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アルトリーネの海賊退治・志摩で育む姉妹の誓い編
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どもです。痴女皇国の方のジーナです。
高齢化すると覚えが悪いと申しますが、聖院の方のうちの覚えが悪くて困っています。
…まぁ、年齢の話はやめておきます…(うちも実際年齢はええトシ…○○歳代やしな…)
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「開祖多蛾丸からすると何代目かになりますかなぁ…金平鹿…多蛾丸がよりみつ様のお子に討たれまして後におかみ様の口利きで復活、以来熊野界隈と本宮を護す立場につけ、これが当家の始まりの由来にございます」渋くて恰幅のいい和服のおじさんがお話をして下さいます。
ここは熊野の街に構えられた九鬼屋敷。
砂浜にスケアクロウを乗り上げて駐機したあと、待ち構えていたお迎えの方のご案内で皆、屋敷の客間に通されます。九鬼水軍を率いる大名のお屋敷だけあって、なかなかにご立派な構えですね。
「さて静香や。本来は串本に向かって欲しかったが、こちらの皆様をわざわざお呼び立てしたのは他でもない、お主の処遇よ…」どっかと掛け軸の前に腰を下ろした九鬼嘉隆のおじさん、傍に座る褐色銀髪の和服の娘さんをちらり。
そう、この人がアルトくんの妹さんのナディアフィールさん。こちらでは静香を名乗り、九鬼家に嫁いでいる立場です。アルトくんそっくりですけど、ちょっとおっぱいが大きめかな。あと、まだ10代だったっけ?ちょっと若さゆえにか、ツンっとした感じですかね。
「儂も前から思うておったが、確かにお主は優れておる。我が九鬼一門を率いて貰っても誰が文句を言うものか。だが…それ故に…儂も悩む所があったのじゃ。今やあの狸が江戸に上がり、差し当たっては表向きの日の本を束ねる建前で行くとおかみ様にまで言われては、九鬼家は紀州の東から伊勢を守る一家に過ぎぬ扱いとなろう」
「わたくしはそれでも構いません」
「いやいや、儂はお主の才を惜しんでおるのじゃ。今回の聖院行きはお主には奇貨となろう。まりや様やおかみ様とも相談したが、九鬼屋敷より出た者が七つの海に名を轟かす話になるやも知れぬ。儂にとってもこれほど誉な話はないのじゃ。幸い、金平以外は子らも元服し働きも悪うはない。後を顧みて憂える事など何もあるまい」ふむふむ。
要は静香さん、九鬼一門で終わる器じゃないから聖院に行って名前を上げて来なさいと。これが旦那さんの嘉隆さんの言い分。
「瀬戸の三郎太の娘がちじょのくにの水軍の長で務まるならば、お主も聖院の水軍を率いても不思議はあるまい。それに…」ここで嘉隆さん、白マリの方を向いて。
「聞けば水運の仕切りが必要な様子。おかみ様からも話は聞いております。静香さえ宜しければ、どうぞ名を挙げる場を設けてやってはくれませぬか」と、平伏する嘉隆さん。頭の中を拝見しましたが、痴女種が強いのは知っておられますね。それと、今までの話、本心から言ってます。
「静香さん…ナディアフィールさん、失礼します。痴女皇国初代聖母、ジーナ・高木と申します。旦那様は本心から静香さんの身の上を案じておられますよ。貴女の待遇については娘や、聖院の私に保証させます。…おい、うち、ちょっとうちらの方の海運計画とか説明したりぃな」
「静香さん。聖院金衣女聖、マリアリーゼ・高木です。当方の事情は…」と、マリ公が静香さんに手をかざします。高速学習させているようですね。
「アルト。あなたからも」で、マリ公はアルトくんにも促します。
「我が妹ナディアフィール。あなたの姉のサレルフィールは聖院に拾われ、今やこの通り、それなりの地位を授けて頂く事ができました。わたくしが今ここに居ることはおろか、そなたやわたくしの父母が安住の地と生計の道を得る事ができましたのは、ひとえに聖院や痴女皇国のみなさまのお力添えあってのものだね。そのみなさまが、そなたを乞うておられます。如何…むろん、あたくしも、そなたに来ていただければこれほどに心強い事はありません」そう言って、妹の手を取るアルトくん。
「かしこまりました。旦那様、わたくしの身を案じてのお話とは痛い程伝わっております。せっかくの縁ではございますが、お奨めに従い、紅毛の海賊どもとやらを征伐する助力をしに参ります。どうか家を離れるお許しを頂ければと」
「許すも何も、儂の勧めじゃ。そうそう、おーい、正宗を広間に頼む」手を叩いて小姓に命じます。
で、少しして、帛紗に包まれた長細いものが。
白い鞘と柄の短刀が中から出てきます。
「静香よ。本当ならば太刀を渡したいところじゃが…太刀については、熊野の本宮でおかみ様がそなたに預けたきものがあるそうじゃ。儂からはこれを授けよう。正宗の作じゃ」
短刀としての全長は30cmくらいですかね。どうも名前からするに、正宗が打った短刀のようで。
(ジーナちゃん…九鬼正宗に間違いないと思うわよ…連邦世界じゃ徳川家に献上されてるわ。九鬼家に代々伝わってる名刀よあれ…)
雅美さんがこそーっと心話で教えてくれます。
つまり、家宝ものと。
(家宝どころじゃないわよ…連邦世界であれ持ってたら重文指定が掛かるか、さもなきゃ億単位の値段がついてるわよ…)
「正宗を預けて頂くとは誉れの極みにございます」
そう言って夫婦で抱き合ってます。うん、感動的ないい光景ですねぇ…。
そして、旅装束を整えた静香さんを預かり、九鬼屋敷を辞した我々ですが、山の中の熊野本宮にスケアクロウを降ろす場所が…あるかな…。
(この時期はまだ大斎原はねぇから、直接転移で上四社の辺りまで来てくれってよ。宝物殿の前で渡してくれるとさ。ふふふ、ビビんなよ)
(なんじゃい。そんな業物があるんか? 正宗は確かに凄そうやったけど)
(とりあえず送るわ。ほれ)
で、いきなり我々は熊野大社というか、比丘尼国熊野支部の中に。おい。
「ほっほっほっほっほっ婢女。とりあえず、なであに渡したいもんはこれや」そして巫女さんを数名従えて、ずけずけと近づいてくるエロ巫女姿のおばはん一柱。
「ほれ、なであ。これちょっと抜いてみい」無造作にナディアちゃんに太刀を渡しよります。
「おおっ」抜いた刀身を検分する全員がうーむと唸ります。で、アルトくんの変態日本刀、リトルクロウこと小烏丸と比べて品評会。
「反りが凄いですね。かなり湾曲してる感じ」
「リトルクロウは中国風の直刀を意識してるのかなぁ」
「おかみ様。あたしの記憶に間違いなければこれ、熊野三所権現長光…備前長船長光の作じゃ…これ奉納刀じゃないんですか…」
「まさみ、お前なんや、えらい、かたなに詳しいの。うむ、お前の見立て通り、これは権現長光や。なであの出立についてはわしらも関わっとるでの。ああ、すさのおには納得させた。お前らには他にも献納されとる刀あるやろから、これくらい渡したれやとな」
で、そこで鞘に刀を納めてうやうやしく一礼する妹さんに。
「なであ。お前はこれより、いずれは聖院で痴女となるやろう。その際にこの長光で人を斬るような使い方すんなよ。あるとが知っとるが、聖院でのかたなは痴女の力のむきを定める道具として使うのや。よう姉さんに教わるんやで」と。ふむ、ドレインとか痴女の能力を指向させたり集中させる照準装置に使うんすかね。
「アレーゼがもっとよう知っとる。かりぶでいずれアレーゼに会うやろけど、時間があったらなであ鍛えてもらえ。この子はわしも知ってるけど、ええせん行くぞ」と、お墨付きも出ました。確かに雰囲気はアルトくんの本気モードに似てますね。
「おかみ様…それと…」で、心話。
(九鬼水軍への貢物、スケアクロウに積んで来てますよって。ただ、渡すんについては慎重に頼みますよ…)
(うむ、解っておる。嘉隆も正宗差し出してまで礼を尽くしよったからの。使い方については…まにゅあるは付けてくれとるか)
(もちろん。総天然色防水印刷で)
(よっしゃよっしゃ。かりぶに行かす面子の人選もしとるしな)
(とりあえずこの後、降ろしてから浜辺に置いとく分とは別に渡しますよって、引き取りお願いしますよ)
(おう。…それとな…)
(ぎょえええええ…よろしいんで?)
