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欧州傀儡雑技団ものがたり -Le cirque de marionnettes- 11.04
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あのですねぇ。
お願いですから勅命、守りましょうよ。
ええ、北翼改め東翼棟の端にある王宮過激、いえ歌劇場。
そこの手前に設けられた楽屋設備の中の風呂。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/217/
その、風呂の湯に偽女種化聖水製剤を入れようとした人物が捕縛されたのです。
しかも、東方聖母教会向けの指導偽女種用。
これって、奉仕か懲罰偽女種用を使ってから、更に昇格のために使うものでは。
つまり、どこの東方聖母教会にもぽん、と置かれているものではないはずなのです。
ええ、私の目の前には、そのどこでもそこでも常備されていたり、誰でも彼でも触れ扱え持ち出せないはずのものを、職権で持ち出せるだけの階級の人物が正座しています。
それも、3名も。
アルテローゼ東欧行政局長。
メーテヒルデ中独支部長。
そして、田中雅美・本宮内務局長。
旧出家名クレーニャ様のメーテヒルデ支部長はまだしも、乳上とマサミさんは他の模範になるべき人物なのでは。
その、痴女皇国の木鐸となるべきお二人が、よりによって「やるな」と言われたことをやらかしかけた。
で、このお二人に説教をぶちかませる人材をとお願いしたのが、中東行政局長のシェヘラザード様。
いえ、私とマルハレータ殿下の独断で、スイスの欧州地区本部に連絡を取ってマイレーネ本部長にお越し願おうかとすら考えておりました。
しかし、それでは後に禍根を残す厳罰を下されるのが明らかです。
ここは、このお二人に恩を売るべき。
私とマルハレータ殿下は、マリアリーゼ陛下に連絡を取り、人選を依頼しました。
(痴女皇国しょた愛好家友の会名誉顧問では甘すぎる罰を下す可能性、ありましたからな…)
(確かに、ベラ子陛下じゃ絶対に罰の名に値しない罰を言うのが明白…)
ええ、実際に今、ベラ子陛下は懸命に2人を庇っておいでです。
しかし、いきなり指導偽女種にするか。
それも、おふたりの王子様とも、並外れた助平ではないからと「偽女種になる気になった場合は僕たちから言います」って申しておいでなのですよっ。
そして、普通ならそんなもん無視して無理に偽女種にしてしまうことも多々なのですが、こと、ルイ16世陛下の王子様お二方については、親御さんとご本人の意志を尊重すべきである。
こういう裁定が家族会から出てるの、公式連絡で来てたじゃないですか。
(乳上はまだしも、雅美母様は最低でも茸島上陸禁止1ヶ月で)
(乳上もアトスとメテオラ出入り禁止1ヶ月は最低条件では)
(待ってよアフロにペルセ…それ、きつくない?)
(雅美母様。このままいけばパリ出禁、いえフランス出禁は必至でしょう。そして乳上もそれに同じなのです)
(そうなればコンスタンチノープルや滅姦も追随せざるを得ないはず…つまり、パリ出禁にされると、他のショタの青唐辛子畑全てに出入り禁止が言い渡される危険を感じるのです…その前に適当なところで妥協して罰に甘んじるべきなのです…)
と、ペルセポネーゼ副警務局長兼・黒薔薇騎士団本団長様とアフロディーネ・本宮女官長様にも言い切られております。
そして、このお二人が介入しているのは、他ならぬシェヘラザード局長もコンスタンチノープルにイェニチェリという昔はほもばかり、今はしょたばかりの男性騎士団を編成しているお立場だからなのです。
つまりは、マサミさんや乳上、そしてクレーニャ様の広義の同類。
ですから、この場にシェヘラザード様が呼ばれておるのは、本当のところは懲罰委員としてではなく「自分も懲罰を受ける前にショタ愛好家友の会の身内で何らかの示しをつけてくれ」ということなのです。
これが、マリアリーゼ陛下からの深慮遠謀の懲罰委員人事ということですね。
で、私も妥協案を出しましょう。
「確かに少年愛好の趣味というのはわからなくもありません。で、それならば我が母はカーサ・デ・カンポ南側の黒人生活館管轄の少年たちの舞踊や曲芸の修練を見てもらうのはどうかと申しております」
「え」
「む…」
「滅姦の少年たちとあまり変わらないはずなんですが…」
(ぬぬぬぬぬ…確かに少年は少年なんだけど…)
(あそこの子は癖があるから…)
そう、日本人のマサミさんと、東欧の乳上には黒んぼ少年というものは苦手な部類のようなのです。
ですので、カーサ・デ・カンポや暗黒大陸は諸子宦官国の偽女種生活館の子たちについて、ショタ愛好家友の会でも現地に入り浸っている子はあまり多くはなかったはずなのです。
(うちでも構いませんよ。魔屋王国管内ならば偽女種になってない少年はわりとおりますし、何よりメキシコシティまたはティノチティトランの悪所ならば食い放題)
(離魔の愛隣会館は別に問題ありません。メキシコの悪所と状況は類似。なんでしたらチンボテで)
(雅美さんに乳上…マドゥラの競牛でも習っておく?)
と、微妙にこのお三方が苦手そうな「しょたぼくじょう」の場所を所轄しておられる他の幹部の方々からも申し出が来ておりますが。
「それよりは、セリム陛下とミルチャ殿下にバレエを覚えて頂く方がよろしいかと」
と、私からそろっと、しかし辛辣な案を出させて頂きます。
これ、実は結構きつめの罰になるというのがお分かりでしょうか。
つまり、シェヘラザード様と乳上のご子息にパリ留学を勧めている話になるのです。
二人にしてみれば、苗床の毒を抜くための第一人者を手元から離されることになるのですよ…そして、セリム陛下もミルチャ殿下も王族の部類。
そしてこれが通れば、他の幹部の方々の縁者の少年、パリに来させてバレエを習わせろという話になりかねません。
ですが、ここで私は心話を交わします。
(セリム様もミルチャ様も指導偽女種じゃないですか…つまり、色気抜きには過ごせないのでしょう…女はこちらで都合できますし、なんでしたらお母様方同伴でパリにお越しになっても…)
ええ、短期間の滞在ならばマリニー宮がありますし、1ヶ月ならそれこそ、エリゼ宮に。
(それとアルテローゼ様、色気盛りのミルチャ様やセリム様の偽女種姿を見れば、王陛下の王子とて心動かされるやも知れませんよ…)
で、この私の追い討ちに対して、シェヘラザード様と乳上の反応は、いかに。
(う…なるほど、これは確かにフラメンシア殿下の申される通り…乳上、いかがでしょう…)
(本来ならばミルチャを手元から引き剥がすような話は金輪際お断りしたくあります。しかし…パリ留学という文言には、人の母として心動くのは事実です…ぐ、ぐぐぐぐぐぐ…)
そして、この話はですね。
1ヶ月とはいえ、お子様方を留学させる件で同伴されようがされまいが、私はどうだって良いのです。
しかし、この方々の性質からすれば、絶対に絶対に絶対に親バカになる。
つまり、留学期間中にパリに滞在されるか、または頻繁にお越しになる。
で、その際の各行政局の穴埋めで内務局もてんてこまいになるだろう。
すなわち、田中局長も必然的に影響を受けてしまうのです。
更には、この前例が出来たことで痴女皇国幹部の子女はバレエも覚える話になる可能性が極めて高いだろう。
そうなれば、否応なしにこの、再開発途上のパリ暮らしをしてもらわなくてはならないのです。
ふふふふふ、カイゼンの話が出た際の予算申請も通りやすくなるのでねぇ。
(た、確かにショタの巣への出入り禁止を言い渡されたり、あげくショタ愛好家友の会の活動を阻害されるような懲罰よりは遥かに呑める案なのですが…ですが…)
(乳上、ここは断腸の思いで合意すべきです…そりゃあ私だって、1ヶ月まるごとコンスタンチノープルを離れるためには本宮に頭を下げて黒薔薇騎士でもお借りするか、さもなくば南欧行政支局に頭を下げて息子たちの面倒を見て頂くか二つに一つ…)
ふふふふふ、私はどーーーーっちでも構わんのです。
(ふふふ、フラメンシアちゃんもなかなかいい手を考えつくもんだね…)
(これでこの子の手腕で、借金を減額してくれたらと思うのですけどね)
ええ、私がクララ姉様やカタリナ姉様を差し置いてイスパニア次期女王とかフランス女王とか言われてる理由ですけどね、恐ろしいことにですね、南欧支部改め南欧行政支局が聖母記念銀行に対して積み重ねていた借款の返済能力、一番に期待できそうだっていう身も蓋も無い話があるんですよ!
いくら能力主義の痴女皇国とは申しましても、これはあまりにひどすぎでは。
(イザベルさんに回ってるんですよね、パリの復興やカイゼンや近代化に要した工事費用や他のもろもろ…)
(汚いさすがベラ子陛下きたないですわっ)
(そりゃフランスが管内になるんだから当然じゃないですか…イザベルさんもそれくらいは予測してくださいよっ)
確かに今のフランス会計院の出してきた資料や、国家の資金や資本資産などの管理有価物、そりゃあ革命も考えられるかも知れないなという惨状でした。
なにせ人口にして僅か2%の第一・第二身分者…王族や貴族が国土の4割を保有している上に、非課税だったのです。
https://x.com/725578cc/status/1823974418235973703
第一身分> 王族△ (貴人年金有)
第二身分> 貴族△△ ↑非課税
-----------------------------------
第三身分> 富裕民△△△ ↓課税
平 民△△△△
貧 民△△△△△
(痴女皇国世界と連邦世界では少し変わるけど、第一身分が聖職者ではなく王権者になるのが痴女皇国世界だと思って欲しい)
痴女皇国だと第一身分が率先して生殖者という気もしますが、まぁとりあえず。
で、フランスの財政難問題ですが、フランス病作戦での麦がダメになっただけが理由ではなかったのです。
フランスはもともと、ナポリ王国他、イタリア…そして地中海各地の政治経済に大きく食い込んでいました。
しかし、痴女皇国とボルジア家・エステ家が結託した結果、メディチ家やパッツィ家といった富裕資産家に、他のイタリア豪族もその傘下に加わりイタリアの統一と独立が為されたのです。
これが、どういう結果になるか。
地中海での領土や利権、フランスは大きく逸失することになるのです。
更には鯖挟国や東欧諸国、暗黒大陸沿岸に…加えて、我がスペインも早くから痴女皇国に屈しておりました。
連邦世界では方々に戦争を仕掛けたり、三十年戦争と言われる長期の戦いを繰り広げていた軍事国家が向こうのフランスだったそうですが、こちらではその牙を抜かれたも同然。
ですので、莫大な戦費支出こそ免れてはおりますが、従来の領土や臣従国家からの貢納が期待できなくなっていたのです。
そして不吸運河の開通や、動力船による海上輸送の改善に加えて、スペインに敷かれた鉄の道の威力。
これらは、東方や新大陸からの人も荷もことごとく、鯖挟国や東欧諸国やイタリアやスペイン、そして英国を通じて欧州に向かうことを意味していたのです。
そう…人やものの流れでも、フランスははみだし者にされたのです。
つまり、物品や旅人に税金をかけられないということになりますよね。
更には通貨品質を安定化させる建前の独自通貨の流通や、他国の通貨の鋳造委託によって、フランス・フランの価値は下落しました。
で、フランスの小麦よりも大量に流通しており品質も確かな南米産の小麦や、飼料野菜。
これも、フランスの収入に打撃を与えたのです。
この、一発の砲弾も撃ち込むことなくフランスを壊滅寸前にまで追いやった経済戦争の結果、フランスの国庫は大変なことになっていたのです…。
(デモンストレーション用や駄洒落菌散布用の弾頭は撃ってるけどな)
(まぁまぁ、死人が出るようなもんは基本的に撃たれなかったということで)
で、これは我がスペインでも母や痴女皇国がやったことですけど、貴族の免税特権、廃止しました。
というか基本的に聖環つけてたら、自動的に課税対象です。
しかし、ここに痴女皇国の介入の余地がありました。
実は南欧支部が長らく支部の扱いだった理由に、支部管内…つまりスペイン王国の国家財政の管理を痴女皇国本国の財務局に委託しているか否かという件があったのです。
そして、南欧支部ではスペイン王国の行政に関われるのは女官や騎士とされ、痴女皇国の職員身分も有する立場だったのです。
これは、スペインの財政制度に左右されずに痴女皇国からの報酬を頂ける反面、その金額は人によって大きく削られてしまいます。
ですから、痴女皇国としての国家公務員なる役人身分である女官として雇うから、国の財政は痴女皇国が面倒見るわとなったのです。
ただ、スペインについては王室財政の経緯から、王室資産は相当数が残されたのです…ただし、その代わりに現在の支局や行政局につながる試みである「痴女皇国からの融資を受けて国家事業を独自に行ってもよい」という規定が設けられたのですよ。
これが、うちの母たるイザベルが借金借金と言ってる借款の正体です。
この借款によって火災で消失した王宮の代替にオリエンテ宮殿を建設して頂いたり、スペイン国内の各都市や街道網の整備の費用が賄われたのです。
(お船の建造費用も、スペインがおねだりした分は借款でまかなわれてますよ…)
つまり、スペインの国家事業だけでなく、痴女皇国世界での鉄道事業となる例の鉄の道、あれについては本国の予算も相応に投入されているので、単にうちの国の借金が増やされただけってわけでもないのですよ。
それに、あれは今の時点では王室鉄道となっておりまして、収入は一旦、王室の金庫に行きます。
ただ…そこから借款返済に充当される分が相応に引き抜かれるんですけどね…。
で、貴族たちには本人や子女が痴女皇国の雇用対象となる女官の部類になるか、さもなくば協力者として商会なり荘園なりの営利組織の長となるかを目指すことを要望されたのです。
これが、うちの国…スペインの婦人騎士団や闘牛騎士団に、貴族子弟子女が多い理由でもあるのですよ…。
その家から女官や騎士を差し出せば、その人数に応じて課税を減免しましょう、とやったのです。
それと、その土地によっては地税額を大幅に引き上げるから今のうちに国家に返納しとく方がええで、と噂を流して二束三文で土地を買い上げる形で返還させたそうです…。
つまり今、スペイン国内に純粋な貴族は存在せず、そのほとんどは何らかの実業を経営することで収入を得ております。
そして、実業の内容については南欧支部、ひいては痴女皇国が斡旋して彼らが食いあぶれないように配慮してやっているものも結構な数に登るのです…言うなれば、南欧支部の事業や業務を外注委託している委託先の経営者でもあるのですよ。
(で、その利益でうっはうっはしてる富裕層が河原や王賓庭園で女自慢とかやってるんですよ)
(んでさ、フラメンシアちゃんとしては、同じようなやりくちでフランスのお貴族様たちを富裕層に組み込んでフランスの国家収入をカイゼンしたいんだよね)
(それは別に悪いことではないのでは…)
(だけど貴族によっては商才がないのがいたりするだろ…ほら、明治維新の時の武家の商法ってあれよ、あれのフランス版が起きる可能性もあるだろ…)
(ねーさん、あたしが日本史にも弱いのを知って)
(というか比丘尼国の政治にも影響するんだからちゃんと覚えるか雅美さんの頭から吸引させてもらえっ)
(あたしの知識は吸引される部類だったのね…)
まぁともかく。
ルイ16世陛下とそのご家族には、こころ安らかに隠居頂くためにもこういう改革は進めたいのです。
そして、貴族連中の不安を払拭するためにも、王陛下のご家族との接触機会を設けて、意図的な情報漏洩を図りたいとも考えてるんですよ、私。
(だからこその富裕層の遊び場作りであり、観劇の場を作ろうとしてるんだからさ、乳上やシェヘラザードさんもぜひにフラメンシアちゃんたちフランス行政カイゼン団に協力したげてよ…)
お願いですから勅命、守りましょうよ。
ええ、北翼改め東翼棟の端にある王宮過激、いえ歌劇場。
そこの手前に設けられた楽屋設備の中の風呂。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/217/
その、風呂の湯に偽女種化聖水製剤を入れようとした人物が捕縛されたのです。
しかも、東方聖母教会向けの指導偽女種用。
これって、奉仕か懲罰偽女種用を使ってから、更に昇格のために使うものでは。
つまり、どこの東方聖母教会にもぽん、と置かれているものではないはずなのです。
ええ、私の目の前には、そのどこでもそこでも常備されていたり、誰でも彼でも触れ扱え持ち出せないはずのものを、職権で持ち出せるだけの階級の人物が正座しています。
それも、3名も。
アルテローゼ東欧行政局長。
メーテヒルデ中独支部長。
そして、田中雅美・本宮内務局長。
旧出家名クレーニャ様のメーテヒルデ支部長はまだしも、乳上とマサミさんは他の模範になるべき人物なのでは。
その、痴女皇国の木鐸となるべきお二人が、よりによって「やるな」と言われたことをやらかしかけた。
で、このお二人に説教をぶちかませる人材をとお願いしたのが、中東行政局長のシェヘラザード様。
いえ、私とマルハレータ殿下の独断で、スイスの欧州地区本部に連絡を取ってマイレーネ本部長にお越し願おうかとすら考えておりました。
しかし、それでは後に禍根を残す厳罰を下されるのが明らかです。
ここは、このお二人に恩を売るべき。
私とマルハレータ殿下は、マリアリーゼ陛下に連絡を取り、人選を依頼しました。
(痴女皇国しょた愛好家友の会名誉顧問では甘すぎる罰を下す可能性、ありましたからな…)
(確かに、ベラ子陛下じゃ絶対に罰の名に値しない罰を言うのが明白…)
ええ、実際に今、ベラ子陛下は懸命に2人を庇っておいでです。
しかし、いきなり指導偽女種にするか。
それも、おふたりの王子様とも、並外れた助平ではないからと「偽女種になる気になった場合は僕たちから言います」って申しておいでなのですよっ。
そして、普通ならそんなもん無視して無理に偽女種にしてしまうことも多々なのですが、こと、ルイ16世陛下の王子様お二方については、親御さんとご本人の意志を尊重すべきである。
こういう裁定が家族会から出てるの、公式連絡で来てたじゃないですか。
(乳上はまだしも、雅美母様は最低でも茸島上陸禁止1ヶ月で)
(乳上もアトスとメテオラ出入り禁止1ヶ月は最低条件では)
(待ってよアフロにペルセ…それ、きつくない?)
(雅美母様。このままいけばパリ出禁、いえフランス出禁は必至でしょう。そして乳上もそれに同じなのです)
(そうなればコンスタンチノープルや滅姦も追随せざるを得ないはず…つまり、パリ出禁にされると、他のショタの青唐辛子畑全てに出入り禁止が言い渡される危険を感じるのです…その前に適当なところで妥協して罰に甘んじるべきなのです…)
と、ペルセポネーゼ副警務局長兼・黒薔薇騎士団本団長様とアフロディーネ・本宮女官長様にも言い切られております。
そして、このお二人が介入しているのは、他ならぬシェヘラザード局長もコンスタンチノープルにイェニチェリという昔はほもばかり、今はしょたばかりの男性騎士団を編成しているお立場だからなのです。
つまりは、マサミさんや乳上、そしてクレーニャ様の広義の同類。
ですから、この場にシェヘラザード様が呼ばれておるのは、本当のところは懲罰委員としてではなく「自分も懲罰を受ける前にショタ愛好家友の会の身内で何らかの示しをつけてくれ」ということなのです。
これが、マリアリーゼ陛下からの深慮遠謀の懲罰委員人事ということですね。
で、私も妥協案を出しましょう。
「確かに少年愛好の趣味というのはわからなくもありません。で、それならば我が母はカーサ・デ・カンポ南側の黒人生活館管轄の少年たちの舞踊や曲芸の修練を見てもらうのはどうかと申しております」
「え」
「む…」
「滅姦の少年たちとあまり変わらないはずなんですが…」
(ぬぬぬぬぬ…確かに少年は少年なんだけど…)
(あそこの子は癖があるから…)
そう、日本人のマサミさんと、東欧の乳上には黒んぼ少年というものは苦手な部類のようなのです。
ですので、カーサ・デ・カンポや暗黒大陸は諸子宦官国の偽女種生活館の子たちについて、ショタ愛好家友の会でも現地に入り浸っている子はあまり多くはなかったはずなのです。
(うちでも構いませんよ。魔屋王国管内ならば偽女種になってない少年はわりとおりますし、何よりメキシコシティまたはティノチティトランの悪所ならば食い放題)
(離魔の愛隣会館は別に問題ありません。メキシコの悪所と状況は類似。なんでしたらチンボテで)
(雅美さんに乳上…マドゥラの競牛でも習っておく?)
と、微妙にこのお三方が苦手そうな「しょたぼくじょう」の場所を所轄しておられる他の幹部の方々からも申し出が来ておりますが。
「それよりは、セリム陛下とミルチャ殿下にバレエを覚えて頂く方がよろしいかと」
と、私からそろっと、しかし辛辣な案を出させて頂きます。
これ、実は結構きつめの罰になるというのがお分かりでしょうか。
つまり、シェヘラザード様と乳上のご子息にパリ留学を勧めている話になるのです。
二人にしてみれば、苗床の毒を抜くための第一人者を手元から離されることになるのですよ…そして、セリム陛下もミルチャ殿下も王族の部類。
そしてこれが通れば、他の幹部の方々の縁者の少年、パリに来させてバレエを習わせろという話になりかねません。
ですが、ここで私は心話を交わします。
(セリム様もミルチャ様も指導偽女種じゃないですか…つまり、色気抜きには過ごせないのでしょう…女はこちらで都合できますし、なんでしたらお母様方同伴でパリにお越しになっても…)
ええ、短期間の滞在ならばマリニー宮がありますし、1ヶ月ならそれこそ、エリゼ宮に。
(それとアルテローゼ様、色気盛りのミルチャ様やセリム様の偽女種姿を見れば、王陛下の王子とて心動かされるやも知れませんよ…)
で、この私の追い討ちに対して、シェヘラザード様と乳上の反応は、いかに。
(う…なるほど、これは確かにフラメンシア殿下の申される通り…乳上、いかがでしょう…)
(本来ならばミルチャを手元から引き剥がすような話は金輪際お断りしたくあります。しかし…パリ留学という文言には、人の母として心動くのは事実です…ぐ、ぐぐぐぐぐぐ…)
そして、この話はですね。
1ヶ月とはいえ、お子様方を留学させる件で同伴されようがされまいが、私はどうだって良いのです。
しかし、この方々の性質からすれば、絶対に絶対に絶対に親バカになる。
つまり、留学期間中にパリに滞在されるか、または頻繁にお越しになる。
で、その際の各行政局の穴埋めで内務局もてんてこまいになるだろう。
すなわち、田中局長も必然的に影響を受けてしまうのです。
更には、この前例が出来たことで痴女皇国幹部の子女はバレエも覚える話になる可能性が極めて高いだろう。
そうなれば、否応なしにこの、再開発途上のパリ暮らしをしてもらわなくてはならないのです。
ふふふふふ、カイゼンの話が出た際の予算申請も通りやすくなるのでねぇ。
(た、確かにショタの巣への出入り禁止を言い渡されたり、あげくショタ愛好家友の会の活動を阻害されるような懲罰よりは遥かに呑める案なのですが…ですが…)
(乳上、ここは断腸の思いで合意すべきです…そりゃあ私だって、1ヶ月まるごとコンスタンチノープルを離れるためには本宮に頭を下げて黒薔薇騎士でもお借りするか、さもなくば南欧行政支局に頭を下げて息子たちの面倒を見て頂くか二つに一つ…)
ふふふふふ、私はどーーーーっちでも構わんのです。
(ふふふ、フラメンシアちゃんもなかなかいい手を考えつくもんだね…)
(これでこの子の手腕で、借金を減額してくれたらと思うのですけどね)
ええ、私がクララ姉様やカタリナ姉様を差し置いてイスパニア次期女王とかフランス女王とか言われてる理由ですけどね、恐ろしいことにですね、南欧支部改め南欧行政支局が聖母記念銀行に対して積み重ねていた借款の返済能力、一番に期待できそうだっていう身も蓋も無い話があるんですよ!
いくら能力主義の痴女皇国とは申しましても、これはあまりにひどすぎでは。
(イザベルさんに回ってるんですよね、パリの復興やカイゼンや近代化に要した工事費用や他のもろもろ…)
(汚いさすがベラ子陛下きたないですわっ)
(そりゃフランスが管内になるんだから当然じゃないですか…イザベルさんもそれくらいは予測してくださいよっ)
確かに今のフランス会計院の出してきた資料や、国家の資金や資本資産などの管理有価物、そりゃあ革命も考えられるかも知れないなという惨状でした。
なにせ人口にして僅か2%の第一・第二身分者…王族や貴族が国土の4割を保有している上に、非課税だったのです。
https://x.com/725578cc/status/1823974418235973703
第一身分> 王族△ (貴人年金有)
第二身分> 貴族△△ ↑非課税
-----------------------------------
第三身分> 富裕民△△△ ↓課税
平 民△△△△
貧 民△△△△△
(痴女皇国世界と連邦世界では少し変わるけど、第一身分が聖職者ではなく王権者になるのが痴女皇国世界だと思って欲しい)
痴女皇国だと第一身分が率先して生殖者という気もしますが、まぁとりあえず。
で、フランスの財政難問題ですが、フランス病作戦での麦がダメになっただけが理由ではなかったのです。
フランスはもともと、ナポリ王国他、イタリア…そして地中海各地の政治経済に大きく食い込んでいました。
しかし、痴女皇国とボルジア家・エステ家が結託した結果、メディチ家やパッツィ家といった富裕資産家に、他のイタリア豪族もその傘下に加わりイタリアの統一と独立が為されたのです。
これが、どういう結果になるか。
地中海での領土や利権、フランスは大きく逸失することになるのです。
更には鯖挟国や東欧諸国、暗黒大陸沿岸に…加えて、我がスペインも早くから痴女皇国に屈しておりました。
連邦世界では方々に戦争を仕掛けたり、三十年戦争と言われる長期の戦いを繰り広げていた軍事国家が向こうのフランスだったそうですが、こちらではその牙を抜かれたも同然。
ですので、莫大な戦費支出こそ免れてはおりますが、従来の領土や臣従国家からの貢納が期待できなくなっていたのです。
そして不吸運河の開通や、動力船による海上輸送の改善に加えて、スペインに敷かれた鉄の道の威力。
これらは、東方や新大陸からの人も荷もことごとく、鯖挟国や東欧諸国やイタリアやスペイン、そして英国を通じて欧州に向かうことを意味していたのです。
そう…人やものの流れでも、フランスははみだし者にされたのです。
つまり、物品や旅人に税金をかけられないということになりますよね。
更には通貨品質を安定化させる建前の独自通貨の流通や、他国の通貨の鋳造委託によって、フランス・フランの価値は下落しました。
で、フランスの小麦よりも大量に流通しており品質も確かな南米産の小麦や、飼料野菜。
これも、フランスの収入に打撃を与えたのです。
この、一発の砲弾も撃ち込むことなくフランスを壊滅寸前にまで追いやった経済戦争の結果、フランスの国庫は大変なことになっていたのです…。
(デモンストレーション用や駄洒落菌散布用の弾頭は撃ってるけどな)
(まぁまぁ、死人が出るようなもんは基本的に撃たれなかったということで)
で、これは我がスペインでも母や痴女皇国がやったことですけど、貴族の免税特権、廃止しました。
というか基本的に聖環つけてたら、自動的に課税対象です。
しかし、ここに痴女皇国の介入の余地がありました。
実は南欧支部が長らく支部の扱いだった理由に、支部管内…つまりスペイン王国の国家財政の管理を痴女皇国本国の財務局に委託しているか否かという件があったのです。
そして、南欧支部ではスペイン王国の行政に関われるのは女官や騎士とされ、痴女皇国の職員身分も有する立場だったのです。
これは、スペインの財政制度に左右されずに痴女皇国からの報酬を頂ける反面、その金額は人によって大きく削られてしまいます。
ですから、痴女皇国としての国家公務員なる役人身分である女官として雇うから、国の財政は痴女皇国が面倒見るわとなったのです。
ただ、スペインについては王室財政の経緯から、王室資産は相当数が残されたのです…ただし、その代わりに現在の支局や行政局につながる試みである「痴女皇国からの融資を受けて国家事業を独自に行ってもよい」という規定が設けられたのですよ。
これが、うちの母たるイザベルが借金借金と言ってる借款の正体です。
この借款によって火災で消失した王宮の代替にオリエンテ宮殿を建設して頂いたり、スペイン国内の各都市や街道網の整備の費用が賄われたのです。
(お船の建造費用も、スペインがおねだりした分は借款でまかなわれてますよ…)
つまり、スペインの国家事業だけでなく、痴女皇国世界での鉄道事業となる例の鉄の道、あれについては本国の予算も相応に投入されているので、単にうちの国の借金が増やされただけってわけでもないのですよ。
それに、あれは今の時点では王室鉄道となっておりまして、収入は一旦、王室の金庫に行きます。
ただ…そこから借款返済に充当される分が相応に引き抜かれるんですけどね…。
で、貴族たちには本人や子女が痴女皇国の雇用対象となる女官の部類になるか、さもなくば協力者として商会なり荘園なりの営利組織の長となるかを目指すことを要望されたのです。
これが、うちの国…スペインの婦人騎士団や闘牛騎士団に、貴族子弟子女が多い理由でもあるのですよ…。
その家から女官や騎士を差し出せば、その人数に応じて課税を減免しましょう、とやったのです。
それと、その土地によっては地税額を大幅に引き上げるから今のうちに国家に返納しとく方がええで、と噂を流して二束三文で土地を買い上げる形で返還させたそうです…。
つまり今、スペイン国内に純粋な貴族は存在せず、そのほとんどは何らかの実業を経営することで収入を得ております。
そして、実業の内容については南欧支部、ひいては痴女皇国が斡旋して彼らが食いあぶれないように配慮してやっているものも結構な数に登るのです…言うなれば、南欧支部の事業や業務を外注委託している委託先の経営者でもあるのですよ。
(で、その利益でうっはうっはしてる富裕層が河原や王賓庭園で女自慢とかやってるんですよ)
(んでさ、フラメンシアちゃんとしては、同じようなやりくちでフランスのお貴族様たちを富裕層に組み込んでフランスの国家収入をカイゼンしたいんだよね)
(それは別に悪いことではないのでは…)
(だけど貴族によっては商才がないのがいたりするだろ…ほら、明治維新の時の武家の商法ってあれよ、あれのフランス版が起きる可能性もあるだろ…)
(ねーさん、あたしが日本史にも弱いのを知って)
(というか比丘尼国の政治にも影響するんだからちゃんと覚えるか雅美さんの頭から吸引させてもらえっ)
(あたしの知識は吸引される部類だったのね…)
まぁともかく。
ルイ16世陛下とそのご家族には、こころ安らかに隠居頂くためにもこういう改革は進めたいのです。
そして、貴族連中の不安を払拭するためにも、王陛下のご家族との接触機会を設けて、意図的な情報漏洩を図りたいとも考えてるんですよ、私。
(だからこその富裕層の遊び場作りであり、観劇の場を作ろうとしてるんだからさ、乳上やシェヘラザードさんもぜひにフラメンシアちゃんたちフランス行政カイゼン団に協力したげてよ…)
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