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アルトリーネの冬修行・ブロッケン山死の行軍・1
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「あの…ブロッケン山から我がバーデン=バーデンはかなり離れておるのですが」
「更に言わせて頂けるなら、痴女皇国の幹部が冬山で軒並み遭難する絵図しか見えないのですが、裸で」
「いつもの天の声の副題詐欺です。気にしないように」
--------------------------------------
さて、今回のお話はR15版「こんにちわ、マリア」↓からの続きとなります。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/81/
で、冒頭でお話ししたドイツの面積ですが、実はフランスより小さかったりします。だいたい日本と同じくらいですね。
ですが、広大なユーラシア大陸の一角を占めています。海外領土を喪失してなお、これだけ広いとお考えください。
(例えばハンブルグからスイスのチューリヒのような、ほぼドイツを南北に縦断するコースだとね、途中のかなりの区間を在来線になると言ってもICEの直行便で7時間半はかかるんだよね…ベラちゃんの乱暴ルギーニ、あれ最高速度が300km/h以上でしょ? …あれでアウトバーンを走っても、それくらいかかるんじゃないかな…)
<i631086|38087>
そしてこの時代ではオーストリアと…ハンガリーを領土に収めていますよ。
(ただ、乳上が東欧支部長に就任してからはあまりウィーンの皇帝の言うことを聞かなくなってますけどねぇ)
(差し当たり、ウィーンから真西に進軍してくる本隊の迎撃が課題となりますか)
で、目下、ブリーフィングルームにいるのはあたくしマリアヴェッラとメーテヒルデ(クレーニャ)さん、そしてカエル女。
メーテヒルデさんはご実家に顔を出して「軍税徴収部隊に握らせるものを渡して来た」ついでだそうです。
そしてカエル女は神聖ローマ帝国全土に向けて放たれた紫薔薇と黒薔薇騎士の指揮管制をしています。
「中北部ドイツからの南下部隊はいわば囮。こちらの進軍を敢えて早め、我々が迎撃に向かい軍を出した背後を突く作戦を計画しているようですね」
「バーデン=バーデン領内のヴァレンシュタイン側の密偵については敢えて放置、ただし監視はさせています」
はい、ウィーンに集結して軍編成の指揮を取るヴァレンシュタイン軍団長の意識を読み取るよう、我々も密偵を送り込んでいます。
で、なんであたしがテンプレス2世にいるか。
姉は姉で多忙だからです。
比丘尼国開発については姉が動かざるを得ない。実務はともかく決済関係は連邦世界やNBにおいて姉が社長をしているダミー企業があるからです。
テンプレス・レイルウェイズという英国本社名目のペーパーカンパニー…イギリスの鉄道は上下分離と言いまして、線路を保有する国に許可申請を出して列車を走らせる企業を募る形で運行しているそうですが、その1つの名目の会社がテンプレス・レイルウェイズですけど、実質的には痴女皇国国土局そのものです。
そして国土局長の室見理恵パイセンと姉の指揮のもと、NB、そしてNBを経由して痴女皇国世界の日本…八百比丘尼国に鉄道建設資材や車両を輸出したり、現地法人やらを管理監督指導しています。
加えてテンプレス・レイルウェイズは痴女皇国世界のスペイン王国に線路を敷く工事、既に開始しています。
この線路は最終的に、以前ルルドに行く際にTGVで通った道のりに近い形でパリまで伸ばして行くそうです。
そしてサンティアゴ・ディ・コンポステーラというキリスト教の巡礼地や、ルルドの近くを通過してトゥールーズそしてボルドーを経由し、これまたパリを目指す路線を計画しているとか。
(それぞれ役目があるからね? TGV大西洋線のルートはスペインやシェルブールの港湾で扱う貨物をパリと往来させるため。ジブラルタルやバレンシアからマドリード経由でパリはマルセイユなどの地中海海路貨物の陸送用よっ、コートダジュールのロマンスとかカンヌの映画祭なんかまだ先よっ)
えーと、計画担当のむっつり助平ホトトギスお姉さん@ジーナ母様と雅美さん評価がうるさいです。
(じゃあ日本軍の数字の名前の将軍さまがですね、モナコのカジノ出入り禁止になるのもまだ先ですかパイセン)
(ベラちゃん…経済発展策が振るわないからって、やたらIR誘致に熱心などっかの府とかどっかの市の偉いさんみたいな絵図描いてんじゃないわよっ)
(そう言いながらマルティニシャトラール線とかセルダーニュ線とかコルデモンテ線みたいなおマニア向けローカル線の建設計画稟議書を密かに回して来ているのはどこの誰ですかパイセンっ)
(あれはスキーリゾート開発用よ!)
