。
そしてこの迫力、痴女宮での定例幹部会でも私、間接あるいは直接に受けていた立場だったのです、私。
なにせ、こちらが急速に出世したせいで、あれよあれよと支部長や支局長様と肩を並べたり、会議の席では近い場所に座らされる立場だったのです。
そして支部長まではともかく、支局長以上は流石に立場的にもベラ子陛下や本宮局長級の幹部に対し「言うことはきっちり言う部類」の方が揃っています。
つまり、新米支部長とか支局長とか行政局長には、ものすごいプレシオンだったんですよっ。
(今は毎回参加でなくなったんですわよね…幹部会議)
(連邦世界に職場が移ってしまいましたからね…こんな事がなければ、次にお会いしていたのは来年の新年互礼会でしたか…)
「で、眼下に見えておりますハイダルパシャ駅付近に大掛かりな兵舎が出来ておりますが、これがセリミエ兵舎…中東行政局各地から徴兵された少年少女兵士を訓練する場所です…」
ええ、私から見ても巨大な学校めいた施設、港や駅から少し離れた場所にどかん、と造られております。
しかも、三階建てくらいですかね…淫化の挿入器具市の神官や侍従少年寮にも似た構造の建物が、学校校舎めいた建物とは別に、十棟以上は立ち並んでいるのです。
つまり、中東行政局では徴兵制を敷いたようです。
「もっとも、このセリミエ兵学校は聖院学院で申すところの初等科学校。東方聖母教会や、行政局勤務者を目指す少年少女の登竜門なのです。一般的な俗民…農夫や職工に商人といった者たちは必ずしもここに集められて学業を修め騎士や尼僧、あるいは女官を目指せと言っておるわけではありませんよ…」
まぁ、地方学校と国立学校の違いでしょう。
そして、この兵学校なる学舎、尼僧や騎士を要請する…つまり、鯖挟国、ひいては中東行政局の統治のための役人を養成する官僚学校と考えた方が良さそうです。
なぜならば東方や罰姦を問わず聖母教会は明日輝・魔屋の神殿同様に、地域の住民子女に対する学校を兼ねているのは私とて、淫化と明日輝の勤務を経験しておりますから存じておる内容。
単純に、荘園で働いたり、あるいは町に住む者たちの子女を教えるだけならば規模に応じた聖母教会や、場合によってはキュラソーのオトロバンダのような修道院を建設して対応すれば済む話でしょう。
しかし、シェヘラザード様のお話では、どうやら各地の聖母教会所轄地の人口に対して割り当てられる徴用人数以外にも、子供たちをここに入学させたいという志願を入れてくる親が結構な数になっているようなのです。
つまり、子供たちにより高度な教育を受けさせたり、行政側に送り込みたい考えを持つ者が出現しておるようですね。
「今回の滅姦整備は、こうした領民の動きに対応した結果でもあります。滅姦は単なる八端十字騎士団の聖地としてのみならず、東方聖母教会預言派の神学校として開闢しております。すなわち、東方聖母教会の教育施設をあのセリミエだけに集中させないようにした、いわば分校なのです」
高度を徐々に上げ、トルコ…鯖挟国の西部を飛んで行くテンプレス1世ですが、その広大かつ岩石と砂の国土を見た私は「これはメヒコ同様に広大さと荒地が開発の障害になるな」などと考えております。
いえ、実際に緯度的にも地理条件的にも、メヒコとトルコは比較の対象にもなるのでは…とも考えております。
そんな思いを抱きながら、地中海に出てキプロス上空を飛び抜け、レバノンやイスラエルに該当する辺りで再度、陸地の上を飛ぶことになるテンプレス1世。
チグリス・ユーフラテス川の流域こそ緑が見えますが、国土全体ではやはり緑少ない土地が目立ちますね。
「しかし、滅姦北方にお作り頂いた人工の湖が、遠からずこの地…特に砂漠半島の見た目を一変させる事でしょう。砂漠半島一帯の大規模農地化と、滅姦の八端十字騎士団員養成学校の設立は表裏一体の政策。農夫として住まう俗民を増やすことで、統治者である聖母教会の職員を増やそうというのが私の狙いなのです」
ええ、前方の砂漠の彼方に、その湖とやらが見えて参りました。
氷山になるほどの巨大な氷塊が島の如くに浮かんでいるのも見える状態です。
で、この湖なのですが、淫化でも痴里や堀尻悪で造成され、はたまたメヒコでもチワワ砂漠にこれが造られたので存じておりますけど、湖底や湖岸を特殊硬化地層で固められた人工巨大貯水池です。
そして、砂漠地帯特有の昼夜の寒暖差を利用して、時間をかけて投入した氷山が溶けるように設定されたのも。
この人工貯水池が、周囲の農地の灌漑用水として使われる水の調達のためなのは、湖岸どころか周囲に緑の大地が広がりつつあるのでも明白です。
(防砂林として、必ず湖岸には絶林檎を植えていますからね…ある程度の水量になった場合、河川を建設することも視野に入れていますよ…)
で、この水の水源ですが。
太陽系外惑星…主に木星や土星、そして場合によっては海王星や天王星系からも収集された氷を地球圏に投射装置で送り込み、不純物を除去した純水氷塊として置くか、はたまた液体状態に戻して水源としておるそうです。
で、氷山がいくつも、ぷかぷかと浮いておると。
個人的には、大きな湖をいくつも作っても、雨を他所で降らせたら海面が上昇しないか怖いのですが。
(淫化では雨を降らせずに灌漑を行うことにされていますよ。鯖挟国や砂漠半島でもそうだと思うのですが、日干しレンガでおうちを作る習慣がありますよね。あれ、雨が多い地域では使えませんからね…)
はい。
あまりに降雨が多いと、溶けるのです…日干しレンガ。
ですが、その巨大な湖のほとりに少し離されて建っている円形の神殿らしき建物。
その中心には、画像では見た事があるメッカのカーバ神殿に存在するものの類似物が存在するのが目に入ります。
そして、円形神殿の周囲にはシェヘラザード様が申されたような学校らしき建物群や、巡礼者の宿坊らしい旅館街。
更には、市場やら行政官舎らしい宮殿やら、そして町民たちが住まうと思しい小ぢんまりとした住宅が整然と立ち並ぶ住宅街などが伺えます。
「ここが…復活なった私の実の妹たるダニアリーネのために建立した聖殿都市たる滅姦…その中心となる立方石神殿です…我が妹シャーフィカは聖院女官騎士ダニアリーネとして復活したのみならず、聖院中東支部開闢の祖たるラービア様のお告げを受けて聖戦士ダニヤザードなる新たな出家名を授かり、東方聖母教会の墓所拠点でもあり、また預言派の聖地とすべきこの滅姦のあるじに選ばれたのです…」
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