アルトリーネさんのいけない修行の日々

すずめのおやど

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夏の仮装肝試し祭り!・8

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「なるほど…偵察の結果でも幽霊の存在を茸島南部地方住民が知覚する結果にはならなかったと…」

「当然ながら…では目撃された幽霊の正体は何だったのかという話にはなると思います。しかし…ここは敢えて、幹部会議で策定された方針の通り、悪霊退散の民俗行事を流行させる方向で沈静化させたいと考えております」

「陛下のお考えも理解しております。茸島の完全支配を考えるのであれば、正にこれは天佑。是が非にも計画を推進すべきでしょう」

で、ここは茸島行政支局庁舎です。

そして、茸島警備本部との合同オフィスになっている割と広いお部屋の応接コーナーに我々はいるんです。

で、あたしの眼前にいて会話を交わしているのはディードリアーネ茸島警備本部長と、オリューレ茸島行政支局長。

両者ともにど派手な柄のアロハシャツにエロマイクロビキニという、およそ公務についている状態とは考えられない姿ですが、ここは痴女皇国世界。

更にはあたしもここの執務姿…と言うべきかどうか悩みますけど、とりあえず皆さんの格好に合わせてゴールドのマイクロビキニ姿です。

で、そんな格好をするほど茸島は暑いのかという疑問にお答えしましょう。

単純に言い切ると…痴女島とだいたい同じですけど、ちょっと違います。

まず茸島の位置ですが、痴女宮の存在する痴女島から南に500キロという距離に存在する上に、こちらも気候的には完全に熱帯です。

皆さんになるべく分かりやすく説明しますと、ボルネオならポンティアナック…正に幽霊さんが化けて出た際に退治された町が島の西側の端、南北で言いますとちょうど島の中央部になる場所に赤道が通っています。

そして、そこから約600キロほど南南東方向に降りて行きますとバリ島、つまり茸島です。

南緯8度の位置にあるバリ島同様、茸島もそれなりの熱帯性気候なんですけど、痴女島と違って、年柄年中雨が降りまくるという気候ではありません。

季節風の影響や、地球の自転軸の傾斜などが作用して「乾季と雨季がある」気候なのです。

では、年間降雨量が痴女島の半分程度…2,000mmを下回るバリ島や茸島の方が、なぜ農業が盛んで人も多いのでしょうか。

これは、このお話の中でも以前に幾度か触れられている通り、ボルネオ島や痴女島の地形と雨の量が密接に関係しています。

あたしたちの痴女宮…前の聖院本宮がある島は、日本の本州の面積に匹敵するくらいの大きな湖を初代様が作られてから千年この方、水が涸れて湖底が剥き出しになるなんてことは絶対になかったそうです。

つまり、雨で補充される状況です。

それも、ボルネオ辺りと違って熱帯性低気圧…ありていに言って台風を意図的に抑え込んで来ているのに、ですよ。

そして雨水は集まって川になるだけではありません。これまたボルネオ同様に、豊かな森林の木の根元に溜まった葉ですとか、更には落ちた葉や枝からできる腐葉土すら流してしまうんです。で、これに拍車をかけるのが、平地が少なくて山がちな地形。

日本だと豪雨に認定されそうな雨がほぼ毎日降る上に、急な山ですから、その斜面にあるものを押し流しされてしまいますよね。

そう、地面に深く根を張る木か、コケ類以外の草木は育ちにくいんです。

そして山から流された栄養のある土など、どこかで引っ掛かってくれたらいいのですが、申しました通り痴女島は全島ほぼ、海からいきなり生えた山のような島です。

つまり、そうした栄養豊かな植物によいものの一切合切、もったいなくも海に流されてしまいます。

これはあまりにもったいないお化けが出ますので、現在は小型のせき…砂防ダムめいたものを要所要所に作って、溜まった土を燐化装置にかけて肥料化していますけどね。

ですが、この茸島では事情が全く変わります。

年間降水量が1,800mm程度と言っても、東京よりははるかに多いんです。

そしてバリ島同様に、元々の地形が痴女島ほどには急峻でない上に、島の南側には大きな沖積ちゅうせき平野が広がる茸島の方が、実際に田畑を作れる面積が広いのですよ…。

で、茸島も痴女島ほどではありませんけど、大きな森林が存在します。

つまり、この時代の主要燃料である薪が確保できるんです。

そして乾季が存在するということは、薪を乾かせます。

つまり、ごはんが炊けます。

または痴女宮でもやっていますけど、茹でるという方法でお米を食べやすくすることが容易なんですよ、茸島だと。

(飲める水源は限られてるけどな。それでも井戸を掘るまでもない源泉がそこそこあるし、最悪は沸かせば何とかなるレベルだからな、バリ島の水の硬度)

例のキンタマーニ高原から流れてくる川だと、源流に近いなら飲めるようですね。

ではここで、ちょっと初代様に聞いてみましょう。

なんで茸島ではなく聖院島に聖院を造ったのか。

女官種時代から、男性の精気を頂くという生態ですから、普通は人口が増えそうな茸島に拠点を建設した方がはかどったと思うのです。

(マリアヴェッラ…10点。女官教育やりなおしっ)

えええー! 何でですかいきなり!

(今、貴女の身体を女官種状態にしてみましょうか。おへやの中の紙や布のたぐい、ぜんぶ燃えて大火事になりますわよ…)

あー、…そうか…冷却が必要なんですよね、女官種の時だと…。

(むろん、きんたまかおにつくこうげんの湖を使うことも考えました。しかし、茸島だと得られるお水の量が聖院島よりも限られるうえに…あなたがたが言う乾季と雨季がございますよね。わたくしの力をもってすれば、痴女島のように年がら年中雨を降らせるのもやぶさかではありません。しかし…それだと、聖院島、そして痴女島が抱えているお米やお野菜やくだものを作るにはいささかむずかしい状況、茸島でも同じことにしてしまうと思いませんか)

ですねぇ。

まぁ、聖院開闢当時おばちゃんのじだいの状況だとボルネオの方が色々都合が良かったということですね。

あと、キンタマーニ高原の名前、日本語を使いこなしている方ならいじりたくなる衝動に駆られると思うんですけど、エロ漫画の島と同じでベタすぎるからそろそろやめましょうよ、おばちゃん。

(ちっ…オリューレとディードリアーネではマリアヴェッラをしばくには役不足…あたくしがオリューレにでも乗り移りましょうか)

一瞬、帰ってこんでもええでと言いかけましたが、オリューレさんに初代様が憑依すると、それはそれで厄介な事になります。

ええ、さっきから二人とも、椅子空いてんのに、あたしの両隣に来て何かしてやがるんですよ。

真面目に打ち合わせするんなら、ちゃんとしなさいよ。

で、本当ならこういう場合のいけにえを持って来てたんです。

けれどですねぇ。

(だ、ダメ…何か復活できません…)

(おかしいわ…マリアヴェッラ…あんたたちのくれた身体って、船酔い慣れしてないなら忠実に経験を反映するわけ…?)

ええそうです。目の前の長椅子でぐったりしている2名。

瞳さんもスクルド先生も、死にそうな顔をしています。

茸島偵察飛行の後、朝を待ってサンティシマ型帆船を使った茸島行きの定期便に乗り込みまして。

ついでにあたしが精気を充填するからと無理を言って、フル加速航行を実演してもらったんですよ。

結果。

後部の貴賓船室にいたにも関わらず、撃沈された2名。

仕方がないので、とりあえずぐったりしてもらっています。

何を情けない、とまでは申しません。

確かにうち痴女皇国の変態的な性能を誇るヘリカル水流ジェットエンジン搭載船、サンティシマのようなずんぐりした形のお船ですら、強化機関を積んだ改装後の痴女皇国買い戻し在籍仕様ですと、60ノット巡航すら余裕という恐ろしいしろものです。

その代わりにバカみたいに精気を消費しますので、普段は性能を落として転送で節約航行させてますけどね…。

でまぁ、痴女皇国に関わる以上、お船にも慣れてもらう必要もありますので、ちょうどいいわと茸島での打ち合わせを兼ねて定期便で行く事に。

「私は平気だったのですが…まぁ、本格的な騎士訓練をすると、黒薔薇でなくてもかなり激しい動きをしますからねぇ」

と、平然とされているのはゼアラニーネさん。

「スクルド様は乗馬などなされておられなかったので?」

あ、ゼアラさんそれダメ地雷!

スクルドさんは女騎士出身でもありますけど、我々が想像するような「くっ! 殺せ!」という科白を仰る部類の騎士じゃないんですよ…。

(当時のあの辺に馬に乗って戦うような習慣はないわね…戦車…二輪馬車みたいなものは人間が持ち込んでいたけど、あの辺りだと船に乗って川や海から攻め入る方が楽だったって)

つまりあの辺り、酔うほど速い移動手段って、神様以外には持ってなかったと思う方がいいのです。

(ご希望があれば智秋記念牧場か、ワーズワース家のお馬さんで乗馬の練習、できるように計らわせて頂きます…)

しかしスクルド先生、確かに無能な方ではないと思うのですが、意外に何かすると地雷を踏む傾向がありますね。

(ウルドですが、マリアヴェッラ。それは致し方ない話です。我らは人間の営みの中へ入り込む身体を失って幾星霜、人の進歩に対する知識はあれど実際に経験をしておらぬ身。久々に身体を動かす事には戸惑いもありましょう。ただ…スクルド。あの船の動き程度ならば自らを癒す事でどうにかなりましょう。修行は必要ですね)

(姉様…ご自身で体験して見ては頂けませんか。あれ、並の人間に耐えられるものではありませんよ…)

ああ…あたしが依頼したばかりに、普段は節約航行をしていたのを船長から乗組員の皆様から、ちょうどいい訓練航海になると両舷全速航行を承諾されまして。

そしてノリノリで左右の推進機テレグラフレバーを前に倒して行かれたんですよね、操舵長も…。

まぁ、全力航海には向いていないサンティシマ型で無理矢理飛ばしたせいもあるかも知れません。

イギリスで建造中のヴィクトリー型が就役したら、余ったオセアン型を回して頂いて、サンティシマは生まれ故郷のスペインに押し付けてしまいましょう。

なにせ船体構造に使っている木材、あらかた強化樹脂で木の芯から固める処理をしてありますから、普通の木造帆船よりも傷みにくいんですよ。

つまり、下手な鋼製船よりも耐用年数が長いのが災いして、なかなか廃船に出来ないのです。

お船自体は客船にしても良さげな代物ですので、デステおばさまやメフメト6世陛下にお話して地中海航路でお使い頂くのも良いかも知れません。

特に一番艦サンティシマ・デ・トリニダーの貴賓室はスペイン国王の座乗も考慮した構造です。

他の2隻もそれなりの作りで、冷暖房トイレバスシャワー完備はもちろんなのですが、スペインの国威発揚はもちろん、痴女皇国南欧支部のお船として貴賓船客を迎える場合にも申し分ない内装にしようとなりまして、ことさらにら豪華な内装にされてるんですよ。

時速100キロを超す航行で酔わなければ…いえ、お二方はベッドに寝かせておけたので、この程度で済んだかも知れません。

とりあえず乗り込んで貴賓室に案内された瞬間、瞳さんとゼアラニーネさんがお姫様の目になっていた、これだけはお伝えしておきましょう。

しかし、茸島にわざわざ来たのにこの2名がこの有様では、どうしたものでしょうか。

「まさみさんからたのまれて来ましたが。なにやらへいかとおばけたいじについて話をしてほしいと」

あら。

聖院のアルトさんが来てくだいました。

「きんきゅう事態というお話でしたが、ふなよいですね。ふむふむ」と、へたばっている2人に近づいて触診されるアルトさん。

瞬間、閃くものが。

「アルトさん! ちょっとお願いが…」と、頼み事をお話させて頂きます。

で、話を聞いたスクルド先生と瞳さんがええーという顔をしますけど、今回だけでなく今後にも関わる事ですよ?

で、2人が渋る理由。

アルトさんの経験や乗り物酔いについての生理反応を文字通り身体に教え込む話だからです。

そう、痴女種の経験共有、これをお二方に施工しようとしております。

何せアルトさんはテンプレスが木星に行った際の無重力航行経験、痴女皇国アルトさんと共有しています。

そして両名ともにスケアクロウはもちろん、母様の後席で戦闘機を体験済み。

更には少女時代は海の女として、小船で沖に出て海女さんをしておられた方です。

鬼作戦の際にも紺碧騎士団扱いとして制服や泡推進機を与えられていたのは伊達ではありません。

(な、なるほど…確かにサレルフィール・シャフバンダルの生理反応やら何やらを私に移植すれば利点は多い話よね…)

(で、問題です。乗り物についてはアルトさんと同等以上の経験があるあたしがスクルド先生に経験情報を転送すればよいとして、瞳さんはアルトさんから色々と教わって欲しいのですよ)

ええーという顔をしないの。

アルトさんは騎士として、そして女官としての実力があったからこそ認められた人ですよ。

痴女皇国のアルトさんを見ているとあれっ? と思うかも知れませんが、元来は聖院のアルトさんと全く同じ人なんです。

それに…母様がクリスおじさまのお相手をしてよしと太鼓判を押してますし、女官との精気授受でも評価が高いんですよ? 

この人を信じなくて誰を信じるのか。

更には騎士経験を共有する事で瞳さんにも利点になる話。研修期間短縮もありえますよと吹き込みます。

そんな訳で瞳さんとアルトさんは面談などにも使う汎用の応接室に行って頂きます。

(おまかせをー)

(よろしくお願いしますね)

まぁ、女官からの評判評価もよいアルトさんです。何よりクリスおじさまがアルトさんに文句を言わない、これはあたしにしても高いポイントです。

で…スクルド先生。昨晩の中途半端のやり直しという訳じゃないんですけど…。

(はぁ。まぁ、あんたから学習しても同じ効果なら仕方ないわね。無茶な事しなきゃいいわよ)

(あとですねぇ…)

「あのさー、私が承諾したのはマリアヴェッラだけなんだけど!」

ええ、オリューレさんにスクルド先生へ突っ込んで頂いています。

ただ、曲がりなりにも相手は神様。

とりあえず精気は渡して。後であたしがスクルド先生から回収しますから。

ま、スクルド先生、一応は精気授受をやれる立場です。

そしてベテラン女官のオリューレさんと、同じくベテラン騎士のディードリアーネさんから経験を学習して頂きますと、色々捗るのでは。

あ、スクルド先生とは引き続き応接コーナーで事を始めてもらっていますよ。

普通なら朝からオフィスで何をしてるのって話になりますが、ここは痴女皇国。当たり前のように精気授受はやります。

執務中の女官の方数名も内心は興味津々ですけど、とりあえずお仕事はしておられますよ。

それに…後でオリューレさんかディードリアーネさんから配給を受ける立場なんですよね、皆さん。

(本当は陛下から直接)

(それやると皆さんが倒れますから、我慢してください…)

で、アルトさんサイドですが、なな何と、瞳さんに軽く挿入して精気を渡して復活させると、今度はアルトさんが受け身になってくれています。

(へいかに悪いですから)

(うう、お気遣いありがとう…)

そーなんですよねー。アルトさんはガサツだと思ってる人はちょっと認識を改めてくださいね。

確かに手が早い部類ではありますけど、裏を返せば仕事も早い。

そして瞳さん、アルトさんのお尻を狙う女官も多いですからね。

堪能しておいてくださいよ。

(はい…陛下もよく動かれますけど、アルトさんのは何というか複雑な感じで…)

ええ、あたしもよく知ってます。

あたしの場合はちゃっちゃと搾り取る必要がある事が多いので、勢い女性状態での動きがハードになりがちなのですが、アルトさんは割とじらしたり色々してきますからねぇ。

(ちんぽなら陛下、おめこならアルトさんって評価でしたねぇ、女官からは)

(騎士組も同様。…待って待って陛下待ってください! 男役扱いばかりされて落ち込まないで!)

ディードリアーネさん、茸島赴任10年確定というのはともかくとして、あたしも一応基本性別は女でっせ。

ちんぽ生やせるだけで、心はオナゴなのです。

陸上や水泳の競技の世界で言う「心はオナゴ」じゃなくて身体も基本的に女子ですからねっ。

(その割に茸島に来れば我々に)

ご飯、いらんのかいっ。

いえ、あたしなら突っ込まれても逆に渡せますよ、精気。

だけどほら、あなたたちの働きぶりとか忠誠心を調べたいというのもあるじゃないですか。

それにちんちん不要ならそうと言って下さい。

(すねてますね)

(うん、陛下の側にいると分かりますけどスネてます)

アルトさんと瞳さん、バラさないように。

ちなみにディードリアーネさんはゼアラさんがお相手してますよ。

あたしはスクルド先生のお達しがないと今や、ちんちんを迂闊にふるえない立場なのです。

皇帝にも自由にならない事はあるのです。いえ、そっちの方が多いんですよ?

(嘘おっしゃい。伊藤瞳、ちょっとこの女の日頃の生活を暴露してくれないかしら)

(恥ずかしいので詳細をお伝えするのは遠慮させて頂きますが、それはもう私を自由に出来ない鬱憤を、部屋付きの女官の方に)

ああっバラさないで!

(いえいえ、人をその気にさせて制限とかで相手してくれない方への鬱憤を暴露したまでです)

(べらこ陛下。これはひとみさんにもう少しかまってさしあげるべきです。あたくしだからよゆうよゆーですいとらせていただきましたが、これ…ひとみさん、かなりたまってますよ)

ですから制限はあたしがかけてる訳ではないのですよ…。

(ふむ。であればていあんがあります。ゆうれいたいじのおしばいをするにしても、きのこじまの皆様に信じてもらえることをしなくては、おまつりをしないとまたおばけがでるよという事をなっとくしてくれないでしょう。ここはひとつですね)

…ええーっ!

(そ、そんな無茶な…)

(確かに一番、信じてもらえそうですけど…)

(ねぇマリアヴェッラ。危険がないならサレルフィール…アルトリーゼだっけ、この子の提案は検討出来るとは思うけどさぁ…)

(アルト閣下、いえアルトさんが良いというならば大丈夫でしょう。特にスクルド様、北欧でのアルトさんの戦いぶりをご存知ならばよくご理解頂けるのではないでしょうか…)

ゼアラさんが言い切りました。

ま、確かにアルトさんであれば今捕まえているか、我々と行動を共にして下さっているお化けさんたち程度ならば瞬殺でしょう。

(ばりとうとやらのお祭りのならわしをけんきゅうして、どんなおまつりにするかをまさみさんとぱんちさんたちが考えておられるようです。どうも、痴女宮にいるおばけさんをおいはらうこともしていたようですね)

(雅美です。そんな訳なので、今から現地に幽霊さんと行きます。エマちゃんに頼んで盗まれ2号ごと支局の駐車場に飛ばしてもらうから庁舎の外に来て下さい)

また何を話を決めて下さるのですか。

仕方ないので支局建物前に行きますと。

…雅美さん…何であたしの乱暴ルギーニまで持ってくるんですか!

「文句はエマちゃんに言って。ほら、あたしの方も三列目潰して荷台にされてんのよ…」国土局の盗まれ2号こと、白い大型四駆から降りた雅美さんが口を尖らせながら盗まれ2号のリアハッチを開けてみせてくれましたが。

…そこには20リットル入りの灯油タンクのようなものが…いち、に…。

「燃料缶5本でちょうど100リットル。この車を満タンにできる分よ。で、ベラちゃんのも」

と、あたしの車の鍵で後ろを開けますと、こちらにはその20リットル缶が4本。

つまり、この乱暴ルギーニをほぼ満タンにできる量ですね。

何で持ち主に断りもなく、こんな事すんのよ…。

(そら計画を立てた雅美さんに文句言ってくださいよ。だいたい、かーさまの乱暴ルギーニも盗まれ2号も、山道走ったらリッター5キロなんか平気で割り込みますやんか。デンパサールまで往復したら微妙にガス欠になる可能性がありますから、自分のガソリンは自分で運んでくださいっ)
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