64 / 352
アルトリーネの海賊退治・快速船対海賊船編・1
しおりを挟む「ジーナ様のおなやみもわかるのですよ。ですが、人はあたまを打って覚える事もあるのではないでしょうか。誰とは言いませんが昔のダリアとかダリアとかクレーゼ様とか」
「まー、そない言うけどさー。その気がないのに惚れられた方の身にもなって欲しい訳やねん」ぼやき倒すおくさま。
「だいたい人妻ものの小説やら漫画やら動画みたいにやな、あんな簡単に若い子相手にコロッと転ぶかっちゅうねん。現実見ぃ現実っ」
「かーさん。説得力ゼロ。自分の隣に誰がいるかよく見てから口にした方がいいわよっ」ええ、この場合、よめが正しいと思います。
「クリスは別やっ!ショタキラー要素満載、例えていうならこの時代にレーダー照準速射砲搭載艦が現れたくらいの衝撃やったんや!」
「はいはい、おばちゃんの恋バナはともかくですね、作戦の打ち合わせはちゃんとして欲しいわよっ。とりあえずサンティシマ号にはあたしたちの方のかーさんと父様行かせとくから、スケアクロウ任せるわよ。あたしと白エマはカティサーク級クリッパーをドレイク提督に引き渡して来ます。いいよね?」で、よめと席を代わるジーナ様。
「あぃ…ちょっと引っ込んどく…」何やらやたらききわけのよいジーナ様です。普通ならあれこれ言い返すはずなのですが、スペインのおふねのごはん、くちに合わなかったんでしょうか。
「いや、普通に美味かったが。というかアルトくん。君は何か仕事はないのかねっ」
「おふねの上の剣術しどうはダリアに任せています。まさみ様は一旦痴女宮にもどられましたので、お二人だけだと何かあったら困るだろうと」
「しゃーないなー。とりあえず指示通りバハマからキューバ付近を周回偵察しとくか。で、クリス…体調どない?」
「うーん、何かこう、久々に身体で動くのは違和感があるなとしか」はい。正真正銘のうちの旦那の方のクリスです。あたし同様にインマヌエル型義体…通称エマちゃんボディなので痴女種同様、酸素マスク無用です。
ああ、この時をいかに密かに渇望していたか。それまでも、あたし一人で動く時は動いていましたが、やはりいるべき場所に生身のクリスがいるといないでは大違いです。
…ほんまは、今すぐにでもオートパイロット入れて二人でクルーバンクかカーゴルームにしけ込みたいんやけどな!
「ジーナさん欲望だだ漏れです。嬉しい気持ちは痛いほど分かるのですが、まずは海賊退治に成功してからです」
「成功したら性交やな…」
「じーなさま、すけべい方向にすべってます。しかし、クリス様って、エマちゃんの身体の場合は調整は必要なのでしょうか」
「クリス次第であろう。うちもアルトくんと今まで通りやし、ダリアの反応を考えると正直、あれは継続して欲しい気がするんやけどな。クリスはどないや」
「ですよね…継続で行きましょう。ただ、今は痴女皇国側のダリアには連絡しない方が良いかと思います。理由は…ジーナさん優先で」
「おばちゃんがにやにやしています」
「なんかアルトくんが最近厳しい」
「それはそうなのです。ちかごろはなかなかあたくしとは以下略、もはや捨てられてしまったのかと」にやにや。
「捨ててない捨ててない!」
「ところでジーナさん。この時代にカティサークが存在する事についてなのですが、いったい何でまたあんなものを」
「連邦世界に現船が存在するから、うちらなら解析して図面が起こせる。しかも二回くらい修復してるけど、作業時の記録が残ってた。うちらの技術供与で充分に高速輸送艦または戦列艦として運用可能なのにうちのマリ公が目をつけた。で、NB経由で英国本国と交渉、エマ子が内外装を調査して図面起こして痴女皇国世界のグラスゴー造船所で建造。シップフレームは監獄国新名港製鉄所の鍛造鋼製」
「あー、あの時代のティークリッパーはスチールフレームですね。…普通に復元しただけじゃありませんよね?」
