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がんばれペアーズ・おねショタ布教軍創設ものがたり・10.9
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さて。
前回よりいくばくかの時が流れた淫化帝国、そして南米行政支局離魔支部が置かれた離魔市より、聖母教会教育担当大司教のレオノールがお送りさせて頂きます。
で、この前振りで「また何かがあったな」とお思いの方、正解です。
とりあえず…離魔支部長に誰が就任されたのか。
そして、メマーラ王妃と…この私にも、生々流転を思わせる時、またしても存在したのです。
では、その辺りの事情…お話しさせて頂きましょう。
-------------------------------
とある日の朝。
離魔市の沖合すぐ側に存在する離魔租界島。
離魔市街とは大きな橋にて繋がっておりますこの島。
聖母教会が設けられておりますことはもちろんですが、この租界島の担当支部、淫化でも離魔でもなく、なんと痴女皇国本国の直轄とされたのです。
そして本宮の所轄担当窓口は…通商局。
聖院金衣をご経験されたクレーゼ様が局長をお勤めの部署です。
この租界島、元々あった姿ではなく、万一の津波の際にも離魔の街を守るような形状に変更されております。
(たいへいようからみて、うらがわ…りまの街から見える側にみなとを置きましたからね…)
そして、お船の上に立つ柱をまたいで超える高さを持たせた橋…租界大橋と名付けられた橋を、くるまで渡って離魔に向かうには、なんと一旦は租界島の西の端の方にまで進んでから東に向きを変える坂道を登る事になります。
(あと、比丘尼国や天竺などから集めた移民。これにつきましてはちかてつがございますでしょ)
ありますね。
しかしこの地下鉄道なる乗り物、現状では片道運行も同然なのです…。
-------------------------------
離魔湾岸高速鉄道(Bay Area Rapid Transit)略図
租 界 島 | |
|租|パチャカマック プクヤーナ
租界聖母教会駅 |界|神殿駅 神殿&駅
◯--------◯--||----○
租界大橋→====== ワジャマルカ
|水| 離 魔 市 街 神殿
租 界 島 |道|
| |
-------------------------------
そして、租界からパチャカマック神殿の前で強制的に降ろされる箱ばかりが繋がっておりまして、プクヤーナ神殿やワジャマルカ神殿の最寄り駅へ行くには、れっしゃの一番前か二番目の箱に乗るしかありません。
それも、租界島の聖母教会駅では、この前の箱へ乗れる場所と、橋を渡ったパチャカマック神殿駅まで乗れるくるまの乗り場所、透明な板で区切られており往来はできないのです。
将来、この租界島を通じた検疫措置が不要となった場合には別の使い道があるそうですが、今は移民船が運んで来た、まとまった乗客を乗せてパチャカマックへと向かうのが主な用途です。
では、この違いは何なのでしょうか。
(前2両は神殿関係者と、技術系技能系移民輸送車で、その能力故に淫化への移住を許可された者が乗るように作って欲しいという要望に基づいて製造しております)
この、室見局長のお話ですが。
実際に租界島聖母教会の大司教を兼務する立場の私でも説明は可能。
離魔租界島港に入港した移民船から降り立った移民たちは、まずは租界と淫化への入国審査を受けることになります。
そして農作業や工業系の技術・技能資格者など…一定の基準を満たした者たちと、それ以外に分けられます。
と言っても、出港地で乗船名簿を作る時点で既に内部的には仕分けが済んでおりまして、あとは入国審査会場に入ってもらってから聖環を併用して呼び出し指示を与え、聖環情報と本人を目視確認して流れるように作業を進める対象の一人になってもらうだけ。
移民船一隻につき、最大一千人は乗って来ますが、上陸してからおおむね1時間もあれば、まずパチャカマックか、はたまたプクヤーナか…どちらかの神殿に向かうことになりますから。
で…移民の大半は…一般労働罪人枠です…。
