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精液の一滴は血の一滴だ -鋳物師の島 νησί παραγωγής νομισμάτων ・1
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Εργάζεστε όλοι σκληρά για να δημιουργήσετε έναν κόσμο γεμάτο αγάπη και ομορφιά;
(人間の皆さん、愛と美に満ちた世界のために努力しておられるであろう昨今、いかがでしょうか)
Ο υφιστάμενός μου είναι ένας άγγελος που κυβερνά την ομορφιά και την αγάπη και του οποίου η αποστολή είναι να κάνει πραγματικότητα την αγάπη μεταξύ ανδρών και γυναικών.
(私は部下のエロスと共に、男女の愛を成就させる使命を果たそうと頑張っています)
Ωστόσο, στους αγγέλους ανατίθεται επίσης το καθήκον να διδάσκουν στους ανθρώπους τη γνώση.
(しかし、エロスには学問を人に教える役目も言いつけられたのです)
Ξέρει κανείς κάποιον ικανό υπηρέτη να αντικαταστήσει τον Έρωτα;
(ああ、エロスに代わる有能な部下が欲しいものです)
というわけで痴女皇国・厚労局女官長のアフロディーネです。
むろん、皆様にもお伝わりかと存じますが、私の真の姿は神話神種族の一員にして美と愛の女神であるアフロディーテです。
もっとも、更に昔にはシュメールの天界神イシュタルということもしておりましたが、とりあえず私の性質としてはアフロディーテの性格が強い、こうお考えください。
で、双子の姉妹として痴女皇国の女官不足を補う助っ人役たる相棒、ペルセポネ。
言うまでもなく、アフロディーテであった時に一悶着、いえ最低でもふた悶着はあった存在です。
しかし、ガイアでもあるナンム母様曰く「あなたがたが体を欲するならば、田中雅美という人物とわたくしがこれから互いに孕みます。その子に乗り移り、人としてこの世に生を受けるのですわよ…」
などと甘言を繰り延べ、私たちを現世に召喚しやがったのです。
ええ、ペルセポネも嫌がってました。
しかし、逆らえるもんならとっくに逆らっております。
それとですね。
我々を釣る、餌。
これがしっかりきっちり、用意されていたのです。
まず、ペルセポネには愚か者の人間を冥界に送り、エレシュキガルとして裁いてよし。
そして、田中雅美なる人物の魂の陰に隠れ潜んでいた懲罰神ネメシスと組んで人を罰するがよい。
…ってネメシス、あんた復讐を誓う者どころか、復讐しそうにない奴にまで報復を煽る悪癖があるでしょ…。
(るせぇっ。お前らと違って、アタシは潤沢にエサにありつけないのだ…)
まぁ、何かあると恨みを晴らそうとする者ばかりでは、復讐の連鎖となって人は滅びかねません。
そういうのはちょっと、困りますからね。
で、私、アフロディーテへの餌。
単純に言うと、聖院に関わる男女をくっつけてよいとされました。
しかし、その聖院、今は痴女宮とされて事情が複雑になっています。
元々の聖院は、ナンム母様が人の身に堕とされて開闢させられた聖娼神殿です。
つまり、女官は男と性交しますが、それはあくまでも神に捧げるためのまぐわい。
で、ナンム母様はなんでそんな罰を受けたのか、ですけどね。
まず、神話神種族の地母神となる前にも、ナンム母様はやらかしておりました。
それも、シュメールだけではなく、他でも。
更に、1回や2回ではないのです。
ええ、何度も何度も。
で、その度重なる暴虐と淫虐に満ち満ちた行為の果てに、あまつさえ人類という餌の繁殖に失敗した罪を問われた母様、失敗するたびに姉上ともども叱られておったようなのです。
誰があのナンム母様を叱れたのかはともかくとしてですね。
で、ついに、ナンム母様と姉上様は、神の…それも、神の中でも上位となる強力な力を制限されてしまったのです。
そして、懲罰の一環として人の体に押し込まれました。
ついでに、配下の神官や天使たちもろとも、男なしでは生きていけないようにされたのです。
…そして寿命も渡されてしまった姿で泣きながら開いた神殿…男を呼び寄せて女官に性交させることを最大目的とした神殿を開かされたのですよ。
ええ、その神殿こそが聖院だったのです。
しかし、母様の血を引く娘さんたち…即ち、金衣という聖院のあるじが何代もの間、ひっそり…でもないか、まぁともかく、今の痴女宮や痴女皇国に比べたら遥かに少ない人数と影響力で、人類を裏から操ったりその行為を制限しながら、男の欲望と精液を搾り取っていたのです。
それと、人どもに言うこと聞かせるための武力、最小限ですが保有することを許されておりました。
これが、銀衣騎士のはじまり。
母様の娘さんは、女官の長たる金衣、そして女ですが騎士たちを率いる銀衣、そして女官の暮らしを仕切るとともに、金衣や銀衣の行いを監督する女官の長の3名が存在します。
ええ、うち、おひとかたは現在も存命。
そして、金衣と銀衣は、生まれ変わると申しますか、その力を自分の子供に受け継がせながら代を重ねておったのです。
(これで説明、大体合ってると思うんですけどね、ベラ子先生)
(大筋ではおk、だそうですよ。続けて続けて)
で、私とペルセポネ、実のところは痴女皇国で生まれてからナンム母様に直接、育てられてはおりません。
生まれる前から人ども以上の知恵と力を使えるようにはなっていましたが、実際に人の体に押し込まれた場合は果たしてどうなるやらと言うことで、マリアヴェッラ・ボルジア・ワーズワースという人物が教育を担当することになったのです。
これは、田中雅美母様と、ナンム母様…またの名前を聖院初代金衣テルナリーゼこと、田中照子母様が、私たちが生まれるのと引き換えに一旦は死亡した…厳密に申しますと、ナンム母様も雅美母様も、その体を喪失した状態となったからなのです。
つまり、人間で申しますと、生まれてすぐに両親が死亡。
これではまずい、ということで、今もそうですけど当時の聖院金衣改め痴女皇国皇帝のマリアヴェッラ様ことベラ子陛下が、私たちの教育役に任じられたのです。
しかも、生まれてすぐに年越しということもあって、人間の大人に近い姿に一気に育てられた私たち、新年のアイサツマワリとやらに早速、駆け回る羽目に。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/80/
しかし、この時の諸々のおかげで、私たちはただの人間の女の体ではなくなりました。
まず、ペルセポネは騎士たちを束ねたり、痴女皇国皇帝の代理人となって戦争や治世に赴く立場とされました。
つまり、皇帝の親衛騎士団長を兼ねる、黒薔薇騎士団長への就任がこの任命にあたります。
では、私アフロディーテは。
私は、女官の指導教育役である女官長とされました。
しかし、女官というのは聖院の時以上にめんどくさい仕事が増えたせいで、その仕事の種類に応じて区分けがなされています。
それに、聖院を開いた時以上に増えているのです、女官も、そして後でお話ししますが、他の者たちも。
で、女官管理室という組織があって、女官たちの誰はどこに行って何時から何時まで働けだの、寮の部屋はどこだから掃除整頓寝具の入れ替えに自分の服の洗濯手入れなどなど、日頃の生活について指示しているそうです。
そして、私の役割は、女官が騎士ではなく女官として仕事をしている時に、新人や配置換えがあった際の教官役。
それと、女官同士の人間関係の調整などなど。
日本人の女でもある雅美母様に言わせますと、デスピニス・オリューレ…オリューレ女史やテシガワラ女史、そして現在はデスピニス・リミルシューネとテシガワラ・サンの2人がそれぞれ第1と第2の管理部長、で、私アフロディーテが女官指導部長となるようですね。
ですが、私が直接に仕事を指導していないし、できない部署もあるのですよ。
それが…財務局。
つまり、金かんじょうをするところ。
ここは、デルフィリーゼという金衣系譜者が精巧なからくりの体を貰って現世に復活した状態で、取り仕切っています。
で、私からしても、その痴女種たるペーオスの生えた女官の区分とされてしまっておりますので、そのデルフィリーゼという人物は上官となるそうです。
ええ、同様に上の位ではありますけど、私が女官としてもろうている金子の額を決めたり、実際に毎月の金子を渡してくれる手続きをする役所のようなところの、あるじ。
そういう立場とあっては、私より偉くされても仕方ないのかも知れません。
いえ、一応はその、財務局の出納部や財務部の研修とやらもちょこっと、受けたのですよ?
まさか、人間どもがアンティキティラの器械以上の煩雑なものをこしらえて、かね勘定に使うておるとは。
このアフロディーテ、不覚でした。
まぁ、この点についてはベラ子先生と特訓した結果、今やぱそこんなる器械の操作も、ひととおり。
何せ、これを使わないと女官たちの、その小遣い銭の額を決めるための成績を記す粘土板や木板またはパピルスの部類の代わりが出てこないのです。
で、晴れてこの女神アフロディーテ、普段は女官の長たるアフロディーネとして、尻が剥き出しとなった桃色の専用装束をまとって痴女宮の中を比較的自在に闊歩できるようになったのです。
しかし…許可がないと立ち入れない場所は、依然として存在します。
(財務局の関連施設やお部屋はね、あたしでも無許可だとダメよ。いえ…ベラちゃんやマリアちゃんですら…そう、アレーゼさんやマイレーネさんですら、下手をすると事前に許可を取らないとダメなところがあるの)
雅美母様、それはなぜ。
(もちろん、お金や数字を扱うからよ。そして、マイレーネさんもかつては女官長や女官管理室長だったけど、あの方が逆に率先して両替処…今の財務局の前身だった部署と、そこで働く女官についての掟を定めたのよ…だから、アレーゼさんとマイレーネさんは、財務に権力を振りかざして誰かが立ち入ったり無茶するのを、むしろ叱る立場ってわけなのよ…)
ふむふむ。
しかし、かくも厳しい取り扱いをする必要が…ある!
あります!
人の欲望の罪深さと果てしなさ、ミダスという人の王が神話神種族の時代に実証しおったではないですか!
ええ、マイダスとも言うこの王、その手で触れたものは、ことごとく黄金と変わり果てる呪いを受けたのです。
女にペーオスを突っ込むのはもちろん、食べ物や水すら触れぬ呪い。
ディオニュソスの加護で救われるまでは、かの王は生き地獄を味わったのですよ…。
ただ、痴女皇国でかねに関わること、雅美母様やベラ子先生、そしてれんぽう世界とかいう、人どもの統治する別の世の中を学んで来られたナンム母様たちに教わったのですが、金というものが本当に価値があるのは、その金と交換して食い物やら陶器やら布やら皮、それに青銅の剣やら神殿の石やら、まぁともかく何かしらのモノと取り替えるための値を決める際の一定のめじるしになる、ということでした。
金貨1枚で牛一頭、2枚で女奴隷1人だとか、そういう値付けをすることで、物物交換をたやすくする人の知恵なのだそうです。
しかし、これは金だけでは、人にその価値をもたらさない事になってしまうでしょう。
なぜならば、替えるべきものがあるからこそ、金にも価値が生じるのですよね。
これは、わたくしアフロディーテがいかに古い時代の者であっても、わかりますよ。
というか私らの支配していたときの神話半島ほか、そういう貨幣ってのを人どもが作って使ってたじゃないですか。
ええ、あの時は、銅でしたかね。
で、私はその、銅貨とやらを多少は知っております。
なぜか。
私がアフロディーテとして生まれた場所で作っておったからです、人ども。
ええ、ええ、キプロスとかいう島ですよ。
あそこが私のゆかりの土地だっていうの、マリアヴェッラ先生にとっての碧海島と同じなんです。
でまぁ、そんな縁のあるキプロス。
実は、私の管轄でもあるようにされたのです…。
なんで、そうなったのか。
ナンム母様が悪いのです。
(アフロディーテ!そもそもあなたがあそこの海で泡からうまれるとか、器用なことをなさるからでしょう…)
(それとキプロス、分けてもキッコスを管理することの意味がつながりません! しかもあそこ、キッコス聖母教会だけならまだしも、造幣局までもをあそこに作るとは…)
(文句を言う前にあなたには、キッコスの面倒を見るためのごほうびをわたせとデルフィリーゼにも、そしてベルナルディーゼにも伝えてそのようにさせておるではありませんか…人もうらやむことをしてもろうておいて、何をぜいたくなこと、ゆうておるのですか…)
ううっ。
あれを、言われたら私には辛いものがあるのです…。
それは何か。
そして、この「ご褒美」ですけどね。
財務局やキッコスの造幣局関係者へのご褒美でもあるのですよ…。
で、私は秘書役の…アメリカから帰って来たあと、とりあえず国土局から厚生局への配置転換と、そして私の侍従兼秘書として少しの間、修行を言われたイヌカイ…日本人の犬飼葉子を連れて、女官寮23階の更に上、屋上に上がります。
え、女官寮は22階までじゃないのと思われた方へ。
うふふふふふ。
実は、小改築によって、22階の更に上が出来たのです。
以前、財務女官の住まう寮室は機密扱いされていて、どの階のどこか判然としないとされていたでしょう。
で、昔は本当に、年に何回か、あちこちの部屋を入れ替えて移動していたり、あるいは特定の階を財務女官の専用にしていたそうです。
しかし、昨今は聖母教会の数も増えたり、聖母記念銀行港町支店改め痴女島本店の規模も拡大されたため、当初の財務部や財務局よりは本宮21階で働く財務女官、減っているそうです。
そこで、当初は港町寮という財務局の百人卒未満の職員女官専用の寮が門前町のどこかに作られまして、そこに女官を隔離する話になっておりました。
しかし、食事や買い物のための食堂や売店まで、その港町寮に併設するのか。
人や設備の無駄ではないのか、と言う意見も出たのです。
で、港町寮は聖母記念銀行支店向け研修生…つまり聖母教会の尼僧を兼ねていることがほとんどである財務女官見習いが増えた際の予備寮とされたのです。
その代わりに、本宮22階の国土局や通商局の幹部居室階の上に23階を増築して財務女官寮としたのです。
ちなみにこの23階、中でA階B階に別れておりまして、普通の女官寮の1階層の倍の人数を最大で収容、可能。
おまけに出入りは22階の幹部居住階を絶対に経由するように出来ています。
アネイキスティーラスも、一部を除いて乗り換えが必要。
そして、この23階の上の屋上。
すぐ隣の罪人寮も、23階が増築されまして、屋上と屋上を結ぶ渡り廊下もつきました。
で…罪人寮の方の増築階ですけどね、実は、財務女官よりも、もっとひた隠しに隠されていなくてはならない人間が住んでいるのですよ…。
そう、痴女宮では本来、門前町などを含めて、ごく少数が住むだけであるはずの偽女種専用寮が新設されたのです…。
(人間の皆さん、愛と美に満ちた世界のために努力しておられるであろう昨今、いかがでしょうか)
Ο υφιστάμενός μου είναι ένας άγγελος που κυβερνά την ομορφιά και την αγάπη και του οποίου η αποστολή είναι να κάνει πραγματικότητα την αγάπη μεταξύ ανδρών και γυναικών.
(私は部下のエロスと共に、男女の愛を成就させる使命を果たそうと頑張っています)
Ωστόσο, στους αγγέλους ανατίθεται επίσης το καθήκον να διδάσκουν στους ανθρώπους τη γνώση.
(しかし、エロスには学問を人に教える役目も言いつけられたのです)
Ξέρει κανείς κάποιον ικανό υπηρέτη να αντικαταστήσει τον Έρωτα;
(ああ、エロスに代わる有能な部下が欲しいものです)
というわけで痴女皇国・厚労局女官長のアフロディーネです。
むろん、皆様にもお伝わりかと存じますが、私の真の姿は神話神種族の一員にして美と愛の女神であるアフロディーテです。
もっとも、更に昔にはシュメールの天界神イシュタルということもしておりましたが、とりあえず私の性質としてはアフロディーテの性格が強い、こうお考えください。
で、双子の姉妹として痴女皇国の女官不足を補う助っ人役たる相棒、ペルセポネ。
言うまでもなく、アフロディーテであった時に一悶着、いえ最低でもふた悶着はあった存在です。
しかし、ガイアでもあるナンム母様曰く「あなたがたが体を欲するならば、田中雅美という人物とわたくしがこれから互いに孕みます。その子に乗り移り、人としてこの世に生を受けるのですわよ…」