(うそをつくなーっ!アルプスはまだしもピレネーはスキー場いっぱい作るには厳しいじゃないですか…)
(地元の人のアシでもあるのよっ)
(作る前から赤字確定の線路…しかも難工事が確定してるじゃないですかあそこ…何をどう転んでも赤字になるのは間違いないってエマ助も言ってましたよ…)
で。
みなさん。ルルド編でパイセンが言ってた「生きたニワトリや豚を積む人がいる」電車がこれだそうです。
<i631153|38087>
確かにこんな電車ならニワトリ連れて乗るとか、豚を連れて乗りそうです。
昔の日本で山奥に線路を敷く計画を立てて野党から猿を乗せるのかと追求された政治家さんがいらしたそうですが、鉄道法で猿は乗せないと返したようですね。
ですが、このセルダーニュ線って電車、よく見ると「ドア開け放して走ってる」んですよ…。ピレネー山脈に猿が住むかどうかはともかく、要は猿がいたら飛び乗り飛び降り出来るような地方を走ってるって事ですよね?パイセン!
(し、新車はエアコン完備で自動ドアで窓は開かないから…)
うちで入れる奴、Z100系とかいう、そのすごい電車の設計図をカエル女を通じてSNCFに要求してませんでしたか? 更にエマ助に現物スキャンさせませんでしたか?
そして画像拡大可能ならよく見て欲しいんですけどね…SNCFのマークとTER…つまり地方経営のローカル線のロゴが入ってるじゃないですかっ。
そんなですね、フランス共和国が補助金ざぶざぶ突っ込んでやっと存続しているようなですね、1日のうち電車が来るのが2回とか3回みたいなローカル線の建設は皇帝として容認できまへん…容認したらたのきちに怒られるの、あたしなんですよ?
(財務局に呼び出されてデルフィリーゼお祖母様に問い詰められるのに同行して下さるなら、あたしは稟議書に承認のはんこつきます。それか姉またはジーナ母様の皇帝代行印をおねだりしてくださいっ)
わかりましたねっパイセンっ。
ほんっとにもー。
パイセンの4月からの業務報奨金査定、あれのやり直し要請をしたくなりましたが、あれ、他の皇帝決済書類と同じで、あたしのはんこだけじゃ通らないんですよね…。
でまぁ、鉄道建設関係は姉にぶん投げる代わりに「ベラ子、お前がヴァレンシュタインをしばいてくれ。ついでにいけるようなら神聖ローマ帝国まるっと殴っていいぞ、この際」とか言われております。
無茶言うな、ねーさん。
この国に貴族が何人いて領地いくつ持ってるんですか。バーデン=バーデンだけでも大変なんですよ。
あ、実はロレーヌとバーデン=バーデンはですね。
先に政治制度改革進行真っ只中のスペイン・イタリア・鯖挟国協賛の元、知事制度と官僚制度への移管計画策定に着手しております。
小作農制度はもう少し残すかも知れませんが、少なくともあと10年くらいで農地改革を含めた近代化と立憲君主国化を進めてしまえとなっております。
…これ、軍人を含む公務員を作ることになるんですよね。つまりお役人さんです。
労働に対する制度改革を推進するの、まだ早い気もするのですが…イタリアとスペインではいわゆる貴族階級に関して、農業や工業経営に進出して資本家になる事をぼちぼち教えて行ってるそうです。
で、ボルジア家とメディチ家がお金を出し合い経済学部をイタリア国内の著名な大学に設けて、近代商業制度を普及させる動きを見せてもいると。
(確かに貴族制度廃止は痛い話です。しかし、いずれは押さえつけられ延々と固定された身分に縛られる生活に不満を覚える者が増える事でしょう。ならば能力ある者が身を立てる手立てくらいは用意してやるが道理では?)
