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聖女様は助平がお好き?・6
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さて「痴女皇国の今」から数年後に何が起きたか、お分かり頂けましたでしょうか。
ただ…スクルドさんからはこうも言われましたよ。
「マリアヴェッラ…あなた…注意してよ…本当なら未来を覗くだけでも、あなたたちにとっては危険な事になるわよ」
何でまた…あ。
「そう。知った瞬間に違う未来が始まる可能性があるのよ。幸いにして今は運命分岐は起きていません。しかし、今後は注意してね。未来を見てしまうという事は、その未来を変えられないかを考える事にも繋がります」
つまり、そこで分岐が発生してしまうと。
「更に問題なのはね…変えようとした未来、必ずしも変化を望んだ者にとって都合のよい結果になるとは限りません。むしろ悪化することも有り得るのです」
さて、ここは離宮のベラちゃんのお部屋。
二代目様はクレーゼ厚労局長代行…つまりクレーゼおばさまに付いて引き継ぎ執務中で、女官寮の厚労局オフィスに出勤しておられます。
で、あたしは先ほどまでの未来覗き見をスクルド先生に咎められて、きっちりお説教を受けています。
さて、スクルド先生のお姿。
御年数十万から数百万歳(推定)とは思えないお若い身なりです。北欧ポルノ王国出身でも、あの底意地が悪そうなグレた娘さんとは全く違う、理知的な表情の長身美人。
(褒められたのか貶されたのか、よくわからない解説ありがとう)
聞けば、全盛期当時とは全く違うお姿のようですけど…。
「私は姉たちと違いヴァルキリー出身だからね。そちらのアレーゼ、あんな感じの女戦士のなりで我々の鎧や武具を持つのが本来だったのだけど…運命選定、未来を定める役目を司るようになってからは…まぁ、私を思い浮かべたり崇める者次第ってところね。これは堕天使の連中も同じ筈よ」
はぁ。
「で、あの連中の未来も確かパルカエ…私たちの一門が管轄してはいるんだけど、あなたがた同様に普通の人間よりは遥かに能力が高いでしょう。運命の振れ幅は人間よりずっと大きいのよ、堕天使も、そしてあなたがた女官や巫女も…更には神々も」
で、こうして反省会兼・スクルド先生の運命決定講座を受けている理由。
二代目様の差し金です。
(せっかくだから話を聞いておきなさい。今後のわたくしの娘たちにして、神の領域に足を突っ込んでしまった女官種改め痴女種には必要この上ない知識となります。それともルルドに封じられ、あげくモイラたちに集中講座を受けたり…果ては運命選定の実習、受けて来られて? マリアヴェッラ…)
あー、あれ…ねーさんが全力で嫌がっていましたね…。という訳で二代目様が無理からにスクルドさんに依頼して、あたしのお部屋で講義中。
「そりゃあマリアリーゼが嫌がりもするわよ…あなたがたが菌だウィルスだって言ってる微小生物まで、いちいち運命や寿命決めないといけないのよ…?」
まぁ、大変極まりないのはわかります。
わかりますから、何故あたしのちんぽをっ。
で、スクルド先生は教師姿です。
それも、英語を教えていて萌えとやらを感じる姿ではありません。
一体全体、どこからこんな姿を引っ張り出すのやら…と言いたげなエロ教師のお姿。
「道を踏み外した教導者って者はある程度発生すんのよ…で、その姿を英国系の人間の事例で見ると…ね」
ああなるほど。
考えてみれば、強姦魔や変態の人生もこの方々が定める訳ですよね…。
「それだけじゃないわよ。発明や発見そのものはともかく、そういう事をする可能性が高いという運命を決めるのも我々の使命なの」
つまり、偉人や天才の運命も…考えてみれば当然ですけど、この方々が業績や名誉名声、そして生涯をある程度お決めになさると。
しかし、ありがたみのある話をあたしに聞かせながら、皇帝の机にお尻を下ろして教鞭であたしのちんぽを撫で回すエロ教師神様は言動と行動が全く一致しておりませんのですが。
どうせいじるならですね、せっかく痴女種の擬似身体渡してるんですから、ご自身のちんぽをいじってくださいよ…初代様やおかみ様も大概と思いますが、このお方も大概です。しかも表情、あんま変えないし…果たしてちんぽに興味があるのやら、はたまたないのやら。
「人の欲からは一歩、身を引いているからね。しかし、あなたたちは別。理由は我々に近いから」
ふむふむ。
「あなたたちも人の欲を自分たちの生命力に変えて生きているでしょ? 私たちと形が違うけど、人を生きている持ち物として考えるべき存在なのよ…」
「ただ、痴女種の全員を全員、そのように見ては困りますよスクルド…」ええ、尼さんが来ました。
ただし、この尼さんもエロ尼です。
しかも擬似身体を得て、言うなれば痴女種お試し体験中であまり精気をやり取りしなくても良いスクルドさんと二代目様は違います。
どう違うのかと言うのは言わでもがな、二代目様は純正の聖院金衣、つまりもともとは女官種です。
そして擬似身体が自動的に痴女種の身体を構成していますし、自然懐妊や細胞変質で生誕した痴女種と同様に「精気が必要になります」。
ええ、ええ。クレーゼおばさまから吸い取れば良いものを、このアマいえいえ尼様はあたしから吸うのです。
「組織からしてもマリアヴェッラは私に与える立場ではありませんか…」ええ、厚生労働局長様でいらっしゃいますからね…。
さて、この厚労局。
何で新設されたのかと申しますと…姉の学友たる室見理恵パイセンが言い出しっぺです。
ですがパイセンが言ってたのは「昔は女官のおこづかいや出世の査定を金衣とマイレーネさんが決めていたのはわかりますが、問題はマイレーネさんが欧州に行ってからの実際の査定作業。あまりに不明瞭でえこひいきの可能性すら感じます。ここは一つ、騎士を仕切る警務部に近い業務内容を女官に対して行う部局を作って、女官の出世や配置をきちんと管理すべきでは」という現状報告と思いつきに近い話だけ。
で、それをもっとはっきりした形にしたのが、たのきちの出した原案。何せ奴は罪務省出身、下っ端とはいえ自分のいた省庁の組織の大筋を把握しています。
更には増える罪人や女官、そして騎士の管理のためにも財務部同様の組織を他部門でも整備して人を管理することが絶対に必要となる事を訴え、友人でもある姉…上皇マリアリーゼに上奏しました。
(ベラちゃん…あの時はまりりに見せる前にあんたにもちゃんと原案、説明しながら見せてから送信したわよあたし…)
覚えてまへんな。
(この腐れイタ公、いえイタ皇帝め…)
