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アルトのアメリカ大冒険 - Route 69 -6.64
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(ふふふふふ…キリア・ムロミもまことに面白い手を思い付かれたもの…)
(暴力はおろか、脅迫強要すらせずに事を成し遂げようとなさるとは…乗りました、その話)
で、拘束された3名を担いだ私たちが向かっている第二滝壺ですが。
現在、そこは第一滝壺よりも標高としては下に位置しています。
そして、第一滝壺からはその存在が巧妙に隠されているのです。
理由は言うまでもなく、懲罰や試練の場として使用するため。
(最近じゃ裏動画の撮影にも使ってますよ)
(別にここで撮らなくても…)
で、撮影云々を言ってきたのは内務局広報部の部付け部長兼・出版課長にされている宇賀神雪子さん。
所属部署と役職的には、雅美さんの直属の部下となってしまうのです。
しかし、ある事情でこの子には、雅美さんと言えどもあまり強く出られない事情があるのです。
ゆっきーのお父さんは、現在では関東メディアサービス…その昔は関東テレビを名乗っていた会社の社員でした。
(連続してゴールデンタイムの番組こかした結果、番組制作や諸々に関わる揉め事処理要員という閑職に回されていた立場だったのは内密に…)
しかし、その方…ある事件のトラブル解決が縁で痴女皇国との関係が発生しただけでなく、まりりからのささやかな謝礼にということで、系列局のとちぎメディアという会社の非常勤役員の椅子を貰った上に、離婚した奥さんと再婚という話になりました。
(で、うちの母の重度のガン、まりあ先輩が一発で治してしまったんですよね…しかも桔梗母さんだけでなくて邦彦父さんまでも若返らせるとか…)
ですので、ゆっきーのお父さんとお母さん、まりりに頭が上がらない立場です。
そして、結構いいとこ…箱根にそこそこ広い土地を持っていた研究者の家系らしいのですが…の娘さんだったゆっきーをお嬢様学校経由で、私や雅美さんの母校であるどこぞ高校に滑り込ませたり、痴女皇国と縁が出来るようにしたのはまりりの手回しらしいのですが、まぁそれは置いといて、彼女は高校時代、ベラちゃんの同級生でした。
現在は分体が東京のお嬢様学校に通っているようですが、まぁそれはともかく。
ゆっきーの本体の職務には、痴女皇国の女官監視システムが収集した行動記録映像…ぶっちゃけ、性行為そのものを記録した内容の管理はもちろん、エロ本化や裏動画化が含まれます。
(室見先輩…せめて月間痴女宮の編集長って言ってくらはい…)
(あたしのエロ本を発禁にしてくれたら考えるわよっ)
で。
今回の滝壺での行為の記録についての連絡を受けたのですけどね。
今回、諸事情でいつものマイクロドローンによる撮影ではなく、カメラを持った撮影班が行くとか言われました。
この撮影、正直、撮って欲しくはないのです。
しかし、被写体である峯亜沙子さんとお仲間の後ろ盾に対する諸々に使用するために、ドローンだけでなく、高画質カメラによる記録も併用して欲しいというのが雅美さんだけでなく、ベラちゃんからのオーダーらしいのです。
ぐぬぬ。
そして、滝壺に到着した撮影要員の顔を見た瞬間、私はますますをもって、これからやる行為に邁進する意欲を喪失しかけたのです。
(いいいいいい伊藤課長、いや瞳さんがなんでここに…)
(雪子さんは編集と監視役で、広報部のデスクを離れられないようなのです…)
この方…内務局皇帝室秘書課長の伊藤瞳さんが、ゆっきーのことを宇賀神さんではなく雪子さんと呼ぶのにも訳があります。
瞳さんも、ゆっきーのお父さんのおかげで父子ともども命拾いしたくちなのです。
それも、当時は中南米で強大な勢力を誇っていたコロンビアの麻薬密売組織であるメデジン・カルテルに命を狙われるという危機的な状況から救ってもらっているのです。