(黒ひげのティーチが前に言っていたのたがな、もう少し早く聖院なり痴女皇国に泣きつく術を知っていたら、俺は海賊の道には行かなかったかも知れない。だが海賊稼業を通じて海賊以外でも食って行けそうな奴と何人も知り合えたのは大きかった、とな。実業の道を志すなら支援してやりたい奴は世に広く存在している。彼はそう言いたいのだろう)
と、デステ叔母様とチェーザレ叔父様からも賛同めいた意見を頂きます。
(確かに金貸しと商売人…父を見ていると、志したくなるかは疑問だ。だが実際に商いをしなければ立ち回らないのが世の中だろう。自国の産品で何もかも賄える国はそう多くない。特に産業革命とやらがあればますます、他国との商取引は進めざるを得ないだろう。マリアヴェッラもそう思わないか?)
(比丘尼国も鎖国制度を見直す風潮でしょう。我が国もトリエステのみならずナポリやガエータにピサと港湾整備にかかる中、単に貴族であるというだけで、実力なきままに領地収入にあぐらをかいて暮らす世は終焉を告げるでしょう。有り体に申しますがマリアヴェッラ。他人様より資産を持っているのに子女の教育に費用を投じずして何をしているのかという者も世にはおりますでしょ?)
(叔母上…それ、ルクレツィアへの皮肉となりますから…我が父が私とルクレツィアには相応の学校に行かせておりましたのをご存知でしょう…)
(もちろん解って申しております。わたくしはまだあの泥棒猫を許した訳ではありません事よ、チェーザレ…それより貴方も貴方です。マリアリーゼ陛下に還俗を希望なさっておられるようですが、そもそも次期教皇候補を見つけるのと、カテリーナを娶るのが条件と言われて引き下がったのは聞こえておりますよ?)
(お、叔母上お待ち下さい、私は何もカテリーナを娶らないと申した訳では…)
(黙らっしゃい。子供を叱る際に「カテリーナが来ますよ」とまで言われたあのカテリーナが泣いて頼みに来たのですよ…チェーザレ、いくら貴方が聖職者で、しかもカテリーナがあの性格でもですね、もう少し構って差し上げなさい…3月の会合にはカテリーナ、わたくしの権限で呼びますからね!)
まぁ、デステ叔母様は細かい方です。
ルクレツィア母様の行状やら言動やら、諸々を愚痴った手記やら手紙やら全部残してるくらいに。
そして照準された叔父にはかわいそうですが、心話接続、そーっと切らせて頂きます。
あたしにはお仕事があるのです。
では、そのお仕事とは何か。
「ですからですね、あたしもお付き合いしますから…」
「いやなものはいやなのですっ」
何ですかこの○0歳児。
えーと、この話を最初から読んでる方。
アルトさんがどう計算してもアラサーかアラフォーになるの、ご存知ですよね。
ついでに言っときますけど、あたし、アルトさんにおっぱい吸わせてませんよ。
つまり、マザコン化してません。
それにあたしの母乳の効果だと、聞き分けの良い子になるはずなのです。
こんなテンプレスのメスルームのテーブルの脚に足を絡めて意地でも動かないぞとスネる行為には及びませんよ。
(あのね、こういう時のアルトさんの処理方法ですけどね…)と、ダリア先生から教示を受けます。
んで、その通りにボソボソと耳打ちしましたところ。
「わかりました…ナディアにやらせるよりはあたくしがやります…」
はい。
あっさりテーブルから引きはがすのに成功しました。さすが付き合いの長いダリア先生、グラッチェ。
(だいたいあの方がするって言ってるんですから、いまさらアルトさんが逃げてどうするんですか…)
(ですがべらこへいか。あたくしがどこの生まれかおわかりでしょう…およそゆきというものをうまれてこのかた、さわったりするのはこないだまでほぼはじめてだったのですよ?)
