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アルトリーネの仁義なき妻たち 4
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ええ、おかみ様まで来られました。それも、例のど助平白装束…中に一切の下着をつけていないあれです。
呆気に取られる皆様ですが、痴女皇国や八百比丘尼国とお付き合いするとこういう方々との接触が日常的になりますので、ちょうどいいでしょう。
「なんじゃまさみ。お前身重やろうに…大丈夫なんかいな」お気遣い頂いてありがとうございます。
「で、正直、このお人を知ると伊勢神宮に敬虔な気持ちで参る気をなくすんやけど…」とジーナちゃんがおかみ様を毎度のフレーズでご紹介。
「おいこら婢女。わしをよねざわに誘わんでどないすんねんっ」
「来られたら迷惑ですねんっ」
「やかましいわ、あんな稚児とか陰間とか衆道の紅毛よこそうとしよってっ、あんなもん江戸に入れるなっ」
「せやからですね、ややこしいのんは処理してから監獄国で慣らしして江戸に出す言う話しましたやん…えーと、田所さんに宇賀神さんに戸田さん。正直これ右から左に流して欲しい話なんですけどな、こっちの世界で私らが出荷した人間の送りつけ先の一つが、このお方の治める向こうの日本ですねん」
で、八百比丘尼国の成り立ち生い立ちですとか諸々を高速学習頂きます。
「あのさぁ…雪子さん…つまり、痴女皇国なり聖院に行くともれなく、こう言う方々との接触が」瞳さんがゆっきーに聞いていますが、正直汗だらだらですよ、瞳さん。
「日常茶飯事よ。おかみ様にしても出雲の時期にいけにえ村作戦なんかあったりで大変だったらしいけど、普段は痴女宮に入り浸りだから」
「ついでに言っとくと今、あたしが保護場を出してるけど…元来ならおかみ様がここにこうしているだけで、死ぬ人多数なんだよな…」
「雪子ちゃんは平然としてるわね…」感心したような表情のゆっきーママ。
「そりゃお母さん、あそこに出向した際には体質転換必須になるからって言われてたじゃんか。あれしとかないと向こうは本当に生死に関わるのよ…あたしは1ヶ月どころか一週間で思い知ったわよ…」
(宇賀神邦彦さん、桔梗さん…娘さん方の名目監督部署たる文教局の長をさせて頂いている田野瀬と申します。私達が聖院にお邪魔した当時は現在の痴女皇国よりもっとすごかったんです。近寄れないくらい高温度の熱気を周囲に発してる女官種の方もいらっしゃいましたので…基本的に日本国から来られる方には導入研修を入念にさせて頂いております。なにせ痴女皇国、下っ端財務官僚だった私が呆れたくらいにまりり…当時のマリアリーゼ皇帝陛下が好き放題できた究極的人治国家ですから、日本人が来たらおかみ様に会う前に2分に1回は卒倒する光景がもごもがが)
(たのちゃん…それ以上は言わないでくださいまし…聖院の日常にも触れてしまう禁句ですわよ…)
「本当はあたし一人で反社の1万人くらいは単純に処理できるんだけどねぇ、話がこじれちゃいまして。もう田所さんや宇賀神さんのお父さんや戸田さんにはすみませんでしたごめんなさいとしか言えません…」
「ま、まぁ、皆様方、仮にも日本国に居住する者に対して、痴女皇国世界の住人相手にするほどみなさん過激な手段に訴えはしませんから…。これは私ジョスリーヌ・メルランが先日パリで身をもって経験しましたので、決してこの方々が連邦世界の地球を害する意志をお持ちではないと断言いたします」
「このこの言うとおりや。ちたまにせいふく着せるんやったら、わしかまりやがとうにやっとるわ」
「逆に、私を簡単に倒せるはずの田中雅美さんが、さっき大人しく手錠をかけられていましたよね。あれが一番の証明でしょう」加藤さんがあたしの理性を褒めて下さいますが、実際には茶番と解ってましたしねぇ。
「私の口枷も大人しく付けていただいておられましたので」もっとも、この口枷はきつかったです…。
「まぁ、いくらうるさい祖父やら泣きつく上司やらがいるとは言え、うちの母親が一回死んでるのに蘇生させられて相も変わらず宙兵隊の将官もNBの将官もさせられている時点でお察しですよ。私たちも皆さんが皆さんのままでいらっしゃる方が色々ありがたいんです。マリアヴェッラはイタリアうろつきたいし、雅美さんは秋葉原と池袋と…有明抜きの人生は考えられない人なんで」マリアちゃん。女かまきりよりはましだけど、その紹介は正直言って嫌なんだけどっ。
(じゃあ今後100年は池袋の西口以外利用不可で)それもいやっ。
「いやね、日本政府が言う事聞かないわがまま小僧の親をするのが面倒だってのは俺もわかりますよ。どうしたって更生が無理な奴、昔の私の仕事で何人も相手しましたから。ねぇ局長…社長」
「ああ。めんどくせぇジャリタレの後始末より遥かに気が利いてるじゃねぇか。山田長政みてぇに向こうで一旗挙げて来るなら結構なこったぜバカヤロー。ってのが私の感想ですな、高木さん」
「実際に大海賊だったのが今、実業家見習いをうちでやってますからね。エドワード・ティーチ、いわゆる黒ひげですよ」
「そいつは凄ぇ。宇賀神、黒ひげさんが商人で名を上げた時にはドキュメンタリー、一本撮らせてもらうか?」
(あー、この人たち…昔はバリバリのTV屋さん…)
(ああ、職業病って奴だ。当たりそうなネタはとりあえず押さえる癖が習い性なんだよ…)
「今更ディレクターですか。ま、個人的には一杯付き合ってみたいもんですがね。そうそう。番組で思い出したんだが…局長…もうめんどくさいから局長で通しますよ? 国営放送に伝手、ありますかね」
「何でぇバカヤロー。俺を誰だと思ってやがるんだバカヤロー。あそこの番組の顔に何人うちから送り込んだよ。オメーの悪い顔で察しがつくがよ、海老原さんに引き取ってもらうセクシー女優さん達絡みじゃねぇのか?あん?」
「何でそう察しがいいんですか。俺の昼飯や晩飯の予定を当てる程度にして下さいよ…まあいい、雪子。お前、桔梗に録画頼んでる番組あったろ。あのヤクザやら何やら業界裏話を匿名でやらせるやつ」
「あー、あの動物のぬいぐるみに話させる形でいろいろ暴露させるのが面白いんじゃん。あれ痴女宮の中でも人気よっ」
「受信料取り立てに来られるぞ…まあいい。局長、あれにあの女の子達出せませんかね」
「やっぱりか。だが…収録から放送まであんま時間ねぇぞ」
「完パケ納品して放送予定変更してもらうってのはどうですかい? ねぇ高木さん。我々には無理だが、そちらの技術や特殊能力なら物理的に番組一本、こっちが呆れる速度で仕上げるのは可能なはずだ」
「出来るよ。任せな。あとは今週の放映枠にねじ込む段取りだな…加藤さん。神南の上層部の不祥事、どれくらい押さえてる?」
「贈収賄と未成年交遊。あと何か追加があれば」
(俺と同じ警官とは思えねぇ…)
(そりゃ戸田さん、この人、もともとは本来なら比丘尼国で生まれてるべき人なんだよ。手違いでこっちの日本に生まれて帝都を滅ぼそうとしてたんだけどさ。ま、特殊能力を活かして皇宮警察所属で公安部出向って立場であたしらに協力してくれてるんだけどね)
