169 / 391
狂気の新年式・聖母教会あけおめこ とよろ編・3
しおりを挟む
皆様。
An Nou Fericit.
šťastný nový rok.
srečno novo leto.
(新年あけましておめでとうございます)
Várjuk, hogy idén is együtt dolgozhassunk.
Благодарим ви за постоянната подкрепа през тази година.
გმადლობთ თქვენი მხარდაჭერისთვის ამ წელს.
(今年もよろしくお願いいたします)
Το έλεος της Παναγίας να είναι πάνω σε όλους σας.
Neka se Gospa smiluje.
Leydimizin rahmeti üzerinize olsun.
(聖母のお慈悲がありますことを)
でまぁ、私、アルテローゼ・イシュトファン。
ハンガリーと呼ばれる国の言語圏で生まれました。
そして、今はルーマニアとそちらで申される国で、亭主を尻に敷いております。
しかしですね。
敷きたくて敷いておる訳ではないのです。
例えば、今、申し上げましたご挨拶。
我が東欧支部で使われている代表的な言語でさせて頂くだけでも、この有様です。
ルーマニア・ハンガリー・スロバキア・チェコ・ギリシャ…一体、何種類のことばを作れば気が済んだのでしょうか。
つまり、ことばが違うということ即ち、部族や勢力が違うということです。
そして、違う言葉の者で争うことになるのは、この界隈でなくとも決して珍しい事ではございませんでしょう。
しかし、争われると困るのは当事者、そして巻き込まれた者たち。
まして、私が生まれ育った辺り、マリア様に教えて頂きましたが、後の世では欧州の火薬庫とすら言われたと。
そうです…アルトリーゼ閣下…アルトさんがかつて言った「はだの色でさべつされるなら、ちがいをなくしてしまえばよいのです」という過激な解決策の言語版に踏み切りたくなるくらいに、細かい諍いの種に事欠かないのですよ。
そして、火薬に火を点けに来るのは、何もこの辺りの民だけではありません。
西の方から攻めてくる者もおりますし、この世界では鬼汗国という国が東から騎馬で攻めて来たこともございます。
(もっとも、連邦世界のモンゴル帝国と違って、中東支部だけで追い返してんだよな…それも当時の中東支部だぜ…)
そうなのですよ。アルトさんが駆け込んだ当時の中東支部、10名も在籍していなかったそうです。下手をすれば4~5名。
それでも、今で言う千人卒や万卒級が反復して吸えば、よほどの大軍でなければ大きく戦力を損ねてしまいます。
それに…これは私も剣を握り軍を率いた経験があるから申せることですが、下手に殺すよりもむしろ、手傷を負わせる方が良い場合があります。
相手がどれだけ人の道を踏み外せるかで話は変わりますが、普通は負傷した兵、仲間は助けますよね。
そして後ろへと送るだけでも、1人以上は最低、怪我人に付き添う必要が出来ます。
(負傷者を見殺しにする外道ならそれはそれで、うちらならやり方はあるんだけどな。あと、見捨てられた事を理解させてから治してやれば、うまくすりゃ寝返ってくれるだろ)
そして、聖院ではなく痴女皇国となってからは、そうした汚い行為を躊躇なく行ってあちこちを制圧したマリア様ですが。
(あんたも知っての通り、さぁこれからって時におばはんに介入されてよ…聖院規範に立ち返った国家運営を強要されるし…)
(しかし、今を思えば却って良かったのでは? 家族会やNB、そして連邦地球側の協力を得ることも再開出来た訳ですし)
(まぁなぁ、ただ…責任も増大したと言うべきか。具体的にはNBや連邦地球の未来にもある程度の責任を持たされることになっているんだよなぁ)
(で、しかしですがと突っ込みを入れさせて頂く第二弾となりますがね。今回の量産型女官計画も、人が足りぬという事で家族会承認はもとより、運命選定神ですか、あの方々も渋々ではあれど承諾なさったとお聞きしましたが)
(乳上にかかっちゃ敵わねぇなぁ。んじゃ、茸島ではよろしく頼むぜ)
(は。ミルチャの育成のためでもありますし、精勤させて頂きます)
(とりあえずリストはオリューレに渡してる。明日のアメリゴ・ヴェスプッチに乗せるうちの10名が東欧、10名が中東支部向けだ。ナディアとベル君に合流したら作戦にかかってくれ)
(承知致しました)
で、マリア様と私が何をひそひそと打ち合わせていたか。
実はこの内緒話、ベラ子陛下の年頭挨拶の最中にしておりました。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/168/
そして、比丘尼国派遣中の出家名ベルテファーネこと、我が弟アンドラーシュが年末帰省で痴女宮本球地下に到着しているのも、外道丸設備部長の代わりに来ている茨木童子部長代理…プラウファーネさんから伺っております。
(いえいえ、姉も大江山の年始式に顔を出す方が望ましい立場ですしね。私よりは姉の方が適任ですし)と、どうやら比丘尼国朝廷の新年の式にあまり出席したくなさそうなプラウファーネさんです。
この方が元々は痴女宮、そして聖院本宮地下を長年に亘って仕切って来られたそうですけど、寿命を伸ばす意味もあって一旦は比丘尼国にお帰りになっておられるのも知っております。
私とも一応、顔馴染みで逸物馴染みの仲でもありますし。
(弟君ともまら仲間と申して頂きませんと…)
ああ、そうですね。
