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尻球譚 -変態男爵の話 Histoire de fesses.- baron pervers -・9
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で。
場所は変わりまして、フランス王国南西部はフレンチ・バスク圏に位置するアングレット村内の聖母救済教会ですが。
礼拝堂にて、我々が連れて来たシルヴィア嬢と引き合わせられるジョルジュ少年。
「えええええ、こ、こんなお若い方があの、あの、あのその」
で、頬を真っ赤にしておるのはシルヴィア嬢ですが、無理もありません。
この、神経質層にも見える細身で小柄な少年が、あの変態えろしょうせつを書いた本人なのか。
そう、疑う気持ちになるのも無理はなし。
しかし、これは事実なのです。
まぁ、そういう事にしときましょう。
でまぁ、このビアリッツ・アングレット保養所。
痴女皇国女官の利用する浜と、一般の…特にフランス人の利用する浜をがっつりと分けている理由ですがね。
ええ。
あまり見せてはならないというか、見せない方が諸々はかどる。
では、何を見せない方が良いとされたのか。
それはもちろん、水着とやら。
私ことルネも実はこの時代の人間ですからね。
いかに痴女皇国の水着が色々とぶっ飛んだ代物なのかは理解可能。
で、そのぶっ飛んだしろものを着用された方々が目の前にいらっしゃるのですが。
「支部長会議のついでに寄らせて頂きました」
「同じく」
で、紹介を受けたのは中米行政局長のフランシスカ様と、南米行政局・副局長待遇というエマネ様。
(うちは副局長待遇者が3名おりまして、今回は順番で私の番だったんですよぅ)
(うちも支部長含めて本来は3名が首を揃えて参加とかいうのが本来の対応なんですが、色々ありまして…)
しかし、フランシスカ様はまだしも、エマネ様は大丈夫なのでしょうか。
いえ、中南米…特に淫化帝国の方は、その担当地域以外での活動にいささかの制約が存在する程度のことは聞かされておりましたから。
それと、私は南米行政局の方…わけてもリュネ族や魔族と言われる方々、初見なのです。
で、エマネ様の場合、シルヴィア嬢と同じ長さではありませんけど、髪の毛は短め。
ですので、その特徴的なお耳がよう、わかるのです。
「実のところフランシスカさんと私、ここの保養所を参考にしてアカプルコの整備計画を検討して欲しいって言われてるんですよ」
なるほど、その視察でもあるということですね。
(逆に、この保養所に併設修道院が存在するということは、マンコラや茸島同様に、女官の保養要員としての少年の配置が必須となるからなのでしょう…)
あ…それで修道院があるんですか…。
それはそうと、この見合いに内心で不満たらたらな不肖の亭主。
あんた、正直に言うてみい。
パリでマドモアゼル・シルヴィアをあわや口説くところやったやろが。
調べはついとるんやで。
「うう、東欧の血を引くという新人女優だと紹介されて…」
ええ、ラブレターとやらを書くにまでは至りませんでしたけどね、あわやその直前にまで。
で、なんでこの手の事を知ってるか。
うちの父母がフランス司法界でそれなりの地位を占めており、かつ亭主を狙っていた司法警察官のマレー氏と親しかったからです。
で、マレー氏のみならず、警察がうちの亭主に対してどれほど警戒しておったかと申しますとね、この穀潰しが外出しようもんなら、可能な限り尾行を付けられておったくらいだったのですよっ。
「はぁ…いや、確かにセニョール・サドが連邦世界で何をなさった人物か、私でも多少は存じてますけどねぇ…まぁ、時代が悪かったってこともありますけどね…」
と、自分が生きた元来の時代であればそこまで騒がんでもいい話ではなかったかもという反応を返すのは、フランシスカ局長。
で、フランシスカ局長がこの地を訪問なさった理由ですが。
「実は私の先祖、この辺の出自だったそうなんですよ。メヒコには今、子孫を含めれば400万人からのバスク民族が存在します」
そう…局長にしてみれば、はるか昔に、ご自身の先祖となる一族が大西洋を渡り中南米、わけてもメキシコに移住したという出自の源を見たかったというご希望もあったようです。
「Hitz zaharrak hitz jakintsuak dira…昔の言葉は賢い言葉という、バスク語の教訓です…まぁ、私は英語やスペイン語はともかくバスク語はほとんど喋れませんが」