(そらお前、わしがええ言うとんのや)
(まぁ、構いませんけど…予備席もいっこ空いてますし…)
(ま、とりあえずお前らの船に戻ろや)まぁ、M型ならコクピットから下は本式の飛行艇ほどじゃありませんが、ある程度の艇体構造してますけどねぇ…。あれが船に見えるんかいっ。
で、浜辺。
スケアクロウの向きをくるっと変えてから、リアハッチを開けて中を確かめます。
んで、大八車に積まれた木箱。
ちょっと重いので、おかみ様に頼んで九鬼屋敷から人を差し向けてもらいます。そして地面の硬そうな場所までマリ公が移動。
そうこうしている内に、馬に乗った嘉隆さんやお付きの人たちが到着。
「嘉隆。これについてはお前に預ける。同じものが欲しい場合、監獄国に頼めば作りよるからな」
で、大八車の荷物を指し示しておかみ様が嘉隆さんに引き渡してくれます。
「承知。確かに預からせて頂きます。あと…静香。金平丸についてじゃが…」見れば、乳母さんに抱かれたやや子が。
「あ、お子様か…」
「もしよろしければ嘉隆様。お子様も預からせて頂きましょうか?」マリアが気を利かせてくれます。
「しかし、金平丸は見ての通り乳飲み子…」
「なぁに、時を少し進めて差し上げるだけですわ。ほいっと」乳母さんから子供を預かったマリ公、光に包まれてすぐ、戻ります。
で、マリ公が気を利かせて着流し風の服を羽織らせたショタが、その手に引かれています。
「これでそんなに手がかかる事はなくなったと思いますよ。静香さん、いいかな?」いきなり息子が成長して仰天している静香さんに、息子さんを預けるマリ公。
だいたい12歳くらいか。うん、将来有望だな。
そしてこれはクレーニャや乳上には今は見せられません。あいつらは絶対に手を出す。
(激しく合意。あたしも、アルト妹のお子さんでなかったら理性飛んでたかも…)うん、ショタリトマス試験紙な雅美さんの表情で品質、理解できるから。日曜朝に新幹線に乗るとか、10万ボルトをゲットするとかプラモデルで戦う部類。
「嘉隆様と静香さんの頭の中身を少しばかり拝見させて頂きました。言葉はもちろん、ある程度の知識は持たせていますよ」うん、うちの必殺技、促成栽培ですが、見た事ない人には奇跡にしか見えんわな。
「ほほほ、私共ですぐに人が欲しい場合、時の進みを早めるんですよ。寝たようなまま10年ばかり過ごすと、これこの通り」
「なるほど、これは凄いものじゃ。これ金平丸、父が分かるか」はい父上などと親子の団欒ありーの。なんか父上って言葉ですぐ、欧州支部長の爆乳が思い浮かぶあたり、あたしも毒されとるなぁ…。
「金平丸くんの武装とかは私達で整えさせて頂きますわ」
「重畳にございます。では皆様、おかみ様、潮岬には前鬼と後鬼を待たせておりますのでよしなに」一礼される嘉隆さん。
そして見送りを受けながら離水するスケアクロウ。垂直尾翼についた航空機同士の交信で使うELL、つまり一種のイルミネーションライトを点滅させて別れの合図を入れてあげます。
「しかしあれじゃな。今回は痴女皇国と聖院が絡むから話がややこしうなっとるな」
「まぁ仕方おまへんやろ。両方を行き来できるこれが来てくれただけでもマシですわ。それよりおかみ様、難破船の乗組員、浜辺に来させといて下さいね。船ごと連れて行きますから」
「なんや、これに乗したらへんのか」
「ほれほれ、後ろにこの後カリブで使うもん積んでますさかいに。急ごしらえやけど役には立ちますやろ」
「まぁ、その辺はお前らにまかすわ。それより、このお子と…なであ、日の本を出るまでには痴女にしたらんとあかんぞ。身体が保たんからな」
雅美さんと並んで座ってるナディアちゃんと、そしておかみ様の横にいる金平丸くんを見てますね。こちらの副操縦士席からはよく見えませんが雰囲気でわかります。
「合点承知でございます。ほほほ」
(うう、横で気楽に喋りやがって…あんたもコパイ役ちゃんと務めてくれや…)
(やかましっ複葉モードやったら普通に飛ばせられるわっ)
まぁ、熊野から串本までなら飛べばすぐですからね。うちらの時代なら南紀地方にも高速が通じてますし、鉄道もハイブリッド車が走ってますが、特急ならだいたい名古屋から紀伊勝浦まで2時間を少し越すくらい、高速で3時間程度は必要とお考え下さい。
「あ、あれやな…うん、上手いこと陸に上がっとるのがかえって幸いしとるわ。あれ、うちの水先案内乗せてたん?」
白うちが指し示す先、前方下の浜辺と磯の境目辺りに、割と大きめの帆船が。
ちょうど潮岬のある島というか半島の付け根にある砂浜の辺りですね。潮岬付近だったら回収は困難だったろうだけに、よくも上手いことあそこに付けてくれたなと。しかも市街地に近いし。
「うむ。千人卒が一人。コンスタンチノープルからスエズゲート経由のアジア方面定期船便やけど、今回は荷主指定で堺やなくて衣浦に入る予定やったらしいねん。で、マニラゲートやと紀伊水道入り口…だいたい和歌山沖付近に出るやん。ところが、どうもキャラック型やったかな、あの型の帆船は積載量はあるねんけど強風に弱くてな、潮岬付近で突風に煽られて転覆しかけて、帆をあっち出しこっち畳みしてなんとかあそこまで来たようや。マルティリーネー。聞こえるかー」
(はいはーい聖母様ー。回収準備完了してますー)
(とりあえず浜辺に降りるわ。地元の人らに挨拶とかお礼せなあかんしな)
「よし準備完了しとるみたいやわ。さっきみたいに浜辺にそろっと垂直着陸、いけるか」
「なんとかやってみる。波打ち際がちょうどええんやな」
「うむ。砂に隠れとる岩とかはないはずや」で、白うちがホバリング状態からそろーっと機体を下ろしてくれます。よしよし。
で、操縦室すぐ後ろのドアを開けてラッタルを降ろしてっと。
痴女皇国紺碧騎士団所属を示す水先案内人制服の痴女一名と、ごつそうな武士風が二名、出迎えてくれます。
(那智担当の前鬼と、天河担当の後鬼や。ほんまは二人とも下北山におって奥吉野を任しとるねんけどな、この件とかあって来てもろた。九鬼とは別口の陸鬼で、役行者の縁者や。ちなみに九鬼も実は元々陸鬼やぞ)
(あらま、なんでまた)
(昔悪さした奴でな、熊野の海沿いの岩場に鬼が城を築いて荒らしとったんを、外道とよりみつの子供の一人がしばきに行きよってな。で、改心して船乗り修行もして九鬼一門を築いたんや)
(なるほどなるほど。…努力の家系やったら、余計に瀬戸一家とは対抗意識も生まれますかなー)
(第六天魔が気にいっとってな。尾張の海運も任せてたようやわ)
(タヌキやのうて、あの天魔に国守やらす方が良かったんちゃいますん)
(まーまー。とりあえず前鬼後鬼に挨拶だけしとくぞ)
(へいへい)で、こういう時に便利なものをお二人に渡します。砂金の方が少額取引には使いやすいとあらかじめ聞いてましたので、二重にした革袋をお二人に。
で、船の方は…。
「いやー、トリエステ造船所謹製二重船底のせいで、船底区画の浸水も最小限で済んでるわ。建造費はかかるけどダブルハルにさして正解やな」
(このまま海に連れ出して大丈夫かいな)
(マリアとマルティリーネで応急修理中。少しの間なら大丈夫やろ。洋船の構造を見れるええ機会やと監獄国の技師連中とか色々待ち構えている模様)
「しかしガレオン型といい、帆船の完成形やねんやろけど、どうしても遠洋航海時の飯やトイレがなぁ…」
「せやから一日二日でどこかに寄港できるように高速気流利用させたりゲート指定しとるんやがな…大英帝国がイタリアや鯖挟国とかみたいに海運提携契約結んでくれたら、この型の船や水先案内貸し出したるのになぁ…ええいケチケチしよって」
前にも少し話が出ましたが、痴女皇国世界側では海運事業に乗り出しておりまして、うちらと契約すると水先案内人を派遣して高速気流という、風の速度を上げるサービスを利用できたり、水先案内人の聖環を使って転送指定海域同士に限りますがショートカットしてもらえます。
あ、直接軍事利用は禁止してるので武器や兵士の搭載を確認した時点で契約破棄、前払い金ボッシュートです。高速気流も常時発生させてると沿岸気象が変わるとか色々悪影響がありますので、天女族の気流操作術を仕込まれた痴女船員が乗り込んだ場合にしか利用できませんよ。
「スペインはどないよ。これ確か元はスペイン産ちゃうの」
「原型はな。あそこ今金欠やから条約結ばせとうても厳しいねん。南米のゴールドラッシュでデフレぶちかまされる代わりに言うことで、イタリア名義で痴女皇国から金貸してるけどな。船はガレオン型を何隻か渡してるけど、全部の船を痴女皇国海事部輸送船仕様には出来んから、ハズレ船に乗り組んだ奴が不満を言うたみたいで…」
実は海賊になった連中の理由としてこれが大きいのです。食事や衛生面の待遇を中心に劣悪極まりない就労条件に対して不満を爆発させた連中が船を奪ったり等々。
話の中でもいずれ出て来ますが、海賊の方がホワイト企業だったりする場合があったんですよ…痴女皇国での海賊対策はまさにこれの改善に力が注がれていまして、目下は積み込んだ食料の消費期限が来る前に港に着くように航海期間を短縮したり、比較的まともなトイレ設備を設けたり居住性にも配慮した設計の船を提供したり等々。
で、冒険者たちが利用した機動性の高い中型船や積載性能の高い大型輸送船に軍艦を建造するノウハウを持っていたスペインにそれらを吐き出させる代わりに、メディチ家を通じて金を貸したり、密かにリスボン支部やピレネー支部経由で融通したりしております。
ついでにハプスブルク家の影響力も排除する方向だったり、陸続きで情報を流させてフランスやオランダにも類似契約を結ばせて植民地開発を不必要にしないよう規制したり、黒マリ指揮下で色々仕込み操作をしているのが痴女皇国世界での状況です。
これが面白くないエゲレスさんですが、海事保険の概念教えてロイズ作らせたり、うちらの船見せびらかしてやーいやーいしたり、あるいはインド経営にいっちょ噛みさせて何とかかんとか懐柔しておりまして。
…ただ、聖院世界側ではこの辺の海洋政策、大きく立ち遅れているんですよねぇ…。
さてさて、キャンバスシートを貼った状態で、航宙船用の外壁修理樹脂剤を噴射して固めて応急修理を受けた船をマリ公が海へ移動。
スケアクロウごと新名古屋港…この世界では那古野の港近くに転移して入港させ、積荷を比丘尼国や監獄国の係官に引き渡した後で修理にかかってもらいます。