プラウファーネさんは所謂「男の娘」に近いのが基本形態の方です。
その正体は比丘尼国の鬼族という超人種族ですが、その気になれば男性にも女性にも変化できるのも存じております。もっとも、一度変わると後で戻るのが大変らしく、普段はあまり姿を変えないようにしているともお聞きしました。
ただ…聖院時代は正体を隠す必要があり、魔羅をぶら下げているのを気取られないようにされていたと。
そして、男色を好まれます。
ですので、罪人を犯せない聖院ではかなりお困りだったようですけど、痴女皇国に変わってからは男も女も犯していた…その特殊な姿と極めて強力な正体を活かして、私のような捕虜を責めなぶる仕事もされておられましたね。
幸いにして私が恨みに持つようなことには至りませんでしたし、後には弟と組んでお仕事をすることになりましたから、むしろ我々姉弟との仲は良い方ですよ。
もっとも、痴女皇国の年始式典の中継を地下で行いながら、墓所で密かにやるならば良しと、うちの弟とのまぐわいを見逃されていたようですが。
(家族会の皆様にも好評でしたよ。乳上同様の姿になって頂いて私を犯してから、今度は元の姿になられたのを掘らせて頂きましたので、目新しい見せ物にはなったようですね)
ええ、プラウファーネさんのお仕事の一つに、歴代の死亡された聖院金衣や銀衣の方々との会話を中継するお役目があるのも、これまた存じております。
そして、墓所で弟との性交を許された理由は、その金衣や銀衣の方々…少ない例外を除けば、皆様は精気授受をこなされて来たので概ね、非常に色を好まれる方ばかりと。
その方々がどう言う訳か見守れる中で、年越しのお楽しみとばかりにまぐわいを披露したようですね、我が弟。
で、弟は普段、比丘尼国の大江山の地下に派遣されて働いておりますので、プラウファーネさんとは日頃から互いの魔羅を求め合う仲。
時にはどちらかが完全な女の姿になって楽しんでいたと、弟も申しやがります。
(エレンファーネさんと交代でしたから大変でしたよ…)
(ああ、悦吏子さんも魔羅を生やすことが出来ましたわね。アンドラーシュ、お疲れのところ申し訳ないのですが、式典終了に合わせて離宮においでなさい)
(はい、承知しました姉様)
(ふふふ、本当は悦吏子さんや茨木さんにお手伝い頂きますと、更にお楽しみになれるのですがねぇ…)
(ああ、マリア様に叱られますね…流石に私たちが手を出しますと、鬼の子を作りかねませんし)
(うちはもっとタチの悪いもののけのあいのこを作りたがっとるんが…痛いがな玉藻はん!)
そうなのですよ、地下の幹部の方、比丘尼国ゆかりの人外の方ですと、まぐわる相手を選ぶのですよねぇ。もちろん、人を孕ませてしまえば大変なことになります。
(まりあはんよりも、うちのうるさいばばぁが死ぬほど怒りよりますよってなぁ…稚児の破瓜仕込みとかおもろそうやねんけど。ほほほ)
ええ、鬼や化け物の方々、元々は文字通りに人を食べて生きておられたと申されるだけあって、人を責めなぶり己の力を誇示しながら犯すのがお好みの様子です。
特に、悦吏子さんは一種のposesia spiritelor、狐憑きとか申すのですか…とても強大で好色な牝の狐の化け物に憑依されているのは存じております。
(乳上もその部類ですやろに…隠しても無駄でっせ、茨木はんが言うとりましたがな。捕えられて連れて来られた時の乳上の目が忘れられんて)
(そうですね…アルテローゼ様は生贄に相応しくない、生かしておく方が我らの為となると、家族会からも厳しく申し渡されましたが…ええ、私の思いはともかく、今の非常な重用ぶりを拝見するだに、当たっておりましたねぇ、家族会のお見立て)
これもお教えしておきましょうか。
私と同じで、普段は表情を出さないプラウファーネさんですが。
その本性、大変に好色ですよ。
特に、鬼の一族であることを隠さずとも良くなったり、はたまた比丘尼国に戻られてからは大江山の周囲の豊作を司る当番の仕事もあって、男色のみならず女を犯す仕事も増えたようでして。
(そらそうや。おきてのせいもあるねんけど、なんのために茨木をわざわざ聖院行かしとったんや。おなごも相手さすためやがな…まぁ、わしもさいきんはあんまりそっちにいかれへんけど、来たときはよしなにたのむで)
おや、比丘尼国の首魁様…光皇様直々に。
そして、我々姉弟、共におかみ様と呼ばれる…このお方の体を知っております。
(いもうともなるべく、おまえと釣鐘丸は長生きさしたりたいようやからな。いつ死ぬかはあんまり気にせんでええ。そのかわりに、いもうとの方をよろしうにな)
承知。
…ええ、後ろ盾というほどではありませんが、我ら姉弟はそれなりに、比丘尼国にも貢献していると見られているようで何よりです。
これも、敵と見れば切り結び地に伏せるのみが戦いに非ず…ダリアと言い合った時も申しましたが、恩は恩としてきっちり報じる事を弟にも言い聞かせ自分でも実践したが為と思っております。
手を抜けば、後々になって己の身に跳ね返ってしまうのですから。
そして、この教えは我が子…ミルチャにも伝えようと思います。
一応は我が亭主のヴラド3世との間に、ついこの間設けた子ですが、マリアヴェッラ陛下の精も混ぜた上で特殊な育ちをさせ、今は弟が元の男の姿に戻った時に近い歳格好ですよ。
更には、聖院学院の茸島分校に入れ、神学部に通わせております。
言うなれば、今日の年始祝賀会に呼ばれているのは、ミルチャに会いに来るためでもあるのです。
