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狂気の新年式・聖母教会あけおめこ とよろ編・1.5

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でまぁ、新年記念式典とやらを終えたあたくし、お師匠さまとむすめたちを連れて、離宮にもどることにします。

お師匠さまはもともと、修学宮時代にこの痴女宮にすんでおられたこともありますから、あるていどは痴女宮のなかがどうなってるか、ご理解しておいでです。

そして、聖院学院年始式のものすごいらんこう乱交を終えたり、はたまたでのくりすさまとのひめはじめをおわらせたべらこ陛下も、離宮におもどりになるそうです。

で、お師匠さまのおからだ。

これ、じつはえらい女官がうかつに子どもを産んでしまうと、およつぎができたということで数年で死ぬことになるのですよね…。

(女官種の場合は子が育つまでの間ということでかなり長生きしますが、それでもまぁ…50年から60年ですわねぇ)と、初代さまが教えてくださいます。

そして、ちんぽがはえた痴女種のばあいは。

「もちろん、本当ならジーナ母様や雅美さんのような感じで早死にしてしまうのです。では、マリーちゃんがなぜ生きていられるのか」

https://novel18.syosetu.com/n5728gy/161/

(ああ、そりゃ簡単よ。女官種は後継ぎ出産後数年で死亡するのが研究で判明したけど、痴女種についてはそのステータスランクによって寿命が変わるんだよ)ほうほう。

ではなぜあたくしは。

(お前の時は相手がジーナかーさんだったろ。んで両方とも女官種から転換した初期痴女種でな…ステータスランクも今よりは確実に低かったし、最小限の延命措置で終わったんだよな。だけどサリーを出産した影響は確実にあったろ?)

…あー、そういえば…。

( 一時期あたしと、痴女皇国のお前…黒アルトが寝たきりになったりしてたじゃん。痴女種全体であまりに増えすぎたり一定以上のステータスを持ってる奴が増えるとまたぞろ規制が発動しかねねぇ。精気も吸引量と放出量で差があったり制限をかけてるだろ、あの制限、強すぎる奴が増えると寿命を迎える幹部が出てきてしまうのを防ぐためでもあるんだからな)

ええ、あまり強い女官が増えると、とうた淘汰というのですか…われわれの中でとしをとったものがおしだされるようにして死ぬことになるそうですね。

一番の実例はやはり、まさみさんでしょう。

ただし、まさみさんのばあいは元々はや死にするうんめいだったので、つじつまをあわせるためにもちょうどよかったようです。

しかし、すべての女官がれいの石のしんだい…あのべっどを用意されるわけでもありません。

そして、こどもを作らなくてもいずれ…ごひゃくねんか千年かはわかりませんけど、ふつうは痴女種になっている女官でもしんでしまうそうですよ、よめのはなしでは。

(で、それじゃ困る例がマリーだ。今の段階じゃ、まだ死んでもらっちゃ困る代表格なんだわ。で、マリーとジョスリン、そしてブリュントレーネはあまり切り離せないんだよな…特にジョスリンがマリーの身体細胞の更新賦活役なんだよ…)これは痴女皇国のよめマリアリーゼですね。

