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南洋残酷ものがたり〜缶詰王女奮戦記〜・4
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さて、昼前。
比較的近い場所での労働を終えて帰ってきた農夫や農婦たちは薪の用意だの洗濯だの、家事を始めます。
姦官たちは姦官たちで食料や肥料など消耗品の在庫を点検しています。
そして補充や農機具類設備類の修理に新規・追加の手配を行います。
聖母記念銀行または郵便局を兼ねる寺であれば金銭出納だの寺宛の逓信管理だの、諸々の仕事が入りますが、この仕事が発生する寺には事務方として尼僧または姦官、最低1名は追加で頂けます。
更には戸籍増減…こうした独身農夫や農婦主体の村は農民の経験を積ませる研修村の性格が強いため、村落間移動があるのです…特に、懐妊の発覚の後で世帯向けの村に引っ越す場合には上位寺院への連絡と転居の手配を行います。
で、このマドゥラで今回新規に建立された慈母寺ですが。
主にスラバヤ付近の慈母寺で管理している農村生活に慣れたジャワ人か、またはマドゥラ人でも前々から帰順していた農夫や農婦を応急的にマドゥラに派遣して新規に慈母寺荘園で雇った者に教えていく体制を組んだようです。
ここいらは他の地域でも新規に慈母寺を建立開山すれば必ず起きる話なので、慣れた僧ならさくさくと日常作業をこなして行ってくれるでしょう。
実はマドゥラ島、全く完全に新生南洋王国や南洋慈母寺の影響力が及ばない治外法権地帯でもなかったのです。
というのもマドゥラの水や土地の事情があるせいで、スラバヤでの商取引がなくてはマドゥラ島で人が生活を営むのは難しい…なかなか成立しないことだったのです。
旧来より水牛や牛を中心とした牧畜で増やした家畜だの、あるいは塩田を作っての製塩によって得た塩をスラバヤで売ることで、マドゥラ島で生産する分だけでは不足する米などの食料を得ることが主な取引理由。
そして、慈母寺進出前のスラバヤ界隈の住民も、マドゥラ島から流出したマドゥラ人が少なくないことから、こうした取引には積極的。
しかし、慈母寺が進出して来たことで、地主や自作農の土地は召し上げられてしまったのです…。
更にはマドゥラにも海底道路や橋をかける代わりに慈母寺をいくつか建設して、島の領有と諸産業の国営化に乗り出していました。
で、それに反発する者たち、当然のごとく現れました。
ここで慈母寺本院が取った対応ですが、まず、メフラウ・オリューレとディードによって島の住民に対する示威行為…ドレインによっていつでもお前たちの動きを封じることは出来るのだという実演を実際に、やって見せたのです。
そして一定の慈母寺経営に必要な土地を収容した後で、行政事務部は「この者たちを無理からに帰順させずに放置せよ、いずれ手は打つ」として既存の慈母寺が領有を宣言した領地や帰順農民に実害を及ぼさない限り、積極的に接触しないようにしていたのです。
そして、この時点で建設した慈母寺は島の全てを覆う数と尼僧人数ではありませんでした。
ただ…いつまでも放置するのはまずい、いつかは帰順させるための事業や軍事作戦を実施する必要があるという現地調査結果を出していました。
そしてジョクジャ宮殿側でも、橙騎士団員を不定期に派遣してその動向を探り帰順戦略のための情報収集に余念がなかったのです。
そう…まさかコープシェフ・ジョスリンがあんな巨大な軍艦であるフグー号を持ち込んでまでして大規模に事を片付けるとは夢にも思ってませんでしたけど。
この私ですら、作戦概要や全貌を知らなかったのですよ。
ただ、マサミ=サンいわく。
(マドゥラ人には女性もいるでしょ。そして、その出稼ぎ民族体質からすると仕方ないんだけど、現・南洋王朝や慈母寺の中にもそれなりの数のマドゥラ族女官、いてるわよ)
で、同族に侵攻情報を漏洩されると困るということで、情報統制を敷いていたのだとか。
更には黒薔薇騎士団のみならず、連邦世界のフランス軍の戦力を投入することで兵隊の動きを察知されにくくしたという話を聞いては納得せざるを得ませんでした。
しかし、今後のマドゥラの領土経営について、どういう風に進めて行くべきなのか。
「まず、スカルノ朝南洋王国に帰順して男に戻してくれと願い出る者がどれだけ出るかによるわね」
「それがですね…雅美さん、頭痛ものの話がですね…」
で、デュイツメイシュ・リンドいわく。
「我らの中でも精強な戦士を素手で打ち倒してしまえる女が現れたのだ。これ即ち、戦士の雇入れの口を探すには男でなくとも良いとなるのでは…なんて言い出す連中が現れましてね…しかもまずいことに、今回の女体化の手口って一人卒痴女種化でしょ…心話で広まったんですよ…その通説…」
これには、寺院の本堂で会話していた関係者全員、絶句。
ちょっと待てやと焦るマサミ=サンですが、そのこころは他の方も同じ。
「男に戻りたいってのがね…こっちの予想を大きく下回ってんのよ…あと、売春の口もあるんじゃないかとかね…出稼ぎ民族だし、自分が美人に変わったってのを知った人が片っ端から農業せんでもええやんという思考に行ってんのよ…どないせぇっちゅうねんと」
ええ、この計画に立ち込める暗雲が出現したのです。
まさか、マドゥラ族がかくも、ある意味では楽な生活を選ぶなんて。
しかし、マドゥラ族を女に変えてしまった我々が農業を強要できるのか。
いえ、聖環を装着している者ならばこちらから強制的に行動を制御できるでしょう。
「で、ここで障害になるのが、人間本来の思考や発想をなるべく阻害しないようにというマリアちゃんの発言なのよねぇ…これ、マリアちゃんが初代皇帝やってた時代からの話だから、ベラちゃんが撤回しない限りは皇帝勅命と考えるべきなのよ…」
(撤回不可なの、雅美さんがよーーーーーーーーーく知ってるでしょ…男の子たちを無気力な人形にしたいのですか?)
「ぐぐぐぐぐ…そーなのよねぇ、クリスくんの件もあるけど…だからマドゥラ族が女騎士をさせろってのはまだしも、売春させてと言って来てるのにさ、売春が国是かつ国家事業たる痴女皇国にお前ら農業せぇ、これも言いづらいのよ」
「マサミ=サン…しかも連中を女体化する際に、なまじ美女に変えているでしょう…アジア系の顔さえなんとかすれば、いや、現状でもかなりイケテル女たちですよ…これを農婦で終わらせるのも痴女皇国としてはまずいという判断が出てもおかしくない。小官ですら彼女たちに農業の強制はモッタイナイと思えます」
と、作戦を実行した司令官ですらお悩みの有様。
しかしですねぇ、現段階で最低でも数万人ですか、売春事業にいきなり投入して、彼女たちの生活を満たせる需要があるのでしょうか。
「連邦世界に輸出すればなんとか…」
「いや、ヴァンセンヌ娯楽館を百軒は建てる必要が…」
などなど、悲痛な声の意見が飛び交います。
と、そこに。
「あのですねぇ、何をお悩みかと思えば」
見れば、赤薔薇騎士団の制服を着用した、巨乳傾向の女性が。
「おやマドモアゼル・メーテヒルデ…」
「それはともかく、その少年はなんなのですか…」
ええ、彼女に随伴する貧しそうな身なりの子供。
人種的には、間違いなく白人です。
「いや、雅美さんに頼まれた孤児や貧困児童の調達よ。こっちゃバルト支部や英国支部にまで話をつけに行ってたんですよ…? イタリアは今、罰姦の管轄で聖院学院本校準拠の孤児院経営に乗り出してるから調達困難としても、ドイツからベルギー、そしてドーバーの向こうはまだまだ貧困児童の救済にまでは手が回らないから、かえって話が早かったのよ」
な、なんという事でしょうか。
どうも、メーテヒルデ支部長の弁によれば1週間あれば数千名の孤独児童、指定の場所に送り込める…厳密に言えば転送のために集合させていけると。
でまぁ、メーテヒルデ支部長を交えてお話をしましたところ。
「んなもん売春したきゃ、自分たちを買ってくれる男を増やせという話、できるでしょ…」
そして支部長の話は続きます。
「バルト沿岸や英国だと牛飼い羊飼いの少年、多いわよ」
「そう言えば、このマドゥラでも牧畜はやっていたはず…」
「そして、出稼ぎ国も困ってるっちゃ困ってるみたいなのよねぇ…」
聞けば、出稼ぎ国の男性向け主要労働市場である、下級水夫。
これが痴女皇国仕様の動力帆船の普及によって雇用の口を減らしつつあるのだそうです。
そして出稼ぎ国はかかる事情で、男余り。
ただ…出稼ぎ国には出稼ぎをしてもらえるだけの労働市場が存在します。
ええ、流刑地大陸。
大陸型の農業や牧畜のための人口を必要とします。
そして、こちらには女が余っています。
それも、ちょっとやそっとの数ではありません。
で、ここからは情報部と広報部の仕事とばかり、流刑地の現地事情の洗い直しを指示する雅美さん。
更には通商局や国土局といった関連部署に連絡を取り、牧地開発を依頼しておしまいになります。
「あの、マドゥラ族の要望を聞くとかは…」
「リンド。うちの国って民主主義、やってたと思う? 聖環のステータスレコードで検索して売春適性が下から順番に…そうね、四万人から五万人くらい、流刑地に送り込む段取りくらいはつける考えが出せるようにしなさい…そのためにもジョスリンに付けてるんだから…」
「あぅうううう」
「まぁ、無理からに移住を強要というのも無理があるのはわかってます。そこで、堕天使さんの出番です」
(田中様…バエルでございます。田中様の要望、以心伝心でなくば我らの恥。即ち、容姿に自信がいささかに無き者には美少年を見せてつがいとなって移住を募る話への欲を煽るのでございますな)
(そうでーすバエル様ありがとー)
(ははぁっ。で…我らが仕事を致しやすくするための仕込みの要望でございますが…精気を使うとは思いまするが、メーテヒルデ様には小僧たちが女に貰われやすき容姿にして頂きますれば重畳。そして、出稼ぎの国の民には芋を食べて腹が出た風体ではなく、筋骨逞しき姿にて女どもの前に現れれば更に良き話になりますかと)
(要は出稼ぎ国の移住希望者はイケマッチョにしてあげます。更に男の子たちはイケてるようにしてあげますって感じにすりゃいいのね。ただ、移住希望者だけな…と。ゆっきー聞いた?夢見攻撃してもらうから吹き込み心話用動画作って欲しいのと、実際に出稼ぎ国の南欧支部事務所や南洋行政局の貿易出張所に張り出すポスター作成よっ。あと人さらい…監獄社や自衛業の地方本部系求人動画風に仕立てて希望者に見せられるような品質で作るのよっ)