「もっちろん。船体構造はバルバスバウ追加装備。更にフィンスタビライザーが出せる。重心制御やバルバスバウ効果を最大にする為のバラストタンク装備はもちろん、無風下や港湾内操船に機動航行補助なんでもごされの生体発電機と電磁流体駆動機関つき。帆の集中遠隔操作機能は言うに及ばず。原型船と違い、軍用型は船体後方に船長公室や士官室を配置してダメコン配慮などなどなど。巡航速度20ノット以上、最高速度は60ノット近く出る化け物帆船になりますた。その代わりに武装めっちゃ貧弱になったけどな!」
「…当時の戦列艦って何十門も大砲積みましたよね?何を搭載したんですか…」
「っとね、船体最後尾の旋回式砲塔にボフォースL/60 40ミリ機関砲。有効射程4,000mで専用焼夷弾を発射します…射程距離が短いと文句言われた時のためにブレダ社ライセンス品のL/70も船体前方に搭載してます…」
「あのージーナさん、英国で保存してる装甲艦のHMS ウォーリアというものがあるのですが、あれのアームストロング砲でも射程1.9マイル、3,300ヤードくらいかな…とにかく今の話の時点ですら、前方の機関砲を使うだけでもこの時代のあらゆる帆船に対して完全にオーバーキルと断言できるのですが。そんなに、たかが一門の砲で何ができるをしたいのですか…」
「その一門の砲身が焼き切れるまでに百隻くらい簡単に沈められるわけよ!せやけどこんな骨董品な機関砲、弾薬も含めて現品探してくるの大変やったんやで!最終的には連邦世界の英国の保存艦の対空機関砲とか戦艦アイオワとか砂漠のAC-130とか現物見に行かせてパクいやコピーとかな!よっぽどレールガン積んだろかと何遍思ったか!」
「じーなさま。この時代のおふねがたいほうをぼかんぼかん射って戦争するのは知ってますけど、そのきかんほうとかいうたいほう、どのくらい威力があるのでしょう」
「えっとね。砲弾が飛ぶ距離でいうと、海賊王になりたいゴム人間の兄ちゃんと普通の人間が殴り合いするようなもん。相手の弾が当たる遥か先の距離からこっちの弾が届くから、あのゴム人間の兄ちゃんができるような感じで一方的にどつき回すことになる。で、徹甲弾…単なる硬いタマやと木造船なんか簡単に撃ち抜いてしまうねん。んで近接信管つき炸裂弾…わざと当たる直前に爆発する弾とか、焼夷弾または徹甲焼夷弾という、当たると火事が起きる弾を撃つから、そやなー、十発装填クリップ一つで相手は行動不能になるやろなー」
「…なぜそのようなものを供給するのですか…」
「一応、海軍兵力を維持したいというエゲレスの要望。ちなみにこの海賊戦で威力を見せつけて他国からも発注依頼を取る予定。どーせ弾丸とか射撃管制装置とか、聖院の派遣員の指導がないと簡単に扱えんし、弾薬発注やメンテも含めて聖院に泣きつかないと動かせないの分かりきってるから戦力コントロールにもなる。言うたら昔のイギリスの戦略ミサイル原潜あるやん。アメリカからミサイルや核弾頭リース受けてた。あれよあれ、あのノリよ。それに価格もサンティシマ型の1.5倍に設定してるから、保有したとしてもせいぜい2~3隻くらいにしかならん。この時代の相互確証破壊戦力艦としてはちょうどええやろというエマ子発案やな」サンティシマ型もかなり高価な船ですからね。でかいし。
「実際に多用しないならいいんですけど…この時代の人たちって割と血の気多いですからね…」
「肝心の弾丸が簡単に作れますかいな。薬莢の発射薬や雷管はもちろん焼夷弾の内部炸薬とかは言うにおよばず、近接爆発用のVT信管に至っては三河監獄国でも作られへんからな。弾が欲しければ泣きつけと。万が一複製されても40mmやで。装甲艦が実用化されたらいずれは豆鉄砲確定やん」
「何かこう、あまり役に立ちそうにない潜水艦を売りつけて暴利をむさぼったギリシャ人の死の商人のような顔ですが」
