闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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尻球譚 -変態男爵の話 Histoire de fesses.- baron pervers -・11

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夜更けのパリ、ヴァンセンヌの森。

パリに戻るなり官憲に捕まったはずの我が夫たるドナシアン・サド侯爵と、そして戻った早々にシルヴィア夫人と別れて我が亭主ともども牢屋にぶち込まれるヴァタイユ伯爵ですが、なぜか脱獄できております。

その理由。

青いくるまの先頭にある左右の御者席に座るのは、黒薔薇騎士団員の制服のお方々。

そして、あのバスチーユからの脱獄を果たせた理由、黒薔薇騎士の暗躍以外にもあったのです。

理由は、数日前にパリを襲った雨にありました。

いえ、パリだけではありません。

ストラスブールやロレーヌ、そしてフランス南部のルルドから南の旧・ナバーラ王国であったバスク地方を除いたフランスの大部分で、男がその股間の逸物に力を失くす事態が続発していたのです。

いえ、逸物が萎えるだけではなく、微妙に男たちからは日々の生活はもちろん、人生そのものに対するやる気を削いでいたのです。

そう…フランス病作戦のために撒かれた不可視の毒によって、フランス国内は混乱に陥っておりました。

その、混乱に乗じて脱獄を果たした亭主ドナシアンと、まだ少年と言っていい歳かさのジョルジュ・ヴァタイユ伯爵の二人ですが…二人の身体についても、フランス病の影響が出ておったのです。

(ふふふふふ、救出の際に、更に強力な駄洒落菌変種に感染させられておるのは内密に…)

(普通に雨を浴びるかして、フランス病に感染した者は聖母教会の尼僧相手だとものの役に立つのですがね)

ええ、痴女皇国の治療を受けねば、いちもつへの力が戻らないと言われては、この二人は是非もなくヴァンセンヌを訪れるしかなかったのです。

(ノートルダムでも良かったのですけどね、引き合わせたい人物がおりましてね)

そして、雨に煙る夜のパリを進むくるまは、バスティーユから更に東のヴァンセンヌの森に、到着。

まずは風呂をと、囚人服から着替えるためにもヴァンセンヌ娯楽館に連れ込まれ、とりあえずは新品の助平褌なる、偽女種用の下着を渡されます。

で、担当女官によって身体の隅々までもを洗われた二人の「見た目は少年と、本当に少年」、まずは助平褌だけを身につけるようにと言われます。

そして、このヴァンセンヌ娯楽館。

中庭のある、四角い建物です。

その中庭に、降りしきる雨をものともせずに立つのは…一人の尼僧。

「ふふふ、お久しぶりねジョルジュ…そしてサド侯爵さまもなにやら、いちもつから力が失せてお困りであるとか…」

ええ、二人の前に、聖母教会の尼僧として現れたのは他ならぬシモーヌ・エドワルダ…あの少女とは思えぬ大悪女だったのです…。

「ふふふふふ、申し訳ないのですけどね…侯爵さま、もしも逸物のちからを戻したいのであれば、このシモーヌの言いつけに従っていただきたいのです…もちろんジョルジュ、あなたもよ…拒めば一生、あなたのちんぽは年寄りのしなびたそれのまま…」

ええ、邪悪な笑みを浮かべて「他に選択肢はないぞ」と宣言したも同然のシモーヌです。

「さぁジョルジュ、あの王女殿下がいてもなお、あたしに未練たらたらでご執心だったとは聞いてるからね…まずは存分に、あたしのを舐め回していいわよ?」

ええ、尼僧服の丈を短くして、ジョルジュ様を誘うシモーヌ。

そのシモーヌの尻をおずおずと、助平褌だけの全裸に近い格好で顔を埋めて尻溝に舌を突き入れ、を舐め回し始めるジョルジュ様。

「ふふふ…お父上の跡を継いでお貴族様になったっていうけど、そのお貴族様がこの体たらく…あ、侯爵様…侯爵様には、ジョルジュのおかげでこうなったわたしをくわえて欲しいのですよ…」

と、大胆不敵にも、一応は侯爵位であるはずのサド卿の前に、己のちんぽを突き出すシモーヌです。

なんと、恐れを知らぬ女なのか。

しかし、憑かれたようにシモーヌの逸物を咥える(一応は)我が夫、ドナシアン。

なんと、その身体は強制的になのか、偽女種に変わっております。

そして、堪らずにドナシアンの頭を両手で押さえつけると、射精に及ぶシモーヌ。

(ううっ、このれがぁあああああああ)

しかし、この屈辱的な行為の強要の代償に、ドナシアンの助平褌の股間には穴が開き、その漲りを取り戻した逸物が姿を現します。

(くふふふふ…今ですよシルヴィア教育…狙っていたお貴族さまを寝取る絶好の機会じゃないですか…)

なんたる、なんたる話。

そう…シルヴィアが我が夫ドナシアンと不義密通の関係に至ったそもそもの発端、ここにあったのです。

で、雨の夜の中庭で、いそいそと姦淫をおっ始める二人。

では、ヴァタイユ卿はと、申しますと。

なんと、シモーヌめの便器にされております。

しかも、その際の副作用なのか。

ドナシアン同様に逸物が勃起を取り戻したのはともかく、偽女種に変わっております。

そして、用意してあったのか。

じてんしゃなる、人力で動く銀輪をふたつ組み合わせた単純そうに見える乗り物。

その後ろにヴァタイユ卿を乗せると、なんと中庭から娯楽館の裏口へ抜ける厳重な門を開けさせ、ヴァンセンヌの森へと向かったのです。

もちろん、目的は姦淫のため。

いえ…ただ姦淫するだけではなかったのです。

ヴァタイユ伯…いいえ、オーシュ卿名義で書かれた話、亭主の書いたもの同様にこの時期のパリでは一旦、発禁にされております。

しかし、その内容の中には嵐の夜を利用して青姦に耽る場面が存在しました。

そして、パリの市民の中にも、行きずりの恋を雨の夜に求める風潮が密かに広まっておったのです。

(ふふふ、フランス病作戦で使った駄洒落菌に影響されない偽女種の助修士や修練士、娯楽館を拠点としてヴァンセンヌに放っておるのは内緒で…)

(ええ、亭主や男どもの逸物が役立たずで困る女、ヴァンセンヌに来いという噂を撒きましたからね…)

(更には僧侶見習いの偽女種どもであれば、逸物は元気なままとも…)

そうです。

ヴァンセンヌの森に姦淫の場を求めるのはシモーヌだけではなかったのです…。

(ふほほほほほほっ!ジョルジュはあたしのものよっ!いいことジョルジュ…偽女種になったあんた、あたしと楽しむだけじゃなくてさ、一晩の間に他の女を何人も犯せるようになったのよ…ええ、サド侯爵さまも、いまごろはシルヴィアさんが連れ出してさ、ヴァンセンヌの森にちんぽを求めてやってきた女たちを次々と犯しているはずなの…しかもあんたの嫁も、司祭の資格を取らされたってんでしょ?じゃあちんぽがあるからって、盛大に使うと思うわよぉ…おほほほほほ!)

ええ、シモーヌにしてみれば、まさしくアウグスティーナ様は獲物をかっさらおうとする泥棒猫。

たとえシモーヌから見ても雲上人の部類の遥かな上役であったとしても、その振る舞いは許せぬものだったのです。

しかし、しかし…。

(くくくくく、この雨の日の強姦劇、尼僧エドワルダとしてジョルジュに書かせるのもあたしの受けているお言いつけ…更にはサド侯爵さまとの連名原稿だから、パリの人々の目を惹かないわけがないわ…)

と、少年伯爵たるヴァタイユ卿との姦淫を楽しんだだけでなく、二人で目についた女を犯して回る始末だったのです…。

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で、この雨の夜の顛末を書いた短編「尼僧エドワルダ」ですが。

実際に、話題になりました。

それも、悪い方に。

そりゃ、ヴァンセンヌに行けば女は犯されるとか書かれては、普通は官憲や権力者は取り締まると思いますよ。

そして発禁指定がかかったのみならず、二人はどこだと探されたのです。

そう…アルト閣下の枠でのお話の冒頭、ストラスブールから始まっていたのは、この「尼僧エドワルダ」事件とでもいうべき、この一連の破廉恥な連続強姦事件が理由だったのです…。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/284/

では、その後にパリに戻らされた二人は結局、どうなったのか。

我が夫ドナシアンともども、ストラスブールに逃げた時から数作の小説を発表しておりましたが、そのことごとくが発禁指定をフランス王室や政府から食らったのです。

(ルイ16世陛下とアントワネット妃が性に淡白な部類だったのが災いしたというべきか…)

ですが、公式では聖母の奇跡によってフランス国民の不能は治ったとされますが、実際には二人の書いた読み物も強く影響していたのです。

なぜならば尼僧エドワルダ…あの晩のシモーヌの行為の一部始終を脚色したこそが、フランス病を治療する手っ取り早い方法だと広まったからなのです。

つまり、聖母教会の尼僧と性交しても、フランス病を治してもらえる。

この話が広まったおかげで、フランス政府は国内各地への聖母教会展開と、支部化に踏み切らざるを得ませんでした。

なにせ、放置しておけば農夫や市民には未来永劫子供が産まれなくなり、フランス人は死に絶えるとまではいかねど、よその国の男に種をつけてもらわなくば子孫を残せない状態になってしまったのですから…。

で、フランスがどうなったかはともかく、我が亭主とヴァタイユ卿、そして私を含めた関係者のその後の後日譚をお教えしましょう。

まず、不肖の亭主たるドナシアンと私、それからシルヴィア夫人とヴァタイユ伯は再度、スペインに逃げる羽目に。

とりあえずはマドリード市内のアルムデナ修道院の厄介になっておりました。

では、シモーヌとマルセル、それぞれはどうなったのか。

まずはマルセルですが、この子の去就を語る場合、自動的にシモーヌの今にも触れる話となってしまうのです。

(ふふふふふ…ごらんなさいジョルジュ…)

ええ、そこには邪魔烏賊聖母教会の礼拝堂内部の光景が映し出されております。

そして、一冊のえろほんを手にしたシモーヌ、ぱそこんから大きな画面を広げて、ヴァタイユ卿に見せつけておるのです。

その、画面とかいう映像幕に写し出されておる光景。

「ほほほほほほ、あんたがあたしや、あの騎士団長さまにやってたのと同じように奉仕させてやがるわ!しかも黒んぼれんちゅうの女王さま気取りで!」

ええ…邪魔烏賊に所在する、高級珈琲淫農場。

アウグスティーナ様への功績として下賜されたその農園、中米行政局がその管理を委託された結果、マルハレータ殿下や中南米関係者の尽力によって、農業魔族とかいう「生きた労働兵器」を使って珈琲淫豆を集めるかたちの聖母教会荘園として収穫をあげておるそうです。

つまり、苗床とかいう生きた血の池、邪魔烏賊のキングストンとかいう街の聖母教会の地下に設けられておりまして、その維持のためにも精液と精気を要する状態に成り果てておるのです。

(で、マルセルは精液を絞るための女どもを指揮している教会司祭ってわけなのね…そして偽女種になった少年たちの命をながらえさせるために、けつあなとちんぽを舐めさせているって寸法なのね…ほほほほほほ、あんたにはとってもとっても、お似合いの姿よマルセル!)

はい…これが、アウグスティーナ様が言われておられた、マルセルの居場所を作る話だったのですね…。

ですので、今の邪魔烏賊に住む住民の大多数、苗床の維持と、農業魔族の運用のための精液と精気を提供するための一種の姦淫奴隷の立場の者が圧倒的に多いようです。

(ぶっちゃけ南米行政局のペニペや絶頂都市いきとすの珈琲淫農園版、ですね…)
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/258/

ええ、くだんの邪魔烏賊、管轄的には中米行政局バハマ支部、つまり海賊共和国の受け持ちだそうですが、魔族運用のせいもあってフランシスカ様の管轄になっているようです。

シモーヌの策動によってちんぽを持たされ、更には屈折して歪んだ性癖までも移されたマルセルですが、矯正の手間をかけるよりもそのまま活用する方針となったようです。

では、シルヴィア夫人。

この時点では我が夫、ドナシアンの子供たちと共に、パリに帰っておるのです…。

しかし、その子達は私が産んだのではなく、シルヴィア夫人の腹から生まれた子たちなのです…。

ええ、ドナシアンとは別れました、というか離婚が成立しました。

そして、後釜には毎夜のごとく、ドナシアンと淫行に耽っていたシルヴィア夫人が。

では、ドナシアンはドナイシタン、と皆様も思われたでしょう。

(しかし、サド侯爵さまがあんなふうに自分で燃えて死んじゃうだなんてねぇ…ジョルジュ、あんたも気をつけたほうがいいわよ…って手遅れかもしんないわねぇ…偽女種になっちゃってるんだし!)

ええ、奉仕偽女種となっていたドナシアンですが、荒淫が…祟ったのです。

ある日のある夜、シルヴィア夫人と強姦公園の1つでお楽しみだった我が不肖の亭主、なんと苦しみ出すと、そのまま身体から炎を発し、あれよという間もなく、骨ひとつ残さずに燃え尽きてしまったのです…残されたのは、ドナシアンが身につけておった聖環、のみ。

そして未亡人となったシルヴィア夫人がサド家の家督を暫定的に継ぐ形で、女男爵を名乗ってパリに帰ることになったのですよ…。

しかし、この事件はジョルジュ少年にとって、暗い影を落としたのです。

自分も、そうなるかも知れない。

そして、追い討ちをかけたのが、さきほどのシモーヌの恐ろしい言葉。

仮にも人として、ジョルジュ少年に言ってはならぬ一言ではあるでしょう。

で、結果として、ジョルジュ少年の身には再び、フランス病というか、不能の病が訪れたのです…。

少なくとも、もはやシモーヌ相手では勃起しない。

この悩みを抱えたジョルジュ少年、このことを見越していたのでしょうか…以前にアングレット村、そしてビアリッツを離れる前に言われておったことを思い出し、ある人物に連絡を取ったのです…。

(ふむ…よろしい。バタイユ。そのような悩みであれば是非もなし。イザベル陛下の許可も出ておることだし、君の処遇については改めてこのアウグスティーナが預かるとしよう。それとシモーヌだが…ふん、任せておきたまえ。今やこのマドリードにも聖院学院神学部分校認定を得た修道院…エンカルナシオン王立修道院が存在するのだしな、彼女の1人や2人、なんとでも処遇できるよ…心配するな)
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