ふむふむ。
聞けば連邦世界のメキシコはその経緯からスペイン語話者が圧倒的多数だったそうですが、痴女皇国世界の明日輝や魔屋はナワトル語か聖院第二公用語、淫化においても同じような理由でケチュア語または聖院第二公用語で喋る者が多数であるそうですね。
(淫化の場合、ややこしいことに山の東の淫化尼僧尊という地域…絶頂都市があって、そこは尻出国との関係で海綿菓子語の方が通じたりするんですよね…ううううう)
と、独特な尖ったお耳をしおしおに垂らしておられるエマネ副局長様ですけど、えらくまたお若いですね。
(世が世ならリュネ王国の女王様だったそうです…ちなみに私もですが、聖母教会での地位は枢機卿待遇です…)
でぇえええええっ。
それ、イザベル陛下よりお偉いのでは…。
(ふんっ、役位や帝位だけが人を測る物差しではございませんわっ)
(あの陛下、それ藪蛇…)
「ですがイザベル陛下の言われることは事実。肩書きに実力や実績が伴わないと、痴女皇国幹部会では真剣に肩身が狭いのです…ルネさんも出席できる身分に昇格すれば、いやでも私やフランシスカさんが毎回経験しておりますですね、ハリノムシロ状態とかいうのを体験できますよ…」
「聖母教会幹部会議とかもっと、針のむしろですからね…」
(ちなみにエマネ様も一応はリュネ体液国民会会長、つまりリュネ王国女王の地位を有しておられます…)
(エマネでも一応は務まるリュネ王位っと)
(イリヤおばさま。淫化帰ったら赤玉砂漠にレッツゴー。あとロッテさんかエイモン、ちょっと魔剣貸してくだはい。今回は二刀流でやってみます)
(私は今、連邦世界のメキシコに島流し中だってのに…)
(んじゃチワワ砂漠で。私がそっち行きます)
どういう親戚関係なのかは不明ですが、とにかく危険そうな関係であるのは伝わって来ます。
聞けば、エマネ様の腰の剣が危険物件で、剣であって剣ではなし、地獄の業火もかくやという炎を噴くしろもので、その名も爆炎剣とやらだとか。
「肉も焼けます」
あ、私はジョンブルではありませんので、肉は焼くより煮るほうが。
で、その危険な物件を常時携帯しておるらしいエマネ様ですが、さすがにうちの亭主と言えど性的な目を向けません。
それとフランシスカ様。
何かこう、普通にバスク系のエスパニオルという印象なのですが、これまた、うちの脱肛亭主は性的な目を向けません。
手足の届く範囲に入ると何かしそうな雰囲気でも漂っておるのでしょうか。
しかし、ジョルジュ少年のCoq。
このお二人に対して、反応しておるのです。
「ああ、それは正しい反応ですよ」
「というかこうなってもらわないと、痴女皇国幹部としてはダメダメなのです…」
「しかしエマネ様、かつての6919号同様、変態に物怖じしませんね…」
「フランシスカさん…うち、変態がいても人に害を及ぼすに至りませんでしたから…」
「うちも殴られるか投げ飛ばすか…連邦世界だと銃弾で決着してるか…」
ええ、どうやら中南米ではそもそも、変態の存在をあまり許さないようです。
「しかし、ジョルジュ君はサド卿とは違って屈折した感情をあまり出さない傾向があるんだよなぁ…ただ、それではシルヴィア嬢との生活があまり上手くいかん可能性がある。いや、仮面夫婦でも別に構わんらしいんだけど」
と、申されるのはアウグスティーナ殿下。
「はぁ…何か変な性癖でも…あ!」
ええ、シルヴィア嬢、思い至りました。
うちの亭主が何を書いたのか、に。
つまり、変態とは時に危険な存在である。
この認識に切り替わってしまったのです…だからあんなもん、何で書いたのよと、ついつい愚痴が出かかる一瞬ですが、私は気を取り直します。
「いや、安心してください。ヴァタイユ様、うちの亭主よりは遥かにまともなお方。ただ、くっついてた相手が変態の道へ引き込もうとしていただけですわよ」と、私も助け舟を出しておきましょう。
では、実際にどのような変態なのかを実演してもらいましょう。
「何で己れを縛る!」
「やかましい。乱入されると困るからですっ」
「しかし、ルネさんですか…なんかこう、異様に手慣れておられるんですけど…」
ええ、懲罰用の手首拘束台を用意して頂きました。
つまり、手首だけ縛る板手錠と、お腹側で体を支える台が組み合わせられており、四つん這いほどではないものの、無理矢理にお尻を向けさせて股を開かせる代物です。
