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アルトリーネの鬼退治・閑話休題お金の話編

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「とりあえずマレーシアとシンガポールとタイとビルマバングラディシュと…えいめんどくさい。マジェスティック・キャンセラーバラージアクティブモードじゃ」

「ああっかー様が凶暴化している!」

「仕方なかろー。シンガポールにもマレーシアにも鬼の手引きしとるのがおったやろ。ついでにブータンとチベットも。えい」ばしばしと隣のカリバーン…今はMIDI06でしたね…から、青い光が飛んでいます。

「ふっふっふっ、これで鬼の量産は困難じゃ。あ、マリ公、カトマンズのロメルレーニャに連絡ついてる?」

(へいへい。とりあえず鬼化阻止細胞増殖剤送っといた。向こうの水源へ撒いてくれるよう指示してる)

「よーしよーしよーしよーし。あとは約4時間でダージリンや。エマ子、連中の砦とやらの位置は把握しておろうな」

「へい母様。邪魔する奴は指先一つでダウンでございます」左右のへいそう席にエマ子さんの分体がいますが、さっき何を使えるかどうか確認しておられましたね。

「まぁ、コンフォーマルポッドの中身はテリブル以外使いたくないんやけど…あいつらが砦に隠れているのなら好都合やな。あの辺先に爆撃しとくか。エマ子、テリブルロングの射程までMIDI動かしてショートカットできるか。多分バングラディシュ北東側に飛ばされると思う」

「了解ー。行きましゅー」ぱ、と操縦室が光に包まれたかと思うと。まぁ、あまり変わりませんよね、今は明ける前の夜ですし…。

「痴女皇国からは時差4時間。いまの移動で2時間分くらい稼いでるからまだ4時前じゃ。エマ子。航法関係数値を補正後、速やかに所定地域に対して地上攻撃を開始。いてこましたれ」

「了解。HHMM-06LChレディ。フューズアクティブ確認。うちーかたーはじーめー」

「うちーかたーはじーめー」明け方の空からまだ暗い方を目指して、何本も花火みたいなのが飛んで行きます。

「この変な発音は何ですの」

「ああベラ子。これは日本の海上自衛軍の言い回しや。その昔、まだ海上自営業と言われていた時代、撃つなと言われてるのにアスロックという潜水艦をしばく弾を撃った故事にちなんで広まったらしい。ちなみに陸上自衛軍は撃ち方始めと普通に言うよ」ふんふんと頷くベラ子様。

「兄様も言っておられましたが、騎馬の戦いではなく鉄砲…ですか。あれの普及でも世の中が変わるんですよねぇ」

(痴女皇国世界ではあれは普及させる気はねーな…あれが出回ると色々厄介なんだわ。特に今から行くインド北部やネパールなどがもめた理由でもあるんだ。しかも…かーさん知ってるだろ?)

「皮肉にも、主にイギリスが撒き散らしたんよ…鉄砲…」

(ベラ子。これはワーズワース卿や息子さん…クリス父様や他のNB関係者にはあまり言うなよ。今回の天竺戦と支那…連邦世界の中原大陸の昔の言い方だが、またしても世界の紛争の火種を辿ると行き着く先の5割問題に触れてしまうんだ…)

「読者の皆さんも、今回はNBがガンガン噛んでない件を不思議に思ったかも知れませんが、インドを下手に触ると彼等の心の地雷に触雷するのですわ…。で、今回の件で弱ったインドに近代化や文明文化を導入して、もう少しややこしくない国にして紅茶取引をしてもらう国絶賛募集中」

(結局はイギリスになりそうなのだが)

「いんどという国はどういう国なのでしょうか」

「アルトの質問になるべく簡単に答えると、連邦社会ではかなり後までややこしい身分制度を敷いていて、欧州やアラブ以上に下賤の民が下克上をしようにも出来なかったんよ。宗教の戒律がややこしくてね」

「ぱんちのおぢさんのしゅうきょうですか」

「あれは皮肉にも流行らなかってな…というか、流行りかけたが廃れた」

(うちらの近所のキノコの島あるだろアルト。あそこにも根付いてて頭痛のタネなんだけどよ、まぁ元々はMIDIを使ううちらみたいな司祭という偉いさんを崇めるならわしだったんだ。だがパンチのおっさんが民衆も修行すれば司祭…バラモンや神様の領域に近づき欲に悩まされ病気や死に怯えて暮らさなくてもいいよとか言い出した。乱暴な説明だがこれで行くぜ)

「まぁだいたい合っとるな」

(で、バラモンはインド各地の神様やら何やらを調べたり、パンチのおっさんの説いた言い分を勉強してヒンドゥー教という宗教に自分たちをアップデートしたわけよ。帰ってから雅美さんに聞いたらもう少し詳しく解説してくれるだろうが、問題はこのヒンズー教だ。その戒律で、比丘尼国でなく連邦世界の歴史での士農工商穢多非人制度に極めて近い身分制度を取り入れたんだ)

「誰がいちばんえらいのでしゅか」

(まず司祭。神様の言葉を聞いたり神の教えを説く立場。日本で言うと千代田区の兼業農家の御一家様と関係する神社本庁絡みの皆様。で、次に大戦士や王様。これは教皇になる前のるっきーのお兄さんや、串刺しのおっさんとか例のクソウザ帝国系の血縁婚姻外交大好き皇帝一家とかが広く含まれる。うちで言うとるっきー、ベラ子、マリー、乳上、クレーニャ辺りがこれだ)

「なるほど。ちちうえのちちが巨大だとか、マリーがえらそうなのはこの辺があると」

(乳上の乳はまぁ置いとこう。あれは人生に疲れた時に揉ませて貰うもので、あいつの最強装備だから身分制度には関係ない。で、次に平民階級がくる。実はあたしやかーさんは厳密にはここなんだわ。NBも近いんだが、連邦社会では平民が軍人や政治家になったり宗教を極めてえらくなるのは不可能じゃないが、ヒンズーでは平民が将軍にはなれない建前なんだよ。あたしもクレーゼ母様の血筋からだといちばん偉いんだが、ジーナ母様とクリス父様基準で行くと平民か軍人階級のどちらか。そして…融通が効かないのよ…)

「マリ公の話を引き継ぐと、アルトくんはインドだとこの平民なのよ。そして連中の言い分をまともに聞くとやな、平民が将軍になるとか聖女の旦那だとか、あげく聖母様とおめこする仲とは何たることかという話になるねん」

(更に問題がややこしくなる子がうちにいるぜ。ダリアだよ。あれ、インドだと奴隷階級か、下手したら賎民扱いだぜ…それが将軍に次ぐ地位を得ていて一軍を率いるわ、神官の長や、一応は名家のお姫様…一応はな!と結婚とか、奴ら基準で見たら何さらしとんねんと白い目で見られかねないのが聖院や痴女皇国の実態なのよ…)

マリーを見てると確かに、お姫様らしくはあるんですが…その、すぐ剣を抜いたりちんぽを出す血の気の多さ、かつてのダリア以上なんですよね…。

「更に、聖院は金衣銀衣の父親不問。そして貧しい者から子種提供者を選ぶ風潮すらあった。やろ?マリ公」

(んだ。だからインドに限らないんだけど、身分制度が厳密な連中とは基本、仲が悪いところからスタートラインなんだよなぁ…外交)

「なんでまたそんなややこしい決まりを」

(簡単。まず、昔から人が多かった。そして人が多い理由なんだけどさ…)

「あああああああ」はい、アルトリーゼわかりました。

「そゆこと。ベラ子も…みんなもわかるよな?やる事したら子供出来るやろ? そして異なる身分の人間がやる事やって子供を作ると後でもめるのや…特にベラ子。後でるっきーに当時の話を聞きなさい。お兄さんもあの子も大変は大変だったのよ…」ああ、愛人さんに産ませた件ですね。

「なるほど。で、秩序を保つために異なる身分のお付き合い禁止と。うちの叔父とは根本的に相入れませんね…チェーザレ叔父様は優れた考えならば積極的に取り入れようとしますから」