この地下鉄、実はちょっと特殊なものらしく、連邦世界のサンフランシスコなる街で走っている特殊な列車と同じ規格を敢えて採用したのだそうです。
理由は、立ち客を出さないため。
着席した移民たちは、その後…動き出した列車の中で意識を失うのですから。
で、移民たちの大半は、パチャカマック神殿駅に着くと、操られたかのように起きて整然と下車していきます。
そして…私や他の租界勤務女官の乗る車両の隣に乗った移民たちは、今度はプクヤーナ・ワジャマルカ神殿駅で降りて、操られたかのような動きでプクヤーナ神殿への地下通路を目指すのです。
もう、お分かりでしょう。
それぞれの神殿の地下には、苗床池が設けられております。
特に、パチャカマック神殿の地下のそれ、かなり大きいのです。
そう…パチャカマック神殿で降りた移民たちは、事実上、身体を完全に作り替えられて淫化の魔毒苔と魔毒に対応した状態の「新生児」として苗床から産み出されるのですよ…。
彼らは元々、出身国で労働罪人として扱われて来ておりますから独身で身寄りはありません。
そして私物も、ほとんど持っていない事が多いのです…。
ええ、比丘尼国でも天竺でも暗黒大陸でも、淫化方面への移住希望者は単身者に絞っておりまして…世帯持ちについては、流刑地大陸または尻出国かアルゼンチンチンへの移民を勧めております。
で、一方のプクヤーナ神殿。
こちらの苗床に漬けられた移民希望者は事情罪人扱いです。
即ち、完全には溶かされません。
しかし…ちょっと特徴がある状態で再生されるのです…。
(淫化の魔毒については人の身体に溜まれば、長期にわたって害を為します。従って、移民の皆には魔毒の害を弱めるためにも若返らせております)
そう…14歳程度まで若返った状態で、プクヤーナ神殿の苗床から上がってくることになるのです。
これはパチャカマック神殿でも同じで、少年または少女の状態で苗床から出されるそうです。
(それと重要なことがございますわ。だいくなら大工、りょうしなら漁師の知恵を苗床にそっくりこぴーされるのでしょ?)
そうです。
痴女種が行える知識や記憶のぶっこ抜き。あれを大規模かつ一気にやってのけられるのですよ、苗床ならば。
そして、職人と呼ばれる人々の中には頑固者や偏屈者が少なくない件、このレオノールとて存じております。
あまりにその傾向が強すぎるとされた者たちは…パチャカマック神殿送りにされた移民同様に、それまでの人生の記憶を忘却した一般の移民扱いされてしまうのです…。
つまり、こうなりますと次に上がって来るのは一般移民または技能移民候補の少年を求められた際となります。
ええ…この離魔の3つの神殿のうち2つ、移民を再生して淫化向きの人材を少年として産み出す…灸場やボロブドゥールとはまた違った内容の人間再生産工場、とでも申し上げるべき場所なのです…。
彼らが継承するのはただ一つ。
元の名前のみ。
いえ…プクヤーナの苗床から上がる場合は技能系の知識を移植されていますね…。
そして、聖院学院淫化神学部離魔分校を卒業した太陽乙女に率いられ、順次、赴任の地に赴くのです…。
(で、離魔近郊の移民村で今後、老齢の域に達して余命徴候表示が聖環に出たものは…)
はい。
この離魔であればワジャマルカ神殿が月乙女の所轄となります…。
即ち、死に行く者を看取る役目でもある月乙女たちが見守る中、安楽に最後の時を迎えてワジャマルカ神殿地下の苗床に溶けて同化する事になるのですよ…。
で。
そんな重要な機能を持たされて作られた淫化帝国、そして南米行政支局の重要都市たる離魔。
この都市だけで独立した支部扱いされているのも、むべなるかな。
そんな離魔支部の支部長をお勤めの方が今、朝の儀式として聖母教会にお越しです。
「おはようございます、聖エマネ…そしてクシー様…」
「おはようございますレオノール様、カリム様…」
ええ。
エマネ支部長、あれからメマーラ様と乳母支部を交代する形で、この離魔に赴任なさったのです…結局は…。
で、この離魔市の街開き当初の担当太陽神使として赴任された、元・リュネ王国のメマーラ王妃。
その後、離魔の統治を順調に行われた…訳ではなかったのです。
やはり、支部開設当初のごたごた、簡単に収束できるものではありません。