(おかみ様には力でねじ伏せられましたが、マリアリーゼ陛下には毎々面白い事をさせられていますから、それが楽しみで。あ、高木少将、お時間あればあとで駒形に是非。先日の大◯のお返しを)
(了解。もし予算足らんかったら言うてください。ベラ子かマリ公が払います。うはは)
「よし、とりあえず神南には若様方面から圧力加えよう。田所さん、あの番組の構成作家にアタリつけてホン書かせる事できます?」
「ええ。ま、あんな番組なんであまり時間はかからないと思いますけどね」
「よし、構成のあらすじ考えたからそちらに今送ります、これ見せてホン書かせて下さい。もし仮払い分で経費足らないなら言ってくださいね」
「充分行けると思いますよ。じゃ、早速かかります。ちと電話を失礼。…あー俺だ。南青山の関メの本社前に車回してくれ。行き先は渋谷区だ」
「宇賀神さんは奥さんや瞳さんと手分けしてリストにある元・雅美さんとこ所属の女の子にコンタクト願います。関東メディアの名前で話してもらっていいでしょう」
「なるほど…それでここで10人くらい働けるように机を用意されてたのか…」
「加藤さんは神南幹部の件で若様に話をしてから説得に移ってください。送りますよ」
「了解しました。では」加藤さんが我々の目の前からかき消えます。
「ひえ…話が早いってな聞いてたが…」
「これくらいで驚いてもらっちゃ困りますよ戸田さん。ジョスリーヌさん、PMCなんだが、いいアテはあるかい?」
「んー。祖国の正規兵はまずいし…第十三艦隊の雇用元が大統領閣下に話をしたがっておりますわね。ちと聞いてみましょう。奥様、ジョスリーヌ・メルランです…マリアリーゼ陛下が湯田屋さん絡みのPMCの紹介を頂きたいと。なるべく非合法活動慣れしている部類で。人数は…10名未満でお願いしたいと。はい。2時間以内にお返事頂けますのですね。かしこまりました。わたくし宛にお願いいたします。陛下、以上でよろしいでしょうか」
「うん。ありがと。貴女は職場に戻るかい?」
「イケブクロに寄らせて頂いてから。今回は…小官は銃器不用で構いませんよね」
「んだな。段取りがつき次第呼ぶから」
「マリアちゃん、あたしはどうする?」
「とりあえずジョスリーヌさんと…スザンヌ、マリアンヌ。お前ら悪いが池尻大橋のあそこから雅美さんと一緒に池袋へ同行してくれ。年齢外観は何歳の設定でもいい。ゆっきー、一団に加わってくれ。もし誰か襲って来たらドレインして捕獲、あたしに連絡くれ。で…黄さんと戸田さんと乳上とかーさんだけど…」
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「マリ公。あたしは今、親子の対話の必要性をことの他強く感じているのだが」
「うるせぇさっさと面接行ってこいっ」
はい。ここからは雅美さんに変わりましてあたくしジーナおばはんが担当させていただきます。
「ジーナ様。私も大概、陛下のわがままには慣れましたし、沖縄で鍛えられましたが…まさか六本木とやらで踊るとは!」
「乳上。今度二人でマリ公を泣かす事で辛抱してくれ…戸田さん、田所さんから預かったロシアンパブのリストで、そっち系の網にかかった店がこれですねんな」
「ええ。間違いありませんわ。で、顔役がこいつ。安田銀河ってのが実質店長ですわ」戸田さんの私物に偽装した警察用メディアウォッチを使って表示してくれたターゲットのデータを拝見して顔を見合わせるあたくしと乳上。
「銀河と書いてギャラクティカ…なんちゅう名前じゃ…」
「右拳を振るいたくなりますわね…」
「で、マリ公は後でどじょうパンツ放流の刑にするとして、うちらの役割り振りどないすんねん」
「やったらナのつくアレをおばはんのパンツに入れてやるからな…まぁともかく、かーさんは在日日系ロシア人という設定で行こう。乳上はかーさんを訪ねて沖縄に来たハンガリー人で、戸田さんは沖縄でたまたま知り合ったサラリーマン。で、田所さんに話を聞いてたロシアンパブに二人を連れてきた。俺はよくわかんねぇんだけどこの手の店で働く場所ねぇかなって連れて来たことにしよう。あたしは擬装…解かない役割ねぇかな」
「俺の知り合いにすりゃいい。んで、高木さんは千葉でちょろっと水のバイトをした際の求人サイトとか見た記憶で遊びがてら俺をポンギに連れて来た設定にしよう。アマンドのケーキに釣られたってのもいいな。見た目未成年ギリギリなんだし」
「よし、とりあえずそのセンで行こう。んじゃ電話…ちょっと待ってね、こういう場合のために渡されてる擬装回線あんだわ。よし。あーもしもしーすみませーん、えーっとぉ、あたしじゃないんですけどーぉ、ガイジンさんを働かせてくれるお店だって事でぇ、2人ほど面接してほしいんですけどー」
で、おもっきし声を作りまくってるマリ公の電話相手、戸田さんに代わってもらってます。
「あーもしもし。そちらのお客さんで田所さんって方の知り合いのもんなんですがね。なんか沖縄にいるロシア人のとこに友達が訪ねてきてね、二人で観光がてら働ける店ねぇかってんであたしの名刺の番号に電話して来ましてね。俺もよくわかんねぇんで田所さんに聞いたり知り合いの子に尋ねてさ、お宅なら話して聞いてくれるんじゃないかって事になったんだけど、一つだけ。二人とも美人なのは間違いねぇんですわ。いやいや、もう本当に行きずりに近い感じで頼まれただけなんで、深い関係とかそんなんじゃないですから。男のあたしが邪魔なら女の子達だけでお店に行かせますよ…ああ、そうですかわざわざご丁寧に。ええ、店の下でお待ちしてますよ…降りて来るそうです」
「やあやあ、わざわざすみません。ええ、わたし民山というもんで」と、降りて来たロン毛の兄ちゃんに名刺を渡す戸田さん。なるほど、確かに銀河なんて名前を本名にされそうなお子ですねぇ。
(ほれほれ動画サイトでバズらせるために、こういうジャリタ…お子様を経営者に仕立てたりわざと色々贅沢させんのよ。あとキャバ嬢に下着やコスメの会社経営させたりな。こいつのお仲間のAV屋の石灘ってのもその手の商売やってるよ。水着屋とかクラブ系衣装屋さん)
「ああ、なるほど、民山景夫さん…TV屋さんですか。はいはい。まぁ、田所さんも派手に遊ばれるってんで界隈じゃ有名ですからね。そっかー、うちの店覚えてくれてたのかー。ええ。是非面接させてくださいよ」
「面接してくれるってよ、シャラポアさんにアルテさん、よかったな」戸田さんがさぁさぁ行って来いという感じであたしを送り出しますが。
(なるほど…こりゃ俺に性欲抑制用の特殊飲料をあらかじめ飲ませてくれるわけだ…高木少将…この乳上って人を見た瞬間に、安田が半分理性無くしてましたな…上級痴女種ってのへの免疫がないとこうなる訳か…)
(ですねん。乳上クラスになってもうたら、側にちょっとおるだけでも進行が早いと1時間くらいで痴女種または女官種への生体移行が始まるか、生体エネルギーの被曝に晒されて命を失うんですわ。側から見てたら助平気分が過ぎて鼻血ブーになったようにしか見えませんけどね)店の中に案内されながら、心話で下の二人に交信を入れます。