Mircea Istvan. ミルチャ Compliance Priestess human 女官種相当擬似身体装備者 Male Visual. 男性外観 Red Rosy knights, Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Principatus Transsilvaniae, East Euro Branch. 痴女皇国東欧支部
が、ミルチャに会うだけでは、何も弟までをも茸島に呼ばずに済む話です。
更には、アルトさんの実妹のナディアフィール海事部長改め、暫定中東支部長とも合流する必要はありません。
(まぁ、姉を回して貰えるようにマリア様には交渉中なのですけれどね…内密に願いますよ…)
(正直、アルトは回せなくもないんだよな…まぁ、アルトを回しただけじゃ、今の中東支部が抱えている問題は解決困難なんだよ。抜本的な解決としては、痴女皇国の方のシェリーとサリーが育ってこちらの人事案の通りになる事なんだけど、最低半年はかかるからなぁ…)
(即成したとしても一ヶ月は見て頂きませんと…)
そう、この会話は通常心話ではなく、マリア様が中継しておられます。
理由は、アルトさんに聞かせないため。
そして、アルトさんまでもが中東支部に呼ばれる理由ですが。
まず、茸島に向かう我々の中に混ざっているナディアさんに事情をお伺いしてみましょう。
「鯖挟国の領地だけであればさほど困難ではないのですよ、管理は…影響を及ぼしている地中海沿岸については、他の支部の所轄である地域も多いですし」
でしょうね。アフリカ北部は暗黒大陸地域本部、欧州側はイタリア支部兼地中海支部、そしてスペインを仕切る南欧支部に…他ならぬ私が管轄する東欧支部も、地中海の一部沿岸を担当しておりますし。
「問題はまさに、姉が生まれたあたりからペルシア、そして天竺国の手前までなのです。この辺の地域の面倒を見るだけならばまだしも、東方聖母教会を建設して人を送り込むとなりますと、相当な手間と時間を要するというのが私の見立てですね」
そして、北方帝国が手を伸ばしたがっている東方かつ北の寒い森。
ここに住まう人々の数は少ないのですが、我々は既に空の上から見下ろす手段で、状況を把握しております。
そして、以前から潜伏している紫薔薇騎士団の偵察要員が仕込んでいる草…つまり密偵やその候補を使って、ある時を契機に一気に占領することを企ております。
その際に必要となる要員を育成するためにも、我が東欧支部管内のギリシャに作り、あるいはルーマニア国内に作りしている幾つかの修道院の運営を確たるものにしなくてはなりません。
そう…この修道院で育成した尼僧女官候補が、北方帝国東方や、その下にも送られる予定なのですよ…。
ただ、痴女宮本宮の設備と人員を投じても容易には進められる話でなかった事です。
強姦作戦を実施していたのも、欧州の広さが問題になっていたからです。
各支部への必要人員を送り込むだけでもこの1~2年で一体、何千人を送り出しておったのでしょうか。
(NBに送る矯正労働者や女性の生産分もあったからな。あっちはあっちで人口増加を助けてやる必要があるんだよ…)
(暗黒大陸の所轄下から人を持って来る事が出来れば良いのですが、あそこの大砂漠から下は少々、姿の違う者が多く住まう場所ですからねぇ…)
ナディアさんが頭を抱えておりますが、確かにあそこの肌が黒い人々、欧州に連れて来るとあらぬ差別やら何やらで困った事になるやも知れません。
(汎用女官出産用遺伝子の開発を進めてるのもそれだよ。ナディアさん、乳上のところで試しているんだけど、欧州の人に近い外観の女官と…そして人間の男が産まれるようにした子種を出せるように、あんたの身体も作り替えてしまうからな)
で、私たちは文教局のダンケ号を4台、お借りすることになっております。
これに乗った私たち、ベラ子陛下ご一行とは別に茸島に送られます。
と申しますのも…例の餅を詰めた箱、これを茸島分校に持って行って欲しいというお話がありましてぇっ。
で、後ろに箱を大量に詰め込まれたダンケ号のハンドルを握るのは…。
1号車 なであ 狼公女●
2号車 白公女 猪公女●
3号車 あんぬ マリー●
4号車 運転席 オリューレ
助手席 ディードリアーネ
私の二つ名の狼公女や、ブリュントレーネさんの白公女はまだしも、クレーニャさんの猪公女はここで暴露してもよろしくない話でしょう。
実際、怒っていますし。
更には、ルノーというのですか。
我々がお餅を届けた後のダンケ号を転送で堤防に戻した後で所定の駐車位置に戻す役目の福祉部女官が数名、別の車で後をついてくるそうです。
本当ならばこんなもの、一般女官の仕事でしょう。
しかし、上の者がふんぞり返らずに率先垂範して動く見本を見せるのが昨今の痴女皇国…いえ、ジーナ様が聖院世界に馴染んだ時から広まった風習のようですね。
なんでも向こうの軍隊では、特定の日に将軍や大騎士団長に値する位の方々が厨房に立って兵の飯を作る慣わしすらあると聞かされまして。
ましてや今から運ぶ餅、正月の食事として稚児に食べさせるために運ぶとあっては、箱一つとて落とすなど許されぬ話。
確かに茸島の稚児は罪を犯して運び込まれ、奴隷の扱いを受けるものも少なくないのを存じておりますが、労役はまだしも食事まで奴隷扱いはしておりませんよ。
奴隷同然にしているのは、単に我々に都合良く使うためだけであって、こき使うためではありません。
むしろ、無駄に消耗してもらっては困るのです。
特に少年は。
少年は。
(何もそこまで念を押されずとも…。何でしたら金平丸…寿隆か、鹿角丸…俊隆の筆下ろしをお願い致しましょうや?)