などと甘言を繰り延べ、私たちを現世に召喚しやがったのです。
ええ、ペルセポネも嫌がってました。
しかし、逆らえるもんならとっくに逆らっております。
それとですね。
我々を釣る、餌。
これがしっかりきっちり、用意されていたのです。
まず、ペルセポネには愚か者の人間を冥界に送り、エレシュキガルとして裁いてよし。
そして、田中雅美なる人物の魂の陰に隠れ潜んでいた懲罰神ネメシスと組んで人を罰するがよい。
…ってネメシス、あんた復讐を誓う者どころか、復讐しそうにない奴にまで報復を煽る悪癖があるでしょ…。
(るせぇっ。お前らと違って、アタシは潤沢にエサにありつけないのだ…)
まぁ、何かあると恨みを晴らそうとする者ばかりでは、復讐の連鎖となって人は滅びかねません。
そういうのはちょっと、困りますからね。
で、私、アフロディーテへの餌。
単純に言うと、聖院に関わる男女をくっつけてよいとされました。
しかし、その聖院、今は痴女宮とされて事情が複雑になっています。
元々の聖院は、ナンム母様が人の身に堕とされて開闢させられた聖娼神殿です。
つまり、女官は男と性交しますが、それはあくまでも神に捧げるためのまぐわい。
で、ナンム母様はなんでそんな罰を受けたのか、ですけどね。
まず、神話神種族の地母神となる前にも、ナンム母様はやらかしておりました。
それも、シュメールだけではなく、他でも。
更に、1回や2回ではないのです。
ええ、何度も何度も。
で、その度重なる暴虐と淫虐に満ち満ちた行為の果てに、あまつさえ人類という餌の繁殖に失敗した罪を問われた母様、失敗するたびに姉上ともども叱られておったようなのです。
誰があのナンム母様を叱れたのかはともかくとしてですね。
で、ついに、ナンム母様と姉上様は、神の…それも、神の中でも上位となる強力な力を制限されてしまったのです。
そして、懲罰の一環として人の体に押し込まれました。
ついでに、配下の神官や天使たちもろとも、男なしでは生きていけないようにされたのです。
…そして寿命も渡されてしまった姿で泣きながら開いた神殿…男を呼び寄せて女官に性交させることを最大目的とした神殿を開かされたのですよ。
ええ、その神殿こそが聖院だったのです。
しかし、母様の血を引く娘さんたち…即ち、金衣という聖院のあるじが何代もの間、ひっそり…でもないか、まぁともかく、今の痴女宮や痴女皇国に比べたら遥かに少ない人数と影響力で、人類を裏から操ったりその行為を制限しながら、男の欲望と精液を搾り取っていたのです。
それと、人どもに言うこと聞かせるための武力、最小限ですが保有することを許されておりました。
これが、銀衣騎士のはじまり。
母様の娘さんは、女官の長たる金衣、そして女ですが騎士たちを率いる銀衣、そして女官の暮らしを仕切るとともに、金衣や銀衣の行いを監督する女官の長の3名が存在します。
ええ、うち、おひとかたは現在も存命。
そして、金衣と銀衣は、生まれ変わると申しますか、その力を自分の子供に受け継がせながら代を重ねておったのです。
(これで説明、大体合ってると思うんですけどね、ベラ子先生)
(大筋ではおk、だそうですよ。続けて続けて)
で、私とペルセポネ、実のところは痴女皇国で生まれてからナンム母様に直接、育てられてはおりません。
生まれる前から人ども以上の知恵と力を使えるようにはなっていましたが、実際に人の体に押し込まれた場合は果たしてどうなるやらと言うことで、マリアヴェッラ・ボルジア・ワーズワースという人物が教育を担当することになったのです。
これは、田中雅美母様と、ナンム母様…またの名前を聖院初代金衣テルナリーゼこと、田中照子母様が、私たちが生まれるのと引き換えに一旦は死亡した…厳密に申しますと、ナンム母様も雅美母様も、その体を喪失した状態となったからなのです。
つまり、人間で申しますと、生まれてすぐに両親が死亡。
これではまずい、ということで、今もそうですけど当時の聖院金衣改め痴女皇国皇帝のマリアヴェッラ様ことベラ子陛下が、私たちの教育役に任じられたのです。
しかも、生まれてすぐに年越しということもあって、人間の大人に近い姿に一気に育てられた私たち、新年のアイサツマワリとやらに早速、駆け回る羽目に。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/80/
しかし、この時の諸々のおかげで、私たちはただの人間の女の体ではなくなりました。
まず、ペルセポネは騎士たちを束ねたり、痴女皇国皇帝の代理人となって戦争や治世に赴く立場とされました。
つまり、皇帝の親衛騎士団長を兼ねる、黒薔薇騎士団長への就任がこの任命にあたります。
では、私アフロディーテは。
私は、女官の指導教育役である女官長とされました。
しかし、女官というのは聖院の時以上にめんどくさい仕事が増えたせいで、その仕事の種類に応じて区分けがなされています。
それに、聖院を開いた時以上に増えているのです、女官も、そして後でお話ししますが、他の者たちも。
で、女官管理室という組織があって、女官たちの誰はどこに行って何時から何時まで働けだの、寮の部屋はどこだから掃除整頓寝具の入れ替えに自分の服の洗濯手入れなどなど、日頃の生活について指示しているそうです。
そして、私の役割は、女官が騎士ではなく女官として仕事をしている時に、新人や配置換えがあった際の教官役。
それと、女官同士の人間関係の調整などなど。
日本人の女でもある雅美母様に言わせますと、デスピニス・オリューレ…オリューレ女史やテシガワラ女史、そして現在はデスピニス・リミルシューネとテシガワラ・サンの2人がそれぞれ第1と第2の管理部長、で、私アフロディーテが女官指導部長となるようですね。
ですが、私が直接に仕事を指導していないし、できない部署もあるのですよ。
それが…財務局。
つまり、金かんじょうをするところ。
ここは、デルフィリーゼという金衣系譜者が精巧なからくりの体を貰って現世に復活した状態で、取り仕切っています。
で、私からしても、その痴女種たるペーオスの生えた女官の区分とされてしまっておりますので、そのデルフィリーゼという人物は上官となるそうです。
ええ、同様に上の位ではありますけど、私が女官としてもろうている金子の額を決めたり、実際に毎月の金子を渡してくれる手続きをする役所のようなところの、あるじ。
そういう立場とあっては、私より偉くされても仕方ないのかも知れません。
いえ、一応はその、財務局の出納部や財務部の研修とやらもちょこっと、受けたのですよ?
まさか、人間どもがアンティキティラの器械以上の煩雑なものをこしらえて、かね勘定に使うておるとは。
このアフロディーテ、不覚でした。
まぁ、この点についてはベラ子先生と特訓した結果、今やぱそこんなる器械の操作も、ひととおり。
何せ、これを使わないと女官たちの、その小遣い銭の額を決めるための成績を記す粘土板や木板またはパピルスの部類の代わりが出てこないのです。
で、晴れてこの女神アフロディーテ、普段は女官の長たるアフロディーネとして、尻が剥き出しとなった桃色の専用装束をまとって痴女宮の中を比較的自在に闊歩できるようになったのです。
しかし…許可がないと立ち入れない場所は、依然として存在します。
(財務局の関連施設やお部屋はね、あたしでも無許可だとダメよ。いえ…ベラちゃんやマリアちゃんですら…そう、アレーゼさんやマイレーネさんですら、下手をすると事前に許可を取らないとダメなところがあるの)
雅美母様、それはなぜ。
(もちろん、お金や数字を扱うからよ。そして、マイレーネさんもかつては女官長や女官管理室長だったけど、あの方が逆に率先して両替処…今の財務局の前身だった部署と、そこで働く女官についての掟を定めたのよ…だから、アレーゼさんとマイレーネさんは、財務に権力を振りかざして誰かが立ち入ったり無茶するのを、むしろ叱る立場ってわけなのよ…)
ふむふむ。
しかし、かくも厳しい取り扱いをする必要が…ある!
あります!
人の欲望の罪深さと果てしなさ、ミダスという人の王が神話神種族の時代に実証しおったではないですか!
ええ、マイダスとも言うこの王、その手で触れたものは、ことごとく黄金と変わり果てる呪いを受けたのです。
女にペーオスを突っ込むのはもちろん、食べ物や水すら触れぬ呪い。
ディオニュソスの加護で救われるまでは、かの王は生き地獄を味わったのですよ…。
ただ、痴女皇国でかねに関わること、雅美母様やベラ子先生、そしてれんぽう世界とかいう、人どもの統治する別の世の中を学んで来られたナンム母様たちに教わったのですが、金というものが本当に価値があるのは、その金と交換して食い物やら陶器やら布やら皮、それに青銅の剣やら神殿の石やら、まぁともかく何かしらのモノと取り替えるための値を決める際の一定のめじるしになる、ということでした。
金貨1枚で牛一頭、2枚で女奴隷1人だとか、そういう値付けをすることで、物物交換をたやすくする人の知恵なのだそうです。
しかし、これは金だけでは、人にその価値をもたらさない事になってしまうでしょう。
なぜならば、替えるべきものがあるからこそ、金にも価値が生じるのですよね。
これは、わたくしアフロディーテがいかに古い時代の者であっても、わかりますよ。
というか私らの支配していたときの神話半島ほか、そういう貨幣ってのを人どもが作って使ってたじゃないですか。
ええ、あの時は、銅でしたかね。
で、私はその、銅貨とやらを多少は知っております。
なぜか。
私がアフロディーテとして生まれた場所で作っておったからです、人ども。
ええ、ええ、キプロスとかいう島ですよ。
あそこが私のゆかりの土地だっていうの、マリアヴェッラ先生にとっての碧海島と同じなんです。
でまぁ、そんな縁のあるキプロス。
実は、私の管轄でもあるようにされたのです…。
なんで、そうなったのか。
ナンム母様が悪いのです。
(アフロディーテ!そもそもあなたがあそこの海で泡からうまれるとか、器用なことをなさるからでしょう…)
(それとキプロス、分けてもキッコスを管理することの意味がつながりません! しかもあそこ、キッコス聖母教会だけならまだしも、造幣局までもをあそこに作るとは…)
(文句を言う前にあなたには、キッコスの面倒を見るためのごほうびをわたせとデルフィリーゼにも、そしてベルナルディーゼにも伝えてそのようにさせておるではありませんか…人もうらやむことをしてもろうておいて、何をぜいたくなこと、ゆうておるのですか…)
ううっ。
あれを、言われたら私には辛いものがあるのです…。
それは何か。
そして、この「ご褒美」ですけどね。
財務局やキッコスの造幣局関係者へのご褒美でもあるのですよ…。
で、私は秘書役の…アメリカから帰って来たあと、とりあえず国土局から厚生局への配置転換と、そして私の侍従兼秘書として少しの間、修行を言われたイヌカイ…日本人の犬飼葉子を連れて、女官寮23階の更に上、屋上に上がります。
え、女官寮は22階までじゃないのと思われた方へ。
うふふふふふ。
実は、小改築によって、22階の更に上が出来たのです。
以前、財務女官の住まう寮室は機密扱いされていて、どの階のどこか判然としないとされていたでしょう。
で、昔は本当に、年に何回か、あちこちの部屋を入れ替えて移動していたり、あるいは特定の階を財務女官の専用にしていたそうです。
しかし、昨今は聖母教会の数も増えたり、聖母記念銀行港町支店改め痴女島本店の規模も拡大されたため、当初の財務部や財務局よりは本宮21階で働く財務女官、減っているそうです。
そこで、当初は港町寮という財務局の百人卒未満の職員女官専用の寮が門前町のどこかに作られまして、そこに女官を隔離する話になっておりました。
しかし、食事や買い物のための食堂や売店まで、その港町寮に併設するのか。
人や設備の無駄ではないのか、と言う意見も出たのです。
で、港町寮は聖母記念銀行支店向け研修生…つまり聖母教会の尼僧を兼ねていることがほとんどである財務女官見習いが増えた際の予備寮とされたのです。
その代わりに、本宮22階の国土局や通商局の幹部居室階の上に23階を増築して財務女官寮としたのです。
ちなみにこの23階、中でA階B階に別れておりまして、普通の女官寮の1階層の倍の人数を最大で収容、可能。
おまけに出入りは22階の幹部居住階を絶対に経由するように出来ています。
アネイキスティーラスも、一部を除いて乗り換えが必要。
そして、この23階の上の屋上。
すぐ隣の罪人寮も、23階が増築されまして、屋上と屋上を結ぶ渡り廊下もつきました。
で…罪人寮の方の増築階ですけどね、実は、財務女官よりも、もっとひた隠しに隠されていなくてはならない人間が住んでいるのですよ…。
そう、痴女宮では本来、門前町などを含めて、ごく少数が住むだけであるはずの偽女種専用寮が新設されたのです…。
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日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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