「で、アルトさん。あのマリーちゃんに、雅美さんの復活に使われたような擬似身体を与えてしまうとどうなりますかね」

「なにかあれば絶対にあばれますね。まず、ふらんすに何とかというかいじゅうが上陸したようになるでしょう」

「アルトさん…ひどすぎますわよ…」見れば、目になみだをうかべたマリーが。

「おやマリー、あなたははやくストラスブールにかえらないのですか」

「あたくしは明日のマルセイユに乗ってマルセイユに帰るという、お船の名前と港の名前がこんがらかるような帰路を指定されておるのですわよっ」

「で、茸島の学生寮に行って娘さんに面会するために、あたしのお部屋を経由か、エマちゃんに転送を依頼するんですよねぇ…」

そんなわけで、のろわれたえれべーたーをつかって22かいにあがります。

いまや、このえれべーたーが昔はほんとうに乗ったらのろわれそうなすごいものだったのを覚えている女官は…。

オリューレ、なぜうつむくのですか。

あなたのとしがあたくしとほとんどかわらないの、ばれておるのですよ。

あたくしがこのえれべーたーのむかしのすがたを知っているのに、あなたが知らないわけはないのです。

それに、あたくしよりとししたのダリアでもしっているはなしでしょう、このえれべーたーのむかしのすがた。

ちなみにですねぇ、まえからさんざんはなしがでておりますけどねぇ。

わたくしとオリューレはほとんどおないどしです。

で、めるこ…メルトリューレが1ねんくらいとししたです。

そして、女官の寿命を50年とすると、ほんとうならそろそろあたくしとオリューレ、肩をたたかれてみのまわりの整理をしておけといわれるころあいなのですよねぇ…。

(あのねぇアルト。私の所轄に聖隷少女団の育成教程が入ったでしょう。まぁ、あの子たちについては、NBのリンジーさんが専任教務長だから、私が直接教える事はあまりないんだけど…)

なにを気にしておるかとおもえば。

ようはあれですね。

おばちゃんよばわりされるのがいや。

そして、たしかまさみさんも、れんぽうせかいのねんれいからするとそこそこ…あたくしとおなじくらいですか…なにをかくそう、じつはジーナさまもわたくしよりちょこっと年し…。

(アルトくん。女の年齢というものは機密事項やで…)

(そ、そうですわよアルトリーゼ!)

しょだいさま。どさくさにまぎれて何をいうてはるのですか。

そもそもあたくしは初代さまからすれば遠い遠いひ孫か何かともかく、まごむすめのぶるいではないかと。

ですので、どうしたって初代さまよりもわかくなくては、計算があわないたちば。

それにですね初代さま。べらこへいかと違って、あたくし初代さまのじつのむすめみたいなものではないかとおもうのですが、どうも初代さまがあたくしの中に入りたがらなかったの、このせいもあるようなのですよねぇ。

(入れなくもありません。しかしアルトリーゼ…あなたですと我が強すぎて…)

(えええええ、何ですか初代様! ってことはあたしだとわがまま言い放題って事ですか?)

(マリアヴェッラ…いいですこと? 更に申し上げましょう。アルトリーゼときたら、ごはんをたべるときでも普段は罪人食堂かお弁当ばかり…とどめに、生まれ故郷があそこだから仕方ないとは思うのですけど、アルトリーゼ、あなた、お酒を頂く習わしは馴染みございませんでしたでしょ?)

ええ、ありまへん。

というかふつう、あのへんでおさけにできるようなもの、行商人から買うか船ではこんでこないとそうかんたんにはとれませんよ…。

(つまり何ですか、アルトさんの中だと贅沢ざんまいな生活ができないからあたしの中でけしかけてると…アルトさん)

は、はいっ。

(今度このおばちゃんが何かやらかしたら、一週間でいいですからアルトさんが引き取ってくださいっ。あたしも後期高齢者どころか大陸が移動したり盛り上がったり沈むレベルの年数を生きた高齢者の面倒を見るのに飽きているんですっお願いしますっ)

ええ、あんたがガチの肉親ならあんたが引き取ってくれと言わんばかりに、あたくしの手を取り真剣にたのんでこられますが。

(マリアヴェッラ陛下。アルトリーゼだけでなく、わたくしもいわば初代様の子孫。懲罰であればわたくしの中でも可能でしてよ)

あ…たしかに、お師匠さまでもいけますね。

(うう、子供たちの家をたらい回しにされるとしよりですかわたくしはっ! マリアリーゼ…ですからわたくしに身体をっ)

(っていうか雅美さんとこ行けば話が早いじゃないですか。田中照子さんなんですから田中家に行くのが妥当ではないですか?)