(それよりかーさん、今乳上とかーさんを端末に使ってこの安田の頭の中を抜いたけど、面接どうするよ。ぶっちゃけ今ドレインして昏倒させて身柄さらえても問題ねぇぜ)
(この安田から繋がってる人脈抜いたか? 芋蔓でさらえていけるならうちはかまへんぞ)
(こいつ、下手するとわたくしをこの場で犯しかねませんわね。まぁ正直非接触でこのままドレインと例の処置の促進を行いたい気分に満ち満ちておりますが)
(了解した。乳上の感情を尊重しよう。やっちまえ)
という訳で店の中のボックス席に座らされて、電子履歴書を見せようとしたあたしの前で、ギャラクティカ何とかを食らったように倒れ込む銀河くん。
(よし、昏倒させた。上がってきて)
そしてマリ公がバックヤードにあったパソコン類などの中身をことごとく攫い上げ吸い上げます。
「あとは安田の身柄ですが…」
「とりあえず他の奴同様、うちの国に送り込みます。今やった作業でこいつからの人身売買の繋がりや、店で働いてる女の子は全て押さえられますしね。そもそも、はなっから正規の犯罪者としてのルートで逮捕立件起訴しねーんだから…あとは物盗りで行くか失踪で行くか。そもそもここ20時開店のはずなんで、あと1~2時間以内に誰か来るからその時に店の扉開けときゃ絶対に騒ぎになりますよ。店長どっか行って時計で呼んでも連絡つかねぇ自宅にも女のとこにもいないってなったら、必ず吉崎に連絡行くでしょ。あとは安田が握ってる店の運営資金とか資産を動かせないようにしときゃ、月に何百万か知らねぇけど、そんだけ組織に金が回らなくなるんだし」
「千葉県内の業者とのつながりをこっちに流せる筋書きが欲しいですな」
「了解。…黄さん、ちょっと六本木署の人、ここに来させる事できる? 安田の筆跡で女の子たちの仕入れルートになってる婚活相談所とか、出荷用に使ってる旅行代理店とか身元保証業者とかメモ残しとくよ」
(了解。私をそっちに転送してくれたら日本警察を呼ぶわよ…戸田警部補いらっしゃるなら千葉県警に連絡してあげた方がいいわね。とりあえず呼んでー)
んで黄さん到着。
戸田さんの電話経由でてきぱきと話を付けて県警の応援と、捜査班到着までの現場保全を六本木警察署に依頼してくれます。
「ほな黄さん戸田さん、うちらおったら話ややこしなるから先に痴女宮行きますわ」
「で、安田のメモに指紋を…と」白手袋して安田の指に電子メモを触らせるマリ公。
「この番号が千葉の提携先。んで安田の開店資金とか出資してた金主がこいつね、金主も怪しい奴だけど、捜査の手が伸びて逃げようとしたら普通の警察ルートで押さえた方がさ、表立っての手がかり残るからいいでしょ。こいつの埃もあとで押さえとくよ」
「助かるよ。点数稼ぎのネタ残してくれる方がありがたいからな」
「んじゃねー」
という訳でマリ公・乳上・うちは痴女宮堤防へ。
黒ひげと「見栄えのいい」罪人数名が囲む中、罪環を装着した後でマリ公が覚醒信号を罪環に送って安田の目を紳士的に覚まさせます。
「やあ安田ギャラクティカマグ◯ム君、おはよう。それともギャラクティカファン◯ム君とお呼びすべきかな?」
「むが、もがががが」
「とりあえず君が自分の置かれた立場を速やかに理解できるよう、敢えて君の発声器官の動作制限をかけさせて頂いた。君がしゃべらずに頭の中で考えるだけで私や娘達、さらには君の周りを囲む体格のいい男性陣にはちゃんと伝わるからだな、まずは周りを見渡したまえ」と、にこやかに宣言して差し上げます。
「で、さしあたって…今の私の服装を認識できるかね」へたり込んだままの安田の前に立って質問。
(え、えーっと、さっきと違って軍服みたいなの着てるよな…)
「私は連邦宙兵隊嘉手納基地所属のジーナ・高木という。階級は少将。つまり偉いさんだ。そしてうちの娘と部下の女性、面接の際と同じ服を着ているかな」
(い、いや…尼さんみたいなのと…あと最初に話をしようとした長髪巻毛でパツキンの爆チチねえちゃん…え? まさか?)
「ふむ。安田君…もしかして君は通称乳上というんだが、あの赤いアミアミスケスケなどエロ衣装を着た歩く18禁どころじゃないお姉さんに見覚えがあるのかね」
(あ、ある…あります。何か異世界か知らねぇんですけど、女しかいない国があって、そこでやってるのを盗撮したエロ動画…あああああ!)回りを囲むティーチや罪人に怯えたのか口調が丁寧になりました。ただ…ティーチの罪環、既に金色で晴れて継ぎ目も出来ましたし、罪人の皆様も全員銀色罪環の方々なんですよ。つまり、痴女宮関係者からすれば優秀で頼りになる優良罪人ばかりなんですよねぇ…見た目と違って、話せば通じるからな。
「私の顔にも見覚えがあるのか。ふむ。これは困ったな…あの少年、そうは見えんだろうが私の夫なんだがな…まあいい。君が今いるのは正にその世界そのものなのだよ。で、もう一つ確かめたい事がある。この三人の顔に見覚えはあるかな」
んで、あたしが再三再四出してる改善要望に全く答えてくれない新型専用制服の股下5センチ未満の激ミニスカ姿で安田君の側にしゃがみ込み、聖環からマリアンヌとスザンヌと雅美さんの姿を出して見せていきます。
(ち、近いんですけど…)
「私のささやかなサービスだ。気に入らないかね? で、中学生くらいの二人に見覚えはあるかな」
(いや、正直タイプなんでそのままで…で、見覚えあります。ビデオに出てもらうけど話がこじれたら吉ざ…知人から何とかしろって言われてました…)
「ああ、吉崎無限の事なら調べはついている。そして君にこの女の子たちの画像を見せたのは上田馬◯助みたいな感じで派手な服を着たメッシュヘアのおっさ…」
(はいそうです石灘英気って言ってフェチ物のAV監督してる人ですっ)
(なんかものすごい素直に答えてるよな…)
(そりゃ陛下、優良罪人とは言えこんな者達とティーチが囲んでるんですから、普通は暴れる気なくしますよ…)
「ちなみに安田君、君に質問しているエロババァ、実はあたしの不肖の母親でね。ついでに言うとさっき見せたうち銀髪と金髪はあたしの妹なんだわ。で、あたしゃ痴女皇国で上皇をしている高木マリアリーゼって言うんだがね、正にその女ばかりの国をだね、妹の一人や、このおかん達と一緒になって統治している立場なんだよ」
(は、はぁ…)
と、そこに。
「ねーさん。かーさま。石灘英気とやらを捕まえて来ましたけど」
「で…ベラ子にアルト…その人に装着した罪環はまだしも、口に差し込まれた大根は何やねん…」
「さわぐのでそこらに生えていただいこんをたべていただきました。このひとのおくさんやかいしゃのひとたちも別のばしょにいますよ」
「ああ、この人の会社、練馬やってんな…しかし今時練馬に大根植えてる畑なんかあったんやな」
「天の声の親戚で練馬に居宅を構える家電メーカー役職者と、そのお兄さんが同席する宴会で練馬の話が出た際に、今や練馬大根兄弟の時代ではなく練馬に住むにも一苦労という実態を在阪者に認識させるのにも苦労したそうですが、それはともかく」
「ベラ子。かわいそうなので大根は抜いてあげなさい。で、安田君。今このガタイがいい派手なおじさんを片手で持ち上げていたのが痴女皇国の将軍のアルトリーゼで、巻毛パツキンのくっそ派手なお姉ちゃんは私の娘でもあるマリアヴェッラ・ワーズワース・ボルジアと言って痴女皇国の女皇帝だ」