哀れにもメマーラ王妃は、ある意味ではハメられたようなものです。
そして、メマーラ王妃の実の娘たるエマネ王女が乳母支部長として開拓・開発された不倫垢の街に聖目摩羅として泣く泣く赴任することとなりました。
そう…メマーラ王妃にしてみれば、自分の娘が開拓した街に移り住むということになったのです。
これ、私たちの感覚では孝行娘が親孝行して開いた場所を左手うちわで統治するつもりで良いのではとなります。
しかし…長年、魔族との戦時体制を組んできたリュネでは、自分の子供にそれほどまでに手をかけられては王族、そして軍人としての能力や誇りを問われるような屈辱的な行為になってしまうらしいのです。
(即ち…エマネの助けなくば、私は淫化でやっていけぬと見られたようなものになるのですよ…リュネの者の見方であれば…)
本当に、涙ながらの離任だったのです…メマーラ王妃。
そして…エマネ王女との仲もリュネにいた時よりも遥かに険悪だとか。
(私、魔法を用いて成長を促されたのですよ…ですから、母の愛情とか云々よりも、まずはリュネ王家の出にふさわしい戦士を目指せとされたのです…)
今は正にこの聖母教会のリュネ人用告解室に二人きり…いえ、互いの侍従少年それぞれを在室させての私的な会話です。
即ち、内緒の話の部類。
(で、早期に大きく育てられたのはともかく、私個人は言うなればイリヤ叔母様の翼を目指してその背中の後を駆けておったような暮らしだったのです。なにせリュネは魔族が襲ってくる立場。王女と言えども剣を取るべき国情だったのですから…)
で、メマーラ王妃、イリヤ様の出身の一族の出であるどころか、実の妹君であらせられたのです。
そして、姉に武芸の才能を全て吸われたのでしょうか。
メマーラ王妃、辛うじて羽根が生えた程度の武力しか測られなかったと…。
(控え目に申しまして、母が分け身十人の技を繰り出せたとしましても…叔母が一瞬で勝ちます)
そんなにも、差があるものなのでしょうか。
(確かに剣聖は聖剣の力に助けられるところはあるのですが、それにしても戦士の基本が出来ておらねば、そもそも聖剣は己を握るに値せずとして炎を発して拒むしろもの。聖剣をただ、握れるだけでもリュネでは、立派な戦士の証でもあるのですよ…)
そう申されながら、腰の火炎剣なる剣を手に取られるエマネ殿下…いえ、陛下。
これは内々の話ですが、リュネ王国の王室崩壊後、一旦はイリヤ様が女王を名乗って王室体制を維持しておられたそうです。
しかし、リュネ王朝の生き残りが再びの生を受けたとあっては、イリヤ様としては自分が全てを背負っておるのもいかがなものかと考えられた様子。
(いやいやいや、もはやリュネ王国が君臨する土地などあって無きが如し。しかしながら、リュネ族の出身の神官女官の支えとなる位であるならば、王家の血筋を引く者が継承するが道理というものです…)
で、以前にもお話が出ました理由…最後のリュネ王妃は確かにメマーラ様ですが、その実の娘で王女たるエマネ様が王位を継ぐのが筋ではないかと申されるイリヤ様の案が通りまして。
で、エマネ様がリュネの王位を継ぐ事となったのです。
この王位委譲、リュネ関係者以外にはほぼ無意味であるというリュネ県人会、いえリュネ国民会なる同窓会めいた集いの主要者のみで戴冠式を密かに行なったのです。
(一般の淫化国民や、淫化出身者にリュネ世界の話をしても理解してくれる者は限られますから…)
ただ、痴女皇国側ではそれなりの扱いということで、ベラ子陛下が臨席されました。
そして王位の証となる王冠と、その代用品で戦闘時に装着する頭帯、ベラ子陛下と半ば無理やりに出席させられたメマーラ様の前でイリヤ様がエマネ様の頭に被せて、聖剣をエマネ様の頭部にかざして一振りする儀式を終えたのです。
(この時に聖剣が火を出せば、王位継承に異議ありとなってしまうのですよ…まぁ普通は剣聖がこれをやりますから、火を噴くことはないんですけどね…メマーラにあの頭帯と王冠を返したら、私は例えヤラセと言われてもメマーラの頭髪を焼こうとしたでしょう)
まぁまぁ、とここはイリヤ様の怒りを抑えておきます。
幸い、イリヤ様とエマネ様は同じ戦場を何度も経験したとかで仲は悪くない…というよりは一種の弟子。
どのくらい親しいのかと申しますと…エマネ様のおめこと尻穴、イリヤ様の逸物はご存知のはずです。
同様にイリヤ様のおめことけつめども。
いえ…無理からに犯されたメマーラ様を含めて、リュネ王家の母娘と侍従、それと剣聖様とは…。
(私は母様の穴なんて見たくも知りたくもありません。ちんぽが汚れます)
(私とて不肖の娘の穴なぞ知りたくもなし)
(これこれ。ただ…クシーはともかく、クシ皇子はメマーラとエマネの穴、全て知っておりますよ)
そしてフユキ様、全員の穴をご存知です。
(せめてエマネがクシ皇子とクシー王を取り替えてくれればぁっ)
(クシー様は今や王配王にして私直属の侍従勇者ですよ…母様を孕ませただけでも大問題なんですから…)
ま、まぁ…そんな…互いの侍従を取り替えるような事を頻繁にしておるリュネの王室関係者。
ですので、カリムもエマネ様の穴を知っております。
逆に、クシー様は私の穴、全てご存知の仲。
ああ、朝の儀式とやらも、淫化由来の純粋なものではなく、私たち痴女皇国関係者の精でエマネ様とクシー様を浄化する名目で行うのです。
そして、これを聖母教会で行なっている理由…これが、今の淫化と痴女皇国の関係を示すものとなるそうです。
即ち、リュネ女王にして淫化帝国の要職たるエマネ・リュネ・インティ様がクシー様を伴って「租界にお越し」なのです…。
そう、この聖母教会のあるじは私、レオノール。
そして、私はカリムを伴っております…。
告解の間で、エマネ様の高貴なお口にカリムが精を放つのも、当然の成り行きなのです。
そして私は、クシー様からの精毒を抜く立場。
役得などと申されませぬように。
(レオノール母様…サリム様が寂しがっておられますが…)
(ラウシュミ。あなたは球根詐欺国の王妃にしてカリブ総督。海賊共和国からカリブ海一帯を任された立場であり、更には私からキュラソー聖母教会大司教の地位を引き継いだ身の上なのです…もはやサリムは、立派な娘となったあなたを頼るべきなのです…)
(確かに母様は淫化の地で相応の活躍をなさっておられる件、マルハレータ殿下からお伺いしております。しかしながら、悪癖の噂もまた、あまた…離魔に配転されたこともその辺が影響しておると伺っております。くれぐれもキュラソーの轍をお踏みになられませぬように…)
ええそうです。
ラウシュミとサリム,私がキュラソーを離れる件を最後まで反対してくれておったのです。
しかし、ちょうど良い頃合いでもあったと、離任に合意した私の意向も反映されていたのですよねぇ…淫化行き。
(このキュラソーはスメネプ同様、母様とサリム様の思い出の地。いつ何時でもお戻り頂いて支障ないようにしております…)
(まぁ、レオノール様はスメネプみたいな場所が一番ええんかも知れませんわ…出世の道からは外れるかもですけどな、平和な村でそう多くはない生徒見てはる方が似合うておられるんじゃないですか…)
(アンジャニ。確かにそれは言えておるかも知れませんね…)
(言うときますけど、あの時スメネプの女で犯れるん全員、レオノール先生のコントルを知ってるんですからね…未だに先生を懐かしんでる女、結構おるんですよ…)
えええええっ。
確かにスメネプの人々に言うこと聞かせるのに一番手っ取り早いということで、結構無茶しましたけど…。
まぁ、スメネプ市がまだ、スメネプ村だった頃、私がスメネプ分校の教師だった頃の教え子たるアンジャニです。
この子と百姓村のジタやナビラ…6人しかいなかった当時の私の教え子のうち、女の子は3名でした。
そしてアンジャニ・ジタ・ナビラの3人はスメネプに残る夜這いの風習を嫌がったがために、最終的には3人とも慈母寺の尼僧となる道を選んだのです。
むろん、尼僧となってもコナックは避けて通れません。
しかし、尼僧に主導権が移るのです。
ましてや地方の聖母教会と同様、スメネプならスメネプの慈母寺はその担当地域の住民を支配する行政機関としても機能します。
そう…今や、スメネプの漁師町の実質的な町長はアンジャニと言ってよい立場なのです。
そのアンジャニですら、私を気遣い、こうして時々心話を寄越す有様。
(レオノール…慕われておいでのようですね…しかし、そんな貴方が、あまりよろしくないと感じるであろう知らせがあります。朝の精気授受と魔毒抜きの後で、エマネ支部長から辞令を受けて下さい…)
前回よりいくばくかの時が流れた淫化帝国、そして南米行政支局離魔支部が置かれた離魔市より、聖母教会教育担当大司教のレオノールがお送りさせて頂きます。
で、この前振りで「また何かがあったな」とお思いの方、正解です。
とりあえず…離魔支部長に誰が就任されたのか。
そして、メマーラ王妃と…この私にも、生々流転を思わせる時、またしても存在したのです。
では、その辺りの事情…お話しさせて頂きましょう。
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とある日の朝。
離魔市の沖合すぐ側に存在する離魔租界島。
離魔市街とは大きな橋にて繋がっておりますこの島。
聖母教会が設けられておりますことはもちろんですが、この租界島の担当支部、淫化でも離魔でもなく、なんと痴女皇国本国の直轄とされたのです。
そして本宮の所轄担当窓口は…通商局。
聖院金衣をご経験されたクレーゼ様が局長をお勤めの部署です。
この租界島、元々あった姿ではなく、万一の津波の際にも離魔の街を守るような形状に変更されております。
(たいへいようからみて、うらがわ…りまの街から見える側にみなとを置きましたからね…)
そして、お船の上に立つ柱をまたいで超える高さを持たせた橋…租界大橋と名付けられた橋を、くるまで渡って離魔に向かうには、なんと一旦は租界島の西の端の方にまで進んでから東に向きを変える坂道を登る事になります。
(あと、比丘尼国や天竺などから集めた移民。これにつきましてはちかてつがございますでしょ)
ありますね。
しかしこの地下鉄道なる乗り物、現状では片道運行も同然なのです…。
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離魔湾岸高速鉄道(Bay Area Rapid Transit)略図
租 界 島 | |
|租|パチャカマック プクヤーナ
租界聖母教会駅 |界|神殿駅 神殿&駅
◯--------◯--||----○
租界大橋→====== ワジャマルカ
|水| 離 魔 市 街 神殿
租 界 島 |道|
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そして、租界からパチャカマック神殿の前で強制的に降ろされる箱ばかりが繋がっておりまして、プクヤーナ神殿やワジャマルカ神殿の最寄り駅へ行くには、れっしゃの一番前か二番目の箱に乗るしかありません。
それも、租界島の聖母教会駅では、この前の箱へ乗れる場所と、橋を渡ったパチャカマック神殿駅まで乗れるくるまの乗り場所、透明な板で区切られており往来はできないのです。
将来、この租界島を通じた検疫措置が不要となった場合には別の使い道があるそうですが、今は移民船が運んで来た、まとまった乗客を乗せてパチャカマックへと向かうのが主な用途です。
では、この違いは何なのでしょうか。
(前2両は神殿関係者と、技術系技能系移民輸送車で、その能力故に淫化への移住を許可された者が乗るように作って欲しいという要望に基づいて製造しております)
この、室見局長のお話ですが。
実際に租界島聖母教会の大司教を兼務する立場の私でも説明は可能。
離魔租界島港に入港した移民船から降り立った移民たちは、まずは租界と淫化への入国審査を受けることになります。
そして農作業や工業系の技術・技能資格者など…一定の基準を満たした者たちと、それ以外に分けられます。
と言っても、出港地で乗船名簿を作る時点で既に内部的には仕分けが済んでおりまして、あとは入国審査会場に入ってもらってから聖環を併用して呼び出し指示を与え、聖環情報と本人を目視確認して流れるように作業を進める対象の一人になってもらうだけ。
移民船一隻につき、最大一千人は乗って来ますが、上陸してからおおむね1時間もあれば、まずパチャカマックか、はたまたプクヤーナか…どちらかの神殿に向かうことになりますから。
で…移民の大半は…一般労働罪人枠です…。
この地下鉄、実はちょっと特殊なものらしく、連邦世界のサンフランシスコなる街で走っている特殊な列車と同じ規格を敢えて採用したのだそうです。
理由は、立ち客を出さないため。
着席した移民たちは、その後…動き出した列車の中で意識を失うのですから。
で、移民たちの大半は、パチャカマック神殿駅に着くと、操られたかのように起きて整然と下車していきます。
そして…私や他の租界勤務女官の乗る車両の隣に乗った移民たちは、今度はプクヤーナ・ワジャマルカ神殿駅で降りて、操られたかのような動きでプクヤーナ神殿への地下通路を目指すのです。
もう、お分かりでしょう。
それぞれの神殿の地下には、苗床池が設けられております。
特に、パチャカマック神殿の地下のそれ、かなり大きいのです。
そう…パチャカマック神殿で降りた移民たちは、事実上、身体を完全に作り替えられて淫化の魔毒苔と魔毒に対応した状態の「新生児」として苗床から産み出されるのですよ…。
彼らは元々、出身国で労働罪人として扱われて来ておりますから独身で身寄りはありません。
そして私物も、ほとんど持っていない事が多いのです…。
ええ、比丘尼国でも天竺でも暗黒大陸でも、淫化方面への移住希望者は単身者に絞っておりまして…世帯持ちについては、流刑地大陸または尻出国かアルゼンチンチンへの移民を勧めております。
で、一方のプクヤーナ神殿。
こちらの苗床に漬けられた移民希望者は事情罪人扱いです。
即ち、完全には溶かされません。
しかし…ちょっと特徴がある状態で再生されるのです…。
(淫化の魔毒については人の身体に溜まれば、長期にわたって害を為します。従って、移民の皆には魔毒の害を弱めるためにも若返らせております)
そう…14歳程度まで若返った状態で、プクヤーナ神殿の苗床から上がってくることになるのです。
これはパチャカマック神殿でも同じで、少年または少女の状態で苗床から出されるそうです。
(それと重要なことがございますわ。だいくなら大工、りょうしなら漁師の知恵を苗床にそっくりこぴーされるのでしょ?)
そうです。
痴女種が行える知識や記憶のぶっこ抜き。あれを大規模かつ一気にやってのけられるのですよ、苗床ならば。
そして、職人と呼ばれる人々の中には頑固者や偏屈者が少なくない件、このレオノールとて存じております。
あまりにその傾向が強すぎるとされた者たちは…パチャカマック神殿送りにされた移民同様に、それまでの人生の記憶を忘却した一般の移民扱いされてしまうのです…。
つまり、こうなりますと次に上がって来るのは一般移民または技能移民候補の少年を求められた際となります。
ええ…この離魔の3つの神殿のうち2つ、移民を再生して淫化向きの人材を少年として産み出す…灸場やボロブドゥールとはまた違った内容の人間再生産工場、とでも申し上げるべき場所なのです…。
彼らが継承するのはただ一つ。
元の名前のみ。
いえ…プクヤーナの苗床から上がる場合は技能系の知識を移植されていますね…。
そして、聖院学院淫化神学部離魔分校を卒業した太陽乙女に率いられ、順次、赴任の地に赴くのです…。
(で、離魔近郊の移民村で今後、老齢の域に達して余命徴候表示が聖環に出たものは…)
はい。
この離魔であればワジャマルカ神殿が月乙女の所轄となります…。
即ち、死に行く者を看取る役目でもある月乙女たちが見守る中、安楽に最後の時を迎えてワジャマルカ神殿地下の苗床に溶けて同化する事になるのですよ…。
で。
そんな重要な機能を持たされて作られた淫化帝国、そして南米行政支局の重要都市たる離魔。
この都市だけで独立した支部扱いされているのも、むべなるかな。
そんな離魔支部の支部長をお勤めの方が今、朝の儀式として聖母教会にお越しです。
「おはようございます、聖エマネ…そしてクシー様…」
「おはようございますレオノール様、カリム様…」
ええ。
エマネ支部長、あれからメマーラ様と乳母支部を交代する形で、この離魔に赴任なさったのです…結局は…。
で、この離魔市の街開き当初の担当太陽神使として赴任された、元・リュネ王国のメマーラ王妃。
その後、離魔の統治を順調に行われた…訳ではなかったのです。
やはり、支部開設当初のごたごた、簡単に収束できるものではありません。
哀れにもメマーラ王妃は、ある意味ではハメられたようなものです。
そして、メマーラ王妃の実の娘たるエマネ王女が乳母支部長として開拓・開発された不倫垢の街に聖目摩羅として泣く泣く赴任することとなりました。