普通はこの状態で聖母教会の前などに放置して犯し放題にする懲罰や強姦刑に使用しますが、流石にここの聖母教会ではまともに使用した痕跡がない、ほぼ新品と言っていいしろもの。
で、その懲罰強姦台とやらに縛られたのはシルヴィア嬢だけではありません。
エマネ様とフランシスカ様、そしてアウグスティーナ様に、マリカ様までもが。
「まぁ、これくらいなら痴女種能力全開で壊せてしまえますけど、何かこう、新鮮な不安感が」
マゾヒストですか、エマネ様。
「たまに離魔悪所の少年をですね…って何言わすんですか」
「まぁ、私のチンボテ勤務時代から離魔で助平って言うとイグァル、エマネ様でしたからねぇ」
「メキシコシティの夜間外出禁止令の実態を知ってなきゃフランシスカさんに同意しました…それにビエルネくんの乱棒をですね」
「あの乱棒はもはやディアネの管理。あたくしの知るところでは」
「実質的に夜這いを強要させているじゃないですか…」
聞けば、エマネ様はフランシスカ様のかつての上司であり、かつ互いの本拠をよく知る仲のようで。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/317/
「それはそれとしてジョルジュ君…君の好みそうな眺めらしいんだが」
と、こちらは拘束されていても、平然と落ち着いておられるアウグスティーナ殿下。
マドリード訪問の際からの案内役ということもあって、ジョルジュ少年の性癖や傾向を熟知している余裕が伺えます。
「わ、わたくしはさすがに…」と、汗だらっだらのシルヴィア嬢。
ええ、普通はそうです。
この腐れ亭主の手伝いとか強要されていて、手慣れている私が異常なのです。
(というかルネさんの手つきが異常なら痴女皇国女官、全員異常ですよ…ほら、警務研修を受けるから、罪人捕縛のやり方とか習うじゃないですか…)
(そうそう、言うこと聞かない女官を拘束して犯すとかふっつーにやりますからねぇ)
「それに衣装ですよ…私のがまだおとなしいのは、皆様のお召し物を見ればわかるのですけど…」
ええ、ジョルジュ少年に撫でられたり割れ目を開かれたり、色々されておるシルヴィア嬢は心底嫌そうです。
「うーん、シルヴィア様は本宮研修を受けて頂くか、パリのムーラン・ルージュかクレイジーホースで修行なさるか…」
実は、ヴァンセンヌ娯楽館の支店として、パリ市内にキャバレーが作られております。
ここでの踊り子の衣装、痴女宮の側のクラブジュネスなる店に準拠しておるそうです。
で、踊り子の姿や、はたまた踊りの振り付けに至るまで、しりふぇちとやらであらせられる聖父様の監修を受けておるとか。
(そもそも痴女皇国の衣装がハイレグやTバックとかスリングショットばかりなのはクリスおじさまの性癖を満たせというねーさん…上皇マリアリーゼの意向が強く反映されております。ですから、エマネちゃんやフランシスカさんがあたし向けのエロ衣装に準拠した制服姿にあまり強く文句を言わないのも、この辺の事情があるからなのです…えーとですねシルヴィアさん。確かにそれは聖母教会の助修士や修練士用の修道服ですけどね、こんなもん、この時代の人からしてみれば確かに、ハレンチカンカンにも程があるわ着用を躊躇するような反応になってしまうのは、他ならぬこのあたしも理解しております)
(痴女皇国二代目皇帝にして聖母教会二代目聖母、マリアヴェッラ陛下です…マドモアゼル、あなたもいずれは陛下に対する崇拝や信仰を持って頂きますよ…)
(は、はぁ…そのような雲上の方がわたくしに…いえ、皆様だけでも大概な地位とは存じますが…)
(聖母教会の尼僧となることすなわち、痴女皇国女官となるに等しい話です。今でこそ尼僧教育は全員を本宮に招いておりませんが、かつて女官は全て南洋王国聖院島…痴女島の本宮に招いて教育しておった時期があります。いいでしょう。ジョルジュ・バタイユ氏についてもその文芸才能を開花させるために、シルヴィア夫人ともども痴女宮に招かせて頂きます)
えええええ。
これはまた、とんでもない話になったもの。
(まぁ、サド侯爵ともども、ちょっとうちの本宮で色々させて頂きたいってのもありましてね。それとシニョーラ・ルネ。聖母教会司祭としての教育について、シニョーラ・シルヴィア同様に痴女島罰姦聖母教会で短期集中特訓を申し渡します。どのみち本国でお尋ね者の立場を解除して差し上げる工作の期間を必要としますから、その間の時間稼ぎにはちょうどよいでしょう…この研修の際には、シニョーレ・サドにも痴女島にお越し頂きます)