助手席のナディアさんに言われますが、何ですかそれはぁっ。
(私め、父は違えど子を都合二人産んでおりまして、来年…今年、元服と相成ります)
ほれほれとばかりに、日本の武士の衣装を着たお子さんの画像、見せて頂きます。
(漢島に行かせるかと嘉隆様も守隆様も申されるのですがねぇ。乳上に筆を下げて頂けるならば九鬼のお家に話を致しますよ)
ぐふふふ、と笑うナディアさん。
で、どういう経緯のお子様かを拝見。
(なるほど…piratが国家公認のMarineiでもあると。で、その海賊貴族の藩王が鬼の子孫であると…それでナディアさんから鬼反応が出るのですね)
むぐぐぐぐぐ、これはなかなかに太い釣り針。
しかも、そのクキ一家とやら、比丘尼国では有名な海賊軍を率いる騎士の一門だそうではないですか。
そこの跡取り候補2名のドウテイ・ゲット。これは雅美さんやクレーニャさんへ、鼻高々に自慢たらたらで体験談話を話せるというもの。
受けたぁっ。
ええ、ナディアさん、どこかへ心話でお話をされているようです。
(実は寿隆と俊隆、こちらの水軍に預けて洋船の扱いを学ばせるかとも。ほれ、この島と茸島の間ならば例のえるとぅるる號とやらがございますでしょう。あのお船、九鬼のお家にも縁深いものですから)
そうですね、鯖挟国の軍艦…武装商船のようなものですが、監獄国への商いの途中で時化にあって流れ着き、比丘尼国と痴女皇国の助けで難を逃れたと。
そして鯖挟国が大きな船を仕立てる際に余ったということで痴女皇国に贈られ、稚児が帆捌きや舵取りを覚えるのに使っておりますのも存じております。
(そりゃ、あのショタ帆船を乳上が知らないなんて誰も信じないでしょう…)
(ですわね。あのお船に乗れば水夫も客も少年ばかり。アンヌマリーもジニアちゃんもティアラちゃんも、主にあのお船で痴女島と茸島を往来する立場ですからねぇ、話はアンヌマリーからよく聞いておりましてよ。ほほほ)
マリーさぁん…。
更には、黒薔薇要員で茸島の騎士を仕切る立場のディードリアーネさんまでもが。
(乳上…エルトゥールル号とサンティシマとアトランティコの乗船名簿、茸島の警備本部に写しが来るんですよ…万一の海難事故の時に誰が乗ってたと言う話になった時のためですがね…あれの保管分を調べたら、乳上のお名前、すぐ出てくると思いますよ…)
ええい、皆して私を何と見ておるのですかぁっ。
それはそうと弟。
あなたにも回すべき仕事があります。
そんな訳で、ダンケ号の運転席すぐ隣の応急座席を展開して、前側三人座りにしてしまいます。
「え」
ところが、私の横に座って来たのはナディアさん。
(この位置の方が後で捗りますかと)
などと、恐ろしい事を申されます。
そして、もっと恐ろしい事に。
ナディアさんから見て右に私、左に弟がおりますが、我ら姉弟の逸物を左右の手で取り出してしごき始める始末。
「乳上の精を頂いておきませんと、仕事が捗らぬとのお話。着きましたら物陰にて」
ええ。私の精をナディアさんのどちらかの口に、まずは注がないとなりません。
そして、弟を先にする訳にはいかぬのです…まぁ、弟でも良いのですが、やはり人の繋がりを考えますと…優先すべき人がおりますから…ね?
「ああ、たまりませぬ…」
仕方がありませんね。
弟にはショタ体型に戻らせて、身体を捻ったナディアさんに後ろから入れて差し上げよと命じます。
そして、私のまらを咥えて頂きまして。
「うっcsúcspontja(いくっ)!」
ええ、いつぞや、文化科学宮殿の地下で尼僧女官候補の子を産ませるために使った汎用精液とやら、あれを放ちます。
これを後で、ナディアさんにも出して頂かねばならぬのです。
そして弟にも。
あ、弟には敢えて孕み汁を放たせておりますよ。
これは東欧支部の内規として広めさせておりますが、女官同士の組み合わせ、この場合でもなるべく正味の精液を放っておけ、本物の男の臭く汚らわしい牡汁に慣れよと躾けているのです。
女官同士で性交の快楽を追求することもやぶさかではありませんけど、やはり我々が逸物を持たされているのは、巡り巡れば男から精気を絞りに絞り上げて我ら女官の滋養にするためなのです。
その肝心かなめの飯の種を嫌がるような者は我が東欧支部の管内の女官に、いてはならぬのです。
そして、トウキョウやオキナワのお店で働く女の子たち。
この子たちの中にも、男と酒を飲みおべっかを使ったり、はたまた銭金のために股を開くのを好まぬか苦手であるがために踊る道を選んでいる者、決して少なくはありません。
(しかし、普通はおなごとしての売りどきを逃すと困りはしませぬか。読み書き算術が苦手であろうから、身体を売り物にしておりましょうに)
とは、ナディアさんのご意見。
ええ…私の所管に歴史差異研究室が移された理由の一つに、私自身が連邦世界の地球の人々に興味を持っていたのもあるようです。
かねてからの私の言動でお察しの方もおられましょうが、基本的に私は人を平等とは考えておりません。
もっと申し上げますと、己に与えられた才覚全て出し惜しみせずに使わずして居場所なし。そのために人は画一ではないと思っております。
争い闘い出し抜き倒しせねば生きてはおれぬのが、生き物として生まれた以上は避けて通れぬ道であろうと。
ですが、痴女皇国に変わった聖院では、私の主張もさりながら…殺すよりも生かすことが有用であるという方法を知りました。
これは便利であると思いますと同時に、マリア様やジーナ様が元々いらっしゃった世界、この世界の人々は我らとはどう違うのか。マリア様にお聞きしましたところ。
(実際に会って心を読んでみりゃすぐわかるよ。ただ…怒るなよ)
ええ、室見理恵様や田野瀬麻里子様、そしてなにより後には友となった田中雅美さんは、まだ向こうの世界では「競争や闘争の何たるかを知っている」ましな部類であると感じたのですよ…。
(なーにがフェミとかジェンダーよってさ、乳上と意気投合するする。あたしもそうだけどさ、女として使い物にならない女をさ、痴女種化で使い物にしたげてる訳じゃない。最終的には感謝されこそすれ、恨まれる謂れは全くないわよねぇ)
ふふふ。
我が友は私の性質をよく理解しております。
そして、私の外観に着目して…沖縄のお店を拠点として、向こうの世で余り物になった女性を拾い上げての「活用」が可能かを考察していたのですよ。
(ほら、ひろりん…山内博子さんの件がきっかけだったのよねぇ。あれでヒントを得て、婚活事業だの水商売だのでコンプレックスのある女性をこっちに引っ張り込んで改造することに手をつけ始めたんだから、結果的に乳上の謀反で痴女皇国は動いたってことよ。だから結果オーライ。それに、ジーナちゃんが乱入したことで地球もNBも再び痴女皇国に関与しなきゃならなくなったんだし、こっちも逆に向こうから色々吸い取れてるんだし、さ)
そうですね。むしろ、あの反乱未遂で色々と動き始めたような…。
(ま、功労者の乳上にはナディアさんと仲良くしておくといいことあるわよ。なんだかんだ言って女官長だの色々と応援で経験してる実力者だし…それに、性格的にウマは合うと思うから、ね…)
An Nou Fericit.
šťastný nový rok.
srečno novo leto.
(新年あけましておめでとうございます)
Várjuk, hogy idén is együtt dolgozhassunk.
Благодарим ви за постоянната подкрепа през тази година.
გმადლობთ თქვენი მხარდაჭერისთვის ამ წელს.
(今年もよろしくお願いいたします)
Το έλεος της Παναγίας να είναι πάνω σε όλους σας.
Neka se Gospa smiluje.
Leydimizin rahmeti üzerinize olsun.
(聖母のお慈悲がありますことを)
でまぁ、私、アルテローゼ・イシュトファン。
ハンガリーと呼ばれる国の言語圏で生まれました。
そして、今はルーマニアとそちらで申される国で、亭主を尻に敷いております。
しかしですね。
敷きたくて敷いておる訳ではないのです。
例えば、今、申し上げましたご挨拶。
我が東欧支部で使われている代表的な言語でさせて頂くだけでも、この有様です。
ルーマニア・ハンガリー・スロバキア・チェコ・ギリシャ…一体、何種類のことばを作れば気が済んだのでしょうか。
つまり、ことばが違うということ即ち、部族や勢力が違うということです。
そして、違う言葉の者で争うことになるのは、この界隈でなくとも決して珍しい事ではございませんでしょう。
しかし、争われると困るのは当事者、そして巻き込まれた者たち。
まして、私が生まれ育った辺り、マリア様に教えて頂きましたが、後の世では欧州の火薬庫とすら言われたと。
そうです…アルトリーゼ閣下…アルトさんがかつて言った「はだの色でさべつされるなら、ちがいをなくしてしまえばよいのです」という過激な解決策の言語版に踏み切りたくなるくらいに、細かい諍いの種に事欠かないのですよ。
そして、火薬に火を点けに来るのは、何もこの辺りの民だけではありません。
西の方から攻めてくる者もおりますし、この世界では鬼汗国という国が東から騎馬で攻めて来たこともございます。
(もっとも、連邦世界のモンゴル帝国と違って、中東支部だけで追い返してんだよな…それも当時の中東支部だぜ…)
そうなのですよ。アルトさんが駆け込んだ当時の中東支部、10名も在籍していなかったそうです。下手をすれば4~5名。
それでも、今で言う千人卒や万卒級が反復して吸えば、よほどの大軍でなければ大きく戦力を損ねてしまいます。
それに…これは私も剣を握り軍を率いた経験があるから申せることですが、下手に殺すよりもむしろ、手傷を負わせる方が良い場合があります。
相手がどれだけ人の道を踏み外せるかで話は変わりますが、普通は負傷した兵、仲間は助けますよね。
そして後ろへと送るだけでも、1人以上は最低、怪我人に付き添う必要が出来ます。
(負傷者を見殺しにする外道ならそれはそれで、うちらならやり方はあるんだけどな。あと、見捨てられた事を理解させてから治してやれば、うまくすりゃ寝返ってくれるだろ)
そして、聖院ではなく痴女皇国となってからは、そうした汚い行為を躊躇なく行ってあちこちを制圧したマリア様ですが。
(あんたも知っての通り、さぁこれからって時におばはんに介入されてよ…聖院規範に立ち返った国家運営を強要されるし…)
(しかし、今を思えば却って良かったのでは? 家族会やNB、そして連邦地球側の協力を得ることも再開出来た訳ですし)
(まぁなぁ、ただ…責任も増大したと言うべきか。具体的にはNBや連邦地球の未来にもある程度の責任を持たされることになっているんだよなぁ)
(で、しかしですがと突っ込みを入れさせて頂く第二弾となりますがね。今回の量産型女官計画も、人が足りぬという事で家族会承認はもとより、運命選定神ですか、あの方々も渋々ではあれど承諾なさったとお聞きしましたが)
(乳上にかかっちゃ敵わねぇなぁ。んじゃ、茸島ではよろしく頼むぜ)
(は。ミルチャの育成のためでもありますし、精勤させて頂きます)
(とりあえずリストはオリューレに渡してる。明日のアメリゴ・ヴェスプッチに乗せるうちの10名が東欧、10名が中東支部向けだ。ナディアとベル君に合流したら作戦にかかってくれ)
(承知致しました)
で、マリア様と私が何をひそひそと打ち合わせていたか。
実はこの内緒話、ベラ子陛下の年頭挨拶の最中にしておりました。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/168/
そして、比丘尼国派遣中の出家名ベルテファーネこと、我が弟アンドラーシュが年末帰省で痴女宮本球地下に到着しているのも、外道丸設備部長の代わりに来ている茨木童子部長代理…プラウファーネさんから伺っております。
(いえいえ、姉も大江山の年始式に顔を出す方が望ましい立場ですしね。私よりは姉の方が適任ですし)と、どうやら比丘尼国朝廷の新年の式にあまり出席したくなさそうなプラウファーネさんです。
この方が元々は痴女宮、そして聖院本宮地下を長年に亘って仕切って来られたそうですけど、寿命を伸ばす意味もあって一旦は比丘尼国にお帰りになっておられるのも知っております。
私とも一応、顔馴染みで逸物馴染みの仲でもありますし。
(弟君ともまら仲間と申して頂きませんと…)
ああ、そうですね。
プラウファーネさんは所謂「男の娘」に近いのが基本形態の方です。