(痴女皇国開いた時にヨーロッパを攻めてたじゃないですか。あの時にアルプスとか行かなかったんですか?)
(すいすのしぶにはおじゃましましたけど、ゆきがつもる場所には行きませんでしたから…)
そーです。千夜一夜のお国のアルトさん、およそ雪なるものに縁のない生活だったのです。
ですので、姉からはまず、雪に慣れる訓練を言い渡されています。
幸いなことにバーデン=バーデンは雪に覆われています。
そしてこの界隈、山あり森あり。
スキーはともかく、雪山で訓練するにはうってつけです。
はい、行きますよアルトさん。
…本当ならスキーウェアとか登山服とか、連邦宙兵隊またはイタリア陸軍の山岳部隊用の冬季迷彩服を着せてあげたいところですけどねえ。
ねーさん、なんかないんですか。
(あのなぁ。西暦の21世紀後半で既にそんなもん実戦部隊に着せて陸戦する風潮は廃れてるよ…今は陸戦歩兵は最低でも宙兵隊のTAPPS1規格のアシストスーツで冬季迷彩にしたやつを着て動き回るんだぞ…お前はまだしもアルトがそんな現代技術の塊を普通に着て壊さずに動いてくれると思うか?)
無理ですね。
(それに痴女種なら光学欺瞞ができるだろ。引きずってでもホーエンバーデン城の辺りまで連れて行ってくれ…)
はいはい。
という訳でバーデン=バーデン大公宮殿の後ろの山にある古城まで走って登ることにします。
はい、アルトさんもあきらめて黒薔薇服でワンピースタイプにしましょうね。これなら足元もブーツですよ。
「ううううう、さむいですう」
…っていうかアルトさん、年末の米沢旅行の際にパイセンがしていた蒸気機関車列車の救援に同行してたじゃないですか。あの時の要領で熱を発生させたらいいんですよ?
「あのときはダリアもいっしょでしたから…」ああ、横着してたんですね。
仕方がないので、あたしが捨てていた熱を回してあげます。
アルトさんもMIDI仕様マテリアルボディなのであたしと同じことできるはずなんですけどねぇ。
「へいかぁあああ」森の中の道をざくざく進んでホーエンバーデン城に向かうのですが、アルトさんの足取りが重いのですよ…。
「これは猛特訓が必要だな。どれ、アルト。ロッキー山脈とアルプス山脈、どちらが良いか選ばせてやろうか?」
いきなり聞こえる声。
「それとも私でなく、マイレーネに依頼しようか」
「え…アレーゼ様、なんでまた…」
「あら叔母様、明日の到着だったのでは?」
ええ、アレーゼ叔母様がそこに。
それもメキシコ風の民族衣装のお姿ですよ…。
「いやな、マリアから聞いたんだよ。アルトが雪山を嫌がってるって…アルプスは勘弁してやるから、とりあえず転送抜きで5分でホーエン=バーデン城まで駆け上がれるようにしないとな。ほら、行くぞ」
言うなり、アルトさんの首根っこを掴んで駆け出す叔母様。
絶叫が山に響き渡ります。
合唱。
だからあたしとだけの時にちゃんと練習しましょうねって言ってんのに…。
…とりあえず、あと数日のうちにヴァレンシュタイン軍が攻めてきますから、それまでに雪山慣れしましょうね!
「更に言わせて頂けるなら、痴女皇国の幹部が冬山で軒並み遭難する絵図しか見えないのですが、裸で」
「いつもの天の声の副題詐欺です。気にしないように」
--------------------------------------
さて、今回のお話はR15版「こんにちわ、マリア」↓からの続きとなります。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/81/
で、冒頭でお話ししたドイツの面積ですが、実はフランスより小さかったりします。だいたい日本と同じくらいですね。
ですが、広大なユーラシア大陸の一角を占めています。海外領土を喪失してなお、これだけ広いとお考えください。
(例えばハンブルグからスイスのチューリヒのような、ほぼドイツを南北に縦断するコースだとね、途中のかなりの区間を在来線になると言ってもICEの直行便で7時間半はかかるんだよね…ベラちゃんの乱暴ルギーニ、あれ最高速度が300km/h以上でしょ? …あれでアウトバーンを走っても、それくらいかかるんじゃないかな…)
<i631086|38087>
そしてこの時代ではオーストリアと…ハンガリーを領土に収めていますよ。
(ただ、乳上が東欧支部長に就任してからはあまりウィーンの皇帝の言うことを聞かなくなってますけどねぇ)
(差し当たり、ウィーンから真西に進軍してくる本隊の迎撃が課題となりますか)
で、目下、ブリーフィングルームにいるのはあたくしマリアヴェッラとメーテヒルデ(クレーニャ)さん、そしてカエル女。
メーテヒルデさんはご実家に顔を出して「軍税徴収部隊に握らせるものを渡して来た」ついでだそうです。
そしてカエル女は神聖ローマ帝国全土に向けて放たれた紫薔薇と黒薔薇騎士の指揮管制をしています。
「中北部ドイツからの南下部隊はいわば囮。こちらの進軍を敢えて早め、我々が迎撃に向かい軍を出した背後を突く作戦を計画しているようですね」
「バーデン=バーデン領内のヴァレンシュタイン側の密偵については敢えて放置、ただし監視はさせています」
はい、ウィーンに集結して軍編成の指揮を取るヴァレンシュタイン軍団長の意識を読み取るよう、我々も密偵を送り込んでいます。
で、なんであたしがテンプレス2世にいるか。
姉は姉で多忙だからです。
比丘尼国開発については姉が動かざるを得ない。実務はともかく決済関係は連邦世界やNBにおいて姉が社長をしているダミー企業があるからです。
テンプレス・レイルウェイズという英国本社名目のペーパーカンパニー…イギリスの鉄道は上下分離と言いまして、線路を保有する国に許可申請を出して列車を走らせる企業を募る形で運行しているそうですが、その1つの名目の会社がテンプレス・レイルウェイズですけど、実質的には痴女皇国国土局そのものです。
そして国土局長の室見理恵パイセンと姉の指揮のもと、NB、そしてNBを経由して痴女皇国世界の日本…八百比丘尼国に鉄道建設資材や車両を輸出したり、現地法人やらを管理監督指導しています。
加えてテンプレス・レイルウェイズは痴女皇国世界のスペイン王国に線路を敷く工事、既に開始しています。
この線路は最終的に、以前ルルドに行く際にTGVで通った道のりに近い形でパリまで伸ばして行くそうです。
そしてサンティアゴ・ディ・コンポステーラというキリスト教の巡礼地や、ルルドの近くを通過してトゥールーズそしてボルドーを経由し、これまたパリを目指す路線を計画しているとか。
(それぞれ役目があるからね? TGV大西洋線のルートはスペインやシェルブールの港湾で扱う貨物をパリと往来させるため。ジブラルタルやバレンシアからマドリード経由でパリはマルセイユなどの地中海海路貨物の陸送用よっ、コートダジュールのロマンスとかカンヌの映画祭なんかまだ先よっ)
えーと、計画担当のむっつり助平ホトトギスお姉さん@ジーナ母様と雅美さん評価がうるさいです。
(じゃあ日本軍の数字の名前の将軍さまがですね、モナコのカジノ出入り禁止になるのもまだ先ですかパイセン)
(ベラちゃん…経済発展策が振るわないからって、やたらIR誘致に熱心などっかの府とかどっかの市の偉いさんみたいな絵図描いてんじゃないわよっ)
(そう言いながらマルティニシャトラール線とかセルダーニュ線とかコルデモンテ線みたいなおマニア向けローカル線の建設計画稟議書を密かに回して来ているのはどこの誰ですかパイセンっ)
(あれはスキーリゾート開発用よ!)
(うそをつくなーっ!アルプスはまだしもピレネーはスキー場いっぱい作るには厳しいじゃないですか…)
(地元の人のアシでもあるのよっ)
(作る前から赤字確定の線路…しかも難工事が確定してるじゃないですかあそこ…何をどう転んでも赤字になるのは間違いないってエマ助も言ってましたよ…)
で。
みなさん。ルルド編でパイセンが言ってた「生きたニワトリや豚を積む人がいる」電車がこれだそうです。
<i631153|38087>
確かにこんな電車ならニワトリ連れて乗るとか、豚を連れて乗りそうです。
昔の日本で山奥に線路を敷く計画を立てて野党から猿を乗せるのかと追求された政治家さんがいらしたそうですが、鉄道法で猿は乗せないと返したようですね。
ですが、このセルダーニュ線って電車、よく見ると「ドア開け放して走ってる」んですよ…。ピレネー山脈に猿が住むかどうかはともかく、要は猿がいたら飛び乗り飛び降り出来るような地方を走ってるって事ですよね?パイセン!
(し、新車はエアコン完備で自動ドアで窓は開かないから…)
うちで入れる奴、Z100系とかいう、そのすごい電車の設計図をカエル女を通じてSNCFに要求してませんでしたか? 更にエマ助に現物スキャンさせませんでしたか?
そして画像拡大可能ならよく見て欲しいんですけどね…SNCFのマークとTER…つまり地方経営のローカル線のロゴが入ってるじゃないですかっ。
そんなですね、フランス共和国が補助金ざぶざぶ突っ込んでやっと存続しているようなですね、1日のうち電車が来るのが2回とか3回みたいなローカル線の建設は皇帝として容認できまへん…容認したらたのきちに怒られるの、あたしなんですよ?
(財務局に呼び出されてデルフィリーゼお祖母様に問い詰められるのに同行して下さるなら、あたしは稟議書に承認のはんこつきます。それか姉またはジーナ母様の皇帝代行印をおねだりしてくださいっ)
わかりましたねっパイセンっ。
ほんっとにもー。
パイセンの4月からの業務報奨金査定、あれのやり直し要請をしたくなりましたが、あれ、他の皇帝決済書類と同じで、あたしのはんこだけじゃ通らないんですよね…。
でまぁ、鉄道建設関係は姉にぶん投げる代わりに「ベラ子、お前がヴァレンシュタインをしばいてくれ。ついでにいけるようなら神聖ローマ帝国まるっと殴っていいぞ、この際」とか言われております。
無茶言うな、ねーさん。
この国に貴族が何人いて領地いくつ持ってるんですか。バーデン=バーデンだけでも大変なんですよ。
あ、実はロレーヌとバーデン=バーデンはですね。
先に政治制度改革進行真っ只中のスペイン・イタリア・鯖挟国協賛の元、知事制度と官僚制度への移管計画策定に着手しております。
小作農制度はもう少し残すかも知れませんが、少なくともあと10年くらいで農地改革を含めた近代化と立憲君主国化を進めてしまえとなっております。
…これ、軍人を含む公務員を作ることになるんですよね。つまりお役人さんです。
労働に対する制度改革を推進するの、まだ早い気もするのですが…イタリアとスペインではいわゆる貴族階級に関して、農業や工業経営に進出して資本家になる事をぼちぼち教えて行ってるそうです。
で、ボルジア家とメディチ家がお金を出し合い経済学部をイタリア国内の著名な大学に設けて、近代商業制度を普及させる動きを見せてもいると。
(確かに貴族制度廃止は痛い話です。しかし、いずれは押さえつけられ延々と固定された身分に縛られる生活に不満を覚える者が増える事でしょう。ならば能力ある者が身を立てる手立てくらいは用意してやるが道理では?)
(黒ひげのティーチが前に言っていたのたがな、もう少し早く聖院なり痴女皇国に泣きつく術を知っていたら、俺は海賊の道には行かなかったかも知れない。だが海賊稼業を通じて海賊以外でも食って行けそうな奴と何人も知り合えたのは大きかった、とな。実業の道を志すなら支援してやりたい奴は世に広く存在している。彼はそう言いたいのだろう)
と、デステ叔母様とチェーザレ叔父様からも賛同めいた意見を頂きます。
(確かに金貸しと商売人…父を見ていると、志したくなるかは疑問だ。だが実際に商いをしなければ立ち回らないのが世の中だろう。自国の産品で何もかも賄える国はそう多くない。特に産業革命とやらがあればますます、他国との商取引は進めざるを得ないだろう。マリアヴェッラもそう思わないか?)
(比丘尼国も鎖国制度を見直す風潮でしょう。我が国もトリエステのみならずナポリやガエータにピサと港湾整備にかかる中、単に貴族であるというだけで、実力なきままに領地収入にあぐらをかいて暮らす世は終焉を告げるでしょう。有り体に申しますがマリアヴェッラ。他人様より資産を持っているのに子女の教育に費用を投じずして何をしているのかという者も世にはおりますでしょ?)
(叔母上…それ、ルクレツィアへの皮肉となりますから…我が父が私とルクレツィアには相応の学校に行かせておりましたのをご存知でしょう…)
(もちろん解って申しております。わたくしはまだあの泥棒猫を許した訳ではありません事よ、チェーザレ…それより貴方も貴方です。マリアリーゼ陛下に還俗を希望なさっておられるようですが、そもそも次期教皇候補を見つけるのと、カテリーナを娶るのが条件と言われて引き下がったのは聞こえておりますよ?)
(お、叔母上お待ち下さい、私は何もカテリーナを娶らないと申した訳では…)
(黙らっしゃい。子供を叱る際に「カテリーナが来ますよ」とまで言われたあのカテリーナが泣いて頼みに来たのですよ…チェーザレ、いくら貴方が聖職者で、しかもカテリーナがあの性格でもですね、もう少し構って差し上げなさい…3月の会合にはカテリーナ、わたくしの権限で呼びますからね!)
まぁ、デステ叔母様は細かい方です。
ルクレツィア母様の行状やら言動やら、諸々を愚痴った手記やら手紙やら全部残してるくらいに。
そして照準された叔父にはかわいそうですが、心話接続、そーっと切らせて頂きます。
あたしにはお仕事があるのです。
では、そのお仕事とは何か。
「ですからですね、あたしもお付き合いしますから…」
「いやなものはいやなのですっ」
何ですかこの○0歳児。
えーと、この話を最初から読んでる方。
アルトさんがどう計算してもアラサーかアラフォーになるの、ご存知ですよね。
ついでに言っときますけど、あたし、アルトさんにおっぱい吸わせてませんよ。
つまり、マザコン化してません。
それにあたしの母乳の効果だと、聞き分けの良い子になるはずなのです。
こんなテンプレスのメスルームのテーブルの脚に足を絡めて意地でも動かないぞとスネる行為には及びませんよ。
(あのね、こういう時のアルトさんの処理方法ですけどね…)と、ダリア先生から教示を受けます。
んで、その通りにボソボソと耳打ちしましたところ。
「わかりました…ナディアにやらせるよりはあたくしがやります…」
はい。
あっさりテーブルから引きはがすのに成功しました。さすが付き合いの長いダリア先生、グラッチェ。
(だいたいあの方がするって言ってるんですから、いまさらアルトさんが逃げてどうするんですか…)
(ですがべらこへいか。あたくしがどこの生まれかおわかりでしょう…およそゆきというものをうまれてこのかた、さわったりするのはこないだまでほぼはじめてだったのですよ?)
(痴女皇国開いた時にヨーロッパを攻めてたじゃないですか。あの時にアルプスとか行かなかったんですか?)
(すいすのしぶにはおじゃましましたけど、ゆきがつもる場所には行きませんでしたから…)
そーです。千夜一夜のお国のアルトさん、およそ雪なるものに縁のない生活だったのです。
ですので、姉からはまず、雪に慣れる訓練を言い渡されています。
幸いなことにバーデン=バーデンは雪に覆われています。
そしてこの界隈、山あり森あり。
スキーはともかく、雪山で訓練するにはうってつけです。
はい、行きますよアルトさん。
…本当ならスキーウェアとか登山服とか、連邦宙兵隊またはイタリア陸軍の山岳部隊用の冬季迷彩服を着せてあげたいところですけどねえ。
ねーさん、なんかないんですか。
(あのなぁ。西暦の21世紀後半で既にそんなもん実戦部隊に着せて陸戦する風潮は廃れてるよ…今は陸戦歩兵は最低でも宙兵隊のTAPPS1規格のアシストスーツで冬季迷彩にしたやつを着て動き回るんだぞ…お前はまだしもアルトがそんな現代技術の塊を普通に着て壊さずに動いてくれると思うか?)
無理ですね。
(それに痴女種なら光学欺瞞ができるだろ。引きずってでもホーエンバーデン城の辺りまで連れて行ってくれ…)
はいはい。
という訳でバーデン=バーデン大公宮殿の後ろの山にある古城まで走って登ることにします。
はい、アルトさんもあきらめて黒薔薇服でワンピースタイプにしましょうね。これなら足元もブーツですよ。
「ううううう、さむいですう」
…っていうかアルトさん、年末の米沢旅行の際にパイセンがしていた蒸気機関車列車の救援に同行してたじゃないですか。あの時の要領で熱を発生させたらいいんですよ?
「あのときはダリアもいっしょでしたから…」ああ、横着してたんですね。
仕方がないので、あたしが捨てていた熱を回してあげます。
アルトさんもMIDI仕様マテリアルボディなのであたしと同じことできるはずなんですけどねぇ。
「へいかぁあああ」森の中の道をざくざく進んでホーエンバーデン城に向かうのですが、アルトさんの足取りが重いのですよ…。
「これは猛特訓が必要だな。どれ、アルト。ロッキー山脈とアルプス山脈、どちらが良いか選ばせてやろうか?」
いきなり聞こえる声。
「それとも私でなく、マイレーネに依頼しようか」
「え…アレーゼ様、なんでまた…」
「あら叔母様、明日の到着だったのでは?」
ええ、アレーゼ叔母様がそこに。
それもメキシコ風の民族衣装のお姿ですよ…。
「いやな、マリアから聞いたんだよ。アルトが雪山を嫌がってるって…アルプスは勘弁してやるから、とりあえず転送抜きで5分でホーエン=バーデン城まで駆け上がれるようにしないとな。ほら、行くぞ」
言うなり、アルトさんの首根っこを掴んで駆け出す叔母様。
絶叫が山に響き渡ります。
合唱。
だからあたしとだけの時にちゃんと練習しましょうねって言ってんのに…。
…とりあえず、あと数日のうちにヴァレンシュタイン軍が攻めてきますから、それまでに雪山慣れしましょうね!
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キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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