これは皇帝勅言やさかいに、正当な理由なしには逆らえまへんでという心話、フランシスカ様やエマネ様から来ました。
(んでですね、ここからはあたしの個人的なコンシーリョのお時間です。まず、そこのジョルジュ・バタイユさんですけどね、聖父であるクリスおじさまの類似品ですね、あたしの分析だと…)
と、ジョルジュ少年以外にだけ聞こえるような心話で告げられるマリアヴェッラ陛下…ベラ子陛下。
(つまり、今お尻を触られてる皆さん自身がお分かりと思うんですけどね、その…ジョルジュ君がお尻を愛撫してる熱意や反応がですね、アウグスティーナさんとそれ以外の方だとですね、ちょっと違いますよね)
(ぶっちゃけこの中ではアウグスティーナ様にいちばん、ご執心というか)
(尻の形ではどなたも負けず劣らず。シルヴィア嬢も、少々の体型補正で私どもに近づけるかと…ですが陛下、この差は一体なぜに起きておるのやら。私の見立てでは、私と言えど、バタイユ少年があの悪女たるシモーヌめに対して向ける性欲には負けておるようなのですが)
(そこですよアウグスティーナさん。シモーヌちゃんはね、そもそも堕天使さんたちが誘惑せんでも悪の道へまっしぐらだって太鼓判を押すくらいに悪女だそうなんです)
これ…当のシモーヌには聞かれてませんよね…聞かれたらえっらいことになる気がしますが。
(ご安心を。ちゃんと遮断していますよ。で、シモーヌちゃんが悪女になった理由は、要は貴族のお子さんや女生徒どうしでのマウントの取り合いに勝つために手段を選ばない思考に至ったからです。生き恥をかかせたり、好きでもない男のちんぽに無理矢理あんあん言わせてしまうとか、あげく痛めつけるのにも躊躇がないのは、いわばドナイシタンじゃなくて、ドナシアン・サド侯爵の女性版だと考えるとわかりやすいでしょう)
え。
なるほど、言われてみれば確かに思い当たる節もありますね。
(これは連邦世界でのジョルジュ・バタイユ氏がマルキ・ド・サド…サド侯爵の著作に強い影響を受けたことも起因していますよ。まぁぶっちゃけ言うと、連邦世界だとシモーヌちゃんとマルセルちゃん、バタイユ氏の著作の中の架空の人物です。しかし、この痴女皇国世界ではどういうわけか、バタイユ氏が考えた悪徳的な少女の思考をまんま再現して生まれたと考えてください。つまりは、生まれながらの堕天使や悪魔めいた存在なのです)
このベラ子陛下のお話も、私の想像を絶するものでした。
そして、ドナシアンにも聞かせられない話ではないかと。
(もちろん、サド侯爵にも聞こえないようにした上で、高速心話を使用していますから、侯爵からだとあたしたちが話しているようには見えてませんよ)
それならば安心ですが…。
(で、なぜ、バタイユ少年がアウグスティーナさんの熱心な献身や、実質的な求愛に気付きながらもですね、こいつあかん地雷や逃げんとならんと言う危険信号をシモーヌちゃんから読み取っていても、シモーヌちゃんの時に比べてイマイチ責めや攻めが甘いと思ったことはありませんか、アウグスティーナさん…)
(ぬ、陛下に申されますと、確かにその気配、ございました…彼はやはり悪女に魅入られる存在なのであろうか、とも…)
(ええ、クリスおじさまの時と逆と言えば逆でして、悪魔的な狡猾さを天然で発揮してバタイユ少年に変態性癖を刷り込んだり、あまつさえせんずりやおめこする第一の対象としてシモーヌちゃん自身を刷り込んだ記憶の強さは非常に強力なものがあるんですよ)
(ああ…今、私も記憶を読んでますけど、ベラ子陛下…これ、挿入器具の太陽乙女候補生とやってることは似ていても、囲い込み方がはるかに悪辣悪質ですよ…)
(エマネ様に付け加えますと、マンコラや離魔悪所はおろかチンボテ担当の女官よりえげつないことしてませんか、このシモーヌって少女…あの魔屋配属だったナターリアを想像してしまうんですが…)
(ま、ナターリアさんや6919号くんの事例が参考となって、こうした傾向を矯正治療する方法はあるにはあります。ただ…ジョルジュくん、つまりバタイユ氏とサド侯爵の今後の著作活動については、今しばらくお二人にペンを取って…いえ、マキナデスクリブレに向かってもらう必要もあります。フランス病作戦の実施までにはこの対策、イザベルさんからアウグスティーナさんの処遇についての相談を受けていることもありますから必ずあたしの名にかけてでも実施しますけど、数ヶ月のお時間を頂きたいのですよ…シルヴィアさんにも望まぬお見合いをさせてしまった謝礼というか、お詫びの人事を用意してますから…)