その正体は比丘尼国の鬼族という超人種族ですが、その気になれば男性にも女性にも変化できるのも存じております。もっとも、一度変わると後で戻るのが大変らしく、普段はあまり姿を変えないようにしているともお聞きしました。
ただ…聖院時代は正体を隠す必要があり、魔羅をぶら下げているのを気取られないようにされていたと。
そして、男色を好まれます。
ですので、罪人を犯せない聖院ではかなりお困りだったようですけど、痴女皇国に変わってからは男も女も犯していた…その特殊な姿と極めて強力な正体を活かして、私のような捕虜を責めなぶる仕事もされておられましたね。
幸いにして私が恨みに持つようなことには至りませんでしたし、後には弟と組んでお仕事をすることになりましたから、むしろ我々姉弟との仲は良い方ですよ。
もっとも、痴女皇国の年始式典の中継を地下で行いながら、墓所で密かにやるならば良しと、うちの弟とのまぐわいを見逃されていたようですが。
(家族会の皆様にも好評でしたよ。乳上同様の姿になって頂いて私を犯してから、今度は元の姿になられたのを掘らせて頂きましたので、目新しい見せ物にはなったようですね)
ええ、プラウファーネさんのお仕事の一つに、歴代の死亡された聖院金衣や銀衣の方々との会話を中継するお役目があるのも、これまた存じております。
そして、墓所で弟との性交を許された理由は、その金衣や銀衣の方々…少ない例外を除けば、皆様は精気授受をこなされて来たので概ね、非常に色を好まれる方ばかりと。
その方々がどう言う訳か見守れる中で、年越しのお楽しみとばかりにまぐわいを披露したようですね、我が弟。
で、弟は普段、比丘尼国の大江山の地下に派遣されて働いておりますので、プラウファーネさんとは日頃から互いの魔羅を求め合う仲。
時にはどちらかが完全な女の姿になって楽しんでいたと、弟も申しやがります。
(エレンファーネさんと交代でしたから大変でしたよ…)
(ああ、悦吏子さんも魔羅を生やすことが出来ましたわね。アンドラーシュ、お疲れのところ申し訳ないのですが、式典終了に合わせて離宮においでなさい)
(はい、承知しました姉様)
(ふふふ、本当は悦吏子さんや茨木さんにお手伝い頂きますと、更にお楽しみになれるのですがねぇ…)
(ああ、マリア様に叱られますね…流石に私たちが手を出しますと、鬼の子を作りかねませんし)
(うちはもっとタチの悪いもののけのあいのこを作りたがっとるんが…痛いがな玉藻はん!)
そうなのですよ、地下の幹部の方、比丘尼国ゆかりの人外の方ですと、まぐわる相手を選ぶのですよねぇ。もちろん、人を孕ませてしまえば大変なことになります。
(まりあはんよりも、うちのうるさいばばぁが死ぬほど怒りよりますよってなぁ…稚児の破瓜仕込みとかおもろそうやねんけど。ほほほ)
ええ、鬼や化け物の方々、元々は文字通りに人を食べて生きておられたと申されるだけあって、人を責めなぶり己の力を誇示しながら犯すのがお好みの様子です。
特に、悦吏子さんは一種のposesia spiritelor、狐憑きとか申すのですか…とても強大で好色な牝の狐の化け物に憑依されているのは存じております。
(乳上もその部類ですやろに…隠しても無駄でっせ、茨木はんが言うとりましたがな。捕えられて連れて来られた時の乳上の目が忘れられんて)
(そうですね…アルテローゼ様は生贄に相応しくない、生かしておく方が我らの為となると、家族会からも厳しく申し渡されましたが…ええ、私の思いはともかく、今の非常な重用ぶりを拝見するだに、当たっておりましたねぇ、家族会のお見立て)
これもお教えしておきましょうか。
私と同じで、普段は表情を出さないプラウファーネさんですが。
その本性、大変に好色ですよ。
特に、鬼の一族であることを隠さずとも良くなったり、はたまた比丘尼国に戻られてからは大江山の周囲の豊作を司る当番の仕事もあって、男色のみならず女を犯す仕事も増えたようでして。
(そらそうや。おきてのせいもあるねんけど、なんのために茨木をわざわざ聖院行かしとったんや。おなごも相手さすためやがな…まぁ、わしもさいきんはあんまりそっちにいかれへんけど、来たときはよしなにたのむで)
おや、比丘尼国の首魁様…光皇様直々に。
そして、我々姉弟、共におかみ様と呼ばれる…このお方の体を知っております。
(いもうともなるべく、おまえと釣鐘丸は長生きさしたりたいようやからな。いつ死ぬかはあんまり気にせんでええ。そのかわりに、いもうとの方をよろしうにな)
承知。
…ええ、後ろ盾というほどではありませんが、我ら姉弟はそれなりに、比丘尼国にも貢献していると見られているようで何よりです。
これも、敵と見れば切り結び地に伏せるのみが戦いに非ず…ダリアと言い合った時も申しましたが、恩は恩としてきっちり報じる事を弟にも言い聞かせ自分でも実践したが為と思っております。
手を抜けば、後々になって己の身に跳ね返ってしまうのですから。
そして、この教えは我が子…ミルチャにも伝えようと思います。
一応は我が亭主のヴラド3世との間に、ついこの間設けた子ですが、マリアヴェッラ陛下の精も混ぜた上で特殊な育ちをさせ、今は弟が元の男の姿に戻った時に近い歳格好ですよ。
更には、聖院学院の茸島分校に入れ、神学部に通わせております。
言うなれば、今日の年始祝賀会に呼ばれているのは、ミルチャに会いに来るためでもあるのです。