たのきちちょっと待って。
多分それルクレツィア母様じゃなくてジーナ母様の遺伝だと思うよ。あの人、今日嘉手納とか横田行きだってのをたまに忘れて聖環のリマインダーで警告食らって暴れるように身支度してるから。
(どっちの遺伝にしろベラちゃんが都合の悪い事を忘れてるのがダメ。あー貴賓食堂厨房責任者の方、いつものアレお願いします。明日から一週間、お昼はフランス料理固定で。…あたしは学院食堂か離宮配達のお弁当で和食でも充分だからね…)
おのれたのきちめ…食い物の恨み忘れまじ…姉の指示で、あたしは貴賓食堂の試食業務はまだしも提供メニューに口を出せなくなりました…そして、たのきちにその指示権を渡しやがったんですよ、あの腐れ姉はっ。
(おめーにはこれが良く効くからな。嫌なら真面目に執務するか、さもなきゃあたしみたいに修行を兼ねて自炊しろ…せめてパスタくらいてめぇで茹でやがれっあー讃岐うどんうめー)
おのれ、おのれ…。それとうどんを茹でた塩混じりの排水を痴女宮の下水にざぶざぶ流している件についても追及すべきですね。
(うちの島の周辺海流、そもそもうちらが小細工しなくてもある程度強く流れてるよ…熱帯域で海水温度が高めだから、周辺の温度の低い海から流れ込むだろ…それにうちの島の降雨量、水不足の国に水を輸出できるくらいあるの知ってるだろっ。あれ最終的に全部海に流れてるからな? あたしの茹でたうどんやおめーの食うパスタくらいの塩水なら、燐化システムを通せば何とでもなるよ…)
それはともかく、一応は軍隊の現役将官で会社経営者経験者のジーナ母様や、同じく日本の会社社長経験者かつ金衣でもあったクレーゼおばさまに、中間管理職の立場だった雅美さんなどが加わり、姉も案を修正した結果、現在の部局制になりました。
そして女官の査定を行っていますが…実は警務局とは縄張りが被っているのです。
単純に言いますと、ローテーションまたは年次配置で騎士職に就いている間は警務局で業務報償金査定を行います。
ただ…これは厚労局新設後に、厚労局長承認を得て警務局との連名で財務局に送られるようになりました。
理由は、女官業務に回った際の女官の業務報償金額予算の取り合い防止。
ですので報償金予算に応じたステータス別の枠管理は厚労局主体で行い、出世のための昇格管理…特に千人卒以上は基本的に騎士勤務が絶対に避けて通れませんので、警務局が主体となる業務形態が取られています。
あと万卒以上の昇格は皇帝詮議となりまして、最低でもあたしか姉かジーナ母様の承認なしで上げるなと言う内規、作られてます…。
ただ、これは女官長または騎士団長が誰それを上げてくれという話が迅速に来る事が多いのに加えて、万卒だとあたしたちと面識が出来たり直接心話が可能になりますから遅滞は少ないです。
で、問題は千人卒と、それ以上への昇格。
ここが今、狭き門になってます。
罪人管理や警務業務、果ては矯正業務…つまり工場での作業指導があるので、千人卒以上の継続出家者は警務局でのお仕事にまずは優先配置されます。
ですから、女官によっては騎士経験を志願して、はなっから千人卒狙いの人事を願い出る人が割といるんですよ…。
そして、これがオリューレさんの頭を悩ませていたのです。半分は彼女の自業自得めいていますが、本宮登院、すなわち売春が苦手だ嫌だという女官で頭が回る子は騎士配置を希望するのですよ。
そして千人卒狙いならなおさら、騎士経験を積もうとします。
つまり…文官の数が足りないだの、騎士でも本宮登院シフトがあるだのという不満話は半分、騎士に偏る痴女宮の事情が背景にありまして…。
(ちなみに聖院ではきぼう、いっさい聞きませんよ…全員おなじ内容でしごかれます)と、アルトさんから聖院側の実態を耳打ちされます。
まぁ、痴女皇国は罪人を大量に受け入れて工場を拡張していきましたので、勢い罪人を管理する刑務騎士を増やす必要がありましたからねぇ。
実は聖院と女官交換をしたり、研修内容に絶対に一定期間の聖院勤務を入れているのは本宮登院女官不足の穴を埋めるためでもあったのですよ…。
(聖院のこうじょうはみかわ監獄国に大きいものごとをたのんでいますね。こちらの罪人はあくまでしょき研修で、やらせていることはむかしの聖院とあまり変わりません)
で、このために聖院の罪人は警務補助や女官寮やら聖院学院の清掃だの日常作業補助の仕事が主体です。
そして罪人経験を積んだ連中を比丘尼国に回して工場労働者として使役しているというのは、あたしも聖院刑務や警務を経験して知っている内容…忘れかけていたのは内緒で!
(聖院の罪人の罪環の色が黒や鉄が多いのはそのせいもあるのです。べてらんはでかせぎのほうがもうかりますから)
ただ、それだと罪人から精気、あまり貰えないんじゃ…と思ったあなた。監獄国の寮や施設の警備、女官も派遣していますよ…。
ほらほら「こんにちわ、マリア」の三河監獄国編。あれから更に提携が進んでいまして、大量の罪人を集中管理するノウハウを貯めている痴女皇国主体で騎士経験者を派遣した方が向こうも効率は良いらしいのです。
で、聖院側の三河監獄国も右ならえで女官の報償金プラスアルファ…それと囚人労働者の精気を頂く提携をさせて頂いております。
もっとも監獄国内の生体発電機への精気供給も聖院または痴女皇国に委託されていますので、監獄国の領民から吸い取った精気全て丸儲けというわけにはいきません。
比丘尼国の巫女さんもうちの管理下で女官扱い待遇で働いて頂いてますし…。
「そう言えば痴女宮の地下に鬼と狐の魔物がいると聞いたのだけれど…」
ああ…外道ちゃんと悦吏子ちゃんですね。
悦吏ちゃん…エレンファーネさんは狐頭の玉藻さんに取り憑かれてるだけですけど、外道丸ちゃんことポーランファーネさんは本物の鬼、それも鬼族の頂点に立つ立場らしいです。
「モイラたちもそりゃ、ぶつくさ言うわよね、ベルナルディーゼ…」
「ただ、私たちのある程度以上の位階では、運命選定種をさほど煩わせ…あー…痴女皇国世界じゃ煩わせていますね…」
「でもよ。結果的に世界秩序に貢献して働き場所を確保するのに協力してくれているのなら、モイライはあまり文句を言えないはずなのだけれど」
「数がね…そちらと違って、それなりに人外がいるから…」
どうでも良いのですが、何故このお方々、あたしの側に来る。
乳を揉まないで頂きたいのですがエロ尼さん。しかも、女のあたしの頭にお乳を押し付けられても嬉しい事おまへんで。
そういうのは歯医者さんのお手伝いや美容師さんになって、男性客に…ある!うちは罪人や子供用の理髪処ありますねん!散髪屋役の女官におっぱいを押し付けさせる場所、ありますがな!
(今頃何言ってんのよベラちゃん…あそこ、あたしが女官長やり出してから既に乳押し付けサービス全開だったわよ…ドヤ顔してカイゼン提案出す前に内情視察して正解だったわよ…)
(パイセン…多分、それ教えたのジーナ母様だと思いますよ…)
(恐らくベラちゃんの予想で間違いないけど、あたしは念のためにまりりか雅美さんに張ります。あんたはエロババァ…ジーナさんに張ってね。外したらバター犬30分で)
(…まぁ仕方がありませんね…)
ちなみにこの賭け、理恵パイセンもあたしも、二人とも滑りました。
クレーゼおばさまがゴルディーニさんや母様が嘉手納の歯科診察について「うちの歯医者はこんな事もしてくれない」という話に興味を持って二人の脳内知識を漁った結果、そんなサービスめいた行為を知って聖院に持ち帰ったそうです。
というかゴルディーニさん、宙兵隊籍のあるあたしとしては上官ですけど、頭で歯医者はまだしも床屋さんは…。
まぁ、男前の方なんで追求はよしましょう。逝麺はハ◯でも許されるのです…。
「だから未来を見るなとゆーに…まぁ干渉にはなってないけどさ…」
「スクルド。マリアヴェッラの聖環に失言件数計数機能を付けさせましょう。十点貯まったら貴女に奉仕で」
「それはなかなかに魅力的な提案。文明というものも悪くはないわね」
二人で勝手に合意すんな。あと、あたしのコーヒーマシン勝手に使わすな…部屋付女官にコーヒー淹れさせてますねん…。
「あたくしはフランス暮らしが長かったから、やはりカフェオレで。マリアヴェッラには冷蔵庫にフレッシュかミルクを備えさせましょう」
こらこらこらこら。あたしは砂糖どばぁのエスプレッソでええんや…。あんま言い出したら、二代目様のコーヒーカップにあたしの蛋白質液入れるでっ。
「マリアヴェッラ。それはレトロポルノの伝統的表現でしょう。効果があるか、貴女の分のコーヒーで試してみましょうか」だからちんぽ出さないでくださいよ。
ええ、こうも絡まれる理由ははっきりしています。
スクルドさんがあたしの身体をいじるのは、何をすればどう反応するかを面白半分に観察している要素が強いのですが、二代目様は違います。
要はやりたいのです。
…聖院金衣という方々、クレーゼおばさまがアレだとは存じています。ただ…聖院正史とやらを紐解きまして、初代様に解説を頂きましたところ。
(性的に淡白な金衣から数える方が早いですわね…ベルナルディーゼもあの顔とあのなりで、大概な事を致しておる記録が残っておりますし、あたくしの墓所入りののちにあの子がやらかした話は逐一覚えておりましてよ…)
「ああ、母様がマリアヴェッラの中にいらしたの忘れておりましたわね。あの母とも思えぬ静謐さ、よもや改悛を迫られまして?」
やめてやめて親子喧嘩やめて。
特に初代様はあたしの身体がナンムモードに耐えられると知ってからは、やたらと髪の毛を青くしたがりますから。
「マリアヴェッラ。貴女も神種族に伍して暮らす身。神を泣かせるくらいの力は」迷惑装備になるから授けないでください。
それに聖女属性はねーさんが引き継いでるじゃないですかっ、ほらスクルドさんも止めて!
……。
「おかしいですわね。マリアヴェッラなら聖女属性を与えても受け入れるはずですのに」ぜぇはあ言いながら修道服をはだけて、股間からベラちゃん汁を垂れ流している二代目様。そして、屹立した二代目様ちんぽはあたしの膣液と二代目様液で濡れ光っております。
で、二人の部屋付女官があたしたちの股間をぺろぺろしていますが、これは単なるお掃除だけでなく、精気回収の意味合いが強い作業です。
それが証拠に、床はモップで普通に拭かれました。
ええ、あたしの離宮の部屋の床、かつての聖院や痴女宮と同じ素材…それも平滑処理がなされた黒御影石です。
わかんない人、男子トイレの小便器の真下の床にたまに使われている雲母を含んでキラキラした黒い石だと思ってください。
この石は密度が高く、水がなかなか石の中に浸透しない性質がある上に酸やアルカリにも強いとエマ助から聞かされています。
そして、そんなトイレの誤爆しそうな場所に使うくらいの頑丈な…熱にも強い石なので、外壁や床に水をざばざばと流して女官から出る熱を冷やしていた聖院時代の本宮の主要構造材でもありました。
今は研修者向けに痴女宮と変えた外観にしようとして、聖院側は同じ特性の赤御影石に張り替えたのも知っていますが、痴女宮は全て黒いままです。
ですが、あたしの部屋にまで、そんなトイレと同じ石を貼る理由は何か。実際に本宮時代のあたしの部屋、床はカーペットか大理石かフローリングだったんですよ!
(んなもん室内でアレしはるからに決まってますやん。女官から掃除に困ると聞いては建築部も設備部もこうせざるを得ず、財務に改修申請出したら一発通過でしたし)
ぐぬぬぬぬぬ。エマちゃん…もう少しお部屋に温かみが欲しいんだけど…。
(熱帯気候バキバキの痴女島で何言うてますのん、かーさま。温かいのがええんやったら床下に熱排気管回しますからオンドルまがいの床暖房になりまっせ)
いらんわ。
あたしが欲しいのは男色、いえ暖色系の内装であって暖房ちゃうっちゅうねん。
(ほな病院用の長尺床敷きシートの建材見本届けますさかいに、ええ思う色選んでください)
なんでそう防水にこだわるのよ…。
(人間の身体をある程度忠実に模倣しとるからですがな。母様、言うときますけど、膣分泌液は強酸性で精液に至っては強アルカリ性を示しますねん。つまり脱色や浸食作用がありますねんわ…)
じゃ、何で別荘の床はフローリング…。
(あれは賓客用ですから。防水コーティングをかけた上に…今度行ったらよう見てくださいよ。あれ、板を単に張ってるんやなしに…そうですな、食パンで言うたらカット面ありますやん。切れ目入ってる面。あれの要領で板を敷いてますさかいに、使用してる板の枚数は通常の板張りの二倍から三倍ですねんで)
なんでまたそんな事を…。
(最悪、傷ついたり汚れたらカンナかグラインダー当てたら新しい木の面になりますやんか。つまり削る前提で厚みを増してるんですわ。ついでに湿気で歪みにくくなりますけどな…船舶用の硬化剤を使うと歩いた感触が悪うなりますから)
なるほど。
(それに母様…大理石やと多孔質やし、だいいち酸に弱いんですよ…部屋の玄関から主室までの廊下、離宮内の二階から上の廊下と同じで大理石と木材、それに赤カーペットでちゃんと高級感も出してますし、暖色照明にしてますやん…)
ぬーん。エマ助が意外にこだわって仕事していた事実を突きつけられ、愕然とする母親たるあたし。
まぁ、部屋の内装は変えるに至らずという事にします。