で、この瞳さん、高校卒業後は望んだ進路に進めなくて、やむを得ずとちぎメディアの社員になっていた経歴があるのです。
ところが、その「某・国民的アイドルだった人」の現役時代を彷彿とさせる美貌、とちぎメディア制作のネット番組に出演したベラちゃんの目に留まったのが運の尽き。
用意された分体が世界的に有名でチャンピオンも獲ったF1パイロットと結婚したのみならず、本体は痴女皇国に連れて来られてジーナさんの後継者…皇帝室という、離宮と皇族を管理する部署の役職者にされてしまったのです。
んで、ベラちゃんが瞳さんを囲い込んだ理由は今更、申し上げるまでもありません。
ベラちゃんは日本人の地味子を囲い込んで愛人にしたがる悪癖があります。
幸いにしてこの室見、まりりのお薦めもあってベラちゃんが生まれる前に痴女皇国に来ておりまして、ダリアの同居人となっておりましたが…それがなければベラちゃんは絶対に、自分の部屋で私を寝起きさせていたと思うのです。
で、ゆっきーと似た事情があって、ベラちゃんは瞳さんに対しては、あまり手荒なことができません。
それと、それなりに多忙なベラちゃんが始終、瞳さんにくっついて痴女宮の生活を助けるわけにもいかないということで、痴女皇国世界の方のイタリア出身の騎士さんをボディガードとして瞳さんの本体にくっつけておくことになりました。
これが、現在は痴女宮や門前町…ひいては痴女島の防衛騎士団である白薔薇騎士団の長を務めているゼアラニーネさんがベラちゃんのお部屋に住んでいる理由です。
言うなればゼアラさんが、瞳さんの専属SPのような存在です。
(黒薔薇騎士団と紫薔薇騎士団の寮を兼ねた後宮、離宮の後ろに増改築したのも瞳さんの警護のためっていう面があんのよね…)
これにもれっきとした理由がありまして、瞳さんの分体、ご実家が世界的な富豪としても知られるそのF1チャンプの方…ジャン=リュック・パスカルという人と結婚しています。
で、そんなスターめいた人物の奥様となった瞳さん、当然のごとくセレブ界デビューしているのですが、実は一部のセレブから東洋人が高級リゾート地やコミュニティに入り込んで来るとは何事ぞ、と反感を買っていたようなのです。
これはインドやアラブの方々にしても同様で、白人系が大きな顔をしていられる場所とそうでない場所があって、いくら砂漠の中に大きな建物をずらっと並べた未来的な都市を建設したり、あるいは世界一高額で巨大な個人邸宅を建設してこの世の王様のような顔をして国際ビジネスを席巻しようとも、厳然と立ちはだかる人種的な壁、存在するそうですね…。
で、一部の肌の白い人から白い目で見られただけではなく、肌が白くないけどお金を持っている人からもよろしくない目で見られたり等々あって、瞳さんに危害を加える計画を立案構想する人まで出る始末。
そこで、敢えて世界のリゾート地を巡って遊んでもらい、そういう不埒ものを逆に釣って行こうという不遜な提案をしたのが、まりりこと痴女皇国上皇、マリアリーゼ。
ええ、まりりを本気で怒らせると、国際的な富豪や有名人でも真剣にやばいのです。
なにせ、どこに隠れようが潜もうが、見つけ出して転送をかけてしまえば終わります。
あとは代わりを送り込んだあと、事故なり事件に見せかけて完全に連邦世界から消え去った事にするなり、残った資産や組織を頂く等々、やりたい放題。
で、この富豪釣りの最中に引っかかった一人…それも瞳さんに関係がないのに犯罪がバレた結果、痴女皇国に来る羽目になったのが他ならぬ湯田屋系アメリカ人で世界的ホテルチェーン経営者の娘さんであるジェニファー・ゴールドラック嬢だったりするのは閑話休題ということで。
で。
今回も、まりりの怒るような話だったのですよ、峯さん一味が加入していた新興宗教団体による、痴女皇国浸透作戦(通称)…。
(まぁ、誠くんからあの団体と政党がとにかく足を引っ張るとか聞いてたしさ…りええ、NBや痴女皇国世界へのビジネスにも介入しそうだったの知ってただろ?)
(だから名目的にはアルストム主導ってことにして、表向きは日本があまり噛んでないように偽装する必要もあったのよねぇ…)
(ま、こっちが逆に介入させてもらう口実としちゃ弱いかも知れねぇけど、お互いに積もる因果の果てってやつだよ。一つ、恨みっこなしであたしらを怒らせた結果ってのを甘受してもらおうじゃん)
その結果がどうなったか。
拘束を解かれたものの、ドレインされてまだろくに動けない峯さんたちに対して突きつけられたもの。
板です。
タブレット型パソコンというもの。
その画面に表示されるのは、連邦世界の東京でのニュースの数々。
なんと、通称:西なんとか口人とかNK流人とか言われる自称:難民の方々のうち反日かつ過激な行動を取っていた若者の集団が「日本の国にあってはならない」歩兵用火器で武装して都内で暴れたという内容だったのです。
そして、その強力な武器、なんと彼らが解体建材の中から取り出した金属資源や車のスクラップ…はっきり言えば盗難車も含めたそれらを輸出入するルートで持ち込まれた上に、彼らの宗教的な風習で無理からにゴリ押しされた土葬のための墓地に隠されていたそうなのです…。
で、その通称NK流人の方々、痴女皇国世界では鯖挟国に該当する国の少数民族であり、鯖挟国に該当する国家政府からの独立を争っていたそうですけどね。
(どうも、他の反・西側的勢力と繋がって日本への浸透を狙っていたようでね…武器にしても、いらんことする猫絨毯国とか、西側じゃない国家の生産品を持ち込んでいたって捜査結果が出るだろうなぁ)
(なんでこの時点でまりりが全貌を知ってるかってだけで、裏の筋書きが読めるわよね…)
(日本を代表する仏教系の宗教施設を襲撃した結果、4桁に近い三桁台の死者が出て、警察どころか自衛軍まで出動する話になったわけだからねぇ…あたしらにしても、千代田区一丁目の例の兼業農家のご一家の宮廷防衛のために、ベラ子と乳上の指揮でテンプレス・セキュリティの緊急対応チームを出動させた実績を残さざるを得なかったわけだし)
ええ…都内の一角にあって、その宗教団体系の警備会社や青年団めいた組織が「自発的に」警備していた辺りにもロケット弾…それも、燃料気化爆弾とかいうものが使われたそうです…。
で、このタブレットを持ち込んだ人物…結局はこっちに行けという話になったらしい、ぜえはぁ言って肩を上下させている宇賀神雪子さんによりますと。
「峯亜沙子さんですね。痴女皇国広報部の宇賀神です。こちらは同じく痴女皇国皇帝室秘書課長の伊藤ですが、私の同僚に当たります。で…瞳さん…」
「私も連絡を受けて驚いたんですけど、峯さんが婦人部門の幹部をなさっておられた宗教団体の本部施設を狙った犯行らしいのです…首謀者は死亡または行方不明だそうですけど、朝の出勤時刻を狙ったテロ行為のようでして…」
「で、うちの父親や関東メディア経営顧問の田所氏経由の裏情報ですけど、あの駅の周辺の宗教団体の施設が密集した一角、警察の警備が手薄だったようですね…そして、昨今は商業施設の深夜清掃や民間委託のゴミ回収業者にも日本の生まれでない方が入り込んでいたり、付近の建物解体現場に隠された武器を使用したといった捜査結果が出ることになると聞かされています」
「峯さん…その宗教団体って、そういった脱法移民のお国や組織ですとか、彼らの生業となっている3K業種のあっせんや紹介をしている中国系業者と深いお付き合い、ありませんか…」
この、瞳さんのセリフにドキっとして体を震わせる、峯さんたち。
(はっきり言えば中原龍皇国に該当する国って、昔は戦車すら日本に持ち込もうとしてたからね…今は流石に本国に持ち帰ったみたいだけど、一時期は外交行嚢に隠して一個歩兵小隊が編成できる量と内容の銃器や火器、大使館に隠してたの知ってるし…)
そう、あの国も日本の国家転覆を狙っていた可能性があるそうです。
(どうもさ、連邦世界の地球の寒冷化問題、その中原龍皇国に該当する国にも漏れてたようでさ…で、その対策の主導権を握ろうってことで日本の政体を揺さぶって弱体化した隙に…って筋書きを書いてたようなんだよね…つまり峯さん、外患誘致ってことで、永田町や都内には捜査の手が入るだろうし、あたしら痴女種がその捜査に参加するとさ、何が出来て何が手っ取り早く調べられるか知ってる人がさ、皇宮警察や警視庁に何人も存在するんだよね…うん、連邦宙兵隊や加盟国家の特殊部隊も協力してくれると思うし、事件の全貌解明は早いと思うよ…)
(暴力はおろか、脅迫強要すらせずに事を成し遂げようとなさるとは…乗りました、その話)
で、拘束された3名を担いだ私たちが向かっている第二滝壺ですが。
現在、そこは第一滝壺よりも標高としては下に位置しています。
そして、第一滝壺からはその存在が巧妙に隠されているのです。
理由は言うまでもなく、懲罰や試練の場として使用するため。
(最近じゃ裏動画の撮影にも使ってますよ)
(別にここで撮らなくても…)
で、撮影云々を言ってきたのは内務局広報部の部付け部長兼・出版課長にされている宇賀神雪子さん。
所属部署と役職的には、雅美さんの直属の部下となってしまうのです。
しかし、ある事情でこの子には、雅美さんと言えどもあまり強く出られない事情があるのです。
ゆっきーのお父さんは、現在では関東メディアサービス…その昔は関東テレビを名乗っていた会社の社員でした。
(連続してゴールデンタイムの番組こかした結果、番組制作や諸々に関わる揉め事処理要員という閑職に回されていた立場だったのは内密に…)
しかし、その方…ある事件のトラブル解決が縁で痴女皇国との関係が発生しただけでなく、まりりからのささやかな謝礼にということで、系列局のとちぎメディアという会社の非常勤役員の椅子を貰った上に、離婚した奥さんと再婚という話になりました。
(で、うちの母の重度のガン、まりあ先輩が一発で治してしまったんですよね…しかも桔梗母さんだけでなくて邦彦父さんまでも若返らせるとか…)
ですので、ゆっきーのお父さんとお母さん、まりりに頭が上がらない立場です。
そして、結構いいとこ…箱根にそこそこ広い土地を持っていた研究者の家系らしいのですが…の娘さんだったゆっきーをお嬢様学校経由で、私や雅美さんの母校であるどこぞ高校に滑り込ませたり、痴女皇国と縁が出来るようにしたのはまりりの手回しらしいのですが、まぁそれは置いといて、彼女は高校時代、ベラちゃんの同級生でした。
現在は分体が東京のお嬢様学校に通っているようですが、まぁそれはともかく。
ゆっきーの本体の職務には、痴女皇国の女官監視システムが収集した行動記録映像…ぶっちゃけ、性行為そのものを記録した内容の管理はもちろん、エロ本化や裏動画化が含まれます。
(室見先輩…せめて月間痴女宮の編集長って言ってくらはい…)
(あたしのエロ本を発禁にしてくれたら考えるわよっ)
で。
今回の滝壺での行為の記録についての連絡を受けたのですけどね。
今回、諸事情でいつものマイクロドローンによる撮影ではなく、カメラを持った撮影班が行くとか言われました。
この撮影、正直、撮って欲しくはないのです。
しかし、被写体である峯亜沙子さんとお仲間の後ろ盾に対する諸々に使用するために、ドローンだけでなく、高画質カメラによる記録も併用して欲しいというのが雅美さんだけでなく、ベラちゃんからのオーダーらしいのです。
ぐぬぬ。
そして、滝壺に到着した撮影要員の顔を見た瞬間、私はますますをもって、これからやる行為に邁進する意欲を喪失しかけたのです。
(いいいいいい伊藤課長、いや瞳さんがなんでここに…)
(雪子さんは編集と監視役で、広報部のデスクを離れられないようなのです…)
この方…内務局皇帝室秘書課長の伊藤瞳さんが、ゆっきーのことを宇賀神さんではなく雪子さんと呼ぶのにも訳があります。
瞳さんも、ゆっきーのお父さんのおかげで父子ともども命拾いしたくちなのです。
それも、当時は中南米で強大な勢力を誇っていたコロンビアの麻薬密売組織であるメデジン・カルテルに命を狙われるという危機的な状況から救ってもらっているのです。
で、この瞳さん、高校卒業後は望んだ進路に進めなくて、やむを得ずとちぎメディアの社員になっていた経歴があるのです。
ところが、その「某・国民的アイドルだった人」の現役時代を彷彿とさせる美貌、とちぎメディア制作のネット番組に出演したベラちゃんの目に留まったのが運の尽き。
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んで、ベラちゃんが瞳さんを囲い込んだ理由は今更、申し上げるまでもありません。
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これが、現在は痴女宮や門前町…ひいては痴女島の防衛騎士団である白薔薇騎士団の長を務めているゼアラニーネさんがベラちゃんのお部屋に住んでいる理由です。
言うなればゼアラさんが、瞳さんの専属SPのような存在です。
(黒薔薇騎士団と紫薔薇騎士団の寮を兼ねた後宮、離宮の後ろに増改築したのも瞳さんの警護のためっていう面があんのよね…)
これにもれっきとした理由がありまして、瞳さんの分体、ご実家が世界的な富豪としても知られるそのF1チャンプの方…ジャン=リュック・パスカルという人と結婚しています。
で、そんなスターめいた人物の奥様となった瞳さん、当然のごとくセレブ界デビューしているのですが、実は一部のセレブから東洋人が高級リゾート地やコミュニティに入り込んで来るとは何事ぞ、と反感を買っていたようなのです。
これはインドやアラブの方々にしても同様で、白人系が大きな顔をしていられる場所とそうでない場所があって、いくら砂漠の中に大きな建物をずらっと並べた未来的な都市を建設したり、あるいは世界一高額で巨大な個人邸宅を建設してこの世の王様のような顔をして国際ビジネスを席巻しようとも、厳然と立ちはだかる人種的な壁、存在するそうですね…。
で、一部の肌の白い人から白い目で見られただけではなく、肌が白くないけどお金を持っている人からもよろしくない目で見られたり等々あって、瞳さんに危害を加える計画を立案構想する人まで出る始末。
そこで、敢えて世界のリゾート地を巡って遊んでもらい、そういう不埒ものを逆に釣って行こうという不遜な提案をしたのが、まりりこと痴女皇国上皇、マリアリーゼ。
ええ、まりりを本気で怒らせると、国際的な富豪や有名人でも真剣にやばいのです。
なにせ、どこに隠れようが潜もうが、見つけ出して転送をかけてしまえば終わります。
あとは代わりを送り込んだあと、事故なり事件に見せかけて完全に連邦世界から消え去った事にするなり、残った資産や組織を頂く等々、やりたい放題。
で、この富豪釣りの最中に引っかかった一人…それも瞳さんに関係がないのに犯罪がバレた結果、痴女皇国に来る羽目になったのが他ならぬ湯田屋系アメリカ人で世界的ホテルチェーン経営者の娘さんであるジェニファー・ゴールドラック嬢だったりするのは閑話休題ということで。
で。
今回も、まりりの怒るような話だったのですよ、峯さん一味が加入していた新興宗教団体による、痴女皇国浸透作戦(通称)…。
(まぁ、誠くんからあの団体と政党がとにかく足を引っ張るとか聞いてたしさ…りええ、NBや痴女皇国世界へのビジネスにも介入しそうだったの知ってただろ?)