(むろん、あたしらとも相入れん。更に言うと大工の息子が救世主な連邦世界の…これはNBも英国国教会と関係しているから該当するが、エイメーンないえめん宗教ともあまり整合性がないんだよ。イギリスがインドでグルカ兵を積極的に使った理由が、この身分制度や食習慣の戒律に影響されない人種だからってのもあったんだ。身分の違う奴が作った飯は食えないか、高い身分の人の食事を作る役の人間が作らないとダメとか色々決まりがあってな。しかも地方地方で細かいルールがある。麻雀のご当地ルールかよ)

「うしもだめなんですよね、たべたら」

(アルトは豚さん食べてたろ。あれな…連邦世界のアルトの故郷だと食べたらダメなんだよ。アッラーアクバルな宗教の教えがあって、インドとは違う意味でややこしい。あ、るっきーは似たの知ってるかもな。ユダヤも食事は面倒なんだわ…)

「うちらの時代、流石にイスラエル出身者は国外だと戒律を厳しく守らなくてもいいとはなっていたけどさ」

(ま、だから本当は玄奘に暴れるだけ暴れさせて一度リセットする方法もあったんだけど…あいつらはあいつらで、凶暴化してるから絶対確実に周辺を侵略する。しかも人間牧場を作って餌として繁殖させることまで考えてりゃなぁ…あ、外道ちゃん、そこで寝てる羅刹のおばはんの好物、子供で間違いないのかな)

(ええ…わざと言わへんようにしてたんですけどね…言うたら絶対みんな怒りますやろ?)

「うげ。西遊記の通りかいな…」

(こいつなら、あんたらも子牛や子羊の肉をありがたがるだろ、何が違うくらいは言い出すだろうが、日本人なら論破は簡単よ。な、かーさん)

「んだ。まずいえめん宗教でも近い風習はあるが、自然の恵みに感謝しつつ命を頂きますすみません、とりあえず他の生き物食べてごめんなさいと謝ってから食べる習慣はある。更に、やむを得ず命を奪いましたすんまへんと供養…ごめんねちゃんと生まれ変わってねと謝罪をする習慣がある。少なくとも食べて当然という思い上がりはない。まともな家の育ちならな」

(じゃあ謝ったら食っていいのか、という場合だが、これも割と簡単に解決する。ちんぽが必要だが、仮にあんたを今から孕ませて一年後に産まれた子供を謝って食われたらどういう気分よと聞いてみればいいだろ。だから人間は多産な草食動物で食用に適した品種に改良してなるべくうまいもん食べさせて、せめてものお詫びをしてるんだよ。お前らそれやってんのか、食われて当然とばかりに恐怖を植え付け絶望感を与えながら食べてなかったのかよと)

「ちなクリス談話。鹿やウサギ、油断してる隙を狙って撃たないと肉が硬くなるのだそうだ。彼は一応狩猟がたしなみの国の人間でな、増えすぎて畑を荒らすイノシシや鹿の密猟を演習林近辺の地主や農家や地元農協にこっそり頼まれていて、連邦社会の法律で罰しづらい立場を利用してボタン肉や鹿肉を以下略。おかげで某大学生化研の大型冷蔵庫は一時期肉屋のミートストッカーみたいになってて、昼飯にムースステーキやら何やらを皆で拵えて、ここはフランス料理の教室なのか状態。ついでに学生が精力みなぎり始末に困るという裏話があったりすんねん、これが」

(あー、だから領事館の食堂やかーさんちの晩飯によく鹿の以下略…冬場にボタン鍋が以下略…)

「なお、撃ったら速攻でワタ抜いてとにかく水に浸けて冷却。血抜きは後でも良いからひたすら冷やせと」

(鮮度維持と味のためにまず冷やすのよ…よく、血抜きを優先してる場合があるが、この手順を間違うと野生動物特有の臭みが残るから注意な)

「まー、クリスとあたしがTAPPSで演習林に出かけていた日の数日後には鹿肉が食卓にとか、何故か毛皮に銃弾ではなくレーザーの着弾痕がとか、領事館のバラ園の中に何故か地蔵堂が建ってて、可能な限りあたしが毎朝お線香上げて南無阿弥陀仏してるとか色々あったけどな!」滝のようなあせをかかれているせっしょうなおばちゃんいちめい。

「だってアルトくん、新鮮なお肉が事実上タダで手に入るのだよ? 更に冷蔵品冷凍品がなぜか那覇基地の将官食堂厨房や、果てはNBの首相官邸まで配達されていた話もあってね、はっはっはっ」

(聖院の厨房にも送られて来てた時期、あったんだよな…あと、なぜかTAPPSの飛行経路に能勢や篠山口あたりが記録されていて、かーさんの口座の数字が微妙に増えてるとかよ)

「すけべいなおもちゃを基地でうりさばいていたはなしはききましたが。おにくやさんまでしていたのですか」

「新鮮さが評判でな!当時は予備役だったし!」

(なぁベラ子。かーさんは昔、貧乏を恐れる余りに副業に邁進してでも金を稼ぐ癖が身についていてな…痴女島でカカオやコーヒー豆やゴムやバナナを作りたがってて、お前にトラクターなら買うとか言ってんのも、この貧乏癖のせいなんだよ…)

「理解しております。ルクレツィア母様と密かにエトナ火山やベスビオ火山の麓で養鶏産業を興し、温泉卵とやらの販売を企てております件も。で、温泉卵とやらは売れるのでしょうか?」

(だから文明開花を考えてんだよ。あたしが止めてなきゃ鉄道どころかディレッティシマ…高速列車線やアウトストラーダをローマとナポリの間に作らせかねないからな、このおばはん。で、登山電車も作る気満々だ。そりゃあたしはおろか、ご先祖様家族会で怒られもするぜ…)

「ベラ子。こないだ行った日本の北海道あるやろ。あそこの温泉地で、のちに国が公園として指定した場所があるが、地元の小さな組織のマフィアが勝手に入り込んで20年ばかり温泉卵を売っていて捕まった事件があったんや」

「ふむふむ」

「毎年毎年、乱暴ルギーニが買えるくらい売れたらしい」

「母様…登山客からの利益回収や、道路や道の費用回収を別にして考えてみますね。…可能ならやりましょう!」

「ああっベラ子までが銭ゲバ思考に!」

(母親のあんたに似たんだよ!ゼニの花は咲かせてなんぼとか、あたしにも昔から言ってただろ!)

「やかましっNBからの購入品や船舶リース料金とか、連邦社会への支出もあるんやぞ!ゼニは握って損はないのや!」

(かーさん。両替処の会計資料ちゃんと見てるのかよ…テンプレス2隻のリース料金な…複雑でめんどくさい話だから別に解説を書くとは思うけどな…あたしらの給料で相殺されてるぞ…)

「え。何それ」

(白マリも経緯知ってるよ…対象はクリス父様と言わず、NB国民籍持ちの聖院または痴女皇国幹部だ。だからかーさん、あんたも痴女皇国または聖院への出向行政顧問扱いだ…で、NBから納税通知の一枚でも送られて来た事あるか?ねぇだろ。実はテンプレスな、クロスのおっさんが資源調達して来てるし、建造のほとんどはMIDIシステム運用範囲としてどっかの空間で3Dプリンターよろしく造ったから初期費用はほぼロハだ。だが運用経費は発生するし消費武装の費用問題とかあるだろ。だからあたしらやかーさんがこちらに派遣されたNB国民って形にして、あたしら分の税金含めてNB国立銀行内で相殺して現金の出入りがないようにしてもらってんだよ)

「えーっ…あたし初耳…」

(テンプレス2世建造後に話が出たんだわ。やはり通貨制度がないのも問題だし、国として今後やっていくなら経済制度もちゃんとしろと。で、痴女化受け入れプログラムの研修費用とか諸々についても痴女皇国との現金流通が不要なように相殺処理されてんだよ。かーさん気前よくテリブルぶっ放したり、スケアクロウ飛ばしてるけど会計処理はちゃんとかかってるからな)

「スケアクロウ11号機、つまりこれが無期限リース品なのは聞いていたけどさ」

(会計関係ちゃんと見といてくれよ…あたしと白マリがきっちり話してなかったら、知らずにNBに兆単位の借金こしらえてたところだったんだからよ…ワーズワースのお祖父様も実はガチにこれに気づいてなくて泡食って、NB財務大臣呼んで対策会議やってさ、あたしらも参加してとりあえずこれで何とか実収支ごまかそーぜって話でまとめたのよ。相手がうちらじゃなかったら完璧にカタにハメられてたけど、向こうも流石にうちら相手にこれやると困るから何とか利益出るようにすんのに苦労したんだよ?)

(そーよねー、NBとの聖院派遣プログラムで人件費や研修費目を使う荒技があったから切り抜けられたようなもんなのよ?)

「日本政府やイタリアへの艦船リースで利益は出てるとは聞いたが…いや、これは痴女皇国関係ないか」

(あと聖環が連邦社会へ対応してるだろ。これ内部的にNBポンドと英国ポンドで処理されてるからな。あ、ベラ子とるっきーはイタリアリラ処理だから。連邦ドル決済だと話がややこしくなるから、自国通貨で融通を効かしてくれてる国の処理でやってるから。だから、聖院のかーさんはともかく、あんたはNBで一旦死亡はしてるが痴女皇国民として再登録して、聖母歳費をNBポンド変換してるからな…エマ子。両替処の地下の金庫やデータセンター化の改築計画書も増築時にちゃんとかーさんに回したよな?)

「はっはいっ添付書類つけたの確認してますっ」

「このお金の話ひとつ取っても、マリアねーさんを叩き起こして正解だったと思います…」

(あ、かーさん。対策はあるぞ。田野瀬麻里子さんって人わかるか…まりあの記憶参照してくれ。読者の方は「こんにちわ、マリア」を読んでもらうとして、だ。…実はたの、志望大学を出て財務省入りしてるんだが、この話を白マリとしてる時に、どーせあたし今新人研修課程で税務署送りだし、この先もキャリア任官コースで上の方行けるか見通し不明だって話してると理恵ちゃんが言い出してな)

「ほうほう」

(ベラ子には初耳な子だけど、連邦世界の高木まりあの高校で聖院研究部のメンバーだった女の子だ。だからこちらの世界には詳しいし、聖院や痴女皇国の現状も実態も理解してる。で、たのの方からNBの痴女皇国派遣プログラムに立候補してくれた。もっとも、勤務先に財務省のえらいさんが飛んできてややこしい話になったらしいが、若様がナシつけてくれて「英国HM大蔵省出向」扱いにされている模様。場合によっちゃ痴女皇国の財務に日本政府が食い込めるからな…とにかく、たのならしのごの言わずに研修すっ飛ばせるし即戦力に近いと、りええが保証してくれてるから、近々痴女皇国に来るわ。現時点では既に聖院入りしてマイレーネさんの采配で両替処シフト入りしてる)

「…あ…あそこだけは専属シフト組まれるんよな…」

(年単位で入れ替えはあるが、寮の部屋は必ず両替処組同士にされる。食事時間や他の生活は他部署女官と切り離しを徹底されるし、接客もないな)

「あ、あたくしも両替処はお仕事した記憶「だけ」はあるんですが…」

(あそこの詳細は記憶処理がかかるんだよ。共有知識制限対象なんだ。プラウファーネさんちの地下以上に厳しい情報管制敷いてる場所だからな。クレーゼ母様も、ついぞよく知ってそうな話をしなかっただろ?痴女皇国でも本来の担当のはずのオリューレですら、両替処に行かせてる女官名以外の詳細を知らないはずだぜ)

「そーいや、あたしも意識して両替処を認識した事はないな…聖環電子化の際に窓口を客用下足処に一体化する云々は見た覚えがあるが」

「あたしもしっかり認識した記憶ないっすねー。あそこ、そんなにブラックボックス化してるんですか…」

(NBの国立銀行とデータリンク繋がってんだよ。だからクロスのおっさん…エオンの専管専決事項だ。エマ子にはおいおい情報公開されるが、今度はお前さんから下にうかうか情報下ろせなくなるからな?あそこ絡みの話だけは注意してくれよ…)

「あぃ…」

(とりあえず田野瀬さん、なるべく早く痴女皇国に来て貰えるように手配するわ。だからさっさと玄奘しばいて来てくれ)

「いやー焦る話だったわ…」

「出来れば今、聞きたくなかった話ですよね…」

「うむ、このやり場のない苛立ちは玄奘にぶつけるとしよう。ベラ子、今、機体は降下に入ってるやろ。もう少ししたらオートパイロット解除キューが出るから、今回はあたしが降下処理やるわ。あんな話聞かされたら、あんたには気分転換に暴れてもらおうと思う。アルト。ベラ子と一緒に地下の鬼しばきを頼むぞ。マリ公ー。すまんが後ろの三名に陸戦装備頼むー」

(へいへい。この被服チェンジも0円じゃないんだぞ…1回あたま何銭とか何厘何分単位だけどよ…)

「うう、娘が銭の話でいじめる…一体誰に似たのだろう…」

全員がジーナ様をじろーっとにらんでいますね。

…ええ。マリア様って、黒も白も、何だかんだ言って、母親似だと思いますよ!

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ジーナ「うう、まさかそんな事になっていようとは…」
黒マリ「いや、本当にあたしも気付いた時、危うくお祖父様に怒鳴り込みしてしまいかけたんだよ」
白マリ「カタハメするつもりかーっ!ってあたしにも心話飛ばして来るしさぁ」
ジーナ「しかしそんなでかい話をまた何であたしに言わんかった」
黒マリ「緘口令が敷かれた。発議あたし。おかんに言うたら絶対ギャアギャア騒ぐ。気付くまで黙っとこう」
白マリ「全く同意見。ちなみにこの件でジーナ母様を蚊帳の外にするのは流石にワーズワースお祖父様もまずいとは思っていたけどさ、うちの方の母様の一言「あいつには黙っとこう。気づいた時に大騒ぎさせた方が絶対に肝を冷やす。実害がないなら、そのほうが薬になるから」で全員納得しましたけど!ほほほっ」
黒マリ「これに懲りたら両替処発議の文書とかちゃんと目を通してくれよ…」
ジーナ「ううううう(涙目)」
白マリ「あと、両替処勤務が目立たない理由。敢えて千人卒未満の上に一般女官や騎士とは勤務シフトが違うのよ。具体的には8時30分~17時30分と17時~26時、そして01時30分~9時。前後30分は引き継ぎのために被らせてるのね。夜間もちんぽを漲らせた参詣客が来るから24時間開けてます」
黒マリ「ちんぽは不要ということで、基本的には通常の人間と同じ食生活を継続しているんだよなぁ」
白マリ「ちなみに聖院でも改築後は更に目立たなくなるから。痴女宮が既にそれだけど、女官寮管理室から地下を伝って下足処や両替処事務所に行くルートがあるのよ。両替処専用出勤確認タッチパネルも設置済み」
黒マリ「まぁ、今後はたのが入るから両替処から名前が変わる可能性がある。あと、たのは千人卒以上に上がるかは不明だが、上がったらイタリア海軍のラウラ艦長と同じ扱いになるだろう」
白マリ「上級女官室か21階に部屋が貰える可能性。または、女官寮内に財務と設備要員専用のフロアとか作るかになるわね」
たのの「それとね、制服…あたし、痴女服似合わないから…身長の割に地味子だし…」
黒マリ「考慮するので、どんな服装で出てくるかはお楽しみだな(ニヤリ)」

2021.7.9
たのの「なんかえらい事になってるんですね」
黒マリ「というわけで、マイレーネさん他から事情を解説する話が入った。R18でもないので、「こんにちわ、マリア」枠で投稿したそうだ。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/31/
たのの「あたしの悩ましい悩みも読めるかも知れませんので、是非どうぞ」
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