それと二代目様。あたしに聖女認定を出そうとしてもダメな理由ですけどね。
「まぁ、あなたたちの絡みを観察した限りでは…やはり聖母属性が邪魔をしているみたいね」
観察せんといてくれ、とスクルド先生に反論しようとしましたが…。
「ベルナルディーゼ。聖院にこの子の娘さんがいるじゃない。ほら、テルナリーゼが昔、神様時代に川の河口を支配していた時の子」
…あー、サリーちゃんですね。
確かに、あたしとサリーちゃんの娘なら聖女認定が出てもおかしくはありません。
しかし二代目様、何で聖女にこだわるのか。
「一定数を用意しておく必要があるからです。それと…前にも申し上げたかしら、必ずしも聖女としての能力を発現するとは限りませんよ」
ふむふむふむ。
「例えばマリアンヌ。…ちょっと待ってね、ラケシスに聞いてみよう。おーい、スクルドだけどさー。あんたさ、高木マリアンヌって聖母属性者いたでしょ。うん、痴女皇国の。あの子はどこでもいいんだっけ?高木スザンヌが連邦世界地球指定ってのは関係者から聞いたけど」
なんかえらく親しげにお聞きですけど。
(久しぶりであるな、マリアヴェッラ。お前と高木サレルフィールの子は聖母属性遺伝者ではあるが…聖女として顕在化するかは聖院のマリアリーゼに委ねよ)
ふむふむ。ラケシスさんという方の声だけが聞こえて来ます。
偉そうな物言いは相変わらずですが、それなりの重要職務に就かれた特殊な方々というのは既にご説明頂いた通り。
でまぁ、以前のルルドの時のやりとりは↓のこんにちわ、マリアのルルド編を参考にして頂くとしまして。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/60/
(スクルド。高木マリアンヌはどこでも良いが…いや、フレデリック・ワーズワースならばむしろお前の管轄であろう…お前の方で面倒を見てはやれぬのか…)
「こっち…連邦地球に来られたらあんたらの領域になっちゃうじゃないの」
(なるほどな。では、アグネス・ワーズワースに申し付けておいてくれ。高木マリアンヌ、出来ればスクルドの管轄にある間に……)
ああ、例のあれというかアレですね。つまり、フレデリック君の種を仕込めってアレです。
結婚はどうするんですかね。言ってみればフレデリック君とマリアンヌちゃん、親戚ですし。
「あなたたちの元来の掟があるでしょう? まぁ…高木マリアンヌは厳守させる必要は必ずしもないけどね…」
はいはい、聖院金衣と銀衣は種を付けども結婚は不可のあれですね。
「でさぁ、クリス・ワーズワース…あの子は痴女種化しちゃダメよ…」
えええええ!…あたしの野望を返して!
「だってねぇ…マリアヴェッラ…何で男性を人類の状態に置いとけって言ってるかお分かり? そもそも痴女種の場合は新発明や新発見に至らない…言ってみれば知性生命体としての挙動が人類に劣りがちなのよ…」
何故なのですか。うちのねーさんとか、それなりに…。
「知能はあるのよ。ただねぇ…よーく考えてみてね。マリアリーゼが何か新しいものを発明した事、ある?」
うぬぬ…。どうなのでしょうか…。確かに変な服とか変なもんを作ることはありますけど…。
(ベラ子。残念だがスクルドさんの言う通りだ。確かにあたしやお前は尋常じゃない知識量を蓄えられるけどな、それは新しい発見や、そしてその発見に基づいた何かを発明するまでに至らない事が多いんだよ…)
何ででしょ。
「そりゃ簡単よ。例えばマリアヴェッラ。あなた飛行機の免許を持ってるでしょ。だけどいつも飛行機を飛ばしてるの?」
(つまり、あたしがスケアクロウの機長席に座る事がほとんどないのと同じだ。何かあってあれを飛ばす必要がない限りは転送で済むだろ。お前にしても、転送でカタがつかないことは殆どないはずだ)
「そうなのよ。あなたたちは発明や発見に到るほどの苦労をせずに様々な局面を切り抜ける能力を持っている。だからこそ、人類が感じる不便を直接に感じ取ってその対策を考える力に劣るのよ…これは仕方がないと言えば仕方ないの」
(ベラ子の欲望はともかくだ、回避方法はあるぞ。ベル君を思い出せ…ほら、比丘尼国に派遣してる、乳上の弟さん…)
あ!ベルテファーネさん!
「あ…おりましたね」二代目様も手を叩いておられます。
そうです。悦吏子ちゃんの交代要員として比丘尼国の元伊勢大神宮の本体…大江山要塞の設備管理担当として派遣されている人物です。
(実はベル君は数少ない男性由来の痴女種だ。そして、その職務上止むを得ず痴女種化してるんだよ…ほら、大江山の鬼さんとか、向こうの将軍様や武将の皆様は片端から巫女化してるだろ…で、突き合いのために痴女種形態の方が色々捗るんだよ…だが、普段は少年形態だ)
ほうっ。
(本人曰く、本来の仕事で起きた何らかの問題を解決する際の頭の働きについては少年形態の時の方が色々と対策を思いつきやすいらしい。で、あたしも何かの時にこの話を聞いてさ、思いつきに関する脳内心理状況のデータを取らせてもらった事があるんだよ。被験者は…そうとは教えていないけど、慶次郎さん他の男性陣、そしてうちの罪人や監獄国の囚人、そしてクリス父様とベル君には許可を得てセンシングしてみたプロファクティングデータとを比較してみたんだ)
どんな結果だったのでしょうか。どきどき。
(んっとな、葛飾北斎とか鳥山石燕みたいな絵描きさんや、平賀源内のような発明家だの、ダ・ヴィンチのおじさんのようなインスピレーションで生きてるような方々が創作のネタや、発明に際しての思いつきの脳活動のピーク数値を10とするぞ)
ふむふむ。
「甚だしく興味深い内容ですね。で、マリアリーゼ、クリス・ワーズワースの場合は…」
(スクルドさんもご存知の通り、クリス父様は擬似身体を付与していますが、その脳細胞はほぼ完全に人間当時のクリス・ワーズワースを再現できているはずです。で、人間当時のクリス父様のバイタルモニタリングデータ…身体が弱かったですからね…で記録できていた脳波信号を復号した場合が11って時がありました。これは苔類をベースにした惑星開発用半生体微生物の開発成功時です。そして痴女皇国での駄洒落菌発見時やインポタケシリーズ開発時と、それからアルカロイド成分の性欲亢進物質転換操作の成功時…この時に10.5。まぁ最近は新開発するものも少ないのですけど、それでも9前後は記録できているんですよ)
「ふむ。流石は…痴女種能力が加勢に入るとこうもなりますか…思ったよりは女体化による劣化は少なめですね、マリアリーゼ」
(でな、ベラ子…慶次郎さんたちは戦争の際に戦術や戦略をその場で思いつく必要があるだろ。だから10近い数値を常に叩き出しているんだ。そして…監獄国の囚人でも、工場勤務者を中心にカイゼンをいくつも提案している優秀な従業員は同じくらいの数値を弾き出している。で、問題はベル君なんだよ…ベル君は知っての通り、お前に挨拶した際に乳上クリソツの痴女種状態を見せているし、それに少年の形態を取れるだろ。で、両者の場合のインスピレーションピークは男性形態時に8から9。そして…痴女種モードの際だけどな…ピーク値が6から7に減少するんだよ…)
ただ…スクルドさんからはこうも言われましたよ。
「マリアヴェッラ…あなた…注意してよ…本当なら未来を覗くだけでも、あなたたちにとっては危険な事になるわよ」
何でまた…あ。
「そう。知った瞬間に違う未来が始まる可能性があるのよ。幸いにして今は運命分岐は起きていません。しかし、今後は注意してね。未来を見てしまうという事は、その未来を変えられないかを考える事にも繋がります」
つまり、そこで分岐が発生してしまうと。
「更に問題なのはね…変えようとした未来、必ずしも変化を望んだ者にとって都合のよい結果になるとは限りません。むしろ悪化することも有り得るのです」
さて、ここは離宮のベラちゃんのお部屋。
二代目様はクレーゼ厚労局長代行…つまりクレーゼおばさまに付いて引き継ぎ執務中で、女官寮の厚労局オフィスに出勤しておられます。
で、あたしは先ほどまでの未来覗き見をスクルド先生に咎められて、きっちりお説教を受けています。
さて、スクルド先生のお姿。
御年数十万から数百万歳(推定)とは思えないお若い身なりです。北欧ポルノ王国出身でも、あの底意地が悪そうなグレた娘さんとは全く違う、理知的な表情の長身美人。
(褒められたのか貶されたのか、よくわからない解説ありがとう)
聞けば、全盛期当時とは全く違うお姿のようですけど…。
「私は姉たちと違いヴァルキリー出身だからね。そちらのアレーゼ、あんな感じの女戦士のなりで我々の鎧や武具を持つのが本来だったのだけど…運命選定、未来を定める役目を司るようになってからは…まぁ、私を思い浮かべたり崇める者次第ってところね。これは堕天使の連中も同じ筈よ」
はぁ。
「で、あの連中の未来も確かパルカエ…私たちの一門が管轄してはいるんだけど、あなたがた同様に普通の人間よりは遥かに能力が高いでしょう。運命の振れ幅は人間よりずっと大きいのよ、堕天使も、そしてあなたがた女官や巫女も…更には神々も」
で、こうして反省会兼・スクルド先生の運命決定講座を受けている理由。
二代目様の差し金です。
(せっかくだから話を聞いておきなさい。今後のわたくしの娘たちにして、神の領域に足を突っ込んでしまった女官種改め痴女種には必要この上ない知識となります。それともルルドに封じられ、あげくモイラたちに集中講座を受けたり…果ては運命選定の実習、受けて来られて? マリアヴェッラ…)
あー、あれ…ねーさんが全力で嫌がっていましたね…。という訳で二代目様が無理からにスクルドさんに依頼して、あたしのお部屋で講義中。
「そりゃあマリアリーゼが嫌がりもするわよ…あなたがたが菌だウィルスだって言ってる微小生物まで、いちいち運命や寿命決めないといけないのよ…?」
まぁ、大変極まりないのはわかります。
わかりますから、何故あたしのちんぽをっ。
で、スクルド先生は教師姿です。
それも、英語を教えていて萌えとやらを感じる姿ではありません。
一体全体、どこからこんな姿を引っ張り出すのやら…と言いたげなエロ教師のお姿。
「道を踏み外した教導者って者はある程度発生すんのよ…で、その姿を英国系の人間の事例で見ると…ね」
ああなるほど。
考えてみれば、強姦魔や変態の人生もこの方々が定める訳ですよね…。
「それだけじゃないわよ。発明や発見そのものはともかく、そういう事をする可能性が高いという運命を決めるのも我々の使命なの」
つまり、偉人や天才の運命も…考えてみれば当然ですけど、この方々が業績や名誉名声、そして生涯をある程度お決めになさると。
しかし、ありがたみのある話をあたしに聞かせながら、皇帝の机にお尻を下ろして教鞭であたしのちんぽを撫で回すエロ教師神様は言動と行動が全く一致しておりませんのですが。
どうせいじるならですね、せっかく痴女種の擬似身体渡してるんですから、ご自身のちんぽをいじってくださいよ…初代様やおかみ様も大概と思いますが、このお方も大概です。しかも表情、あんま変えないし…果たしてちんぽに興味があるのやら、はたまたないのやら。
「人の欲からは一歩、身を引いているからね。しかし、あなたたちは別。理由は我々に近いから」
ふむふむ。
「あなたたちも人の欲を自分たちの生命力に変えて生きているでしょ? 私たちと形が違うけど、人を生きている持ち物として考えるべき存在なのよ…」
「ただ、痴女種の全員を全員、そのように見ては困りますよスクルド…」ええ、尼さんが来ました。
ただし、この尼さんもエロ尼です。
しかも擬似身体を得て、言うなれば痴女種お試し体験中であまり精気をやり取りしなくても良いスクルドさんと二代目様は違います。
どう違うのかと言うのは言わでもがな、二代目様は純正の聖院金衣、つまりもともとは女官種です。
そして擬似身体が自動的に痴女種の身体を構成していますし、自然懐妊や細胞変質で生誕した痴女種と同様に「精気が必要になります」。
ええ、ええ。クレーゼおばさまから吸い取れば良いものを、このアマいえいえ尼様はあたしから吸うのです。
「組織からしてもマリアヴェッラは私に与える立場ではありませんか…」ええ、厚生労働局長様でいらっしゃいますからね…。
さて、この厚労局。
何で新設されたのかと申しますと…姉の学友たる室見理恵パイセンが言い出しっぺです。
ですがパイセンが言ってたのは「昔は女官のおこづかいや出世の査定を金衣とマイレーネさんが決めていたのはわかりますが、問題はマイレーネさんが欧州に行ってからの実際の査定作業。あまりに不明瞭でえこひいきの可能性すら感じます。ここは一つ、騎士を仕切る警務部に近い業務内容を女官に対して行う部局を作って、女官の出世や配置をきちんと管理すべきでは」という現状報告と思いつきに近い話だけ。
で、それをもっとはっきりした形にしたのが、たのきちの出した原案。何せ奴は罪務省出身、下っ端とはいえ自分のいた省庁の組織の大筋を把握しています。
更には増える罪人や女官、そして騎士の管理のためにも財務部同様の組織を他部門でも整備して人を管理することが絶対に必要となる事を訴え、友人でもある姉…上皇マリアリーゼに上奏しました。
(ベラちゃん…あの時はまりりに見せる前にあんたにもちゃんと原案、説明しながら見せてから送信したわよあたし…)
覚えてまへんな。
(この腐れイタ公、いえイタ皇帝め…)
