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尻球譚 -変態男爵の話 Histoire de fesses.- baron pervers -・5

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「ふふふふふふ、姦淫闘牛を見ていた者たちの動きに注目するとは、さすがはランス修道院が目をつけただけはある…」

「ええ、何人か、おっ始めた行為に驚いて逃げ出してましたの、きのうの夜に見たのですよ…」

学生一行の案内役として随伴する婦人騎士団騎士に説明しながら、一行の従者として雇入れた浮浪者偽女種のアミナドが、どこかの貴人らしき女を犯す手助けをする悪女シモーヌ。

その、学生という身分からかけ離れた悪辣な思考の頭脳、ここスペインでもいかんなく存分に発揮されているようなのです。

(ふふふふふ、この女はどこぞの貴族の娘のようだが…マドリード大学に留学すればこんなにも楽しいことが毎日の如く味わえると教えてやってくれ…)

(しかし、えげつない話ですね…この女どもの従者、姦淫闘牛の観覧席で回って来た女とのおめこに夢中…おまえのあるじはこんな場所であたしたちに犯され辱められておるってのに…)

ほらほら見ろ見ろとばかりに、この貴人らしい娘の側で聖環を使って、活動しゃしんを見せるシモーヌ。

(それになんてことでしょ…あんたの母親もやってることをしてる最中だわ!はれんちにも程があるわよ!おほほほほほ!)

ええ、姦淫闘牛では外国人観覧席を中心に、マドリードの修道院の修練士以上の偽女種や少年が、ちんぽを求める女たちのために待機しているのです。

そして彼らは姦淫要員として、闘牛士の勝利の後の強姦儀式に合わせて観客席になだれ込むのだそうです…。

では、姦淫闘牛を好まない外国人の観光客たちはどうしているのか。

この闘牛場からさらに東側、マドリードのれっしゃ駅であるアトーチャ駅、そしてチャマルティン駅の間にかけてはマドリード随一の繁華街。

しかし、王宮の西側に広がるカーサ・デ・カンポ…王庭公園なる、広大な庭園や、そして池などがある森林公園一帯、単なる公園ではないそうです。

このカーサ・デ・カンポこそが強姦公園の一つであり、かつスペイン王国が推奨する青姦姦淫公園だそうです。

この時代のマドリード、夜間外出禁止令が敷かれた地域では、市民が勝手に街歩きするのが叶いません。

しかし、もっと厳しい法律が存在したのです…。

それは、マドリード市のアパルトマン…住宅では、室内での性行為を禁止するという、痴女皇国の支部にあるまじき悪法にも思える市民規制令たる、姦淫規制法を示すそうです。

この法律を破ると、速攻で官憲…国家憲兵隊に所属する婦人騎士か、闘牛騎士団に所属する男性または偽女種の騎士が飛んで来て、その場で強姦されるのです。

そして、孕んだ場合は犯罪者としてサルスエラ宮殿の地下施設で強制出産処理となると…。

そう…今やマドリード市民はだんだんと整理されていて、若いか若返った者が主流になっているようなのですよ…で、強姦が刑罰として成立してしまう状態なのです…様々な意味で…。

では、発情した場合はどうすればよいのか。

カーサ・デ・カンポを始めとするマドリード市内の公園への散歩許可を取れば良いのだそうです…。

この夜間散歩許可証、聖環を使って申請すればすぐ、もらえます。

では、外国人はどうするのか。

(マドリードに来る時点で貸出品を含めて聖環装着が必須ですわよ…そもそもあの高速列車…AVEのきっぷは聖環をつけていなくば買えぬのですから、地元の聖母教会で貸与を受ける必要がありますわ)

つまり、マドリードにいる時点で、聖環をつけていない者は正規の入国者ではないとされてしまう状況。

ですから、外国人であっても散歩許可証を取得すれば公園への往復は可能なのです。

(もちろん、公園に向かわずにあちこちをうろうろしていると、そのうちに聖環が許可地域外徘徊者というけいほう警報を出してしまいます。そして聖環によって体を麻痺させられますから、これまた国家憲兵によって御用となるのですわ)

で、夜は屋台の出ておる一角もあったり、えろほん自動販売機も置かれていたりするカーサ・デ・カンポ。

単に、うろついていると強姦される強姦公園だけではありません。

なんと、姦淫禁止住宅に住む者たちが青姦しているのを覗けるのです。

もちろん、姦淫を邪魔すれば警務騎士が飛んで来ます。

(ふふふふふ…もはやこのマドリードでは、かなりの身分のものでなくば、が基本なのです…アウグスティーナ、バタイユ少年一行を案内した当時のこと、引き続きマダム・ルネに教えておあげなさい…)

ええ、この案内役の騎士様、アウグスティーナというお名前だそうです。

(いやはやルネ夫人、あのシモーヌ・エドワルダは人類悪とでも言うべき悪事と悪意の結晶のような女でしたよ…私がついていなければ、そちらのロベスピエールのような童貞を自慢し性交を嫌がるような男、辱めた挙句に殺害しかねない部類でしたね…)

(そうですね…ジョルジュ君…当時のヴァタイユ卿があんな悪女の網にかかってしまったのが不幸の極みだったのか、はたまた人生を切り開く契機だったのか…私には正直、今でも判断がつきかねております…)

(まぁ、お宅のご主人ほどには難物ではありますまい…そうそう、マルセルですが、邪魔烏賊の聖母教会で変態司祭として悪名を轟かせておりますよ。ま、あそこは悪名が轟く程度の方が良い、珈琲淫農園の管理教会ですし…)

この、アウグスティーナ様の発言の意味、後で必ず読者の皆様にお教えする機会が現れるそうです。

今は、当時のカーサ・デ・カンポでの光景を描いた、ヴァタイユ…いえ、オーシュ男爵という筆名で書かれた小説のあらすじ、そして実際のジョルジュ少年の足取りを追いながら状況をご説明して参りましょう。

(ねぇねぇアミナド、あんたはここで女を狩ってなかったの?)

シモーヌの質問に、即座に答える元・志願労働奴隷で暗黒大陸出身の懲罰偽女種かつ浮浪者のアミナド。

しかし、今やその身なりは偽女種用とはいえど、用人のための靴や服を与えられ、髪や化粧も整えられています。

そればかりか、股ぐらの逸物を含めて好色な女どもの目を惹きそうな、懲罰偽女種らしい体型体格に矯正された様子。

(うーん、あたいだけじゃなくて、暗黒大陸の出のものはいすわれるこうえんが決まってたみたいなのですよ。騎士さま、たしか、公園にいられるおかまのかずがきまっていて、別のこうえんにいかされることもあったようなのですけど…)

(アミナド、君の言う通りだ。暗黒大陸出身者だけじゃないんだが、マドリードにいる浮浪者たちが住める数、公園ごとに決められていてね…だからといって住まいを奪っているわけでもないのだ。ただ、どうしても乞食になる経緯で、暗黒大陸の出身者が多いということになってしまってるんだよ、現状)

つまり、であるから職業や住居を与えられない、というわけでもないのですね。

(旅人のためのオテルはアトーチャ駅の近くに多く建っているしな…そして、アミナドのような黒人の偽女種を集中配置しているのがアトーチャ駅のすぐ北に位置するエル・レティロ公園という場所になっているんだが…このカーサ・デ・カンポや王宮西を流れるマンサナレス川の河川敷公園などは、どちらかといえばマドリード市民、特に君たちフランスの者が言うところのブルジョアたちがおめこしに来る場所扱いだな、うん)

そして、この黒んぼたち。

場合によっては、そうした金回りが良い男女に雇われ、女を犯す立場になったそうです。

そして、偽女種になっておるならば、男のちんぽを咥えることで、精液も頂戴できるというあんばい。

(私たち婦人騎士や聖母教会の尼僧のための性具という意味も含めて、彼ら黒人少年は輸入されているのだよ…だが、連邦世界の黒人奴隷とは違って、寿命こそ削られるが我々白人には重宝される部類の者たちだ。そして、ここで雇入れの口がない場合なんだが…)

なんと、性具の能力があれば、奉仕偽女種として南米や中米、更には東方聖母教会の管轄とはなりますが、滅姦めっかにまで送られることもあるとか。

(ここで注意して頂きたいのだがね、本人の希望があれば暗黒大陸に戻してやっているのだよ…ただ、彼の地ではそもそも、夫婦者として暮らす審査が厳しいからこそ、スペインや鯖挟国などに出稼ぎに行くのだからな…)

そう、連邦世界の黒人奴隷とやらと違い、あくまでも彼らは行った先で何があるか、待遇はどうだと言うのを教えられた上で「じゃあ行く」と志願して船に乗っているそうなのです。

ただ、この黒人少年のように、やはり見た目は白人とかいう分類である私たちとは明らかに違う顔や肌の色、生理的に受け付けないという女も決して少なくはないでしょう。

更に、黒人の女、相当な美人でなくば、白人の男たちのちんぽには響かないようなのです…。

(禁欲を極めさせれば話は別だが、そんな獣のような奴に犯されてしまう女の立場からすれば困った話になってしまうだろう…)

どうやら、このアウグスティーナ様という方、に居場所を与え、ある程度は権利を守ってやる考えの持ち主でもあるようですね。

(そりゃ、私たち南欧支部は暗黒大陸地区本部との付き合いがあるから…逆に南欧を経由して、肌の白い女たちを向こうに回している立場でもあるのは内密に願いたい…)

そう、強姦公園や姦淫公園で犯され孕まされた女たち、妊娠をなかったことにするためには、南欧支部の本部であるサルスエラ宮殿の地下に行く必要があるのです。

ここに、何があるかはともかくとして、このスペイン旅行で孕んだ子供は取り上げられる代わりに、妊娠は「なかったこと」にされる処置が取られる、とだけお伝えいたしましょう…。

(これは今のスペイン王国の独自法制度に縛られているせいもあるのだよ、マダム…今のスペインでは、親元で子を育てるには政府の許可を必要とするのだ…一定の所得や地位がなければ、孕んだ場合、サルスエラの地下施設で子を取り出され、国家の子として育てられてしまうのだ…)

更には、もっと恐ろしい話も聞かされます。

(例えば、籠絡を要する貴人子女がマドリードに来たとしよう。宿の受付では男遊びについて案内する際に、強姦公園や姦淫公園の存在位についても彼女に教えるのだが、姦淫公園として王宮至近の公園を強く推奨することがあってね…)

え。

(で、この公園で男が付き添わず女だけでうろつけば、どのみち浮浪者に犯されることになる。で、問題はそこからなんだよ…)

ええ、これまた驚愕でした。

なんと、聖環の警報で妊娠を告知されたその対象の女、流れてくる案内や、場合によっては事前の何らかの説明で知っていた場合、マドリード聖母教会が設けている妊娠相談窓口に連絡することになります。

では、と連絡を受けた窓口では、何時にどこそこの教会…大抵はアルムデナ大聖堂となるそうですけど…に来るようにと言われますが、そこからサルスエラ宮殿に送られた後が恐るべきことの始まりとなるのです。

なんと、サルスエラ地下の強制出産・即成栽培施設で、子供を取り出されるだけではありません。

場合によっては、その女のがサルスエラ宮殿から俗界に帰還することになるのです…そして、元々の孕んだ女については、どこの誰かを定かではなくした上で、暗黒大陸や中南米、砂漠の国などへ送ってしまう事すらあるのだとか…。

(我々の都合の良い動きをしてくれた方がありがたい女だけの措置で、誰彼なしにやっている訳でもないのだがね。で、そうして身元不明になった女については海賊共和国のグァンタナモを経由して、流刑地大陸だの淫化や女裂振珍めきしこ送りにするというわけだ…つまり、人種改良というのか…マダムが言う黒んぼを、黒んぼでなくするための一環として送り込んでいるんだよ。だから、あの時にアミナドのちんぽを突っ込まれたマルセルやシモーヌの子供も、そうした急速成長の過程を経て南欧支部以外のどこかの地に行って、そこで生きているはずなのだよ…)
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