「そして安田さん。あなたは私の妹たちをAV出演させようと企てるわ、あまつさえ人身売買の対象として売り飛ばす事を企図する片棒担ぎをしていましたね。しかしながら、あなたの従順で協力的な態度に対して母親の高木ジーナが情状酌量を考えるそうなので、とりあえずは先にこの石灘英気についての処分を済ませます。その間に姉…上皇マリアリーゼが私たちの国についてあなたに色々教えますから学習しておきなさい」
で、ベラ子の宣言通りに。
(や、やめろおおおお)
「残念ですが日本国政府の関係者からあなた方に対する処分の許可を頂いていますので。もっとも、許可を頂かなくとも私たちはご家族や従業員の方もろとも、こうしてここに連行する事は可能ですが」
「あんたの会社で雇ってた女の子たちも結構いろんな経歴持ちだよなぁ。少なくとも正社員で雇用してた訳じゃないし、薬物反応やら何やら色々出て来るよな」
「ぜんいん、いれずみが入っていましたね。もっともわたくしたちならすぐけせますが」
「それと思わぬヤバい話が出たぞマリ公。あの女の子らの中で数名…座間と厚木と横田絡みで密輸に関わっとったのがおった。物理量は極めて少ないが、モノの危険性と金額は洒落にならん。目下ドミニクさんが宙兵隊並びに宇宙軍側から先に埃掃除をしとるが…厚木の米海軍までは少し時間かかるな…」
「あー、ビタミン剤な。ルートからすりゃ合成覚醒剤だろ。コカインベースのやつ」
「で、石灘さん。あなたの身体に触れる事なく私たちは身体検査が可能なのですが…むしろ、今ここで日本に戻って警察に引き渡されない方があなたやご家族には幸せでは? 少なくともお仲間にとって不利な供述をすることを危惧され獄中ですら始末される可能性、大ですよね?」
安田君と同様に口を封じられもがもがしていますが、さっきよりは大分大人しくなっています。まぁ、ショックな事が起きたから仕方ないね。
「家族として二度と食卓を囲めないのは遺憾に思いますが、あなたが関わった人身売買の人数が10人や20人どころじゃないのを考えますと、因果応報というのが私の思いです。そして痴女皇国の皇族と薄々勘づきながらよろしくない処理を考えた時点で、我々もあなた方が考えた事と同等以上の処分に踏み切らざるを得ませんね」
「ついでながら痴女皇国に成文法はねぇ。このマリアヴェッラかあたしが法律だ。ただ、あたしらは人間以上の記憶能力や処理能力があるからな。それに…あたしらについて今の時点であんたにここまで知られた時点で、二度と連邦世界の地球の土を踏ませられねぇんだわ。あたしらの存在は連邦政府の特別機密でね。実際には存在を承認してもらうための情報浸透工作を順次行ってはいるんだけど、あたしらや連邦政府、そしてNBがイニシアティブを取ってはいない行為はご遠慮願ってるんだよ。本当ならあんた、グァンタナモかビキニかムルロアに送られて終身刑または銃殺だぞ?」
「まぁ、石灘さん。戻りたくても専用の機体で航行しないとここから地球には戻れないんですよね。それにあなた…今仮に日本に戻ったとして、石灘英気だって主張してもはいそうですかと認定されますかね」と、あたしは聖環をカメラモードにして自撮り風状態にしてから、おっさんに今の姿を見せてあげます。
「よしアルト、この人を罪人寮の初期独房に収監。入れる時にあれ渡してあげてな。例の今回の件で収容した人向けのぶしのなさけ君キットの包み」そしてアルトくんが呼んでくれた警務騎士と罪人の皆様が変わり果てた元・上田◯之助を連行していきます。
「さて安田君。石灘氏の処遇についてだが、君より遥かに聞き分けが悪かったのも厳しい処置を取った理由の一つだ。しかし君はまだ我々に協力的であるから、更生の余地ありとして今後の人生の選択肢を増やしてあげよう」まだ立てる力が戻らない安田君の半身を起こし、背後から乳を押し付けながら話しかけてやります。よしよし、勃起する元気はあるな。
「まず一つ目は、君の前にいる髭男のエドワード・ティーチだがね、実は我々に捕らえられた海賊黒ひげだ。君もゴム人間漫画や廃人課金ゲームなどでその名前くらいは聞いた事があるだろう」
頷く安田君。
「で、彼は我々に従い有能である事を何度も証明してくれたのだが、ティーチ、ちょい悪いけどさ、あんたの罪環外してみてや」
「ほいほい。…で、ミスターヤスダか。あんたの首にはまってる黒色だけど同じもん、外れるかやってみな」自分で外した罪環を手に持ちながらティーチが申しますが。
(外れません)
「ま、こいつが外れるには条件があってな。このお方々がやってて俺が長をしてる監獄でお勤めをするんだが、ここは罪人の面倒を先輩の罪人が見る仕掛けだ。で、面倒見が良かったり、自治っていうのか。罪人寮の中の仕事に前向きだったり工場仕事や警備のお手伝いに飯炊きと頑張るんなら、それに応じて輪っかの色が黒から金に向かって変わっていくんだ。さっきいた連中の首輪、銀色だったろ?」
(はい)
「で、さっきの体格はいい派手なおっさんが暴れかけてた時のように、暴れるのはもちろん、悪さを考えるだけでもこいつが働いて動けないようにされちまうんだ。工場仕事をサボってもやられるからな。つまりおまえらの国の刑務所とやらにいる見張りの役目、この輪っかがある程度してくれるんだ。手枷足枷なんざなくてもきっちり監視されんのさ」
(じゃ、黒ひげさんはなんで…)
「俺は痴女皇国の産業振興に役立つよう罪人たちと話し合って商売のタネになるものをだな、ここのダムの向こうに広がる工場で作る事を提案した。企画書や見積書ってのか。そんなもんの書き方も習ってな。で、皇帝陛下や上皇陛下も工場を広げて手広くやる話を考えておられたんだよ。んじゃティーチ、一度やってみろって言われてよ。お前さんは海賊についてあまりよく知らんようだが、俺たちは奪うには奪ったけど、やってる事は仲間でやる一種の商売だ。それが奪う事から自分で作ったり売るのに変わっただけなんだよ」
(じゃ…それが成功したから…)
「ああ。だから罪人としてのお勤めは実は割と早く終わったんだ。ただ、金色になったこの輪っかをつけるのは別の意味があってな。おめーらの国じゃ前科者は肩身が狭い事が多いだろうが、痴女皇国の罪人寮で金の輪っかをつける奴は優良罪人って言ってな。門前町の買い物に自由に行ける上に女も割引価格で買えるぜ。しかも幹部女官の方から時々慰安を受けることもよくあるんだ。そうだ。銀や金色の輪っかはえらいさんの兵隊の勲章みたいなご利益があるんだよ」
(それ、刑務所なんですか本当に)
「ああ。あの体格いいやつらも穏やかな顔してたろ?見た目と違って真面目で面倒見がいいから銀色輪っかに上がれた優良罪人だからな?あいつら」
「安田君。君はお腹が空いたろうから、ここの案内がてら、この後ティーチが罪人食堂に連れて行ってくれるそうだ。そしてさっきの石灘と別の独房になるが、初期収監房という部屋に入ってもらう。そうだ。石灘のような目にあうか、それとも日本の刑務所より遥かにうるさくなくて娯楽も一応はある我が罪人寮で過ごすかを決めたまえ」