たのきちちょっと待って。
多分それルクレツィア母様じゃなくてジーナ母様の遺伝だと思うよ。あの人、今日嘉手納とか横田行きだってのをたまに忘れて聖環のリマインダーで警告食らって暴れるように身支度してるから。
(どっちの遺伝にしろベラちゃんが都合の悪い事を忘れてるのがダメ。あー貴賓食堂厨房責任者の方、いつものアレお願いします。明日から一週間、お昼はフランス料理固定で。…あたしは学院食堂か離宮配達のお弁当で和食でも充分だからね…)
おのれたのきちめ…食い物の恨み忘れまじ…姉の指示で、あたしは貴賓食堂の試食業務はまだしも提供メニューに口を出せなくなりました…そして、たのきちにその指示権を渡しやがったんですよ、あの腐れ姉はっ。
(おめーにはこれが良く効くからな。嫌なら真面目に執務するか、さもなきゃあたしみたいに修行を兼ねて自炊しろ…せめてパスタくらいてめぇで茹でやがれっあー讃岐うどんうめー)
おのれ、おのれ…。それとうどんを茹でた塩混じりの排水を痴女宮の下水にざぶざぶ流している件についても追及すべきですね。
(うちの島の周辺海流、そもそもうちらが小細工しなくてもある程度強く流れてるよ…熱帯域で海水温度が高めだから、周辺の温度の低い海から流れ込むだろ…それにうちの島の降雨量、水不足の国に水を輸出できるくらいあるの知ってるだろっ。あれ最終的に全部海に流れてるからな? あたしの茹でたうどんやおめーの食うパスタくらいの塩水なら、燐化システムを通せば何とでもなるよ…)
それはともかく、一応は軍隊の現役将官で会社経営者経験者のジーナ母様や、同じく日本の会社社長経験者かつ金衣でもあったクレーゼおばさまに、中間管理職の立場だった雅美さんなどが加わり、姉も案を修正した結果、現在の部局制になりました。
そして女官の査定を行っていますが…実は警務局とは縄張りが被っているのです。
単純に言いますと、ローテーションまたは年次配置で騎士職に就いている間は警務局で業務報償金査定を行います。
ただ…これは厚労局新設後に、厚労局長承認を得て警務局との連名で財務局に送られるようになりました。
理由は、女官業務に回った際の女官の業務報償金額予算の取り合い防止。
ですので報償金予算に応じたステータス別の枠管理は厚労局主体で行い、出世のための昇格管理…特に千人卒以上は基本的に騎士勤務が絶対に避けて通れませんので、警務局が主体となる業務形態が取られています。
あと万卒以上の昇格は皇帝詮議となりまして、最低でもあたしか姉かジーナ母様の承認なしで上げるなと言う内規、作られてます…。
ただ、これは女官長または騎士団長が誰それを上げてくれという話が迅速に来る事が多いのに加えて、万卒だとあたしたちと面識が出来たり直接心話が可能になりますから遅滞は少ないです。
で、問題は千人卒と、それ以上への昇格。
ここが今、狭き門になってます。
罪人管理や警務業務、果ては矯正業務…つまり工場での作業指導があるので、千人卒以上の継続出家者は警務局でのお仕事にまずは優先配置されます。
ですから、女官によっては騎士経験を志願して、はなっから千人卒狙いの人事を願い出る人が割といるんですよ…。
そして、これがオリューレさんの頭を悩ませていたのです。半分は彼女の自業自得めいていますが、本宮登院、すなわち売春が苦手だ嫌だという女官で頭が回る子は騎士配置を希望するのですよ。
そして千人卒狙いならなおさら、騎士経験を積もうとします。
つまり…文官の数が足りないだの、騎士でも本宮登院シフトがあるだのという不満話は半分、騎士に偏る痴女宮の事情が背景にありまして…。
(ちなみに聖院ではきぼう、いっさい聞きませんよ…全員おなじ内容でしごかれます)と、アルトさんから聖院側の実態を耳打ちされます。
まぁ、痴女皇国は罪人を大量に受け入れて工場を拡張していきましたので、勢い罪人を管理する刑務騎士を増やす必要がありましたからねぇ。
実は聖院と女官交換をしたり、研修内容に絶対に一定期間の聖院勤務を入れているのは本宮登院女官不足の穴を埋めるためでもあったのですよ…。
(聖院のこうじょうはみかわ監獄国に大きいものごとをたのんでいますね。こちらの罪人はあくまでしょき研修で、やらせていることはむかしの聖院とあまり変わりません)
で、このために聖院の罪人は警務補助や女官寮やら聖院学院の清掃だの日常作業補助の仕事が主体です。
そして罪人経験を積んだ連中を比丘尼国に回して工場労働者として使役しているというのは、あたしも聖院刑務や警務を経験して知っている内容…忘れかけていたのは内緒で!
(聖院の罪人の罪環の色が黒や鉄が多いのはそのせいもあるのです。べてらんはでかせぎのほうがもうかりますから)
ただ、それだと罪人から精気、あまり貰えないんじゃ…と思ったあなた。監獄国の寮や施設の警備、女官も派遣していますよ…。
ほらほら「こんにちわ、マリア」の三河監獄国編。あれから更に提携が進んでいまして、大量の罪人を集中管理するノウハウを貯めている痴女皇国主体で騎士経験者を派遣した方が向こうも効率は良いらしいのです。
で、聖院側の三河監獄国も右ならえで女官の報償金プラスアルファ…それと囚人労働者の精気を頂く提携をさせて頂いております。
もっとも監獄国内の生体発電機への精気供給も聖院または痴女皇国に委託されていますので、監獄国の領民から吸い取った精気全て丸儲けというわけにはいきません。
比丘尼国の巫女さんもうちの管理下で女官扱い待遇で働いて頂いてますし…。
「そう言えば痴女宮の地下に鬼と狐の魔物がいると聞いたのだけれど…」
ああ…外道ちゃんと悦吏子ちゃんですね。
悦吏ちゃん…エレンファーネさんは狐頭の玉藻さんに取り憑かれてるだけですけど、外道丸ちゃんことポーランファーネさんは本物の鬼、それも鬼族の頂点に立つ立場らしいです。
「モイラたちもそりゃ、ぶつくさ言うわよね、ベルナルディーゼ…」
「ただ、私たちのある程度以上の位階では、運命選定種をさほど煩わせ…あー…痴女皇国世界じゃ煩わせていますね…」
「でもよ。結果的に世界秩序に貢献して働き場所を確保するのに協力してくれているのなら、モイライはあまり文句を言えないはずなのだけれど」
「数がね…そちらと違って、それなりに人外がいるから…」
どうでも良いのですが、何故このお方々、あたしの側に来る。
乳を揉まないで頂きたいのですがエロ尼さん。しかも、女のあたしの頭にお乳を押し付けられても嬉しい事おまへんで。
そういうのは歯医者さんのお手伝いや美容師さんになって、男性客に…ある!うちは罪人や子供用の理髪処ありますねん!散髪屋役の女官におっぱいを押し付けさせる場所、ありますがな!
(今頃何言ってんのよベラちゃん…あそこ、あたしが女官長やり出してから既に乳押し付けサービス全開だったわよ…ドヤ顔してカイゼン提案出す前に内情視察して正解だったわよ…)
(パイセン…多分、それ教えたのジーナ母様だと思いますよ…)
(恐らくベラちゃんの予想で間違いないけど、あたしは念のためにまりりか雅美さんに張ります。あんたはエロババァ…ジーナさんに張ってね。外したらバター犬30分で)
(…まぁ仕方がありませんね…)
ちなみにこの賭け、理恵パイセンもあたしも、二人とも滑りました。
クレーゼおばさまがゴルディーニさんや母様が嘉手納の歯科診察について「うちの歯医者はこんな事もしてくれない」という話に興味を持って二人の脳内知識を漁った結果、そんなサービスめいた行為を知って聖院に持ち帰ったそうです。
というかゴルディーニさん、宙兵隊籍のあるあたしとしては上官ですけど、頭で歯医者はまだしも床屋さんは…。
まぁ、男前の方なんで追求はよしましょう。逝麺はハ◯でも許されるのです…。
「だから未来を見るなとゆーに…まぁ干渉にはなってないけどさ…」
「スクルド。マリアヴェッラの聖環に失言件数計数機能を付けさせましょう。十点貯まったら貴女に奉仕で」
「それはなかなかに魅力的な提案。文明というものも悪くはないわね」
二人で勝手に合意すんな。あと、あたしのコーヒーマシン勝手に使わすな…部屋付女官にコーヒー淹れさせてますねん…。
「あたくしはフランス暮らしが長かったから、やはりカフェオレで。マリアヴェッラには冷蔵庫にフレッシュかミルクを備えさせましょう」
こらこらこらこら。あたしは砂糖どばぁのエスプレッソでええんや…。あんま言い出したら、二代目様のコーヒーカップにあたしの蛋白質液入れるでっ。
「マリアヴェッラ。それはレトロポルノの伝統的表現でしょう。効果があるか、貴女の分のコーヒーで試してみましょうか」だからちんぽ出さないでくださいよ。
ええ、こうも絡まれる理由ははっきりしています。
スクルドさんがあたしの身体をいじるのは、何をすればどう反応するかを面白半分に観察している要素が強いのですが、二代目様は違います。
要はやりたいのです。
…聖院金衣という方々、クレーゼおばさまがアレだとは存じています。ただ…聖院正史とやらを紐解きまして、初代様に解説を頂きましたところ。
(性的に淡白な金衣から数える方が早いですわね…ベルナルディーゼもあの顔とあのなりで、大概な事を致しておる記録が残っておりますし、あたくしの墓所入りののちにあの子がやらかした話は逐一覚えておりましてよ…)
「ああ、母様がマリアヴェッラの中にいらしたの忘れておりましたわね。あの母とも思えぬ静謐さ、よもや改悛を迫られまして?」
やめてやめて親子喧嘩やめて。
特に初代様はあたしの身体がナンムモードに耐えられると知ってからは、やたらと髪の毛を青くしたがりますから。
「マリアヴェッラ。貴女も神種族に伍して暮らす身。神を泣かせるくらいの力は」迷惑装備になるから授けないでください。
それに聖女属性はねーさんが引き継いでるじゃないですかっ、ほらスクルドさんも止めて!
……。
「おかしいですわね。マリアヴェッラなら聖女属性を与えても受け入れるはずですのに」ぜぇはあ言いながら修道服をはだけて、股間からベラちゃん汁を垂れ流している二代目様。そして、屹立した二代目様ちんぽはあたしの膣液と二代目様液で濡れ光っております。
で、二人の部屋付女官があたしたちの股間をぺろぺろしていますが、これは単なるお掃除だけでなく、精気回収の意味合いが強い作業です。
それが証拠に、床はモップで普通に拭かれました。
ええ、あたしの離宮の部屋の床、かつての聖院や痴女宮と同じ素材…それも平滑処理がなされた黒御影石です。
わかんない人、男子トイレの小便器の真下の床にたまに使われている雲母を含んでキラキラした黒い石だと思ってください。
この石は密度が高く、水がなかなか石の中に浸透しない性質がある上に酸やアルカリにも強いとエマ助から聞かされています。
そして、そんなトイレの誤爆しそうな場所に使うくらいの頑丈な…熱にも強い石なので、外壁や床に水をざばざばと流して女官から出る熱を冷やしていた聖院時代の本宮の主要構造材でもありました。
今は研修者向けに痴女宮と変えた外観にしようとして、聖院側は同じ特性の赤御影石に張り替えたのも知っていますが、痴女宮は全て黒いままです。
ですが、あたしの部屋にまで、そんなトイレと同じ石を貼る理由は何か。実際に本宮時代のあたしの部屋、床はカーペットか大理石かフローリングだったんですよ!