(ベラちゃん…うちの娘たちが親を見る目、わかってて言ってんのかな…あの子達は割と厳しいのよ…しかもアフロディーネもペルセポネーゼも、中の人じゃなくて中の神様がこれまた初代様の娘さんみたいなもんだからさ、余計にね…)

そんなわけで、22階からはおくるまを用意してもらえているらしく、あたくしはお師匠さまとならんでべらこ陛下のらんぼうな車の後ろにすわります。

といっても、このくるまはジーナさまのくるまのようにうしろの席がせまいわけではありません。

なんでも、えらいさんをのせることもかんがえているようでして、くるまを作るときにお願いすれば左右に座るひと、ひとりずつはなれてすわらせるつくりにできるようです。

(もっとも、あたしの場合はこの乱暴ルギーニを頼んだ時点でほぼ最高級仕様というべきオプション付けられまくり状態で納車するよう、勝手に本社で決めちゃったらしいんですよねぇ)

まぁよいではないですか。おかげでえらそうにできます。

そして…あれ、うしろにいるのはジーナさまのおくるまではないですか。

うわさをすればなんとやら。

(実はスザンヌちゃんとマリアンヌちゃんの中学校進学に伴って、かーさまの車、空いてるっちゃ空いてる状態になったんですよ。で、一旦車籍抹消してNBに持っていく話もあったんですけど、うちも車が一台でも欲しい状態なので、痴女皇国世界にとりあえず置いておこうとなりました。そしてですねぇ)

(まじっくみらー号だけでは使い勝手が悪すぎるのですわ! しかもあたくしのところでも乳上と同じで、ダンケ号の取り合いになっておりましてね! …で、元々痴女島にいた盗まれ号とやらと、ジーナ様のお車が空いておるということで、フローレシェーネさんと話し合いまして…)

ああ、あのうしろがへんなかがみばりのとらっくですね。

あれ、マリーちゃんのところに行ったのですか。

(アルトさん…正直、あれは本来どういうことに使うものなのか、あたくしも知っておりますからねぇ…)

ええ、あたくしも知っております。マリーちゃんが女官長とかしていた時にもちょうばつで懲罰でつかっていましたよね。

(流石にあれはいつも使うには遠慮したいところ。そして、雅美さんや早苗さんの可愛いおくるま、小さくて便利なのですが荷物をいっぱい積めませんし、大人四人ではきゅうくつでしょう…)

確かにあれ、べらこ陛下が乗ると特にうしろがきつくなりますね。

(で、おためし運転とか色々して決めた結果、南独支部に盗まれ号、うちストラスブールにジーナ様のらんどろーばーを置くことになりました。まぁ、お互いの支部はそんなに大層に離れておりませんし、あのライン川の下を潜る道を通ればお互いのくるまを取り替えることもできますし)

「そうそう、シェヘラザードさんのお住まいをどうするかですけど」と、くるまを走らせながら申されるべらこ陛下。

「わたくしは寝泊まり出来れば…ああ、娘たちの事もございますわね」

「で、神学部長のお立場もあるかと存じますので、ちょっとお部屋のご用意の先をですね…エマ助、ごめんなさい」

(へいへい。ジーナかーさまのランドローバーだけでしたらスケアクロウ飛ばして下さいよとか言えるんですけどねぇ)

(あたしが嫌がることを…)

(今日はまだ良いとして、近々北方帝国関係で色々持って行く話があるのを忘れんといて下さいよ…)

ええ、べらこ陛下はスケアクロウを飛ばすのを相変わらずいやがっておられますね。

そして、離宮のまえで車をとめると、まちかまえていた女官たちがべらこ陛下のくるまと、後ろについてきていたジーナさまのおくるまのうしろをあけて箱をいくつもつみこんでいます。

(陛下、シェヘラザード様のお荷物、積み込み終了しました)

(ありがとうございます。お疲れ様)

で、うしろでぴーぴーと音がなって、うえに上がっていたとびらがしまっていますね。

(エマ助、いいわよ)

(はいな)

次の瞬間、あたくしたちのまわりのふうけいが一気にかわってしまいます。

ここは…おや、きのこじまのがっこうの前ではないですか。

「で、神学部は本校に置きたかったんですけどね…さっきも話が出ました空き教室の件がありますので、エマ助に無理を言って神学部教室と学生寮を茸島分校内に作らざるを得なかったんですよ…」と、べらこ陛下のごせつめい。

「では、わたくしは…」

「その説明はオリューレさんからして頂きましょう。とりあえずこちらへ」

で、くるまからおりますと、うしろのジーナさま号からマリーちゃんやオリューレがおりてきます。

で、べてはりくんは、おうちに帰ると言うのでダリアがおくっていくようですね。

(帰さないとアニサちゃんに悪いですからね…あとダリアさん、をお願いしますよ…)

ああ、べてはりくんのおよめさん…あにさちゃんのための精気うけわたしですね。ふだんはべらこ陛下がやっているあれ。

てっとりばやく申しますと、こどもさんがうまれるまで、あにさちゃんはおめこできません。そこでべてはりくんがおくさんのかわりにべらこ陛下とおめこします。

そして、あにさちゃんが陛下のちんぽをくわえて精気をもらうのです。いわば、べらこ陛下はべてはりくんの精気をあにさちゃん用になおしてからわたすとはいえ、とんねるというか、すとろーのような役目になるのですね。

今からダリアがするのは、そのべらこ陛下の代わりのおしごとです。

かさねて申し上げますが、べらこ陛下もダリアもおしごとでおめこするのですよ。

(アルトさん、何も何度も言わなくても…)

(だいじなことらしいのでくりかえしもうしあげました)

(ううううう、なんかこう、恨みの目線がアルトさんから送られてるんですけどっ)

(アルトさん…聖院で男作れないからって…)

(うるさいですねダリア。せいいんはきびしいのですよっ)

(はいはい。うちはベテハリくんとこにおせち持って行きますよって。ついでにお雑煮作って来ますから戻るまでは好きにしといてくださいっ)と、くるまから下ろしたふろしきづつみを持ってあるきだすダリア。

そのしゅんかん。

あたくしはえもいわれぬ、まけたというかんしょくに身をつつまれました。

「え…アルトリーゼ、どうしたのですか…」

「…シェヘラザード様…わかりました。アルトはダリアさんがまがりなりにも料理…お雑煮程度を作れるということに衝撃を受けたんです…アルト…あれ、言っちゃなんだけどマリア様が簡単に作れるようにって色々揃えてくれてる食材詰め合わせを手順の通りに煮たり焼いたりするだけで出来るわよ…10分あれば一人前、作れるはずよ…」

オリューレがかわいそうなこどもを見るめであたくしをみるのがものすごくはらたちます。

しかし、あたくしはいいかえせません。

なぜならば、剣のあつかいかたとおなじで、どれだけへらずぐちを叩こうとも、りょうりを作ることができなければいみはないのです。

(っていうかあれよ、料理の名にすら値しねぇぞ…あたしが作った八方だしのチューブを所定の分量の湯に溶かしてカット水菜を煮て軽くクタっとさせてから焼いて膨らんだ餅入れて30秒数えて椀に移して食うだけにしたんだぞ、罪人食堂とか女官食堂に食いに来れない奴向けの雑煮セットって…)

(ぶっちゃけ、あたしでも簡単に出来ましたよ…皆に調理法を教える必要もあるので、試作品を私の居室のキッチンで作ったんですけどね…ほら、シェヘラザードさんにもやって頂いたでしょう…)

(アルトリーゼ…あれ、クスクス蒸し器どころか、タジン鍋でシチューを作るより簡単でしてよ…)

ううううう、目の前がまっくらになっていきます。

おししょうさままでがぁっ。

-----------------------

はい、ここからは落ち込んだアルトさんの代わりに、少しだけあたしマリアヴェッラが代わりに解説しておきましょう。

(マリアヴェッラ陛下、申し訳ありません…不肖の弟子あるとのせいで…)

いえいえ、アルトさんは全く料理が出来ないって訳でもないんですよ。

ただ、燃料になる薪や炭を手に入れるのは行商人に頼った方が早い土地で育った人なんです。つまり、砂漠地帯では貴重な燃料を効率よく使うための調理法や食材に慣れ親しんでいるせいで、他地域の調理法にあまり馴染んでない人なのです。

極端な話を言えば、牛や羊やラクダの糞を乾かしてから、炭の代わりに燃やした火で料理することすら決して珍しい光景でもないのですよ、サハラ砂漠周辺の大多数の町。

そして、信じられない人もいるかも知れませんけど、イスラム系民族は、アラブの人々を含めて意外にお米を主食にすることも少なくないんですよ。ただ…ナイル川から西は、ジョスリンが生まれた辺りどころか、ポワカール事務局長閣下が連邦宙兵隊扱いの派遣部隊長として赴任していた地域まで下って行かないとお米が取れませんし、だいいちお米を茹でたり炊いたりするお水にも困る場所が多いのです。

で、お米の代用品として開発されたのが小麦粉をそぼろ…目の荒い顆粒状にしたクスクスという食べ物。

これは、主に諸子おとこのこどころかおちんちんなくしてしまうことをするくに周辺で作られ使われているクスクス鍋という蒸し器を使って蒸すのが一般的な食べ方です。

そして、このクスクス鍋は上下二段になっていまして、下側はシチューを作るようにできています。

で、シチューを煮たお鍋の蒸気を上の段の蒸し器に逃さずに導いて、生のクスクス…小麦で作った模造米と思ってください…を蒸して加熱します。いわば、少ない水と燃料でおかずとご飯をさっと作るのですよ。

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そして、リビアやチュニジアやモロッコを中心にして広まっているのが、同じく少ない燃料で効率的に煮込んだり蒸し焼きにするためのタジン鍋というおなべ。

このおなべ、蓋が三角形になってるのが特徴でして、汁物や煮物を作った際に出る蒸気をこの三角形の上の方で冷やして水にして鍋に戻すようになっています。

つまり、貴重な水…水蒸気を逃さずに鍋に戻すことで、水を無駄にしないように出来ています。

更には、厚めの土鍋ですので、熱くなるまでに時間がかかる代わりになかなか冷めません。

そう、あまり細かい火加減をしなくても良いシチューや煮込み物、蒸し煮に向いてるんですよ。

ですから、日本料理や一部のイタリア料理のように、加熱時間や火加減湯加減に厳しい調理法が主流の料理を作るのがあまり得意でなくても仕方ない地域の出身者なのです、アルトさんもシェヘラザードさんも…。

(小官もタジン鍋やクスクス鍋は扱い慣れてはいるのですがぁっ)

正月早々にうっさいカエル女ですねぇっ。

今、それを自慢されてもアルトさんを慰めることにならんのじゃあっ。

(ええー! いくらなんでもオゾウニくらい作れなくはないのですか? あれはパイを焼くよりも簡単という気がしますが…ただ、Mochiの焼け具合を監視する必要は絶対にありますね…)

(串を焼く要領で教えればよろしいかと思いますわよ。さばくの民であれば煮物の火の周りに串を刺して炙るとかしておりますかと)

了解。

で、料理のできるマリーちゃんがアルトさんにお餅の焼き方を教えるとして。

ここにシェヘラザードさんとオリューレさんがいるので、ちょうどいいとばかりに我々は茸島改め南洋行政局の暫定庁舎に向かいます。

そうそう、聖院学院茸島分校に神学部課程の教室を新設する関係で、学舎や寮を拡張する必要に迫られました。

そして、前にも増して危険な研究場所の拡大はもとより、マリアンローズの下着再生生産工場の拡張の必要性にも迫られたファインテックの茸島支社社屋を内陸部にずらすことで場所を捻出した結果がこれです。

◇◇◇◇↑◇◇◇◇◇◇◇◇◇↑◇◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇茸◇◇絶林檎の森◇◇茸◇◇用務員宅◇
◇◇◇◇島◇◇◇◇◇◇◇◇◇島◇◇皇帝別荘◇
一 般|支|茸島 学 院◇|支|◇貴 賓 ◇
保養所|社|庁舎 分 校◇|社|◇保養所 ◇
防砂林◇ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇防砂林
砂 浜◯ ◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯砂 浜
海---桟---------桟------海
海---橋---------橋------海

んで、貴賓保養所の裏手にあたし専用の別荘と用務員住宅を併設した建物が出来ていますけど、これが実はクリスおじさまのおうちと、ベテハリ君とアニサちゃんの住宅なのです(じゃじゃーん)。

と申しますのもですねぇっ。

さながら人気ホストのようなベテハリ君をほっとくような聞き分けのいい女官ばかりじゃないのですよ。

もう茸島行政局の女官連中なんて、聖院学院矯正部の男の子だけで飽き足らずに、ベテハリ君ちまで夜這いをですね。

というわけで、現地の水準の暮らしにこだわったアニサちゃんの意見はわかるのですが、ここはご主人べてはりくんの貞操?を守るためにも近代的な住宅を勧めるしかなかったのです。

加えて、茸島支社では真昼間からクリスおじさま秘書のジョアンナさんの奉仕行為はまだしも、あたしやおばさままでもが社長室に入り浸るわ、更には支社建物最上階におじさまの居室が存在することが問題となりましてぇっ。

そして貴賓保養所でも、あたしやおじさま…そしてアグネスおばさま絡みの利用が多くて幹部が使えないとか不満が出ましたのを契機に、貴賓コテージのひとむねをあたしの別宅名目で新造しまして。

そして、おじさまの居室をそっちに移して、短距離ですが自転車またはお車で支社に通勤。

そして貴賓保養所の女官におじさまの身の回りのお世話を依頼したり生活用品の発注などなどの、おじさまの普段の生活の面倒について統括管理をして頂くのはジョアンナ秘書課長にお願いすることになりました。

で、茸島の女官たちは普段の生活、どうしているのか。

急激な規模拡大と増員に明け暮れる茸島、そして南洋行政局です。

茸島行政支局からの格上げを図ったのは、何もオリューレさんへのえこひいきからではありません。

聖院学院神学部を本校扱いで開設したことや矯正部の拡張もあって、女官の数は茸島だけでもこの年末で常時千人を超えています。

(茸島を経由して研修終了した女官を欧州他へ派遣する流れが出来ましたからね…皮肉なものですよ、シャルロット夫人の暴走めいた行為の是正が、茸島の女官育成課程を拡大しての南洋行政局への格上げにまで繋がってしまったんですから…これは私も全く読めておりませんでした…)

でもオリューレさん、そのおかげであなたも完全一千万卒ですよ。

んでですねぇ、あたしが茸島に来たのは、マリーちゃんやダリアの子煩悩いえもとい正月くらいは子供の顔を見たいお願いのお付き合いだけではないのです。

で、どんと砂浜の向こうの絶林檎の防砂林と、刑務所を思わせる高い塀に囲まれている茸島分校の中の学生寮…矯正部の生徒さんははっきり言って罪人寮同等の管理をする必要がありますからね…は、実際には南洋行政局の女官寮と棟続きになっています。

更には、女官不足を補うためもあって、行政局や警備本部の建物すら茸島分校の寮と繋がっています。

つまり、分校内で何か揉めたら行政局の女官や警務本部の騎士を回せるようにもなっているわけですね。

そして、オリューレさんやディードリアーネさんのお部屋は行政局と警備本部の合同庁舎建物の最上階に位置します。

では、分校担当の幹部女官は。

学生寮兼女官寮の最上階とすぐ下の階が、分校担当の幹部女官居室に割り当てられています。

その最上階、分校教務長…学長個室を転用したものだそうですが。

「正直、このお部屋はわたくしには過ぎた作りかと思いましたが、近い将来の分校長昇格人事を内定されていることを前提としておると聞かされましては、頷くしかございませんね…」

離宮の皇族居室とほぼ同等の豪華で広いお部屋ですが、その間取りも皇族居室と類似。

つまり、小規模の会議室すらあります。

その小型会議室に招かれて入った中で、オリューレさんにお話があるのですから。

では、新年早々ですが、オリューレさんに打診してみましょう。

「実はこのお部屋、茸島行政支局長室の倍近い広さがあるのはもちろん、皇族居室と似た作りなのは女官管理室に長かったオリューレさんならお分かりになりますよね」

「ええ、そして、このお部屋にお住まいの方…もしかして皇族扱いの方を想定しておられませんか」

鋭いですね、さすが。

「もちろんです。で、前にポシャった話。オリューレさんの昇格をアルトさんにしてもらう一件ですけど、今この場で改めてやり直してみる気にはなりませんか。もしアルトさん相手が嫌だというのならば、もっと適任者が今、在室していますよ…」
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