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柑橘島の甘い恋 -oranje eiland- 3

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マリア「さて皆様、なんとか地図の助けなく界隈の地理の理解を試みるコーナーがやってまいりました」

べらこ「ねーさん…いきなり何なのでしょうか…それに皆様がこのお話をご覧になっている板ないし箱にジョクジャカルタ インドネシアと入れるとすぐわかるものらしいのですが…」

マリア「まぁとりあえず、スマランから南の南洋島、即ちジャワ島中部の概要だそうだ」

べらこ「えらい大きな山がジョクジャカルタの北にいくつもあるのですよね。しかも全部火山とか…」


以下よくわかるかも知れない南洋島中央部略図
---------------------------------

         ↑
   痴女島・出稼ぎ国・比丘尼国

      ジ ャ ワ 海
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
        ○スマラン
←バンドン・ジャカルタ
          スラバヤ・マドゥラ島・茸島→
 △サンドロ山(3,136m)
       △ムラピ山(2,930m)
  △スンビン山(3,370m)   ○スラカルタ
    ○ボロブドゥール
         ○クラテン
       ●アジスチプト
      ○ジョクジャカルタ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      イ ン ド 洋

        流刑地大陸・西オーストラリア州↓

------------------

マリア「地形としては横倒しにしたイタリアに似てるんだよ、ジャワ島」

べらこ「確かに、山が多いのは上空から見てもわかります。何度かボロブドゥールやアジスチプトまで飛んでいますけど、あの辺の山のせいでアプローチのコースが限られているんですよね。特にボロブドゥール」

マリア「ただ、この山と熱帯性気候のおかげでマドゥラより遥かに水が豊富なんだわ。痴女島の4,000mmには及ばないが、年間平均降水量3,140mmだっけかな。茸島がデンパサールでだいたい1,500~2,000mmと思ってくれ」

べらこ「では、マドゥラは…」

マリア「間違いなく年間降水量は1,000mm未満だ。水田がろくに存在しないんだよ、連邦世界の現代だと…マドゥラと同じような島の環境にある小スンダ列島のティムールで年間降水量670mm未満の地域があるんだが、おそらくそれくらいしか雨、降らない土地だな」
https://twitter.com/725578cc/status/1692396224757088365?s=20
https://gec.jp/jpn/cdm-fs/2009/200913MUS_jIndonesia_rep.pdf

べらこ「確か日本で一番年間降水量が少ない林檎県で900mm、渇水がニュースになりやすいうどん県ですら1,150mmはあるのでは…」

マリア「だからマドゥラはスペインやギリシャ、イタリア南部並みに雨が少ないんだ…でなきゃ乾季だけとはいえ塩田ガンガン作れないだろ?」

べらこ「ですよね…なるほど、だから牛を飼うのも盛んなのですか」

マリア「そんなとこだな。というわけで、この辺の知識を頭に入れておいて頂いてからレオノールさんの話を聞いてあげて欲しい」

べらこ「ではとりあえず、ボロブドゥールに向かう列車の中からのお話の続きにイングランディーレズームイン

---------

さて皆様、前回の続きで列車にてボロブドゥールに向かっております慈母寺教職尼僧のレオノールと、元教え子で親密な仲のサリムですが、私たちが目指すボロブドゥールとはどこに存在し、そしてどのような場所であるのか…。

もちろん私は知っておりますが、サリムには全てが未知の世界と言って過言ではない状態です。

なにせサリムはマドゥラ島から出た事がない子です。

目に入るもの全てが珍しいらしく、窓に釘付け…特に緑豊かで、大きな川もそこそこあるジャワ島の景色が羨ましいようですね。

ただ、マドゥラ族としてのオルグーリョプライドがあるのか、あれ何これ何と小さな子のようにあれこれと聞いては来ませんね…。

「百姓村の子だと、川や田んぼがあちこちにあるのをうらやましがると思いますよ…いや、おれでも真水にはくろうしましたから…」

「今は慈母寺で水をもらえるのでしたね」

「川も枯れなくなってありがたいって百姓村の子も言ってました。おやじはいい顔しないんですけど、川遊びできるくらいに水が増えたんですよね、おれたちがいちど女に変わってお寺ができたあとの川…」