「ただし安田さん。ジーナ母様の話には時間制限がありますよ。今すぐでなくて構いませんけど、今から24時間以内にここで働くか、嫌か決めてください。嫌ならさっきのおじさんと同じか、そこまで行かなくても罪環が通常収監者モードになって反抗的な罪人を処分しにかかります。安田さん、あなたがあなたでなくなり、あなた自身の人格はなくなります」
「でぇ安田さん。あたしからもさ、いいこと教えたげるよ。罪人寮に入ったばかりじゃ無理なんだけど、ここで生きていける体質改善が密かに進んで行くんだ。その過程で優秀ならよ…作業報奨金の額が上がるからうちの本宮の女官有償奉仕はもちろん、門前町の淫売宿とか行けるしよ…何より、たまに定期慰安のメンバーにな、乳上とかかーさんも混ざってる場合あんだよ…どうだよ。これでもあの石灘みたいに往生際悪くするかい?」
呆気に取られる皆様ですが、痴女皇国や八百比丘尼国とお付き合いするとこういう方々との接触が日常的になりますので、ちょうどいいでしょう。
「なんじゃまさみ。お前身重やろうに…大丈夫なんかいな」お気遣い頂いてありがとうございます。
「で、正直、このお人を知ると伊勢神宮に敬虔な気持ちで参る気をなくすんやけど…」とジーナちゃんがおかみ様を毎度のフレーズでご紹介。
「おいこら婢女。わしをよねざわに誘わんでどないすんねんっ」
「来られたら迷惑ですねんっ」
「やかましいわ、あんな稚児とか陰間とか衆道の紅毛よこそうとしよってっ、あんなもん江戸に入れるなっ」
「せやからですね、ややこしいのんは処理してから監獄国で慣らしして江戸に出す言う話しましたやん…えーと、田所さんに宇賀神さんに戸田さん。正直これ右から左に流して欲しい話なんですけどな、こっちの世界で私らが出荷した人間の送りつけ先の一つが、このお方の治める向こうの日本ですねん」
で、八百比丘尼国の成り立ち生い立ちですとか諸々を高速学習頂きます。
「あのさぁ…雪子さん…つまり、痴女皇国なり聖院に行くともれなく、こう言う方々との接触が」瞳さんがゆっきーに聞いていますが、正直汗だらだらですよ、瞳さん。
「日常茶飯事よ。おかみ様にしても出雲の時期にいけにえ村作戦なんかあったりで大変だったらしいけど、普段は痴女宮に入り浸りだから」
「ついでに言っとくと今、あたしが保護場を出してるけど…元来ならおかみ様がここにこうしているだけで、死ぬ人多数なんだよな…」
「雪子ちゃんは平然としてるわね…」感心したような表情のゆっきーママ。
「そりゃお母さん、あそこに出向した際には体質転換必須になるからって言われてたじゃんか。あれしとかないと向こうは本当に生死に関わるのよ…あたしは1ヶ月どころか一週間で思い知ったわよ…」
(宇賀神邦彦さん、桔梗さん…娘さん方の名目監督部署たる文教局の長をさせて頂いている田野瀬と申します。私達が聖院にお邪魔した当時は現在の痴女皇国よりもっとすごかったんです。近寄れないくらい高温度の熱気を周囲に発してる女官種の方もいらっしゃいましたので…基本的に日本国から来られる方には導入研修を入念にさせて頂いております。なにせ痴女皇国、下っ端財務官僚だった私が呆れたくらいにまりり…当時のマリアリーゼ皇帝陛下が好き放題できた究極的人治国家ですから、日本人が来たらおかみ様に会う前に2分に1回は卒倒する光景がもごもがが)
(たのちゃん…それ以上は言わないでくださいまし…聖院の日常にも触れてしまう禁句ですわよ…)
「本当はあたし一人で反社の1万人くらいは単純に処理できるんだけどねぇ、話がこじれちゃいまして。もう田所さんや宇賀神さんのお父さんや戸田さんにはすみませんでしたごめんなさいとしか言えません…」
「ま、まぁ、皆様方、仮にも日本国に居住する者に対して、痴女皇国世界の住人相手にするほどみなさん過激な手段に訴えはしませんから…。これは私ジョスリーヌ・メルランが先日パリで身をもって経験しましたので、決してこの方々が連邦世界の地球を害する意志をお持ちではないと断言いたします」
「このこの言うとおりや。ちたまにせいふく着せるんやったら、わしかまりやがとうにやっとるわ」
「逆に、私を簡単に倒せるはずの田中雅美さんが、さっき大人しく手錠をかけられていましたよね。あれが一番の証明でしょう」加藤さんがあたしの理性を褒めて下さいますが、実際には茶番と解ってましたしねぇ。
「私の口枷も大人しく付けていただいておられましたので」もっとも、この口枷はきつかったです…。
「まぁ、いくらうるさい祖父やら泣きつく上司やらがいるとは言え、うちの母親が一回死んでるのに蘇生させられて相も変わらず宙兵隊の将官もNBの将官もさせられている時点でお察しですよ。私たちも皆さんが皆さんのままでいらっしゃる方が色々ありがたいんです。マリアヴェッラはイタリアうろつきたいし、雅美さんは秋葉原と池袋と…有明抜きの人生は考えられない人なんで」マリアちゃん。女かまきりよりはましだけど、その紹介は正直言って嫌なんだけどっ。
(じゃあ今後100年は池袋の西口以外利用不可で)それもいやっ。
「いやね、日本政府が言う事聞かないわがまま小僧の親をするのが面倒だってのは俺もわかりますよ。どうしたって更生が無理な奴、昔の私の仕事で何人も相手しましたから。ねぇ局長…社長」
「ああ。めんどくせぇジャリタレの後始末より遥かに気が利いてるじゃねぇか。山田長政みてぇに向こうで一旗挙げて来るなら結構なこったぜバカヤロー。ってのが私の感想ですな、高木さん」
「実際に大海賊だったのが今、実業家見習いをうちでやってますからね。エドワード・ティーチ、いわゆる黒ひげですよ」
「そいつは凄ぇ。宇賀神、黒ひげさんが商人で名を上げた時にはドキュメンタリー、一本撮らせてもらうか?」
(あー、この人たち…昔はバリバリのTV屋さん…)
(ああ、職業病って奴だ。当たりそうなネタはとりあえず押さえる癖が習い性なんだよ…)
「今更ディレクターですか。ま、個人的には一杯付き合ってみたいもんですがね。そうそう。番組で思い出したんだが…局長…もうめんどくさいから局長で通しますよ? 国営放送に伝手、ありますかね」
「何でぇバカヤロー。俺を誰だと思ってやがるんだバカヤロー。あそこの番組の顔に何人うちから送り込んだよ。オメーの悪い顔で察しがつくがよ、海老原さんに引き取ってもらうセクシー女優さん達絡みじゃねぇのか?あん?」
「何でそう察しがいいんですか。俺の昼飯や晩飯の予定を当てる程度にして下さいよ…まあいい、雪子。お前、桔梗に録画頼んでる番組あったろ。あのヤクザやら何やら業界裏話を匿名でやらせるやつ」
「あー、あの動物のぬいぐるみに話させる形でいろいろ暴露させるのが面白いんじゃん。あれ痴女宮の中でも人気よっ」
「受信料取り立てに来られるぞ…まあいい。局長、あれにあの女の子達出せませんかね」
「やっぱりか。だが…収録から放送まであんま時間ねぇぞ」
「完パケ納品して放送予定変更してもらうってのはどうですかい? ねぇ高木さん。我々には無理だが、そちらの技術や特殊能力なら物理的に番組一本、こっちが呆れる速度で仕上げるのは可能なはずだ」
「出来るよ。任せな。あとは今週の放映枠にねじ込む段取りだな…加藤さん。神南の上層部の不祥事、どれくらい押さえてる?」
「贈収賄と未成年交遊。あと何か追加があれば」
(俺と同じ警官とは思えねぇ…)
(そりゃ戸田さん、この人、もともとは本来なら比丘尼国で生まれてるべき人なんだよ。手違いでこっちの日本に生まれて帝都を滅ぼそうとしてたんだけどさ。ま、特殊能力を活かして皇宮警察所属で公安部出向って立場であたしらに協力してくれてるんだけどね)
(おかみ様には力でねじ伏せられましたが、マリアリーゼ陛下には毎々面白い事をさせられていますから、それが楽しみで。あ、高木少将、お時間あればあとで駒形に是非。先日の大◯のお返しを)
(了解。もし予算足らんかったら言うてください。ベラ子かマリ公が払います。うはは)
「よし、とりあえず神南には若様方面から圧力加えよう。田所さん、あの番組の構成作家にアタリつけてホン書かせる事できます?」
「ええ。ま、あんな番組なんであまり時間はかからないと思いますけどね」
「よし、構成のあらすじ考えたからそちらに今送ります、これ見せてホン書かせて下さい。もし仮払い分で経費足らないなら言ってくださいね」
「充分行けると思いますよ。じゃ、早速かかります。ちと電話を失礼。…あー俺だ。南青山の関メの本社前に車回してくれ。行き先は渋谷区だ」
「宇賀神さんは奥さんや瞳さんと手分けしてリストにある元・雅美さんとこ所属の女の子にコンタクト願います。関東メディアの名前で話してもらっていいでしょう」
「なるほど…それでここで10人くらい働けるように机を用意されてたのか…」
「加藤さんは神南幹部の件で若様に話をしてから説得に移ってください。送りますよ」
「了解しました。では」加藤さんが我々の目の前からかき消えます。
「ひえ…話が早いってな聞いてたが…」
「これくらいで驚いてもらっちゃ困りますよ戸田さん。ジョスリーヌさん、PMCなんだが、いいアテはあるかい?」
「んー。祖国の正規兵はまずいし…第十三艦隊の雇用元が大統領閣下に話をしたがっておりますわね。ちと聞いてみましょう。奥様、ジョスリーヌ・メルランです…マリアリーゼ陛下が湯田屋さん絡みのPMCの紹介を頂きたいと。なるべく非合法活動慣れしている部類で。人数は…10名未満でお願いしたいと。はい。2時間以内にお返事頂けますのですね。かしこまりました。わたくし宛にお願いいたします。陛下、以上でよろしいでしょうか」
「うん。ありがと。貴女は職場に戻るかい?」
「イケブクロに寄らせて頂いてから。今回は…小官は銃器不用で構いませんよね」
「んだな。段取りがつき次第呼ぶから」
「マリアちゃん、あたしはどうする?」
「とりあえずジョスリーヌさんと…スザンヌ、マリアンヌ。お前ら悪いが池尻大橋のあそこから雅美さんと一緒に池袋へ同行してくれ。年齢外観は何歳の設定でもいい。ゆっきー、一団に加わってくれ。もし誰か襲って来たらドレインして捕獲、あたしに連絡くれ。で…黄さんと戸田さんと乳上とかーさんだけど…」
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「マリ公。あたしは今、親子の対話の必要性をことの他強く感じているのだが」
「うるせぇさっさと面接行ってこいっ」
はい。ここからは雅美さんに変わりましてあたくしジーナおばはんが担当させていただきます。
「ジーナ様。私も大概、陛下のわがままには慣れましたし、沖縄で鍛えられましたが…まさか六本木とやらで踊るとは!」
「乳上。今度二人でマリ公を泣かす事で辛抱してくれ…戸田さん、田所さんから預かったロシアンパブのリストで、そっち系の網にかかった店がこれですねんな」
「ええ。間違いありませんわ。で、顔役がこいつ。安田銀河ってのが実質店長ですわ」戸田さんの私物に偽装した警察用メディアウォッチを使って表示してくれたターゲットのデータを拝見して顔を見合わせるあたくしと乳上。
「銀河と書いてギャラクティカ…なんちゅう名前じゃ…」
「右拳を振るいたくなりますわね…」
「で、マリ公は後でどじょうパンツ放流の刑にするとして、うちらの役割り振りどないすんねん」
「やったらナのつくアレをおばはんのパンツに入れてやるからな…まぁともかく、かーさんは在日日系ロシア人という設定で行こう。乳上はかーさんを訪ねて沖縄に来たハンガリー人で、戸田さんは沖縄でたまたま知り合ったサラリーマン。で、田所さんに話を聞いてたロシアンパブに二人を連れてきた。俺はよくわかんねぇんだけどこの手の店で働く場所ねぇかなって連れて来たことにしよう。あたしは擬装…解かない役割ねぇかな」
「俺の知り合いにすりゃいい。んで、高木さんは千葉でちょろっと水のバイトをした際の求人サイトとか見た記憶で遊びがてら俺をポンギに連れて来た設定にしよう。アマンドのケーキに釣られたってのもいいな。見た目未成年ギリギリなんだし」
「よし、とりあえずそのセンで行こう。んじゃ電話…ちょっと待ってね、こういう場合のために渡されてる擬装回線あんだわ。よし。あーもしもしーすみませーん、えーっとぉ、あたしじゃないんですけどーぉ、ガイジンさんを働かせてくれるお店だって事でぇ、2人ほど面接してほしいんですけどー」
で、おもっきし声を作りまくってるマリ公の電話相手、戸田さんに代わってもらってます。
「あーもしもし。そちらのお客さんで田所さんって方の知り合いのもんなんですがね。なんか沖縄にいるロシア人のとこに友達が訪ねてきてね、二人で観光がてら働ける店ねぇかってんであたしの名刺の番号に電話して来ましてね。俺もよくわかんねぇんで田所さんに聞いたり知り合いの子に尋ねてさ、お宅なら話して聞いてくれるんじゃないかって事になったんだけど、一つだけ。二人とも美人なのは間違いねぇんですわ。いやいや、もう本当に行きずりに近い感じで頼まれただけなんで、深い関係とかそんなんじゃないですから。男のあたしが邪魔なら女の子達だけでお店に行かせますよ…ああ、そうですかわざわざご丁寧に。ええ、店の下でお待ちしてますよ…降りて来るそうです」
「やあやあ、わざわざすみません。ええ、わたし民山というもんで」と、降りて来たロン毛の兄ちゃんに名刺を渡す戸田さん。なるほど、確かに銀河なんて名前を本名にされそうなお子ですねぇ。
(ほれほれ動画サイトでバズらせるために、こういうジャリタ…お子様を経営者に仕立てたりわざと色々贅沢させんのよ。あとキャバ嬢に下着やコスメの会社経営させたりな。こいつのお仲間のAV屋の石灘ってのもその手の商売やってるよ。水着屋とかクラブ系衣装屋さん)
「ああ、なるほど、民山景夫さん…TV屋さんですか。はいはい。まぁ、田所さんも派手に遊ばれるってんで界隈じゃ有名ですからね。そっかー、うちの店覚えてくれてたのかー。ええ。是非面接させてくださいよ」
「面接してくれるってよ、シャラポアさんにアルテさん、よかったな」戸田さんがさぁさぁ行って来いという感じであたしを送り出しますが。
(なるほど…こりゃ俺に性欲抑制用の特殊飲料をあらかじめ飲ませてくれるわけだ…高木少将…この乳上って人を見た瞬間に、安田が半分理性無くしてましたな…上級痴女種ってのへの免疫がないとこうなる訳か…)
(ですねん。乳上クラスになってもうたら、側にちょっとおるだけでも進行が早いと1時間くらいで痴女種または女官種への生体移行が始まるか、生体エネルギーの被曝に晒されて命を失うんですわ。側から見てたら助平気分が過ぎて鼻血ブーになったようにしか見えませんけどね)店の中に案内されながら、心話で下の二人に交信を入れます。
(それよりかーさん、今乳上とかーさんを端末に使ってこの安田の頭の中を抜いたけど、面接どうするよ。ぶっちゃけ今ドレインして昏倒させて身柄さらえても問題ねぇぜ)
(この安田から繋がってる人脈抜いたか? 芋蔓でさらえていけるならうちはかまへんぞ)
(こいつ、下手するとわたくしをこの場で犯しかねませんわね。まぁ正直非接触でこのままドレインと例の処置の促進を行いたい気分に満ち満ちておりますが)
(了解した。乳上の感情を尊重しよう。やっちまえ)
という訳で店の中のボックス席に座らされて、電子履歴書を見せようとしたあたしの前で、ギャラクティカ何とかを食らったように倒れ込む銀河くん。
(よし、昏倒させた。上がってきて)
そしてマリ公がバックヤードにあったパソコン類などの中身をことごとく攫い上げ吸い上げます。
「あとは安田の身柄ですが…」
「とりあえず他の奴同様、うちの国に送り込みます。今やった作業でこいつからの人身売買の繋がりや、店で働いてる女の子は全て押さえられますしね。そもそも、はなっから正規の犯罪者としてのルートで逮捕立件起訴しねーんだから…あとは物盗りで行くか失踪で行くか。そもそもここ20時開店のはずなんで、あと1~2時間以内に誰か来るからその時に店の扉開けときゃ絶対に騒ぎになりますよ。店長どっか行って時計で呼んでも連絡つかねぇ自宅にも女のとこにもいないってなったら、必ず吉崎に連絡行くでしょ。あとは安田が握ってる店の運営資金とか資産を動かせないようにしときゃ、月に何百万か知らねぇけど、そんだけ組織に金が回らなくなるんだし」
「千葉県内の業者とのつながりをこっちに流せる筋書きが欲しいですな」
「了解。…黄さん、ちょっと六本木署の人、ここに来させる事できる? 安田の筆跡で女の子たちの仕入れルートになってる婚活相談所とか、出荷用に使ってる旅行代理店とか身元保証業者とかメモ残しとくよ」
(了解。私をそっちに転送してくれたら日本警察を呼ぶわよ…戸田警部補いらっしゃるなら千葉県警に連絡してあげた方がいいわね。とりあえず呼んでー)
んで黄さん到着。
戸田さんの電話経由でてきぱきと話を付けて県警の応援と、捜査班到着までの現場保全を六本木警察署に依頼してくれます。
「ほな黄さん戸田さん、うちらおったら話ややこしなるから先に痴女宮行きますわ」
「で、安田のメモに指紋を…と」白手袋して安田の指に電子メモを触らせるマリ公。
「この番号が千葉の提携先。んで安田の開店資金とか出資してた金主がこいつね、金主も怪しい奴だけど、捜査の手が伸びて逃げようとしたら普通の警察ルートで押さえた方がさ、表立っての手がかり残るからいいでしょ。こいつの埃もあとで押さえとくよ」
「助かるよ。点数稼ぎのネタ残してくれる方がありがたいからな」
「んじゃねー」
という訳でマリ公・乳上・うちは痴女宮堤防へ。
黒ひげと「見栄えのいい」罪人数名が囲む中、罪環を装着した後でマリ公が覚醒信号を罪環に送って安田の目を紳士的に覚まさせます。
「やあ安田ギャラクティカマグ◯ム君、おはよう。それともギャラクティカファン◯ム君とお呼びすべきかな?」
「むが、もがががが」
「とりあえず君が自分の置かれた立場を速やかに理解できるよう、敢えて君の発声器官の動作制限をかけさせて頂いた。君がしゃべらずに頭の中で考えるだけで私や娘達、さらには君の周りを囲む体格のいい男性陣にはちゃんと伝わるからだな、まずは周りを見渡したまえ」と、にこやかに宣言して差し上げます。
「で、さしあたって…今の私の服装を認識できるかね」へたり込んだままの安田の前に立って質問。
(え、えーっと、さっきと違って軍服みたいなの着てるよな…)
「私は連邦宙兵隊嘉手納基地所属のジーナ・高木という。階級は少将。つまり偉いさんだ。そしてうちの娘と部下の女性、面接の際と同じ服を着ているかな」
(い、いや…尼さんみたいなのと…あと最初に話をしようとした長髪巻毛でパツキンの爆チチねえちゃん…え? まさか?)
「ふむ。安田君…もしかして君は通称乳上というんだが、あの赤いアミアミスケスケなどエロ衣装を着た歩く18禁どころじゃないお姉さんに見覚えがあるのかね」
(あ、ある…あります。何か異世界か知らねぇんですけど、女しかいない国があって、そこでやってるのを盗撮したエロ動画…あああああ!)回りを囲むティーチや罪人に怯えたのか口調が丁寧になりました。ただ…ティーチの罪環、既に金色で晴れて継ぎ目も出来ましたし、罪人の皆様も全員銀色罪環の方々なんですよ。つまり、痴女宮関係者からすれば優秀で頼りになる優良罪人ばかりなんですよねぇ…見た目と違って、話せば通じるからな。
「私の顔にも見覚えがあるのか。ふむ。これは困ったな…あの少年、そうは見えんだろうが私の夫なんだがな…まあいい。君が今いるのは正にその世界そのものなのだよ。で、もう一つ確かめたい事がある。この三人の顔に見覚えはあるかな」
んで、あたしが再三再四出してる改善要望に全く答えてくれない新型専用制服の股下5センチ未満の激ミニスカ姿で安田君の側にしゃがみ込み、聖環からマリアンヌとスザンヌと雅美さんの姿を出して見せていきます。
(ち、近いんですけど…)
「私のささやかなサービスだ。気に入らないかね? で、中学生くらいの二人に見覚えはあるかな」
(いや、正直タイプなんでそのままで…で、見覚えあります。ビデオに出てもらうけど話がこじれたら吉ざ…知人から何とかしろって言われてました…)
「ああ、吉崎無限の事なら調べはついている。そして君にこの女の子たちの画像を見せたのは上田馬◯助みたいな感じで派手な服を着たメッシュヘアのおっさ…」
(はいそうです石灘英気って言ってフェチ物のAV監督してる人ですっ)
(なんかものすごい素直に答えてるよな…)
(そりゃ陛下、優良罪人とは言えこんな者達とティーチが囲んでるんですから、普通は暴れる気なくしますよ…)
「ちなみに安田君、君に質問しているエロババァ、実はあたしの不肖の母親でね。ついでに言うとさっき見せたうち銀髪と金髪はあたしの妹なんだわ。で、あたしゃ痴女皇国で上皇をしている高木マリアリーゼって言うんだがね、正にその女ばかりの国をだね、妹の一人や、このおかん達と一緒になって統治している立場なんだよ」
(は、はぁ…)
と、そこに。
「ねーさん。かーさま。石灘英気とやらを捕まえて来ましたけど」
「で…ベラ子にアルト…その人に装着した罪環はまだしも、口に差し込まれた大根は何やねん…」
「さわぐのでそこらに生えていただいこんをたべていただきました。このひとのおくさんやかいしゃのひとたちも別のばしょにいますよ」
「ああ、この人の会社、練馬やってんな…しかし今時練馬に大根植えてる畑なんかあったんやな」
「天の声の親戚で練馬に居宅を構える家電メーカー役職者と、そのお兄さんが同席する宴会で練馬の話が出た際に、今や練馬大根兄弟の時代ではなく練馬に住むにも一苦労という実態を在阪者に認識させるのにも苦労したそうですが、それはともかく」
「ベラ子。かわいそうなので大根は抜いてあげなさい。で、安田君。今このガタイがいい派手なおじさんを片手で持ち上げていたのが痴女皇国の将軍のアルトリーゼで、巻毛パツキンのくっそ派手なお姉ちゃんは私の娘でもあるマリアヴェッラ・ワーズワース・ボルジアと言って痴女皇国の女皇帝だ」
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で、ベラ子の宣言通りに。
(や、やめろおおおお)
「残念ですが日本国政府の関係者からあなた方に対する処分の許可を頂いていますので。もっとも、許可を頂かなくとも私たちはご家族や従業員の方もろとも、こうしてここに連行する事は可能ですが」
「あんたの会社で雇ってた女の子たちも結構いろんな経歴持ちだよなぁ。少なくとも正社員で雇用してた訳じゃないし、薬物反応やら何やら色々出て来るよな」
「ぜんいん、いれずみが入っていましたね。もっともわたくしたちならすぐけせますが」
「それと思わぬヤバい話が出たぞマリ公。あの女の子らの中で数名…座間と厚木と横田絡みで密輸に関わっとったのがおった。物理量は極めて少ないが、モノの危険性と金額は洒落にならん。目下ドミニクさんが宙兵隊並びに宇宙軍側から先に埃掃除をしとるが…厚木の米海軍までは少し時間かかるな…」
「あー、ビタミン剤な。ルートからすりゃ合成覚醒剤だろ。コカインベースのやつ」
「で、石灘さん。あなたの身体に触れる事なく私たちは身体検査が可能なのですが…むしろ、今ここで日本に戻って警察に引き渡されない方があなたやご家族には幸せでは? 少なくともお仲間にとって不利な供述をすることを危惧され獄中ですら始末される可能性、大ですよね?」
安田君と同様に口を封じられもがもがしていますが、さっきよりは大分大人しくなっています。まぁ、ショックな事が起きたから仕方ないね。
「家族として二度と食卓を囲めないのは遺憾に思いますが、あなたが関わった人身売買の人数が10人や20人どころじゃないのを考えますと、因果応報というのが私の思いです。そして痴女皇国の皇族と薄々勘づきながらよろしくない処理を考えた時点で、我々もあなた方が考えた事と同等以上の処分に踏み切らざるを得ませんね」
「ついでながら痴女皇国に成文法はねぇ。このマリアヴェッラかあたしが法律だ。ただ、あたしらは人間以上の記憶能力や処理能力があるからな。それに…あたしらについて今の時点であんたにここまで知られた時点で、二度と連邦世界の地球の土を踏ませられねぇんだわ。あたしらの存在は連邦政府の特別機密でね。実際には存在を承認してもらうための情報浸透工作を順次行ってはいるんだけど、あたしらや連邦政府、そしてNBがイニシアティブを取ってはいない行為はご遠慮願ってるんだよ。本当ならあんた、グァンタナモかビキニかムルロアに送られて終身刑または銃殺だぞ?」
「まぁ、石灘さん。戻りたくても専用の機体で航行しないとここから地球には戻れないんですよね。それにあなた…今仮に日本に戻ったとして、石灘英気だって主張してもはいそうですかと認定されますかね」と、あたしは聖環をカメラモードにして自撮り風状態にしてから、おっさんに今の姿を見せてあげます。
「よしアルト、この人を罪人寮の初期独房に収監。入れる時にあれ渡してあげてな。例の今回の件で収容した人向けのぶしのなさけ君キットの包み」そしてアルトくんが呼んでくれた警務騎士と罪人の皆様が変わり果てた元・上田◯之助を連行していきます。
「さて安田君。石灘氏の処遇についてだが、君より遥かに聞き分けが悪かったのも厳しい処置を取った理由の一つだ。しかし君はまだ我々に協力的であるから、更生の余地ありとして今後の人生の選択肢を増やしてあげよう」まだ立てる力が戻らない安田君の半身を起こし、背後から乳を押し付けながら話しかけてやります。よしよし、勃起する元気はあるな。
「まず一つ目は、君の前にいる髭男のエドワード・ティーチだがね、実は我々に捕らえられた海賊黒ひげだ。君もゴム人間漫画や廃人課金ゲームなどでその名前くらいは聞いた事があるだろう」
頷く安田君。
「で、彼は我々に従い有能である事を何度も証明してくれたのだが、ティーチ、ちょい悪いけどさ、あんたの罪環外してみてや」
「ほいほい。…で、ミスターヤスダか。あんたの首にはまってる黒色だけど同じもん、外れるかやってみな」自分で外した罪環を手に持ちながらティーチが申しますが。
(外れません)
「ま、こいつが外れるには条件があってな。このお方々がやってて俺が長をしてる監獄でお勤めをするんだが、ここは罪人の面倒を先輩の罪人が見る仕掛けだ。で、面倒見が良かったり、自治っていうのか。罪人寮の中の仕事に前向きだったり工場仕事や警備のお手伝いに飯炊きと頑張るんなら、それに応じて輪っかの色が黒から金に向かって変わっていくんだ。さっきいた連中の首輪、銀色だったろ?」
(はい)
「で、さっきの体格はいい派手なおっさんが暴れかけてた時のように、暴れるのはもちろん、悪さを考えるだけでもこいつが働いて動けないようにされちまうんだ。工場仕事をサボってもやられるからな。つまりおまえらの国の刑務所とやらにいる見張りの役目、この輪っかがある程度してくれるんだ。手枷足枷なんざなくてもきっちり監視されんのさ」
(じゃ、黒ひげさんはなんで…)
「俺は痴女皇国の産業振興に役立つよう罪人たちと話し合って商売のタネになるものをだな、ここのダムの向こうに広がる工場で作る事を提案した。企画書や見積書ってのか。そんなもんの書き方も習ってな。で、皇帝陛下や上皇陛下も工場を広げて手広くやる話を考えておられたんだよ。んじゃティーチ、一度やってみろって言われてよ。お前さんは海賊についてあまりよく知らんようだが、俺たちは奪うには奪ったけど、やってる事は仲間でやる一種の商売だ。それが奪う事から自分で作ったり売るのに変わっただけなんだよ」
(じゃ…それが成功したから…)
「ああ。だから罪人としてのお勤めは実は割と早く終わったんだ。ただ、金色になったこの輪っかをつけるのは別の意味があってな。おめーらの国じゃ前科者は肩身が狭い事が多いだろうが、痴女皇国の罪人寮で金の輪っかをつける奴は優良罪人って言ってな。門前町の買い物に自由に行ける上に女も割引価格で買えるぜ。しかも幹部女官の方から時々慰安を受けることもよくあるんだ。そうだ。銀や金色の輪っかはえらいさんの兵隊の勲章みたいなご利益があるんだよ」
(それ、刑務所なんですか本当に)
「ああ。あの体格いいやつらも穏やかな顔してたろ?見た目と違って真面目で面倒見がいいから銀色輪っかに上がれた優良罪人だからな?あいつら」
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