「あれがおらんかったら金剛はウチに来ぇへんかったぞ。いやいや、ほんまは兵器の類は無用にしたいのは山々なんよ?せやけどゼロにするのは難しい。なら使い方を誤れば自分たちにも影響が出るか、さもなくば人死にが出ないようにしたいわけよ。アルトくんに言うたかな、うちらの世界の軍隊は確かに人殺しの武器は持ってはいるが、仕事としてはどちらかと言うと人助けが増えていると」
「何かこう、聞いたような聞かなかったような。わたくし達で申しますと、帯剣していても実際には人を斬らずに解決してしまう事ばかりですからねぇ」
「特に痴女種になってからはな…」
(うぉーい、エマちゃんがカティサーク引っ張って来てくれたけど、ドレイクさんがあまりの高性能に口から泡吹いて感動しとるぞ。で、カティサークをネルソンの兄ちゃんに使わしてみたい、自分はアークロイヤルで行くからって言うとんねんけどええか?)
「カティサークのシステム管制にエマちゃんが入るなら別にかめへんよー。つーか、あれ現状やとエマちゃんクラスがおらな動かせんやろ…」
(失礼…何なのですかあの凄い船は…私共に七つの海を制覇させて頂けるので?いや、輸送船としても世界を変えそうな船ですから驚くばかりで…あれが茶葉を運ぶ船として我が国が建造したというのも誇らしい限りです。あの船は是非一度ネルソン君に体験して貰いたい、これが私の思いです。彼もやる気ですよ)
(うちの後付けした装置類を抜きにしても傑作帆船として評価は高いですからね。武装の使い方はともかく、高速航行や機動操船の基礎をまず学んで欲しいと思います。ネルソン提督、よろしいですか?)
(はい、基本的に海賊は生かして捕らえる事について、入念に伝えられておりますし主旨も理解しております!走り回って翻弄するだけでも戦意を挫けますよ、この船ならば…)海賊としての犯罪を裁くだけでなく、生きた資源として必要だよと言う話を理解してくれたようで助かります。
あと、ネルソン提督へのニンジン。
上手く作戦が成功したら一回くらいはいいけど、痴女種にハマらないように押し倒すかどうかは任せる。デートには付き合ってやるからと伝えました!うははっ!
「わかいつばめをくわえこんだおばちゃんがふきあがっています」
「うるへぇっ!久々に教官時代を懐かしんでるだけやっ!ネルソン君みたいな子を何十人と送り出したうちに任さんかいっ」
「考えてみればジーナさん、高木叔父さんの会社でも若い男性をお尻に敷きに敷いていましたよね…何かこう、猛獣使いを見るようで」
「まーでも、ネルソン君には出来れば本国でちゃんとした嫁さん捕まえて欲しいよなーとは思うのよ?突撃バカなのはともかく、世が世なら英雄と讃えられた人間やしねぇ…」
「踊り子さんに転ぶのは運命なんですかねぇ」
「その前に世継ぎは作れとは厳命しよう。あの娘さんはともかく、愛人さんの酒浸りは何としても回避して差し上げたいのや、女としては」史実のネルソン提督の女性関係はスキャンダルといえばスキャンダルなんですが、目や腕を失っても国のために戦い続けた英雄にメロメロになるのが女の性かいなーとも思います。それに、不倫相手黙認に加えて4P疑惑だの、倫理的には無茶苦茶ですが旦那は認めてたし、きちんと嫁さんも愛人も生活を保証しようとした甲斐性はありましたからね、ネルソンさん。
それとね、ネルソンさんと似たような感じで、絶望的な戦いに挑み続けた男にある意味惚れていた不肖の娘が身内にいるんですよ、あたしの身内に。
(うるせぇっ、かーさんが菅野さんと相性激悪なだけだろ!あたしはあの人とうまくやってたからな!ただ、アレーゼおばさまとくっつけたかっただけで人間として尊敬してるけど恋愛対象じゃねぇよ!だいいち、あの時はあたし、幼女だぞょぅι゛ょ!どうやって惚れるよ!)
