アルトリーネさんのいけない修行の日々

悪霊の盆踊り？ 赤道祭りだワッショイ・６

（えええええ？　）

（な…何でこうなるのよ…）

画面を見たダリアさんと理恵パイセン、思わず絶句していますね。

（おじさま。ちょっとこれはまずいデータですよ…雅美さんに見せていいですか…）

（ベラ子陛下…これ、普通にセックスしたのよりも精気が採れていないって事、なんですよね…）

そうです。瞳さんの言う通りです。

明らかに、痴女島の聖院学院本校で採集されたという標準値から少ない精気収集値と、値を元にしたグラフを見て唖然茫然あぜんぼうぜんとするあたしたち。

ですが…なんでこうなるのか、性交の実態と合わせて見てみますと、その原因は容易に想像可能。

つまり、少年にとっては心底の快感に満ち満ちた性交ではないのです。

むろん、少年を買っている成人男性や痴女種女官、そしてファインテックの女性社員の方々は興奮の極み。

そして、成人した男性や通常人類に限りなく近い社員の方…一応、過剰な痴女種化や女官種化、そして駄洒落菌への過度の感染を防止する措置を取っていますからね…からも精気は採集できます。

更には、少年少女を買春している女官からも。

しかし、彼女たちや男性社員から採れる精気だけでは、少年たちから貰えるはずだった精気収穫予想量と実際の精気量との損失を埋めるには遠く及びません。

そして…。

（どれどれ…ぬぬぬぬぬ…確かにこのロスは凄いわね…これはちょっと…看過するには損失が大き過ぎるわよ…）

ええ。

渋い顔をして画面を覗き込む雅美さんが、そこに。

慌てて飛んできたのがよく分かるジャージ姿です。

が、その表情の硬さが、深刻に考えておられるという事を物語っています。

（雅美さん、聖院学院本校の寮だとどうなんでしょう。ここまで激しいロス、出てましたっけ…）

（あっちはグラフの理想値通りよ。もちろん、こんなロスは出ていないわね。それに向こうは一般女生徒が抜き取りの主力だし、変態行為が好きな子や女王様風味の学生はいない訳じゃないけど…団体戦みたいなものだし、だいいち寮の各階に詰めている福祉女官がモニタしてるから、過剰な女性主導にはストップがかかるわね）

ふむふむ。確かにあたしも何度かお昼寝タイムや夜のおねショタお楽しみタイムにお邪魔しましたけど、みんな盛んにやりまくってましたね。

少なくとも性交を嫌がっている感情は読み取れませんでしたし。

（これはもう少し詳細なデータが欲しいとは思うけど、分析にかまけ過ぎて手遅れになってもまずいわね…クリスくん、とりあえずこのデータ、痴女皇国側のコンピュータシステムに送る事は可能かしら…まぁ、マリアちゃんに話を通せばやってくれそうだけど…）

（雅美さん、あたしだ。父様から連絡は受けた。リモートドレインのロスを2割としても、これはちょっと看過できねぇ数値だな…。幸いにして、今のところここまで盛大にロスるのは初心者の女官とここ…茸島分校くらいだし、痴女皇国全体で見た精気授受の人数からしたら千分の一も行ってねぇロス発生者比率だ。だが…今後は…だろ？　雅美さん）

と、本体はNBに行ってるらしい姉からも連絡が。

（ええ、欧州地区に売春少年を送り込んだ場合、元来の作戦内容に合致した性交をしてくれるかはともかく、精気授受効率からすると少年と…罪人女官の人数が増えれば増えるほど、このロス率から導き出される実際の損失量は増えるわね）

（そして年度計画や長期計画にも影響が出ちまうな。よし、ベラ子…経緯は気になると思うけど、雅美さんにたのきちの所に行って相談してもらおう。あと、今後の欧州作戦の戦略方針にも関わる話だ。すまんが皇帝としておじさまと一緒に臨席してくれ。場合によっては手すきの幹部を招集して臨時会議を開いてもいいだろ…）

と、姉が手早くも対応を告げます。

確かに、この手の話は早期に対応すべき話でしょう。

緊急会議の招集にも異論はありません。

ただ…すごーーーーーく不満そうなのが、一名。

ええ、瞳さん。

ですが貴女はもはや皇帝室秘書課長。

残念ですが、出せ…。

（私が不満なのはベラちゃんが相手をサボっているからであってですね、急にお仕事の話になるからじゃないんですよ？）

あう。

わかりました。

会議終了後に時間を作りましょう。とりあえず、急いで痴女島に戻りますよっ。

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はぁ。

「しかし、まずいにも程がある話よ…クリス君に改めて精気流動データを切り分け分析して貰った結果があれじゃ、少年性奴隷化計画は危険かも知れないわね…」

時間も時間だという事で、離宮にある内務局オフィスの小会議室を使った非公式ミーティングという話になりました。

で、会議を取り仕切るのは雅美さん。そのAdidosとかいうパチモノと称するらしきジャージ、何とかなりませんか。

（もう色気を誇示する年齢でもないのよ…ベラちゃんもそのうち、あたしの心境がわかるようになるわよ…）

はいはい。わかりましたから議事の信仰お願いします。

そしてNBに分体を置いて、急遽百光年プラス別次元の時間軸を移動してきた姉が雅美さんの隣に来て、これまた渋い顔をしています。

「精気流動推移からファインテックの男性社員分やら何やらを抜いて、罪人少年に絞った結果が本校男子生徒の4割減近い数値ってのが、改めて父さんが弾き出した結果だ。この損失程度は…」

「確かにこれはあまりに厳しい数値。いっそドレインした方が効率が良いと言われても仕方ありませんね…」沈んだ面持ちのオリューレさんが、残念そうに言われます。

そりゃ、熱意を持って取り組んでいた計画を中止しろと言われかねない展開ですからね…。

「いや待ってくれオリューレ。あんたの思いつき自体は悪くはないし、実際にあんたが教育していた時の精気流動記録じゃ、9割行ってるんだよ。オリューレの打ち出した計画自体はこの実績の裏打ちがある訳だから、そこはみんなも理解してやってくれ」

と、オリューレさんの打ち出した計画はなるべくなら継続実施で行くと伝える姉。

「あたくし思うのですが、オリューレあいての時と、おんなのこやおじさん相手では、おとこのこのやる気がちがうのではないでしょうか。オリューレなら少なくともまじめに悪いこどもをきたえていたはずです」

と、オリューレさんとは付き合いも古いアルトさんも庇う方向のようです。

確かにオリューレさんが相手した時と、売春夫としての本番の時では男の子の発情状態が違うだろう事は誰しも思いつくでしょう。

しかし、アルトさんの発言は実際の売春時に罪人少年の発情興奮の程度を見た方が良いのではないかと、皆の疑問点を誘導する事になりました。

で、アンヌマリーちゃんや中井ティアラちゃんが相手していた時と、売春夫として性交していた際の少年たちの精気流動ログを一人一人の聖環からリモートアクセスで抜き出し、分析する事に。

「ふーむ、端的に言っちゃうとさ、相手によって変わってるよね、男子からの精気吐出量」

雅美さんがしげしげとデータを眺めております。

この会議室は幹部会議室ほど設備が揃っていませんので、雅美さんの場合、内務局の仕事用端末を持ち込んでデータを貰っておられますよ。

「この男子は知ってる。基本的に相手を選ばない部類と思ったんだけど…それでもアンヌマリーの時と他の子の時でかなり変わってるわね。アンヌマリー相手で9割近いけど、この子相手だと…7割未満か…」

と、実際の性交状況記録動画と精気移動リアルタイムグラフを見比べながら、うんうん唸っておられます。

（アンヌマリー…雅美だけどさ、ベテハリ君の精気流動、あんたが相手した時と他の女の子でかなり純度に差があんのよ。もしかしてホの字の兆候ある？　）

（あー…マダム雅美、彼が収監された理由、ご存知ですか？　この子確か部落間紛争に巻き込まれて仲が良かった女の子と引き剥がされたんですよ。で、もう付き合うなって話になって、夜這い禁止にされたのに腹を立てて家族を惨殺。そして南洋王国の追手を逃れて山賊に加わってたところ、依頼を受けて痴女皇国の騎士が派遣されて、その際にまとめて捕縛されたかと）

（ああ、あたしが知ってんのと同じね。で、本人は若いし事情犯って事で聖院学院に入れたけど村に帰りたがって反抗期全開と…）

（そうです。そして…ここで勤めて財産を作ってからでも遅くはない。第一あなたは村に戻れば重罪人として私刑にされかねないと言ってるんですけどねぇ…）

なるほど。事情が読めました。

アンヌマリーちゃんは、どうも罪人少年の個別事情をかなり詳しく聞き出した上で、彼らと打ち解けながら巧みに性欲の対象に見られるように色仕掛けをしていたようです。

（まだまだ多感な子も多いでしょうから、出来る限り罪人少年の事情を聞いた上で、彼らの好みを私たちに誘導するように教育して行くのが精気収集にも役立つとは言っているのですが…他の幹部候補の大半は、やはりまず制圧してからという態度で臨みますのが問題かと）

（ティアラです。雅美さんなら非行少年の心理も理解は出来ると思いますけど、我々がいる茸島分校の収監未成年について、自分が罪深いとか反省の気持ちになっている子の方が少ない現状があります。福祉部長や福祉女官の倫理教育に反発したからこそ、茸島送りにされているのですから仕方ないと言えば仕方ないのですけどねぇ…）

と、中井ティアラちゃんも心話で参加。

（あたしや乳上が相手してた子なら、まずその辺で理解を得るようにしてたんだけどねぇ…）

（ジニアです。昨今の福祉女官の風潮を考えますと、どうも聖母教会の教義が刷り込まれた子供だという前提の接し方をしている節があります。そして、この風潮が進みますと…思考改造を強く推進するか、はたまた落ちこぼれた子供を容赦なく茸島に送る傾向の未来を予測します）

ジニアちゃん、まだ喋り方がちょっと硬いのは仕方ないでしょう。

そして、ジニアちゃんの話す未来とやら、正に日本の教育状況に近いんじゃないですかねぇ…どうでしょ、雅美さん。

（確かに、落ちこぼれを問答無用で分校送りにしていて、あまつさえ売春させているだけだと色気もへったくれもない殺伐とした子供になりかねないわね…マリアちゃん、思想改造や駄洒落菌漬けで無理矢理にエロガキにしてしまうというのは最終手段にするべきかしら？　）

（だねぇ。仮に駄洒落菌やエロカロイド漬けにしても、それは単なる淫乱だ。うちらが求める精気収集要員とは異なる成人を量産しかねねぇな…とりあえずアンヌマリー。売春を担当している少年少女の一晩の接客人数をなるべく減らすように調整してくれ。オリューレ、穴が空いた分は茸島行政支局管轄の騎士と女官で対応。ディードリアーネ、警備に穴が空かない程度でいいから娯楽館に手空き騎士を回すように頼む。雅美さんと二代目様、アフロディーネやおキヌちゃんと協力して茸島娯楽館支援要員を…そうだな、毎晩5名は回せりゃ充分だろ、融通可能なように頼む）

と、姉が毎度の仕切りをちゃっちゃとやってしまいます。

（ベラ子はこれが出来るようにな…）

はいはい。

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とまぁ、姉による応急措置方針を打ち出した後、幹部騎士や女官に向けて抜本的対策を考えて欲しいという要請、あたしの名前で発布する事になりました。

下半身だけで生きているかのような性欲旺盛な奴隷を作れる前提だった、茸島の分校と娯楽館の計画に対して立ちこめる暗雲。

これを何とかしないと、発案者のオリューレさんが大きな顔をするどころか、最悪の場合は目ざとい者が精気授受効率を下げた不手際を指摘してオリューレさんを攻撃しかねません。

姉もその辺は気にしているようです。

（茸島分校の罪人待遇生徒がまだ少ないうちに発覚して良かったぜ…これが茸島娯楽館本稼働後にわかった場合、行政支局関係者に懲罰を入れなきゃならんところだったよ…）

そう、姉もあたしもオリューレさんを贔屓ひいきしています。それだけに、せっかくの良案を何とかして形にして軌道に乗せたい訳です。

更には、ファインテック茸島支社の労務管理にも関わる話であり、痴女皇国としても茸島開発に多額の投資を余儀なくされている分、真剣に対応せざるを得ません。

そしてこのままではファインテック社員の方々や保養所利用女官、買春してもマグロを買う話になりかねません。

そうなんです…性交に積極性がない生徒がいるのが、精気純度が低い理由だったんですよ…。

（ベラちゃん。理由がわかった。彼らが消極的になりがちなのは…鬱の発症兆候があるよ。駄洒落菌改良種が辛うじて人として生きることを支えている状態になっている子すらいるね…）

えええええ。

しかし、おじさまも真剣です。

（これが成人した罪人男性なら、衣食住や性欲処理を保証された罪人寮での生活を享受する傾向が強いから、滅多な事ではメンタルケアが必要な事態は起きていなかったと思う。ただ…ファインテックのD微生物制御チームにいる精神分析担当者からの話だけどさ、思春期の少年に未来を強いる事もプレッシャーになっているんじゃないかという分析をくれたんだ）

なるほど…。

（更に言うと、僕も今は14～15歳の男性身体状態だよね。マッシュルーム・パブリックスクールの彼らに近い年齢に戻っているだけに、彼らの抱える不安や疑問を払拭する方向のケアが必要なのは理解できる。一言で言うと、彼らに希望を与える事で生物としての本能を阻害しないようにする…つまり、自由な未来と愛を与えるんだよ…）

その言葉には閃くものがありました。

確かに、幹部候補騎士は少年たちに目標を与えて努力を促しています。

しかし、それは…あくまでも待遇良好な高級性奴隷としての未来を目指させるための目標。

痴女皇国関係者で言うと、かつて鯖挟国に人質として引き渡され、あまつさえショタホモ奴隷となっていた串刺しおじさんと美男公兄弟の少年期当時のようなものです。

そして、割り切ってほもっていた美男公はともかく、串刺しおじさんは鯖挟国、そしてホモ許すまじの考えに支配されてしまいました。

更には強大な鯖挟国相手の防衛態勢を整えるためとは申せど残忍苛烈な振る舞いを自他に強いて、あわや領民の信頼すら失いかける羽目に。

乳上に負けてお尻に敷かれているのが痴女皇国世界でのヴラド公ですけど、逆に乳上にいてこまされていなければ、それこそ連邦世界の史実同等か、それ以上に悲惨な最後で終わっていたでしょう。

更に、第二第三のヴラド公のような恨みを抱えた為政者が世に出れば、いつぞやのヴァレンシュタイン伯爵のような悪政悪行に走る事にもなりかねません。

ええ、我々女官、罪人といえどナイーブな少年の心理を鼓舞して生きる希望を与え、本来のみなぎる若い性欲を存分に女官へ吐き出すよう、我々女官側で少年の精神を治療し、性交を楽しめるようにしてあげるべきでしょう。

牛や馬、豚であっても相応の知性がある訳ですから、まして人間で考えの方向性が定まらない、まだ若い少年です。

ただですねぇ、目下のところ試験的に選抜されて茸島送りにされた少年たちは10名ですか、この子達だけをえこひいきし過ぎると、他の茸島在校生や聖院学院本校の男子生徒から批判が出る事も考えられるでしょう。

第一…その選抜された10人、揃いも揃って美少年化されてるんですよ…。

これでは箝口令かんこうれいを敷いても、女官の人気が彼らに集中して他の少年たちのお相手がおざなりになりかねません。

（現状では選抜少年の相手は限定していますが、一般女官の慰安用に解放すればそれこそ、陛下の懸念される事態に陥るでしょう。今でこそ幹部候補学生と茸島行政支局幹部並びにファインテック社員の方に相手を絞っていますが、それでも10人の少年たちには指名が集中していますね…）

ぬぬぬ。

で、オリューレさん…その子たちって、見た目だけなんですかね。実際の性交技能とか、伴ってるんですか。

（それがですね…皮肉な話ですが、私が鍛えた子達の中で、更に選りすぐりをですね…）

（はぁ…つまり、する事はするし出来る事は出来る、と…）

なるほど、確かにそれならば余計に何でこの子達が…となるでしょうね。

ふむ。わかりました。

「少年たちの精神のケアが必要だと言うのは誰が聞いても思う事ではないでしょうか」

と、あたしは宣言します。

これには全員、頷かざるを得ませんよね。

「ただし、彼らの要望を全て聞き入れたとすれば、恐らく少年愛妾化計画は頓挫します。何らかの形で痴女皇国が計画した方向性に、少年少女を再度納得させて仕事に向かわせるための教官役も必要でしょう…」

「で、ベラ子にはその教官役、推薦したい候補がいるようだな」

と、ここで姉から援護射撃が。

「ええ、姉さん…アルトさん、すみませんが数日、茸島に通って頂けますか。どのみち盆踊り計画のための茸島各所への警備部整備状況の視察も業務に入ってはいたと思うのです…」