(だから名目的にはアルストム主導ってことにして、表向きは日本があまり噛んでないように偽装する必要もあったのよねぇ…)
(ま、こっちが逆に介入させてもらう口実としちゃ弱いかも知れねぇけど、お互いに積もる因果の果てってやつだよ。一つ、恨みっこなしであたしらを怒らせた結果ってのを甘受してもらおうじゃん)
その結果がどうなったか。
拘束を解かれたものの、ドレインされてまだろくに動けない峯さんたちに対して突きつけられたもの。
板です。
タブレット型パソコンというもの。
その画面に表示されるのは、連邦世界の東京でのニュースの数々。
なんと、通称:西なんとか口人とかNK流人とか言われる自称:難民の方々のうち反日かつ過激な行動を取っていた若者の集団が「日本の国にあってはならない」歩兵用火器で武装して都内で暴れたという内容だったのです。
そして、その強力な武器、なんと彼らが解体建材の中から取り出した金属資源や車のスクラップ…はっきり言えば盗難車も含めたそれらを輸出入するルートで持ち込まれた上に、彼らの宗教的な風習で無理からにゴリ押しされた土葬のための墓地に隠されていたそうなのです…。
で、その通称NK流人の方々、痴女皇国世界では鯖挟国に該当する国の少数民族であり、鯖挟国に該当する国家政府からの独立を争っていたそうですけどね。
(どうも、他の反・西側的勢力と繋がって日本への浸透を狙っていたようでね…武器にしても、いらんことする猫絨毯国とか、西側じゃない国家の生産品を持ち込んでいたって捜査結果が出るだろうなぁ)
(なんでこの時点でまりりが全貌を知ってるかってだけで、裏の筋書きが読めるわよね…)
(日本を代表する仏教系の宗教施設を襲撃した結果、4桁に近い三桁台の死者が出て、警察どころか自衛軍まで出動する話になったわけだからねぇ…あたしらにしても、千代田区一丁目の例の兼業農家のご一家の宮廷防衛のために、ベラ子と乳上の指揮でテンプレス・セキュリティの緊急対応チームを出動させた実績を残さざるを得なかったわけだし)
ええ…都内の一角にあって、その宗教団体系の警備会社や青年団めいた組織が「自発的に」警備していた辺りにもロケット弾…それも、燃料気化爆弾とかいうものが使われたそうです…。
で、このタブレットを持ち込んだ人物…結局はこっちに行けという話になったらしい、ぜえはぁ言って肩を上下させている宇賀神雪子さんによりますと。
「峯亜沙子さんですね。痴女皇国広報部の宇賀神です。こちらは同じく痴女皇国皇帝室秘書課長の伊藤ですが、私の同僚に当たります。で…瞳さん…」
「私も連絡を受けて驚いたんですけど、峯さんが婦人部門の幹部をなさっておられた宗教団体の本部施設を狙った犯行らしいのです…首謀者は死亡または行方不明だそうですけど、朝の出勤時刻を狙ったテロ行為のようでして…」
「で、うちの父親や関東メディア経営顧問の田所氏経由の裏情報ですけど、あの駅の周辺の宗教団体の施設が密集した一角、警察の警備が手薄だったようですね…そして、昨今は商業施設の深夜清掃や民間委託のゴミ回収業者にも日本の生まれでない方が入り込んでいたり、付近の建物解体現場に隠された武器を使用したといった捜査結果が出ることになると聞かされています」
「峯さん…その宗教団体って、そういった脱法移民のお国や組織ですとか、彼らの生業となっている3K業種のあっせんや紹介をしている中国系業者と深いお付き合い、ありませんか…」
この、瞳さんのセリフにドキっとして体を震わせる、峯さんたち。
(はっきり言えば中原龍皇国に該当する国って、昔は戦車すら日本に持ち込もうとしてたからね…今は流石に本国に持ち帰ったみたいだけど、一時期は外交行嚢に隠して一個歩兵小隊が編成できる量と内容の銃器や火器、大使館に隠してたの知ってるし…)
そう、あの国も日本の国家転覆を狙っていた可能性があるそうです。
(どうもさ、連邦世界の地球の寒冷化問題、その中原龍皇国に該当する国にも漏れてたようでさ…で、その対策の主導権を握ろうってことで日本の政体を揺さぶって弱体化した隙に…って筋書きを書いてたようなんだよね…つまり峯さん、外患誘致ってことで、永田町や都内には捜査の手が入るだろうし、あたしら痴女種がその捜査に参加するとさ、何が出来て何が手っ取り早く調べられるか知ってる人がさ、皇宮警察や警視庁に何人も存在するんだよね…うん、連邦宙兵隊や加盟国家の特殊部隊も協力してくれると思うし、事件の全貌解明は早いと思うよ…)
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