なんせこの時代の木造船、海に濡れて膨らんだ木材の膨張まで見越して組まれていますので、木造船建造のノウハウを持った船大工がいじらないと、素人修理ではえらいことになるそうです。
幸いにも新那古野港は比丘尼国の外航貿易港指定が入っており、船員宿や色々揃っているので上陸しての羽根伸ばしはもちろん、造船所もあって船いじりも出来るから都合が良いと。衣浦には帰りに寄って荷物を引き取るか、マリ公行かせて転送で貨物引っ張ってこさせりゃいいか。
そして鳥羽行きです。船に乗り込んでいた鯖挟国の貿易担当者名目の中東支部派遣員、プルメリーヤさんに添乗してもらい、一路鳥羽を目指して飛びます。
と言ったって巡航出力にしてるのが10分に満たない飛行時間で、あっという間に二見浦上空。
「この縄がかかってる岩が夫婦岩。で、あそこに見えてるのが比丘尼国の伊勢支部内宮。おかみ様、うちの支部は今は比丘尼国伊勢支部外宮の隣でしたかな」
ついでに空から伊勢神宮、いやこの世界では比丘尼国支部見学。夫婦岩といい、昭和時代の修学旅行コースかよと思いますが、国家神道全盛期や江戸時代のお伊勢参りなんて、まさに流行の先端みたいな行事だった訳ですから修学旅行の行き先にもするわなぁ。
「そうそう。わしも、ほんまの姿の時はここが本宅やねん。わしの本体はここにおるけど、あそこにおるとどうも毎日が窮屈でなぁ。んで元伊勢にわしがおる形にしとるわけよ」だから遊び回ってんのか…。
「いや、本体もたまに外宮行ってお前らの支部使わしてもろとる。そら、いきぬきさしてもらわんと…」
「あのー、だいたいやってはること分かりますけどね、何でそっちの支部使わんのですか…」
「あかん言われるからに決まっとるやん。常連りすと作ってもろとるくらいには人気あるみたいやぞ」
…何してはりますのこの神様。ちなみに内宮支部、これまた以前語りました通り、うちらの世界の「神宮」同様に一般参拝客向けの構造になっておりません。
更に比丘尼国支部なら普通はうちらや聖院支部同様に、アレがあれでアレ出来るのですが、ここはおかみ様の話の通り、このおばはんの本宅です。
ただ、おかみ様の方で何かしないと、人間にはおかみ様本体の姿は絶対に見えませんけどね。
で、比丘尼国外宮支部と棟続きになっている聖院または痴女皇国支部がそういう需要を満たしておりま…あ、うちらで言うおかげ横丁、ここでは一種の色街ですね。
さて、日本人にはちょっと特別扱いしたい場所を眺めさせて頂いたあとは鳥羽に向かいます。と言ってもパールキング島の近辺、真珠貝の養殖用のいかだが海中のあちこちに存在しますから、スケアクロウを着水させる場所については誘導が欲しいところです。
で、鳥羽の街や、実際のパールキング島に行かれた人のために、痴女皇国世界でのこの界隈の事情の解説を入れておけと天の声の指示。へいへい。
…というわけで、聡い方は既にお手持ちの電子デバイスを使用してなんとか地図とかで鳥羽湾の辺りをご覧になっておられると思いますが、それを併用して頂けると話が面白くなるんじゃないかなとか言ってますので、可能な方はその辺を併用いただきたく。
まず、九鬼嘉隆さんの熊野のおうちですが、嘉隆さん自身はほぼ隠居していて鬼としての九鬼一族の発祥の地、さっきお邪魔してたお屋敷にお住まいです。
ですが、九鬼一族に任された領地のうち、伊勢志摩真珠国については、嘉隆さんの息子さんの守隆さんの統治下にあって水軍主力もこの鳥羽に置かれているそうです。
「ええ、あれが九鬼守隆様のお城の鳥羽城で、沖にある相島が真珠養殖の実験場所だったのです。今はそちら様のお助けもございまして成功を収めておりますが、やはり値の張るものですので、他とは筏の場所を区切っております。それに、私どもとて真珠だけで飢えは凌げませんので、他のものも獲らせて頂きませんと…」
ナディアフィールさんの話を聞いていますと、真珠養殖は真珠貝を養殖筏に定着させる必要があるため、貝が育つ適度な海流の存在する水域にイカダを置く必要があるのが判明しております。
そのため、パールキング島周辺のみならず、養殖に適した水域を周辺…幸いにも九鬼水軍が根城にしたほどリアス地形バキバキの志摩半島なので、つぶさに調べ上げ真珠貝養殖に適していそうな場所を探した結果、今でいう賢島辺りまでの志摩半島域で有望な場所にあって、かつ養殖事業に立候補した村が真珠を養殖して相島…つまりパールキング島に持ち込んで査定を受けて買い取ってもらう方式を採用しているそうです。
(はぁはぁ、なるほど。パールキング島がバーレーンのムハッラク島の役目を果たしとるんか)
(で、元来ならばパールキング島の卸市場に行って買い付けるそうですが、今回はナディアフィールさんの件とか色々あるし、真珠養殖で得ている利益や税収で九鬼家も助かっているそうなので、特別に厳選品を用意してくれているという話です。価格についてもあらかじめ話がついており、金でのお支払いが決定しています)と、貿易担当官のプルメリーヤさん。
正直、えっ、これでええんという値段ですが、実は九鬼家もスペイン王国の対アジア貿易について噛みたがっており、造船技術ノウハウを得た監獄国のメインユーザーとなるために今後は痴女皇国とも親しくお付き合いしたくてウズウズしている様子。
ちなみにおかみ様の事前承認を受けてないと、比丘尼国ではこういう事が許されないそうですが。
「かれーとかいうもんが食いたい。うちからも天竺まで貿易船出せるなら計らってくれ」はぁ、スパイス目当てですか。
…毎食毎食外宮でご馳走作って貰ってるのに贅沢なおばはんは置いといて、スケアクロウを降ろす段取りに移ります。いつかあの鯛の丸焼き、先に食うたるからな。
「アルトくん、悪いけどちょっとお父さんに繋いでコレ、どこに降ろさしてもろたらええか聞いてくれるか。買い付けの話は行ってる筈やから、真珠の積み込みに都合のええ場所を頼んでな」
雅美さんに言わせると、皮肉にも九鬼嘉隆終焉の地となった鳥羽沖の、界隈で一番でっけぇ島、ここの東側になるそうです、アルトくん実家の皆様の移住場所。
「了解でございます」
「え?そのようなことが…」
(ああ、ナディアさん。私たち痴女種という人種は鬼族とはまた違う力がありまして、こんな風に相手に直接語りかける事が出来るのですよ。今晩にもアルトくんが説明してくれますが、海賊退治のためにはこの痴女種という…そうですねぇ、天女や精霊の類になってもらう必要があるんですわ。おかみ様や旦那さんからその辺は聞いておられますかね)
「はぁ…ならないと聖院入りはできないとも…」
「はいはい、お父様が迎えに来ると。港の横の…今、上から見ておりますが、砂浜に乗り上げて構いませんね? 承知いたしました」
「了解了解。あそこの港のすぐ西の大きめの砂浜やな。白うち、頼むで」
「あーそうか、ここで産まれた子供さんらとか以外はスケアクロウ知ってるから驚きはせんわな」
そうです、移住作戦の際、当時はNB特殊部隊の運用でしたが、イラクからこのパールキング島まで、アルトくんの実家や縁者の方々数十名を乗せて送り届けているのがまさにこのスケアクロウだったりします。
なもんで当時を覚えている人は、この機体を見ても敵視はしないだろうと。
「水上着水用着陸灯点けてっと。VTOLモードON…タッチダウン」
「ほい上等上等。ようできました」
「やかましっあたしにばっかりやらしやがってっ」
「飛行時間稼ぐのにちょうどええやろ? あと本試験はNBでやるからな。頑張って経験積んでや。うひゃひゃひゃひゃ」
「えー、あんたが試験士官ちゃうんかいっ」
「あたしが自分で自分の試験通してどないすんねん…まぁ、行く暇ないんやったらアークロイヤルかハーミーズ来る時に試験資格士官添乗、自分で依頼しぃや。NB空軍でOK出すんやったらうちが試験官やったるさかいに」
「はいはい。とりあえずみんなでアルトくんちに行くか…」
で、港の付近にあるアルト家に。この街では従来、未成年男性のみを固めて暮らさせる独特な制度風習のある一族が統治していたそうですが、一種の改易めいた事をしてわざわざ一族の家を建てる場所を空けてくれたそうです。
そんな訳でおっきめの和風平屋なアルト実家屋敷に。
「おお、サレルフィールにナディアフィール、よく来てくれた。で…鯖挟国の方はどちらにいらっしゃいますかな」
当時よりはそれなりに老け込んだアルトのお父さんが出迎えてくれます。肌の色以外はなんか完璧に、こっちの生活に溶け込めてるようで何よりです。それにこの辺の人、基本的に日焼けしとるしな。
んで、広間に通されますと、なかなかに身なりの良さげで若侍な方が近従を数名従えてお待ちの様子。
「あら守隆様、何故にこのような場所に」ナディアちゃんが目を丸くしております。
「い、いや、そなたが戻ると聞いて…というか、真珠の買い付けに来られたというのでな。目利きと出納役を連れて出向けという話もござって。まぁ諸々あったであろうが、とりあえずは商談を済ませてからとしよう」
(九鬼嘉隆様実子にして比丘尼国伊勢鳥羽国主、九鬼水軍軍師の九鬼守隆様にございます)と、ナディアさんが心の中で念じて教えてくれます。
…はっはーん。これ、親子でナディアちゃん争奪戦があったな…。
(なーなー雅美さん、マリ公、アルト。これ絶対、守隆さん、ナディアさんにホの字やぞ…)
(えええええ、この人はこの人で妻子いてるわよ!)
(むーん。ナディアフィールだと少し若すぎませんか…この子に子供がいた時点で、わたくし正直仰天したのですが…)
(いや、この時代の日本だと、汎用人型決戦兵器に乗れるくらいで結婚とか不思議じゃないわよ…)
(ええ…実は最初にわたくしを見初められたのは守隆様なんですが、その…既に守隆様には奥様がいらっしゃいまして…で、九鬼家と当家の家長、つまり我が父を交えて話し合いに及んだのですよ。おかみ様の口利きもあってここに住んだ一族なのだし、領主のご一族様との血縁を結ばせて頂けるのは大変に好ましい事であると。ただ、側室扱いというのでちょっと揉めまして。ほら、サレルフィールお姉様の一件!…あれで側室とか妾とかいう言葉に敏感になっておりました私どもが事情を説明させて頂きましたところ、阿漕で魚でもとっておるような悪徳領主の振る舞いはともかくですねぇ、我が家の主張もごもっともという話になりまして、当時奥様に死に別れていた嘉隆様が引き受けて下さる形に。ええ。守隆様のお気持ちもわかるんですよ? わかるんですけど…ここら一帯のお武家様って、その…浮気とかしたら色々後でややこしい話になるじゃないですか!)
(ナディアフィール…商談しておられる間、我々に注意が向かれないと思いますから申しておきますけどね…もりたか様のちんぽを挿入するのが禁じられておるからといってですね、口や手で致してあげても後で揉める原因になりますよ…)
おいっアルトくんっ!ななっ何をバラしておるのですか!わははははは!
(なななななな何でお姉様がそれをっ…あ、そーか、わたくしの頭の中、丸見え…)
(ふっふっふっふっふっ、あなたが痴女になれば色々と解決しますよ? 例えばですねぇ、九鬼のおうちはぼうえきにも手を出したがっておられるのでしょう? で、そのはなしがまとまって、もりたか様が痴女宮なり聖院巨瀑宮なりに来られたら、あなたは大手を振ってもりたか様にご指名頂けるのですよ?本当ならあなたは聖院側となり、もりたか様との接点はなくなりますが、そこはそれ、てんそうという技術がありますのでなんとでもなります)
(ぬぬぬぬぬふうううううっ、その手がございましたか!さすがは我が姉様です! このナディアフィール、刀を交えるとかちじょの魔羅を味見するとか以前にたった今、我が姉に相応しき方であると感服つかまつりました!…で、お姉様…密かに相談がですねぇ…他の皆様も。確かに守隆様はそれなりの奥様を娶られておられますよ?ですが仮にも伊勢志摩を治め勇名轟く九鬼水軍の若い長がですね、奥様だけで満足なさるかと申しますとですね!)
(ナディアフィール。ほんねが漏れております。要はもりたか様、そなたのたいぷだと素直におっしゃいなさい)
(うががががががっ!たたた確かにそうではございますが…)
(あと心話の際はなるべく顔に出ぬように。わたくしや他の方々を見習いなさい。正直、痴女皇国や聖院の人間で、このてのすけべいばなしに心動かされず不動なものは、そっちから数えた方がはやいのです。つまり、みなさま、こういうすけべばなしを好みます。ですが、顔に出しておりませんでしょ?)
(ぬぬっ確かに、精進が足りませなんだ…で、相談ですが、痴女となります儀式にですね、大体何をすればそうなるかはおかみ様からお聞きしておりますけどね、当面、わたくしは守隆様とは離れ離れでしょう。その儀式に密かに守隆様もお呼び頂けないかと)
(ふむふむ。まぁ、あんましよろしくない話やけどなあ、嘉隆さんに知れたら)
(いや、かーさん、どうもあの人、守隆さんとの仲は知ってたみたいよ。まぁ、醜聞になれば守隆さんを処罰せねばならんが、わしの耳に聞こえなきゃいいわと。それと、やっぱり、九鬼家に嫁入りする際の経緯があるじゃん。ナディアさんの扱いについて。結果的に守隆さんからナディアさん取り上げたような事になってるから、せめてという感じで今回の真珠売買で守隆さん行かせたの、嘉隆さんみたいなのね)
(なるほど、あとはバレないように…)
(その件に関しても提案がございます。実はこの島の更に沖、監獄国のあつみ半島との間に神島という島がございまして、鳥羽八丈の異名で領民には知られております。正直、国内の流刑に使っております。今は確か流刑者、いないはずなんですよね。島内に神社はございますが、神事の時以外は水の便が悪いために通いでございます。数世帯の漁民はおりますが、その神社の界隈は無人にも同じ。確かあそこ、おかみ様の所轄では)
(あー、八代社か。うん。あそこが鯛の磯を所轄しとるんよ。あの辺の鯛、外宮でわしの本体が食ってる奴な)
よっしゃええこと聞いた。あそこで獲ったらええんやな。
(こら婢女。お前もふじんの体やのに何でそないに食い意地張り倒しとんねん。まぁ、今度お前の分も用意さしたるから今は我慢しとけ)
(へいへい。で、その神社のある島なら人目につかんと)
(左様でございます。更にわたくしにも土地勘が。ふふふふふ。あ、金平丸は実家に預けとけばいいか)
(なんか、最初の印象と違って、アルトくんの妹だなぁという気がっ)
(そうね、かーさん。これはある意味逸材よ。うちに来てもみんなと仲良くやってくれる可能性があるわっ)
(で、マリアちゃんにジーナちゃん。あのさー。その島さー。別にそれしに行くのに問題がある訳じゃないんだけどさー、ちょっと有名な島なの知ってるかな?この時代なら絶対関係ないんだけどさー)
(なんすか雅美さん。入島したらおめこしないと出れないとか、全員頃さないと出れないとか、吸血鬼が出て来て丸太で戦うハメになるとか)
(いや、そうじゃないのよ。えーっとね、この話のシリーズではホモでマッチョで思想がハードスターボードな人扱いで、ついでにあたしとたのちゃんの先輩な作家のおぢさんいるでしょ。金閣寺を柱一本残さず全焼させないと火災保険金が下りない話を書いた人)
(なんか雅美さんの念に、どちらかというと誇れない先輩を紹介せざるを得ない恨みの念を感じるんだけど)
(あのおっさん、ホモの癖にエロシーンに凝るのよね…おまけに教科書にたびたび載るくらい文才だけはあるからタチが悪いのよ、有名な文豪なのになぜか、例のやおい系文豪美青年化作品には出ないし…まぁそれはいいとして、あのおぢさんの出世作の一つで、何度も映画化されてるのあるでしょ。海女さんが出てくるやつ)
(…はい!はい!あれな!国民的歌手がヒロイン役のアレな!)
(ああ…あ、あの島のモデル?)
(そうよ。あの島ならシチュエーションとしては最高じゃない!若殿様と禁断の恋を結ぶのよ!燃えるわ!これは薄い本を描くネタになるわよ!)
…ああ、そっちの方向で噴き上がれるネタ満載の島なんすね…。
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ジーナ「しかしあの島がそういう由来の島だったとは…」
なであ「そうなのです。一応流刑地なんで罪人監視の役人もいてることはいてるのですけどね」
アルト「つまり、あのしまについては知っている人もけっこうおられるのですね」
まさみ「なんせ、緑の中を走り抜けていく真っ赤な車と歌った人が主演女優をやった時のがね…」
なであ「まぁ、わたくしも痴女になる事に一切の異存はないんですよ。ないんですが…金平丸の事だけは気がかりで」
まさみ「心配ご無用。目下痴女皇国で、未成年児童を預かる福祉施設を立ち上げる計画があります。そこに預けて頂ければ立派なショタ竿師…げふんげふん、立派な少年に育ててみせます!」
白マリ「なにかさー、雅美さんが言うと不純な動機でしか聞こえないんだけど、福祉っていう言葉」
まさみ「真顔でなんてこと言うのマリアちゃん!あたしは恵まれない子供を救いたいだけよ!」
黒マリ「では少女が入所した場合なんだがどうすんのさ。んー、乳上、雅美さんの代わりに回答希望」
アル子「決まっております。女官としてお客が取れる年齢と体型まで促成栽培成長」
白マリ「それが福祉なのかーっ!」
黒マリ「いや、幹部の子供ならともかく、一般預かりの子供なら、ある程度は教育受けさせてからにしようぜ…いくらなんでも数年は預かってから人生選ばせてやろうや…」
まさみ(マリアちゃんの気遣いが身に沁みるの…絶対、あたしがこれ言うと顰蹙買いまくってたわ…)
黒マリ「ちなみにどういう計画なのかはまだ未定だが、未成年の精気で食費を浮かせるという、ある意味鬼のような思いつきを得た幹部が強力に推進したがっているんだよな…」
白マリ「しかもその幹部は決してショタ趣味でもなければ、毎日ちんぽが欲しい訳でもない、いわば純粋に公務としての経費削減のための着想で、未成年の精気を痴女の食料にしようと画策してるから余計にタチが悪いのよ…」
黒マリ「どんな話かは↓を読んでくれ。ちなみにカリブ海賊退治と同時進行してるんだよこれ…」
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/38/
まさみ「あとね、その幹部に言うともーのーすごーく嫌がる話があります」
白マリ「なんでしょ」
黒マリ「まさか…あのさぁ雅美さん、本編で出てたホモマッチョのおじさんに関わるのかな?(汗だらだら)」
まさみ「そのまさか。あのおじさん、あの文才なんで頭はすごくいいと思います。あたしや、件の幹部が卒業した学校の法学部卒だし」
ジーナ「凄いやないの」
あると「ほもでもあたまはよかったのですね」
まさみ「問題はその頭脳なのよ…それだけ頭が良かったら司法の世界を目指すべきだったってあたしは思うのよ」
ジーナ「まーさーかー…そーいや、たの…ごほごほ、その幹部が以前言ってたな…所属官庁でも単に国家1種に受かるだけでも大変なのだが、真の出世コースに乗るには、更に学部閥が云々…」
白マリ「まさか…まさか…」
黒マリ「確かどこかで、その話になった記憶があるぞ…あの時も凄く嫌そうな顔だった…」
まさみ「うん。くだんの作家、当時の大蔵省に入省してます。今、そこがどういう名前かは敢えて言いません!」
ジーナ「…つまりだね、雅美さん…その子の先輩は職場でも先輩で、そしてああいう話を書く人でだね…」
白マリ「しかも…ホモ…」
黒マリ「それもやおい穴系とかそんな美化品じゃなくマッチョなガチホモ…」
みんな「触れないであげよう…なるべく触れないであげよう…」
まさみ「うん。高校の先輩が某おばはん系漫画家にホモとバラされてた医者の息子で都の西北に行った人くらい、あたしとその子には触れて欲しくないことなの!」
みんな(バラしてはりますがな…)
高齢化すると覚えが悪いと申しますが、聖院の方のうちの覚えが悪くて困っています。
…まぁ、年齢の話はやめておきます…(うちも実際年齢はええトシ…○○歳代やしな…)
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「開祖多蛾丸からすると何代目かになりますかなぁ…金平鹿…多蛾丸がよりみつ様のお子に討たれまして後におかみ様の口利きで復活、以来熊野界隈と本宮を護す立場につけ、これが当家の始まりの由来にございます」渋くて恰幅のいい和服のおじさんがお話をして下さいます。
ここは熊野の街に構えられた九鬼屋敷。
砂浜にスケアクロウを乗り上げて駐機したあと、待ち構えていたお迎えの方のご案内で皆、屋敷の客間に通されます。九鬼水軍を率いる大名のお屋敷だけあって、なかなかにご立派な構えですね。
「さて静香や。本来は串本に向かって欲しかったが、こちらの皆様をわざわざお呼び立てしたのは他でもない、お主の処遇よ…」どっかと掛け軸の前に腰を下ろした九鬼嘉隆のおじさん、傍に座る褐色銀髪の和服の娘さんをちらり。
そう、この人がアルトくんの妹さんのナディアフィールさん。こちらでは静香を名乗り、九鬼家に嫁いでいる立場です。アルトくんそっくりですけど、ちょっとおっぱいが大きめかな。あと、まだ10代だったっけ?ちょっと若さゆえにか、ツンっとした感じですかね。
「儂も前から思うておったが、確かにお主は優れておる。我が九鬼一門を率いて貰っても誰が文句を言うものか。だが…それ故に…儂も悩む所があったのじゃ。今やあの狸が江戸に上がり、差し当たっては表向きの日の本を束ねる建前で行くとおかみ様にまで言われては、九鬼家は紀州の東から伊勢を守る一家に過ぎぬ扱いとなろう」
「わたくしはそれでも構いません」
「いやいや、儂はお主の才を惜しんでおるのじゃ。今回の聖院行きはお主には奇貨となろう。まりや様やおかみ様とも相談したが、九鬼屋敷より出た者が七つの海に名を轟かす話になるやも知れぬ。儂にとってもこれほど誉な話はないのじゃ。幸い、金平以外は子らも元服し働きも悪うはない。後を顧みて憂える事など何もあるまい」ふむふむ。
要は静香さん、九鬼一門で終わる器じゃないから聖院に行って名前を上げて来なさいと。これが旦那さんの嘉隆さんの言い分。
「瀬戸の三郎太の娘がちじょのくにの水軍の長で務まるならば、お主も聖院の水軍を率いても不思議はあるまい。それに…」ここで嘉隆さん、白マリの方を向いて。
「聞けば水運の仕切りが必要な様子。おかみ様からも話は聞いております。静香さえ宜しければ、どうぞ名を挙げる場を設けてやってはくれませぬか」と、平伏する嘉隆さん。頭の中を拝見しましたが、痴女種が強いのは知っておられますね。それと、今までの話、本心から言ってます。
「静香さん…ナディアフィールさん、失礼します。痴女皇国初代聖母、ジーナ・高木と申します。旦那様は本心から静香さんの身の上を案じておられますよ。貴女の待遇については娘や、聖院の私に保証させます。…おい、うち、ちょっとうちらの方の海運計画とか説明したりぃな」
「静香さん。聖院金衣女聖、マリアリーゼ・高木です。当方の事情は…」と、マリ公が静香さんに手をかざします。高速学習させているようですね。
「アルト。あなたからも」で、マリ公はアルトくんにも促します。
「我が妹ナディアフィール。あなたの姉のサレルフィールは聖院に拾われ、今やこの通り、それなりの地位を授けて頂く事ができました。わたくしが今ここに居ることはおろか、そなたやわたくしの父母が安住の地と生計の道を得る事ができましたのは、ひとえに聖院や痴女皇国のみなさまのお力添えあってのものだね。そのみなさまが、そなたを乞うておられます。如何…むろん、あたくしも、そなたに来ていただければこれほどに心強い事はありません」そう言って、妹の手を取るアルトくん。
「かしこまりました。旦那様、わたくしの身を案じてのお話とは痛い程伝わっております。せっかくの縁ではございますが、お奨めに従い、紅毛の海賊どもとやらを征伐する助力をしに参ります。どうか家を離れるお許しを頂ければと」
「許すも何も、儂の勧めじゃ。そうそう、おーい、正宗を広間に頼む」手を叩いて小姓に命じます。
で、少しして、帛紗に包まれた長細いものが。
白い鞘と柄の短刀が中から出てきます。
「静香よ。本当ならば太刀を渡したいところじゃが…太刀については、熊野の本宮でおかみ様がそなたに預けたきものがあるそうじゃ。儂からはこれを授けよう。正宗の作じゃ」
短刀としての全長は30cmくらいですかね。どうも名前からするに、正宗が打った短刀のようで。
(ジーナちゃん…九鬼正宗に間違いないと思うわよ…連邦世界じゃ徳川家に献上されてるわ。九鬼家に代々伝わってる名刀よあれ…)
雅美さんがこそーっと心話で教えてくれます。
つまり、家宝ものと。
(家宝どころじゃないわよ…連邦世界であれ持ってたら重文指定が掛かるか、さもなきゃ億単位の値段がついてるわよ…)
「正宗を預けて頂くとは誉れの極みにございます」
そう言って夫婦で抱き合ってます。うん、感動的ないい光景ですねぇ…。
そして、旅装束を整えた静香さんを預かり、九鬼屋敷を辞した我々ですが、山の中の熊野本宮にスケアクロウを降ろす場所が…あるかな…。
(この時期はまだ大斎原はねぇから、直接転移で上四社の辺りまで来てくれってよ。宝物殿の前で渡してくれるとさ。ふふふ、ビビんなよ)
(なんじゃい。そんな業物があるんか? 正宗は確かに凄そうやったけど)
(とりあえず送るわ。ほれ)
で、いきなり我々は熊野大社というか、比丘尼国熊野支部の中に。おい。
「ほっほっほっほっほっ婢女。とりあえず、なであに渡したいもんはこれや」そして巫女さんを数名従えて、ずけずけと近づいてくるエロ巫女姿のおばはん一柱。
「ほれ、なであ。これちょっと抜いてみい」無造作にナディアちゃんに太刀を渡しよります。
「おおっ」抜いた刀身を検分する全員がうーむと唸ります。で、アルトくんの変態日本刀、リトルクロウこと小烏丸と比べて品評会。
「反りが凄いですね。かなり湾曲してる感じ」
「リトルクロウは中国風の直刀を意識してるのかなぁ」
「おかみ様。あたしの記憶に間違いなければこれ、熊野三所権現長光…備前長船長光の作じゃ…これ奉納刀じゃないんですか…」
「まさみ、お前なんや、えらい、かたなに詳しいの。うむ、お前の見立て通り、これは権現長光や。なであの出立についてはわしらも関わっとるでの。ああ、すさのおには納得させた。お前らには他にも献納されとる刀あるやろから、これくらい渡したれやとな」
で、そこで鞘に刀を納めてうやうやしく一礼する妹さんに。
「なであ。お前はこれより、いずれは聖院で痴女となるやろう。その際にこの長光で人を斬るような使い方すんなよ。あるとが知っとるが、聖院でのかたなは痴女の力のむきを定める道具として使うのや。よう姉さんに教わるんやで」と。ふむ、ドレインとか痴女の能力を指向させたり集中させる照準装置に使うんすかね。
「アレーゼがもっとよう知っとる。かりぶでいずれアレーゼに会うやろけど、時間があったらなであ鍛えてもらえ。この子はわしも知ってるけど、ええせん行くぞ」と、お墨付きも出ました。確かに雰囲気はアルトくんの本気モードに似てますね。
「おかみ様…それと…」で、心話。
(九鬼水軍への貢物、スケアクロウに積んで来てますよって。ただ、渡すんについては慎重に頼みますよ…)
(うむ、解っておる。嘉隆も正宗差し出してまで礼を尽くしよったからの。使い方については…まにゅあるは付けてくれとるか)
(もちろん。総天然色防水印刷で)
(よっしゃよっしゃ。かりぶに行かす面子の人選もしとるしな)
(とりあえずこの後、降ろしてから浜辺に置いとく分とは別に渡しますよって、引き取りお願いしますよ)
(おう。…それとな…)
(ぎょえええええ…よろしいんで?)
(そらお前、わしがええ言うとんのや)
(まぁ、構いませんけど…予備席もいっこ空いてますし…)
(ま、とりあえずお前らの船に戻ろや)まぁ、M型ならコクピットから下は本式の飛行艇ほどじゃありませんが、ある程度の艇体構造してますけどねぇ…。あれが船に見えるんかいっ。
で、浜辺。
スケアクロウの向きをくるっと変えてから、リアハッチを開けて中を確かめます。
んで、大八車に積まれた木箱。
ちょっと重いので、おかみ様に頼んで九鬼屋敷から人を差し向けてもらいます。そして地面の硬そうな場所までマリ公が移動。
そうこうしている内に、馬に乗った嘉隆さんやお付きの人たちが到着。
「嘉隆。これについてはお前に預ける。同じものが欲しい場合、監獄国に頼めば作りよるからな」
で、大八車の荷物を指し示しておかみ様が嘉隆さんに引き渡してくれます。
「承知。確かに預からせて頂きます。あと…静香。金平丸についてじゃが…」見れば、乳母さんに抱かれたやや子が。
「あ、お子様か…」
「もしよろしければ嘉隆様。お子様も預からせて頂きましょうか?」マリアが気を利かせてくれます。
「しかし、金平丸は見ての通り乳飲み子…」
「なぁに、時を少し進めて差し上げるだけですわ。ほいっと」乳母さんから子供を預かったマリ公、光に包まれてすぐ、戻ります。
で、マリ公が気を利かせて着流し風の服を羽織らせたショタが、その手に引かれています。
「これでそんなに手がかかる事はなくなったと思いますよ。静香さん、いいかな?」いきなり息子が成長して仰天している静香さんに、息子さんを預けるマリ公。
だいたい12歳くらいか。うん、将来有望だな。
そしてこれはクレーニャや乳上には今は見せられません。あいつらは絶対に手を出す。
(激しく合意。あたしも、アルト妹のお子さんでなかったら理性飛んでたかも…)うん、ショタリトマス試験紙な雅美さんの表情で品質、理解できるから。日曜朝に新幹線に乗るとか、10万ボルトをゲットするとかプラモデルで戦う部類。
「嘉隆様と静香さんの頭の中身を少しばかり拝見させて頂きました。言葉はもちろん、ある程度の知識は持たせていますよ」うん、うちの必殺技、促成栽培ですが、見た事ない人には奇跡にしか見えんわな。
「ほほほ、私共ですぐに人が欲しい場合、時の進みを早めるんですよ。寝たようなまま10年ばかり過ごすと、これこの通り」
「なるほど、これは凄いものじゃ。これ金平丸、父が分かるか」はい父上などと親子の団欒ありーの。なんか父上って言葉ですぐ、欧州支部長の爆乳が思い浮かぶあたり、あたしも毒されとるなぁ…。
「金平丸くんの武装とかは私達で整えさせて頂きますわ」
「重畳にございます。では皆様、おかみ様、潮岬には前鬼と後鬼を待たせておりますのでよしなに」一礼される嘉隆さん。
そして見送りを受けながら離水するスケアクロウ。垂直尾翼についた航空機同士の交信で使うELL、つまり一種のイルミネーションライトを点滅させて別れの合図を入れてあげます。
「しかしあれじゃな。今回は痴女皇国と聖院が絡むから話がややこしうなっとるな」
「まぁ仕方おまへんやろ。両方を行き来できるこれが来てくれただけでもマシですわ。それよりおかみ様、難破船の乗組員、浜辺に来させといて下さいね。船ごと連れて行きますから」
「なんや、これに乗したらへんのか」
「ほれほれ、後ろにこの後カリブで使うもん積んでますさかいに。急ごしらえやけど役には立ちますやろ」
「まぁ、その辺はお前らにまかすわ。それより、このお子と…なであ、日の本を出るまでには痴女にしたらんとあかんぞ。身体が保たんからな」
雅美さんと並んで座ってるナディアちゃんと、そしておかみ様の横にいる金平丸くんを見てますね。こちらの副操縦士席からはよく見えませんが雰囲気でわかります。
「合点承知でございます。ほほほ」
(うう、横で気楽に喋りやがって…あんたもコパイ役ちゃんと務めてくれや…)
(やかましっ複葉モードやったら普通に飛ばせられるわっ)
まぁ、熊野から串本までなら飛べばすぐですからね。うちらの時代なら南紀地方にも高速が通じてますし、鉄道もハイブリッド車が走ってますが、特急ならだいたい名古屋から紀伊勝浦まで2時間を少し越すくらい、高速で3時間程度は必要とお考え下さい。
「あ、あれやな…うん、上手いこと陸に上がっとるのがかえって幸いしとるわ。あれ、うちの水先案内乗せてたん?」
白うちが指し示す先、前方下の浜辺と磯の境目辺りに、割と大きめの帆船が。
ちょうど潮岬のある島というか半島の付け根にある砂浜の辺りですね。潮岬付近だったら回収は困難だったろうだけに、よくも上手いことあそこに付けてくれたなと。しかも市街地に近いし。
「うむ。千人卒が一人。コンスタンチノープルからスエズゲート経由のアジア方面定期船便やけど、今回は荷主指定で堺やなくて衣浦に入る予定やったらしいねん。で、マニラゲートやと紀伊水道入り口…だいたい和歌山沖付近に出るやん。ところが、どうもキャラック型やったかな、あの型の帆船は積載量はあるねんけど強風に弱くてな、潮岬付近で突風に煽られて転覆しかけて、帆をあっち出しこっち畳みしてなんとかあそこまで来たようや。マルティリーネー。聞こえるかー」
(はいはーい聖母様ー。回収準備完了してますー)
(とりあえず浜辺に降りるわ。地元の人らに挨拶とかお礼せなあかんしな)
「よし準備完了しとるみたいやわ。さっきみたいに浜辺にそろっと垂直着陸、いけるか」
「なんとかやってみる。波打ち際がちょうどええんやな」
「うむ。砂に隠れとる岩とかはないはずや」で、白うちがホバリング状態からそろーっと機体を下ろしてくれます。よしよし。
で、操縦室すぐ後ろのドアを開けてラッタルを降ろしてっと。
痴女皇国紺碧騎士団所属を示す水先案内人制服の痴女一名と、ごつそうな武士風が二名、出迎えてくれます。
(那智担当の前鬼と、天河担当の後鬼や。ほんまは二人とも下北山におって奥吉野を任しとるねんけどな、この件とかあって来てもろた。九鬼とは別口の陸鬼で、役行者の縁者や。ちなみに九鬼も実は元々陸鬼やぞ)
(あらま、なんでまた)
(昔悪さした奴でな、熊野の海沿いの岩場に鬼が城を築いて荒らしとったんを、外道とよりみつの子供の一人がしばきに行きよってな。で、改心して船乗り修行もして九鬼一門を築いたんや)
(なるほどなるほど。…努力の家系やったら、余計に瀬戸一家とは対抗意識も生まれますかなー)
(第六天魔が気にいっとってな。尾張の海運も任せてたようやわ)
(タヌキやのうて、あの天魔に国守やらす方が良かったんちゃいますん)
(まーまー。とりあえず前鬼後鬼に挨拶だけしとくぞ)
(へいへい)で、こういう時に便利なものをお二人に渡します。砂金の方が少額取引には使いやすいとあらかじめ聞いてましたので、二重にした革袋をお二人に。
で、船の方は…。
「いやー、トリエステ造船所謹製二重船底のせいで、船底区画の浸水も最小限で済んでるわ。建造費はかかるけどダブルハルにさして正解やな」
(このまま海に連れ出して大丈夫かいな)
(マリアとマルティリーネで応急修理中。少しの間なら大丈夫やろ。洋船の構造を見れるええ機会やと監獄国の技師連中とか色々待ち構えている模様)
「しかしガレオン型といい、帆船の完成形やねんやろけど、どうしても遠洋航海時の飯やトイレがなぁ…」
「せやから一日二日でどこかに寄港できるように高速気流利用させたりゲート指定しとるんやがな…大英帝国がイタリアや鯖挟国とかみたいに海運提携契約結んでくれたら、この型の船や水先案内貸し出したるのになぁ…ええいケチケチしよって」
前にも少し話が出ましたが、痴女皇国世界側では海運事業に乗り出しておりまして、うちらと契約すると水先案内人を派遣して高速気流という、風の速度を上げるサービスを利用できたり、水先案内人の聖環を使って転送指定海域同士に限りますがショートカットしてもらえます。
あ、直接軍事利用は禁止してるので武器や兵士の搭載を確認した時点で契約破棄、前払い金ボッシュートです。高速気流も常時発生させてると沿岸気象が変わるとか色々悪影響がありますので、天女族の気流操作術を仕込まれた痴女船員が乗り込んだ場合にしか利用できませんよ。
「スペインはどないよ。これ確か元はスペイン産ちゃうの」
「原型はな。あそこ今金欠やから条約結ばせとうても厳しいねん。南米のゴールドラッシュでデフレぶちかまされる代わりに言うことで、イタリア名義で痴女皇国から金貸してるけどな。船はガレオン型を何隻か渡してるけど、全部の船を痴女皇国海事部輸送船仕様には出来んから、ハズレ船に乗り組んだ奴が不満を言うたみたいで…」
実は海賊になった連中の理由としてこれが大きいのです。食事や衛生面の待遇を中心に劣悪極まりない就労条件に対して不満を爆発させた連中が船を奪ったり等々。
話の中でもいずれ出て来ますが、海賊の方がホワイト企業だったりする場合があったんですよ…痴女皇国での海賊対策はまさにこれの改善に力が注がれていまして、目下は積み込んだ食料の消費期限が来る前に港に着くように航海期間を短縮したり、比較的まともなトイレ設備を設けたり居住性にも配慮した設計の船を提供したり等々。
で、冒険者たちが利用した機動性の高い中型船や積載性能の高い大型輸送船に軍艦を建造するノウハウを持っていたスペインにそれらを吐き出させる代わりに、メディチ家を通じて金を貸したり、密かにリスボン支部やピレネー支部経由で融通したりしております。
ついでにハプスブルク家の影響力も排除する方向だったり、陸続きで情報を流させてフランスやオランダにも類似契約を結ばせて植民地開発を不必要にしないよう規制したり、黒マリ指揮下で色々仕込み操作をしているのが痴女皇国世界での状況です。
これが面白くないエゲレスさんですが、海事保険の概念教えてロイズ作らせたり、うちらの船見せびらかしてやーいやーいしたり、あるいはインド経営にいっちょ噛みさせて何とかかんとか懐柔しておりまして。
…ただ、聖院世界側ではこの辺の海洋政策、大きく立ち遅れているんですよねぇ…。
さてさて、キャンバスシートを貼った状態で、航宙船用の外壁修理樹脂剤を噴射して固めて応急修理を受けた船をマリ公が海へ移動。
スケアクロウごと新名古屋港…この世界では那古野の港近くに転移して入港させ、積荷を比丘尼国や監獄国の係官に引き渡した後で修理にかかってもらいます。
なんせこの時代の木造船、海に濡れて膨らんだ木材の膨張まで見越して組まれていますので、木造船建造のノウハウを持った船大工がいじらないと、素人修理ではえらいことになるそうです。
幸いにも新那古野港は比丘尼国の外航貿易港指定が入っており、船員宿や色々揃っているので上陸しての羽根伸ばしはもちろん、造船所もあって船いじりも出来るから都合が良いと。衣浦には帰りに寄って荷物を引き取るか、マリ公行かせて転送で貨物引っ張ってこさせりゃいいか。
そして鳥羽行きです。船に乗り込んでいた鯖挟国の貿易担当者名目の中東支部派遣員、プルメリーヤさんに添乗してもらい、一路鳥羽を目指して飛びます。
と言ったって巡航出力にしてるのが10分に満たない飛行時間で、あっという間に二見浦上空。
「この縄がかかってる岩が夫婦岩。で、あそこに見えてるのが比丘尼国の伊勢支部内宮。おかみ様、うちの支部は今は比丘尼国伊勢支部外宮の隣でしたかな」
ついでに空から伊勢神宮、いやこの世界では比丘尼国支部見学。夫婦岩といい、昭和時代の修学旅行コースかよと思いますが、国家神道全盛期や江戸時代のお伊勢参りなんて、まさに流行の先端みたいな行事だった訳ですから修学旅行の行き先にもするわなぁ。
「そうそう。わしも、ほんまの姿の時はここが本宅やねん。わしの本体はここにおるけど、あそこにおるとどうも毎日が窮屈でなぁ。んで元伊勢にわしがおる形にしとるわけよ」だから遊び回ってんのか…。
「いや、本体もたまに外宮行ってお前らの支部使わしてもろとる。そら、いきぬきさしてもらわんと…」
「あのー、だいたいやってはること分かりますけどね、何でそっちの支部使わんのですか…」
「あかん言われるからに決まっとるやん。常連りすと作ってもろとるくらいには人気あるみたいやぞ」
…何してはりますのこの神様。ちなみに内宮支部、これまた以前語りました通り、うちらの世界の「神宮」同様に一般参拝客向けの構造になっておりません。
更に比丘尼国支部なら普通はうちらや聖院支部同様に、アレがあれでアレ出来るのですが、ここはおかみ様の話の通り、このおばはんの本宅です。
ただ、おかみ様の方で何かしないと、人間にはおかみ様本体の姿は絶対に見えませんけどね。
で、比丘尼国外宮支部と棟続きになっている聖院または痴女皇国支部がそういう需要を満たしておりま…あ、うちらで言うおかげ横丁、ここでは一種の色街ですね。
さて、日本人にはちょっと特別扱いしたい場所を眺めさせて頂いたあとは鳥羽に向かいます。と言ってもパールキング島の近辺、真珠貝の養殖用のいかだが海中のあちこちに存在しますから、スケアクロウを着水させる場所については誘導が欲しいところです。
で、鳥羽の街や、実際のパールキング島に行かれた人のために、痴女皇国世界でのこの界隈の事情の解説を入れておけと天の声の指示。へいへい。
…というわけで、聡い方は既にお手持ちの電子デバイスを使用してなんとか地図とかで鳥羽湾の辺りをご覧になっておられると思いますが、それを併用して頂けると話が面白くなるんじゃないかなとか言ってますので、可能な方はその辺を併用いただきたく。
まず、九鬼嘉隆さんの熊野のおうちですが、嘉隆さん自身はほぼ隠居していて鬼としての九鬼一族の発祥の地、さっきお邪魔してたお屋敷にお住まいです。
ですが、九鬼一族に任された領地のうち、伊勢志摩真珠国については、嘉隆さんの息子さんの守隆さんの統治下にあって水軍主力もこの鳥羽に置かれているそうです。
「ええ、あれが九鬼守隆様のお城の鳥羽城で、沖にある相島が真珠養殖の実験場所だったのです。今はそちら様のお助けもございまして成功を収めておりますが、やはり値の張るものですので、他とは筏の場所を区切っております。それに、私どもとて真珠だけで飢えは凌げませんので、他のものも獲らせて頂きませんと…」
ナディアフィールさんの話を聞いていますと、真珠養殖は真珠貝を養殖筏に定着させる必要があるため、貝が育つ適度な海流の存在する水域にイカダを置く必要があるのが判明しております。
そのため、パールキング島周辺のみならず、養殖に適した水域を周辺…幸いにも九鬼水軍が根城にしたほどリアス地形バキバキの志摩半島なので、つぶさに調べ上げ真珠貝養殖に適していそうな場所を探した結果、今でいう賢島辺りまでの志摩半島域で有望な場所にあって、かつ養殖事業に立候補した村が真珠を養殖して相島…つまりパールキング島に持ち込んで査定を受けて買い取ってもらう方式を採用しているそうです。
(はぁはぁ、なるほど。パールキング島がバーレーンのムハッラク島の役目を果たしとるんか)
(で、元来ならばパールキング島の卸市場に行って買い付けるそうですが、今回はナディアフィールさんの件とか色々あるし、真珠養殖で得ている利益や税収で九鬼家も助かっているそうなので、特別に厳選品を用意してくれているという話です。価格についてもあらかじめ話がついており、金でのお支払いが決定しています)と、貿易担当官のプルメリーヤさん。
正直、えっ、これでええんという値段ですが、実は九鬼家もスペイン王国の対アジア貿易について噛みたがっており、造船技術ノウハウを得た監獄国のメインユーザーとなるために今後は痴女皇国とも親しくお付き合いしたくてウズウズしている様子。
ちなみにおかみ様の事前承認を受けてないと、比丘尼国ではこういう事が許されないそうですが。
「かれーとかいうもんが食いたい。うちからも天竺まで貿易船出せるなら計らってくれ」はぁ、スパイス目当てですか。
…毎食毎食外宮でご馳走作って貰ってるのに贅沢なおばはんは置いといて、スケアクロウを降ろす段取りに移ります。いつかあの鯛の丸焼き、先に食うたるからな。
「アルトくん、悪いけどちょっとお父さんに繋いでコレ、どこに降ろさしてもろたらええか聞いてくれるか。買い付けの話は行ってる筈やから、真珠の積み込みに都合のええ場所を頼んでな」
雅美さんに言わせると、皮肉にも九鬼嘉隆終焉の地となった鳥羽沖の、界隈で一番でっけぇ島、ここの東側になるそうです、アルトくん実家の皆様の移住場所。
「了解でございます」
「え?そのようなことが…」
(ああ、ナディアさん。私たち痴女種という人種は鬼族とはまた違う力がありまして、こんな風に相手に直接語りかける事が出来るのですよ。今晩にもアルトくんが説明してくれますが、海賊退治のためにはこの痴女種という…そうですねぇ、天女や精霊の類になってもらう必要があるんですわ。おかみ様や旦那さんからその辺は聞いておられますかね)
「はぁ…ならないと聖院入りはできないとも…」
「はいはい、お父様が迎えに来ると。港の横の…今、上から見ておりますが、砂浜に乗り上げて構いませんね? 承知いたしました」
「了解了解。あそこの港のすぐ西の大きめの砂浜やな。白うち、頼むで」
「あーそうか、ここで産まれた子供さんらとか以外はスケアクロウ知ってるから驚きはせんわな」
そうです、移住作戦の際、当時はNB特殊部隊の運用でしたが、イラクからこのパールキング島まで、アルトくんの実家や縁者の方々数十名を乗せて送り届けているのがまさにこのスケアクロウだったりします。
なもんで当時を覚えている人は、この機体を見ても敵視はしないだろうと。
「水上着水用着陸灯点けてっと。VTOLモードON…タッチダウン」
「ほい上等上等。ようできました」
「やかましっあたしにばっかりやらしやがってっ」
「飛行時間稼ぐのにちょうどええやろ? あと本試験はNBでやるからな。頑張って経験積んでや。うひゃひゃひゃひゃ」
「えー、あんたが試験士官ちゃうんかいっ」
「あたしが自分で自分の試験通してどないすんねん…まぁ、行く暇ないんやったらアークロイヤルかハーミーズ来る時に試験資格士官添乗、自分で依頼しぃや。NB空軍でOK出すんやったらうちが試験官やったるさかいに」
「はいはい。とりあえずみんなでアルトくんちに行くか…」
で、港の付近にあるアルト家に。この街では従来、未成年男性のみを固めて暮らさせる独特な制度風習のある一族が統治していたそうですが、一種の改易めいた事をしてわざわざ一族の家を建てる場所を空けてくれたそうです。
そんな訳でおっきめの和風平屋なアルト実家屋敷に。
「おお、サレルフィールにナディアフィール、よく来てくれた。で…鯖挟国の方はどちらにいらっしゃいますかな」
当時よりはそれなりに老け込んだアルトのお父さんが出迎えてくれます。肌の色以外はなんか完璧に、こっちの生活に溶け込めてるようで何よりです。それにこの辺の人、基本的に日焼けしとるしな。
んで、広間に通されますと、なかなかに身なりの良さげで若侍な方が近従を数名従えてお待ちの様子。
「あら守隆様、何故にこのような場所に」ナディアちゃんが目を丸くしております。
「い、いや、そなたが戻ると聞いて…というか、真珠の買い付けに来られたというのでな。目利きと出納役を連れて出向けという話もござって。まぁ諸々あったであろうが、とりあえずは商談を済ませてからとしよう」
(九鬼嘉隆様実子にして比丘尼国伊勢鳥羽国主、九鬼水軍軍師の九鬼守隆様にございます)と、ナディアさんが心の中で念じて教えてくれます。
…はっはーん。これ、親子でナディアちゃん争奪戦があったな…。
(なーなー雅美さん、マリ公、アルト。これ絶対、守隆さん、ナディアさんにホの字やぞ…)
(えええええ、この人はこの人で妻子いてるわよ!)
(むーん。ナディアフィールだと少し若すぎませんか…この子に子供がいた時点で、わたくし正直仰天したのですが…)
(いや、この時代の日本だと、汎用人型決戦兵器に乗れるくらいで結婚とか不思議じゃないわよ…)
(ええ…実は最初にわたくしを見初められたのは守隆様なんですが、その…既に守隆様には奥様がいらっしゃいまして…で、九鬼家と当家の家長、つまり我が父を交えて話し合いに及んだのですよ。おかみ様の口利きもあってここに住んだ一族なのだし、領主のご一族様との血縁を結ばせて頂けるのは大変に好ましい事であると。ただ、側室扱いというのでちょっと揉めまして。ほら、サレルフィールお姉様の一件!…あれで側室とか妾とかいう言葉に敏感になっておりました私どもが事情を説明させて頂きましたところ、阿漕で魚でもとっておるような悪徳領主の振る舞いはともかくですねぇ、我が家の主張もごもっともという話になりまして、当時奥様に死に別れていた嘉隆様が引き受けて下さる形に。ええ。守隆様のお気持ちもわかるんですよ? わかるんですけど…ここら一帯のお武家様って、その…浮気とかしたら色々後でややこしい話になるじゃないですか!)
(ナディアフィール…商談しておられる間、我々に注意が向かれないと思いますから申しておきますけどね…もりたか様のちんぽを挿入するのが禁じられておるからといってですね、口や手で致してあげても後で揉める原因になりますよ…)
おいっアルトくんっ!ななっ何をバラしておるのですか!わははははは!
(なななななな何でお姉様がそれをっ…あ、そーか、わたくしの頭の中、丸見え…)
(ふっふっふっふっふっ、あなたが痴女になれば色々と解決しますよ? 例えばですねぇ、九鬼のおうちはぼうえきにも手を出したがっておられるのでしょう? で、そのはなしがまとまって、もりたか様が痴女宮なり聖院巨瀑宮なりに来られたら、あなたは大手を振ってもりたか様にご指名頂けるのですよ?本当ならあなたは聖院側となり、もりたか様との接点はなくなりますが、そこはそれ、てんそうという技術がありますのでなんとでもなります)
(ぬぬぬぬぬふうううううっ、その手がございましたか!さすがは我が姉様です! このナディアフィール、刀を交えるとかちじょの魔羅を味見するとか以前にたった今、我が姉に相応しき方であると感服つかまつりました!…で、お姉様…密かに相談がですねぇ…他の皆様も。確かに守隆様はそれなりの奥様を娶られておられますよ?ですが仮にも伊勢志摩を治め勇名轟く九鬼水軍の若い長がですね、奥様だけで満足なさるかと申しますとですね!)
(ナディアフィール。ほんねが漏れております。要はもりたか様、そなたのたいぷだと素直におっしゃいなさい)
(うががががががっ!たたた確かにそうではございますが…)
(あと心話の際はなるべく顔に出ぬように。わたくしや他の方々を見習いなさい。正直、痴女皇国や聖院の人間で、このてのすけべいばなしに心動かされず不動なものは、そっちから数えた方がはやいのです。つまり、みなさま、こういうすけべばなしを好みます。ですが、顔に出しておりませんでしょ?)
(ぬぬっ確かに、精進が足りませなんだ…で、相談ですが、痴女となります儀式にですね、大体何をすればそうなるかはおかみ様からお聞きしておりますけどね、当面、わたくしは守隆様とは離れ離れでしょう。その儀式に密かに守隆様もお呼び頂けないかと)
(ふむふむ。まぁ、あんましよろしくない話やけどなあ、嘉隆さんに知れたら)
(いや、かーさん、どうもあの人、守隆さんとの仲は知ってたみたいよ。まぁ、醜聞になれば守隆さんを処罰せねばならんが、わしの耳に聞こえなきゃいいわと。それと、やっぱり、九鬼家に嫁入りする際の経緯があるじゃん。ナディアさんの扱いについて。結果的に守隆さんからナディアさん取り上げたような事になってるから、せめてという感じで今回の真珠売買で守隆さん行かせたの、嘉隆さんみたいなのね)
(なるほど、あとはバレないように…)
(その件に関しても提案がございます。実はこの島の更に沖、監獄国のあつみ半島との間に神島という島がございまして、鳥羽八丈の異名で領民には知られております。正直、国内の流刑に使っております。今は確か流刑者、いないはずなんですよね。島内に神社はございますが、神事の時以外は水の便が悪いために通いでございます。数世帯の漁民はおりますが、その神社の界隈は無人にも同じ。確かあそこ、おかみ様の所轄では)
(あー、八代社か。うん。あそこが鯛の磯を所轄しとるんよ。あの辺の鯛、外宮でわしの本体が食ってる奴な)
よっしゃええこと聞いた。あそこで獲ったらええんやな。
(こら婢女。お前もふじんの体やのに何でそないに食い意地張り倒しとんねん。まぁ、今度お前の分も用意さしたるから今は我慢しとけ)
(へいへい。で、その神社のある島なら人目につかんと)
(左様でございます。更にわたくしにも土地勘が。ふふふふふ。あ、金平丸は実家に預けとけばいいか)
(なんか、最初の印象と違って、アルトくんの妹だなぁという気がっ)
(そうね、かーさん。これはある意味逸材よ。うちに来てもみんなと仲良くやってくれる可能性があるわっ)
(で、マリアちゃんにジーナちゃん。あのさー。その島さー。別にそれしに行くのに問題がある訳じゃないんだけどさー、ちょっと有名な島なの知ってるかな?この時代なら絶対関係ないんだけどさー)
(なんすか雅美さん。入島したらおめこしないと出れないとか、全員頃さないと出れないとか、吸血鬼が出て来て丸太で戦うハメになるとか)
(いや、そうじゃないのよ。えーっとね、この話のシリーズではホモでマッチョで思想がハードスターボードな人扱いで、ついでにあたしとたのちゃんの先輩な作家のおぢさんいるでしょ。金閣寺を柱一本残さず全焼させないと火災保険金が下りない話を書いた人)
(なんか雅美さんの念に、どちらかというと誇れない先輩を紹介せざるを得ない恨みの念を感じるんだけど)
(あのおっさん、ホモの癖にエロシーンに凝るのよね…おまけに教科書にたびたび載るくらい文才だけはあるからタチが悪いのよ、有名な文豪なのになぜか、例のやおい系文豪美青年化作品には出ないし…まぁそれはいいとして、あのおぢさんの出世作の一つで、何度も映画化されてるのあるでしょ。海女さんが出てくるやつ)
(…はい!はい!あれな!国民的歌手がヒロイン役のアレな!)
(ああ…あ、あの島のモデル?)
(そうよ。あの島ならシチュエーションとしては最高じゃない!若殿様と禁断の恋を結ぶのよ!燃えるわ!これは薄い本を描くネタになるわよ!)
…ああ、そっちの方向で噴き上がれるネタ満載の島なんすね…。
------------------------------------------
ジーナ「しかしあの島がそういう由来の島だったとは…」
なであ「そうなのです。一応流刑地なんで罪人監視の役人もいてることはいてるのですけどね」
アルト「つまり、あのしまについては知っている人もけっこうおられるのですね」
まさみ「なんせ、緑の中を走り抜けていく真っ赤な車と歌った人が主演女優をやった時のがね…」
なであ「まぁ、わたくしも痴女になる事に一切の異存はないんですよ。ないんですが…金平丸の事だけは気がかりで」
まさみ「心配ご無用。目下痴女皇国で、未成年児童を預かる福祉施設を立ち上げる計画があります。そこに預けて頂ければ立派なショタ竿師…げふんげふん、立派な少年に育ててみせます!」
白マリ「なにかさー、雅美さんが言うと不純な動機でしか聞こえないんだけど、福祉っていう言葉」
まさみ「真顔でなんてこと言うのマリアちゃん!あたしは恵まれない子供を救いたいだけよ!」
黒マリ「では少女が入所した場合なんだがどうすんのさ。んー、乳上、雅美さんの代わりに回答希望」
アル子「決まっております。女官としてお客が取れる年齢と体型まで促成栽培成長」
白マリ「それが福祉なのかーっ!」
黒マリ「いや、幹部の子供ならともかく、一般預かりの子供なら、ある程度は教育受けさせてからにしようぜ…いくらなんでも数年は預かってから人生選ばせてやろうや…」
まさみ(マリアちゃんの気遣いが身に沁みるの…絶対、あたしがこれ言うと顰蹙買いまくってたわ…)
黒マリ「ちなみにどういう計画なのかはまだ未定だが、未成年の精気で食費を浮かせるという、ある意味鬼のような思いつきを得た幹部が強力に推進したがっているんだよな…」
白マリ「しかもその幹部は決してショタ趣味でもなければ、毎日ちんぽが欲しい訳でもない、いわば純粋に公務としての経費削減のための着想で、未成年の精気を痴女の食料にしようと画策してるから余計にタチが悪いのよ…」
黒マリ「どんな話かは↓を読んでくれ。ちなみにカリブ海賊退治と同時進行してるんだよこれ…」
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/38/
まさみ「あとね、その幹部に言うともーのーすごーく嫌がる話があります」
白マリ「なんでしょ」
黒マリ「まさか…あのさぁ雅美さん、本編で出てたホモマッチョのおじさんに関わるのかな?(汗だらだら)」
まさみ「そのまさか。あのおじさん、あの文才なんで頭はすごくいいと思います。あたしや、件の幹部が卒業した学校の法学部卒だし」
ジーナ「凄いやないの」
あると「ほもでもあたまはよかったのですね」
まさみ「問題はその頭脳なのよ…それだけ頭が良かったら司法の世界を目指すべきだったってあたしは思うのよ」
ジーナ「まーさーかー…そーいや、たの…ごほごほ、その幹部が以前言ってたな…所属官庁でも単に国家1種に受かるだけでも大変なのだが、真の出世コースに乗るには、更に学部閥が云々…」
白マリ「まさか…まさか…」
黒マリ「確かどこかで、その話になった記憶があるぞ…あの時も凄く嫌そうな顔だった…」
まさみ「うん。くだんの作家、当時の大蔵省に入省してます。今、そこがどういう名前かは敢えて言いません!」
ジーナ「…つまりだね、雅美さん…その子の先輩は職場でも先輩で、そしてああいう話を書く人でだね…」
白マリ「しかも…ホモ…」
黒マリ「それもやおい穴系とかそんな美化品じゃなくマッチョなガチホモ…」
みんな「触れないであげよう…なるべく触れないであげよう…」
まさみ「うん。高校の先輩が某おばはん系漫画家にホモとバラされてた医者の息子で都の西北に行った人くらい、あたしとその子には触れて欲しくないことなの!」
みんな(バラしてはりますがな…)
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