(ううううう、なんでこうも人使いが…)
(ゆっきー…ゼニの花はこういうところに咲くのよっ)
(あたしは栃木か埼玉でOLしてるレベルの生活でいいんですっ)
(向上心は必要なのよっ)
でまぁ、そんな話や心話を横で聞いている我々の前に、住職尼僧が来て昼食の支度が出来たとお告げになられます。
ここでは我々は実習生兼見学生です。
非常事態が起きなければ、オテラ側の日課を見学または体験する…即ち、尼僧に従うべき立場。
昼食は米粉や麦粉を発酵させずに捏ねて伸ばした餅、即ち一種のパンにおかずを挟んで食べる主食と、そして汁物と茶がつきます。
このパン状のものについては、朝のお米の残りも利用しているとのこと。
なるほど…無駄を省き再利用する思想には頭が下がります。
もっとも、残飯はここでも飼育している豚の餌にも使えますし、更には肥料化も手がけているとの事。
(燐は各寺で大寺に送っていますよ…)
見れば、早々と送り込まれたのか、ダンケ号を小さくしたようなくるまが寺の庭先に。
水牛を飼っているのも拝見しましたが、あると便利なのがくるまでしょう。
(こういう時のために本宮や欧州に予備配車用の新車をストックしてるのよ)
(まぁ女官の運動神経では元来ありえんのだが、事故で破損した場合の応急代車としても在庫しているのだよ。プランセスも、南洋行政局管内では最終的に千台を超すだろう車両管理にも携わるのだから、色々と知っておくべきことは多いぞ…)
(ところでマダム田中。プジョーはまだしもルノーは買うてもらえんのですか)
(マドモアゼル・リヴィエラ…その軽自動車の鼻先をよくご覧下さい…あたし正直鈴菌にしたかったんですけどね、うちの広報部長の宇賀神のお父上…つまりとちぎメディア取締役の絡みでね…とちぎメディアの株主さんで広告主がおっさん自動車のディーラーでね…しかも「もてぎチャンネル」のスポンサー、おっさん自動車でね…)
見れば、OSSANとかロゴが入ってますね。
犯っちゃえ、おっさ…。
(マルハちゃん…それは危険すぎるわ…あたしも思ったけどさ…)
(あとリヴィエラ…オッサン自動車はルノー関連企業よ…)
(あぅうううっ、既に配慮調達済みでしたか…ならばせめて欧州にルノーのバンを)
(マドモアゼル。ダンケ号の信頼性を逆に証明するから、導入場所は選ぶべきです…いや、小官もルノーどないだって話をしてますけどね、痴女皇国で最初に広まったのがダンケ号なのですよ…あれに皆、馴染んでおるのです…)
(DGSEの派遣者でもダンケ号に洗脳されて帰って来るんですよ…トリアエズナマという感じで広まってるんですよね…あれ…)
(せめて、おっさん自動車のぱちもん号を増やせとは言っておきます…マリアちゃんに…)
まぁ、くるまの台数が台数です。工房のもうけにもなる話でしょうから、うちのくるまを買うてくれという商談になるのは仕方ないでしょう。
連邦世界の我が国、くるま、作ってないんですかね。
(メーカーが存在したけどポルノ王国のボロボに買われたわね)
(ああ、自由恋愛王国…)
まぁ、悲しみが増すので連邦世界での祖国の話は控えておきましょう。
海運ではそれなりの船主が現れて大きな顔をしてるらしく、ロッテルダムに大きな港を作って物流の拠点として通商利益の確保に余念がないというのはお聞きしましたけど…。
(通路との付き合いが深い国なのよね…)
(パリからアムステルダムまで今、最速三時間半だっけ…)
(ヴェロニク…対魔はヴァンセンヌに顔を出せば手に入るから、何もあそこに行かなくても良くなったのも痛いわ…)
この義理のご姉妹とお伺いした令嬢の御二方、何を話しておられるのでしょうか。
どうも、連邦世界でのうちの国、煙を吸うと幸せになれる植物の利用を解禁することで人々を集めておるようですが。
「で、ここでも人をダメにする白いものが流行っています」
ええっ。
尼僧の宣言に、驚く人多数。
「白いものはあかんとは思うのですが、皆の嗜好品として要望が極めて強く、聖母教会はもちろんのこと、慈母寺でも導入せざるを得なかったのです」
マサミ=サンも断言します。
な、なんなのでしょうか。
「お坊様…それはまずいのでは…」
「リヴィエラ、ここは痴女皇国…効果淫や疲労淫かも知れないわよ…」
で、その現物。
「マサミ=サンも人が悪い…」
「だって男の子も女の子もいるのよ? おまけに尼さんは痴女種、つまり女でしょ…」
ええ、その白いモノとは…サカー…砂糖です…。
まぁ確かに、この甘さを知らぬ者には頭の感覚を破壊されるような効き目があります。
そして用途は…お菓子。
熱帯の南洋王国ですから保存性に欠けるものは作れないそうですが、タピオカや麦の粉に混ぜて練り菓子を作ったり、あるいは糖蜜シロップをかけて食すものを自製していると。
(密かに冷蔵庫があるからクッキーとかチョコレートも作れるんですがね、虫歯が…)
(尼僧だけで密かに食べてる悪事の臭いが…)
(頓智に長じた小坊主を生産しそうな話です…)
(一体さんは大量生産してるけど…)
まぁ、確かに指導偽女種…姦官は女と一体になるのも仕事ですねっ。
(皆で分け合える飴のレシピ、帰ったら送ります…)
で、ここでマリアリーゼ陛下から緊急連絡が。
すわ何ごとかと色めき立つ、皆。
(あのさぁ、マドゥラの一件だが、姦官も常駐するんだよな)
(しますね)
(でさディード、あんたに聞きたいんだが、あれ、イメージ悪くねぇか。姦官って言葉)
(はぁ…確かに)
(でさ、脊髄反射民族らしいし、趣味半分たぁ言え、せっかくクレーニャが頑張ってショタ狩りしたんだし、ここは小僧さんの代わりにだな)
悪い予感がします。
(うん、一休みさんじゃなくて一体さんと呼んでもらえるようにしようよ)
次の瞬間、打撃音が心中に響きます。
(ねーさん。世界は一家人類みな兄弟。あたしの中の博愛精神がはりせんを振るえと言うのです)
(発案者の雅美さんは無罪なのかよ!)
(痴女皇国制式用語にしてしまえる権力者はどこの誰か、もう一度その頭に聞きましょうか?)
まぁしかし、一体になっていることは間違いないでしょう。
「一体和尚…うーん、語感は悪くないわね」
(雅美さん…箕面市の名誉市民の方に怒られても知りませんよ…)
(平気よ。本物の右翼なんて今や天然記念物、海老原さんのお知り合いにもいないわよっ)
(耳毛が生えても知りませんよ…)
(耳毛氏はあれに噛んでないわよ…それどころかオトナの一体さんって番組すら後年に…)
(ベラ子。一体さんの実物は本当に一体さんだって知らねぇのか?ついでに言っておくけど、痴女皇国世界じゃ後小松天皇の庶子の話は本当だ…更に一体良純和尚が遊女に化けた慈母観世音に諭され慈母宗を開山したのが比丘尼国慈母宗正史だ)
(精子を出す話を正史にして歴史を捏造しないでくださいよ…)
(つまり慈母寺と慈母宗は皇孫仏僧の開闢だってことにしよう、うん)
ぱちこーん。
ええ、またしても打撃音。
ですが、慈母宗はヤパンの皇帝の息子が開いたという事実があれば、これは色々な宣伝に使えそうです。
何せ、比丘尼国には本物のカミサマがいますし、ブッダその人が痴女皇国で教師をしているのも知っています。
その権威を何かこう、今回のマドゥラ族を屈服させる材料に使えないか…。
「それはそうと、マルハレータ。昼食後に、君にして欲しいことがある。他ならぬマリアリーゼ陛下のご指示でな…住職どの…午後3時だったか、ここの界隈のスコールの開始時刻」
「ですね」住職尼僧が即答されます。
見れば、コープシェフ他、全員が気の毒そうな目を向けています。
な、何でしょうか…私は懲罰か何かを受けるような覚えなぞ…。
「いや、ちょうどいい機会とメンツが揃っているしな。心配するな。ある意味でこれは非常な栄誉であり、リンドとプランセスに対する褒美だ。特にプランセス、君の思考傾向や発想についてマリアリーゼ陛下は高く買っておられるようだ。いわばルイトモ、だとな…」
えええええ、それはよもや、悪知恵とかその方面…私は変態的な命名の語彙は乏しいと思うのですが…。
(その評価はあたしが悲しくなるからやめてくれ…でさマルハちゃん、微妙に自分の話し方とか変わって行ってねぇか? これな、ジョスリンやそこに同席してるフランスの皆様とか雅美さんの知識共有が始まってるってことなんだよ…ああ、幹部候補選定がかかり始めてるんだ…でさ、ちょっと正式任命は先になるかも知れないけど、リンドの紫薔薇対応施工に合わせてだな…)
え。
見れば、デュイツメイシュ・リンドリアーネが震えておられるんですけど、一体何があるんですか…。
「grand prêtre…この辺りに滝壺とか川はないかな…」
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ええと。
どうやら私、マルハレータは生きてはいるようです。
「おい、プランセス…大丈夫か、とりあえずは成功だ…」
ええ、私を介抱して下さっているのはコープシェフ・ジョスリン。
そして、私の目に入るのは、コープシェフが見せてくれた私自身のIFFステータス表示。
Margareta van Oranje マルハレータ Thousand Suction.(Limited Ten million) 千人卒(限定一千万) Slut Visual. 痴女外観 Orange rosy kinghts. Mother budda denomination, Imperial of Temptress. 橙騎士団 Temple Kinght Commendatore, Orange rosy kinghts. Mother budda denomination, Imperial of Temptress. 橙騎士団長
そうです…私は、黒薔薇騎士団入団の試練を受けさせられたのです…それも、皆が言う地獄の責め苦の代わりに、ごく短時間で済むが危険極まりないという新方法で…。
それは、マサミ=サンこと田中雅美内務局長の身体に相乗りしておられるという聖院初代金衣様というカイゼーリンのお力で、千人卒でしかなかった私に何度かの昇格試練を高速疑似体験させるものでした。
(いきなり黒薔薇騎士団の入団儀式を千人卒に施せば死ぬか廃人なのでな…)
まぁ、それはわかります。
あんな汚物と精液にまみれ汚し抜かれる地獄、昇格していても何度も受けたくなるものではないでしょう…。
ですので、私は…ジョスリン団長やディード、アマンディーネやリモニエディーネといった黒薔薇組だけでなく、ご本人自体がとんでもなく強力な痴女種である田中内務局長に責めなぶられた記憶、あるにはあるのです。
(本当に犯されたような記憶が残るけど、あくまでも疑似体験だからね…)
とどめに、御令嬢お二方も現役王女である私を真っ先に犯す有様…ええ、このお嬢様たち、お二人とも痴女種になっておられました…。
(孕まされそうになったのは内緒で)
(つい孕ませようとしました)
(同じく…王侯貴族を犯して汚すのは共和国民の義務に思えて…)
(マドモアゼル…痴女皇国の幹部にはその地位の人物も多いのですから自粛を…)
更に、類似の処置をデュイツメイシュ・リンドリアーネに施したそうですが、こちらは残念ながらと申しますか、黒薔薇騎士団資格者にまでは至らなかった模様。
ぴくぴくして白目剥いてますけど、大丈夫ですよね、田中局長…。
Lindriahne. (Linne Bernstein) リンドリアーネ Thousand Suction (Limited Hundred Thousand) 千人卒(限定十万卒) Slut Visual 痴女外観 Purple Rosy knights, Imperial of Temptress. 紫薔薇騎士団 Kunoichi knights, Imperial of Japan court. 八百比丘尼国女性忍者騎士団 Imperial of Japan administrative bureau. Imperial of Temptress. 痴女皇国日本行政支局所属
(ふむ…リンドにはまだまだシュギョウが必要って事だな。マリアリーゼ陛下、やはりインドの山奥で)
(いや、飛騨の山中か琵琶湖の南で勘弁してあげて)
(あの宗教団体よりは慈母宗の方がマシかと…)
一体全体、団長と上皇陛下は何の話を。
それはともかく、田中局長が私に施された試練の結果を改めて皆に告げます。
「ま、限定処置は仕方ないとしても、一千万卒にまで上がってたら確実に支部長級よ。あと隠し情報だけど、今の千万卒以上は鬼能力属性に加えて黒薔薇服耐性が付与されるから…つまり、黒薔薇騎士団員資格者ってこと」
えええっ。
田中局長の言葉に、驚く私。
「つまりプランセス、君は現時点でディードと類似同等と言っていい立場であり、有事には私かペルセポネーゼ団長の直接指揮を受けることになるのだ…昇格おめでとう」
つまり、私の制服が変わっているのにも気付きましたが、これ…ディードのと同じじゃないですか…。
「そう、中身は黒薔薇仕様ってやつだ」
ええ、ようやっと目覚めたらしいデュイツメイシュが私のこと、すっげぇ羨ましそうな目で見ています。
へへへ、ソーセージやろう、羨ましいかなどと下賤な煽りはやめておきましょう。
むしろ、私も登った恐怖の階段が…彼女が今以上の地位を望み続ける限り、絶対に立ちはだかるのですから…。
「しかしジョスリンや皇帝室の伊藤課長…瞳さんがいるから最短じゃないけど、痴女皇国入りしてから黒薔薇入りしたのはかなり早い部類よね…」
「あー、プランセス、本宮で見かけたかも知れないが、あのマドモアゼル・イトウはちょっと特殊でね…彼女は後宮管理者という名目上、黒薔薇騎士にされてしまった不幸な存在なのだよ…マドモアゼル・イトウの上司は、彼女に無理からに黒薔薇資格を与えたパスタ女だ…だから彼女は言うなれば員数外、黒薔薇騎士としての指揮系統や活動からも基本は除外されているんだよ…」
「確かに、普段は黒薔薇関係の諸々が降りかからないようにされてるのも仕方ないわよね、あの子だと…」
「本人も返上したがっているが、封印で妥協して貰った経緯がな…」
(ちなみに私とゼアラさん…白薔薇騎士団長のゼアラニーネさん「も」とっくの昔にベラ子陛下被害者友の会へ入会済みですよ…マルハレータ王女殿下、くれぐれも、離宮や茸島の別荘に呼び出されないように注意下さいね…)
ひぃいいいいい。
当のヤパンフラウ・伊藤から憐れみと慰みの声色に満ち満ちた心話が寄せられたのが却って恐ろしくはあります…ああそうか、昇格したから幹部の方との心話制限も大きく緩和されたのですね…。
まぁともかく、ジョスリーヌ団長に言われて確認しましたが、被服管理画面からはしっかりと黒薔薇騎士団制服も選べるようになっていました。
そう…南洋行政局所属者としては、通算三人目となるのですか…黒薔薇騎士資格者になったのですね、私。
ちなみにアニサ、あれ、どうなんですか。
(あの子を対象にすると乳上が黒薔薇扱いになる。乳上は公式でも赤薔薇騎士団…痴女皇国の対外公式戦力扱いだろ? つまり南洋王国としては公式だとアニサちゃんが率いる慈母宗が正式な戦略担当で、あの子は赤薔薇扱いになるんだ。黒薔薇はその影に隠れて表に出せない作戦を担当するってことだよ。で、今後の事だけどな…)
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でまぁ、時は流れて数年後の未来。
マリアリーゼ陛下の構想が「全てその通りにうまく行った」場合の未来だそうですけど、とりあえず皆様にもご覧頂きましょう。
それは夏のある日の夕方。
南洋広域行政局長の私は、隣の…相変わらず南洋慈母宗本院大僧正のアニサと共に、リムジン仕様とかいう「三河監獄社のグで始まる箱に近い形の…豪華版のダンケ号らしいくるま」で、スラバヤ駅からマドゥラ島に向かっております。
この車、南洋島内では私かアニサが使う専用列車に積まれて動くことも多いのですがね。
とにかく広くて大きいのです。
で、運転役のディード。
運転席で何してんですか。
「ふっ、悪役気分を満喫してるのよっ」
ええ…助手席側の小姓役の女騎士に、咥えさせているのです、Pik…。
「事故はやめてよ…三人の連名で本宮内務局に始末書とか嫌だからね…」
「あんたたちだけ不公平ってものじゃない?」
「ふほほほほほ、地位特権ってやつよ」
ええ、私とアニサの前にも、侍従騎士がついております。
この車、運転席の背後にこうした侍従が座る簡易席が存在していまして、そこから降りてアニサと私の前にひざまずいて奉仕をしてくれているのです。
この侍従騎士、実は今から向かうところに連れて行く必要があるのですよ…。
その、連れて行くべき場所に向けて、くるまはスラバヤからマドゥラに向かう海上の道を走って行きます。
そして、マドゥラ島に入ると、ある場所を目指すのです。
ぽん、ぽん。
そろそろ暗くなり始めた外の光景ですが、目指すマドゥラの町々は明るい光に彩られ、花火も打ち上がっているようです。
やがて島に上陸したくるまは、更に少し走って大きめの町に入ります。
いつの間にか、灰色の車体にオレンジでPOLISIと書かれた小さめの車が先導についたようです。
そして、その先導車が唸る音と屋根の赤い光で目抜き通りに溢れる人々を両脇に下がらせる中、私たちはとある広く開けた場所の門前に着きます。
「Arena Balap Banteng Pusat Pamekasan Madura(パメカサン・マドゥラ中央競牛場)」とかいう看板が出ています。
「マドゥラ人の数少ない娯楽にマリア様が目をつけた結果がこれとはねぇ」
「正直、スペインの姦淫闘牛以上だってみんなに言われるんですよねぇ…」
「あたしが考えついたようにされてるし…」
ええ、車内の南洋広域行政局幹部3名、全員の体が少し、重い状態です。
ですが、これから起きることはもっと気が重い話になるのです…。
2e Madura Onafhankelijkheidsdag Hare Majesteit Koningin Malhareta Cup(第二回マドゥラ独立記念マルハレータ女王杯)などと書かれた看板も出てるんですよ…。
で、ここが牛を競走させる場所なのは、皆様も文字だけでご理解頂けると思うんです。
そして、連邦世界のマドゥラではカラパン・サピという現地語で通じる競牛が大変に盛んなのだとか。
ですが、痴女皇国世界のマドゥラで行っている競牛、連邦世界のそれとは多少異なっています。
まず、牛はマドゥラ独特の品種たるマドゥラ種という牛から選ばれること。
そして、元来はマドゥラの戦士が戦いに赴く際に騎乗する「戦牛」なる役目を背負っていること。
このため、基本は食用にはされずに競走用として育てられるのだそうです。
そして…一番に異なるのは、連邦世界の競牛であれば二頭立てのそりを牽かせて速さを競うそうですけど、痴女皇国世界のマドゥラでは、騎手はこの戦牛に跨るようになったのです…マドゥラ人の女体化に伴って…。
(従来は少年が操っていたんだけど、ほら…少年のなり手がいなくなっただろ…で、島民総出で熱狂する伝統娯楽だし博打でもあるしって事で相談を受けてさ…)
はぁ。つまり、この競牛上で行われている年に一度の儀式、マリアリーゼ陛下の発案監修って事です。
ともかく、マドゥラ人の楽隊が奏でる音楽が鳴り響く中、私たち3人と侍従は、停車した車のドアを開けて頂き、出迎えた人物を拝謁することになります。
「マドゥラ島自治領行政官総督、警務官総督、法務官総督、お出迎え恐縮です。そなたたちから預かった侍従、1年の契約を終えてここにお返し申し上げます」
私がこう言うと、オレンジ帯に黄色のマドゥラ島民色という執務服…ただし橙騎士団制服の卑猥なデザインですよ…に身を包んだ三人は、私たちの前にひざまずくと…ええ、Pikを咥え始めました…。
これもマリアリーゼ陛下のゴリ押…いえ指導でして、痴女島と茸島のごく一部を除いた南洋管内での服従の意を示す公式の挨拶となるそうです。
で、このマドゥラの行政三権の長は全員、マドゥラ美女…厳密に言うと球根詐欺国との混血美女です。
そして純然たるマドゥラの血を引く人間。今後は年数を重ねるにつれてどんどんと減って行く運命にあります。
なぜならば、マドゥラ島に残る女に子を産ませているのは、メーテヒルデ支部長が欧州から集めたより抜き美少年。
この少年たちは普段はマドゥラの女たちと共に牧畜に従事します。
そしてマドゥラの女は一定数以外、南洋島や出稼ぎ国、あるいは流刑大陸などの南洋広域行政局管内の食肉生産拠点に派遣され、現地での牛馬飼育に勤しむのです。
で、マドゥラ女の服装。
長袖上着につばの広い帽子を被り、乗牛乗馬時に役立つという皮の穴開きズボンというべきカウボーイチャップスなる上履きを履いています。
そして、褌のような尻を剥き出しにする下着…尻を丸出しにする食い込み服は南洋王国管内、ひいては痴女皇国女官の基本ですからまぁ別に良いのですが。
で、意外にも目立つのが靴。
乗馬を考慮したブーツなる長靴形状なのです。
南洋王国ではその暑さもあって、一部の水仕事をする人間以外はサンダルが基本ですが、このマドゥラ島では家畜の放牧飼育に従事するもの多数とあって、足の指を隠す履物の方が普及しているのですね。
(まぁぶっちゃけマドゥラ女性は基本カウガールルックだ)
ばちこーん。
ええ、どこかで誰かを叩く音がしましたが、私はもはや気にしません。
それよりは、この闘牛いや競牛ですよ。
でまぁ、このマドゥラ島のマドゥラ族、あれから南洋王国の中で独特の地位を得ているらしいのはご想像頂けたと思いますが、我々に付き従っていた侍従がその独特の地位の代表例でしょう。
で、私の言葉ではマドゥラ側に返すと言いましたが、返す前にやる事があるのです。
マドゥラの総督に任命した三人の女たちの案内で、観覧席の一番上の貴賓席とやらに座る私・アニサ・ディード。
そして、我々の横に控える総督の指示で司会が開会を告げ、牛に跨った女たちが順番に直線の走路の周りを時計回りに回り始めます。
その中で、一際鮮やかな黄色の装いのカウガールとやら3名、オレンジのたすきをかけています。
この3名、覚えて置いてくださいね。
で、私たち、その様子を観覧こそしておりますが、その尻は激しく動いています。
なぜならば、まずは生とばかりに、我々に尻を向けた三権総督を犯しているからです。
そして総督の尻に精を注いだ後、私はやる事があります。
この1年、侍従騎士として付き従ったマドゥラ女、孕ませて返す必要があるのですよ…。
これ、南洋王に逆らってすみませんでした何とぞお慈悲をという許しを毎年請い願う儀式とされています。
そして我々三人、マドゥラ側から献上された女を側女として1年間側仕えさせていたのです。
で、仕えた褒美に南洋王国二代目王たるこのマルハレータが、島内で行われてきた勝ち抜き競牛の結果で最も良い成績を残した上位3名の健闘を称えつつですね、側仕えの褒美にこのマドゥラ側女を私マルハの精液で孕ませ、我が精で孕んだ女子を産んでもよしとやるわけですよ。
で、さっき、ド派手な黄色の競牛服でオレンジ色のたすきをかけた姿の出場女性、3名いましたよね。
あの3名だけで競うのがいわば決勝戦、そして勝者は…今日から1年間、私に仕える側女女官騎士となるのです…。
で、今、私が順番に犯して種付けしてる前任者側女ですが、パルタマ、ケデュア、ケティガという素っ気ないジャワ語で呼ばれていました。
私たちに仕えている間は献上品として扱われるのだそうです。
ですから、私たちはこの子達の名前を知らないのです。ま、調べたらすぐわかりますが、絶対にこの子達の本名で呼ぶことはありませんから。
なぜなら、名前を呼んでしまうと、家畜に種をつけてやった意味がなくなるからです。
そして、高貴な私の種をつけてやったんだから子供、大事に育てとけよって意味でもあります。
でねぇ…黒薔薇騎士の生態をよく知ってるディードはまだしも、アニサがげんなりした顔をしている理由。
この後に、ある意味ではアニサも生き恥めいた事をするからです。
ええ、勝者が決まった決勝戦の後、表彰式があります。
ですがその前に、是非にお伝えすべきことが。
この競牛での騎手の騎乗姿勢は…競馬と同じなんですよ…。
そして、その騎乗服でそんな姿勢を取ると、お尻とその中心の割れ目に食い込む卑猥な下着は丸見えになります。
更には直線レースの際に上履きも上下に引っ張られますから、ゴールに入る時点で尻はむき出しなのです。
そしてこのコース、私の座る貴賓席からは、ゴールの方向を眺めることになります。
ええ…お分かりでしょう…南洋女王たるこの私にこれから1年、捧げられる勝者の尻を見せる儀式でもあるのですよ…。
そして、表彰式というよりは、勝者の認定式です。
これ、私としては嫌なの半分、南洋王国…そして痴女皇国の権威をマドゥラ族に教え込む必須の儀式なので是が非にも成功させるべしという義務感半分…あと若干の加虐心ですね。
で、大型の牛に女が乗って走るわけですから、後一人の追加は余裕だとお考えになった方、いらっしゃいますか。
ええそうですよ、勝者たる騎手は後ろに立った私の逸物に、その穴を貫かれるのですけど、それで終わりませんよ。
今まで1年間私に仕えた上で返される前任者は、牛を抱き抱えるようにして腹に結えつけられます。
そして…牛は…雄牛です。
私が女を犯すことで勝者を称えている一方、ジャワ人の島の都で女王に仕えさせられた恥を背負った代償に、その女は牛の逸物を打ち込まれた状態で場内を一周するのです、ゆっくり。
(神聖なる牛に犯される事で、この女はマドゥラでの名を取り戻す建前なのです…)と、密かに心話が来ます。
ええ、行政総督が、この牛の手綱を取って会場を一周させる役目なのです。
で、同様にアニサとディードも、それぞれの新任担当の味見をしながら私の乗った牛の後をついてくるのです。
更には、スペインでの姦淫闘牛を主催しているはずのイザベル陛下までが「南洋には負ける」とか大変に大変に失礼な事を抜かしやがったんですけどね、あんたとこには負けてますよ。
…そうです、この狂った儀式の一部始終、本宮他に中継されているほか、タイムシフト視聴できるそうです…。
(メフラウ。私は正直、我らに逆らったマドゥラへの屈辱的懲罰としてこれを続けるべきだと思う反面、ぜってーにこの儀式、確実に連中の恨みを買いまくるのがわかってるのでやめたいんですけど)
(そうでもないわよ…乱交の口実だし、何よりこの儀式に紛れて密かにマドゥラの純血を保っているのでしょ?匿われたり、国外にいた数少ないマドゥラ人男性が公然と出て来たり、マドゥラ同志で子作りをする口実方便でもあるんだから、恐らくその儀式、やめたらやめたでマドゥラ自治側から継続請願を入れられるわよ…)
ええ、中継を見ているらしいメフラウ・オリューレには逆に諭される始末です。
実はこの日にマドゥラ人で一人卒扱いの女官待遇者には、男児出産の卵子の使用許可が密かに下りるのです。
そして、当時は南洋以外に出稼ぎしていて南洋王国民の聖環を保有していないマドゥラ人が若干名いたのですが、今戻ると女にされるぞとどこからともなく警告された上に、後で噂が本当だった知らせが祖国から届くという配慮がなされました。
で、完全絶滅は勘弁してやるから、数少ないマドゥラ男を男として保護して欲しいなら競牛の儀式をこう改変しろとマリアリーゼ陛下がマドゥラ側に通告したのです。
で、それだけではマドゥラ人の繁殖限界を維持する男が足らないということで、欧州各地でスカウトされた孤児たちや、更に私たちが種をつけることでとりあえずは混血にもなるけど人口を維持させてあげようという話をつけておしまいに。
ですから、預かった女たち、マドゥラ側からの要望に応じてこっちでも孕ませてますよ。
ただ、尼僧か女官の養成コースに載せますからすぐにマドゥラ戻しにはできませんけど。
そして…混血になりますけど、ジョクジャ宮殿にいる間にマドゥラ側女を私が孕ませている理由。
「マドゥラの兵士は南洋王国で雇用してますよ」と言うためです。
そう…鬼細胞を付与して騎士適性が高い女官を産む事で、南洋王国というよりは私への忠誠心が高い騎士を生産できるのですよ…恐らく、この儀式をもう数年続ければ、百名を超す「私に忠実な」騎士が橙騎士団の主力に上がってくるはずなんですよね。
まぁ、黒薔薇騎士の私の鬼細胞ですから、私の上位職にも忠実になってしまいます。
ですから、仮に私が独立を企んだとすると、こいつらは私の忠臣としては機能しなくなるのですよ。
ただ、私が痴女皇国に逆らわずに南洋王国の統治を真面目に続けていて、そして祖国を統治する妹を助けていれば、この私の妹というか娘めいた騎士の集団は私に忠実です。
そして、性能は劣るでしょうけど、黒薔薇騎士のように使いやすい騎士となってくれるでしょう。
ですから、牛に乗りながら新たな側女には、1年間このようにして愛を注いであげるから頑張りなさいと励ましつつも、私の女となるように黒薔薇服の機能で懐柔を試みています。
ま、一周回る間に私の奴隷になってますけどね。
この本番の前にも、予行練習で別の何人ものマドゥラ女を使って実際に犯してるんですよ。
そして、私の…厳密に言えば、黒薔薇能力が備わった私のPikにめろめろになるのを確認しています。
彼女らマドゥラ人に言わせると、ほぼ失われたマドゥラの勇敢な戦士の「代用品」らしいのです、私。
そして自分たちを圧倒的な力で支配している上に、酷使や虐待はもちろん、戦って殺そうともしないのでこちらも無理に戦う必要を感じない。そして女となった上は支配者…強い男に尽くす必要もあるだろうと言うのです。
(戦闘民族的な合理性だけど、まぁせいぜい利用してくれ…)
(私に男の強引さ傲慢さ理不尽さを感じる一方、自分たちがそうだったので男とはこういうものだと思ってはいるようですね…)
(ま、オリューレの代わりに頑張ってくれてるんだ。その程度の暴君ぶりなら目をつぶってやるよ)
(正直、南洋行政局としては、局長の続投が好ましいように思えるのですが…)
(こればかりはどうしようもねぇ。ベテハリくんにしてもカルノくんにしても、性交回数を絞ることで延命を図る一方、クリス父さんの体の類似処理をさせてくれっていう許可待ちなんだよな)
(ああ、あの方の特殊身体ですか…)
ええ、目の前の献上品たる奴隷女に射精する一方で、私はマリアリーゼ陛下と悲痛な会話を交わしていました。
そして、マリアリーゼ陛下のダメ押しが。
(ベラ子にも言ってるけど、男児を産むと恐らくクリス父さんの余命はがっつり削られる危険がある。それと同じことがベテハリくんとカルノくんにも起きる可能性は高いんだ…。ただでも一度、意識不明になってんのに、再度それが起きたら…そりゃ、オリューレさんの気は沈むぜ…)
比較的近い場所での労働を終えて帰ってきた農夫や農婦たちは薪の用意だの洗濯だの、家事を始めます。
姦官たちは姦官たちで食料や肥料など消耗品の在庫を点検しています。
そして補充や農機具類設備類の修理に新規・追加の手配を行います。
聖母記念銀行または郵便局を兼ねる寺であれば金銭出納だの寺宛の逓信管理だの、諸々の仕事が入りますが、この仕事が発生する寺には事務方として尼僧または姦官、最低1名は追加で頂けます。
更には戸籍増減…こうした独身農夫や農婦主体の村は農民の経験を積ませる研修村の性格が強いため、村落間移動があるのです…特に、懐妊の発覚の後で世帯向けの村に引っ越す場合には上位寺院への連絡と転居の手配を行います。
で、このマドゥラで今回新規に建立された慈母寺ですが。
主にスラバヤ付近の慈母寺で管理している農村生活に慣れたジャワ人か、またはマドゥラ人でも前々から帰順していた農夫や農婦を応急的にマドゥラに派遣して新規に慈母寺荘園で雇った者に教えていく体制を組んだようです。
ここいらは他の地域でも新規に慈母寺を建立開山すれば必ず起きる話なので、慣れた僧ならさくさくと日常作業をこなして行ってくれるでしょう。
実はマドゥラ島、全く完全に新生南洋王国や南洋慈母寺の影響力が及ばない治外法権地帯でもなかったのです。
というのもマドゥラの水や土地の事情があるせいで、スラバヤでの商取引がなくてはマドゥラ島で人が生活を営むのは難しい…なかなか成立しないことだったのです。
旧来より水牛や牛を中心とした牧畜で増やした家畜だの、あるいは塩田を作っての製塩によって得た塩をスラバヤで売ることで、マドゥラ島で生産する分だけでは不足する米などの食料を得ることが主な取引理由。
そして、慈母寺進出前のスラバヤ界隈の住民も、マドゥラ島から流出したマドゥラ人が少なくないことから、こうした取引には積極的。
しかし、慈母寺が進出して来たことで、地主や自作農の土地は召し上げられてしまったのです…。
更にはマドゥラにも海底道路や橋をかける代わりに慈母寺をいくつか建設して、島の領有と諸産業の国営化に乗り出していました。
で、それに反発する者たち、当然のごとく現れました。
ここで慈母寺本院が取った対応ですが、まず、メフラウ・オリューレとディードによって島の住民に対する示威行為…ドレインによっていつでもお前たちの動きを封じることは出来るのだという実演を実際に、やって見せたのです。
そして一定の慈母寺経営に必要な土地を収容した後で、行政事務部は「この者たちを無理からに帰順させずに放置せよ、いずれ手は打つ」として既存の慈母寺が領有を宣言した領地や帰順農民に実害を及ぼさない限り、積極的に接触しないようにしていたのです。
そして、この時点で建設した慈母寺は島の全てを覆う数と尼僧人数ではありませんでした。
ただ…いつまでも放置するのはまずい、いつかは帰順させるための事業や軍事作戦を実施する必要があるという現地調査結果を出していました。
そしてジョクジャ宮殿側でも、橙騎士団員を不定期に派遣してその動向を探り帰順戦略のための情報収集に余念がなかったのです。
そう…まさかコープシェフ・ジョスリンがあんな巨大な軍艦であるフグー号を持ち込んでまでして大規模に事を片付けるとは夢にも思ってませんでしたけど。
この私ですら、作戦概要や全貌を知らなかったのですよ。
ただ、マサミ=サンいわく。
(マドゥラ人には女性もいるでしょ。そして、その出稼ぎ民族体質からすると仕方ないんだけど、現・南洋王朝や慈母寺の中にもそれなりの数のマドゥラ族女官、いてるわよ)
で、同族に侵攻情報を漏洩されると困るということで、情報統制を敷いていたのだとか。
更には黒薔薇騎士団のみならず、連邦世界のフランス軍の戦力を投入することで兵隊の動きを察知されにくくしたという話を聞いては納得せざるを得ませんでした。
しかし、今後のマドゥラの領土経営について、どういう風に進めて行くべきなのか。
「まず、スカルノ朝南洋王国に帰順して男に戻してくれと願い出る者がどれだけ出るかによるわね」
「それがですね…雅美さん、頭痛ものの話がですね…」
で、デュイツメイシュ・リンドいわく。
「我らの中でも精強な戦士を素手で打ち倒してしまえる女が現れたのだ。これ即ち、戦士の雇入れの口を探すには男でなくとも良いとなるのでは…なんて言い出す連中が現れましてね…しかもまずいことに、今回の女体化の手口って一人卒痴女種化でしょ…心話で広まったんですよ…その通説…」
これには、寺院の本堂で会話していた関係者全員、絶句。
ちょっと待てやと焦るマサミ=サンですが、そのこころは他の方も同じ。
「男に戻りたいってのがね…こっちの予想を大きく下回ってんのよ…あと、売春の口もあるんじゃないかとかね…出稼ぎ民族だし、自分が美人に変わったってのを知った人が片っ端から農業せんでもええやんという思考に行ってんのよ…どないせぇっちゅうねんと」
ええ、この計画に立ち込める暗雲が出現したのです。
まさか、マドゥラ族がかくも、ある意味では楽な生活を選ぶなんて。
しかし、マドゥラ族を女に変えてしまった我々が農業を強要できるのか。
いえ、聖環を装着している者ならばこちらから強制的に行動を制御できるでしょう。
「で、ここで障害になるのが、人間本来の思考や発想をなるべく阻害しないようにというマリアちゃんの発言なのよねぇ…これ、マリアちゃんが初代皇帝やってた時代からの話だから、ベラちゃんが撤回しない限りは皇帝勅命と考えるべきなのよ…」
(撤回不可なの、雅美さんがよーーーーーーーーーく知ってるでしょ…男の子たちを無気力な人形にしたいのですか?)
「ぐぐぐぐぐ…そーなのよねぇ、クリスくんの件もあるけど…だからマドゥラ族が女騎士をさせろってのはまだしも、売春させてと言って来てるのにさ、売春が国是かつ国家事業たる痴女皇国にお前ら農業せぇ、これも言いづらいのよ」
「マサミ=サン…しかも連中を女体化する際に、なまじ美女に変えているでしょう…アジア系の顔さえなんとかすれば、いや、現状でもかなりイケテル女たちですよ…これを農婦で終わらせるのも痴女皇国としてはまずいという判断が出てもおかしくない。小官ですら彼女たちに農業の強制はモッタイナイと思えます」
と、作戦を実行した司令官ですらお悩みの有様。
しかしですねぇ、現段階で最低でも数万人ですか、売春事業にいきなり投入して、彼女たちの生活を満たせる需要があるのでしょうか。
「連邦世界に輸出すればなんとか…」
「いや、ヴァンセンヌ娯楽館を百軒は建てる必要が…」
などなど、悲痛な声の意見が飛び交います。
と、そこに。
「あのですねぇ、何をお悩みかと思えば」
見れば、赤薔薇騎士団の制服を着用した、巨乳傾向の女性が。
「おやマドモアゼル・メーテヒルデ…」
「それはともかく、その少年はなんなのですか…」
ええ、彼女に随伴する貧しそうな身なりの子供。
人種的には、間違いなく白人です。
「いや、雅美さんに頼まれた孤児や貧困児童の調達よ。こっちゃバルト支部や英国支部にまで話をつけに行ってたんですよ…? イタリアは今、罰姦の管轄で聖院学院本校準拠の孤児院経営に乗り出してるから調達困難としても、ドイツからベルギー、そしてドーバーの向こうはまだまだ貧困児童の救済にまでは手が回らないから、かえって話が早かったのよ」
な、なんという事でしょうか。
どうも、メーテヒルデ支部長の弁によれば1週間あれば数千名の孤独児童、指定の場所に送り込める…厳密に言えば転送のために集合させていけると。
でまぁ、メーテヒルデ支部長を交えてお話をしましたところ。
「んなもん売春したきゃ、自分たちを買ってくれる男を増やせという話、できるでしょ…」
そして支部長の話は続きます。
「バルト沿岸や英国だと牛飼い羊飼いの少年、多いわよ」
「そう言えば、このマドゥラでも牧畜はやっていたはず…」
「そして、出稼ぎ国も困ってるっちゃ困ってるみたいなのよねぇ…」
聞けば、出稼ぎ国の男性向け主要労働市場である、下級水夫。
これが痴女皇国仕様の動力帆船の普及によって雇用の口を減らしつつあるのだそうです。
そして出稼ぎ国はかかる事情で、男余り。
ただ…出稼ぎ国には出稼ぎをしてもらえるだけの労働市場が存在します。
ええ、流刑地大陸。
大陸型の農業や牧畜のための人口を必要とします。
そして、こちらには女が余っています。
それも、ちょっとやそっとの数ではありません。
で、ここからは情報部と広報部の仕事とばかり、流刑地の現地事情の洗い直しを指示する雅美さん。
更には通商局や国土局といった関連部署に連絡を取り、牧地開発を依頼しておしまいになります。
「あの、マドゥラ族の要望を聞くとかは…」
「リンド。うちの国って民主主義、やってたと思う? 聖環のステータスレコードで検索して売春適性が下から順番に…そうね、四万人から五万人くらい、流刑地に送り込む段取りくらいはつける考えが出せるようにしなさい…そのためにもジョスリンに付けてるんだから…」
「あぅうううう」
「まぁ、無理からに移住を強要というのも無理があるのはわかってます。そこで、堕天使さんの出番です」
(田中様…バエルでございます。田中様の要望、以心伝心でなくば我らの恥。即ち、容姿に自信がいささかに無き者には美少年を見せてつがいとなって移住を募る話への欲を煽るのでございますな)
(そうでーすバエル様ありがとー)
(ははぁっ。で…我らが仕事を致しやすくするための仕込みの要望でございますが…精気を使うとは思いまするが、メーテヒルデ様には小僧たちが女に貰われやすき容姿にして頂きますれば重畳。そして、出稼ぎの国の民には芋を食べて腹が出た風体ではなく、筋骨逞しき姿にて女どもの前に現れれば更に良き話になりますかと)
(要は出稼ぎ国の移住希望者はイケマッチョにしてあげます。更に男の子たちはイケてるようにしてあげますって感じにすりゃいいのね。ただ、移住希望者だけな…と。ゆっきー聞いた?夢見攻撃してもらうから吹き込み心話用動画作って欲しいのと、実際に出稼ぎ国の南欧支部事務所や南洋行政局の貿易出張所に張り出すポスター作成よっ。あと人さらい…監獄社や自衛業の地方本部系求人動画風に仕立てて希望者に見せられるような品質で作るのよっ)
(ううううう、なんでこうも人使いが…)
(ゆっきー…ゼニの花はこういうところに咲くのよっ)
(あたしは栃木か埼玉でOLしてるレベルの生活でいいんですっ)
(向上心は必要なのよっ)
でまぁ、そんな話や心話を横で聞いている我々の前に、住職尼僧が来て昼食の支度が出来たとお告げになられます。
ここでは我々は実習生兼見学生です。
非常事態が起きなければ、オテラ側の日課を見学または体験する…即ち、尼僧に従うべき立場。
昼食は米粉や麦粉を発酵させずに捏ねて伸ばした餅、即ち一種のパンにおかずを挟んで食べる主食と、そして汁物と茶がつきます。
このパン状のものについては、朝のお米の残りも利用しているとのこと。
なるほど…無駄を省き再利用する思想には頭が下がります。
もっとも、残飯はここでも飼育している豚の餌にも使えますし、更には肥料化も手がけているとの事。
(燐は各寺で大寺に送っていますよ…)
見れば、早々と送り込まれたのか、ダンケ号を小さくしたようなくるまが寺の庭先に。
水牛を飼っているのも拝見しましたが、あると便利なのがくるまでしょう。
(こういう時のために本宮や欧州に予備配車用の新車をストックしてるのよ)
(まぁ女官の運動神経では元来ありえんのだが、事故で破損した場合の応急代車としても在庫しているのだよ。プランセスも、南洋行政局管内では最終的に千台を超すだろう車両管理にも携わるのだから、色々と知っておくべきことは多いぞ…)
(ところでマダム田中。プジョーはまだしもルノーは買うてもらえんのですか)
(マドモアゼル・リヴィエラ…その軽自動車の鼻先をよくご覧下さい…あたし正直鈴菌にしたかったんですけどね、うちの広報部長の宇賀神のお父上…つまりとちぎメディア取締役の絡みでね…とちぎメディアの株主さんで広告主がおっさん自動車のディーラーでね…しかも「もてぎチャンネル」のスポンサー、おっさん自動車でね…)
見れば、OSSANとかロゴが入ってますね。
犯っちゃえ、おっさ…。
(マルハちゃん…それは危険すぎるわ…あたしも思ったけどさ…)
(あとリヴィエラ…オッサン自動車はルノー関連企業よ…)
(あぅうううっ、既に配慮調達済みでしたか…ならばせめて欧州にルノーのバンを)
(マドモアゼル。ダンケ号の信頼性を逆に証明するから、導入場所は選ぶべきです…いや、小官もルノーどないだって話をしてますけどね、痴女皇国で最初に広まったのがダンケ号なのですよ…あれに皆、馴染んでおるのです…)
(DGSEの派遣者でもダンケ号に洗脳されて帰って来るんですよ…トリアエズナマという感じで広まってるんですよね…あれ…)
(せめて、おっさん自動車のぱちもん号を増やせとは言っておきます…マリアちゃんに…)
まぁ、くるまの台数が台数です。工房のもうけにもなる話でしょうから、うちのくるまを買うてくれという商談になるのは仕方ないでしょう。
連邦世界の我が国、くるま、作ってないんですかね。
(メーカーが存在したけどポルノ王国のボロボに買われたわね)
(ああ、自由恋愛王国…)
まぁ、悲しみが増すので連邦世界での祖国の話は控えておきましょう。
海運ではそれなりの船主が現れて大きな顔をしてるらしく、ロッテルダムに大きな港を作って物流の拠点として通商利益の確保に余念がないというのはお聞きしましたけど…。
(通路との付き合いが深い国なのよね…)
(パリからアムステルダムまで今、最速三時間半だっけ…)
(ヴェロニク…対魔はヴァンセンヌに顔を出せば手に入るから、何もあそこに行かなくても良くなったのも痛いわ…)
この義理のご姉妹とお伺いした令嬢の御二方、何を話しておられるのでしょうか。
どうも、連邦世界でのうちの国、煙を吸うと幸せになれる植物の利用を解禁することで人々を集めておるようですが。
「で、ここでも人をダメにする白いものが流行っています」
ええっ。
尼僧の宣言に、驚く人多数。
「白いものはあかんとは思うのですが、皆の嗜好品として要望が極めて強く、聖母教会はもちろんのこと、慈母寺でも導入せざるを得なかったのです」
マサミ=サンも断言します。
な、なんなのでしょうか。
「お坊様…それはまずいのでは…」
「リヴィエラ、ここは痴女皇国…効果淫や疲労淫かも知れないわよ…」
で、その現物。
「マサミ=サンも人が悪い…」
「だって男の子も女の子もいるのよ? おまけに尼さんは痴女種、つまり女でしょ…」
ええ、その白いモノとは…サカー…砂糖です…。
まぁ確かに、この甘さを知らぬ者には頭の感覚を破壊されるような効き目があります。
そして用途は…お菓子。
熱帯の南洋王国ですから保存性に欠けるものは作れないそうですが、タピオカや麦の粉に混ぜて練り菓子を作ったり、あるいは糖蜜シロップをかけて食すものを自製していると。
(密かに冷蔵庫があるからクッキーとかチョコレートも作れるんですがね、虫歯が…)
(尼僧だけで密かに食べてる悪事の臭いが…)
(頓智に長じた小坊主を生産しそうな話です…)
(一体さんは大量生産してるけど…)
まぁ、確かに指導偽女種…姦官は女と一体になるのも仕事ですねっ。
(皆で分け合える飴のレシピ、帰ったら送ります…)
で、ここでマリアリーゼ陛下から緊急連絡が。
すわ何ごとかと色めき立つ、皆。
(あのさぁ、マドゥラの一件だが、姦官も常駐するんだよな)
(しますね)
(でさディード、あんたに聞きたいんだが、あれ、イメージ悪くねぇか。姦官って言葉)
(はぁ…確かに)
(でさ、脊髄反射民族らしいし、趣味半分たぁ言え、せっかくクレーニャが頑張ってショタ狩りしたんだし、ここは小僧さんの代わりにだな)
悪い予感がします。
(うん、一休みさんじゃなくて一体さんと呼んでもらえるようにしようよ)
次の瞬間、打撃音が心中に響きます。
(ねーさん。世界は一家人類みな兄弟。あたしの中の博愛精神がはりせんを振るえと言うのです)
(発案者の雅美さんは無罪なのかよ!)
(痴女皇国制式用語にしてしまえる権力者はどこの誰か、もう一度その頭に聞きましょうか?)
まぁしかし、一体になっていることは間違いないでしょう。
「一体和尚…うーん、語感は悪くないわね」
(雅美さん…箕面市の名誉市民の方に怒られても知りませんよ…)
(平気よ。本物の右翼なんて今や天然記念物、海老原さんのお知り合いにもいないわよっ)
(耳毛が生えても知りませんよ…)
(耳毛氏はあれに噛んでないわよ…それどころかオトナの一体さんって番組すら後年に…)
(ベラ子。一体さんの実物は本当に一体さんだって知らねぇのか?ついでに言っておくけど、痴女皇国世界じゃ後小松天皇の庶子の話は本当だ…更に一体良純和尚が遊女に化けた慈母観世音に諭され慈母宗を開山したのが比丘尼国慈母宗正史だ)
(精子を出す話を正史にして歴史を捏造しないでくださいよ…)
(つまり慈母寺と慈母宗は皇孫仏僧の開闢だってことにしよう、うん)
ぱちこーん。
ええ、またしても打撃音。
ですが、慈母宗はヤパンの皇帝の息子が開いたという事実があれば、これは色々な宣伝に使えそうです。
何せ、比丘尼国には本物のカミサマがいますし、ブッダその人が痴女皇国で教師をしているのも知っています。
その権威を何かこう、今回のマドゥラ族を屈服させる材料に使えないか…。
「それはそうと、マルハレータ。昼食後に、君にして欲しいことがある。他ならぬマリアリーゼ陛下のご指示でな…住職どの…午後3時だったか、ここの界隈のスコールの開始時刻」
「ですね」住職尼僧が即答されます。
見れば、コープシェフ他、全員が気の毒そうな目を向けています。
な、何でしょうか…私は懲罰か何かを受けるような覚えなぞ…。
「いや、ちょうどいい機会とメンツが揃っているしな。心配するな。ある意味でこれは非常な栄誉であり、リンドとプランセスに対する褒美だ。特にプランセス、君の思考傾向や発想についてマリアリーゼ陛下は高く買っておられるようだ。いわばルイトモ、だとな…」
えええええ、それはよもや、悪知恵とかその方面…私は変態的な命名の語彙は乏しいと思うのですが…。
(その評価はあたしが悲しくなるからやめてくれ…でさマルハちゃん、微妙に自分の話し方とか変わって行ってねぇか? これな、ジョスリンやそこに同席してるフランスの皆様とか雅美さんの知識共有が始まってるってことなんだよ…ああ、幹部候補選定がかかり始めてるんだ…でさ、ちょっと正式任命は先になるかも知れないけど、リンドの紫薔薇対応施工に合わせてだな…)
え。
見れば、デュイツメイシュ・リンドリアーネが震えておられるんですけど、一体何があるんですか…。
「grand prêtre…この辺りに滝壺とか川はないかな…」
---------------------------
ええと。
どうやら私、マルハレータは生きてはいるようです。
「おい、プランセス…大丈夫か、とりあえずは成功だ…」
ええ、私を介抱して下さっているのはコープシェフ・ジョスリン。
そして、私の目に入るのは、コープシェフが見せてくれた私自身のIFFステータス表示。
Margareta van Oranje マルハレータ Thousand Suction.(Limited Ten million) 千人卒(限定一千万) Slut Visual. 痴女外観 Orange rosy kinghts. Mother budda denomination, Imperial of Temptress. 橙騎士団 Temple Kinght Commendatore, Orange rosy kinghts. Mother budda denomination, Imperial of Temptress. 橙騎士団長
そうです…私は、黒薔薇騎士団入団の試練を受けさせられたのです…それも、皆が言う地獄の責め苦の代わりに、ごく短時間で済むが危険極まりないという新方法で…。
それは、マサミ=サンこと田中雅美内務局長の身体に相乗りしておられるという聖院初代金衣様というカイゼーリンのお力で、千人卒でしかなかった私に何度かの昇格試練を高速疑似体験させるものでした。
(いきなり黒薔薇騎士団の入団儀式を千人卒に施せば死ぬか廃人なのでな…)
まぁ、それはわかります。
あんな汚物と精液にまみれ汚し抜かれる地獄、昇格していても何度も受けたくなるものではないでしょう…。
ですので、私は…ジョスリン団長やディード、アマンディーネやリモニエディーネといった黒薔薇組だけでなく、ご本人自体がとんでもなく強力な痴女種である田中内務局長に責めなぶられた記憶、あるにはあるのです。
(本当に犯されたような記憶が残るけど、あくまでも疑似体験だからね…)
とどめに、御令嬢お二方も現役王女である私を真っ先に犯す有様…ええ、このお嬢様たち、お二人とも痴女種になっておられました…。
(孕まされそうになったのは内緒で)
(つい孕ませようとしました)
(同じく…王侯貴族を犯して汚すのは共和国民の義務に思えて…)
(マドモアゼル…痴女皇国の幹部にはその地位の人物も多いのですから自粛を…)
更に、類似の処置をデュイツメイシュ・リンドリアーネに施したそうですが、こちらは残念ながらと申しますか、黒薔薇騎士団資格者にまでは至らなかった模様。
ぴくぴくして白目剥いてますけど、大丈夫ですよね、田中局長…。
Lindriahne. (Linne Bernstein) リンドリアーネ Thousand Suction (Limited Hundred Thousand) 千人卒(限定十万卒) Slut Visual 痴女外観 Purple Rosy knights, Imperial of Temptress. 紫薔薇騎士団 Kunoichi knights, Imperial of Japan court. 八百比丘尼国女性忍者騎士団 Imperial of Japan administrative bureau. Imperial of Temptress. 痴女皇国日本行政支局所属
(ふむ…リンドにはまだまだシュギョウが必要って事だな。マリアリーゼ陛下、やはりインドの山奥で)
(いや、飛騨の山中か琵琶湖の南で勘弁してあげて)
(あの宗教団体よりは慈母宗の方がマシかと…)
一体全体、団長と上皇陛下は何の話を。
それはともかく、田中局長が私に施された試練の結果を改めて皆に告げます。
「ま、限定処置は仕方ないとしても、一千万卒にまで上がってたら確実に支部長級よ。あと隠し情報だけど、今の千万卒以上は鬼能力属性に加えて黒薔薇服耐性が付与されるから…つまり、黒薔薇騎士団員資格者ってこと」
えええっ。
田中局長の言葉に、驚く私。
「つまりプランセス、君は現時点でディードと類似同等と言っていい立場であり、有事には私かペルセポネーゼ団長の直接指揮を受けることになるのだ…昇格おめでとう」
つまり、私の制服が変わっているのにも気付きましたが、これ…ディードのと同じじゃないですか…。
「そう、中身は黒薔薇仕様ってやつだ」
ええ、ようやっと目覚めたらしいデュイツメイシュが私のこと、すっげぇ羨ましそうな目で見ています。
へへへ、ソーセージやろう、羨ましいかなどと下賤な煽りはやめておきましょう。
むしろ、私も登った恐怖の階段が…彼女が今以上の地位を望み続ける限り、絶対に立ちはだかるのですから…。
「しかしジョスリンや皇帝室の伊藤課長…瞳さんがいるから最短じゃないけど、痴女皇国入りしてから黒薔薇入りしたのはかなり早い部類よね…」
「あー、プランセス、本宮で見かけたかも知れないが、あのマドモアゼル・イトウはちょっと特殊でね…彼女は後宮管理者という名目上、黒薔薇騎士にされてしまった不幸な存在なのだよ…マドモアゼル・イトウの上司は、彼女に無理からに黒薔薇資格を与えたパスタ女だ…だから彼女は言うなれば員数外、黒薔薇騎士としての指揮系統や活動からも基本は除外されているんだよ…」
「確かに、普段は黒薔薇関係の諸々が降りかからないようにされてるのも仕方ないわよね、あの子だと…」
「本人も返上したがっているが、封印で妥協して貰った経緯がな…」
(ちなみに私とゼアラさん…白薔薇騎士団長のゼアラニーネさん「も」とっくの昔にベラ子陛下被害者友の会へ入会済みですよ…マルハレータ王女殿下、くれぐれも、離宮や茸島の別荘に呼び出されないように注意下さいね…)
ひぃいいいいい。
当のヤパンフラウ・伊藤から憐れみと慰みの声色に満ち満ちた心話が寄せられたのが却って恐ろしくはあります…ああそうか、昇格したから幹部の方との心話制限も大きく緩和されたのですね…。
まぁともかく、ジョスリーヌ団長に言われて確認しましたが、被服管理画面からはしっかりと黒薔薇騎士団制服も選べるようになっていました。
そう…南洋行政局所属者としては、通算三人目となるのですか…黒薔薇騎士資格者になったのですね、私。
ちなみにアニサ、あれ、どうなんですか。
(あの子を対象にすると乳上が黒薔薇扱いになる。乳上は公式でも赤薔薇騎士団…痴女皇国の対外公式戦力扱いだろ? つまり南洋王国としては公式だとアニサちゃんが率いる慈母宗が正式な戦略担当で、あの子は赤薔薇扱いになるんだ。黒薔薇はその影に隠れて表に出せない作戦を担当するってことだよ。で、今後の事だけどな…)
----------------------
でまぁ、時は流れて数年後の未来。
マリアリーゼ陛下の構想が「全てその通りにうまく行った」場合の未来だそうですけど、とりあえず皆様にもご覧頂きましょう。
それは夏のある日の夕方。
南洋広域行政局長の私は、隣の…相変わらず南洋慈母宗本院大僧正のアニサと共に、リムジン仕様とかいう「三河監獄社のグで始まる箱に近い形の…豪華版のダンケ号らしいくるま」で、スラバヤ駅からマドゥラ島に向かっております。
この車、南洋島内では私かアニサが使う専用列車に積まれて動くことも多いのですがね。
とにかく広くて大きいのです。
で、運転役のディード。
運転席で何してんですか。
「ふっ、悪役気分を満喫してるのよっ」
ええ…助手席側の小姓役の女騎士に、咥えさせているのです、Pik…。
「事故はやめてよ…三人の連名で本宮内務局に始末書とか嫌だからね…」
「あんたたちだけ不公平ってものじゃない?」
「ふほほほほほ、地位特権ってやつよ」
ええ、私とアニサの前にも、侍従騎士がついております。
この車、運転席の背後にこうした侍従が座る簡易席が存在していまして、そこから降りてアニサと私の前にひざまずいて奉仕をしてくれているのです。
この侍従騎士、実は今から向かうところに連れて行く必要があるのですよ…。
その、連れて行くべき場所に向けて、くるまはスラバヤからマドゥラに向かう海上の道を走って行きます。
そして、マドゥラ島に入ると、ある場所を目指すのです。
ぽん、ぽん。
そろそろ暗くなり始めた外の光景ですが、目指すマドゥラの町々は明るい光に彩られ、花火も打ち上がっているようです。
やがて島に上陸したくるまは、更に少し走って大きめの町に入ります。
いつの間にか、灰色の車体にオレンジでPOLISIと書かれた小さめの車が先導についたようです。
そして、その先導車が唸る音と屋根の赤い光で目抜き通りに溢れる人々を両脇に下がらせる中、私たちはとある広く開けた場所の門前に着きます。
「Arena Balap Banteng Pusat Pamekasan Madura(パメカサン・マドゥラ中央競牛場)」とかいう看板が出ています。
「マドゥラ人の数少ない娯楽にマリア様が目をつけた結果がこれとはねぇ」
「正直、スペインの姦淫闘牛以上だってみんなに言われるんですよねぇ…」
「あたしが考えついたようにされてるし…」
ええ、車内の南洋広域行政局幹部3名、全員の体が少し、重い状態です。
ですが、これから起きることはもっと気が重い話になるのです…。
2e Madura Onafhankelijkheidsdag Hare Majesteit Koningin Malhareta Cup(第二回マドゥラ独立記念マルハレータ女王杯)などと書かれた看板も出てるんですよ…。
で、ここが牛を競走させる場所なのは、皆様も文字だけでご理解頂けると思うんです。
そして、連邦世界のマドゥラではカラパン・サピという現地語で通じる競牛が大変に盛んなのだとか。
ですが、痴女皇国世界のマドゥラで行っている競牛、連邦世界のそれとは多少異なっています。
まず、牛はマドゥラ独特の品種たるマドゥラ種という牛から選ばれること。
そして、元来はマドゥラの戦士が戦いに赴く際に騎乗する「戦牛」なる役目を背負っていること。
このため、基本は食用にはされずに競走用として育てられるのだそうです。
そして…一番に異なるのは、連邦世界の競牛であれば二頭立てのそりを牽かせて速さを競うそうですけど、痴女皇国世界のマドゥラでは、騎手はこの戦牛に跨るようになったのです…マドゥラ人の女体化に伴って…。
(従来は少年が操っていたんだけど、ほら…少年のなり手がいなくなっただろ…で、島民総出で熱狂する伝統娯楽だし博打でもあるしって事で相談を受けてさ…)
はぁ。つまり、この競牛上で行われている年に一度の儀式、マリアリーゼ陛下の発案監修って事です。
ともかく、マドゥラ人の楽隊が奏でる音楽が鳴り響く中、私たち3人と侍従は、停車した車のドアを開けて頂き、出迎えた人物を拝謁することになります。
「マドゥラ島自治領行政官総督、警務官総督、法務官総督、お出迎え恐縮です。そなたたちから預かった侍従、1年の契約を終えてここにお返し申し上げます」
私がこう言うと、オレンジ帯に黄色のマドゥラ島民色という執務服…ただし橙騎士団制服の卑猥なデザインですよ…に身を包んだ三人は、私たちの前にひざまずくと…ええ、Pikを咥え始めました…。
これもマリアリーゼ陛下のゴリ押…いえ指導でして、痴女島と茸島のごく一部を除いた南洋管内での服従の意を示す公式の挨拶となるそうです。
で、このマドゥラの行政三権の長は全員、マドゥラ美女…厳密に言うと球根詐欺国との混血美女です。
そして純然たるマドゥラの血を引く人間。今後は年数を重ねるにつれてどんどんと減って行く運命にあります。
なぜならば、マドゥラ島に残る女に子を産ませているのは、メーテヒルデ支部長が欧州から集めたより抜き美少年。
この少年たちは普段はマドゥラの女たちと共に牧畜に従事します。
そしてマドゥラの女は一定数以外、南洋島や出稼ぎ国、あるいは流刑大陸などの南洋広域行政局管内の食肉生産拠点に派遣され、現地での牛馬飼育に勤しむのです。
で、マドゥラ女の服装。
長袖上着につばの広い帽子を被り、乗牛乗馬時に役立つという皮の穴開きズボンというべきカウボーイチャップスなる上履きを履いています。
そして、褌のような尻を剥き出しにする下着…尻を丸出しにする食い込み服は南洋王国管内、ひいては痴女皇国女官の基本ですからまぁ別に良いのですが。
で、意外にも目立つのが靴。
乗馬を考慮したブーツなる長靴形状なのです。
南洋王国ではその暑さもあって、一部の水仕事をする人間以外はサンダルが基本ですが、このマドゥラ島では家畜の放牧飼育に従事するもの多数とあって、足の指を隠す履物の方が普及しているのですね。
(まぁぶっちゃけマドゥラ女性は基本カウガールルックだ)
ばちこーん。
ええ、どこかで誰かを叩く音がしましたが、私はもはや気にしません。
それよりは、この闘牛いや競牛ですよ。
でまぁ、このマドゥラ島のマドゥラ族、あれから南洋王国の中で独特の地位を得ているらしいのはご想像頂けたと思いますが、我々に付き従っていた侍従がその独特の地位の代表例でしょう。
で、私の言葉ではマドゥラ側に返すと言いましたが、返す前にやる事があるのです。
マドゥラの総督に任命した三人の女たちの案内で、観覧席の一番上の貴賓席とやらに座る私・アニサ・ディード。
そして、我々の横に控える総督の指示で司会が開会を告げ、牛に跨った女たちが順番に直線の走路の周りを時計回りに回り始めます。
その中で、一際鮮やかな黄色の装いのカウガールとやら3名、オレンジのたすきをかけています。
この3名、覚えて置いてくださいね。
で、私たち、その様子を観覧こそしておりますが、その尻は激しく動いています。
なぜならば、まずは生とばかりに、我々に尻を向けた三権総督を犯しているからです。
そして総督の尻に精を注いだ後、私はやる事があります。
この1年、侍従騎士として付き従ったマドゥラ女、孕ませて返す必要があるのですよ…。
これ、南洋王に逆らってすみませんでした何とぞお慈悲をという許しを毎年請い願う儀式とされています。
そして我々三人、マドゥラ側から献上された女を側女として1年間側仕えさせていたのです。
で、仕えた褒美に南洋王国二代目王たるこのマルハレータが、島内で行われてきた勝ち抜き競牛の結果で最も良い成績を残した上位3名の健闘を称えつつですね、側仕えの褒美にこのマドゥラ側女を私マルハの精液で孕ませ、我が精で孕んだ女子を産んでもよしとやるわけですよ。
で、さっき、ド派手な黄色の競牛服でオレンジ色のたすきをかけた姿の出場女性、3名いましたよね。
あの3名だけで競うのがいわば決勝戦、そして勝者は…今日から1年間、私に仕える側女女官騎士となるのです…。
で、今、私が順番に犯して種付けしてる前任者側女ですが、パルタマ、ケデュア、ケティガという素っ気ないジャワ語で呼ばれていました。
私たちに仕えている間は献上品として扱われるのだそうです。
ですから、私たちはこの子達の名前を知らないのです。ま、調べたらすぐわかりますが、絶対にこの子達の本名で呼ぶことはありませんから。
なぜなら、名前を呼んでしまうと、家畜に種をつけてやった意味がなくなるからです。
そして、高貴な私の種をつけてやったんだから子供、大事に育てとけよって意味でもあります。
でねぇ…黒薔薇騎士の生態をよく知ってるディードはまだしも、アニサがげんなりした顔をしている理由。
この後に、ある意味ではアニサも生き恥めいた事をするからです。
ええ、勝者が決まった決勝戦の後、表彰式があります。
ですがその前に、是非にお伝えすべきことが。
この競牛での騎手の騎乗姿勢は…競馬と同じなんですよ…。
そして、その騎乗服でそんな姿勢を取ると、お尻とその中心の割れ目に食い込む卑猥な下着は丸見えになります。
更には直線レースの際に上履きも上下に引っ張られますから、ゴールに入る時点で尻はむき出しなのです。
そしてこのコース、私の座る貴賓席からは、ゴールの方向を眺めることになります。
ええ…お分かりでしょう…南洋女王たるこの私にこれから1年、捧げられる勝者の尻を見せる儀式でもあるのですよ…。
そして、表彰式というよりは、勝者の認定式です。
これ、私としては嫌なの半分、南洋王国…そして痴女皇国の権威をマドゥラ族に教え込む必須の儀式なので是が非にも成功させるべしという義務感半分…あと若干の加虐心ですね。
で、大型の牛に女が乗って走るわけですから、後一人の追加は余裕だとお考えになった方、いらっしゃいますか。
ええそうですよ、勝者たる騎手は後ろに立った私の逸物に、その穴を貫かれるのですけど、それで終わりませんよ。
今まで1年間私に仕えた上で返される前任者は、牛を抱き抱えるようにして腹に結えつけられます。
そして…牛は…雄牛です。
私が女を犯すことで勝者を称えている一方、ジャワ人の島の都で女王に仕えさせられた恥を背負った代償に、その女は牛の逸物を打ち込まれた状態で場内を一周するのです、ゆっくり。
(神聖なる牛に犯される事で、この女はマドゥラでの名を取り戻す建前なのです…)と、密かに心話が来ます。
ええ、行政総督が、この牛の手綱を取って会場を一周させる役目なのです。
で、同様にアニサとディードも、それぞれの新任担当の味見をしながら私の乗った牛の後をついてくるのです。
更には、スペインでの姦淫闘牛を主催しているはずのイザベル陛下までが「南洋には負ける」とか大変に大変に失礼な事を抜かしやがったんですけどね、あんたとこには負けてますよ。
…そうです、この狂った儀式の一部始終、本宮他に中継されているほか、タイムシフト視聴できるそうです…。
(メフラウ。私は正直、我らに逆らったマドゥラへの屈辱的懲罰としてこれを続けるべきだと思う反面、ぜってーにこの儀式、確実に連中の恨みを買いまくるのがわかってるのでやめたいんですけど)
(そうでもないわよ…乱交の口実だし、何よりこの儀式に紛れて密かにマドゥラの純血を保っているのでしょ?匿われたり、国外にいた数少ないマドゥラ人男性が公然と出て来たり、マドゥラ同志で子作りをする口実方便でもあるんだから、恐らくその儀式、やめたらやめたでマドゥラ自治側から継続請願を入れられるわよ…)
ええ、中継を見ているらしいメフラウ・オリューレには逆に諭される始末です。
実はこの日にマドゥラ人で一人卒扱いの女官待遇者には、男児出産の卵子の使用許可が密かに下りるのです。
そして、当時は南洋以外に出稼ぎしていて南洋王国民の聖環を保有していないマドゥラ人が若干名いたのですが、今戻ると女にされるぞとどこからともなく警告された上に、後で噂が本当だった知らせが祖国から届くという配慮がなされました。
で、完全絶滅は勘弁してやるから、数少ないマドゥラ男を男として保護して欲しいなら競牛の儀式をこう改変しろとマリアリーゼ陛下がマドゥラ側に通告したのです。
で、それだけではマドゥラ人の繁殖限界を維持する男が足らないということで、欧州各地でスカウトされた孤児たちや、更に私たちが種をつけることでとりあえずは混血にもなるけど人口を維持させてあげようという話をつけておしまいに。
ですから、預かった女たち、マドゥラ側からの要望に応じてこっちでも孕ませてますよ。
ただ、尼僧か女官の養成コースに載せますからすぐにマドゥラ戻しにはできませんけど。
そして…混血になりますけど、ジョクジャ宮殿にいる間にマドゥラ側女を私が孕ませている理由。
「マドゥラの兵士は南洋王国で雇用してますよ」と言うためです。
そう…鬼細胞を付与して騎士適性が高い女官を産む事で、南洋王国というよりは私への忠誠心が高い騎士を生産できるのですよ…恐らく、この儀式をもう数年続ければ、百名を超す「私に忠実な」騎士が橙騎士団の主力に上がってくるはずなんですよね。
まぁ、黒薔薇騎士の私の鬼細胞ですから、私の上位職にも忠実になってしまいます。
ですから、仮に私が独立を企んだとすると、こいつらは私の忠臣としては機能しなくなるのですよ。
ただ、私が痴女皇国に逆らわずに南洋王国の統治を真面目に続けていて、そして祖国を統治する妹を助けていれば、この私の妹というか娘めいた騎士の集団は私に忠実です。
そして、性能は劣るでしょうけど、黒薔薇騎士のように使いやすい騎士となってくれるでしょう。
ですから、牛に乗りながら新たな側女には、1年間このようにして愛を注いであげるから頑張りなさいと励ましつつも、私の女となるように黒薔薇服の機能で懐柔を試みています。
ま、一周回る間に私の奴隷になってますけどね。
この本番の前にも、予行練習で別の何人ものマドゥラ女を使って実際に犯してるんですよ。
そして、私の…厳密に言えば、黒薔薇能力が備わった私のPikにめろめろになるのを確認しています。
彼女らマドゥラ人に言わせると、ほぼ失われたマドゥラの勇敢な戦士の「代用品」らしいのです、私。
そして自分たちを圧倒的な力で支配している上に、酷使や虐待はもちろん、戦って殺そうともしないのでこちらも無理に戦う必要を感じない。そして女となった上は支配者…強い男に尽くす必要もあるだろうと言うのです。
(戦闘民族的な合理性だけど、まぁせいぜい利用してくれ…)
(私に男の強引さ傲慢さ理不尽さを感じる一方、自分たちがそうだったので男とはこういうものだと思ってはいるようですね…)
(ま、オリューレの代わりに頑張ってくれてるんだ。その程度の暴君ぶりなら目をつぶってやるよ)
(正直、南洋行政局としては、局長の続投が好ましいように思えるのですが…)
(こればかりはどうしようもねぇ。ベテハリくんにしてもカルノくんにしても、性交回数を絞ることで延命を図る一方、クリス父さんの体の類似処理をさせてくれっていう許可待ちなんだよな)
(ああ、あの方の特殊身体ですか…)
ええ、目の前の献上品たる奴隷女に射精する一方で、私はマリアリーゼ陛下と悲痛な会話を交わしていました。
そして、マリアリーゼ陛下のダメ押しが。
(ベラ子にも言ってるけど、男児を産むと恐らくクリス父さんの余命はがっつり削られる危険がある。それと同じことがベテハリくんとカルノくんにも起きる可能性は高いんだ…。ただでも一度、意識不明になってんのに、再度それが起きたら…そりゃ、オリューレさんの気は沈むぜ…)
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