「おら照れ隠しに来やがった。未だに菅野ちゃんの面倒密かに見てるし再就職先にも連絡取ってるのは知っとんぞーオラーン」
「マリア、菅野さん、元気にしているの?」
(うん。民間籍だと絶対揉めるからと航空自衛軍に引き取らせたの正解。百目鬼ちゃんとは上手くやってくれてるよ)
「ま、瞳さんが面倒見てるなら大丈夫か…」
「あのドメちゃんの性格やしな。アレーゼさんとも公認やし、あれはほっといても大丈夫」
「あとはタノセさんですねー」
「あれはベラ子と初代様が動いてるしええやろ。ベラちゃんが今後、マテリアルボディかエマちゃん化するかどうするかはまだ決めんでもいいっしょ」
(こちらダリア。カットラス対応研修終わりましたよ。あと、ジョーイ君軍団到着確認。戦闘予定海域に移動中)
(こちらジーナ。ダリアは予定通りエルトゥールル号に移動、イタリア組との心話中継頼む。あとジョーイ君にはサメ食べ放題祭りしていいよ言うといて)ええ、痴女皇国北米支部要員、オルカの通称ジョーイ君が率いるシャチ軍団です。今回も海に落ちた海賊を救助する役目ですが、なんせサメがシャークネードなカリブ海、まずはサメが絶滅しない程度に海域から追い払うのを頼んでいます。
ちなみにジョーイ君、姿はシャチ固定ですが、何と人魚族類似状態になっておりまして、人語を解するのはもちろん長寿も獲得しています。この世界なら捕獲されて無人宇宙船に脳だけ載っけられて、砲戦距離一万二千キロの戦いを余儀なくされる事はないでしょう。
(こちらイザベル。サンティシマ号、おとり役配置に移動指示。アナと海戦班は第一船倉階に配置致しましたわ)
(こちらジーナ、すんませんねぇ、おとり役なんかお願いして)
(こちらイザベル。お気になさらずに。打ち合わせ通り、イタリア組はエルトゥールル号に移って頂きましたわ。戦いたくてウズウズしてらっしゃいますけど、海賊の救助と捕縛が主任務という事で説き伏せました)
(こちらジーナ、ありがとうございます)
(こちらイザベル。アナが剣を奮いたがっていますが、まずはわたくしが殴るのが先ですと申しております。では)
さてここで配置確認。ここからはおはなし役、ジーナ様にたっち交代しますよ。
--
という訳で話を振られたおばはんです。
現在はハバナを目指して真西に航行中…ではなく、発見されやすいように西インド諸島北方からナッソーの下側をかすめるようなコースを取っています。
というのもこの時代の航海術、かなり単純です。
例えばスペインからハバナを目指す場合、あたしらはGPS使って最短コースを取りましたが、通常ならカディスを出港して少し進んでからアフリカ西岸を遠くに見ながらカナリア諸島目指して真南に降ります。
で、カナリア諸島で補給する場合は寄ってから、あるいは寄らない場合島の手前で真西に進路を取り、大西洋をひたすら西進します。
当時の磁気コンパスや天測航法技術が未熟なために「確実に陸地にぶち当たる」航海を余儀なくされていたわけですが…痴女皇国側だと、うちらと契約すれば水先案内人が乗船しますから大圏コースを取れます。またはアンティキティラ島の機械を進化させた天測航法計算機や精密地図を持ち込んで買わんかねと商売したり。わはは。
ま、そうした航海事情はともかく、大型輸送船がハバナを目指しているスケジュールを噂で流して海賊を釣ろうとしている訳です。サンティシマ号についてはハバナ造船所で建造したし、あの辺に行く噂が流れても違和感はないでしょう。