Mircea Istvan. ミルチャ Compliance Priestess human 女官種相当擬似身体装備者 Male Visual. 男性外観 Red Rosy knights, Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Principatus Transsilvaniae, East Euro Branch. 痴女皇国東欧支部
が、ミルチャに会うだけでは、何も弟までをも茸島に呼ばずに済む話です。
更には、アルトさんの実妹のナディアフィール海事部長改め、暫定中東支部長とも合流する必要はありません。
(まぁ、姉を回して貰えるようにマリア様には交渉中なのですけれどね…内密に願いますよ…)
(正直、アルトは回せなくもないんだよな…まぁ、アルトを回しただけじゃ、今の中東支部が抱えている問題は解決困難なんだよ。抜本的な解決としては、痴女皇国の方のシェリーとサリーが育ってこちらの人事案の通りになる事なんだけど、最低半年はかかるからなぁ…)
(即成したとしても一ヶ月は見て頂きませんと…)
そう、この会話は通常心話ではなく、マリア様が中継しておられます。
理由は、アルトさんに聞かせないため。
そして、アルトさんまでもが中東支部に呼ばれる理由ですが。
まず、茸島に向かう我々の中に混ざっているナディアさんに事情をお伺いしてみましょう。
「鯖挟国の領地だけであればさほど困難ではないのですよ、管理は…影響を及ぼしている地中海沿岸については、他の支部の所轄である地域も多いですし」
でしょうね。アフリカ北部は暗黒大陸地域本部、欧州側はイタリア支部兼地中海支部、そしてスペインを仕切る南欧支部に…他ならぬ私が管轄する東欧支部も、地中海の一部沿岸を担当しておりますし。
「問題はまさに、姉が生まれたあたりからペルシア、そして天竺国の手前までなのです。この辺の地域の面倒を見るだけならばまだしも、東方聖母教会を建設して人を送り込むとなりますと、相当な手間と時間を要するというのが私の見立てですね」
そして、北方帝国が手を伸ばしたがっている東方かつ北の寒い森。
ここに住まう人々の数は少ないのですが、我々は既に空の上から見下ろす手段で、状況を把握しております。
そして、以前から潜伏している紫薔薇騎士団の偵察要員が仕込んでいる草…つまり密偵やその候補を使って、ある時を契機に一気に占領することを企ております。
その際に必要となる要員を育成するためにも、我が東欧支部管内のギリシャに作り、あるいはルーマニア国内に作りしている幾つかの修道院の運営を確たるものにしなくてはなりません。
そう…この修道院で育成した尼僧女官候補が、北方帝国東方や、その下にも送られる予定なのですよ…。
ただ、痴女宮本宮の設備と人員を投じても容易には進められる話でなかった事です。
強姦作戦を実施していたのも、欧州の広さが問題になっていたからです。
各支部への必要人員を送り込むだけでもこの1~2年で一体、何千人を送り出しておったのでしょうか。
(NBに送る矯正労働者や女性の生産分もあったからな。あっちはあっちで人口増加を助けてやる必要があるんだよ…)
(暗黒大陸の所轄下から人を持って来る事が出来れば良いのですが、あそこの大砂漠から下は少々、姿の違う者が多く住まう場所ですからねぇ…)
ナディアさんが頭を抱えておりますが、確かにあそこの肌が黒い人々、欧州に連れて来るとあらぬ差別やら何やらで困った事になるやも知れません。
(汎用女官出産用遺伝子の開発を進めてるのもそれだよ。ナディアさん、乳上のところで試しているんだけど、欧州の人に近い外観の女官と…そして人間の男が産まれるようにした子種を出せるように、あんたの身体も作り替えてしまうからな)
で、私たちは文教局のダンケ号を4台、お借りすることになっております。
これに乗った私たち、ベラ子陛下ご一行とは別に茸島に送られます。
と申しますのも…例の餅を詰めた箱、これを茸島分校に持って行って欲しいというお話がありましてぇっ。
で、後ろに箱を大量に詰め込まれたダンケ号のハンドルを握るのは…。
1号車 なであ 狼公女●
2号車 白公女 猪公女●
3号車 あんぬ マリー●
4号車 運転席 オリューレ
助手席 ディードリアーネ
私の二つ名の狼公女や、ブリュントレーネさんの白公女はまだしも、クレーニャさんの猪公女はここで暴露してもよろしくない話でしょう。
実際、怒っていますし。
更には、ルノーというのですか。
我々がお餅を届けた後のダンケ号を転送で堤防に戻した後で所定の駐車位置に戻す役目の福祉部女官が数名、別の車で後をついてくるそうです。
本当ならばこんなもの、一般女官の仕事でしょう。
しかし、上の者がふんぞり返らずに率先垂範して動く見本を見せるのが昨今の痴女皇国…いえ、ジーナ様が聖院世界に馴染んだ時から広まった風習のようですね。
なんでも向こうの軍隊では、特定の日に将軍や大騎士団長に値する位の方々が厨房に立って兵の飯を作る慣わしすらあると聞かされまして。
ましてや今から運ぶ餅、正月の食事として稚児に食べさせるために運ぶとあっては、箱一つとて落とすなど許されぬ話。
確かに茸島の稚児は罪を犯して運び込まれ、奴隷の扱いを受けるものも少なくないのを存じておりますが、労役はまだしも食事まで奴隷扱いはしておりませんよ。
奴隷同然にしているのは、単に我々に都合良く使うためだけであって、こき使うためではありません。
むしろ、無駄に消耗してもらっては困るのです。
特に少年は。
少年は。
(何もそこまで念を押されずとも…。何でしたら金平丸…寿隆か、鹿角丸…俊隆の筆下ろしをお願い致しましょうや?)
