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おんな刑務官哀史・チンボテ編・9
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「どうした6919号…お前の望む通りにしたんだが…」
ええ、恐怖に怯える6919号の姿がそこに。
(何でよりによってグロリア姉さんを…あの姉を…)
ええそうです。
私は依頼しただけなのです。
6919号の親族や学生時代の同級生他で、リストにあった者の中から誰か一人を見繕って、とりあえず痴女皇国に連れて来て欲しいとマリアヴェッラ陛下にお願いしただけなのですが。
(グロリアナ姉はリストに入れていなかったはずなのに…なのに…)
(泣くな泣くな…とりあえず何が何だかわからんが、事情は聞いてやるから…)
全く、手のかかるガキやなっ。
それに6919号、おのれは元来、一応は成人しとるんやぞ…と、思わずカンサイベンで罵倒したくなったのは内緒、内緒の話で。
で、私たちがお邪魔しているのは、キュラソーのオトロバンダ修道院です。
なぜ、サマンコを離れて中米行政支局管内のキュラソーに来ておるのか。
それは、私と一緒に連れて来て欲しいと言われた人物が、事情罪人扱いでここに収監されているからです。
そして、オトロバンダ修道院長であるベラドーネ司教に引き合わされたのが、くだんの事情罪人扱いとなっている聖院学院神学部・オトロバンダ分校の女生徒なのですが。
Gloriana honorina Laura Miranda. グロリアナ Hundred Suction 百人卒 Pure female Visual. 女性外観 Holy Order knights, Imperial of Temptress. 聖隷騎士団 Central American Pirate Republic Branch, Imperial of Temptress. 痴女皇国中米行政支局 noviciaat van het curacao-klooster キュラソー修道院修練士待遇
で、このグロリアナという(見かけは)娘、記憶を見ればどうも、私の昔の仕事や姿を知っておりそうです。
という訳で、知能偽女種の6919号を連れた私、黒薔薇騎士の能力を早速にも使い、本来の髪の色や肌の色にちょっと戻って、と。
Francisca Adelaida Juana Guadalupe. フランシスカ Hundred thousand Suction(Limited million) 十万卒(限定百万) Slut Visual 痴女外観 Black Rosy knights, Imperial of Temptress. 黒薔薇騎士団 Peru branch, South-America Americas Regional Headquarters, Imperial of Temptress. 痴女皇国米大陸統括本部・南米行政支局
そう…私はこの後、グロリアナと…そして6919号を連れて痴女宮本宮並びに茸島神学部での研修に入らされるそうなのですよっ。
で、この研修が終わるまでは正規の黒薔薇騎士団員としての権限や能力に制限がかかるそうですが、百万卒未満の相手であれば強姦御免の特権などは生きているとも。
「えええええ、お天気予報は良いのですか?」
ええ…案の定、グロリアナには聞かれました。
「それに、カルテルの抗争に巻き込まれて行方知れずになったとも…」
「それがまぁ…あなたと同じですったもんだあって、何の因果かここにいるわけよ…オノリナ…グロリアナさん、あなたもややこしい事になっていたようだけど…」
で、実はこのグロリアナ嬢。
6919号の実の姉なのですが、出て来た母親の腹は違うのです。
そして、マヤ族の出の母親に付けられた名前…オノリナを意地でも名乗ろうとしているとも。
一方、6919号は未だその名前はロックされている上に、私付けの懲罰偽女種扱いなので「どないにでもできる」のですけど、このグロリアナ嬢を死ぬほど嫌がっているのには、あまりよろしくはないのですがちゃんとした理由が存在するのです。
こいつは前期中等学校在学時に、後期中等学校に入学していた姉グロリアナの自慰行為を盗撮していたのです。
そればかりか、グロリアナばかりでなく、妹たちの下着を拝借しての自慰行為だの、あげく性交をねだりセクハラを繰り返すなどなど。
(そりゃ、お前…虐待もされるぞ…女系家族だったのが災いして、ハリノムシロっていうのか…居場所はなかったろ…)
ええ、6919号が親のコネフル活用の上で、地元の軍を経由して宙兵隊に送られたのもむべなるかな。
(こいつに弟が出来たのが運の尽きでした)
そう、6919号やグロリアナの実家、後継者に困らなくなったのが決定打だったようです。
そしてグロリアナ自体は国家警察軍…と仮に称しておきますが、そこの特殊部隊に抜擢されたようです。
といっても、カイビレスという特殊部隊…グアテマラの治安維持活動を担っていた特殊旅団のような存在ですよ。
独裁政権が多かった関係で左翼ゲリラに悩まされていた中米諸国の中には、西側諸国と密かに結託して反共ゲリラ部隊を育成したり、ゲリラ狩りに特化した軍人を育成するなどの暗い歴史があるのですが、グロリアナが送られたのも、正にそういう連中の溜まり場。
「La manos blancas…白い手の一派ですよ…」
この、マノス・ブランカなる反共ゲリラ集団。
左派ゲリラはもとより、反政府勢力を暗殺したり公然と殺害する行為を繰り返す危険集団でしたが、各国はその凶悪な犯罪を取り締まるどころか、おざなりな捜査や見て見ぬふりを続けたのです。
それもそのはず、この集団の本当の姿は、非合法な反共作戦部隊。
ゲリラというのはあくまでも、世を欺く隠れ蓑の姿だったのです。
そう、中南米諸国はこぞって、escuadrones de la muerte…死の部隊と呼ばれる非合法兵力を有して、反政府勢力の無力化に明け暮れた時期があったのです。
そして、グロリアナや6919号の祖国は、軍警部隊としてそうした汚れ仕事をさせる一隊を有していたのです。
彼女が抜擢された理由も、私のようなクリオージョ…現地生まれの欧州系人種が丸わかりの外観ではなく、マヤ族の血を引くのが丸わかりの見た目であることも大きかったようです。
現地人でも未だ少なくないマヤ系人種が貧民の地位である事もまた、少なくはないのですから。
そして、その貧困故に左派ゲリラに身を投じていても不思議ではありません。
そう、グロリアナはゲリラ狩りの特殊部隊の潜入捜査や作戦に向いた人材だとして、親から半ば無理やりに入隊の後で進路を決められたようなのです。
(それで人を殺した経験のある目を…)
(私も正直、この弟と親をどうにかしたい感情、仮に測った場合は天秤の傾きは釣り合うと思うのです)
ああ、弟ばかりでなく父親も憎んでいたのですね。
いいでしょう。
そして、マヤ族との混血であるのも私には引っかかっていたのです。
「グロリアナ…あなたの母親が、まだあなたが幼い頃に通り魔めいた射殺事件で殺されたのはわかりました。そして、その後に別の女…それもクリオージョが後釜に座り、6919号を産んだのも」
どうも、デキ婚で邪魔になった前妻を始末させた可能性があると、私は睨んでいるのです。
そして同様の疑い、かねてからグロリアナ自身も持っていました。
スペイン風の名前を強要されたのも、彼女には引っかかっていたのです。
「あなたの名を元来のオノリナに戻すか、出家名として採用するのにやぶさかではありません。しかし、私は敢えてあなたの改名と出家について、この後で迎えに来る方に委ねようと思います」
そう、このグロリアナ、あることで私の副官めいた立場になってもらうのが適切ではないかと推薦を受けたのです。
そして、父親や弟に対する憎悪…ひいては男尊主義への内心の反発も、ある意味では痴女皇国向けの人材であると言えるでしょう。
まぁ、6919号がこのグロリアナを避けているのがよくわかります。
なにせ、結構な危険作戦を何度もこなしたらしい経歴は、本人の記憶を読めばわかりますから。
昔の私ならば、なんでこんな危険物件を預けるのかと文句のひとつも口にしていたかも知れませんよ。
ですが、この子は絶対に絶対に絶対に私に従う。
そういう確信めいたものがあったのです。
なぜならば、私たちがこれから向かう痴女宮での研修。
正に痴女皇国の首都に招聘されて実施されるべき内容だと、事前に聞かされておるからです。
「失礼します。マリアヴェッラ陛下、マルハレータ殿下、スケアクロウ専用桟橋にお越しです」
ええ、司祭が我々を呼びに来ましたので、一旦はあの、黒い輸送機の中の人になる事にしましょう。
--
「IT011、Take-off」
「V1、ローテーション、V2」
「主翼モード、シングルトランスファ」
「了解、主翼モード切り替え…」
凪いだカリブ南部の海から空に舞い上がるのは、私とグロリアナ、そして6919号を乗せたスケアクロウです。
「オトロバンダからグアンタナモの転送ゲートを使えば痴女宮まで行けなくはないんですけどな、ワイのスケアクロウの飛行時間を稼ぎたいがために無理言うてすんまへん…」
と、機長席から声がします。
何せこのスケアクロウ、後ろの補助員席からは、前の方にいる方々の顔が直接に見えないのです。
ただ、機首の窓を通して空に浮かび、旅客機と比べても結構な速さで上昇を続けているのはわかります。
そして、副操縦士席の更に後ろの後ろ…右偵察員席に腰を下ろした人物が、私だけでなくグロリアナの拉致に関わった作戦責任者であることも教えられました。
ジョスリーヌ・メルラン:黒薔薇騎士団長資格者かつ欧州駐在作戦班長…のはずですよね。
「現在は比丘尼国常駐が解けないんだ、私の前の前に座るパスタ女のせいでな…」
恐れ多くも痴女皇国の皇帝陛下にそう言う口を利いても良いのかとも思いますが、この人物はそれが出来るほどの実力と権力、お持ちです。
そして、私の隣の通路側の椅子に座っておりますグロリアナよりも、更に物騒な経歴の御仁です。
グロリアナの殺害人数から、更にゼロ2つは多いのですから…その処理履歴。
(そりゃ、本宮幹部を舐めるなってマユミ支部長が言われるはずですよ…)
(いやいやマドモアゼル・フランシスカ…私はそんな大層な人物ではないよ。それにマドモアゼル・オノリナだったかな。村一つ皆殺しにした作戦の従事者とは恐れ入ったよ。あの作戦の詳細は私たちの方にもレポートとして届いていたがね)
で、殺しの顔とやらが出来る人間が二人も乗っているこの機内。
6919号はもはや死にそうな顔をしておりますが。
「いかんな、少年。ヘネラル・イエツナの胆力を見習うべきだぞ…彼は君より実年齢で10歳は若いはずだ。だが、私の経歴を聞いても臆する事なく慕ってくれておるのだから…」
「これこれカエル女。ジェネラーレ・イエツナはおまつさんと家光さんの子供ですよ…そんじょそこらの子供じゃないでしょう…」
「確かにバクフのサムライの血縁としては純血の競走馬のようなものですけどね、いくらサラブレッドとやらでも小馬の子供を産めとか言われている小官がニホンのショウグンの後継ぎなんぞを出産して良いか考え直すべきでしょうが、この頭がミートソースのパスタ女さんっ」
「頭がフォアグラのカエル女に言うのもなんなのですが、文句はおまつさんとおかみ様に直接」
「あの二人、特にマダム・オマツに逆らえるかは陛下がよく知っておるでしょうに…ううううう」
でまぁ、なんでグロリアナが抜擢されたのか、なんとなーくわかります。
この子の母親がマヤ系であった。
これに尽きます。
そして、マヤ系で軍歴者が、この私…フランシスカの実質的な副官には相応しいであろうことが、今から本宮で受ける研修の過程で明らかになるはずなのです。
せやからええか、6919号。
私があんたにオトコ口調で命令形バッキバキに接してたり、あげく尻に敷いとんのはやな、今後のあんたの立場や地位を完全に予想してた訳やあらへんけどな、絶対にこいつは女の尻に敷かれ、足で頭や顔や股間を踏まれるが如き人生を突き進みそうな予感があったからやねん。
あんたは恐らく、そういう運命なんや…せやから運命に慣れておく方がええんや…。
(フランシスカはんもなんか、あのレオノールのようなところがありますな)
(レオノールさんよりもっとディレットに物を言う人ですね)
(いかんな君。このパスタ女のような直球ではなく、もう少し上品に言い回す癖を)