まず、囮として先行するサンティシマ号。
白うち夫婦とナディアとイザベルさん、アナさん乗艦。
そこから少し離れて、サンティシマ号右舷側やや後方を随行船として進むアークロイヤルにはドレイクさん、白アルト。
同じく随行船役のエルトゥールル号にはイタリア組とサリー。
で、アークロイヤルとエルトゥールル号はスペイン旗を掲げて絶賛国籍偽装中。
更に、海賊船に発見されないよう光学偽装しながらサンティシマ号の左舷後方をひたひたと航行するカティサークには操船役の白エマ子、そしてネルソン提督。
んで全体を俯瞰する位置について高度一万二千メートルを保ちながらエンドレスエイトで周辺空域を周回監視するG型スケアクロウにうち、クリス、黒アルト。
(アルトは戦力追加の対応要員だから、呼ばれたら行ってね? どうも随伴船がいるので全船出港してでも仕留める気みたいだから)
(砲声3発やったな。見張りの陣地は後で抑えるか…)なんせ、発見されやすいようにわざわざバハマ近海を通過する時間を午前中に設定までしております。
しかも舷側に砲門扉を並べたアークロイヤルはまだしも、エルトゥールル号は見た目からして商船構造です。
普通なら先導艦に軍艦をつけると思うのですが、敢えてアークロイヤルを後方に配置しているのはですね、海賊なら必ずサンティシマ号に接近して移乗、船と乗員を人質に取ってアークロイヤルを武装解除させようとするだろうと読んでいるからです。
連邦社会のサンティシマ・トリニダー号は改装前でも三段デッキの舷側に砲門扉がずらーっと並んだ、いかにも軍艦な姿ですが、こちらのサンティシマ号は輸送船なので水密目的で換気窓しか付けていません。見た目からして格好の獲物に見えるはずです。
(恐らくスペイン風の衝角戦に近い操船を行おうとする筈です。不殺の話がなければ数隻は拿捕する自信はあるのですが…)
(まぁ、ドレイク閣下ならやりたがるとは思っていますが、今回ばかりはなにとぞご自重を…くれぐれもビビッたふりをお願いしますよ)近代海戦術にも通じる操艦術やら、艦内の役職配置や部署配置はもとより専任技術員の優先配属など、現代にも通じる軍艦運用制度の創始者が、他ならぬこのドレイクさんです。
単なる海賊上がりじゃないおぢさんにネルソン提督をつけたのは流石イギリスと言うべきか。
そしてドレイク閣下率いるアークロイヤルは慌てて逃げ出したと見せかけてサンティシマ号のポート側に回り、カティサークと迎撃編隊を組む予定。
「海賊船出港。各船、珊瑚礁海を抜けるフリをして速度落とせ。指定8ノット」スケアクロウの偵察員兼左舷兵装管制席についてくれた白マリが指示を飛ばします。ついでに各船の船橋に置いた航法表示ディスプレイにも、こちらの対地レーダーや光学センサーの情報を送るわ、聖環持ちには同様の情報を送るわと。
「本格的な軍用戦列艦が一隻いるわね。元フランス艦。推定砲門数四十門。小型よ。これはサンティシマ号への威嚇射撃用に使うつもりみたいだから、向こうの意図通りに発砲させたら真っ先にドレインして動けなくしちゃいましょ」
「横からの画像で船型とか分かるかなー。キャラック船やキャラベル船らしい小型の船が…アラブ風の帆船が二隻いますね。ガレー船は流石になし、か。これは地中海ならともかく、カリブくんだりで奴隷調達は聖院が睨んでますから困難でしょうし、妥当なところですね」
「つまりクリス、バルバリア海賊は最低二隻やな。マリア、あと、フランソワ・ロロノアと、乗船してるなら海賊女王の居場所特定希望。サイコパスなロロノアか、バルバリアを切り込み隊にしてくる可能性は高いやろ」とにかく血に飢えた御仁として有名なフランソワ・ロロノア(ロロネー)は、確実に残虐行為に走ると思います。まさかバルバリア船に乗ってないよな…。
「先頭の砲艦にロロネー座乗確認。続くバルバリア船二隻がサンティシマに行きそうね。他は周りを囲むか…エルトゥールル号には一隻か二隻を回せばいいと思ってるようね」
「了解了解。だいたいこちらの思う通りやな。よし、フランス艦とバルバリア船二隻は襲撃挙動直後にドレインしてまえ。あとは様子を見ながら迎撃したらええやろ。ぶっちゃけ騎士一人乗り移らせるだけで各船は行動不能に出来るからな」
「沈めないんですか?」
「痴女皇国での鬼上陸戦の時にも問題になったけど、この時代に水泳出来るやつの方が少ない。しかも、ジョーイ君達がいなかったらこの辺はサメの巣やと思う方がええわ」
「あー、なるほど。生かして捕らえるためにも船を沈めたらまずい訳ですね…」
「そゆこと。…え? ネルソン提督に機動操船の実例見学して欲しいから、先頭の三隻については軽く痛い目見せたい…エマ子、大丈夫か?沈めるのはもちろん人死にもあかんぞ?L/70全弾消費とか絶対やめてや?」
(痴女皇国のエマ子じゃないんですから、そこまで無茶しませんって)
「エマ子が聞いたら怒るぞ…」実はスケアクロウの貨物室はカラです。で、例の試作水雷艇は下ろしています…。今ごろナッソー近海に到達してるかな?
(聞こえてます。後でエマ子はアレーゼさんにお仕置きして貰いますから)
(で、売た…ジーナ、私とエマ子でナッソー制圧、海賊と取引のある連中は捕縛でいいのだな)
(ほいほい、まー、関係ない奴の方から探した方が早いから主要連中だけで構いまへんよ。火を使ってる奴までドレインして火事いかしたらコトやし)
(よし、こちらは任せてくれ)はい、アレーゼさんに合流してもらいました。捕まえた海賊の処遇もあるので来てもらいましてね。ナッソーどころかカリブ全域の海賊を壊滅させるだけならアレーゼさん一人で済むのですが、皆殺しにしてはいおしまいで済まないのをよく理解しているアレーゼさんですから、任せて大丈夫でしょう。
(後…お前に言いにくいんだが…マリアヴェッラが怒っていてな、痴女皇国の幹部に今回の討伐を黙っていただろう…今、瀬戸凛と一緒にこの船の後ろに乗っているが、私をナッソーに降ろした後で取って返して…凶暴なフランス海賊がいるらしいじゃないか、あいつを倒させろと)
(そーゆー事です母様。とりあえず凛ちゃんはジョーイ君と組んで、万一水中に落ちた海賊がいたら助けてもらう役目に回りますから。あとマリアリーゼねーさんにはブラギ◯スが嫌ならあたしと凛ちゃんをこちらに行かせるかを選ばせましたからね!ちょっとくらいは見せ場作らせて頂きますから!)
(ままま待ち!あんたわかってるんか?今回も人死に禁止やぞ!)
(大丈夫です。既に乗り込む人達には例の可変はりせんが配布済みです。もちろんあたしと凛ちゃんも持ってますよ?これがあれば剣はもちろん単発ピストルくらいどうということはありません!)
(あれか…あの間抜け極まりないあれか…)
(はい凛です。実際あれ、使える奴が使うと日本刀相手でも簡単に鎮圧できますよ? 静香さんにも送っとりますし、これなら二、三人斬って使えなくなる刀より遥かに実戦的やと喜んだはりますがな。これも瀬戸組に欲しいな…いや実際、密漁者しばくとか色々使えますからね)
えー、ベラ子のムチの応用品たる件のはりせんですが、例の半生体素材の応用でハリセン形態以外にも可変する代物なんですよ。
むろん見た目は柄付きのはりせんですから間抜け極まりないのですが、威力はベラ子ムチ同等以上と言えばお分かり頂けるでしょうか。
(あと、例の黄金ちんぽ剣よりはまだこれの方がマシです! アレーゼ叔母様にもお願いしていますが、痴女皇国の騎士の装備、帰ったら少し見直してもらえませんか!)
-----------------------------------------------
ジーナ「これベラ子。噴き上がる気持ちはわかるが、今回は聖院側にも血の気の多い人や、はたまた海賊に手を焼かされた恨みを持つ者も多い。なるべく彼らに手柄を譲りなさい。…それがあるから声をかけずに話を進めたんや!」
ベラ子「ぐみゅー…」
白マリ「ベラちゃん凛ちゃん、それに今回は参加船にかなりの性能差があるから、乗り移って斬り合う前に勝負が終わるかも知れないわよ」
りんこ「ええー、うちめっちゃ楽しみにしてたのにー」
ジーナ「まぁ、行動不能にした後に色々してもらうこともあるし、捕まえた奴を罪人扱いにして連行する仕事もあるからな」
クリス「その件について提案があります。海賊も何がなにか分からない内に倒されたら不満が出るでしょうから、捕縛した後で決闘…勝ち抜き戦めいた事でも実施して実力差を示せばよいのではないでしょうか」
ジーナ「なるほど、それもありやな。クリス、ドレイクさんに話をしてみてーや」
クリス「まぁ、あの方もこういう話には食いつかれると思いますよ」
ベラ子「母様。人選につい…」
ジーナ「許せベラ子。今回はイタリアでお前より優先して戦わせねばならん奴がおる。他ならぬお前の叔父さん、るっきーの兄貴や」
ベラ子「もがもごもが(…あー、あの方はそう見えないけど血の気が多い筆頭格…)」
るっきー「チェーザレお兄様はたまに暴れさせないと、溜まってきたら傍迷惑かつ無用な悪巧みを始めますから。マリアヴェッラ、今回は我慢なさい。あとジーナ様。あの兄がスペイン語で側近と会話を始めたら要注意です。ミケーレなどの血の気が多い部下、こぞってイスパニア出身ですから」
ジーナ「つまり、あの兄貴がスペイン語で話し始めたらロクな内容やないと…」
るっきー「左様。マリアヴェッラもあれと会う時は気をつけるのですよ」
ジーナ「ボルジア家も大変やな…」
るっきー「とりあえず今回はなるべく聖院側に手柄を譲りますよう、痴女皇国側には申しておきます。ますが…」
ジーナ「ぎく」
るっきー「わたくしも蚊帳の外組ですので…痴女皇国関係者で、ジーナ様の糾弾を致したいという希望が噴出するかも知れません。わたくしは可能な限り穏便に計らうよう助言はさせていただきますが…」
ジーナ「ルクレツィアさんの口と態度が違う件。なぜそこでうちの乳を揉む」
るっきー「何でしたらちんぽも」
ベラ子「とりあえずルクレツィア母様。ジーナ母様の処遇につきましては後ほど決めましょう。全ては母様の善処次第ですわよぉおおお」
ジーナ(こら、アレーゼさん呼ばないと収拾つかんな…)
アレーゼ「悪いが今回の痴女皇国内の内紛は痴女皇国で解決してくれ。あと、売女もエマニエルに身体を貰ってるんだから肉体言語で会話出来るだろう。頑張れ(肩たたき)」
ジーナ「…誰か助けてくれよ!」
他全員「あきらめよ。さだめぢゃ」
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
エッチな下着屋さんで、〇〇を苛められちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
『色気がない』と浮気された女の子が、見返したくて大人っぽい下着を買いに来たら、売っているのはエッチな下着で。店員さんにいっぱい気持ち良くされちゃうお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる