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聖院の性院な日常、その6
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アルトリーネでございます。
向こう様の文明を知ると、しゃんぷーとかりんすとかえきたいせっけんとか、せんざいとか本当に欲しくなる時があります。
ジーナ様に言わせると「環境汚染の問題があるからそっちに広めたくない物ナンバーワン」らしいのですが、欲しいものは欲しいのです。ええ、そちらのおふねが来たら最後、絶対にお風呂を借りに行こうと心に誓いました。
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皆様。
お部屋のお掃除はしておられますか。
あまり汚いと普通は虫が湧きますよ。
暑い場所にある、わたくしどもの聖院ではそちら以上に色々と気遣う場所ですけどね。
我が聖院は、せきどうちたいのねったいうりんどまんなかにあるそうです。
まんまるな玉に棒をぶっすり挿してくるくる回します。その棒と直角の位置にあるところに筆なりペンなりを置いて回すと引ける線、これが赤道だそうです。
このあたりにある土地は基本的にもんんのすごく暑いそうです。
雨がざんざか降るかからっからに乾くか、どっちかしかないそうです。
で、我が聖院の所在する聖院領は、南洋王国と申します国の領土に間借りしております。
そう、この南洋王国、ジーナ様のご説明ですと「だいたいうちらの地球のインドネシアが領土の海洋国家で、聖院領はカリマンタン島をもうちょっと赤道寄りに押し上げた感じの辺りの南側の一帯。ただ、純粋にうちらの地球と瓜二つクリソツな地形やないから注意な」だそうです。
ですので、夏暑く冬暑いと。ねんかんへいきんきおん30~34度、年間降水量4,000mmと言うと、こっちの地球の奴は、よほどのアホやなかったら、まず絶対確実にこの数字だけで、そっちに着て行く服を決められるとのお話ですが、わたくしども聖院領がどんな場所にあるか、想像頂けましたでしょうか。
そして、時は少し遡ります。
あたくしの上級女官騎士就任式当日、たった一人でクレーゼ様から直接、上級女官としての出家名を賜り、預けられていた昔の上級女官騎士最強との名誉を欲しいままにした女騎士様からの授かり物の剣を長短一振りずつ授けて頂いた日です。
ええ、クレーゼ様のクレーゼ様を舐めさせられ、顔に小便ぶっかけられた日です。それも、あたくしにあてがわれる個室で。まっさらの机に座り、その前の椅子に腰掛けたあたくしに。
で、諸々あった後、当然のごとくお掃除の罰が言い渡されました。
ですが、あたくし一人で掃除してる訳ではありません。
目の前でベテラン文官女官のマイレーネという、この上級女官用個室区画を管理しているという方が見張っておられます。新人歓迎式に主催が来ないで一体何やっとんじゃいと痺れを切らせたアレーゼ様が、クレーゼ様を覗いたところ、新規昇格者を1名捕まえてせくはらぱわはらに励む酔っ払いを発見されまして。
で、問答無用でマイレーネ様に心話で連絡を取り様子を見て来てくれと依頼されたそうです。
そしてマイレーネ様がモップやらバケツやら雑巾やらを持って来て、例え相手がクレーゼ様であろうともこの場の清掃を終わらせぬ限り、大会堂への登壇どころかこの部屋から出さぬと宣言なさいまして。
後で他の女官からマイレーネ様についてお聞きしたところ、下院の下級女官寮や修学宮の学生寮を含めた、聖院の食事や寝室や全体の清掃を管理する部門の長を先先代金衣様の時から務めておられる方だそうです。
上級ではあるものの、能力が低いというか、ご自身の寿命延命に特化した特殊な方だそうでして。
…で、この方が何故に全女官に恐れられているか。
女官だけでなく、事によるとアレーゼ様すら頭が上がらぬ時もある理由なのですが、このマイレーネ様を怒らせると個室を取り上げられるだけでなく、ご飯抜きにされるそうです。
具体的には、日頃わたくしたちが腕にはめている聖環なる腕輪に強制的な制限をかけてしまえるのだそうです。そうなると部屋の鍵を開けられなくなるとか、食堂に行っても支払いが不可能になる仕打ちになると。
(この制限を外して元通りにするには、マイレーネ様・アレーゼ様・クレーゼ様のうち「二人」が揃わないと解除が出来ないのだそうです)
で、そんな事はウソだろうと豪語放言して、大胆不敵にもその場で何がしかの悪事を企んだ上級女官がいらっしゃったそうです。そして、何を致したのかはともかく、2日間個室立ち入り禁止で食事も自分で何とかしてこいという罰を実際に受けたと。ええ、聖院の記録にもきっちり書かれてました。
そして、件の懲罰を受けた上級女官は、今、わたくしの前で床をモップで拭いておられます。
名前を、クレーゼ・アクエリアス様と申されます。
で、クレーゼ様は1日目は聖院の片隅で物乞いをして空腹に耐えようとなさったそうですがね。その日の晩に辛抱たまらず聖院本宮の賽銭箱を開けようとして失敗、仕方がないので、聖院のすぐ側なんですが、南洋王国領側にある色街に行って流しの娼婦と偽って偽の鑑札を見せて雇われ、速攻で一晩のベッドと食事を得ていたそうです。
…えっとですね、その時のクレーゼ様の役位、金衣女聖です。
つまり今と同じ、この聖院の頂点です。聖女様です。
その聖女様が、己が長たる施設で寝床出禁と自分で飯作れの刑に処された公式記録が残っています。
あたくし、この時点で聖院本宮にご厄介になってから10年近くは経過してたと思いますよ。
…で、話を戻して、二人で泣きながらお掃除に至るまでの事です。
あたくし、流石に今回ばかりは切れました。
といっても、みんかんきぎょうならしゃっちょさんに逆らうような行為だそうです。後でジーナ様に、賜ったリトルクロウと言う刀を見せながらその話をしたらですね。
「ああ、それは痴女も悪い。めっちゃくちゃ悪い。尿を媒介にしてアルトくんに力を授けるにしても、ちゃんと説明してからやれ。あと昼間から酒飲んでうろつくな。うちらでも昔は朝から酒飲んで道端で寝てられる場所があったが、叡智の光で焼き尽くされて一世紀以上経過しとるから今は上品なもんや。つまり、あの痴女は一人で昔の大阪以上にガラの悪い存在やったという事やな」
はぁ。つまり何ですか。当時のクレーゼ様は、世界有数の治安良好な国で例外的な貧民街級の危険事件を一人で起こすようなお方、と。
「そらそやろー。あの親子喧嘩事件の話もやで、おばはんに聞いたけどもう腹抱えるわ。笑うたのなんの。前にアルトくんに第六天魔王の話したやろ、あのおっさんも親父の葬式の時に、所定の手順で香草を炊いてちゃんと未練なく現世から去るよう祈る風習すっ飛ばしてめちゃくちゃやっとるからなぁ」
あたくしがジーナ様に剣を向ける気が全くないのが、この辺の話の持って行き方です。
この方、元来はものすごく気は短いと思いますが、鋼の意思でそれを押さえつけて、今この場合はあたくしがきちんと理解してるかどうかを確かめながらお話をされます。あと、過去に起こった同種類似の事件事故逸話と比較してお話をされるのが癖ですね。
「…そちらにはクレーゼ様のようなめちゃくちゃな方はいらっしゃらなかったのですか?」あたくしは尋ねます。あんなのと言っては失礼ですが、あんなのいたらどこの世界でも困ると思います。はい。
「いやー、くっそ恥ずかしいねんけどさー、あたし、元々はそっちでいう北方帝国の出身の母親から生まれてなぁ。頭の中身はともかく、体は東方諸国の人間とちゃう訳で、体の祖国という言い回しで北方帝国のことを言うのよ。で、そうする理由はな。ほんま、こっちの北方帝国とか革命起こして北方赤色労働者共和国とでも言うべき国に、人間のクズと言いたいような奴の見本市みたいな状態だった時期があったわけよ。あたし生まれてもいない時期やけど、今なお語り継がれるくらいに、それはそれはもう、現代のこっちの地球社会に影響を残すくらいに素晴らしいまでのドクズなやらかしをしてくださいましてね」
どんだけなんですか向こうの北方帝国。確かにこちらの北方帝国も、寒い土地ゆえに、暖かい南側の領土を求めてしょっちゅう自分の領土の下側に喧嘩を仕掛けてる好戦的な国ですが。
「ま、アルトくんにわかりやすい奴2~3人みつくろうと、まず北方帝国の皇帝はアホでした」
「あほ…ですか」
「まぁ、実際はもっと色々事情はあるけど、思いっきり簡潔に言うとアホで片付く。うはは」
「ふむふむ」
ここ、実はジーナ様ご一行が乗ってこられたおふねの中です。
あたくし達聖院の者が滞在しても熱気の悪影響がないかを試したいという事で、ジーナ様にあてがわれた個室の中にお邪魔しております。
で、あたくしの体の周りの熱気を打ち消したり和らげたり、色々なことをするための服を試す意味もありまして。
「で、そのアホのアホさに我慢ができなかった平民のみなさまをやね、こっちの修学宮にいそうな頭だけはいい若者が煽ってな。ついには皇帝一家を処刑して平民の国を作ってもうたんよ」
「すごいですねそちらの平民。こちらの平民、絶対にそんな事できませんよ」
「まぁ、こっちは聖院もあらへんしな。で、平民の国になってみんな幸せになったかというと全然そんなことなかったのよ。その中途半端に賢い若者たちは、これまた単純に言い切ると、わるがしこい、と言う奴らばっかりでなぁ」
「ああ…平民をだましたと…」
「そうそう。その気がなかったとしても結果的にそうなった。そして若者同士で権力を奪い争い合ってな、勝ち残った奴がもうクズもクズもドクズなの煮詰めたんばっかしで」
「うわーきっついですねー。ぺろぺろ」
「で、このおっさんがとりあえず天下を取るねんけどな」ジーナ様は器用に、とけいとやらにふぁんふぁんたいさ、がぞうとか話しかけてあたくしに調べ物の結果を見せて下さいます。なんですかこの筆みたいなおひげのかっぷくのいいおじさん。あまり悪そうに見えませんけど。
「そいつが最強最悪に人間不信でな、おまけに、こいつのせい率四割くらいで世界中巻き込んだ戦争が起きてな。あ、残り四割五分は西涯黄金大陸の大酋長で麻薬中毒で壮絶な人種差別者のおっさんが悪いから」どんなんなんですかそちらの昔って。悪党とかクズばかりなんですか。
「で、話を北方真っ赤国…そこの国旗が赤色なのと、平民を洗脳するために撒き散らした書物とか新聞とか、とにかく革命の象徴の色を赤色に定めたんや。で、その人間不信のクズは、黄金大陸国と偽りの同盟を結んでたんやけど、国内に黄金大陸とか他の国の密偵が忍び込んでるとか言い出してな」
「何か悪い予感しますけど。ちゅぱちゅぱ」
「で、密偵を取り締まると称して、ここでいう罪人自警団のもっとおっきいのを軍隊主導で作らせたわけよ。秘密警察言うねんけどな」
「名前からしてこわそうですね。あ、そこですあんっあんっ」
「で、そこの初代責任者がチビでホモで小心者。なもんで、とにかくその筆みたいなヒゲ生やしたおっさんに気に入られようと、密偵でない人でも濡れ衣着せて大量に捕まえて殺したり地の果てでこき使って殺した」
「それ…中原龍皇国とか北方帝国なら実際にやりそうですね、っていうかたぶん、やってます。あはん、あたくしはジーナ様にやられて」
「これこれ。で、そのチビホモは結局、あいつやったら小者やからちょっと脅かしたらやりすぎるくらいにやるやろと見透かされててな」
「はぁ…つまり、最初から使い捨てにする気だったと」あたくし、ぞわっと寒気がしました。ええ、あたくし自身がもしかしたら、領主の息子に使い捨てられて殺されるか売られたかも知れませんでしたから。
「んで、筆ヒゲの出身地は実は昔は独立国やった」
「ほうほう。じゅぼじゅぼ」
「で、北方帝国に取り込まれてたんやけどな、赤い国になって、そこ出身の筆ヒゲが一番えらいさんになった。さてどうなる?」
「…そこの国の人で赤い国を支配しようとするのでは?れろれろ」
「うん、悪魔というものがアルトくんらの世界に概念としてあるかは知らんけど、まあ、筆ヒゲは故郷からある男を中心とした何人かを呼び寄せたんや。その中の一人に精力絶倫で二晩くらいの徹夜は平気な体力の塊みたいなメガネハゲがおってな」
ふたたび時計を近づけて「ろりや がぞう」とかおっしゃるジーナ様。
…なんなんですか、このにちゃにちゃとねばつきそうな気色悪いおっさん。
これ生き物ですか。こんなのあたしの破瓜散らしの時に出てきたら全力で逃げますよ。
「うん、残念やねんけど、当時のアルトくん、完全にそいつの好みのストライクゾーン…年齢的に合うわ」
「なんですかそれそいつ女になってるかなってないかの娘専門ですか?まるっきりあの豚息子と似た趣味じゃないですか!しこしこ」
「うん。後世では史上最悪の幼女趣味の殺人鬼とか言われてるけどな。そいつが秘密警察の長官…親玉やったんや。そのチビホモに罪を被せて処刑して、後釜におさまってな」
「うっへぇ、その国腐ってません?ちろちろ」
「うん。何十年か後でみごとにつぶれた。で、そのメガネハゲデブの警察が根城にしてた町城があったと思って。そこの庭掘り返したら、その時のアルトくんくらいの女の子の骨ががっさがっさ出てきてな」
「ぎゃああああああああ!そいつなんなんですか完全に罪人も罪人じゃないですか!なんで首切り落とさなかったんですか?」
「…それがね、そのメガネハゲ、頭はめっちゃくちゃいいのよ。で、さっきも言うた通り、体力は常人離れしてて、普通の人の二倍三倍働く奴やってん。ま、女官の修行もしてないのに、即下級女官くらいのことができるようなやつやったと」
「ふむふむ。ジーナ様の世界ではすごい部類になりますよね」あんたら人の十倍百倍十万倍おるからなと。ただ、ジーナ様の世界では充分にばけものでしょう。
「で、筆ヒゲも切るに切られなかった。そいつは結果的に、個人の性欲で殺した女の子は別勘定で、どんくらい人民を殺したと思う?」
「うーん、そんなやつだったら…百万人くらいは殺したのでしょうか」
「完全にそいつだけのせいとちゃうけどな。その時の戦争で死んだの抜きにしてよんせんまんにんは死んだらしい」
「は?自分の国の人間ですよね?狂ってません?」
「うん、その狂ってるのが権力握ったからそないなったんや。せやから、人民に直接国を任せろという話は、アルトくんの世界でも出てくるかも知れんし、学者の中には真面目に人民の国を作ったらどうなるか試そうとかいうて理屈を考える奴が出てくるかも知れん。ただな」
「はい。ずっぽずっぽ」
「そういうのんは注意しときや。詐欺…人をだますやつは、絶対においしいことしか言わん。きみの時でもそのブタ息子か、結婚の話をまずチラつかせてきたやろ。君らの世界でも嫁に行かすんやったら支度金とか祝いものいうて金なり物なり、嫁を送り出す方が金を使うんちゃうか、普通。その話もないのにとりあえず試させとか会わせとか、親も親やなぁとは思う。ま、権力者がほんまに強い国がまだまだ多いみたいやからなぁ」
「そーですねー、聖院でも学問を広めるのはよしとしてますけど、中途半端に賢くするのも問題かも知れませんねー。ずっぽずっぽ」
「話変わるけど、これ舐めててどんな感じ?ほんまもんに近いやろ?」ええ、ぺにばんとかそうとうでぃるどとかいうものですか、柔らかくなったり硬くなったり、不思議な感触です。つまり、あたくしは今、ジーナ様の足元にひざまずいてご奉仕真っ最中です。
「元来はこれ突っ込んでる奴の頭の中と連動して硬くなったりするんやけど、ここに君らの世界の力を取りいれててな。ちょっと入れさせてな。入れた時の感覚、ちょっと注意しときや」あたくしに立ち上がって机に手を突いてお尻を向けさせます。
「…え?あたくし今、張型付けてないのに…」そうです。入れられてるのに入れた感触もあります。
「ふっふっふー。これが新開発、クリス君とマリアの研究成果の一つよひとつ。アルトくんにわかりやすく言うと、この人造ちんちんは女官さん、もっときっぱり言うとマリアの体のお肉を構成している小さな小さなかけらを真似してます。そして、女官さん同士で心が繋がってるのを利用して、あんたらの言う、吸い取るとか吸い上げる効率を上げてやろうというわけね」ほうほう。
「つまり、これ使うと女官さん同士なら最低でも二倍は気持ちいいわけよ。これで忙しいあんたらでも一度に倍の精気が取れるし、もう一つ利点も欠点もあるけど、ちんこつけた人間の気分でやね、役に立たん時の男を擬似再現します。逆にノリノリならビンビンよビンビン」ああ、それはわかります。
「あとさぁ、あんたらがイくとき精気出すやん。あれちょっと訓練しておしっこに精気乗せる技あるやろ、あの要領で取りこぼしがないようにでけへんかなーと言う仕掛けもつけてます」
「あんあん、もっとですわじーなさまぁ…って、まさかこのからくりちん○ぽの先からおしっこも出せますの?」
「うん。付け根のとこにちょいと仕掛けがありましてね。それゆえにちゃんと付けて貰わんとあかんねんけどな。っていうかあくまでこれ試験やぞ、今あんたに入れてやってんのは。本気で使うんはクレーリャちゃんか誰かにやってもらえや。あたしはほんまは男に突っ込んで欲しい気分なんじゃあああああああああ」
「ええわかっております。ジーナ様は常に本音だだ漏れですから。そちらの方々が気付かずとも、わたくしどもは皆、あーまたジーナ様がクレーゼ様を泣かしておられるとかもう筒抜けで」
「あっちゃあ。で、みんなは何と言うとんねん。大体想像つくけどな」あたくしどものお話だけ聞いてたら普通に喋ってるようですが、実際にはあたくしのおしりにぱんぱん打ち付けられる音とか汁音出てます。もっとも、このお部屋はとんでもなく外に声や音が漏れないようになっており、あたくしがジーナ様に責め立てられて絶叫しても外は静からしいのですが。
「ええ、ご想像の通りですわ。時々はシメて頂かないと、少し気を許すだけで昔のクレーゼ様に戻りますから。あのどきゅんで酒乱で淫乱で気まぐれでわがまま言い放題なクレーゼ様に」
ええ、そりゃもう、最初からここまでのお話でご理解を深めた方も多い事でしょう。あの方は本当に本当に本当に、アレーゼ様がぶち切れて黒化の秘術の石板の封印を解いて墓所から引っ張り出すくらいの事をしていたのです。
ですので、アレーゼ様も大概ですがクレーゼ様も大概という事で、捕まったアレーゼ様をおとがめなしは無理としても、罪を減じる嘆願はそれなりの数が集まったのです。
あたくしも当時、流石にこれはなー、とジーナ様やクリス様ご指導のもとで罪を減じる騎士代表の嘆願文をしたためて提出したものです。
ええ、当時のクレーゼ様、本気でブチ切れたら無表情で灰も残さずやっちゃうような方でしたので。
よくもまぁ、あたくしの新任当時、あの方をボコボコにしておとがめなしで済んだものです…いや、ありました。あれめちゃくちゃ気持ちよかったけど、他の者に見られたら困るからと普段は無人の聖炎宮に時折呼び出されるようになりまして。
しかも、あたくしには本来ならば金衣の方が出陣時に着るはずの正装、それも力を解き放つはずの白金衣と呼ばれるものの模造品だそうですが、あたくしの髪の色と同じ色の装甲に金の意匠をあしらった、もんんんんんんのすごく豪華そうな装束をお与えになり、これを着ろと。
あ、露出度はすごいですよ。白と金の母衣で半ば隠れますけどお尻剥き出しで、糞穴と魔羅穴もちゃんと開いています。ジーナ様にこの衣装だけ見せたら「あなあきのばんぴれら」という単語をつぶやかれましたので、ご興味の向きはいかなものか思いを馳せて頂ければと。
で、クレーゼ様崩御の暁には使われる予定の石寝台、既に名前も掘られたその上で責め嬲ってくれと請われまして。これはジーナ様にもお話ししておりません。
なにせ、そこまでご無理なさらずともと気遣ってるのに、無理してあたくしの固形物を貪ったあとで、泣きながらゲロゲロ吐いてしまいました申し訳ございませんとか土下座されると、流石に加虐欲どころか、かえって気の毒になって醒めちゃうんですよ。
で、聖炎宮の中にも水を流す設備はありますから、クレーゼ様の御身を清めて二人してお掃除して帰りました。
帰り道がてら、決してご無理だけはなさらないで下さいませ。あたくしはあくまで神官騎士としての敬愛を捧げるために、あるじの役をしております。本気でクレーゼ様の上に立つためではないのは、わたくしの心が語っておりますかと等々、お慰めしながら歩むとクレーゼ様、本気で泣かれてました。…翌日からはまた元通りでしたが、ほんの少しずつ暴走を制御していくようになられただけでも、お支えした価値はあったのでしょうかねぇ。
「ところでジーナ様。それ、あたくしが嵌めてお使いしてもよろしいですか、あんっあんっ」
「あかん。あんた精力と体力の限り情け容赦なくやる癖あるからあかん。やりたかったら今日持って帰らしたるから、明日クリスとイチャるときに持っていってクレーリャちゃんに使え。ちょうどデータ取りの予定入れてるやろ?…お、イくで出すで」
「…はい…あ、ダメです気をやりますぅううういきます果てますうううう」
で、あたくしはしばしの放心の後で、預かったそれの使い方とか付け方を実習してからジーナ様のお部屋を辞したのです。しかし、これがあの時のあたくしの手にあったら、もっとクレーゼ様をめちゃくちゃに出来たのになーとか思いながら。
そして、あたくしはとりあえず、明日、預かり物の衣装を着てみようと段取りを考えながら聖院の女官寮に帰ったのでした。
なお、女官寮は下級も上級も門限はあるにはありますが、夜勤者がいたりするので聖環で扉を開け閉め出来ます。ただ、食堂が仕込みや清掃で閉まる時間もあるので注意が必要ですね。
ああ、本当に女官寮も個室をあてがって頂いてよかったです。遅くなったりすると、同室の者…この間まではクライファーネとだったのですが、やはり「あの」クライファーネといえど、遅くに帰寮すると気を使いますからね。
そして個室です。
この間の部屋がえついでに充てがわれた部屋ですが、ジーナ様からみの特殊任務のために用意されたということで、他の女官の部屋から少し離されています。
ついでに、通常の上級女官室を二つ潰して作ったそうです。
なんでも、マイアーレ様レベルのベテラン上級女官同等の待遇だそうで、ジーナ様からの預かり物を保管したり、しけんきざいとかいうものを用意して豚を調教する際の情報を収集して欲しいと。
ええ、従順な豚が寝ずに待っておりました。
そうです、この個室は豚を飼うためのスペースでもある訳です。といってもペット扱いしておりますので、大きな寝台1つを二人で一緒に使います。だぶるべっどとかいうそうです。
で、辛そうな豚を寝かそうかと思いましたが、とりあえず食事や沐浴は済ませたかと聞いておきます。
室内には天井近くに湯あみ用の水槽がありますので、水槽から生えた銅管を握り締めて熱を加えると、水槽の中の水が温まるという仕掛けです。もっとも、ここは基本的に暑いので皆、あまり使いませんけどね。
豚に体を清めておきなさいと言いつけます。
「ごめんねクレーニャ、ジーナ様からの預かり物なのよ。ジーナ様は雌豚服とか言ってたけど、寸法が合うかどうかを確かめさせてね」
で、沐浴槽から出てきたクレーニャに、その包みを開けて出てきたのを着付けしてあげます。ジーナ様は「女官連中なら絶対着れない。アルトくんが必ずついて着付け指導しろ」と厳命されましたが、出てきた物と、せつめいしょというのですか、絵だけで文字が入ってませんが、逆にどうすれば着こなせるかわかりやすい紙を見ながら二人で着込みます。
ついでにあたくしも、念のために寸法が間違いないかを確かめるために、自分用のものを着てみます。
…で。一人と一匹は顔を見合わせて。
「なんなんですかこのふくは!」
「なんなのこのすごいふく!」
…いえ、今日、試着しておいて良かったです。明日いきなり着たら、絶対に混乱してました。
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アルトリーネ「実はですね。下級女官は上級女官寮に許可なく立ち入れないのですよ。元来はそれぞれ別の場所で暮らさないと、例の熱気問題で上級は良くても下級の方が大変でして」
クレーリャ「なお、女官寮では上院で沸かしたお湯や蒸気を使って大浴場に湯を張ったり、なぜか冷房を入れたりしています。結構かがくを使ってるんですよ?」
アルトリーネ「そして、実は上級女官でも待遇に差があるのですよ。おこづかいの金額とか、お部屋の広さとか、服の装飾とかが微妙に違います」
クレーリャ「アルトリーネ様とクライファーネ様でも、与えられてる正装は同じようで少し違うんです」
アルトリーネ「うふ。このあたりのお話、次回で出ますからねー、覚えていないと小烏丸…リトルクロウの柄ですよ~♪」
向こう様の文明を知ると、しゃんぷーとかりんすとかえきたいせっけんとか、せんざいとか本当に欲しくなる時があります。
ジーナ様に言わせると「環境汚染の問題があるからそっちに広めたくない物ナンバーワン」らしいのですが、欲しいものは欲しいのです。ええ、そちらのおふねが来たら最後、絶対にお風呂を借りに行こうと心に誓いました。
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皆様。
お部屋のお掃除はしておられますか。
あまり汚いと普通は虫が湧きますよ。
暑い場所にある、わたくしどもの聖院ではそちら以上に色々と気遣う場所ですけどね。
我が聖院は、せきどうちたいのねったいうりんどまんなかにあるそうです。
まんまるな玉に棒をぶっすり挿してくるくる回します。その棒と直角の位置にあるところに筆なりペンなりを置いて回すと引ける線、これが赤道だそうです。
このあたりにある土地は基本的にもんんのすごく暑いそうです。
雨がざんざか降るかからっからに乾くか、どっちかしかないそうです。
で、我が聖院の所在する聖院領は、南洋王国と申します国の領土に間借りしております。
そう、この南洋王国、ジーナ様のご説明ですと「だいたいうちらの地球のインドネシアが領土の海洋国家で、聖院領はカリマンタン島をもうちょっと赤道寄りに押し上げた感じの辺りの南側の一帯。ただ、純粋にうちらの地球と瓜二つクリソツな地形やないから注意な」だそうです。
ですので、夏暑く冬暑いと。ねんかんへいきんきおん30~34度、年間降水量4,000mmと言うと、こっちの地球の奴は、よほどのアホやなかったら、まず絶対確実にこの数字だけで、そっちに着て行く服を決められるとのお話ですが、わたくしども聖院領がどんな場所にあるか、想像頂けましたでしょうか。
そして、時は少し遡ります。
あたくしの上級女官騎士就任式当日、たった一人でクレーゼ様から直接、上級女官としての出家名を賜り、預けられていた昔の上級女官騎士最強との名誉を欲しいままにした女騎士様からの授かり物の剣を長短一振りずつ授けて頂いた日です。
ええ、クレーゼ様のクレーゼ様を舐めさせられ、顔に小便ぶっかけられた日です。それも、あたくしにあてがわれる個室で。まっさらの机に座り、その前の椅子に腰掛けたあたくしに。
で、諸々あった後、当然のごとくお掃除の罰が言い渡されました。
ですが、あたくし一人で掃除してる訳ではありません。
目の前でベテラン文官女官のマイレーネという、この上級女官用個室区画を管理しているという方が見張っておられます。新人歓迎式に主催が来ないで一体何やっとんじゃいと痺れを切らせたアレーゼ様が、クレーゼ様を覗いたところ、新規昇格者を1名捕まえてせくはらぱわはらに励む酔っ払いを発見されまして。
で、問答無用でマイレーネ様に心話で連絡を取り様子を見て来てくれと依頼されたそうです。
そしてマイレーネ様がモップやらバケツやら雑巾やらを持って来て、例え相手がクレーゼ様であろうともこの場の清掃を終わらせぬ限り、大会堂への登壇どころかこの部屋から出さぬと宣言なさいまして。
後で他の女官からマイレーネ様についてお聞きしたところ、下院の下級女官寮や修学宮の学生寮を含めた、聖院の食事や寝室や全体の清掃を管理する部門の長を先先代金衣様の時から務めておられる方だそうです。
上級ではあるものの、能力が低いというか、ご自身の寿命延命に特化した特殊な方だそうでして。
…で、この方が何故に全女官に恐れられているか。
女官だけでなく、事によるとアレーゼ様すら頭が上がらぬ時もある理由なのですが、このマイレーネ様を怒らせると個室を取り上げられるだけでなく、ご飯抜きにされるそうです。
具体的には、日頃わたくしたちが腕にはめている聖環なる腕輪に強制的な制限をかけてしまえるのだそうです。そうなると部屋の鍵を開けられなくなるとか、食堂に行っても支払いが不可能になる仕打ちになると。
(この制限を外して元通りにするには、マイレーネ様・アレーゼ様・クレーゼ様のうち「二人」が揃わないと解除が出来ないのだそうです)
で、そんな事はウソだろうと豪語放言して、大胆不敵にもその場で何がしかの悪事を企んだ上級女官がいらっしゃったそうです。そして、何を致したのかはともかく、2日間個室立ち入り禁止で食事も自分で何とかしてこいという罰を実際に受けたと。ええ、聖院の記録にもきっちり書かれてました。
そして、件の懲罰を受けた上級女官は、今、わたくしの前で床をモップで拭いておられます。
名前を、クレーゼ・アクエリアス様と申されます。
で、クレーゼ様は1日目は聖院の片隅で物乞いをして空腹に耐えようとなさったそうですがね。その日の晩に辛抱たまらず聖院本宮の賽銭箱を開けようとして失敗、仕方がないので、聖院のすぐ側なんですが、南洋王国領側にある色街に行って流しの娼婦と偽って偽の鑑札を見せて雇われ、速攻で一晩のベッドと食事を得ていたそうです。
…えっとですね、その時のクレーゼ様の役位、金衣女聖です。
つまり今と同じ、この聖院の頂点です。聖女様です。
その聖女様が、己が長たる施設で寝床出禁と自分で飯作れの刑に処された公式記録が残っています。
あたくし、この時点で聖院本宮にご厄介になってから10年近くは経過してたと思いますよ。
…で、話を戻して、二人で泣きながらお掃除に至るまでの事です。
あたくし、流石に今回ばかりは切れました。
といっても、みんかんきぎょうならしゃっちょさんに逆らうような行為だそうです。後でジーナ様に、賜ったリトルクロウと言う刀を見せながらその話をしたらですね。
「ああ、それは痴女も悪い。めっちゃくちゃ悪い。尿を媒介にしてアルトくんに力を授けるにしても、ちゃんと説明してからやれ。あと昼間から酒飲んでうろつくな。うちらでも昔は朝から酒飲んで道端で寝てられる場所があったが、叡智の光で焼き尽くされて一世紀以上経過しとるから今は上品なもんや。つまり、あの痴女は一人で昔の大阪以上にガラの悪い存在やったという事やな」
はぁ。つまり何ですか。当時のクレーゼ様は、世界有数の治安良好な国で例外的な貧民街級の危険事件を一人で起こすようなお方、と。
「そらそやろー。あの親子喧嘩事件の話もやで、おばはんに聞いたけどもう腹抱えるわ。笑うたのなんの。前にアルトくんに第六天魔王の話したやろ、あのおっさんも親父の葬式の時に、所定の手順で香草を炊いてちゃんと未練なく現世から去るよう祈る風習すっ飛ばしてめちゃくちゃやっとるからなぁ」
あたくしがジーナ様に剣を向ける気が全くないのが、この辺の話の持って行き方です。
この方、元来はものすごく気は短いと思いますが、鋼の意思でそれを押さえつけて、今この場合はあたくしがきちんと理解してるかどうかを確かめながらお話をされます。あと、過去に起こった同種類似の事件事故逸話と比較してお話をされるのが癖ですね。
「…そちらにはクレーゼ様のようなめちゃくちゃな方はいらっしゃらなかったのですか?」あたくしは尋ねます。あんなのと言っては失礼ですが、あんなのいたらどこの世界でも困ると思います。はい。
「いやー、くっそ恥ずかしいねんけどさー、あたし、元々はそっちでいう北方帝国の出身の母親から生まれてなぁ。頭の中身はともかく、体は東方諸国の人間とちゃう訳で、体の祖国という言い回しで北方帝国のことを言うのよ。で、そうする理由はな。ほんま、こっちの北方帝国とか革命起こして北方赤色労働者共和国とでも言うべき国に、人間のクズと言いたいような奴の見本市みたいな状態だった時期があったわけよ。あたし生まれてもいない時期やけど、今なお語り継がれるくらいに、それはそれはもう、現代のこっちの地球社会に影響を残すくらいに素晴らしいまでのドクズなやらかしをしてくださいましてね」
どんだけなんですか向こうの北方帝国。確かにこちらの北方帝国も、寒い土地ゆえに、暖かい南側の領土を求めてしょっちゅう自分の領土の下側に喧嘩を仕掛けてる好戦的な国ですが。
「ま、アルトくんにわかりやすい奴2~3人みつくろうと、まず北方帝国の皇帝はアホでした」
「あほ…ですか」
「まぁ、実際はもっと色々事情はあるけど、思いっきり簡潔に言うとアホで片付く。うはは」
「ふむふむ」
ここ、実はジーナ様ご一行が乗ってこられたおふねの中です。
あたくし達聖院の者が滞在しても熱気の悪影響がないかを試したいという事で、ジーナ様にあてがわれた個室の中にお邪魔しております。
で、あたくしの体の周りの熱気を打ち消したり和らげたり、色々なことをするための服を試す意味もありまして。
「で、そのアホのアホさに我慢ができなかった平民のみなさまをやね、こっちの修学宮にいそうな頭だけはいい若者が煽ってな。ついには皇帝一家を処刑して平民の国を作ってもうたんよ」
「すごいですねそちらの平民。こちらの平民、絶対にそんな事できませんよ」
「まぁ、こっちは聖院もあらへんしな。で、平民の国になってみんな幸せになったかというと全然そんなことなかったのよ。その中途半端に賢い若者たちは、これまた単純に言い切ると、わるがしこい、と言う奴らばっかりでなぁ」
「ああ…平民をだましたと…」
「そうそう。その気がなかったとしても結果的にそうなった。そして若者同士で権力を奪い争い合ってな、勝ち残った奴がもうクズもクズもドクズなの煮詰めたんばっかしで」
「うわーきっついですねー。ぺろぺろ」
「で、このおっさんがとりあえず天下を取るねんけどな」ジーナ様は器用に、とけいとやらにふぁんふぁんたいさ、がぞうとか話しかけてあたくしに調べ物の結果を見せて下さいます。なんですかこの筆みたいなおひげのかっぷくのいいおじさん。あまり悪そうに見えませんけど。
「そいつが最強最悪に人間不信でな、おまけに、こいつのせい率四割くらいで世界中巻き込んだ戦争が起きてな。あ、残り四割五分は西涯黄金大陸の大酋長で麻薬中毒で壮絶な人種差別者のおっさんが悪いから」どんなんなんですかそちらの昔って。悪党とかクズばかりなんですか。
「で、話を北方真っ赤国…そこの国旗が赤色なのと、平民を洗脳するために撒き散らした書物とか新聞とか、とにかく革命の象徴の色を赤色に定めたんや。で、その人間不信のクズは、黄金大陸国と偽りの同盟を結んでたんやけど、国内に黄金大陸とか他の国の密偵が忍び込んでるとか言い出してな」
「何か悪い予感しますけど。ちゅぱちゅぱ」
「で、密偵を取り締まると称して、ここでいう罪人自警団のもっとおっきいのを軍隊主導で作らせたわけよ。秘密警察言うねんけどな」
「名前からしてこわそうですね。あ、そこですあんっあんっ」
「で、そこの初代責任者がチビでホモで小心者。なもんで、とにかくその筆みたいなヒゲ生やしたおっさんに気に入られようと、密偵でない人でも濡れ衣着せて大量に捕まえて殺したり地の果てでこき使って殺した」
「それ…中原龍皇国とか北方帝国なら実際にやりそうですね、っていうかたぶん、やってます。あはん、あたくしはジーナ様にやられて」
「これこれ。で、そのチビホモは結局、あいつやったら小者やからちょっと脅かしたらやりすぎるくらいにやるやろと見透かされててな」
「はぁ…つまり、最初から使い捨てにする気だったと」あたくし、ぞわっと寒気がしました。ええ、あたくし自身がもしかしたら、領主の息子に使い捨てられて殺されるか売られたかも知れませんでしたから。
「んで、筆ヒゲの出身地は実は昔は独立国やった」
「ほうほう。じゅぼじゅぼ」
「で、北方帝国に取り込まれてたんやけどな、赤い国になって、そこ出身の筆ヒゲが一番えらいさんになった。さてどうなる?」
「…そこの国の人で赤い国を支配しようとするのでは?れろれろ」
「うん、悪魔というものがアルトくんらの世界に概念としてあるかは知らんけど、まあ、筆ヒゲは故郷からある男を中心とした何人かを呼び寄せたんや。その中の一人に精力絶倫で二晩くらいの徹夜は平気な体力の塊みたいなメガネハゲがおってな」
ふたたび時計を近づけて「ろりや がぞう」とかおっしゃるジーナ様。
…なんなんですか、このにちゃにちゃとねばつきそうな気色悪いおっさん。
これ生き物ですか。こんなのあたしの破瓜散らしの時に出てきたら全力で逃げますよ。
「うん、残念やねんけど、当時のアルトくん、完全にそいつの好みのストライクゾーン…年齢的に合うわ」
「なんですかそれそいつ女になってるかなってないかの娘専門ですか?まるっきりあの豚息子と似た趣味じゃないですか!しこしこ」
「うん。後世では史上最悪の幼女趣味の殺人鬼とか言われてるけどな。そいつが秘密警察の長官…親玉やったんや。そのチビホモに罪を被せて処刑して、後釜におさまってな」
「うっへぇ、その国腐ってません?ちろちろ」
「うん。何十年か後でみごとにつぶれた。で、そのメガネハゲデブの警察が根城にしてた町城があったと思って。そこの庭掘り返したら、その時のアルトくんくらいの女の子の骨ががっさがっさ出てきてな」
「ぎゃああああああああ!そいつなんなんですか完全に罪人も罪人じゃないですか!なんで首切り落とさなかったんですか?」
「…それがね、そのメガネハゲ、頭はめっちゃくちゃいいのよ。で、さっきも言うた通り、体力は常人離れしてて、普通の人の二倍三倍働く奴やってん。ま、女官の修行もしてないのに、即下級女官くらいのことができるようなやつやったと」
「ふむふむ。ジーナ様の世界ではすごい部類になりますよね」あんたら人の十倍百倍十万倍おるからなと。ただ、ジーナ様の世界では充分にばけものでしょう。
「で、筆ヒゲも切るに切られなかった。そいつは結果的に、個人の性欲で殺した女の子は別勘定で、どんくらい人民を殺したと思う?」
「うーん、そんなやつだったら…百万人くらいは殺したのでしょうか」
「完全にそいつだけのせいとちゃうけどな。その時の戦争で死んだの抜きにしてよんせんまんにんは死んだらしい」
「は?自分の国の人間ですよね?狂ってません?」
「うん、その狂ってるのが権力握ったからそないなったんや。せやから、人民に直接国を任せろという話は、アルトくんの世界でも出てくるかも知れんし、学者の中には真面目に人民の国を作ったらどうなるか試そうとかいうて理屈を考える奴が出てくるかも知れん。ただな」
「はい。ずっぽずっぽ」
「そういうのんは注意しときや。詐欺…人をだますやつは、絶対においしいことしか言わん。きみの時でもそのブタ息子か、結婚の話をまずチラつかせてきたやろ。君らの世界でも嫁に行かすんやったら支度金とか祝いものいうて金なり物なり、嫁を送り出す方が金を使うんちゃうか、普通。その話もないのにとりあえず試させとか会わせとか、親も親やなぁとは思う。ま、権力者がほんまに強い国がまだまだ多いみたいやからなぁ」
「そーですねー、聖院でも学問を広めるのはよしとしてますけど、中途半端に賢くするのも問題かも知れませんねー。ずっぽずっぽ」
「話変わるけど、これ舐めててどんな感じ?ほんまもんに近いやろ?」ええ、ぺにばんとかそうとうでぃるどとかいうものですか、柔らかくなったり硬くなったり、不思議な感触です。つまり、あたくしは今、ジーナ様の足元にひざまずいてご奉仕真っ最中です。
「元来はこれ突っ込んでる奴の頭の中と連動して硬くなったりするんやけど、ここに君らの世界の力を取りいれててな。ちょっと入れさせてな。入れた時の感覚、ちょっと注意しときや」あたくしに立ち上がって机に手を突いてお尻を向けさせます。
「…え?あたくし今、張型付けてないのに…」そうです。入れられてるのに入れた感触もあります。
「ふっふっふー。これが新開発、クリス君とマリアの研究成果の一つよひとつ。アルトくんにわかりやすく言うと、この人造ちんちんは女官さん、もっときっぱり言うとマリアの体のお肉を構成している小さな小さなかけらを真似してます。そして、女官さん同士で心が繋がってるのを利用して、あんたらの言う、吸い取るとか吸い上げる効率を上げてやろうというわけね」ほうほう。
「つまり、これ使うと女官さん同士なら最低でも二倍は気持ちいいわけよ。これで忙しいあんたらでも一度に倍の精気が取れるし、もう一つ利点も欠点もあるけど、ちんこつけた人間の気分でやね、役に立たん時の男を擬似再現します。逆にノリノリならビンビンよビンビン」ああ、それはわかります。
「あとさぁ、あんたらがイくとき精気出すやん。あれちょっと訓練しておしっこに精気乗せる技あるやろ、あの要領で取りこぼしがないようにでけへんかなーと言う仕掛けもつけてます」
「あんあん、もっとですわじーなさまぁ…って、まさかこのからくりちん○ぽの先からおしっこも出せますの?」
「うん。付け根のとこにちょいと仕掛けがありましてね。それゆえにちゃんと付けて貰わんとあかんねんけどな。っていうかあくまでこれ試験やぞ、今あんたに入れてやってんのは。本気で使うんはクレーリャちゃんか誰かにやってもらえや。あたしはほんまは男に突っ込んで欲しい気分なんじゃあああああああああ」
「ええわかっております。ジーナ様は常に本音だだ漏れですから。そちらの方々が気付かずとも、わたくしどもは皆、あーまたジーナ様がクレーゼ様を泣かしておられるとかもう筒抜けで」
「あっちゃあ。で、みんなは何と言うとんねん。大体想像つくけどな」あたくしどものお話だけ聞いてたら普通に喋ってるようですが、実際にはあたくしのおしりにぱんぱん打ち付けられる音とか汁音出てます。もっとも、このお部屋はとんでもなく外に声や音が漏れないようになっており、あたくしがジーナ様に責め立てられて絶叫しても外は静からしいのですが。
「ええ、ご想像の通りですわ。時々はシメて頂かないと、少し気を許すだけで昔のクレーゼ様に戻りますから。あのどきゅんで酒乱で淫乱で気まぐれでわがまま言い放題なクレーゼ様に」
ええ、そりゃもう、最初からここまでのお話でご理解を深めた方も多い事でしょう。あの方は本当に本当に本当に、アレーゼ様がぶち切れて黒化の秘術の石板の封印を解いて墓所から引っ張り出すくらいの事をしていたのです。
ですので、アレーゼ様も大概ですがクレーゼ様も大概という事で、捕まったアレーゼ様をおとがめなしは無理としても、罪を減じる嘆願はそれなりの数が集まったのです。
あたくしも当時、流石にこれはなー、とジーナ様やクリス様ご指導のもとで罪を減じる騎士代表の嘆願文をしたためて提出したものです。
ええ、当時のクレーゼ様、本気でブチ切れたら無表情で灰も残さずやっちゃうような方でしたので。
よくもまぁ、あたくしの新任当時、あの方をボコボコにしておとがめなしで済んだものです…いや、ありました。あれめちゃくちゃ気持ちよかったけど、他の者に見られたら困るからと普段は無人の聖炎宮に時折呼び出されるようになりまして。
しかも、あたくしには本来ならば金衣の方が出陣時に着るはずの正装、それも力を解き放つはずの白金衣と呼ばれるものの模造品だそうですが、あたくしの髪の色と同じ色の装甲に金の意匠をあしらった、もんんんんんんのすごく豪華そうな装束をお与えになり、これを着ろと。
あ、露出度はすごいですよ。白と金の母衣で半ば隠れますけどお尻剥き出しで、糞穴と魔羅穴もちゃんと開いています。ジーナ様にこの衣装だけ見せたら「あなあきのばんぴれら」という単語をつぶやかれましたので、ご興味の向きはいかなものか思いを馳せて頂ければと。
で、クレーゼ様崩御の暁には使われる予定の石寝台、既に名前も掘られたその上で責め嬲ってくれと請われまして。これはジーナ様にもお話ししておりません。
なにせ、そこまでご無理なさらずともと気遣ってるのに、無理してあたくしの固形物を貪ったあとで、泣きながらゲロゲロ吐いてしまいました申し訳ございませんとか土下座されると、流石に加虐欲どころか、かえって気の毒になって醒めちゃうんですよ。
で、聖炎宮の中にも水を流す設備はありますから、クレーゼ様の御身を清めて二人してお掃除して帰りました。
帰り道がてら、決してご無理だけはなさらないで下さいませ。あたくしはあくまで神官騎士としての敬愛を捧げるために、あるじの役をしております。本気でクレーゼ様の上に立つためではないのは、わたくしの心が語っておりますかと等々、お慰めしながら歩むとクレーゼ様、本気で泣かれてました。…翌日からはまた元通りでしたが、ほんの少しずつ暴走を制御していくようになられただけでも、お支えした価値はあったのでしょうかねぇ。
「ところでジーナ様。それ、あたくしが嵌めてお使いしてもよろしいですか、あんっあんっ」
「あかん。あんた精力と体力の限り情け容赦なくやる癖あるからあかん。やりたかったら今日持って帰らしたるから、明日クリスとイチャるときに持っていってクレーリャちゃんに使え。ちょうどデータ取りの予定入れてるやろ?…お、イくで出すで」
「…はい…あ、ダメです気をやりますぅううういきます果てますうううう」
で、あたくしはしばしの放心の後で、預かったそれの使い方とか付け方を実習してからジーナ様のお部屋を辞したのです。しかし、これがあの時のあたくしの手にあったら、もっとクレーゼ様をめちゃくちゃに出来たのになーとか思いながら。
そして、あたくしはとりあえず、明日、預かり物の衣装を着てみようと段取りを考えながら聖院の女官寮に帰ったのでした。
なお、女官寮は下級も上級も門限はあるにはありますが、夜勤者がいたりするので聖環で扉を開け閉め出来ます。ただ、食堂が仕込みや清掃で閉まる時間もあるので注意が必要ですね。
ああ、本当に女官寮も個室をあてがって頂いてよかったです。遅くなったりすると、同室の者…この間まではクライファーネとだったのですが、やはり「あの」クライファーネといえど、遅くに帰寮すると気を使いますからね。
そして個室です。
この間の部屋がえついでに充てがわれた部屋ですが、ジーナ様からみの特殊任務のために用意されたということで、他の女官の部屋から少し離されています。
ついでに、通常の上級女官室を二つ潰して作ったそうです。
なんでも、マイアーレ様レベルのベテラン上級女官同等の待遇だそうで、ジーナ様からの預かり物を保管したり、しけんきざいとかいうものを用意して豚を調教する際の情報を収集して欲しいと。
ええ、従順な豚が寝ずに待っておりました。
そうです、この個室は豚を飼うためのスペースでもある訳です。といってもペット扱いしておりますので、大きな寝台1つを二人で一緒に使います。だぶるべっどとかいうそうです。
で、辛そうな豚を寝かそうかと思いましたが、とりあえず食事や沐浴は済ませたかと聞いておきます。
室内には天井近くに湯あみ用の水槽がありますので、水槽から生えた銅管を握り締めて熱を加えると、水槽の中の水が温まるという仕掛けです。もっとも、ここは基本的に暑いので皆、あまり使いませんけどね。
豚に体を清めておきなさいと言いつけます。
「ごめんねクレーニャ、ジーナ様からの預かり物なのよ。ジーナ様は雌豚服とか言ってたけど、寸法が合うかどうかを確かめさせてね」
で、沐浴槽から出てきたクレーニャに、その包みを開けて出てきたのを着付けしてあげます。ジーナ様は「女官連中なら絶対着れない。アルトくんが必ずついて着付け指導しろ」と厳命されましたが、出てきた物と、せつめいしょというのですか、絵だけで文字が入ってませんが、逆にどうすれば着こなせるかわかりやすい紙を見ながら二人で着込みます。
ついでにあたくしも、念のために寸法が間違いないかを確かめるために、自分用のものを着てみます。
…で。一人と一匹は顔を見合わせて。
「なんなんですかこのふくは!」
「なんなのこのすごいふく!」
…いえ、今日、試着しておいて良かったです。明日いきなり着たら、絶対に混乱してました。
----------------------------------
アルトリーネ「実はですね。下級女官は上級女官寮に許可なく立ち入れないのですよ。元来はそれぞれ別の場所で暮らさないと、例の熱気問題で上級は良くても下級の方が大変でして」
クレーリャ「なお、女官寮では上院で沸かしたお湯や蒸気を使って大浴場に湯を張ったり、なぜか冷房を入れたりしています。結構かがくを使ってるんですよ?」
アルトリーネ「そして、実は上級女官でも待遇に差があるのですよ。おこづかいの金額とか、お部屋の広さとか、服の装飾とかが微妙に違います」
クレーリャ「アルトリーネ様とクライファーネ様でも、与えられてる正装は同じようで少し違うんです」
アルトリーネ「うふ。このあたりのお話、次回で出ますからねー、覚えていないと小烏丸…リトルクロウの柄ですよ~♪」
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