助手席のナディアさんに言われますが、何ですかそれはぁっ。
(私め、父は違えど子を都合二人産んでおりまして、来年…今年、元服と相成ります)
ほれほれとばかりに、日本の武士の衣装を着たお子さんの画像、見せて頂きます。
(漢島に行かせるかと嘉隆様も守隆様も申されるのですがねぇ。乳上に筆を下げて頂けるならば九鬼のお家に話を致しますよ)
ぐふふふ、と笑うナディアさん。
で、どういう経緯のお子様かを拝見。
(なるほど…piratが国家公認のMarineiでもあると。で、その海賊貴族の藩王が鬼の子孫であると…それでナディアさんから鬼反応が出るのですね)
むぐぐぐぐぐ、これはなかなかに太い釣り針。
しかも、そのクキ一家とやら、比丘尼国では有名な海賊軍を率いる騎士の一門だそうではないですか。
そこの跡取り候補2名のドウテイ・ゲット。これは雅美さんやクレーニャさんへ、鼻高々に自慢たらたらで体験談話を話せるというもの。
受けたぁっ。
ええ、ナディアさん、どこかへ心話でお話をされているようです。
(実は寿隆と俊隆、こちらの水軍に預けて洋船の扱いを学ばせるかとも。ほれ、この島と茸島の間ならば例のえるとぅるる號とやらがございますでしょう。あのお船、九鬼のお家にも縁深いものですから)
そうですね、鯖挟国の軍艦…武装商船のようなものですが、監獄国への商いの途中で時化にあって流れ着き、比丘尼国と痴女皇国の助けで難を逃れたと。
そして鯖挟国が大きな船を仕立てる際に余ったということで痴女皇国に贈られ、稚児が帆捌きや舵取りを覚えるのに使っておりますのも存じております。
(そりゃ、あのショタ帆船を乳上が知らないなんて誰も信じないでしょう…)
(ですわね。あのお船に乗れば水夫も客も少年ばかり。アンヌマリーもジニアちゃんもティアラちゃんも、主にあのお船で痴女島と茸島を往来する立場ですからねぇ、話はアンヌマリーからよく聞いておりましてよ。ほほほ)
マリーさぁん…。
更には、黒薔薇要員で茸島の騎士を仕切る立場のディードリアーネさんまでもが。
(乳上…エルトゥールル号とサンティシマとアトランティコの乗船名簿、茸島の警備本部に写しが来るんですよ…万一の海難事故の時に誰が乗ってたと言う話になった時のためですがね…あれの保管分を調べたら、乳上のお名前、すぐ出てくると思いますよ…)
ええい、皆して私を何と見ておるのですかぁっ。
それはそうと弟。
あなたにも回すべき仕事があります。
そんな訳で、ダンケ号の運転席すぐ隣の応急座席を展開して、前側三人座りにしてしまいます。
「え」
ところが、私の横に座って来たのはナディアさん。
(この位置の方が後で捗りますかと)
などと、恐ろしい事を申されます。
そして、もっと恐ろしい事に。
ナディアさんから見て右に私、左に弟がおりますが、我ら姉弟の逸物を左右の手で取り出してしごき始める始末。
「乳上の精を頂いておきませんと、仕事が捗らぬとのお話。着きましたら物陰にて」
ええ。私の精をナディアさんのどちらかの口に、まずは注がないとなりません。
そして、弟を先にする訳にはいかぬのです…まぁ、弟でも良いのですが、やはり人の繋がりを考えますと…優先すべき人がおりますから…ね?
「ああ、たまりませぬ…」
仕方がありませんね。
弟にはショタ体型に戻らせて、身体を捻ったナディアさんに後ろから入れて差し上げよと命じます。
そして、私のまらを咥えて頂きまして。
「うっcsúcspontja(いくっ)!」
ええ、いつぞや、文化科学宮殿の地下で尼僧女官候補の子を産ませるために使った汎用精液とやら、あれを放ちます。
これを後で、ナディアさんにも出して頂かねばならぬのです。
そして弟にも。
あ、弟には敢えて孕み汁を放たせておりますよ。
これは東欧支部の内規として広めさせておりますが、女官同士の組み合わせ、この場合でもなるべく正味の精液を放っておけ、本物の男の臭く汚らわしい牡汁に慣れよと躾けているのです。
女官同士で性交の快楽を追求することもやぶさかではありませんけど、やはり我々が逸物を持たされているのは、巡り巡れば男から精気を絞りに絞り上げて我ら女官の滋養にするためなのです。
その肝心かなめの飯の種を嫌がるような者は我が東欧支部の管内の女官に、いてはならぬのです。
そして、トウキョウやオキナワのお店で働く女の子たち。
この子たちの中にも、男と酒を飲みおべっかを使ったり、はたまた銭金のために股を開くのを好まぬか苦手であるがために踊る道を選んでいる者、決して少なくはありません。
(しかし、普通はおなごとしての売りどきを逃すと困りはしませぬか。読み書き算術が苦手であろうから、身体を売り物にしておりましょうに)
とは、ナディアさんのご意見。
ええ…私の所管に歴史差異研究室が移された理由の一つに、私自身が連邦世界の地球の人々に興味を持っていたのもあるようです。
かねてからの私の言動でお察しの方もおられましょうが、基本的に私は人を平等とは考えておりません。
もっと申し上げますと、己に与えられた才覚全て出し惜しみせずに使わずして居場所なし。そのために人は画一ではないと思っております。
争い闘い出し抜き倒しせねば生きてはおれぬのが、生き物として生まれた以上は避けて通れぬ道であろうと。
ですが、痴女皇国に変わった聖院では、私の主張もさりながら…殺すよりも生かすことが有用であるという方法を知りました。
これは便利であると思いますと同時に、マリア様やジーナ様が元々いらっしゃった世界、この世界の人々は我らとはどう違うのか。マリア様にお聞きしましたところ。
(実際に会って心を読んでみりゃすぐわかるよ。ただ…怒るなよ)
ええ、室見理恵様や田野瀬麻里子様、そしてなにより後には友となった田中雅美さんは、まだ向こうの世界では「競争や闘争の何たるかを知っている」ましな部類であると感じたのですよ…。
(なーにがフェミとかジェンダーよってさ、乳上と意気投合するする。あたしもそうだけどさ、女として使い物にならない女をさ、痴女種化で使い物にしたげてる訳じゃない。最終的には感謝されこそすれ、恨まれる謂れは全くないわよねぇ)
ふふふ。
我が友は私の性質をよく理解しております。
そして、私の外観に着目して…沖縄のお店を拠点として、向こうの世で余り物になった女性を拾い上げての「活用」が可能かを考察していたのですよ。
(ほら、ひろりん…山内博子さんの件がきっかけだったのよねぇ。あれでヒントを得て、婚活事業だの水商売だのでコンプレックスのある女性をこっちに引っ張り込んで改造することに手をつけ始めたんだから、結果的に乳上の謀反で痴女皇国は動いたってことよ。だから結果オーライ。それに、ジーナちゃんが乱入したことで地球もNBも再び痴女皇国に関与しなきゃならなくなったんだし、こっちも逆に向こうから色々吸い取れてるんだし、さ)
そうですね。むしろ、あの反乱未遂で色々と動き始めたような…。
(ま、功労者の乳上にはナディアさんと仲良くしておくといいことあるわよ。なんだかんだ言って女官長だの色々と応援で経験してる実力者だし…それに、性格的にウマは合うと思うから、ね…)
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説




サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる