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小作は木を切る・尼僧尊(あまぞん)林業ものがたり・5.5
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で、聖母像の後ろから持ち出される聖水壺。
それも、B(女)と書かれたものです。
しかし、私には聞いてみたい…いえ、この偽女種に選択の自由を与えてやりたいのです。
と申しますのも、かねてお話しさせて頂いておる通り、東方聖母教会での偽女種、刑罰や懲罰の結果で偽女種にされた懲罰偽女種の扱いではなく、尼僧を補助する役職位階に就くための指導偽女種にされることを承諾した者がなる、いわば男の出世のひとつの姿。
言うなれば、罰姦の偽女種と違って、自らの意志で偽女種化する道を選んだのです。
そして、東方聖母教会での指導偽女種、尼僧を補佐して相応の要務要職を任される立場だからこそ、我々尼僧が懲罰や虐待、必ずしも好き放題に出来る立場でもないのです。
むしろ、本当ならば精気を頂戴する対象の男扱いですから、それなりに寵愛を得られるのですよ、普通なら…。
そして今回は司祭を犯す実行の直前。
そこで過剰な欲望が発覚したがために、未遂に終わっております。
ですが、あまりに過ぎたる欲望と判断したのが…よりによって司祭に化けておられたアリアディーネ主教様。
公的な身分ですら、アトス大聖堂のあるじという、東方聖母教会の大幹部であらせられます。
よりによって、囮捜査とやらに引っかかったようなものですよ、この偽女種にしてみれば。
私としても、その心の中の欲望が仮に私に向けられておれば厳罰を希望しておったかも知れませんが、同時に今この時期にバレたのは運が悪かったなぁ、という慈悲の心と憐憫の目を向けなくもありません。
で、現時点でこの偽女種に対して私が出せる提案、ちょっと考えてみました。
1:転勤・配転を願い出る。
2:還俗する。
3:敢えて懲罰を受ける。
で、この私の提案を知った、雲上人お二人の反応はいかに。
(ふむ…確かに、ここな指導偽女種の類と言えば、それなりに経費と時間をかけて教会主計教育を受けさせておる人材、確かに使い捨てるのはあまりよろしくないという考えもありますか…)
(しかしアリアディーネ、指導偽女種にしてこの歪んだ欲望、偽女種の性質を考えても赦すか赦さないかはその直属の監督者、すなわち司祭次第でしょ…)
(エステラーネ。この369号もそれを見越しておるからこそ配転を提案しようとしておるのでしょう。ま、私なら…問答無用でお仕置きだけど…お互い、アルテローゼ様とシェヘラザード様にお仕えして二人をよく知る立場ですし…)
(言っとくけどあのお二人、私たち以上の暴君ですからね…激辛よ…)
つまり、機嫌が悪いとこの偽女種のような妄想を抱くだけで懲罰を下す部類のお方のようです。
(ちょっとお待ちあんたら。人を暴君べらこちゃんと化すどっかの皇帝陛下のように)
(あれの七割程度って気がしますよ!)
(そうですよアルテローゼ様。シェヘラザード様が激おこの時なんてアヤ・ソフィア教会どころかイェニ・サライ中がビリッビリしてるんですから…)
(これこれ。私もセリム…セリム1世の後見職がある立場ですし、今更無茶はいたしませんよ…)
あ、ちょっとだけ最新情報らしきを。
新しい皇帝宮…コンスタンチノープルの 鯖挟皇帝宮殿の内情についてですが、そのあるじが代わりました。
即ち、鯖挟皇帝の退位と、新しき皇帝の即位。
前帝メフメト2世陛下の退位の跡を引き継いだのは、実子のパヤズィト2世陛下。
しかし、このパヤズィト2世陛下、メフメト2世陛下の皇太子兄弟の間での跡目争いで、長兄ジェム太子を追い落とし、国外亡命を余儀なくさせた疑惑が出たのです。
そして、それまでは 鯖挟皇帝と 鯖挟国に対しては、表立った内政不干渉を建前としていた痴女皇国中東支部でしたが、ここに来て 鯖挟国の掌握に動いたのですよ。
で、メフメト2世陛下の実子であるセリム1世を新たな皇帝として擁立するでというシェヘラザード様の強硬な…ほとんど軍事作戦に等しい行動によって、 鯖挟国は事実上、南洋行政局や淫化同様に属国化されたのです。
ただ…ですね、ご自身のやらかしよりも更に暴威的なシェヘラザード様の政変に恐れをなして逃げ出してですね、あげく罰姦教皇庁を頼った結果、亡命扱いとなって南欧支部…スペインへの蟄居を余儀なくされたパヤズィト2世陛下に代わって皇帝となられたセリム1世陛下が即位したお年、11歳です…。
で、後見人に指名されたのがシェヘラザード様なので、その関係はお察し状態。
(セリム君の母親は不明なのです。もはや誰かお察しですけど不明ではあるのです…)
(ちーちーうーえー。お宅のミルチャ君のように公然と公表できんのです、鯖挟国はぁああああ)
(それと、例の後宮もありますよ、他支部のやっかみ…)
(ですが乳上もご存じの通り、今の後宮は中東行政支局発足後の各支部の長が詰める、いわばエド幕府の国主を都に呼ぶ制度のような有様だという事をお伝えしておくように。むろん、支部長級ですから美女のすくつなのですよ…)
(シェヘラザード様…それ以前にですねぇっ、あのイェニチェリを…あのイェニチェリを頭が玉ねぎのような兵隊の集まり以上の美少年軍団にするとかですねぇ…それも、スパルタ兵のような裸同然の装いを基本の装束にするとかですねぇ…)
(アルテローゼ東欧行政支局長(予定)。そのイェニチェリの隊舎に案内して無礼講を許した人物が誰か、思い出して頂ければ)
(ミルチャを差し出す代償には安い気もしたんですがぁっ)
(私もセリムを差し出しましたぁっ)
まあその、下々の目もありますから本題に戻りましょうよ、皆様。
(むううううう)
(むぐぎぎぎぎ)
(まぁまぁ。ただですね、懲罰偽女種ならともかく、指導偽女種が抱く欲望にしてはちょっと突っ走り過ぎでは。これが罰姦ならまー仕方ないなーで済ますか、あるいはこんなキモい偽女種、いらんわとなるかだったのですけどねぇ…難しいですねぇ、これ)
(かと言って公的に懲罰を下すと、東方聖母教会管内全ての指導偽女種の意識調査を行って再発防止の措置を下さねばなりませんね…しかし、それなりに濃厚な精気が獲れそうな変態ですから、何かしらの活用を考えたいというのも理解はできますよ)
で、なんでアルテローゼ様とシェヘラザード様がお二人で悩んでおられるのか。
実は東方聖母教会、教皇の地位に該当する全地総主教が不在なのです。
というよりも、東方聖母教会は本当は罰姦より早く組織が出来ておったのですが、その教義の都合上、罰姦から分かれた分派めいた組織でもあるのですよ。
(本当はジーナ様を初代聖母として崇め奉るという思いつきから来たのが聖母教会の由来なのは内緒も内緒なのです…ですから真の始原思想は東方にあるのです…)
(それ言うとベラ子陛下が反論しに来てややこしくなるから沈黙しときましょう…)
ですから、その教義は罰姦と全く違う訳でもなく、むしろ同一の系譜の聖母伝説に基づいております。
従って、総主教の地位のこのお二方…そして存命である初代聖母様の意見を時に聞きつつも協議で事が進んでいるのが現状。
言うなれば、アルテローゼ様ならアルテローゼ様、シェヘラザード様ならシェヘラザード様の鶴の一声だけで、この偽女種の処遇を決め難いのですよ、現状の東方聖母教会。
(いずれは全地総主教を擁する必要があると分かってはおるのですが)
(うちのミルチャを推したいのですけど、それすると 鯖挟国民があまりいい顔をしないんですよ…)
(やはりセリムを擁すべきか…ただ、あの子は既に鯖挟皇帝ですから、宗教の長は別にしておきたいのですよね…)
あ、その辺の雲上の話題は触れないようにします。
それはそうと、この偽女種の処遇ですよ、処遇。
「個人的にはあと半年、いえせめて2ヶ月我慢してたら司祭様ご本人じゃなくとも、司祭を相手出来る機会が巡って来たのに、惜しい話だとは思います…」
ええ。
保養所が出来るまで辛抱してたら、保養所を利用する司祭以上が必ず訪れたはず。
そして、開設時のごたごたでアル=キラン教会所属の偽女種も買春要員に駆り出されていた可能性はあったのです。
つまり、司祭級をコマす機会は巡って来た可能性、大。
しかし、変態的な欲望を司祭に向けたことでその可能性はほぼ、潰えました。
更には、化けておられたとは申せど、アリアディーネ主教に対して司祭に対する欲望を向けた。
これはまずい話です。
もう、偽女種の欲望、完全に丸見えではないですか…。
そして主教が「こいつどない思う」と意見具申を司祭に聞けば、よほど広い心の持ち主でなかったらこんな下剋上、赦すわけがないと思うのです。
司祭を性奴隷にして飼ってやるとか、気概は買いますけど実際にやろうとすれば聖母教会の組織上、非常にまずい下克上になります。
(あくまでも相互合意の上の、ぷれいとやらでやる程度なら良いのですが…)
(罰姦サイドの話になりますけど、クリス様とベラ子陛下程度なら私も容認したんですけどねぇ)
(それにあれはベラ子陛下が聖父様の顔と面子を立てて自発的に献身しておるからこそ成立している関係。加えて聖父様が誰とて認むる人格者故に大惨事を望んでおられぬからこそ成り立っておるのです。格下の副輔祭、それも偽女種が一方的に企ててよいものではありません)
(せめてもうちょっと男女の仲を進展させてくれてから、猟奇的変態行為を懸想してたならば、私も容認したのですが…司祭、いかがする…)
(皆様の仰せの通りでございます。仮にその身の毛のよだつ欲望、私が辛抱して叶えてやったとしても、今度は教会の運営に支障が出ておりましたかと。なにせ今後、アル=キランで雇用する偽女種、今の2人よりも更に増えるでしょうし…指導偽女種といえど、特定の偽女種に身びいきが過ぎれば他の偽女種の反発を買いかねません…)
(これは私、369号の意見なのですが…もう少し小さな教会であれば、仮にここな偽女種の野望を実現できたとしても、司祭と偽女種の間の秘め事…お楽しみの範囲で終わっておった気もいたします)
(確かに、それで済んでおったかも知れぬ話…)
(更には、二人次第ですけどね、色恋話としてのえろほんになっておったやも知れませんね…そうなれば恋愛ごとの教科書として、こうして懲罰を詮議するどころか皆の規範であったかも…)
ええ、偽女種を見るエステラーネ様の目が怖いです。
(あんたがもうちょっとそういうのに頭を回してくれたら、私らこうして首を突き合わせてあんたの処分に悩むこともなかったんやぞ…ええか、369号はなるべくならお前に再起の機会を与えようとしてるんやから、次は私らの手を煩わすなよ…)
(エステラーネ。次はないと申しますか、アルテローゼ様にお願いして旦那様の串コレクションからちょうど良い串を試すべきでは)
(まぁ、串刺しにしても今の偽女種ならすぐに死にませんしねぇ…)
声を封じられているせいで、ガクガク震えて泣きながら必死で命乞いをしておる偽女種ですが、この方々は本当に「それをやりかねない」のが色々な意味で知れ渡っておるのです…。
(まぁまぁ、今はまだそのような極刑に処するには至らず。それが怖いならば贖罪の機会を与えられたと思ってやり直しに励むのですよ…)
(しかし、ここで発覚しなければ、こうして中央の幹部の皆様に採り上げられることもなかったかも知れません。まぁ運の悪い話となりますが、こうして中央幹部にこの偽女種の野望欲望が知れたとあっては仮に配転辞令を出したとしても、他の司祭様方が、かかる偽女種を素直に雇用なさるとも思えず…)
(ふむ…そうなると、転勤を願うた場合、宗派転属で罰姦かボロブドゥール送りにするしかなくなりますね…)
(または比丘尼国か…)
まぁ、そろそろ助け船の出しどきですかねぇ…。
(で、偽女種の副輔祭も私の提案、よく聞いておくのですよ。あなたへの処置、還俗も考えましたが、実際に聖母教会の経営にどっぷり浸っておるのに今更還俗もなぁという思いもあるでしょう。ですので、貴君が取れる道は配転を出願するか、さもなくば敢えての懲罰の二択と思います)
(ふむ…シェヘラザードですが。369号、この偽女種に懲罰を提案する真意や、いかに)
げ。
よりによってシェヘラザード様のご指名ですよ…うかつな答え、返せないじゃないですか…。
(ふほほほほほ、そう緊張せずともよろしい…)
(シェヘラザード様…要は369号、あなたはここな偽女種がそんなにも司祭を犯すとか奴隷にしたいと申しておるのなら、その欲望を叶える方法を提案してあげたのでしょう?…なるほど、確かにあなたの提案であれば直接じゃありませんが、間接的に精気は採れる話。言うなれば我が不肖の配下のエリザベートめ…ご存知でしょ?あれの手口じゃあないですか)
と、アルテローゼ様からお助けが。
怖いけど面倒見はいいのでも知れ渡っておられるのですよ、アルテローゼ様…。
そして、エリザベート様、恐ろしいことに管内の少年少女を集め人豚と称し、四つ足にする拘束具を強制着用させて文字の通りに飼育していた他、色々な前科持ちなのです…。
(左様でございます、アルテローゼ様…まぁ、エリザベート様ほどむっちゃくちゃな事をしでかしてもらうと困りますから、ほどほどで頼みたいんですけどね…)
(確かに、女を性奴隷にするならば確実…ただ、やり過ぎれば請願が…)
(そー言えば…シェヘラザード様に対しても厳しいって泣きつかれる部類の請願、何通か出てましたね…)
(こう申してはなんですが、乳上、あなたにも同様の請願が…)
ああ、東方聖母教会の実質頂点のこのお二人、厳しいので知られております。
この私が借りて来た猫のごとく、慎重に言葉を選んでおりますのがその証左。
そして、私としましては、確かにこういう加虐型の変態、いわゆるロリヤ事案にも通じるものを感じますし、司祭裁量での懲罰になってもしゃあないわな、とも。
しかし、それなりに強烈な変態の欲望ならば精気資源としてがっつり頂戴したいと思うのも事実なのです。
ですから、この偽女種に対して与える慈悲として、敢えて懲罰を受けて女になる…一人卒痴女種にされることを提案してやりたいのです。
(少なくとも副輔祭としての研修までは終わっておるのですから、あとはアトスでの再教育さえ捗れば、尼僧として輔祭までは絶対に出世出来ると思うのですよ。司祭登用時の面接に引っ掛からなければ、ですが…)
(非常に興味深い提案です。しからばここな指導偽女種副輔祭51-199号、そなたの希望を聞いてみましょう。と言っても369号の出した3つの中から選ぶのですよ…)
と、偽女種に対して宣言するアリアディーネ様。
そのお姿、もはや司祭ではなく主教衣装。
で、主教様のお召し物。
私にさっき与えられた司祭衣装の類似ですが、 鯖挟国…中東所属者を示す青色を基調に、金糸の刺繍がちりばめられたとーっても豪華なものなのです。
そして肝心の青色の前垂れ後ろ掛け、透けまくってます。
とどめに、青いインナー…尼僧服の下に着込んでおられるのが紫薔薇騎士団のものという、元来は紫色だと申される透けたわんぴーすはいれぐとかいうもの。
あ、エステラーネ様は東欧支部所属なのでアリアディーネ様と類似ですが、赤で統一されてますね。
(東欧支部は痴女皇国本国の欧州地区正規兵力扱いでもありますので、本当は所属騎士は赤薔薇となるのです。ですから私と…巻き添えを食ったアリアディーネの衣装、赤薔薇の色違いですよ)
ほんまですね…アルテローゼ様、そしてシェヘラザード様もお召しの「隠すべき場所が透けるか網」のあれですね…。
まぁ、このような服をお召しの如何にもお強い方を性奴隷にしたいとか思う不遜な感情、わからんでもないです。
しかし、その欲望、悪いことに対象の尼僧からな、丸見えやねん。
せやから研修で習うたやろ…相手は普通の女と違うぞって…。
ただ、私としては所帯を持とうとする願望同様、こういう欲望は例え犯罪的で汚らわしくおぞましいものであったとしても、相手が尼僧なら「逆に私ら尼僧の好きに出来る」ので構わんのじゃないかとも思います。
精気という、私たちには実際の利益として得られるものが大きいなら、その辺に目ぇつぶってやっても良いかも。
いや、やっぱりちょっと遠慮したいかなー…。
(それ故に痴女種化への賭けを持ちかけてやったのでしょう?)
(です。痴女種同士なら、出世した後に上司として振る舞う範囲になると思いますので)
(更には、逆に偽女種を飼い慣らし性奴隷とするやも…ふふふふふ)
でまぁ、もうちょっと助け船を出してやりましょう。
(で、ですねぇ。確か偉い方だとこれ、出来たと思うのですけど、この偽女種に私の身体を使わせる代わりに、私がこの偽女種を一時的に乗っ取るというお試し行為、出来ませんものでしょうか)
(何故にそのような面倒な事を…ふむ。369号、その偽女種を女に変える行為を納得させるための一環ですね?…二代目様、お聞きでしょうか)
(状況は乳上から送られておりますよ、アルと…シェヘラザード)
(二代目様…銀衣騎士への再任命、出来れば避けたいのですが…)
(そういうわがままは部下のてまえよろしくありませんわよっ初代アルトっ。不肖の娘から聞きました。ほれっ)
(母様!当人たちの承諾もなしに人格入れ替えなぞ!)
でぇええええええ。
いきなり、私の身体が偽女種になっとるのを感じます。
しかし、反射的に思いついたことが。
(輔祭様…いえ、司祭様。ちょうどええから私、このまま聖水かぶってしまいます。Bのタンク貸してくださいっ)
(って聖水洗礼の儀式、どうするの…)
(ほら、マリアリーゼ陛下がいざとなったら手動でやってくれって申されておったではないですか。それに好都合なことにまだBの水、余ってますし)
(まぁ有効期限は今晩一晩くらいだから明日には捨てようと思っておりましたしね…)
あ、聖水って使用期限があるんですよ。
というのも、そのまま下水槽に流すの、実は危険なのです。
この聖水は強力な性別変更作用があります。
従って、浄化せずに川や海に流すと、そこにいた者を男や女や偽女種に変えてしまいかねません。
そこで、使用期限のある駄洒落菌製剤を使う事で、一定の時間が過ぎたらただの水になるように細工がされておるそうです。
(この水の色が元の透明に戻れば効力を失った証。まだ赤色のままですから使えますけど…)
で、慌てておるのはこの身体の元の持ち主、即ち…偽女種です。
(おおおおおお待ち下さいませっ!私はまだ承諾しておりませぬぅううううう)
(やかましゃおんどれ!女は度胸じゃっ!それにワシの身体が気に入らんかったら、この身体に偽女種用の聖水もっかいかぶったら元に戻るんやないけ…)
(はぁ、それはそうですが…)
(ええかっ。あくまでもそれはわしの身体やから無茶な扱いすんなよ。やらかしたらこの身体で亀地獄島か悪魔島に送致してもろてからお前に身体、返すからな…)
(ひぎぃいいいいい!お、お慈悲をぉおおおっ)
(ベルナルディーゼ…このお子、なかなかにそしつがありますわね…)
(おかーさま。何を企んどるのですか。確かにこの娘、堕天使族に組み込んでやった方がいい性格しとるのは間違いないとは思いますけどね…)
(というか堕天使族にとってもごせ…あ、これきこえておりませんわよねっ)
(聞こえてません)
(見ざる言わざる聞かざる。聖院時代からの金衣様相手の伝統芸ですけどね、疲れるんですよ?…)
(あーそーかー、アルトリーネ…シェヘラザードってデルフィリーゼからクレーゼに代わってちょっと過ぎた間の銀衣騎士でしたわねぇ…あの時代ならアレーゼがあれでしたし、まぁ昔は悪かったってことで)
(あまりよろしくない話ですが宜しいことにしておきます…)
(ふっふん。それならば偽女種。どうせならそなたの願望、その身体を女のものにする前に、このアリアディーネが少しだけですが叶えて進ぜましょう。それと輔祭…いえ司祭、我の前に詣りやれ)
それも、B(女)と書かれたものです。
しかし、私には聞いてみたい…いえ、この偽女種に選択の自由を与えてやりたいのです。
と申しますのも、かねてお話しさせて頂いておる通り、東方聖母教会での偽女種、刑罰や懲罰の結果で偽女種にされた懲罰偽女種の扱いではなく、尼僧を補助する役職位階に就くための指導偽女種にされることを承諾した者がなる、いわば男の出世のひとつの姿。
言うなれば、罰姦の偽女種と違って、自らの意志で偽女種化する道を選んだのです。
そして、東方聖母教会での指導偽女種、尼僧を補佐して相応の要務要職を任される立場だからこそ、我々尼僧が懲罰や虐待、必ずしも好き放題に出来る立場でもないのです。
むしろ、本当ならば精気を頂戴する対象の男扱いですから、それなりに寵愛を得られるのですよ、普通なら…。
そして今回は司祭を犯す実行の直前。
そこで過剰な欲望が発覚したがために、未遂に終わっております。
ですが、あまりに過ぎたる欲望と判断したのが…よりによって司祭に化けておられたアリアディーネ主教様。
公的な身分ですら、アトス大聖堂のあるじという、東方聖母教会の大幹部であらせられます。
よりによって、囮捜査とやらに引っかかったようなものですよ、この偽女種にしてみれば。
私としても、その心の中の欲望が仮に私に向けられておれば厳罰を希望しておったかも知れませんが、同時に今この時期にバレたのは運が悪かったなぁ、という慈悲の心と憐憫の目を向けなくもありません。
で、現時点でこの偽女種に対して私が出せる提案、ちょっと考えてみました。
1:転勤・配転を願い出る。
2:還俗する。
3:敢えて懲罰を受ける。
で、この私の提案を知った、雲上人お二人の反応はいかに。
(ふむ…確かに、ここな指導偽女種の類と言えば、それなりに経費と時間をかけて教会主計教育を受けさせておる人材、確かに使い捨てるのはあまりよろしくないという考えもありますか…)
(しかしアリアディーネ、指導偽女種にしてこの歪んだ欲望、偽女種の性質を考えても赦すか赦さないかはその直属の監督者、すなわち司祭次第でしょ…)
(エステラーネ。この369号もそれを見越しておるからこそ配転を提案しようとしておるのでしょう。ま、私なら…問答無用でお仕置きだけど…お互い、アルテローゼ様とシェヘラザード様にお仕えして二人をよく知る立場ですし…)
(言っとくけどあのお二人、私たち以上の暴君ですからね…激辛よ…)
つまり、機嫌が悪いとこの偽女種のような妄想を抱くだけで懲罰を下す部類のお方のようです。
(ちょっとお待ちあんたら。人を暴君べらこちゃんと化すどっかの皇帝陛下のように)
(あれの七割程度って気がしますよ!)
(そうですよアルテローゼ様。シェヘラザード様が激おこの時なんてアヤ・ソフィア教会どころかイェニ・サライ中がビリッビリしてるんですから…)
(これこれ。私もセリム…セリム1世の後見職がある立場ですし、今更無茶はいたしませんよ…)
あ、ちょっとだけ最新情報らしきを。
新しい皇帝宮…コンスタンチノープルの 鯖挟皇帝宮殿の内情についてですが、そのあるじが代わりました。
即ち、鯖挟皇帝の退位と、新しき皇帝の即位。
前帝メフメト2世陛下の退位の跡を引き継いだのは、実子のパヤズィト2世陛下。
しかし、このパヤズィト2世陛下、メフメト2世陛下の皇太子兄弟の間での跡目争いで、長兄ジェム太子を追い落とし、国外亡命を余儀なくさせた疑惑が出たのです。
そして、それまでは 鯖挟皇帝と 鯖挟国に対しては、表立った内政不干渉を建前としていた痴女皇国中東支部でしたが、ここに来て 鯖挟国の掌握に動いたのですよ。
で、メフメト2世陛下の実子であるセリム1世を新たな皇帝として擁立するでというシェヘラザード様の強硬な…ほとんど軍事作戦に等しい行動によって、 鯖挟国は事実上、南洋行政局や淫化同様に属国化されたのです。
ただ…ですね、ご自身のやらかしよりも更に暴威的なシェヘラザード様の政変に恐れをなして逃げ出してですね、あげく罰姦教皇庁を頼った結果、亡命扱いとなって南欧支部…スペインへの蟄居を余儀なくされたパヤズィト2世陛下に代わって皇帝となられたセリム1世陛下が即位したお年、11歳です…。
で、後見人に指名されたのがシェヘラザード様なので、その関係はお察し状態。
(セリム君の母親は不明なのです。もはや誰かお察しですけど不明ではあるのです…)
(ちーちーうーえー。お宅のミルチャ君のように公然と公表できんのです、鯖挟国はぁああああ)
(それと、例の後宮もありますよ、他支部のやっかみ…)
(ですが乳上もご存じの通り、今の後宮は中東行政支局発足後の各支部の長が詰める、いわばエド幕府の国主を都に呼ぶ制度のような有様だという事をお伝えしておくように。むろん、支部長級ですから美女のすくつなのですよ…)
(シェヘラザード様…それ以前にですねぇっ、あのイェニチェリを…あのイェニチェリを頭が玉ねぎのような兵隊の集まり以上の美少年軍団にするとかですねぇ…それも、スパルタ兵のような裸同然の装いを基本の装束にするとかですねぇ…)
(アルテローゼ東欧行政支局長(予定)。そのイェニチェリの隊舎に案内して無礼講を許した人物が誰か、思い出して頂ければ)
(ミルチャを差し出す代償には安い気もしたんですがぁっ)
(私もセリムを差し出しましたぁっ)
まあその、下々の目もありますから本題に戻りましょうよ、皆様。
(むううううう)
(むぐぎぎぎぎ)
(まぁまぁ。ただですね、懲罰偽女種ならともかく、指導偽女種が抱く欲望にしてはちょっと突っ走り過ぎでは。これが罰姦ならまー仕方ないなーで済ますか、あるいはこんなキモい偽女種、いらんわとなるかだったのですけどねぇ…難しいですねぇ、これ)
(かと言って公的に懲罰を下すと、東方聖母教会管内全ての指導偽女種の意識調査を行って再発防止の措置を下さねばなりませんね…しかし、それなりに濃厚な精気が獲れそうな変態ですから、何かしらの活用を考えたいというのも理解はできますよ)
で、なんでアルテローゼ様とシェヘラザード様がお二人で悩んでおられるのか。
実は東方聖母教会、教皇の地位に該当する全地総主教が不在なのです。
というよりも、東方聖母教会は本当は罰姦より早く組織が出来ておったのですが、その教義の都合上、罰姦から分かれた分派めいた組織でもあるのですよ。
(本当はジーナ様を初代聖母として崇め奉るという思いつきから来たのが聖母教会の由来なのは内緒も内緒なのです…ですから真の始原思想は東方にあるのです…)
(それ言うとベラ子陛下が反論しに来てややこしくなるから沈黙しときましょう…)
ですから、その教義は罰姦と全く違う訳でもなく、むしろ同一の系譜の聖母伝説に基づいております。
従って、総主教の地位のこのお二方…そして存命である初代聖母様の意見を時に聞きつつも協議で事が進んでいるのが現状。
言うなれば、アルテローゼ様ならアルテローゼ様、シェヘラザード様ならシェヘラザード様の鶴の一声だけで、この偽女種の処遇を決め難いのですよ、現状の東方聖母教会。
(いずれは全地総主教を擁する必要があると分かってはおるのですが)
(うちのミルチャを推したいのですけど、それすると 鯖挟国民があまりいい顔をしないんですよ…)
(やはりセリムを擁すべきか…ただ、あの子は既に鯖挟皇帝ですから、宗教の長は別にしておきたいのですよね…)
あ、その辺の雲上の話題は触れないようにします。
それはそうと、この偽女種の処遇ですよ、処遇。
「個人的にはあと半年、いえせめて2ヶ月我慢してたら司祭様ご本人じゃなくとも、司祭を相手出来る機会が巡って来たのに、惜しい話だとは思います…」
ええ。
保養所が出来るまで辛抱してたら、保養所を利用する司祭以上が必ず訪れたはず。
そして、開設時のごたごたでアル=キラン教会所属の偽女種も買春要員に駆り出されていた可能性はあったのです。
つまり、司祭級をコマす機会は巡って来た可能性、大。
しかし、変態的な欲望を司祭に向けたことでその可能性はほぼ、潰えました。
更には、化けておられたとは申せど、アリアディーネ主教に対して司祭に対する欲望を向けた。
これはまずい話です。
もう、偽女種の欲望、完全に丸見えではないですか…。
そして主教が「こいつどない思う」と意見具申を司祭に聞けば、よほど広い心の持ち主でなかったらこんな下剋上、赦すわけがないと思うのです。
司祭を性奴隷にして飼ってやるとか、気概は買いますけど実際にやろうとすれば聖母教会の組織上、非常にまずい下克上になります。
(あくまでも相互合意の上の、ぷれいとやらでやる程度なら良いのですが…)
(罰姦サイドの話になりますけど、クリス様とベラ子陛下程度なら私も容認したんですけどねぇ)
(それにあれはベラ子陛下が聖父様の顔と面子を立てて自発的に献身しておるからこそ成立している関係。加えて聖父様が誰とて認むる人格者故に大惨事を望んでおられぬからこそ成り立っておるのです。格下の副輔祭、それも偽女種が一方的に企ててよいものではありません)
(せめてもうちょっと男女の仲を進展させてくれてから、猟奇的変態行為を懸想してたならば、私も容認したのですが…司祭、いかがする…)
(皆様の仰せの通りでございます。仮にその身の毛のよだつ欲望、私が辛抱して叶えてやったとしても、今度は教会の運営に支障が出ておりましたかと。なにせ今後、アル=キランで雇用する偽女種、今の2人よりも更に増えるでしょうし…指導偽女種といえど、特定の偽女種に身びいきが過ぎれば他の偽女種の反発を買いかねません…)
(これは私、369号の意見なのですが…もう少し小さな教会であれば、仮にここな偽女種の野望を実現できたとしても、司祭と偽女種の間の秘め事…お楽しみの範囲で終わっておった気もいたします)
(確かに、それで済んでおったかも知れぬ話…)
(更には、二人次第ですけどね、色恋話としてのえろほんになっておったやも知れませんね…そうなれば恋愛ごとの教科書として、こうして懲罰を詮議するどころか皆の規範であったかも…)
ええ、偽女種を見るエステラーネ様の目が怖いです。
(あんたがもうちょっとそういうのに頭を回してくれたら、私らこうして首を突き合わせてあんたの処分に悩むこともなかったんやぞ…ええか、369号はなるべくならお前に再起の機会を与えようとしてるんやから、次は私らの手を煩わすなよ…)
(エステラーネ。次はないと申しますか、アルテローゼ様にお願いして旦那様の串コレクションからちょうど良い串を試すべきでは)
(まぁ、串刺しにしても今の偽女種ならすぐに死にませんしねぇ…)
声を封じられているせいで、ガクガク震えて泣きながら必死で命乞いをしておる偽女種ですが、この方々は本当に「それをやりかねない」のが色々な意味で知れ渡っておるのです…。
(まぁまぁ、今はまだそのような極刑に処するには至らず。それが怖いならば贖罪の機会を与えられたと思ってやり直しに励むのですよ…)
(しかし、ここで発覚しなければ、こうして中央の幹部の皆様に採り上げられることもなかったかも知れません。まぁ運の悪い話となりますが、こうして中央幹部にこの偽女種の野望欲望が知れたとあっては仮に配転辞令を出したとしても、他の司祭様方が、かかる偽女種を素直に雇用なさるとも思えず…)
(ふむ…そうなると、転勤を願うた場合、宗派転属で罰姦かボロブドゥール送りにするしかなくなりますね…)
(または比丘尼国か…)
まぁ、そろそろ助け船の出しどきですかねぇ…。
(で、偽女種の副輔祭も私の提案、よく聞いておくのですよ。あなたへの処置、還俗も考えましたが、実際に聖母教会の経営にどっぷり浸っておるのに今更還俗もなぁという思いもあるでしょう。ですので、貴君が取れる道は配転を出願するか、さもなくば敢えての懲罰の二択と思います)
(ふむ…シェヘラザードですが。369号、この偽女種に懲罰を提案する真意や、いかに)
げ。
よりによってシェヘラザード様のご指名ですよ…うかつな答え、返せないじゃないですか…。
(ふほほほほほ、そう緊張せずともよろしい…)
(シェヘラザード様…要は369号、あなたはここな偽女種がそんなにも司祭を犯すとか奴隷にしたいと申しておるのなら、その欲望を叶える方法を提案してあげたのでしょう?…なるほど、確かにあなたの提案であれば直接じゃありませんが、間接的に精気は採れる話。言うなれば我が不肖の配下のエリザベートめ…ご存知でしょ?あれの手口じゃあないですか)
と、アルテローゼ様からお助けが。
怖いけど面倒見はいいのでも知れ渡っておられるのですよ、アルテローゼ様…。
そして、エリザベート様、恐ろしいことに管内の少年少女を集め人豚と称し、四つ足にする拘束具を強制着用させて文字の通りに飼育していた他、色々な前科持ちなのです…。
(左様でございます、アルテローゼ様…まぁ、エリザベート様ほどむっちゃくちゃな事をしでかしてもらうと困りますから、ほどほどで頼みたいんですけどね…)
(確かに、女を性奴隷にするならば確実…ただ、やり過ぎれば請願が…)
(そー言えば…シェヘラザード様に対しても厳しいって泣きつかれる部類の請願、何通か出てましたね…)
(こう申してはなんですが、乳上、あなたにも同様の請願が…)
ああ、東方聖母教会の実質頂点のこのお二人、厳しいので知られております。
この私が借りて来た猫のごとく、慎重に言葉を選んでおりますのがその証左。
そして、私としましては、確かにこういう加虐型の変態、いわゆるロリヤ事案にも通じるものを感じますし、司祭裁量での懲罰になってもしゃあないわな、とも。
しかし、それなりに強烈な変態の欲望ならば精気資源としてがっつり頂戴したいと思うのも事実なのです。
ですから、この偽女種に対して与える慈悲として、敢えて懲罰を受けて女になる…一人卒痴女種にされることを提案してやりたいのです。
(少なくとも副輔祭としての研修までは終わっておるのですから、あとはアトスでの再教育さえ捗れば、尼僧として輔祭までは絶対に出世出来ると思うのですよ。司祭登用時の面接に引っ掛からなければ、ですが…)
(非常に興味深い提案です。しからばここな指導偽女種副輔祭51-199号、そなたの希望を聞いてみましょう。と言っても369号の出した3つの中から選ぶのですよ…)
と、偽女種に対して宣言するアリアディーネ様。
そのお姿、もはや司祭ではなく主教衣装。
で、主教様のお召し物。
私にさっき与えられた司祭衣装の類似ですが、 鯖挟国…中東所属者を示す青色を基調に、金糸の刺繍がちりばめられたとーっても豪華なものなのです。
そして肝心の青色の前垂れ後ろ掛け、透けまくってます。
とどめに、青いインナー…尼僧服の下に着込んでおられるのが紫薔薇騎士団のものという、元来は紫色だと申される透けたわんぴーすはいれぐとかいうもの。
あ、エステラーネ様は東欧支部所属なのでアリアディーネ様と類似ですが、赤で統一されてますね。
(東欧支部は痴女皇国本国の欧州地区正規兵力扱いでもありますので、本当は所属騎士は赤薔薇となるのです。ですから私と…巻き添えを食ったアリアディーネの衣装、赤薔薇の色違いですよ)
ほんまですね…アルテローゼ様、そしてシェヘラザード様もお召しの「隠すべき場所が透けるか網」のあれですね…。
まぁ、このような服をお召しの如何にもお強い方を性奴隷にしたいとか思う不遜な感情、わからんでもないです。
しかし、その欲望、悪いことに対象の尼僧からな、丸見えやねん。
せやから研修で習うたやろ…相手は普通の女と違うぞって…。
ただ、私としては所帯を持とうとする願望同様、こういう欲望は例え犯罪的で汚らわしくおぞましいものであったとしても、相手が尼僧なら「逆に私ら尼僧の好きに出来る」ので構わんのじゃないかとも思います。
精気という、私たちには実際の利益として得られるものが大きいなら、その辺に目ぇつぶってやっても良いかも。
いや、やっぱりちょっと遠慮したいかなー…。
(それ故に痴女種化への賭けを持ちかけてやったのでしょう?)
(です。痴女種同士なら、出世した後に上司として振る舞う範囲になると思いますので)
(更には、逆に偽女種を飼い慣らし性奴隷とするやも…ふふふふふ)
でまぁ、もうちょっと助け船を出してやりましょう。
(で、ですねぇ。確か偉い方だとこれ、出来たと思うのですけど、この偽女種に私の身体を使わせる代わりに、私がこの偽女種を一時的に乗っ取るというお試し行為、出来ませんものでしょうか)
(何故にそのような面倒な事を…ふむ。369号、その偽女種を女に変える行為を納得させるための一環ですね?…二代目様、お聞きでしょうか)
(状況は乳上から送られておりますよ、アルと…シェヘラザード)
(二代目様…銀衣騎士への再任命、出来れば避けたいのですが…)
(そういうわがままは部下のてまえよろしくありませんわよっ初代アルトっ。不肖の娘から聞きました。ほれっ)
(母様!当人たちの承諾もなしに人格入れ替えなぞ!)
でぇええええええ。
いきなり、私の身体が偽女種になっとるのを感じます。
しかし、反射的に思いついたことが。
(輔祭様…いえ、司祭様。ちょうどええから私、このまま聖水かぶってしまいます。Bのタンク貸してくださいっ)
(って聖水洗礼の儀式、どうするの…)
(ほら、マリアリーゼ陛下がいざとなったら手動でやってくれって申されておったではないですか。それに好都合なことにまだBの水、余ってますし)
(まぁ有効期限は今晩一晩くらいだから明日には捨てようと思っておりましたしね…)
あ、聖水って使用期限があるんですよ。
というのも、そのまま下水槽に流すの、実は危険なのです。
この聖水は強力な性別変更作用があります。
従って、浄化せずに川や海に流すと、そこにいた者を男や女や偽女種に変えてしまいかねません。
そこで、使用期限のある駄洒落菌製剤を使う事で、一定の時間が過ぎたらただの水になるように細工がされておるそうです。
(この水の色が元の透明に戻れば効力を失った証。まだ赤色のままですから使えますけど…)
で、慌てておるのはこの身体の元の持ち主、即ち…偽女種です。
(おおおおおお待ち下さいませっ!私はまだ承諾しておりませぬぅううううう)
(やかましゃおんどれ!女は度胸じゃっ!それにワシの身体が気に入らんかったら、この身体に偽女種用の聖水もっかいかぶったら元に戻るんやないけ…)
(はぁ、それはそうですが…)
(ええかっ。あくまでもそれはわしの身体やから無茶な扱いすんなよ。やらかしたらこの身体で亀地獄島か悪魔島に送致してもろてからお前に身体、返すからな…)
(ひぎぃいいいいい!お、お慈悲をぉおおおっ)
(ベルナルディーゼ…このお子、なかなかにそしつがありますわね…)
(おかーさま。何を企んどるのですか。確かにこの娘、堕天使族に組み込んでやった方がいい性格しとるのは間違いないとは思いますけどね…)
(というか堕天使族にとってもごせ…あ、これきこえておりませんわよねっ)
(聞こえてません)
(見ざる言わざる聞かざる。聖院時代からの金衣様相手の伝統芸ですけどね、疲れるんですよ?…)
(あーそーかー、アルトリーネ…シェヘラザードってデルフィリーゼからクレーゼに代わってちょっと過ぎた間の銀衣騎士でしたわねぇ…あの時代ならアレーゼがあれでしたし、まぁ昔は悪かったってことで)
(あまりよろしくない話ですが宜しいことにしておきます…)
(ふっふん。それならば偽女種。どうせならそなたの願望、その身体を女のものにする前に、このアリアディーネが少しだけですが叶えて進ぜましょう。それと輔祭…いえ司祭、我の前に詣りやれ)
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