場所は変わりまして、フランス王国南西部はフレンチ・バスク圏に位置するアングレット村内の聖母救済教会ですが。
礼拝堂にて、我々が連れて来たシルヴィア嬢と引き合わせられるジョルジュ少年。
「えええええ、こ、こんなお若い方があの、あの、あのその」
で、頬を真っ赤にしておるのはシルヴィア嬢ですが、無理もありません。
この、神経質層にも見える細身で小柄な少年が、あの変態えろしょうせつを書いた本人なのか。
そう、疑う気持ちになるのも無理はなし。
しかし、これは事実なのです。
まぁ、そういう事にしときましょう。
でまぁ、このビアリッツ・アングレット保養所。
痴女皇国女官の利用する浜と、一般の…特にフランス人の利用する浜をがっつりと分けている理由ですがね。
ええ。
あまり見せてはならないというか、見せない方が諸々はかどる。
では、何を見せない方が良いとされたのか。
それはもちろん、水着とやら。
私ことルネも実はこの時代の人間ですからね。
いかに痴女皇国の水着が色々とぶっ飛んだ代物なのかは理解可能。
で、そのぶっ飛んだしろものを着用された方々が目の前にいらっしゃるのですが。
「支部長会議のついでに寄らせて頂きました」
「同じく」
で、紹介を受けたのは中米行政局長のフランシスカ様と、南米行政局・副局長待遇というエマネ様。
(うちは副局長待遇者が3名おりまして、今回は順番で私の番だったんですよぅ)
(うちも支部長含めて本来は3名が首を揃えて参加とかいうのが本来の対応なんですが、色々ありまして…)
しかし、フランシスカ様はまだしも、エマネ様は大丈夫なのでしょうか。
いえ、中南米…特に淫化帝国の方は、その担当地域以外での活動にいささかの制約が存在する程度のことは聞かされておりましたから。
それと、私は南米行政局の方…わけてもリュネ族や魔族と言われる方々、初見なのです。
で、エマネ様の場合、シルヴィア嬢と同じ長さではありませんけど、髪の毛は短め。
ですので、その特徴的なお耳がよう、わかるのです。
「実のところフランシスカさんと私、ここの保養所を参考にしてアカプルコの整備計画を検討して欲しいって言われてるんですよ」
なるほど、その視察でもあるということですね。
(逆に、この保養所に併設修道院が存在するということは、マンコラや茸島同様に、女官の保養要員としての少年の配置が必須となるからなのでしょう…)
あ…それで修道院があるんですか…。
それはそうと、この見合いに内心で不満たらたらな不肖の亭主。
あんた、正直に言うてみい。
パリでマドモアゼル・シルヴィアをあわや口説くところやったやろが。
調べはついとるんやで。
「うう、東欧の血を引くという新人女優だと紹介されて…」
ええ、ラブレターとやらを書くにまでは至りませんでしたけどね、あわやその直前にまで。
で、なんでこの手の事を知ってるか。
うちの父母がフランス司法界でそれなりの地位を占めており、かつ亭主を狙っていた司法警察官のマレー氏と親しかったからです。
で、マレー氏のみならず、警察がうちの亭主に対してどれほど警戒しておったかと申しますとね、この穀潰しが外出しようもんなら、可能な限り尾行を付けられておったくらいだったのですよっ。
「はぁ…いや、確かにセニョール・サドが連邦世界で何をなさった人物か、私でも多少は存じてますけどねぇ…まぁ、時代が悪かったってこともありますけどね…」
と、自分が生きた元来の時代であればそこまで騒がんでもいい話ではなかったかもという反応を返すのは、フランシスカ局長。
で、フランシスカ局長がこの地を訪問なさった理由ですが。
「実は私の先祖、この辺の出自だったそうなんですよ。メヒコには今、子孫を含めれば400万人からのバスク民族が存在します」
そう…局長にしてみれば、はるか昔に、ご自身の先祖となる一族が大西洋を渡り中南米、わけてもメキシコに移住したという出自の源を見たかったというご希望もあったようです。
「Hitz zaharrak hitz jakintsuak dira…昔の言葉は賢い言葉という、バスク語の教訓です…まぁ、私は英語やスペイン語はともかくバスク語はほとんど喋れませんが」
ふむふむ。
聞けば連邦世界のメキシコはその経緯からスペイン語話者が圧倒的多数だったそうですが、痴女皇国世界の明日輝や魔屋はナワトル語か聖院第二公用語、淫化においても同じような理由でケチュア語または聖院第二公用語で喋る者が多数であるそうですね。
(淫化の場合、ややこしいことに山の東の淫化尼僧尊という地域…絶頂都市があって、そこは尻出国との関係で海綿菓子語の方が通じたりするんですよね…ううううう)
と、独特な尖ったお耳をしおしおに垂らしておられるエマネ副局長様ですけど、えらくまたお若いですね。
(世が世ならリュネ王国の女王様だったそうです…ちなみに私もですが、聖母教会での地位は枢機卿待遇です…)
でぇえええええっ。
それ、イザベル陛下よりお偉いのでは…。
(ふんっ、役位や帝位だけが人を測る物差しではございませんわっ)
(あの陛下、それ藪蛇…)
「ですがイザベル陛下の言われることは事実。肩書きに実力や実績が伴わないと、痴女皇国幹部会では真剣に肩身が狭いのです…ルネさんも出席できる身分に昇格すれば、いやでも私やフランシスカさんが毎回経験しておりますですね、ハリノムシロ状態とかいうのを体験できますよ…」
「聖母教会幹部会議とかもっと、針のむしろですからね…」
(ちなみにエマネ様も一応はリュネ体液国民会会長、つまりリュネ王国女王の地位を有しておられます…)
(エマネでも一応は務まるリュネ王位っと)
(イリヤおばさま。淫化帰ったら赤玉砂漠にレッツゴー。あとロッテさんかエイモン、ちょっと魔剣貸してくだはい。今回は二刀流でやってみます)
(私は今、連邦世界のメキシコに島流し中だってのに…)
(んじゃチワワ砂漠で。私がそっち行きます)
どういう親戚関係なのかは不明ですが、とにかく危険そうな関係であるのは伝わって来ます。
聞けば、エマネ様の腰の剣が危険物件で、剣であって剣ではなし、地獄の業火もかくやという炎を噴くしろもので、その名も爆炎剣とやらだとか。
「肉も焼けます」
あ、私はジョンブルではありませんので、肉は焼くより煮るほうが。
で、その危険な物件を常時携帯しておるらしいエマネ様ですが、さすがにうちの亭主と言えど性的な目を向けません。
それとフランシスカ様。
何かこう、普通にバスク系のエスパニオルという印象なのですが、これまた、うちの脱肛亭主は性的な目を向けません。
手足の届く範囲に入ると何かしそうな雰囲気でも漂っておるのでしょうか。
しかし、ジョルジュ少年のCoq。
このお二人に対して、反応しておるのです。
「ああ、それは正しい反応ですよ」
「というかこうなってもらわないと、痴女皇国幹部としてはダメダメなのです…」
「しかしエマネ様、かつての6919号同様、変態に物怖じしませんね…」
「フランシスカさん…うち、変態がいても人に害を及ぼすに至りませんでしたから…」
「うちも殴られるか投げ飛ばすか…連邦世界だと銃弾で決着してるか…」
ええ、どうやら中南米ではそもそも、変態の存在をあまり許さないようです。
「しかし、ジョルジュ君はサド卿とは違って屈折した感情をあまり出さない傾向があるんだよなぁ…ただ、それではシルヴィア嬢との生活があまり上手くいかん可能性がある。いや、仮面夫婦でも別に構わんらしいんだけど」
と、申されるのはアウグスティーナ殿下。
「はぁ…何か変な性癖でも…あ!」
ええ、シルヴィア嬢、思い至りました。
うちの亭主が何を書いたのか、に。
つまり、変態とは時に危険な存在である。
この認識に切り替わってしまったのです…だからあんなもん、何で書いたのよと、ついつい愚痴が出かかる一瞬ですが、私は気を取り直します。
「いや、安心してください。ヴァタイユ様、うちの亭主よりは遥かにまともなお方。ただ、くっついてた相手が変態の道へ引き込もうとしていただけですわよ」と、私も助け舟を出しておきましょう。
では、実際にどのような変態なのかを実演してもらいましょう。
「何で己れを縛る!」
「やかましい。乱入されると困るからですっ」
「しかし、ルネさんですか…なんかこう、異様に手慣れておられるんですけど…」
ええ、懲罰用の手首拘束台を用意して頂きました。
つまり、手首だけ縛る板手錠と、お腹側で体を支える台が組み合わせられており、四つん這いほどではないものの、無理矢理にお尻を向けさせて股を開かせる代物です。
普通はこの状態で聖母教会の前などに放置して犯し放題にする懲罰や強姦刑に使用しますが、流石にここの聖母教会ではまともに使用した痕跡がない、ほぼ新品と言っていいしろもの。
で、その懲罰強姦台とやらに縛られたのはシルヴィア嬢だけではありません。
エマネ様とフランシスカ様、そしてアウグスティーナ様に、マリカ様までもが。
「まぁ、これくらいなら痴女種能力全開で壊せてしまえますけど、何かこう、新鮮な不安感が」
マゾヒストですか、エマネ様。
「たまに離魔悪所の少年をですね…って何言わすんですか」
「まぁ、私のチンボテ勤務時代から離魔で助平って言うとイグァル、エマネ様でしたからねぇ」
「メキシコシティの夜間外出禁止令の実態を知ってなきゃフランシスカさんに同意しました…それにビエルネくんの乱棒をですね」
「あの乱棒はもはやディアネの管理。あたくしの知るところでは」
「実質的に夜這いを強要させているじゃないですか…」
聞けば、エマネ様はフランシスカ様のかつての上司であり、かつ互いの本拠をよく知る仲のようで。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/317/
「それはそれとしてジョルジュ君…君の好みそうな眺めらしいんだが」
と、こちらは拘束されていても、平然と落ち着いておられるアウグスティーナ殿下。
マドリード訪問の際からの案内役ということもあって、ジョルジュ少年の性癖や傾向を熟知している余裕が伺えます。
「わ、わたくしはさすがに…」と、汗だらっだらのシルヴィア嬢。
ええ、普通はそうです。
この腐れ亭主の手伝いとか強要されていて、手慣れている私が異常なのです。
(というかルネさんの手つきが異常なら痴女皇国女官、全員異常ですよ…ほら、警務研修を受けるから、罪人捕縛のやり方とか習うじゃないですか…)
(そうそう、言うこと聞かない女官を拘束して犯すとかふっつーにやりますからねぇ)
「それに衣装ですよ…私のがまだおとなしいのは、皆様のお召し物を見ればわかるのですけど…」
ええ、ジョルジュ少年に撫でられたり割れ目を開かれたり、色々されておるシルヴィア嬢は心底嫌そうです。
「うーん、シルヴィア様は本宮研修を受けて頂くか、パリのムーラン・ルージュかクレイジーホースで修行なさるか…」
実は、ヴァンセンヌ娯楽館の支店として、パリ市内にキャバレーが作られております。
ここでの踊り子の衣装、痴女宮の側のクラブジュネスなる店に準拠しておるそうです。
で、踊り子の姿や、はたまた踊りの振り付けに至るまで、しりふぇちとやらであらせられる聖父様の監修を受けておるとか。
(そもそも痴女皇国の衣装がハイレグやTバックとかスリングショットばかりなのはクリスおじさまの性癖を満たせというねーさん…上皇マリアリーゼの意向が強く反映されております。ですから、エマネちゃんやフランシスカさんがあたし向けのエロ衣装に準拠した制服姿にあまり強く文句を言わないのも、この辺の事情があるからなのです…えーとですねシルヴィアさん。確かにそれは聖母教会の助修士や修練士用の修道服ですけどね、こんなもん、この時代の人からしてみれば確かに、ハレンチカンカンにも程があるわ着用を躊躇するような反応になってしまうのは、他ならぬこのあたしも理解しております)
(痴女皇国二代目皇帝にして聖母教会二代目聖母、マリアヴェッラ陛下です…マドモアゼル、あなたもいずれは陛下に対する崇拝や信仰を持って頂きますよ…)
(は、はぁ…そのような雲上の方がわたくしに…いえ、皆様だけでも大概な地位とは存じますが…)
(聖母教会の尼僧となることすなわち、痴女皇国女官となるに等しい話です。今でこそ尼僧教育は全員を本宮に招いておりませんが、かつて女官は全て南洋王国聖院島…痴女島の本宮に招いて教育しておった時期があります。いいでしょう。ジョルジュ・バタイユ氏についてもその文芸才能を開花させるために、シルヴィア夫人ともども痴女宮に招かせて頂きます)
えええええ。
これはまた、とんでもない話になったもの。
(まぁ、サド侯爵ともども、ちょっとうちの本宮で色々させて頂きたいってのもありましてね。それとシニョーラ・ルネ。聖母教会司祭としての教育について、シニョーラ・シルヴィア同様に痴女島罰姦聖母教会で短期集中特訓を申し渡します。どのみち本国でお尋ね者の立場を解除して差し上げる工作の期間を必要としますから、その間の時間稼ぎにはちょうどよいでしょう…この研修の際には、シニョーレ・サドにも痴女島にお越し頂きます)
これは皇帝勅言やさかいに、正当な理由なしには逆らえまへんでという心話、フランシスカ様やエマネ様から来ました。
(んでですね、ここからはあたしの個人的なコンシーリョのお時間です。まず、そこのジョルジュ・バタイユさんですけどね、聖父であるクリスおじさまの類似品ですね、あたしの分析だと…)
と、ジョルジュ少年以外にだけ聞こえるような心話で告げられるマリアヴェッラ陛下…ベラ子陛下。
(つまり、今お尻を触られてる皆さん自身がお分かりと思うんですけどね、その…ジョルジュ君がお尻を愛撫してる熱意や反応がですね、アウグスティーナさんとそれ以外の方だとですね、ちょっと違いますよね)
(ぶっちゃけこの中ではアウグスティーナ様にいちばん、ご執心というか)
(尻の形ではどなたも負けず劣らず。シルヴィア嬢も、少々の体型補正で私どもに近づけるかと…ですが陛下、この差は一体なぜに起きておるのやら。私の見立てでは、私と言えど、バタイユ少年があの悪女たるシモーヌめに対して向ける性欲には負けておるようなのですが)
(そこですよアウグスティーナさん。シモーヌちゃんはね、そもそも堕天使さんたちが誘惑せんでも悪の道へまっしぐらだって太鼓判を押すくらいに悪女だそうなんです)
これ…当のシモーヌには聞かれてませんよね…聞かれたらえっらいことになる気がしますが。
(ご安心を。ちゃんと遮断していますよ。で、シモーヌちゃんが悪女になった理由は、要は貴族のお子さんや女生徒どうしでのマウントの取り合いに勝つために手段を選ばない思考に至ったからです。生き恥をかかせたり、好きでもない男のちんぽに無理矢理あんあん言わせてしまうとか、あげく痛めつけるのにも躊躇がないのは、いわばドナイシタンじゃなくて、ドナシアン・サド侯爵の女性版だと考えるとわかりやすいでしょう)
え。
なるほど、言われてみれば確かに思い当たる節もありますね。
(これは連邦世界でのジョルジュ・バタイユ氏がマルキ・ド・サド…サド侯爵の著作に強い影響を受けたことも起因していますよ。まぁぶっちゃけ言うと、連邦世界だとシモーヌちゃんとマルセルちゃん、バタイユ氏の著作の中の架空の人物です。しかし、この痴女皇国世界ではどういうわけか、バタイユ氏が考えた悪徳的な少女の思考をまんま再現して生まれたと考えてください。つまりは、生まれながらの堕天使や悪魔めいた存在なのです)
このベラ子陛下のお話も、私の想像を絶するものでした。
そして、ドナシアンにも聞かせられない話ではないかと。
(もちろん、サド侯爵にも聞こえないようにした上で、高速心話を使用していますから、侯爵からだとあたしたちが話しているようには見えてませんよ)
それならば安心ですが…。
(で、なぜ、バタイユ少年がアウグスティーナさんの熱心な献身や、実質的な求愛に気付きながらもですね、こいつあかん地雷や逃げんとならんと言う危険信号をシモーヌちゃんから読み取っていても、シモーヌちゃんの時に比べてイマイチ責めや攻めが甘いと思ったことはありませんか、アウグスティーナさん…)
(ぬ、陛下に申されますと、確かにその気配、ございました…彼はやはり悪女に魅入られる存在なのであろうか、とも…)
(ええ、クリスおじさまの時と逆と言えば逆でして、悪魔的な狡猾さを天然で発揮してバタイユ少年に変態性癖を刷り込んだり、あまつさえせんずりやおめこする第一の対象としてシモーヌちゃん自身を刷り込んだ記憶の強さは非常に強力なものがあるんですよ)
(ああ…今、私も記憶を読んでますけど、ベラ子陛下…これ、挿入器具の太陽乙女候補生とやってることは似ていても、囲い込み方がはるかに悪辣悪質ですよ…)
(エマネ様に付け加えますと、マンコラや離魔悪所はおろかチンボテ担当の女官よりえげつないことしてませんか、このシモーヌって少女…あの魔屋配属だったナターリアを想像してしまうんですが…)
(ま、ナターリアさんや6919号くんの事例が参考となって、こうした傾向を矯正治療する方法はあるにはあります。ただ…ジョルジュくん、つまりバタイユ氏とサド侯爵の今後の著作活動については、今しばらくお二人にペンを取って…いえ、マキナデスクリブレに向かってもらう必要もあります。フランス病作戦の実施までにはこの対策、イザベルさんからアウグスティーナさんの処遇についての相談を受けていることもありますから必ずあたしの名にかけてでも実施しますけど、数ヶ月のお時間を頂きたいのですよ…シルヴィアさんにも望まぬお見合いをさせてしまった謝礼というか、お詫びの人事を用意してますから…)
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