「あー、女体化作戦の後で河川改良してもらえたんやな…」

(正直に言う。マドゥラの河川水源地には順次、チンポネックス・ボッキダスを密かに試験投入してるんだわ…)

(ええっ、なんであんなヤバいもんを…)

(水源カイゼンだよ…塩田があるから茸島並みに降水量を増やしてあげるのもまずいし、地下水を吸い上げたり地中深くに流れ込みにくい土壌に変えてみてるんだ…)

(なるほど、あれ地下水を吸い上げる効果すらありますからな…飲み水だけでも確保できたらあとは通常型のチンポネックスの出番と…)

(プラス、海岸沿いの町の慈母寺に置いた海水の淡水化装置だな。海流が期待できるからうどん県みたいに瀬戸内海に高濃度塩水を捨てると怒られるような環境被害は起きないだろうし、抽出塩分は脱水化してマドゥラ名産に混ぜて出荷できるだろ。つまり塩の生産もできるんだよ…)

(助かりますわ。なんせ南洋王国、意外に地域で水事情に格差ありまくりで…基本はあんま困らんのですけどなぁ)

「ところでお伺いしたいのですが」

と、私は…ある疑問を伝えます。

「そのキュラソーなる島、恐らくオレンジが主産品となるくらいですから水事情、かなり悪いと推測しますが…」

(安心してくれ。聖母教会を置いた時点でウィレムスタットを中心に水道を設備した。他の場所についてはイタリア型集水井戸が主な水源になるけど、水にはさほど苦労はないと思う)

「あの界隈、ほんま真剣に海賊の皆さんの寄港地情報で切り開いた一面があるようでな。帆船は特に水に困るから、上陸して調べるのはまず第一に水。それから食い物になりそうなもんと原住民やそうや」

なんで原住民なんでしょうか。

「いきなり争いになりさえせぇへんかったら、連中には貴重な情報源なんや。金貨や小さい宝石なんかで目を惹きつけてそれを贈る。で、軍の艦隊とか冒険家なら原住民と揉めてる可能性があるから、可能ならその辺の言葉を知ってそうな奴を雇って通訳をさせて情報を聞き出すとか、単純に水を汲める場所はないかとか色々聞けるわけや」

ああ、海賊酒場で聞き出されたのですね、その辺のコツ。

「で、友好的な関係を築けそうなら食料とか道具とか、もう少し実用的なもんを置いて行ったりしたるわけや。これはまぁ、懐柔の基本やろなぁ」

で、マルハレータ様は自身の足…足の履き物をサンダルからブーツに替えてしまいます。

「たとえば、仮に履き物が原始的か裸足の連中がおったとしよう。で、ワイらは靴を履いておる。サリムくん、仮にワイが探検家で君が住民やったとして、靴見せられてこれ欲しくないかとか言われたらどうする」

「うーん、百姓やってるとか土工で泥だらけになったり、あるいは山の中に入ることしてるならほしいかも知れません。あとはマルハレータさまが交換で何をほしがられるか。魚かいもかとかをかんがえます」

「つまりやなレオノール、海賊でなくても原住民に対しては交換条件が成立しそうなものを見せてやるんや。もし相手に交換できるものがなさそうでも、水を飲む真似をするとか、あるいは鳥が飛んでたり獣がおるところはないかとかな。これはワイも船乗りや探検家がおった国のもんやから理屈はわかるわ」

「すなわち、今後はそうした形で住民との接触が必要となる場所に行かされると」

「あるいは行かされるのが予定されているやつを教えるか、や。近隣の島、特にボネールは湧水が出るから漁師と塩作りが主に住み着いてる。アルバは燃える水が出るんやったかな…ただ、アルバもボネールもキュラソーも地理的条件としては、南米大陸…それも効果淫や快感王の産地に近いねん。早い船なら1時間で着くやろな」

