闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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おんな刑務官哀史・チンボテ編・10

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「ところで君…偽女種おかま6919号だったかな、これをどう思う」と、6919号の側の空席に座って語りかけるジョスリーヌ分団長。

その股間…黒薔薇騎士団戦闘服に開いた穴から、なんとちんぽがにょっきりと。

「すごく…大きいです」

ええ、まじまじと逸物を見る目の6919号ですが、その目は真剣です。

どうやら、自分のものと比較して、その巨大さに圧倒されたようなのです。

(しかし、マリアヴェッラ陛下やエマネ様のあの凶器は更に狂気じみておりましたが…)

(あれを受け入れられるのも黒薔薇の証の一つなのです…)

というか6919号、あんたも偽女種になったらその、気にしてるチンポも結構大きくなるのでは。

と思っておりますと、ジョスリーヌ団長が助け舟を。

「ふむ…君は逸物のタイユでかさを気にしているのか。ならば、偽女種になればいいのではないか。君は偽女種と少年の姿を選択できる権限を有しておるはずだが…」

そう言いつつも、勃起した逸物をひけらかすジョスリーヌ団長。

その真意はいかに。

(要はこの偽女種、いささかに厄介者であるようだが…どうせボロブドゥールに行くなら、懲罰方法が考えられるぞ。どうかなマドモアゼル、ひとつ私の計略に乗ってみないか)

とか、心話で言われた件、実のところは私もオノリナも「そういう方法があるか!」と大変に乗り気です。

よっしゃ、ちょっとお願いしましょうか。

(という訳で陛下、ちょいと細工をさせて頂きたく。プランセス・マルハレータもそれで構わないか)

(ベラ子陛下、これはコープシェフしれいかん・ジョスリーヌの作戦がお二人にもええ方向に働くと思うんですけど…)

(ぬーん…わかりました。あとジョスリン、恐らくは現地での案内にホンランちゃん…オーキディアーネさんが必要になるでしょう。臨時の出動要請に備えて待機を依頼してください。恐らくは聖院湖で拾う事になると思います)

(bien reçu)

で、こうした心話でのやり取りを預かり知らぬ6919号。

偽女種に変身すると、おずおずとその逸物を咥え始めます。

「ふむ…技はなかなかだが…君にとってはこの私だって、憎い憎い女の一員でもあるんだが、構わんのかね…」などと講評を与えておられます。

しかし、実のところはこれ、ジョスリーヌ団長はこの奉仕で6919号に精液と褒美を与えるつもりはないのです。

ええ、6919号は気付かなかったでしょう。

私でも、黒薔薇資格を得ていなかったら、気付いていたかどうか。

団長はちんぽを出した一瞬に、手に隠し持った聖水製剤…それも、女と書かれたものを右手で密かに握って砕き、ちんぽにまぶしたのです。

そればかりか。

(これは女を牝に変える薬剤の試薬なのだが…どれ、君が舐めることで私のちんぽの亀頭部から粘膜吸収されるかも知れないな)

などと申しておられますよ…。

(だが試薬だ、男の君にもよからぬ副作用があるかも知れない。生命の危機はないと思うが…)

ええ、確かにそれ、ものすごい副作用がありますね。

そして、女を牝に変えるという文言を言葉通りに受け取ったらしい6919号、その薬剤まみれになったちんぽを咥えてしゃぶり始めたのですけど…。

確かに、その薬は女を牝に変えますよ。

というか聖母教会の補助員の研修で習ったやろがい。

ええ、男や偽女種にその製剤を溶かした水をぶっかけたら、性別が女に変わるんやぞ。

そうです…見た目が女の偽女種を、本当に牝に変えてしまうのです。

ですので、ジョスリーヌ団長は、あながち嘘は言っておられないのです。

「どれどれ、なかなかだが…おい君、6919号君…」と、尺八ママダを中断させ、6919号に注意を促す団長。

「ちょっと君、自分の股間を触ってみてくれ…副作用が出たかも知れないぞ…」と、6919号に自分で自分自身の股間を触らせようとなさっておられますが…。

瞬間、6919号が叫ぶ叫ぶ叫ぶ。

「¡Mi polla! ¡Mi polla se fue a alguna parte!(僕のチンポ!僕のチンポがどこかに!)」

ええ、ベラ子陛下もマルハレータ殿下も、そして我々も、6919号と反対の方を向いて笑いを堪えるのに必死です。

(さすが、さすがカエル女…根性の悪さは超一流ですね…)

(いえいえ、パスタ女には負けますよ。しかし、聖母教会の洗礼研修を受けた者であれば、治療手段に思い至らぬものなのでしょうか…)

(ですわなぁコープシェフ…言うならこんなもん、偽女種化の洗礼製剤を飲ませるか溶かしてぶっかけたら治るもんですけどな…)

しかし、実際にちんぽがなくなって…つまり、正味の女になってしまった6919号は泣くどころではありません。

「6919号…しかし、これは黒薔薇騎士、それもジョスリーヌ団長の行為だし、だいいち団長からは副作用を警告されていただろう…」

つまり、私が言ったのは、絶大な権力を有するジョスリーヌ団長を責められないぞという釘刺しなのです。

「そうよあんた…それなのに団長のご機嫌をうかつに取ろうとするから…これは神罰と言っていいわよ…」

「ですがジョスリーヌ団長、これは今後の明日輝と魔屋の行政方針を考えますと、長期的に見れば6919号の人生に大きく関わる話では。6919号、前にも言ったかも知れないが、お前に能力があれば再び、千人卒または司祭職以上の女官としてちんぽを股間にいきり立たせることも不可能ではないんだぞ…」

「そうよあんた…どうせあんたの事だから、あたしや妹たちをちんぽで犯して回るとか考えてたんでしょ…痴女種になったら同格や格下の相手の頭の中は丸見えになるって気付かなかったの…」

ええ、実の姉に思惑を見透かされて更に涙目ですよ、6919号。

しかし、ジョスリーヌ団長はこうも申されます。

「聖母教会や慈母宗のような痴女皇国が運営する宗教団体は、その教義によっては君のような変態的な凌辱傾向があっても、むしろそれを推奨する場合があるのだが…どうだ、一度女が女を犯す場面を見てから自分の身の振り方を決めてもいいのではないか。それに、基本的にはどんな状況であろうとも、君が男や偽女種である限りは、本質的に姉さんの上には立てないんだぞ…」

と、優しくやさしーーーーく、6919号を諭す団長。

(このカエル女が自分を隠す技は本当に…)

(戦場で難民の子供を懐柔したりするのもお手のものでしたからね…ベテハリやカルノ、そしてイエツナのような素直なよい子ばかりではありませんから…)

まぁともかく、団長のよしよしで精神の安定を取り戻そうとする6919号。

「マリアヴェッラ陛下。大幅な予定変更となりますが、この偽女種6919号については治療できる可能性を見せるためにも、慈母宗施設へと向かわせるのが妥当かと存じます。それに、どうせならばボロブドゥールかマンコール・ワットを見学する方が、明日輝や魔屋の運営を任される二人の参考となるのでは」

「ふむ…カエル女の言い分にも一理ありますね。マルハレータちゃん、聖院空港ではなく聖院湖に着水します。ジョスリン、ペルセちゃんに連絡を取って、今日と明日、ホンランちゃんを借りてよいか尋ねてください。マルハちゃん、ホンランちゃんが刑務部の仕事を抜けられそうならマンコール・ワットへ。ダメならボロブドゥールに向かいます」

「了解でございます陛下、差し当たっては聖院湖のスケアクロウ桟橋付近を目指しまっせ」

なるほど。

あらかじめ心話で話がついていたとはいえ、見事にさくさくと話が進むものです。

しかし、マンコール・ワットとは。

あれは確か、アンコール・ワットと言うのでは。

「マリアリーゼ陛下の勅言で、痴女皇国世界ではその名称になったのだ…しかも、対人地雷国かんぷちあのみならず、インドシナ半島における慈母宗拠点となるようにと、対になる追加の仏教施設まで建造されてな…」

「行けばわかりますが、北の隣にチンコール・ワットという偽女種のための慈母寺も併設されたのです…もちろん、特徴的な尖塔の先端部の形状は大きく変えられました…」

「うむ。陛下の言うとおりで…これはカンプチアの旧・宗主国であるフランス共和国も、私的に抗議をした。具体的には宙兵隊派遣時代に現地赴任経験のあるポワカール閣下と、カルメン夫人が嫌味を言っている」

「嫌味を言う程度しか出来なかったのです…」

「ただ、アンコール・トムはほぼそのままだ…対人地雷国の宗教首都とされ、国王夫妻はアンコール・トム内の王宮に住まうこととされたのだ…」

で、我々が座る補助員席の前のパーソナルモニタに、その、マンコール・ワットとやらの衛星画像らしきが表示されます。
https://x.com/725578cc/status/1771934648400028001?s=20
https://x.com/725578cc/status/1771936665860280756?s=20

   アンコール・トム並びに周辺略図
--------------------------------------
   □□□□□□□□□□□□
   □アンコール・トム敷地□
   □    □王宮   □
   □====□寺院===□
   □          □
   □          □
   □□□□□□□□□□□□

         □□□□□
チンコール・ワット→ □□□□
         □□□□□

         □□□□□
マンコール・ワット→ □□□□
         □□□□□
--------------------------------------

そして、チンコール・ワットがアンコール・トム、即ち王宮に寄せられた理由とは。

「ちんぽから精液を搾り取る尼僧の献身が尊いとされる慈母宗の教えによるものです。尼僧は世の男の苦しみである射精の欲求を満たし取り除く、慈母観世音菩薩の使者とされるのです…」

ブッディスタですらない私でも、嘘やろとしか思えない教義。

しかし、しかし。

ここは痴女皇国。

そして、私とオノリナ、今後は似たような教えを赴任地で説かねばならぬ身です。

で、もう一つ疑問が。

(つまりですよ陛下。普通ならばこういう王権政治を敷いた場合、およそ女を囲う場所というのは権力者の近くのはずではないでしょうか。つまり、マンコール・ワットが王宮の至近にあるべきなのでは)

(フランシスカさんの疑問もごもっともなのです。しかし、対人地雷国の国王自らも慈母宗信徒として、搾り取られる行為の規範を小僧たちに見せる必要があるのと…そして指名競争が存在するんです…)

なんですかそれ。

という訳で、聞いた話こそが絶句すべき内容でした。

対人地雷国の国王、なんと王妃を娶らぬ立場。

じゃあお世継ぎはどうやって、と思いますとですね。

なんと、4月なら4月に慈母宗の尼僧で一番、精気授受の成績が良かった尼僧が王宮に招かれて5月の地雷王の愛人を務めるのだそうです。

そしてマンコール・ワットは地雷国のみならず、すぐ近場の編笠民兵国や泰拳仏象国だの、珍子芥子三角ちんぽぴー国だの竪琴真紀子びるまきこ国などから優秀な尼僧候補を募り、中僧頭以上…聖母教会で言えば司祭以上の、最低でも寺院一つを任せられる尼僧を育てる学校として機能させているのだそうですよ。

--------------------------------------
聖母教会  東方聖母教会  南洋慈母宗

教皇    全地総主教   大僧正  千万卒以上
枢機卿   主教・総主教  中僧正  百万卒以上
大司教   掌院司祭    小僧正  十万卒以上
司教    典院司祭    大僧都  一万卒以上
司祭    司祭      中僧都  千人卒以上
助祭    輔祭ほさい      大律師  百人卒以上
修道司祭  副輔祭     中律師  十人卒以上    
修道助祭  堂役輔祭    律師   一人卒以上
修練士   修練士     学僧   ※
助修士   助修士     学侶   ※

※男子・女子・偽女種の性別強制変更処置については教派宗派により異なる
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/127/
--------------------------------------

じゃ、チンコール・ワットは何をしている寺院なのか。

これまた聖母教会で言う指導偽女種たる姦官の育成学校です。

つまり、これまた周辺国を含めて優秀そうな少年を集めて、尼僧補助たる大律師までの偽女種を育てる、いわば主計偽女種や知能偽女種の養成学校。

シーメール・ハイスクールとでも言うべき学校なのだという説明を受け、私もオノリナも、そして6919号ですら絶句するばかり。

「南洋慈母寺総本山のボロブドゥールも女の地獄なのですよ…あそこの聖院学院仏教学部の男子寮は独立してますけどね、女子は寺院内部の寮に放り込まれてしごかれるのです…」

ーー南洋慈母宗ボロブドゥール寺院平面・断面図ーー

                     |
      →ジョクジャカルタ方面街道  |
        |            |
 北大池庭園  |            | 
(偽女種処分場)| ーーーーーーーーー  |
ーーーーーーーー| |聖院学院仏教部|  |
          ーーーーーーーーー  |
                     |
  ーーーーーーーーー          |
  |ーーーーーーー|          |
ーー|ボロブドゥール|ーーーーーーーーーー|
  ||寺院 本堂|東方大階段・参道
ーー||     ||ーーーーーーーーーー|
  |ーーーーーーー|          |
  ーーーーーーーーー ーーーー←鉄道(地下へ)

        屋 上
     ーーーーーーーー
   ーー 寺院幹部居室 ー ー東
  ーー 特礼区画・尼僧居住区 ー ー方
 ーーー 特礼区画・尼僧居住区 ーー ーー大階段
ーーーー礼拝受付所・執務区画他 ーーー ↑地上
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   職員供食室・車両駐車場・設備室他 ↓地下
 地下駅・大礼拝堂・仕訳室・教育処置室・即成栽培室
  聖列者安置室・受変電室・特殊雨水回収貯留室他
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれ。

ボロブドゥールでは、少年寮が離れているんですね。

「いいところに気付かれましたね。これは南洋慈母宗独特の事情が絡んでまして、お気に入りの姦官候補を青田刈りできるのですけど…熱心な尼僧候補は、夜這いをしてでも偽女種を口説くのです…」

「ベラ子陛下、あそこボロブドゥールについてはワイも知らぬ場所でもないんで…ボロブドゥールの聖院学院、一般の男子も入れてることは入れてるんですわ。で、尼僧候補は候補で、全員が寺院の長になられへんのは聖母教会と同じといえば同じですんや。そして…」

なるほど。

俗世の人間としての才覚の方があるならば、無理に僧侶の道を進ませずに…いわばカタギとして暮らさせる道も用意されておると。

で、そのカタギへの道の一つが、ジョクジャカルタという…ボロブドゥールの東にある南洋王国の王都にして、南洋行政局本部がある町の同棲街への男女が組となっての赴任という訳ですね。

この辺、現地を視察した経験がおありのマユミ支部長からも話をお聞きした記憶が。

つまり、男女それぞれの資質によって、寺や教会に配属するか、あるいは還俗という措置…宗教人ではなく一般人として生活させるかを決める、ふるい分けの場所なのでしょう。

そして、ふるい分けの方法はその、拠点となる場所によって微妙に異なっておるようです。

「ですので、明日輝は明日輝で、現地に合った方法で男女の適性判定をやって欲しいのですよ…」

「ああそうそう陛下にコープシェフ、今のアンコール・トム慈母寺の統括僧侶ですけどな、マドゥラのカーティカ、ご存知ですやろか。あれを中僧正にする代わりにということで、アンコール・トム慈母寺寺院群の管轄管長として何年か行かしてる手筈になってますねや…あれの娘のスピカも大僧都になってパメカサンの管長に収まってますしな」

つまり、かつてマルハレータ殿下がインドネシア…南洋王国の統治権限者として執政実務を担っておられた際の部下の方が、アンコール・トムの寺院を束ねる要職に就任なすっておられるようです。

それと、グロリアナ改め、オノリナ。

アンコール・トム到着後に必要になるということで、マリアヴェッラ陛下の指示の下、後部貨物室の指揮官居住ユニット…つまり、キャンピングカーの中で私のによって千人卒へと昇格を果たしております。

honorina Laura Miranda. オノリナ Thousand Suction 千人卒 Slut Visual. 痴女外観 Holy Order knights, Imperial of Temptress. 聖隷騎士団 Central American Pirate Republic Branch, Imperial of Temptress. 痴女皇国中米行政支局 Police Bureau trainee. 警務局研修生

で、このIFFステータスのデータ、まだ変わる可能性があるそうです。

(確か、フランシスカ様はメヒコにおられた際に慈善事業にもそれなりに参画なさっておられたかと…)

ええ。

オノリナの祖国向けの震災支援基金などに寄付をした記憶があります。

そして、この手の慈善事業への寄付行為…これも、私が事情罪人に認定された判断材料の一つでもあると。

即ち…聖母教会でも慈母寺でも、重要な任務があります。

それは、貧困者の救済。

慈母寺も聖母教会も、確かに管区内の住民を残さず労働者か、さもなくば労働学生化します。

しかし、その代償に健康的な生活と食事と寝る場所を保証し、あまつさえ性交の機会のみならず、教育の機会すら授けているのです。

そして、我々も本宮または茸島で受けさせられる緊急出動試験。

騎士資格の認定であるのはもちろんですが、戦争のための緊急出動というよりは、管轄地域の住民が作業中に怪我をしたとか、あるいは毒蛇に噛まれるなどの不慮の事故に遭った場合、一刻を争う救命行動に走るための能力を認定する目的だと聞かされます。

つまり、一刻も早く負傷者の元へ駆けつけ、精気授受などの救命行動に入れるようにするため。

言うなれば、人を救う能力を磨けと言われておるのです。

特に黒薔薇騎士は、普通の千人卒痴女種からしてもその、数倍から数百倍の速度で運動することが可能。

そして、特殊任務のための能力を授けられておるとは言え、実際に救命活動を命じられ、文字通りに飛んで行くことすら決して珍しい話ではないようなのです。

「この地雷国や周辺がまさにそうなのですが、動物、特に蛇類は有毒種が多いのです。コブラに噛まれただけでも、命が助かったとしても手足の変形などの後遺症に悩まされてしまいます。ですが…」

「痴女種、それも黒薔薇騎士や匹敵する卒級の者が駆けつけて精気を与えて細胞を正常状態に戻せば、元の健康な身体へ瞬時に復旧することが可能なのだ…よろしいか君たち、君たちが中米地区で今後、活動する際にも念頭に置いて欲しいのがまさにこれだ…痴女種の能力は、決して人を殺戮し駆逐するために与えられているのではなく、1人でも多くの人間の寿命を全うさせるために使われるべきなのだ…」

この、マリアヴェッラ陛下とジョスリーヌ団長の話、オノリナはもちろんのこと、6919号にもこたえたようです。

6919号とて現状のままで痴女種状態を継続することを望むならば、こうした女官としての行動の基礎規範に準拠して動くことを求められます。

つまりぃ…女官を懲罰したり、犯すのはその任務上必要だからやることであって、欲望を満たすための目的としてやるのではない。

あくまでも一般人…特に男性を保護し奉仕するために、その歩く性器のごとき肢体と美貌を与えられていることを忘れないで欲しいというのが陛下や団長の要望なのです。

--

「お邪魔しまーす」

聖院湖という巨大な湖に降りたスケアクロウ。

この時間帯に必ず降ってくるというスコールを回避するためもあって、ダムを形成している堤防から伸びる離宮への道の途中にある係留桟橋に繋がれ、雨上がりを待っております。

で、ここで黒薔薇騎士としては私の次に最近の入団となるらしいオーキディアーネ刑務部長…グエン・ホンランさんがスケアクロウの機内に乗り込んで来られました。

黒薔薇騎士の制服ですが、その剣や頭飾りに蘭の花の模様が入ったものをお使いの、アジア系が一眼でわかる御仁。

そして、編笠民兵国の阮王朝関係者ということで、民兵国内の慈母宗普及に貢献したかどで本宮職員への登用推薦を受けた方だというのがジョスリーヌ団長のご説明ですが。

「オーキディアーネ。本宮では少しは大人しくしていられるだろ…」

「は、はい分団長…おかげさまで皆様にも優しくされて居心地も良く…」

ええと、何か目が泳いでおられます。

(アルト閣下とダリア統括にこてんぱんにのされました…特にアルト閣下が、聖院でなくて痴女皇国の方の閣下だってのに気付かずにですねぇ…)

ええ、喧嘩っ早い性格が元来の性分なようですね。

(いや、旧・宗主国だった関係で少しだけベトナムのことを知ってるんだけどな…とにかく血の気が多くて手が出るのが早い。ベトナム戦争はもちろん、中越戦争で中国すら苦戦したのも良くわかるのだが…)

どうも、夫婦喧嘩でさえ刃物が登場して大騒ぎになることが珍しくないようです。

(逆にカンプチアは元来ならば割とのんびりしている部類だな。内戦やサロット・サル…ポル・ポトの蛮行がなければあの国は東南アジアではまだ、おとなしい方だ…)

(で、仏教文化やヒンズー文化の遺跡が多数。雨も多くて水にも米にも困らない部類なので、寺院を作る人手も無理に拠出させなくてもある程度はなんとかなるのですよ)

と、オーキディアーネ嬢からも現地事情を教えてもらいます。

そして雨上がりを待って離水したスケアクロウ、痴女宮門前町や、ここだけは現代的な臨港工業地帯の街並みを眺めてから北西方角へと舵を切り、噂のボロブドゥール寺院の上を高度を落として旋回。

(いやー、もし立ち寄られるならアンコール・トムの帰りにぜひ)

(アニサ…ベラ子陛下たちは忙しいのです…特に寄ってもらわんでもいいでしょう…)

(オリューレ…本音がだだ漏れよ…あんたの都合だけで偉いさんの訪問を断るなっ)

(そうですよニョニャマダム。ディードの言う通りっ)

で、この心話。

南洋行政局のオリューレ局長も、ディードリアーネ警備本部長も、黒薔薇騎士資格を授けられておられる、いわば先輩。

ですが、実際には…。

(ええと、フランシスカさんですか。この度は何かこう、うちの南洋と似た気候や地理条件の統治のための研修とかで痛み入ります…で、オリューレは文官の人物なのであまり参考にしすぎないように。彼女の黒薔薇資格はあくまでも統治権限を与えるためなんで、実際には茸島緊急出動訓練の数字もあがもごご)

(ディード、それをバラすのは罪よ…)

(もっと犯罪的な話があるわよ。あんたの壊され号やセコいヤ号どころか、ダンケ号の単独運転許可が未だ降りてなくて、アニサと二人で南洋七不思議の一つに数えられている制限があるのを…)

(そーですよディードリアーネさん。アニサちゃんには悪いのですけどね、ウサギ1号と2号、それぞれがいまだに局長と大僧正の公用車になっていて、二人はそれ以上大きな車を単独で運転できないのです…)

え。

あの…セコいヤ号って、確かにシボレーやフォードのフルサイズピックアップくらいはありますけど、メヒコ南部からの密林地帯ならともかく、ソノラ砂漠やチワワ砂漠の一帯とかだとあのクラスでも下駄ですよ、メヒコやアメリカ南部の感覚なら。

(ベラ子陛下、南洋の生まれでそういうメシンからくりに慣れておらぬ私はまだしも、ニョニャが慣れてくれない方がまだ問題な気がします)

(そうでしょうそうでしょうアニサちゃん。聖院本宮だった痴女宮からの生え抜きのオリューレさんが機械を苦手とするのは本人の猛省を促すべきなのです…)

なるほど。

南洋慈母寺のアニサ大僧正、言うなればこの時代の現地採用者。

そして、夫君のベテハリなる少年がいたからこそ、二人に生活の場所と地位を与えるために南洋慈母寺を組織したというのも、スケールが大きいのか小さいのか、よくわからぬ話と言えそうです。

ですが、眼下に見えるボロブドゥール寺院。

連邦世界のそれよりも更に大きく高く広く。

照明に照らされておることもあり、その雄大な建築は、マヤやアステカのピラミッド状の建造物にも勝るとも劣らない印象です。

(そうそうディード…コープシェフからもろた装甲車あるやん。あれ、結局カーティカがカンプチアに持って行ってるんかな)

(えーとねマルハ…1台、カンプチア送りになってるわね…アンコール・トムの配備で間違いないと思うわよ)

(了解~~~。いや、あれがあったほうがあの界隈ええんよ。オーキディアーネはんがよう知ってるけど、あの界隈で奥に入ると芥子国の物騒なんとか出てきよるからな…)


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2024.3.25追記。

かーてぃか「という訳で、対人地雷国がなぜ、対人地雷の国と言われるようになったのか」

あると「あたくしのわくでかーてぃかさんがおはなしをしてくださいました…」

かーてぃか「ろくでもない話という気もいたしますが、よろしくでございます…」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/604155813/906597842/episode/8200069
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