(カエル女のようなひねくれた京都人のような物言いも大概、人の気分を害すると教えましょうか)
(陛下。スケアクロウは現在、メキシコを横断して太平洋上空、高度2万メートルを超えた高空を飛翔中の状態です。それにこのシップの価格を考えますと、小官との対決は聖院空港到着後とすべきでは)
(ぐぬぬぬぬぬ)
「で、痴女宮に到着するまでの間、小官は少しでも君達への研修期間を短縮し、互いに辛い時を減らそうという試みに挑みたいと思う」
つまり、まともに飛べば18時間はかかる飛行時間を有効活用するために、少しでも何かしらの初期研修課程を済ませたいとお考えなのでしょう、ジョスリーヌ団長。
「で、マドモアゼル・オノリナ。特に君に言っておきたいのだが、この痴女皇国世界におけるアステカ…明日輝帝国はまだしも、魔屋王国は小王国の集合体を便宜的に総称しているにすぎないのだ。マドモアゼル・フランシスカを助けて欲しいのはもちろんなのだが、君をこうして魔屋・明日輝帝国樹立支援作戦の実動部隊指揮官に抜擢しようとしている理由は、まず魔屋王国に着任して現地に駐在しているリュネ魔族の司教を支援し、魔屋地域諸国の痴女皇国属国化を図って欲しいがためなのだ」
ふむふむ。確かにマヤ文明はアステカと違い、マヤ神話の神々を信仰していただけで複数の都市国家が乱立しておったような。
そして、北部マヤ文明の中には、アステカの支配を受け入れたり侵略された地域もあったはずなのです。
「明日輝帝国については、同じくリュネ魔族の司教が着任しているが、やはり現地の完全支配はリュネ出身者だけでは困難であるという報告を受けている。そして、アレーゼ米大陸統括本部長の指導もあって、明日輝神話をなぞった救世英雄なり、神の使いが降臨して明日輝皇帝の地位を引き継ぐべきであるというのが痴女宮内務局から出された統治方針だ」
なるほど…国家としてある程度は強固な政治体制を組んでいて、首都もメキシコシティにかつて存在したテスココ湖がまだ埋め立てられてはいない状態、すなわちティノチティトランが健在な明日輝の攻略の方が先に思えたのですが。
「明日輝は現在、明日輝皇帝が神通力を失ったがために退位隠居した状態となり、代わってリュネ魔族司教が皇帝代位を務めているが、これとて長期にわたって維持できる体制ではないだろう。だが…生贄文化が蔓延した明日輝や魔屋の革命については、素直に行くものではないとも聞いている」
「なるほど…いけにえ制度の廃止だけでなく、それに代わる神託政治が必要である、ということでしょうか」
「まぁ、そういうところだな。そして魔屋や明日輝の戦士を高揚させる麻薬サボテンのペヨーテだが、目下はその主要成分たる幻覚物質メスカリンを誘淫物質たる牝狩淫に変質させる試みが行われている。そして、今後の魔屋・明日輝帝国を建国したあとのいけにえ神事は人の心臓を捧げるのではなく、処女の純潔を神に捧げて淫行神官に育てる方向で施政を図って欲しいというのがマダム・田中…痴女皇国内務局長からの申し出だ…」
そ、それはまさか…。
「ああそうだ。淫化以上の淫交神事によってまとまる姦淫帝国を中米に樹立して安定を図って欲しいのだよ、痴女皇国本国の意向は」
-------------------------------------
しすか「むちゃがすぎるきがします」
りな「いや…セニョーラ、これはある意味では魔屋や明日輝統治に有効な作戦かも知れませんよ。それに、牝狩淫の薬効詳細を聞かなければ正確な判断はできませんが、痴女皇国は相手が男であろうが老人乳児であろうが、強制的に若い女にしてしまう性転換技術を有しておるでしょう」
しすか「ふむ…しかし、精気を得るためには若い男が必要。最低でも偽女種を要します。その辺どうするの」
りな「どうとでもなると思います。懲罰で女を偽女種にしても良いわけですし」
しすか(やっぱりこの子こええええええ)
りな(セニョーラも本当に民間人なんですか…残忍で軍法会議一歩手前な女軍人やゲリラ女と思考があまり変わりませんよ…)
しすか(カルテルの連中の残虐な蛮行に鍛えられたのよ…)
りな(お互い苦労しましたね…)
しすか(というわけで、茸島や本宮で私ら、どうシゴかれるのか)
じょすりん(まぁ無茶はせんよ、無茶は)
べらこ(むちゃをするという前振りですね…)
ええ、恐怖に怯える6919号の姿がそこに。
(何でよりによってグロリア姉さんを…あの姉を…)
ええそうです。
私は依頼しただけなのです。
6919号の親族や学生時代の同級生他で、リストにあった者の中から誰か一人を見繕って、とりあえず痴女皇国に連れて来て欲しいとマリアヴェッラ陛下にお願いしただけなのですが。
(グロリアナ姉はリストに入れていなかったはずなのに…なのに…)
(泣くな泣くな…とりあえず何が何だかわからんが、事情は聞いてやるから…)
全く、手のかかるガキやなっ。
それに6919号、おのれは元来、一応は成人しとるんやぞ…と、思わずカンサイベンで罵倒したくなったのは内緒、内緒の話で。
で、私たちがお邪魔しているのは、キュラソーのオトロバンダ修道院です。
なぜ、サマンコを離れて中米行政支局管内のキュラソーに来ておるのか。
それは、私と一緒に連れて来て欲しいと言われた人物が、事情罪人扱いでここに収監されているからです。
そして、オトロバンダ修道院長であるベラドーネ司教に引き合わされたのが、くだんの事情罪人扱いとなっている聖院学院神学部・オトロバンダ分校の女生徒なのですが。
Gloriana honorina Laura Miranda. グロリアナ Hundred Suction 百人卒 Pure female Visual. 女性外観 Holy Order knights, Imperial of Temptress. 聖隷騎士団 Central American Pirate Republic Branch, Imperial of Temptress. 痴女皇国中米行政支局 noviciaat van het curacao-klooster キュラソー修道院修練士待遇
で、このグロリアナという(見かけは)娘、記憶を見ればどうも、私の昔の仕事や姿を知っておりそうです。
という訳で、知能偽女種の6919号を連れた私、黒薔薇騎士の能力を早速にも使い、本来の髪の色や肌の色にちょっと戻って、と。
Francisca Adelaida Juana Guadalupe. フランシスカ Hundred thousand Suction(Limited million) 十万卒(限定百万) Slut Visual 痴女外観 Black Rosy knights, Imperial of Temptress. 黒薔薇騎士団 Peru branch, South-America Americas Regional Headquarters, Imperial of Temptress. 痴女皇国米大陸統括本部・南米行政支局
そう…私はこの後、グロリアナと…そして6919号を連れて痴女宮本宮並びに茸島神学部での研修に入らされるそうなのですよっ。
で、この研修が終わるまでは正規の黒薔薇騎士団員としての権限や能力に制限がかかるそうですが、百万卒未満の相手であれば強姦御免の特権などは生きているとも。
「えええええ、お天気予報は良いのですか?」
ええ…案の定、グロリアナには聞かれました。
「それに、カルテルの抗争に巻き込まれて行方知れずになったとも…」
「それがまぁ…あなたと同じですったもんだあって、何の因果かここにいるわけよ…オノリナ…グロリアナさん、あなたもややこしい事になっていたようだけど…」
で、実はこのグロリアナ嬢。
6919号の実の姉なのですが、出て来た母親の腹は違うのです。
そして、マヤ族の出の母親に付けられた名前…オノリナを意地でも名乗ろうとしているとも。
一方、6919号は未だその名前はロックされている上に、私付けの懲罰偽女種扱いなので「どないにでもできる」のですけど、このグロリアナ嬢を死ぬほど嫌がっているのには、あまりよろしくはないのですがちゃんとした理由が存在するのです。
こいつは前期中等学校在学時に、後期中等学校に入学していた姉グロリアナの自慰行為を盗撮していたのです。
そればかりか、グロリアナばかりでなく、妹たちの下着を拝借しての自慰行為だの、あげく性交をねだりセクハラを繰り返すなどなど。
(そりゃ、お前…虐待もされるぞ…女系家族だったのが災いして、ハリノムシロっていうのか…居場所はなかったろ…)
ええ、6919号が親のコネフル活用の上で、地元の軍を経由して宙兵隊に送られたのもむべなるかな。
(こいつに弟が出来たのが運の尽きでした)
そう、6919号やグロリアナの実家、後継者に困らなくなったのが決定打だったようです。
そしてグロリアナ自体は国家警察軍…と仮に称しておきますが、そこの特殊部隊に抜擢されたようです。
といっても、カイビレスという特殊部隊…グアテマラの治安維持活動を担っていた特殊旅団のような存在ですよ。
独裁政権が多かった関係で左翼ゲリラに悩まされていた中米諸国の中には、西側諸国と密かに結託して反共ゲリラ部隊を育成したり、ゲリラ狩りに特化した軍人を育成するなどの暗い歴史があるのですが、グロリアナが送られたのも、正にそういう連中の溜まり場。
「La manos blancas…白い手の一派ですよ…」
この、マノス・ブランカなる反共ゲリラ集団。
左派ゲリラはもとより、反政府勢力を暗殺したり公然と殺害する行為を繰り返す危険集団でしたが、各国はその凶悪な犯罪を取り締まるどころか、おざなりな捜査や見て見ぬふりを続けたのです。
それもそのはず、この集団の本当の姿は、非合法な反共作戦部隊。
ゲリラというのはあくまでも、世を欺く隠れ蓑の姿だったのです。
そう、中南米諸国はこぞって、escuadrones de la muerte…死の部隊と呼ばれる非合法兵力を有して、反政府勢力の無力化に明け暮れた時期があったのです。
そして、グロリアナや6919号の祖国は、軍警部隊としてそうした汚れ仕事をさせる一隊を有していたのです。
彼女が抜擢された理由も、私のようなクリオージョ…現地生まれの欧州系人種が丸わかりの外観ではなく、マヤ族の血を引くのが丸わかりの見た目であることも大きかったようです。
現地人でも未だ少なくないマヤ系人種が貧民の地位である事もまた、少なくはないのですから。
そして、その貧困故に左派ゲリラに身を投じていても不思議ではありません。
そう、グロリアナはゲリラ狩りの特殊部隊の潜入捜査や作戦に向いた人材だとして、親から半ば無理やりに入隊の後で進路を決められたようなのです。
(それで人を殺した経験のある目を…)
(私も正直、この弟と親をどうにかしたい感情、仮に測った場合は天秤の傾きは釣り合うと思うのです)
ああ、弟ばかりでなく父親も憎んでいたのですね。
いいでしょう。
そして、マヤ族との混血であるのも私には引っかかっていたのです。
「グロリアナ…あなたの母親が、まだあなたが幼い頃に通り魔めいた射殺事件で殺されたのはわかりました。そして、その後に別の女…それもクリオージョが後釜に座り、6919号を産んだのも」
どうも、デキ婚で邪魔になった前妻を始末させた可能性があると、私は睨んでいるのです。
そして同様の疑い、かねてからグロリアナ自身も持っていました。
スペイン風の名前を強要されたのも、彼女には引っかかっていたのです。
「あなたの名を元来のオノリナに戻すか、出家名として採用するのにやぶさかではありません。しかし、私は敢えてあなたの改名と出家について、この後で迎えに来る方に委ねようと思います」
そう、このグロリアナ、あることで私の副官めいた立場になってもらうのが適切ではないかと推薦を受けたのです。
そして、父親や弟に対する憎悪…ひいては男尊主義への内心の反発も、ある意味では痴女皇国向けの人材であると言えるでしょう。
まぁ、6919号がこのグロリアナを避けているのがよくわかります。
なにせ、結構な危険作戦を何度もこなしたらしい経歴は、本人の記憶を読めばわかりますから。
昔の私ならば、なんでこんな危険物件を預けるのかと文句のひとつも口にしていたかも知れませんよ。
ですが、この子は絶対に絶対に絶対に私に従う。
そういう確信めいたものがあったのです。
なぜならば、私たちがこれから向かう痴女宮での研修。
正に痴女皇国の首都に招聘されて実施されるべき内容だと、事前に聞かされておるからです。
「失礼します。マリアヴェッラ陛下、マルハレータ殿下、スケアクロウ専用桟橋にお越しです」
ええ、司祭が我々を呼びに来ましたので、一旦はあの、黒い輸送機の中の人になる事にしましょう。
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「IT011、Take-off」
「V1、ローテーション、V2」
「主翼モード、シングルトランスファ」
「了解、主翼モード切り替え…」
凪いだカリブ南部の海から空に舞い上がるのは、私とグロリアナ、そして6919号を乗せたスケアクロウです。
「オトロバンダからグアンタナモの転送ゲートを使えば痴女宮まで行けなくはないんですけどな、ワイのスケアクロウの飛行時間を稼ぎたいがために無理言うてすんまへん…」
と、機長席から声がします。
何せこのスケアクロウ、後ろの補助員席からは、前の方にいる方々の顔が直接に見えないのです。
ただ、機首の窓を通して空に浮かび、旅客機と比べても結構な速さで上昇を続けているのはわかります。
そして、副操縦士席の更に後ろの後ろ…右偵察員席に腰を下ろした人物が、私だけでなくグロリアナの拉致に関わった作戦責任者であることも教えられました。
ジョスリーヌ・メルラン:黒薔薇騎士団長資格者かつ欧州駐在作戦班長…のはずですよね。
「現在は比丘尼国常駐が解けないんだ、私の前の前に座るパスタ女のせいでな…」
恐れ多くも痴女皇国の皇帝陛下にそう言う口を利いても良いのかとも思いますが、この人物はそれが出来るほどの実力と権力、お持ちです。
そして、私の隣の通路側の椅子に座っておりますグロリアナよりも、更に物騒な経歴の御仁です。
グロリアナの殺害人数から、更にゼロ2つは多いのですから…その処理履歴。
(そりゃ、本宮幹部を舐めるなってマユミ支部長が言われるはずですよ…)
(いやいやマドモアゼル・フランシスカ…私はそんな大層な人物ではないよ。それにマドモアゼル・オノリナだったかな。村一つ皆殺しにした作戦の従事者とは恐れ入ったよ。あの作戦の詳細は私たちの方にもレポートとして届いていたがね)
で、殺しの顔とやらが出来る人間が二人も乗っているこの機内。
6919号はもはや死にそうな顔をしておりますが。
「いかんな、少年。ヘネラル・イエツナの胆力を見習うべきだぞ…彼は君より実年齢で10歳は若いはずだ。だが、私の経歴を聞いても臆する事なく慕ってくれておるのだから…」
「これこれカエル女。ジェネラーレ・イエツナはおまつさんと家光さんの子供ですよ…そんじょそこらの子供じゃないでしょう…」
「確かにバクフのサムライの血縁としては純血の競走馬のようなものですけどね、いくらサラブレッドとやらでも小馬の子供を産めとか言われている小官がニホンのショウグンの後継ぎなんぞを出産して良いか考え直すべきでしょうが、この頭がミートソースのパスタ女さんっ」
「頭がフォアグラのカエル女に言うのもなんなのですが、文句はおまつさんとおかみ様に直接」
「あの二人、特にマダム・オマツに逆らえるかは陛下がよく知っておるでしょうに…ううううう」
でまぁ、なんでグロリアナが抜擢されたのか、なんとなーくわかります。
この子の母親がマヤ系であった。
これに尽きます。
そして、マヤ系で軍歴者が、この私…フランシスカの実質的な副官には相応しいであろうことが、今から本宮で受ける研修の過程で明らかになるはずなのです。
せやからええか、6919号。
私があんたにオトコ口調で命令形バッキバキに接してたり、あげく尻に敷いとんのはやな、今後のあんたの立場や地位を完全に予想してた訳やあらへんけどな、絶対にこいつは女の尻に敷かれ、足で頭や顔や股間を踏まれるが如き人生を突き進みそうな予感があったからやねん。
あんたは恐らく、そういう運命なんや…せやから運命に慣れておく方がええんや…。
(フランシスカはんもなんか、あのレオノールのようなところがありますな)
(レオノールさんよりもっとディレットに物を言う人ですね)
(いかんな君。このパスタ女のような直球ではなく、もう少し上品に言い回す癖を)
(カエル女のようなひねくれた京都人のような物言いも大概、人の気分を害すると教えましょうか)
(陛下。スケアクロウは現在、メキシコを横断して太平洋上空、高度2万メートルを超えた高空を飛翔中の状態です。それにこのシップの価格を考えますと、小官との対決は聖院空港到着後とすべきでは)
(ぐぬぬぬぬぬ)
「で、痴女宮に到着するまでの間、小官は少しでも君達への研修期間を短縮し、互いに辛い時を減らそうという試みに挑みたいと思う」
つまり、まともに飛べば18時間はかかる飛行時間を有効活用するために、少しでも何かしらの初期研修課程を済ませたいとお考えなのでしょう、ジョスリーヌ団長。
「で、マドモアゼル・オノリナ。特に君に言っておきたいのだが、この痴女皇国世界におけるアステカ…明日輝帝国はまだしも、魔屋王国は小王国の集合体を便宜的に総称しているにすぎないのだ。マドモアゼル・フランシスカを助けて欲しいのはもちろんなのだが、君をこうして魔屋・明日輝帝国樹立支援作戦の実動部隊指揮官に抜擢しようとしている理由は、まず魔屋王国に着任して現地に駐在しているリュネ魔族の司教を支援し、魔屋地域諸国の痴女皇国属国化を図って欲しいがためなのだ」
ふむふむ。確かにマヤ文明はアステカと違い、マヤ神話の神々を信仰していただけで複数の都市国家が乱立しておったような。
そして、北部マヤ文明の中には、アステカの支配を受け入れたり侵略された地域もあったはずなのです。
「明日輝帝国については、同じくリュネ魔族の司教が着任しているが、やはり現地の完全支配はリュネ出身者だけでは困難であるという報告を受けている。そして、アレーゼ米大陸統括本部長の指導もあって、明日輝神話をなぞった救世英雄なり、神の使いが降臨して明日輝皇帝の地位を引き継ぐべきであるというのが痴女宮内務局から出された統治方針だ」
なるほど…国家としてある程度は強固な政治体制を組んでいて、首都もメキシコシティにかつて存在したテスココ湖がまだ埋め立てられてはいない状態、すなわちティノチティトランが健在な明日輝の攻略の方が先に思えたのですが。
「明日輝は現在、明日輝皇帝が神通力を失ったがために退位隠居した状態となり、代わってリュネ魔族司教が皇帝代位を務めているが、これとて長期にわたって維持できる体制ではないだろう。だが…生贄文化が蔓延した明日輝や魔屋の革命については、素直に行くものではないとも聞いている」
「なるほど…いけにえ制度の廃止だけでなく、それに代わる神託政治が必要である、ということでしょうか」
「まぁ、そういうところだな。そして魔屋や明日輝の戦士を高揚させる麻薬サボテンのペヨーテだが、目下はその主要成分たる幻覚物質メスカリンを誘淫物質たる牝狩淫に変質させる試みが行われている。そして、今後の魔屋・明日輝帝国を建国したあとのいけにえ神事は人の心臓を捧げるのではなく、処女の純潔を神に捧げて淫行神官に育てる方向で施政を図って欲しいというのがマダム・田中…痴女皇国内務局長からの申し出だ…」
そ、それはまさか…。
「ああそうだ。淫化以上の淫交神事によってまとまる姦淫帝国を中米に樹立して安定を図って欲しいのだよ、痴女皇国本国の意向は」
-------------------------------------
しすか「むちゃがすぎるきがします」
りな「いや…セニョーラ、これはある意味では魔屋や明日輝統治に有効な作戦かも知れませんよ。それに、牝狩淫の薬効詳細を聞かなければ正確な判断はできませんが、痴女皇国は相手が男であろうが老人乳児であろうが、強制的に若い女にしてしまう性転換技術を有しておるでしょう」
しすか「ふむ…しかし、精気を得るためには若い男が必要。最低でも偽女種を要します。その辺どうするの」
りな「どうとでもなると思います。懲罰で女を偽女種にしても良いわけですし」
しすか(やっぱりこの子こええええええ)
りな(セニョーラも本当に民間人なんですか…残忍で軍法会議一歩手前な女軍人やゲリラ女と思考があまり変わりませんよ…)
しすか(カルテルの連中の残虐な蛮行に鍛えられたのよ…)
りな(お互い苦労しましたね…)
しすか(というわけで、茸島や本宮で私ら、どうシゴかれるのか)
じょすりん(まぁ無茶はせんよ、無茶は)
べらこ(むちゃをするという前振りですね…)
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