と、近隣の地図を見せられます。

(あと言いたないんやけどな、フランス人が海賊相手にやっとった売春窟があるんや…)

(連邦世界のCampo Alegre Curacaoとは場所が違うから注意が必要だってのも言っとかないと…)
https://twitter.com/725578cc/status/1692534360065577160?s=20

そこ、どうしたんでしょう。

(ティアラいわく聖母教会の邪魔になるからと潰すことを考えたけど、娯楽館に置き換えたらしい。んで、営業してた女連中は希望者…最終的に全員が女官化されたと)

ふむふむ。とりあえずは痴女皇国の管理下にあるのですね。

(あと読者様に言うときますと、痴女皇国世界の現在のキュラソーではそっちのような10万人も住んでる状況になっとりません。製塩とオレンジでせいぜい数千名が関の山。特徴あるコロニアル風の色とりどりの建築も、そちらの今の数分の一という小ぢんまりとした街っすわ)

ではそんな島をなぜ、球根詐欺国が欲したのでしょうか。

「簡単に言うと球根詐欺のもんが見つけてワイらのもんやーと宣言したという大航海時代あるある物件やな」

「そ、そんな単純な…」

「まぁとりあえずワイのもんじゃあと国旗建てて領有宣言して記録残すのは基本やねん、ふはは…で、なんで領有宣言ぶっこんで拠点作るかというと、帆船っちゅうもんは基本、風のままに進むいう厄介な代物やから、拠点が多い方がええんや。そして可能なら水の補給地を確保したいし、その島なり陸地に掘れそうな資源があればなおさらや。そして中継拠点があれば、そこを基地にしてさらに先へ攻め入ることができるやろ。実際にキュラソーにはアムステルダム要塞っちゅうの作りよったけどな」

「あと、その島と両となりをおさめておけば、そのまわりで漁もできますよね」

「せやな。つまりは領海という主張もできるわけや。今でこそ中米行政支局の縄張りになっとるけど、かつてはスペインフランス英国ポルトガルにわしの生国も加わって陣取り合戦やっとったからな、あの辺」

と、ここで給仕の女官が珈琲淫と共に、何やら運んで来ます。

ふむ、これは快感王…チョコレートですね。

(それちょっと食べ比べてみな)

と、マリアリーゼ陛下が言われますので、丸と四角に整形されたそのチョコレート、比較してみます。

「丸の方がしっとりしてます。四角は…ちょっとがさつな感じがします」

両方を順番に口にしたサリム、はっきりと言い切ります。

「ほら、マルハレータさまが駄菓子屋をしていた時に、安物とちょっと高めのを食べくらべさせてくれたでしょう。あのときと同じようなちがいが」

「実はそれな、ちゃんとした味の方がその…キュラソーの先の大陸側で採れる快感王やねん」

ええっ。

…太りませんし、もう一個いいですよね。

「で、味があまり良くないのは邪魔烏賊産らしい。つまり、無駄にするわけにもいかんから無理からにこしらえた在庫処分品の豆で作った安物やと」

ふむふむ、しかし、産地でこうも違うものですか。

「これは珈琲淫にしても同じやで。あれもこの南洋王国で言うと金玉高原とか、栽培場所を選ぶ部類やろ…ただ、いくらええもんが取れるからと言うたかて、当時はいきなり大陸側に港なり何なりの拠点はそう簡単に作れるもんやあらへん。キュラソーはそうした段階を踏むための拠点として整備された経緯があると思うてくれ」

(それとレオノール…ぶっちゃけ言うけどキュラソー聖母教会は娯楽館を管理しとる。そんな、万にも満たない人口の島に教会二つもある時点でなんかおかしい思わんか)

(言われてみれば。それにマルハレータ様のお話では、貿易品の中継と補給もしていた港とお見受けしました。海賊たち相手の売春宿もあったなら、なおさら船乗りのための港という印象ですね)

「とりあえず球根詐欺支部には最低限何人かは人を出せ。でなくば管理能力を疑われて島、取り上げられてしまうぞと妹を脅してあるからおっつけ返事はあるやろ。ワイも向こうに着いたら中米行政支局に協力して各島ドサ回りなんは確定しとるしな…」

で。

それは良いとして快感王なんか食べさせていいのかという気もしました。

むろん、サリムにです。

(ボロブドゥールに着いたらサリムくんには偽女種になる工事があるやないか…それとレオノールには例のプラントに入って出産処置を受けてもらうで…名前も考えときや…)

(それならラウシュミで決めてますよ…Laut Sumenep…スメネプの海をもじったのです…)

(我は海の子ってやつか。いいんじゃないかな、サリムくん)

(ま、まぁ…ぼくには学がありませんからせんせいに任せましたけど…)

(今はなくてもいいんだよ。あとあと身につけられるし、ボロブドゥールに行けばより賢くする処置を受けてもらう事になるからね…)

ああ、そうですね…指導偽女種になる場合、いわば男性状態の女官と言ってよいものです。

----

さて、列車はジョクジャカルタに着きました。

ここでもカリブに赴任する人々を列車に迎え入れるそうですが。

(マルハレータはわかるわね…例の同棲街の夫婦を何組か行かせる事になるわ…ただ、これも灸場に移り住んでもらう代わりに、現地の男女を送り込む事になるそうよ)

それとサリムは駅の北側にある街に興味があるようです。この時点では小さな漁港のスメネプはもちろん、パメカサンよりも明らかに大きな街ですから。

(ジョクジャカルタを出ると北に大きくカーブしてムラピ山を避けるから、その時に街の全景が見れるわね。駅南側の宮殿街は厳しいかも知れないけど…)と、室見局長から見どころ案内が。

で、駅を出て川を渡ると右に大きく回り込みながら土を盛って盛り上げた線路の上を走りますが、その際に室見局長が言われた通りの光景が広がります。

(サリム君に教える必要はないと思うけど、スマランからの例の特殊輸送列車もこのルートを走るのよね、時間稼ぎのために…スラバヤからの北回り線はスマランからムラピ山の北側を走って、この中央高速線と合流してボロブドゥールに着くから、本来ならそっちの方が早いのよ)

ええ、ボロブドゥールに着く前に大きく左へ曲がりましたが、その際に北側から来た鉄の道が合流する場所がありましたから。

もっとも、サリムの意識は平野に忽然と高くそびえるムラピ山や、左手の山々に驚いているようです…。

しかし、無理もないでしょう。

あまり高い山がないマドゥラから出ないと、こうした地形や光景には馴染みがないままに一生を終えかねませんから…。

そして椰子の木やシュロ、バショウと言った南国の植栽を中心とした緑豊かな山裾や水田の中を走った列車は、ボロブドゥールを前に再び地下に潜ります。

(地上ホームは地下に統一しました。この駅、はっきり言って一番使うのが1番線…罪人処置者を運び入れる入り口直結ホームに人を下ろすのが主目的だからね…)

で、室見局長もここで乗ってきた列車から降りられます。

(この駅で貴賓車の切り離しと機関車交換。で、あたしが乗って来たのはこの後精気充填と点検整備の後で次の仕事まで待機します…貴賓車はこの駅の地下車庫が定位置だからあたしは収納と整備に付き合います)

(レオノールさんとサリムくんにはおでむかえがきていますよ)

我々も、給仕をしてくれた侍従役の女官の方に案内されて列車を降りますが…。

「皆様ようこそボロブドゥールへ…そしてニョニャ・オリューレ、ラトゥ・マルハレータ、グル=ペレンプアン・レオノール、おかえりなさい」

ええ、オレンジ色の水着というか、紐だけのような姿に薄いオレンジ色のベールを羽織ったアニサ大僧正が、他の尼僧や騎士を伴って待ち構えておられました。

ぞろぞろと降りた他の男女は心話で誘導されているのでしょう、大きく開かれた入り口に向かっています。

(実はこの人たちは今から転送ゲートを経由してグァンタナモに向かうんだわ…と言っても囚人扱いするためじゃなくて、向こうの初期教育設備を利用して聖母教会地域向けの研修を施したあと、ハバナの一般住宅街に移す。で、ところてん押し出しでハバナ在住の選抜住民を被災地に送り込んで復旧復興に従事、その後は南米大陸を含めた定住要員にしていくから)

(なるほど…確かに灸場なら慣れない土地で苦労することは少ないと思います。あそこなら生活指導も受けられますし、設備や居住環境も充実してますからね…)

(つまり、今この列車で来た人ら、優良住民として向こうで扱ってくれるっちゅうことですわな)

(そそ。だから緊急の送り込み要員を中米支局側で出す穴埋めに送り込む人だと思ってくれたらいいよ)

(で、グァンタナモからハバナまでの移送列車の指導運転士とか、ハバナの列車運転状況調査とか何よまりり…あたしハバナにいい印象ないんだけど…)

(あれはパイセン無罪とは言いがたいですよ…)

(それに被災現地の調査とか、エマちゃんがすでに向こうに行っているけどさぁ)

(わかったからとりあえずその貴賓車仕舞って来てくれ…あたしは皆の転送に付き合って一旦グァンタナモに行って担当に引き渡すから、ベラ子とアルトはレオノールさんとサリムくん連れてアニサちゃんとオリューレさん、それからマルハちゃんについて行ってくれ)

でまぁ、不安そうに私にしがみつくサリムですが。

「心配いりませんよ。私もここで慈母寺向けの研修を受けましたから中はある程度知っています」

そう…慈母寺関係者には馴染みが深い場所なのですよね。

でまぁ、サリムと私が食べた快感王チョコ。

混ざり物が入っていたのは感知していました。

つまり、マドゥラ族対応の鬼細胞製剤。

私には新型鬼細胞対応女官用身体化、サリムには指導偽女種化をもたらすためのものだそうです。

そしてここで、アルト閣下がいらっしゃる理由が判明しました。

例の…と言って通じますでしょうか。

慈母観世音菩薩像が存在する地下礼拝堂で聖水を浴びる儀式を済ませたサリムの体に変質が始まりますが、ここぞ、という時にアルト閣下が鞘から抜かないままに手持ちの刀でサリムと私の頭をかるーく叩きます。

(ごめんなさいさりむくん。これは、あなたがおにになってしまわないためにひつようなことなのです)

そう…経口製剤で取り込んだ鬼細胞を安定定着させるためにはアルト閣下の持つ剣が必要らしいのです。

(サリムくんはレオノールさん以外とはあまりアレをしたくないみたいですからね。で、ねーさんが一計を案じたのですよ)

(あたくしのリトルクロウはりょうほうに刃がついてますから、ぬいてたたくととんでもないことになりますからね…)

「すごいけんですね…」と、アルト閣下が抜いてみせたその剣の刃を見てうなるサリム。

確かに、一見すると普通の剣のようですが、刃の部分の模様からして、何度もカンカンと打って鍛えたらしい構造のようです…。

(こがらすまるというにほんのかたなを、せんだいの銀衣騎士がつかいやすいようにつくりなおしたのです…つかは気にしないように…)

あー…聖院時代に騎士に支給されていた剣や、痴女皇国になってからのはりせんの柄が男性のアレそのものという件ですね…。

で。

問題は偽女種になったサリムですがぁっ。

「普通ならここで得度式をやるのです。やるのですが…聖母教会の管轄に行くんですよね…」

「問題ありません。超・略式ですがあたしがやります。ただ…本式はね、ほらね」

滝のような汗をかいておられるベラ子陛下ですが、理由はよくわかります。

ええ、最低でも聖母像から噴き出る聖水を浴びる事になるからです。

ですがベラ子陛下いわく。

「さっき既に聖水を浴びて偽女種化したんですから、あとは司祭と聖母が認めれば済む話ですっ。確かこうした場合に備えて聖母教典も用意はされていたはず…」

(最近はここのからすぐさま灸場や欧州に配転したり、あるいはある程度の階級の女官を送り出すことも少なくありませんので、聖母教会の僧侶や職員としての洗礼も行えるように設備と対応兼務者を配置しているのですよ…)

「陛下、前に使ったでしょ…屋上であれやる時用の聖母像、ありますけど」

「めんどくさいから生聖母でやりましょう。あたしがレオノールさんの後ろに立つ形で宣誓をするのです…」

と、前代未聞になるのでしょうか。なんと二代目聖母…ベラ子陛下の前で宣誓式を始めることに。

そして運ばれて来た台の上に置かれた罰姦聖母教典の上に、サリムの左手を取って置かせます。

で、右手を上げさせて宣誓の文言を…。

(これはちょっとズルをしましょう…サリムくん、あたしがこうして心話で指示しますから、その時になったら手を上げてあたしが教える通りに誓うのですよ…)

と、ベラ子陛下がこっそりと手助けを。

「この度、マドゥラはスメネプに住まう慈母宗門徒サリムは風雨の害に遭うた聖母教徒を救うべく、彼の地に向かい人を助くるべしというめいを慈母観世音菩薩様より授かる事となりました」

これはアニサ大僧正の前振りです。

「付きましては門徒サリム、今より貴方は慈母宗姦官の役位を聖母教会規則に照らし合わせ、然るべき役位を改めて聖母教会より授かるものとします。司祭様」

で、これは司祭役位の私が引き継ぎます。

「慈母宗門徒サリムは赴任地においては罰姦聖母教会の職員としてお勤めし、司祭を助けて現地聖母教会所轄管内の困りし人々を導くための修練に挑むこととされました。ただし…元来なれば罰姦聖母教会は東方聖母教会や慈母寺と違い、偽女種を正式な修道職員とはみなしておりません」

これ、本当です…。

懲罰偽女種が罰姦での偽女種のバシコデフォルトなのです。特に罪深い者がそれまでの性別を問わずに堕ちるとされているのです…。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/127/

では、サリムは短命の懲罰偽女種になるのか。

「しかし、姦官かんかんすなわち各聖母教会における指導偽女種となり、その役位は罰姦での男性修道士または東方教会での偽女種修道士に準拠することとなります。従いまして、修練者サリムは差し当たりまして修練の暁の役位たる修道助祭を皮切りとして、より高位の役職を目指して貰うために、ここに聖母教会修練士の地位を与えることとなります。サリム、この扱いに合意するならば右手を挙げて宣誓してください」

(サリムくん、今です…右手を挙げて「スメネプのサリムは今より聖母の元で修道士となるべく修練いたしますことをここに誓います」と言うのです…)

「は、はい、スメネプのサリムはここにせんせいします…聖母教会の修道士としてくんれんを受けます!」

(ま、まぁ…OKバベーネにしておきましょう…レオノールさん、十字架を…)

皆がまぁしゃあないよねと苦笑いする中、私は用意された十字架を、サリムの首にかけてあげます。

(この洗礼式と修練者宣誓、本当なら間違えず詰まらずに何度も予行練習をした上で臨むものなのです…しかし、ぶっつけ本番にしてはよくやってくれました…まぁ、あとは現地の聖母教会で私が必要なことを教えますから、もう大丈夫ですよ)

(ちなみに指導偽女種は男性状態になるのを許される立場のことが多いのですが、そもそも罰姦では男性扱いとなります。だからサリムくんは別に罪を犯したとか悪いことをしたという扱いをされませんから安心してください…)

ふぅ、これで一安心と言うべきでしょうか…。

(レオノールさん…あなたの出産がまだですよ…この後で下の生産室に行ってプラントにお入り頂きます…それに恐らく女官の出産となりますから、即成栽培処理後の刷り込み教育も行う必要、あるのですよ…)
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