そう…メマーラ王妃にしてみれば、自分の娘が開拓した街に移り住むということになったのです。
これ、私たちの感覚では孝行娘が親孝行して開いた場所を左手うちわで統治するつもりで良いのではとなります。
しかし…長年、魔族との戦時体制を組んできたリュネでは、自分の子供にそれほどまでに手をかけられては王族、そして軍人としての能力や誇りを問われるような屈辱的な行為になってしまうらしいのです。
(即ち…エマネの助けなくば、私は淫化でやっていけぬと見られたようなものになるのですよ…リュネの者の見方であれば…)
本当に、涙ながらの離任だったのです…メマーラ王妃。
そして…エマネ王女との仲もリュネにいた時よりも遥かに険悪だとか。
(私、魔法を用いて成長を促されたのですよ…ですから、母の愛情とか云々よりも、まずはリュネ王家の出にふさわしい戦士を目指せとされたのです…)
今は正にこの聖母教会のリュネ人用告解室に二人きり…いえ、互いの侍従少年それぞれを在室させての私的な会話です。
即ち、内緒の話の部類。
(で、早期に大きく育てられたのはともかく、私個人は言うなればイリヤ叔母様の翼を目指してその背中の後を駆けておったような暮らしだったのです。なにせリュネは魔族が襲ってくる立場。王女と言えども剣を取るべき国情だったのですから…)
で、メマーラ王妃、イリヤ様の出身の一族の出であるどころか、実の妹君であらせられたのです。
そして、姉に武芸の才能を全て吸われたのでしょうか。
メマーラ王妃、辛うじて羽根が生えた程度の武力しか測られなかったと…。
(控え目に申しまして、母が分け身十人の技を繰り出せたとしましても…叔母が一瞬で勝ちます)
そんなにも、差があるものなのでしょうか。
(確かに剣聖は聖剣の力に助けられるところはあるのですが、それにしても戦士の基本が出来ておらねば、そもそも聖剣は己を握るに値せずとして炎を発して拒むしろもの。聖剣をただ、握れるだけでもリュネでは、立派な戦士の証でもあるのですよ…)
そう申されながら、腰の火炎剣なる剣を手に取られるエマネ殿下…いえ、陛下。
これは内々の話ですが、リュネ王国の王室崩壊後、一旦はイリヤ様が女王を名乗って王室体制を維持しておられたそうです。
しかし、リュネ王朝の生き残りが再びの生を受けたとあっては、イリヤ様としては自分が全てを背負っておるのもいかがなものかと考えられた様子。
(いやいやいや、もはやリュネ王国が君臨する土地などあって無きが如し。しかしながら、リュネ族の出身の神官女官の支えとなる位であるならば、王家の血筋を引く者が継承するが道理というものです…)
で、以前にもお話が出ました理由…最後のリュネ王妃は確かにメマーラ様ですが、その実の娘で王女たるエマネ様が王位を継ぐのが筋ではないかと申されるイリヤ様の案が通りまして。
で、エマネ様がリュネの王位を継ぐ事となったのです。
この王位委譲、リュネ関係者以外にはほぼ無意味であるというリュネ県人会、いえリュネ国民会なる同窓会めいた集いの主要者のみで戴冠式を密かに行なったのです。
(一般の淫化国民や、淫化出身者にリュネ世界の話をしても理解してくれる者は限られますから…)
ただ、痴女皇国側ではそれなりの扱いということで、ベラ子陛下が臨席されました。
そして王位の証となる王冠と、その代用品で戦闘時に装着する頭帯、ベラ子陛下と半ば無理やりに出席させられたメマーラ様の前でイリヤ様がエマネ様の頭に被せて、聖剣をエマネ様の頭部にかざして一振りする儀式を終えたのです。
(この時に聖剣が火を出せば、王位継承に異議ありとなってしまうのですよ…まぁ普通は剣聖がこれをやりますから、火を噴くことはないんですけどね…メマーラにあの頭帯と王冠を返したら、私は例えヤラセと言われてもメマーラの頭髪を焼こうとしたでしょう)
まぁまぁ、とここはイリヤ様の怒りを抑えておきます。
幸い、イリヤ様とエマネ様は同じ戦場を何度も経験したとかで仲は悪くない…というよりは一種の弟子。
どのくらい親しいのかと申しますと…エマネ様のおめこと尻穴、イリヤ様の逸物はご存知のはずです。
同様にイリヤ様のおめことけつめども。
いえ…無理からに犯されたメマーラ様を含めて、リュネ王家の母娘と侍従、それと剣聖様とは…。
(私は母様の穴なんて見たくも知りたくもありません。ちんぽが汚れます)
(私とて不肖の娘の穴なぞ知りたくもなし)
(これこれ。ただ…クシーはともかく、クシ皇子はメマーラとエマネの穴、全て知っておりますよ)
そしてフユキ様、全員の穴をご存知です。
(せめてエマネがクシ皇子とクシー王を取り替えてくれればぁっ)
(クシー様は今や王配王にして私直属の侍従勇者ですよ…母様を孕ませただけでも大問題なんですから…)
ま、まぁ…そんな…互いの侍従を取り替えるような事を頻繁にしておるリュネの王室関係者。
ですので、カリムもエマネ様の穴を知っております。
逆に、クシー様は私の穴、全てご存知の仲。
ああ、朝の儀式とやらも、淫化由来の純粋なものではなく、私たち痴女皇国関係者の精でエマネ様とクシー様を浄化する名目で行うのです。
そして、これを聖母教会で行なっている理由…これが、今の淫化と痴女皇国の関係を示すものとなるそうです。
即ち、リュネ女王にして淫化帝国の要職たるエマネ・リュネ・インティ様がクシー様を伴って「租界にお越し」なのです…。
そう、この聖母教会のあるじは私、レオノール。
そして、私はカリムを伴っております…。
告解の間で、エマネ様の高貴なお口にカリムが精を放つのも、当然の成り行きなのです。
そして私は、クシー様からの精毒を抜く立場。
役得などと申されませぬように。
(レオノール母様…サリム様が寂しがっておられますが…)
(ラウシュミ。あなたは球根詐欺国の王妃にしてカリブ総督。海賊共和国からカリブ海一帯を任された立場であり、更には私からキュラソー聖母教会大司教の地位を引き継いだ身の上なのです…もはやサリムは、立派な娘となったあなたを頼るべきなのです…)
(確かに母様は淫化の地で相応の活躍をなさっておられる件、マルハレータ殿下からお伺いしております。しかしながら、悪癖の噂もまた、あまた…離魔に配転されたこともその辺が影響しておると伺っております。くれぐれもキュラソーの轍をお踏みになられませぬように…)
ええそうです。
ラウシュミとサリム,私がキュラソーを離れる件を最後まで反対してくれておったのです。
しかし、ちょうど良い頃合いでもあったと、離任に合意した私の意向も反映されていたのですよねぇ…淫化行き。
(このキュラソーはスメネプ同様、母様とサリム様の思い出の地。いつ何時でもお戻り頂いて支障ないようにしております…)
(まぁ、レオノール様はスメネプみたいな場所が一番ええんかも知れませんわ…出世の道からは外れるかもですけどな、平和な村でそう多くはない生徒見てはる方が似合うておられるんじゃないですか…)
(アンジャニ。確かにそれは言えておるかも知れませんね…)
(言うときますけど、あの時スメネプの女で犯れるん全員、レオノール先生のコントルを知ってるんですからね…未だに先生を懐かしんでる女、結構おるんですよ…)
えええええっ。
確かにスメネプの人々に言うこと聞かせるのに一番手っ取り早いということで、結構無茶しましたけど…。
まぁ、スメネプ市がまだ、スメネプ村だった頃、私がスメネプ分校の教師だった頃の教え子たるアンジャニです。
この子と百姓村のジタやナビラ…6人しかいなかった当時の私の教え子のうち、女の子は3名でした。
そしてアンジャニ・ジタ・ナビラの3人はスメネプに残る夜這いの風習を嫌がったがために、最終的には3人とも慈母寺の尼僧となる道を選んだのです。
むろん、尼僧となってもコナックは避けて通れません。
しかし、尼僧に主導権が移るのです。
ましてや地方の聖母教会と同様、スメネプならスメネプの慈母寺はその担当地域の住民を支配する行政機関としても機能します。
そう…今や、スメネプの漁師町の実質的な町長はアンジャニと言ってよい立場なのです。
そのアンジャニですら、私を気遣い、こうして時々心話を寄越す有様。
(レオノール…慕われておいでのようですね…しかし、そんな貴方が、あまりよろしくないと感じるであろう知らせがあります。朝の精気授受と魔毒抜きの後で、エマネ支部長から辞令を受けて下さい…)
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