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がんばれペアーズ・おねショタ布教軍創設ものがたり・10.6
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しかし、実際にクシー王子とクシ皇子を分離できるものなのでしょうか。
「と言っても実際にはさほど難しくはないだろう。何より、クシー王子は一旦、魔大陸の苗床で再生をかけて頂いた身、あとは出産待ちの男児にクシ皇子の要素を繋げば良いらしい」
アスタロッテ様の顔からしても、それほど困難な作業でもなさそうです。
で、早速にもこのサクサイワマン神殿地下にも置かれた苗床を使っての作業、アスタロッテ様が実施されるそうです。
----
行政神殿の地下から転送門を通過すると、サクサイワマン北神殿地下の転送室に出て参ります。
目下のところは、ここと灸場のグァンタナモを結ぶ特殊な転送ゲート…貨車なる箱ごと、相互に物資や人を送り込む仕掛けが公式的には唯一の淫化と外を結ぶ通路となっております。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/233/
(絶頂都市にも一応は簡易浄化洗浄設備があって、そこを通して交易を行なっていますけどね…)
(尻出国からの川魚ですとか、裏淫化ではよく食べられておりますから、交易制限は困ると言われて…)
これは余談ですが、昔から淫化と…淫化に流入してきていたリュネの方々、鉄器を用いた物々交換の交易の他、生息可能な土地を探してアマゾン川を宅配…いえいえ、下っておられたようですね。
絶頂都市はアマゾン川の上流の結構大きな町ですが、経緯上淫化帝国の支配圏にあったものの、比較的女戦士族や首狩族との交易があって双方の民族が入り乱れる町だそうです。
ここ…私が学校開設の担当者であればいずれは訪れる町になるそうです。
ま、それはともかく。
「クシー王子、済まないが私と一緒に浸かって貰う。これは蓄積魔毒を除去する有効な方法でもあるので、済まないが慣れて頂きたい」
で、クシー王子がロッテさんを前にして、大人しい理由。
イリヤさんです。
(今やアスタロッテ個人とはしばき愛泣かせ愛の仲ではあるものの、魔族全体とは和睦と相成りました。これには、お伝えしました通り、魔族とて痴女皇国の庇護下に入らねばリュネ人ともども滅亡しておったでしょう…今や魔王ですら、我らと協調して向こうの最低限度の統治を行い、順次人をこちらへ逃しておる最中なのです…いずれは魔王とて、我が娘のエウドラやルキフェル、そして苗床ともども、この地に赴く事になりましょう)
そう…リュネ側の残酷な現実を前にしては争ってはおれないという事を理解しておられるのです。
「それに…朕…いえ、僕にも知識がありますが、聖剣を始めとするリュネ側の装備、元来ならば魔族を感知した時点で何かしらの反応を返すものなのです。しかるに、今の剣聖様、剣を抜くはおろか防護の光も出てはおりませぬ…」
「これはとんでもない話なんだが…イリヤ、マサミさんのりくえすととやら…」
「ええー、こんな場所であの話をしますか、この腐れ魔族っ…」
何でしょうか。
「簡単なことだ。マサミさんの要望で、我々、服を取り替えてだな…私に剣聖のあの恥ずかしい服をだな…」
(つまり、剣聖の装備ってのを私が身につけようとしても、元来は駄目とばかりに炎熱を出されるんだよ。逆に私の身の回りの装飾類、本当なら人族が身につければ皮が爛れてとんでもないことになるはずなんだが…マリアリーゼ陛下いわく、お互いの身体の内部共通化が進んだ成果らしいんだけどな)
「ロッテ。お言葉ですがあの魔族の装いって何ですかあれ。しかもあなた方の羽根を生やされてあくおちとか。流石にあれは二度と勘弁したいのですけど」
「それはマサミさんに言え。私とてあのような破廉恥な腐れ剣聖服、服が許そうとも二度と着用はごめんこうむる」
瞬間、イリヤさんの手が動きますが。
そしてロッテさんの手も。
ですが…。
「ぐ、ぐぬぬ…抜刀を拒まれました…」
あちちっと手を振っておられるイリヤさん。
どうも、聖剣は熱を出してイリヤさんが握るのを拒否したようです。
(エイモンです。魔剣曰く「そういう喧嘩は素手でやって欲しい。私も聖剣もそんな醜い争いの武器にされんの嫌です」って拒否しているようですよ、イリヤ様…)
(えええええ!)
(それ見ろ…お前が要らぬ事をするから拒否されるんだぞ…)
で、殴りかかるイリヤさんですが。
「ついでにお前も苗床に使って頭を冷やせ…素手ならお前と私、互角以上なんだから…」
あんぎゃああああ、と泣き叫びながら苗床から伸びてきた触手に引きずって行かれるイリヤさん。
「この場合はイリヤ様がダメな大人なのは理解しております」
クシー王子のみならず、この場の全員がイリヤさんに冷たい目を向けておりますが。
「うむ。それにイリヤを漬けても溶けないんだよな…一回溶かした方が本人には薬になると思うのだが」
そして、クシー王子の手を引いて苗床に浸かるロッテさん。
「クシー、もはや君は浸かっても溶けないとは思うが…まぁ、万が一溶融することがあっても私なら取り出せる。心配は無用だ」
ちなみにこの苗床、人の体温より少し高い熱さにされているようです。
「い~い湯だ~な~♪と浸かるのが良いらしい」
「苗床は温泉ですかぁっ」
「ニホンの修羅の大地にシイタケなるキノコがよく獲れる土地があるのだが、そこの温泉地にこのような血の池地獄があるようでな」
「優雅に浸かってる場合ですか…ちゃんと苗床を制御しておるのでしょうね…」
「というか痴女皇国の女官の皆様にも入りやすいようにと、このようにしろと話があったのだ。ほれ、手拭いもあるぞ」
と、比丘尼国の風習なのでしょうか。血の池のほとりの脱衣棚らしい場所から魔法でタオルを取り寄せて頭に載せておるロッテ様ですが。
(誰ですか、そんなもん思いついたのは…)
(マリアリーゼ陛下以外に誰がいる。マリアヴェッラ陛下のお国も温泉があるらしいが、そっちは水着入浴だそうだからな…普通の浴場とは別物の扱いのようだ)
「まぁ、今回のクシー王子、魔大陸の苗床発の身体だが、純粋なクシ皇子の身体再現でなくとも良いだろうと思うぞ」
「それはなんでまた」
ところでイリヤさん、何故にさっきまで嫌がっていたのに手拭いを頭に載せておいでに。
「成り行きというものです。それにほら、この間話にありましたこの近所の温泉。あれをいくつか訪問しましたところ、なるほどこれは娯楽にも健康にも良かろうと」
つまり、温泉に目覚められたようです。
「ちなみにこのクスコの街の浴場用水道も、源泉を掘り当ててそこから引いておりますよ」
これ、地味に大工事だったらしいのです。
現在はクスコの市街地の建物、あらかた上下水道完備となっております。
その設備と併せて、公衆浴場や寮の風呂も温泉にしてしまえとなった模様。
(この入浴風習、淫化はもちろん、私たちにも劇的な習慣だったのですよね…)
(私たちはまだ苗床があったが、お前たちは大変だったろ…)
(駐屯地ならまだ、炎熱剣で湯を沸かせましたけどね…)
で、痴女種とそれ以外を判別できる方法でもあるのですけどね…このお話。
「有り体に言うと体臭。入浴と洗体習慣でこうも変わるとはな…かつては、お前たちが物陰に潜んでいようとも、臭いですぐ分かったんだが…」
それを聞いて、苗床に飛び込む人物、2名。
エマネ様とメマーラ様です。
「ほほほほほ、流石にあんたらと言えど女は女ね…」
勝ち誇るイリヤさん。
そう…女というのは不潔になってしまう割に、人から不潔と指摘されるのを嫌がる生き物。
「痴女皇国の女官になってしまった者の還俗率が低い理由はお分かりでしょうか…」
ええ。あのお湯や水がふんだんに身辺に存在する、ある意味で贅沢な居住環境。
あれに勝てる百人卒未満の女官はそうそう多くありません。
まぁ…本宮またはスイスの拠点なら、1ヶ月で離れたくなくなります。
千人卒以上では身体のつくりが変わりますから、意識して人間のメスの匂いを出すなど出来るようになって来ますが、リュネ族や魔族互換の身体となると多少は純粋な地球の女官と変わるようですね。
「これさ、逆にイリヤにも言われたんだよな。魔族上がりは苗床のせいか、血潮や海っぽい匂いがするって…」
「正直な話、魔族の密使や密偵、他の者から遠ざけていたのですよね…」
と、申されるのはエマネ王女。
これまた興味深い話ですが、リュネ世界では魔族との混血者を数名、密かに雇い入れて宮廷に半ば匿っていたようなのです。
言うなれば魔族の大使のような立場。
ただ建前としては、魔族からの寝返り者や裏切り者扱いとしていたそうですが。
「でないと過激な戦士からは襲われる対象になってしまいかねませんでしたから…探知防止のための防衛魔法が効いている場所から出て頂く事が出来ませんでしたからね…」
「必要なのはわかってたのよ…だから私も存在だけは知ってたし…」
このイリヤさんのお話で、本当にこうした魔族との連絡員めいた方々が一般からは隠されていたのがわかります。
「姉様が剣聖になるまでは絶対に教えるなという、秘匿事項でしたからね…」
「失礼な。なんぼなんでもそのくらいは冷静になれますよっ」
まぁまぁ叔母さまとなだめに回るエマネ王女。
「時になぜレオノール様、苗床に近づかれないのですか」
あああああ!
エマネ様…そこに触れて欲しくはなかったのです…。
「うん、レオノール様には苗床に対する忌避感がな…」
「しかし、お一人だけというのもあまりに不憫…」
ちょちょちょちょちょちょっと待って下さい!
やめてやめてやめて!
…ええ、どうもエマネ様…かなりお強いようです…。
(どうやら苗床の至近であることから本来の力が出せてしまうようです…って暴れたら逆に危ないですって!)
いやその、私が暴れてるだけじゃないのですよ。
なぜかここの触手だけでなく、およそ苗床なるもの、私が近づくだけで虎視眈々と狙ってやがる気配があるのです。
そして今、実際に触手がずぼずぼずぶずぶとですね、私の水面下の身体に存在する穴という穴を探してですね。
「あのーロッテ様、なんで私、こうも苗床ってものに狙われるのか…ちょっとやめてやめてそこ駄目そこ!」
「ええと…少々お待ちを…こら、やめろ…客人だ…ええとですな、エロの…レオノール殿、貴殿の細胞が欲しいらしい…なんでも要求された要望通りの女官相当の神官を産む場合の参考にしたいそうでな…」
待って下さいよそれ。
私がエロノールとか陰口叩かれているのはまだしも、私を基本として淫化の神官、産み出されるのですか。
私は良いのですが、あちこちから苦情が来そうな理由です。
「少年偏愛の傾向を吸い取りたいと言ってるな…ほら、苗床自体も痴女皇国との接触後は女官の細胞やら鬼細胞やらを取り込んでいるだろう…一言で言うならば知性を高めてるんだよ…」
どっへぇ。
「もともとこの苗床、一種の生き物ですからね…私も母上も魔大陸のあれの中にいましたから理解はできますが、苗床の中に溶けている時に明確に自我を持ってもよしとされた者は会話に近いことすら出来たのです…」
「魔大陸のあれ、私とはある程度の話が出来ましたよ。そればかりか魔王とも」
ふーむ。
この、エマネ様やクシー王子の話以前に、この苗床にある程度の知性や知能が存在しているのは私も知っておりましたが、それにしても肌が受け付けないのですよっ。
ああっキモいっ。
まるで立ちんぼ女官を物色するような…はたまたキュラソーの置屋で女を選ぶような…ニホンの売春少女が事もあろうに貴重な客の事を「おぢんぼ」とか言って毛嫌いしておるようですけど、実際にそういう視線を受けると鳥肌が立つのです。
そして…そう言う部類の人物の触り方舐め方、文字通り実際の挙動以上に気色悪く感じてしまうのが女の性というもの。
あのシュウサク三兄弟のごとき気色悪さを全身で訴えるがごとき部類の男、いくらこちらが小指でチョイとひねれると申しましても、やはり生来の女の性分で、キモいと感じてしまうのです。
いえですね、以前、キュラソーで教材に使った童話。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/157/
あれ、実際に聖院時代にそれに近い実話があったそうですけど、あの寓話に出てくるようなプロゴンザのような男であれば、女官ならば「何とかしてやろう」「見栄えも変えてあげよう」とも思うのですよ。
実際に、醜男であっても、聖院はもちろん痴女皇国となっても、聖母教会にすがるか罪人であれば女官に訴えた場合、まず確実に外観をいじる対象にもらえるでしょう。
ただ…条件はありますよ。
痴女皇国なら痴女皇国に労働または精気貢納で貢献するのと、美貌を種にして女を搾取略奪するとか悪しき考えを持っていない事は絶対前提です。
あのプロゴンザのお話、実は実際に女官があのような外観の醜悪な男の本質を見抜くべきであるという教育を施すための教材だったのですから。
少なくともちーぎゅうとかきもをたなどとトウキョウあたりで言われておる方々でも、痴女皇国に骨を埋める覚悟さえあれば、我々女官、絶対に女に不自由させませんよ。
ただ…真面目に働き、人を騙したり陥れないことが絶対条件ですが。
このプロゴンザの絵本、実は痴女宮本宮の聖院学院本校を始め、あちこちで初等女子生徒や女官教育の教材として使われている…いわば痴女皇国の標準教科書めいた書籍のうちの一冊なのです。
ですから、私たち女官がキモいとかキショいと言っておる場合は、まずその外観だけでなく、内面も見て…そうですね、例のあのロリヤのような変態性欲者で女を凌辱強姦してあまつさえ殺害することにすら喜びを覚えるような犯罪的思考者かどうかを判断して評価を出しておるとお考え頂ければ。
つまり、ウィレムスタットのおっさん達や、シュウサク三兄弟のような連中かどうか相手の心中までを含めて値踏みした結果の評価なのです。
痴女皇国で少年を珍重するのも、そうした精神までもがスレて汚れた者はまだ少ないという理由もありますし、どのような醜い外観であっても少年のうちから矯正しておけば、それなりに女官の相手としてよろしい買春対象や聖母教会または慈母寺の小僧となってもらえるのです。
(罪人によっては偽女種や少年化するのもこの辺の事情があるのです…鉄は熱いうちに打てとは申しますが、実際に打ち直せる熱さに戻すのも方法なのです…)
しかし、苗床でもがきつつも、私には一抹の不安がありました。
それは、エマネ様はまだしも、メマーラ様です。
どうも…侍従がリュネ族の外観でないと嫌がるかも知れない可能性を感じたのです。
そして…クシ皇子は今更申し上げるまでもなく、昔の淫化人の王子。
明確に、リュネ族とは違う外観…はっきり申し上げまして、なにもしなければ未開の土人としか判断されかねないのです、メマーラ様からすれば…。
(正直、母は西方の色黒肌の女から生まれたクシー王子ですら忌避しております…元来、私ではなく母がクシーを侍従伴侶とする事すら提案されておりましたが、母が拒否したのは何も爆死した父王に操を立てるためではなく…単に母がクシー王子を避けたせいもあるのです…)
「と言っても実際にはさほど難しくはないだろう。何より、クシー王子は一旦、魔大陸の苗床で再生をかけて頂いた身、あとは出産待ちの男児にクシ皇子の要素を繋げば良いらしい」
アスタロッテ様の顔からしても、それほど困難な作業でもなさそうです。
で、早速にもこのサクサイワマン神殿地下にも置かれた苗床を使っての作業、アスタロッテ様が実施されるそうです。
----
行政神殿の地下から転送門を通過すると、サクサイワマン北神殿地下の転送室に出て参ります。
目下のところは、ここと灸場のグァンタナモを結ぶ特殊な転送ゲート…貨車なる箱ごと、相互に物資や人を送り込む仕掛けが公式的には唯一の淫化と外を結ぶ通路となっております。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/233/
(絶頂都市にも一応は簡易浄化洗浄設備があって、そこを通して交易を行なっていますけどね…)
(尻出国からの川魚ですとか、裏淫化ではよく食べられておりますから、交易制限は困ると言われて…)
これは余談ですが、昔から淫化と…淫化に流入してきていたリュネの方々、鉄器を用いた物々交換の交易の他、生息可能な土地を探してアマゾン川を宅配…いえいえ、下っておられたようですね。
絶頂都市はアマゾン川の上流の結構大きな町ですが、経緯上淫化帝国の支配圏にあったものの、比較的女戦士族や首狩族との交易があって双方の民族が入り乱れる町だそうです。
ここ…私が学校開設の担当者であればいずれは訪れる町になるそうです。
ま、それはともかく。
「クシー王子、済まないが私と一緒に浸かって貰う。これは蓄積魔毒を除去する有効な方法でもあるので、済まないが慣れて頂きたい」
で、クシー王子がロッテさんを前にして、大人しい理由。
イリヤさんです。
(今やアスタロッテ個人とはしばき愛泣かせ愛の仲ではあるものの、魔族全体とは和睦と相成りました。これには、お伝えしました通り、魔族とて痴女皇国の庇護下に入らねばリュネ人ともども滅亡しておったでしょう…今や魔王ですら、我らと協調して向こうの最低限度の統治を行い、順次人をこちらへ逃しておる最中なのです…いずれは魔王とて、我が娘のエウドラやルキフェル、そして苗床ともども、この地に赴く事になりましょう)
そう…リュネ側の残酷な現実を前にしては争ってはおれないという事を理解しておられるのです。
「それに…朕…いえ、僕にも知識がありますが、聖剣を始めとするリュネ側の装備、元来ならば魔族を感知した時点で何かしらの反応を返すものなのです。しかるに、今の剣聖様、剣を抜くはおろか防護の光も出てはおりませぬ…」
「これはとんでもない話なんだが…イリヤ、マサミさんのりくえすととやら…」
「ええー、こんな場所であの話をしますか、この腐れ魔族っ…」
何でしょうか。
「簡単なことだ。マサミさんの要望で、我々、服を取り替えてだな…私に剣聖のあの恥ずかしい服をだな…」
(つまり、剣聖の装備ってのを私が身につけようとしても、元来は駄目とばかりに炎熱を出されるんだよ。逆に私の身の回りの装飾類、本当なら人族が身につければ皮が爛れてとんでもないことになるはずなんだが…マリアリーゼ陛下いわく、お互いの身体の内部共通化が進んだ成果らしいんだけどな)
「ロッテ。お言葉ですがあの魔族の装いって何ですかあれ。しかもあなた方の羽根を生やされてあくおちとか。流石にあれは二度と勘弁したいのですけど」
「それはマサミさんに言え。私とてあのような破廉恥な腐れ剣聖服、服が許そうとも二度と着用はごめんこうむる」
瞬間、イリヤさんの手が動きますが。
そしてロッテさんの手も。
ですが…。
「ぐ、ぐぬぬ…抜刀を拒まれました…」
あちちっと手を振っておられるイリヤさん。
どうも、聖剣は熱を出してイリヤさんが握るのを拒否したようです。
(エイモンです。魔剣曰く「そういう喧嘩は素手でやって欲しい。私も聖剣もそんな醜い争いの武器にされんの嫌です」って拒否しているようですよ、イリヤ様…)
(えええええ!)
(それ見ろ…お前が要らぬ事をするから拒否されるんだぞ…)
で、殴りかかるイリヤさんですが。
「ついでにお前も苗床に使って頭を冷やせ…素手ならお前と私、互角以上なんだから…」
あんぎゃああああ、と泣き叫びながら苗床から伸びてきた触手に引きずって行かれるイリヤさん。
「この場合はイリヤ様がダメな大人なのは理解しております」
クシー王子のみならず、この場の全員がイリヤさんに冷たい目を向けておりますが。
「うむ。それにイリヤを漬けても溶けないんだよな…一回溶かした方が本人には薬になると思うのだが」
そして、クシー王子の手を引いて苗床に浸かるロッテさん。
「クシー、もはや君は浸かっても溶けないとは思うが…まぁ、万が一溶融することがあっても私なら取り出せる。心配は無用だ」
ちなみにこの苗床、人の体温より少し高い熱さにされているようです。
「い~い湯だ~な~♪と浸かるのが良いらしい」
「苗床は温泉ですかぁっ」
「ニホンの修羅の大地にシイタケなるキノコがよく獲れる土地があるのだが、そこの温泉地にこのような血の池地獄があるようでな」
「優雅に浸かってる場合ですか…ちゃんと苗床を制御しておるのでしょうね…」
「というか痴女皇国の女官の皆様にも入りやすいようにと、このようにしろと話があったのだ。ほれ、手拭いもあるぞ」
と、比丘尼国の風習なのでしょうか。血の池のほとりの脱衣棚らしい場所から魔法でタオルを取り寄せて頭に載せておるロッテ様ですが。
(誰ですか、そんなもん思いついたのは…)
(マリアリーゼ陛下以外に誰がいる。マリアヴェッラ陛下のお国も温泉があるらしいが、そっちは水着入浴だそうだからな…普通の浴場とは別物の扱いのようだ)
「まぁ、今回のクシー王子、魔大陸の苗床発の身体だが、純粋なクシ皇子の身体再現でなくとも良いだろうと思うぞ」
「それはなんでまた」
ところでイリヤさん、何故にさっきまで嫌がっていたのに手拭いを頭に載せておいでに。
「成り行きというものです。それにほら、この間話にありましたこの近所の温泉。あれをいくつか訪問しましたところ、なるほどこれは娯楽にも健康にも良かろうと」
つまり、温泉に目覚められたようです。
「ちなみにこのクスコの街の浴場用水道も、源泉を掘り当ててそこから引いておりますよ」
これ、地味に大工事だったらしいのです。
現在はクスコの市街地の建物、あらかた上下水道完備となっております。
その設備と併せて、公衆浴場や寮の風呂も温泉にしてしまえとなった模様。
(この入浴風習、淫化はもちろん、私たちにも劇的な習慣だったのですよね…)
(私たちはまだ苗床があったが、お前たちは大変だったろ…)
(駐屯地ならまだ、炎熱剣で湯を沸かせましたけどね…)
で、痴女種とそれ以外を判別できる方法でもあるのですけどね…このお話。
「有り体に言うと体臭。入浴と洗体習慣でこうも変わるとはな…かつては、お前たちが物陰に潜んでいようとも、臭いですぐ分かったんだが…」
それを聞いて、苗床に飛び込む人物、2名。
エマネ様とメマーラ様です。
「ほほほほほ、流石にあんたらと言えど女は女ね…」
勝ち誇るイリヤさん。
そう…女というのは不潔になってしまう割に、人から不潔と指摘されるのを嫌がる生き物。
「痴女皇国の女官になってしまった者の還俗率が低い理由はお分かりでしょうか…」
ええ。あのお湯や水がふんだんに身辺に存在する、ある意味で贅沢な居住環境。
あれに勝てる百人卒未満の女官はそうそう多くありません。
まぁ…本宮またはスイスの拠点なら、1ヶ月で離れたくなくなります。
千人卒以上では身体のつくりが変わりますから、意識して人間のメスの匂いを出すなど出来るようになって来ますが、リュネ族や魔族互換の身体となると多少は純粋な地球の女官と変わるようですね。
「これさ、逆にイリヤにも言われたんだよな。魔族上がりは苗床のせいか、血潮や海っぽい匂いがするって…」
「正直な話、魔族の密使や密偵、他の者から遠ざけていたのですよね…」
と、申されるのはエマネ王女。
これまた興味深い話ですが、リュネ世界では魔族との混血者を数名、密かに雇い入れて宮廷に半ば匿っていたようなのです。
言うなれば魔族の大使のような立場。
ただ建前としては、魔族からの寝返り者や裏切り者扱いとしていたそうですが。
「でないと過激な戦士からは襲われる対象になってしまいかねませんでしたから…探知防止のための防衛魔法が効いている場所から出て頂く事が出来ませんでしたからね…」
「必要なのはわかってたのよ…だから私も存在だけは知ってたし…」
このイリヤさんのお話で、本当にこうした魔族との連絡員めいた方々が一般からは隠されていたのがわかります。
「姉様が剣聖になるまでは絶対に教えるなという、秘匿事項でしたからね…」
「失礼な。なんぼなんでもそのくらいは冷静になれますよっ」
まぁまぁ叔母さまとなだめに回るエマネ王女。
「時になぜレオノール様、苗床に近づかれないのですか」
あああああ!
エマネ様…そこに触れて欲しくはなかったのです…。
「うん、レオノール様には苗床に対する忌避感がな…」
「しかし、お一人だけというのもあまりに不憫…」
ちょちょちょちょちょちょっと待って下さい!
やめてやめてやめて!
…ええ、どうもエマネ様…かなりお強いようです…。
(どうやら苗床の至近であることから本来の力が出せてしまうようです…って暴れたら逆に危ないですって!)
いやその、私が暴れてるだけじゃないのですよ。
なぜかここの触手だけでなく、およそ苗床なるもの、私が近づくだけで虎視眈々と狙ってやがる気配があるのです。
そして今、実際に触手がずぼずぼずぶずぶとですね、私の水面下の身体に存在する穴という穴を探してですね。
「あのーロッテ様、なんで私、こうも苗床ってものに狙われるのか…ちょっとやめてやめてそこ駄目そこ!」
「ええと…少々お待ちを…こら、やめろ…客人だ…ええとですな、エロの…レオノール殿、貴殿の細胞が欲しいらしい…なんでも要求された要望通りの女官相当の神官を産む場合の参考にしたいそうでな…」
待って下さいよそれ。
私がエロノールとか陰口叩かれているのはまだしも、私を基本として淫化の神官、産み出されるのですか。
私は良いのですが、あちこちから苦情が来そうな理由です。
「少年偏愛の傾向を吸い取りたいと言ってるな…ほら、苗床自体も痴女皇国との接触後は女官の細胞やら鬼細胞やらを取り込んでいるだろう…一言で言うならば知性を高めてるんだよ…」
どっへぇ。
「もともとこの苗床、一種の生き物ですからね…私も母上も魔大陸のあれの中にいましたから理解はできますが、苗床の中に溶けている時に明確に自我を持ってもよしとされた者は会話に近いことすら出来たのです…」
「魔大陸のあれ、私とはある程度の話が出来ましたよ。そればかりか魔王とも」
ふーむ。
この、エマネ様やクシー王子の話以前に、この苗床にある程度の知性や知能が存在しているのは私も知っておりましたが、それにしても肌が受け付けないのですよっ。
ああっキモいっ。
まるで立ちんぼ女官を物色するような…はたまたキュラソーの置屋で女を選ぶような…ニホンの売春少女が事もあろうに貴重な客の事を「おぢんぼ」とか言って毛嫌いしておるようですけど、実際にそういう視線を受けると鳥肌が立つのです。
そして…そう言う部類の人物の触り方舐め方、文字通り実際の挙動以上に気色悪く感じてしまうのが女の性というもの。
あのシュウサク三兄弟のごとき気色悪さを全身で訴えるがごとき部類の男、いくらこちらが小指でチョイとひねれると申しましても、やはり生来の女の性分で、キモいと感じてしまうのです。
いえですね、以前、キュラソーで教材に使った童話。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/157/
あれ、実際に聖院時代にそれに近い実話があったそうですけど、あの寓話に出てくるようなプロゴンザのような男であれば、女官ならば「何とかしてやろう」「見栄えも変えてあげよう」とも思うのですよ。
実際に、醜男であっても、聖院はもちろん痴女皇国となっても、聖母教会にすがるか罪人であれば女官に訴えた場合、まず確実に外観をいじる対象にもらえるでしょう。
ただ…条件はありますよ。
痴女皇国なら痴女皇国に労働または精気貢納で貢献するのと、美貌を種にして女を搾取略奪するとか悪しき考えを持っていない事は絶対前提です。
あのプロゴンザのお話、実は実際に女官があのような外観の醜悪な男の本質を見抜くべきであるという教育を施すための教材だったのですから。
少なくともちーぎゅうとかきもをたなどとトウキョウあたりで言われておる方々でも、痴女皇国に骨を埋める覚悟さえあれば、我々女官、絶対に女に不自由させませんよ。
ただ…真面目に働き、人を騙したり陥れないことが絶対条件ですが。
このプロゴンザの絵本、実は痴女宮本宮の聖院学院本校を始め、あちこちで初等女子生徒や女官教育の教材として使われている…いわば痴女皇国の標準教科書めいた書籍のうちの一冊なのです。
ですから、私たち女官がキモいとかキショいと言っておる場合は、まずその外観だけでなく、内面も見て…そうですね、例のあのロリヤのような変態性欲者で女を凌辱強姦してあまつさえ殺害することにすら喜びを覚えるような犯罪的思考者かどうかを判断して評価を出しておるとお考え頂ければ。
つまり、ウィレムスタットのおっさん達や、シュウサク三兄弟のような連中かどうか相手の心中までを含めて値踏みした結果の評価なのです。
痴女皇国で少年を珍重するのも、そうした精神までもがスレて汚れた者はまだ少ないという理由もありますし、どのような醜い外観であっても少年のうちから矯正しておけば、それなりに女官の相手としてよろしい買春対象や聖母教会または慈母寺の小僧となってもらえるのです。
(罪人によっては偽女種や少年化するのもこの辺の事情があるのです…鉄は熱いうちに打てとは申しますが、実際に打ち直せる熱さに戻すのも方法なのです…)
しかし、苗床でもがきつつも、私には一抹の不安がありました。
それは、エマネ様はまだしも、メマーラ様です。
どうも…侍従がリュネ族の外観でないと嫌がるかも知れない可能性を感じたのです。
そして…クシ皇子は今更申し上げるまでもなく、昔の淫化人の王子。
明確に、リュネ族とは違う外観…はっきり申し上げまして、なにもしなければ未開の土人としか判断されかねないのです、メマーラ様からすれば…。
(正直、母は西方の色黒肌の女から生まれたクシー王子ですら忌避しております…元来、私ではなく母がクシーを侍従伴侶とする事すら提案されておりましたが、母が拒否したのは何も爆死した父王に操を立てるためではなく…単に母がクシー王子を避けたせいもあるのです…)
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保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
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