アルトリーネさんのいけない修行の日々

すずめのおやど

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名前を言えない謎のリゾート「マン◯ラ:愛の波しぶき」・3.4

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え。

驚く事ばかりですが。

で、初代様と申される方、実は通常であればベラ子陛下の身体に相乗りしておられる状態だそうです。

しかし、今はレプタ様を服従させる必要もあって、アルト様の身体に移っておられると。

(コイちゃん…そのおばちゃんの言うことは話半分に聞いておいてよいのです…ただ、アルトさんの遥か昔のご先祖様が初代様だという件については、信じられませんけど本当なのですよ…)

(マリアヴェッラはいらんこと言わんでよろしいっ)

(生意気なおばちゃんはしばきますよっ)

(ふんっ、いまのアルトリーゼならばマリアヴェッラとも互角に渡り合えるでしょう…)

(ちょちょちょちょちょしょだいさまっ!あたくしのからだでぜんりょくはっきするのはだめですっ!せっかくみながきり拓いたこのマンコラをさらちにするおつもりですかぁっ!)

(こ、これアルトリーゼ!何をなさいますか!)

え。

一瞬、アルト様の身体がブレたように見えました。

そして、それはどうやら錯覚ではなかったようです。

何故ならば、同じようで違う装いのアルト様がそこに。

(アルトリーゼ!痴女皇国にもどりなさい!)

(あきまへん…聖院のあたくしはもちろん、痴女皇国のよめと聖院のよめの合意事項なのです…)

どういうことなのでしょうか。

「ああ、コイリュルちゃん…ですね。あたくしもアルトリーゼです。ただ…痴女皇国ではなく、聖院の金衣将軍のくらいをさずかっておりますけどね」

つまり、アルト様は二人いらっしゃる、ということでしょうか。

「ふーむ。貴女は知らないかも知れませんが、痴女皇国が建国する5年ほど前の時の聖院では、痴女皇国を建国せずに聖院として世界を治めて行こうという方針が打ち出されたのです。そして、聖院のままはってんした世界のアルトリーゼがこのあたくしなのです…といっても、痴女皇国のアルトリーゼとは意識や記憶を共有していますから、同じ人物と思ってもらってさしつかえはありませんよ」

ふむ…。

(言うなれば世界が分かれたのです。そして、分かれた先の聖院世界にあたしはいませんけど、姉マリアリーゼやジーナ母様にアルトさん、ダリアさんといった面子は別にちゃんといますよ)

(で、ベラ子陛下も一時期、聖院で研修を兼ねてお勤めになっておられたことがあるのです。ですから聖院の事も詳しくごぞんじですよ)

(まぁまぁ。ともかく、初代様にいらんことされ過ぎてはさすがに、このマンコラを本当に吹き飛ばしかねません…そしてアルトさんが白金衣を着た場合には、それが本当にできてしまうのです…)

「そこで聖院からこのあたくしが来ていれかわったのです。で、レプタさんですか。あなたは痴女皇国のアルトの精を既に受け入れて頂けたので、恐らくは大丈夫でしょう…」

と、レプタさんの手を取って顔やら身体を観察される、聖院からお越しというアルト様。

その装い、同じようで少し肌色の露出具合が違うのですよね…。

あと、お召し物の花の刺繍が桃色ではなく白色です。これが一番真っ先に気付いたこと、ですか。

(聖院の場合、痴女皇国の国家の花である桃色の薔薇ではなく、白薔薇が象徴なのです。それと聖院では痴女皇国の赤薔薇黒薔薇といった、騎士団の兵科別色区分がないのが特徴なのです…)

で、もう少し教わりますと、こちらの痴女皇国世界というのですか、ベラ子陛下を聖母として崇めるような宗教があってないような代わりに、マリアリーゼ陛下が聖女、そして痴女皇国世界でも聖母として祀られているジーナ様という方が聖母とされているのだと。

即ち、こちらの聖母教会のような組織が聖院なのですね。

そして、直轄領として痴女島ならぬ聖院島を本拠にしておられると。

「まぁ、ちょうどよいでしょう。そしてコイリュルちゃん、なぜに痴女皇国のあたくしが、クシくんとおめこしているときのあなたのしこうをきりはなしていたか、です。あなたは初代様が申される通りで、はっきり申し上げれば初代様の血を引いておられるのです」

これこそ衝撃でした。

「ですが、それはあたくしも同じこと。むかしの初代様は、何かあった際にご自身の身体の代わりとなるものを世界のあちこちに用意されたのです。そして、その多くは神種族…かみさまの力をだすどころか、自分自身がかみさまのちからをもっていることすら気づかぬうちになくなりました」

(隔世遺伝というものなのです…いわば、あのおばちゃんが身体を欲しがった時に使える憑代よりしろを世界中にばら撒いたようなものなのです…)

(よろしいではないですか!)

あまり良くない気もします。

「もちろん、よろしくありません。なぜ初代様が聖院をおきずきになったのか。それは、初代様と、そのお姉様であるおかみ様と申される方が、かみさまの力をむやみやたらと使って欲のかぎりをつくされたことをおこった方がどこかにいらしたとおかんがえください。そして、おこられた初代様とおかみ様は、それぞれ聖院島と八百比丘尼国に封じられ、かみさまをあがめる場所を作るようしむけられたのです」

は、はぁ…つまり何ですか、痴女皇国が聖母教会などでやっているオメコざんまいの状態。

あれ、初代様と申される方が知らないわけ、ありませんよね…。

「もちろんごぞんじです。ですが、痴女皇国では人のわるいところすら活用して精気を抜くことを第一にしております。そしてあたくしの側の聖院では、痴女皇国ほどめちゃくちゃなことはしていないのですけど…。これは、痴女皇国はあえてむちゃなこともやって、世界へのえいきょうをさぐると痴女皇国の姉がしゅちょうしたことがいちおうは認められたためでもあるのです」

(コイちゃん、言うなれば痴女皇国はその辺の実験をやっておるからこそ、監察機関や組織…あたしたちの振る舞いを監視している方々にも認められている一面があるんですよ…)

「ただ、あちらこちらでくるった事ばかりしておっては、まともな考えのひとまでおかしくなってしまいます。そのためにも、れいせいに物事をかんがえられる人もよのなかには必要なのです。こいちゃん、あなたとくしくんのこだねをマンコラのなえどこにあたえるさいにも、できればまともなひとのこだねとして受精らんをおわたししたかったからなのです」

この瞬間、あちこちから不満の心話が聞こえて来た気がします。

しかし、アルト様の発言とあって、反論を諦めた人も多数の模様。

(いいかえしてもよいのですが…)

(命は惜しいもので)

(聖院のアルトさんと揉めた話でも、あとで痴女皇国の方のアルトさんがしばきに来たりするんですよ…)

(まぁまぁ、そういうのは痴女皇国のあたくしのやらかし。痴女皇国にも請願のまどぐちはあるのですから、すじがとおった意見であればそちらにもうすべきでしょう)

(アルト閣下…それ、余計に怒られるかも…)

(請願窓口って厚労局なんですよ?二代目様に見られるんですよ?)

(ではじゅねすか、もんぜんまちの立ちのみやでおさけでものんで愚痴をいえばよいのです。聖院でももんくをいう女官はおりますが、いざかや罪人の前を通りかかるとそれはもう、ぐちのいいあい)

で、ここで気付いた事があります。

聖院のアルト様、なるべく口だけで人を従えようとなさる傾向がありますね。

(えええええ、あたくしもですよ!なぐってばかりではつかれるのです!)

(アルト様…エマネ様から聞いております…いえ、ロッテ様やイリヤ様からも…)

(だってアルトさんって問答無用じゃないですか…私も赤玉砂漠で思い知りましたよ!)

(エマネに同じ…アルト閣下、模擬戦の時はまだしも、普段はもう人の少し言い分を聞いて頂ければ…)

(このイリヤもロッテに同じです…淫化のみならずリュネ族も魔族も皆、アルト様を恐れてますよ…)

(痴女皇国あたくし。いったいぜんたい何をやっとるのですか。いくら将軍でもやってええこととわるいことがありますっ。もうちょっとひとのおはなしを聞いてさしあげないと聖院世界にふうじこめますよ…)

(何をいうのですか聖院あたくし…ぬれぎぬです…)

(サレルフィール姉様。離魔《りま》に入港した船の船員からすら聞こえてますよ…悪い噂…)

(なでぃあもいちど淫化にふにんすればよいのです!)

(既に船員研修などで離魔には行っておりますよ…レプタさんに対する海事部や紺碧騎士の研修に訓練があったから私が来ておったのをご存知でしてよ?)

(ナディアフィール…痴女皇国のあたくしのふるまい、あまりにも目に余るようならばあたくしが聖院のよめに言います)

(聖院姉様、その時はよろしく…)

(みんなおになのです…)

まぁ、大変にお強いアルト様がわがまま放題では、確かに周りどころか多くの者が困る事でしょう。

--

さて。

実のところ、私は故意に皆様にお教えしていない事があります。

それはもちろん…クシとの行為の詳細です。

(コイちゃんだけに故意に言ってないと)

(ベラこへいか、いまマンコラにいるものぜんいんに何かおごりで)

(駄洒落菌を指摘しただけで!アルトさん、大人気ないですよ!)

しかし、私の恥ずかしい行為を暴露しただけでは、果たして皆様にお喜び頂けるものか。

そこで、時を一気に飛ばして、翌朝のマンコラからお送りしてみましょうか。

「人の幸せがある地、ですか…」

「先々帝アヤ・マンコが言い遺した言葉であるが、すなわち、俗地神地を問わず、人が生きるに厳しき淫化の地を人の住まう地として開墾整備すべきだと申された。少なくとも、余はそのように受け取っておる…」

朝食の席上で、レプタ様に申すクシ。

「私も、先々帝のお言葉の意味、人の幸福をこの淫化に示す統治を為すべきであると考えます」

「それが、コイちゃんが家族の暮らしを重視する理由の根拠なのですね…」

「実際に私も親に育てられた身の上ですし…人は良かれ悪かれ、己の親の背、ひいては立ち居振る舞いを見聞して育つのが元来ではないかと考えております…」

ベラ子陛下に答える私ですが、実のところ、我が父母は決して人としては完璧でないと断言できます。

離魔での父母、正直…欲に取り憑かれた一面もありましたから。

しかしながら、その思考が読めてしまう今となっては、人としてそれなりの努力をして来たからこその貴人の地位を維持して来れたのであろうとも考えております。

「痴女種はもちろんですが、リュネ族や魔族であっても通常の人々よりは何かしら優位に立てる力を持っています。その力を得たりあやかろうとすることは、ひとが欲にまどわされる性質があるいじょう、やむをえないことなのです…」

聖院のアルト様の言葉もまた、事実でしょう。

「えまねちゃんも、痴女種になってよりつよい力をえたことで、リュネのじょおうさまになりたいとかんがえたのはむりからぬ話ではあるのです…ですが、ひとの上にたつことすなわち、ひとさまのじんせいに対して責任をおうことになるのです…」

このアルト様のお言葉に、顔を赤らめるエマネ様。

そう、エマネ様の野望はお見通しではあるのです…。

「エマネちゃんの気持ち、わからなくはありませんが、まだまだ時期尚早というものなのです…。それにエマネちゃん、リュネの世界ではいずれ、あの人工の大地が周囲を回っている恒星…太陽は今よりも更に肥大して、いずれは爆発するかしぼむのです。あたしたちの地球を照らす太陽もいずれはそうなるのですが、リュネの太陽はあたしたちの太陽よりも遥かに年取った、いわば寿命が近いお爺さんお婆さんのような存在。どちらにしても、リュネの人工大地の処遇については考えなくてはなりません。ですが」

と、ここで言葉を区切られるベラ子陛下。

「こちらの地球のある太陽には、うまくすれば人が住めるように作り変えられる惑星が2つほど存在します。将来は魔族を含むリュネの方々のために提供することも含めて、あたしたちは未来を検討していると申しておきましょう…」

すなわち、魔毒を必要とするリュネの方々があれこれ工夫せずとも自然に生きられる大地を用意することも考えておられるようですね。

そして、そうなれば統治する者が必要になるだろう。

もしもそうなった場合、あらかじめ王や皇帝となるべき訓練や学びを日頃から欠かさぬ者の方が優位に立てる。

ベラ子陛下はそう、申しておいでです。

(あたしとしては、エマネちゃんのやる気を大事にしたいのです…)

(ありがとうございます…まずは離魔支部の統治を成功させることから始めます…)

で、レプタ様もしきりに頷いておられますが、この方、元はと言えばリュネ世界の魔族、それも幹部であり敵対していたリュネ族に対して、いざとなれば殲滅戦を仕掛けるために産み出された…いわば、ものすごくお強い戦士であったはずなのです。

(かつてはいくさの為に思考を制限されてこそおりましたが、幹部魔族は元来、高い知能を与えられております。従って、アルト様の精や知識の共有はもちろん、ベラ子陛下やエマネ様、そしてクシ様に…他ならぬコイリュル様の記憶や経験、知識も私の理解の範囲内であるのです…)

そう…昨晩のあの乱痴気騒ぎですが、実のところはレプタ様にとって単に精気や受精した子種、更には孕み孕ませた少年少女を苗床に戻し、その滋養を得るだけではなかったようなのです。

「あたくしのさいぼうをとりこむ事すなわち、初代様から延々とつらなる神種族のちすじを得る事ともなるのです…」

そして、アルト様も鬼細胞なる、痴女皇国世界の八百比丘尼国に住む強力な魔族の血と力を取り込んでおられるそうですが…。

「おに細胞を持つものは、よほどの者でなくば、おかみ様と初代様にさからえなくなるのです。れぷたさんはもはやひとの倫理をりかいしておられますから、きちんとしたりゆうがなければあたくしたちとたたかう事はないとおもいますが…」

つまり、ベラ子陛下とアルト様の精を吸い取ったレプタ様…エマネ様もそうですが、痴女皇国にうかつに弓を引くことができない仕掛けをされてしまったようなのです。

「で、あたくしもそうですが、聖院のときから女官はふつうの人よりもつよい力を、そうやすやすと悪いことに使えないようにされていたのです。あたくしたちがあくじを企めば、世をみだすどころかほろぼしかねません。あたくしと痴女皇国のあたくしだけでなく、ダリアやほかの…痴女皇国と聖院のりょうほうにいる者がときおりいれかわっていたり、あたくしのよめが白まりと黒まりにわかれているのも、せかいを滅ぼすほどのわるいことをしないできないように、だいさんじをあらかじめ防ぐためでもあるのです…」

それはそうと、ベラ子陛下。

私はアルト様とあまり深く詳しい面識を持ってはおりませんが、聖院のアルト様のお話を全て理解しきれるかどうかはともかく、これぞ将軍の名にふさわしいお方の語りであるという印象を私は感じました。

ええ、さすがは女皇帝の夫に該当する地位の人物にふさわしいお考えをお持ちのようですね。

(コイちゃん…それでは痴女皇国のアルトさんがダメダメだという評価になってしまいます…)

(うううううう、あたくしだって、ほんきをだせばこれくらいのことはひとまえではなせるのです!)

(おだまりなさい痴女皇国あたくし。よほどのことがなければ本気をださないあなたがわるいのですっ)

「まぁまぁ…確かにアルトさん、痴女皇国と聖院ではその方針に大きな違いがあります。変態行為や残虐行為も性交に取り入れてまでも、精気を得ようとする姉や雅美さんの考えの根底にあるのは、痴女皇国による人々の直接支配のためなのはお分かりですよね…」

あ、これは私やエマネ様、そしてレプタ様に対して聞かせる話であると気付いた私。

このお二人が、それぞれの国の政策について知っていないはずがないのです。

それをわざわざここで話すということは、同席した者に聞かせるためでしょう。

「そうですね。そして、おやに育てさせるのではなく、聖母教会のけいえいする農園やこうじょうなどではたらかせ学ばせるのも、いってみれば労働とおめこにひとびとをまいしんさせるため…まさしく、こいちゃんがしんぱいしている、おやの愛情をうけてそだってはいない件…ひいては人のかんじょうやりんりの観念をゆがませはしないかというけねんにも通じるでしょう」

アルト様が私の主張や考えを重く見るのも、ご自身の生い立ちから来る経験があるからでしょう。

(あたくしも親に育てられた身。こいちゃんのおもうところはつたわります…)

(コイリュル様、姉が浜で悪餓鬼どもを殴り蹴り辱めてガキ大将をしておったのは内緒にして差し上げて下さいませ…)

(なでぃあ。いらんことをいうとなかしますよ…)

しかし、私の理想とするところと痴女皇国の方針、目下は一致しないのも事実です。

その辺りの擦り合わせをどうするか。

--

皆様に見送られてマンコラを発った私たち…出立しゅったつの時はクシが漕いだ側車付き自転車、途中で私に漕ぎ手を交代しますと、二時間ほどで次の視察地に到着します。

海に沿った街道をしばらく進みますと、道は絶頂悪取いくあどるとの国の境の手前で内陸に入ります。

この辺りは離魔よりは遥かに雨が降る土地であり、それなりに木々が周りに存在する中、ニスカとワヤチャの漕ぐ自転車が交互に私たちの前後を走る隊列を組んでおります。

更には、白い車体に赤い帯を巻いた、離魔支部所属のくるま…ダンケ号が私たちの自転車隊列の後をついてきております。

運転するのは…アナワルキ。

なんでも、自転車というものは車輪に巻いた柔らかく黒い帯が損傷しやすいため、修理道具や替えの車輪を用意しておいた方が良いようなのです。

で、いざという時にはクシとニスカとワヤチャ、そして私と自転車を乗せて走ることも含めて、支援するためのくるまを同伴させて下さるとのこと。

ただ…このせいで、私たちに随伴する要員、くるまの運転が出来なくてはならないとされてしまったのです…。

幸いにしてアナワルキ、挿入器具市でくるまの運転の研修を受けておりまして…これも、クシと私の行脚の出だしからの同行者にアナワルキが選抜された理由となったようなのです。

で、一端は淫化側の町である猿見舎さるみーじゃを通過して国の境となる小川を越えると、絶頂悪取いくあどる側となる包茎かんとんの町に到着します。

この包茎の町、痴女皇国と淫化が関わる前から魔屋まや王国や明日輝あすてか帝国の方から来る旅の商人はもちろん、絶頂悪取の人々と淫化側の交易で栄えた町だそうです。

で、緑の少ない淫化の国土では山に分け入るか、暗死あんですの向こうにある尻出の地から手に入れなくてはならない木材や炭、この辺りでは比較的容易に手に入ります。

そして絶頂悪取側に淫化帝国が交易の交換物として渡していたのが、他ならぬ効果こかの葉であったのです。

「今も聖母教会の管轄でこの交易は行われております。荷運びの人夫や商売に関わる者たちが多数住むこともあって、この包茎かんとんの町の聖母教会、少々特殊な組織となっておりまして…」

我々を出迎え、聖母教会に案内するのは何と、黄金騎士団の騎士服を身につけた包茎駐在の騎士様。

「この包茎の町は貿易の拠点となっております関係で、魔屋支部と離魔支部、そして中米行政支局からも人を出して管理しております。で、普通なら聖母教会の司祭や司教が統治を担当するところですが、この包茎にあっては包茎警備支部が町を仕切っておるのです…聖母教会も、警備支部の建物と同一になっております…」
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