(んなもん室内でアレしはるからに決まってますやん。女官から掃除に困ると聞いては建築部も設備部もこうせざるを得ず、財務に改修申請出したら一発通過でしたし)
ぐぬぬぬぬぬ。エマちゃん…もう少しお部屋に温かみが欲しいんだけど…。
(熱帯気候バキバキの痴女島で何言うてますのん、かーさま。温かいのがええんやったら床下に熱排気管回しますからオンドルまがいの床暖房になりまっせ)
いらんわ。
あたしが欲しいのは男色、いえ暖色系の内装であって暖房ちゃうっちゅうねん。
(ほな病院用の長尺床敷きシートの建材見本届けますさかいに、ええ思う色選んでください)
なんでそう防水にこだわるのよ…。
(人間の身体をある程度忠実に模倣しとるからですがな。母様、言うときますけど、膣分泌液は強酸性で精液に至っては強アルカリ性を示しますねん。つまり脱色や浸食作用がありますねんわ…)
じゃ、何で別荘の床はフローリング…。
(あれは賓客用ですから。防水コーティングをかけた上に…今度行ったらよう見てくださいよ。あれ、板を単に張ってるんやなしに…そうですな、食パンで言うたらカット面ありますやん。切れ目入ってる面。あれの要領で板を敷いてますさかいに、使用してる板の枚数は通常の板張りの二倍から三倍ですねんで)
なんでまたそんな事を…。
(最悪、傷ついたり汚れたらカンナかグラインダー当てたら新しい木の面になりますやんか。つまり削る前提で厚みを増してるんですわ。ついでに湿気で歪みにくくなりますけどな…船舶用の硬化剤を使うと歩いた感触が悪うなりますから)
なるほど。
(それに母様…大理石やと多孔質やし、だいいち酸に弱いんですよ…部屋の玄関から主室までの廊下、離宮内の二階から上の廊下と同じで大理石と木材、それに赤カーペットでちゃんと高級感も出してますし、暖色照明にしてますやん…)
ぬーん。エマ助が意外にこだわって仕事していた事実を突きつけられ、愕然とする母親たるあたし。
まぁ、部屋の内装は変えるに至らずという事にします。
それと二代目様。あたしに聖女認定を出そうとしてもダメな理由ですけどね。
「まぁ、あなたたちの絡みを観察した限りでは…やはり聖母属性が邪魔をしているみたいね」
観察せんといてくれ、とスクルド先生に反論しようとしましたが…。
「ベルナルディーゼ。聖院にこの子の娘さんがいるじゃない。ほら、テルナリーゼが昔、神様時代に川の河口を支配していた時の子」
…あー、サリーちゃんですね。
確かに、あたしとサリーちゃんの娘なら聖女認定が出てもおかしくはありません。
しかし二代目様、何で聖女にこだわるのか。
「一定数を用意しておく必要があるからです。それと…前にも申し上げたかしら、必ずしも聖女としての能力を発現するとは限りませんよ」
ふむふむふむ。
「例えばマリアンヌ。…ちょっと待ってね、ラケシスに聞いてみよう。おーい、スクルドだけどさー。あんたさ、高木マリアンヌって聖母属性者いたでしょ。うん、痴女皇国の。あの子はどこでもいいんだっけ?高木スザンヌが連邦世界地球指定ってのは関係者から聞いたけど」
なんかえらく親しげにお聞きですけど。
(久しぶりであるな、マリアヴェッラ。お前と高木サレルフィールの子は聖母属性遺伝者ではあるが…聖女として顕在化するかは聖院のマリアリーゼに委ねよ)
ふむふむ。ラケシスさんという方の声だけが聞こえて来ます。
偉そうな物言いは相変わらずですが、それなりの重要職務に就かれた特殊な方々というのは既にご説明頂いた通り。
でまぁ、以前のルルドの時のやりとりは↓のこんにちわ、マリアのルルド編を参考にして頂くとしまして。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/60/
(スクルド。高木マリアンヌはどこでも良いが…いや、フレデリック・ワーズワースならばむしろお前の管轄であろう…お前の方で面倒を見てはやれぬのか…)
「こっち…連邦地球に来られたらあんたらの領域になっちゃうじゃないの」
(なるほどな。では、アグネス・ワーズワースに申し付けておいてくれ。高木マリアンヌ、出来ればスクルドの管轄にある間に……)
ああ、例のあれというかアレですね。つまり、フレデリック君の種を仕込めってアレです。
結婚はどうするんですかね。言ってみればフレデリック君とマリアンヌちゃん、親戚ですし。
「あなたたちの元来の掟があるでしょう? まぁ…高木マリアンヌは厳守させる必要は必ずしもないけどね…」
はいはい、聖院金衣と銀衣は種を付けども結婚は不可のあれですね。
「でさぁ、クリス・ワーズワース…あの子は痴女種化しちゃダメよ…」
えええええ!…あたしの野望を返して!
「だってねぇ…マリアヴェッラ…何で男性を人類の状態に置いとけって言ってるかお分かり? そもそも痴女種の場合は新発明や新発見に至らない…言ってみれば知性生命体としての挙動が人類に劣りがちなのよ…」
何故なのですか。うちのねーさんとか、それなりに…。
「知能はあるのよ。ただねぇ…よーく考えてみてね。マリアリーゼが何か新しいものを発明した事、ある?」
うぬぬ…。どうなのでしょうか…。確かに変な服とか変なもんを作ることはありますけど…。
(ベラ子。残念だがスクルドさんの言う通りだ。確かにあたしやお前は尋常じゃない知識量を蓄えられるけどな、それは新しい発見や、そしてその発見に基づいた何かを発明するまでに至らない事が多いんだよ…)
何ででしょ。
「そりゃ簡単よ。例えばマリアヴェッラ。あなた飛行機の免許を持ってるでしょ。だけどいつも飛行機を飛ばしてるの?」
(つまり、あたしがスケアクロウの機長席に座る事がほとんどないのと同じだ。何かあってあれを飛ばす必要がない限りは転送で済むだろ。お前にしても、転送でカタがつかないことは殆どないはずだ)
「そうなのよ。あなたたちは発明や発見に到るほどの苦労をせずに様々な局面を切り抜ける能力を持っている。だからこそ、人類が感じる不便を直接に感じ取ってその対策を考える力に劣るのよ…これは仕方がないと言えば仕方ないの」
(ベラ子の欲望はともかくだ、回避方法はあるぞ。ベル君を思い出せ…ほら、比丘尼国に派遣してる、乳上の弟さん…)
あ!ベルテファーネさん!
「あ…おりましたね」二代目様も手を叩いておられます。
そうです。悦吏子ちゃんの交代要員として比丘尼国の元伊勢大神宮の本体…大江山要塞の設備管理担当として派遣されている人物です。
(実はベル君は数少ない男性由来の痴女種だ。そして、その職務上止むを得ず痴女種化してるんだよ…ほら、大江山の鬼さんとか、向こうの将軍様や武将の皆様は片端から巫女化してるだろ…で、突き合いのために痴女種形態の方が色々捗るんだよ…だが、普段は少年形態だ)
ほうっ。
(本人曰く、本来の仕事で起きた何らかの問題を解決する際の頭の働きについては少年形態の時の方が色々と対策を思いつきやすいらしい。で、あたしも何かの時にこの話を聞いてさ、思いつきに関する脳内心理状況のデータを取らせてもらった事があるんだよ。被験者は…そうとは教えていないけど、慶次郎さん他の男性陣、そしてうちの罪人や監獄国の囚人、そしてクリス父様とベル君には許可を得てセンシングしてみたプロファクティングデータとを比較してみたんだ)
どんな結果だったのでしょうか。どきどき。
(んっとな、葛飾北斎とか鳥山石燕みたいな絵描きさんや、平賀源内のような発明家だの、ダ・ヴィンチのおじさんのようなインスピレーションで生きてるような方々が創作のネタや、発明に際しての思いつきの脳活動のピーク数値を10とするぞ)
ふむふむ。
「甚だしく興味深い内容ですね。で、マリアリーゼ、クリス・ワーズワースの場合は…」
(スクルドさんもご存知の通り、クリス父様は擬似身体を付与していますが、その脳細胞はほぼ完全に人間当時のクリス・ワーズワースを再現できているはずです。で、人間当時のクリス父様のバイタルモニタリングデータ…身体が弱かったですからね…で記録できていた脳波信号を復号した場合が11って時がありました。これは苔類をベースにした惑星開発用半生体微生物の開発成功時です。そして痴女皇国での駄洒落菌発見時やインポタケシリーズ開発時と、それからアルカロイド成分の性欲亢進物質転換操作の成功時…この時に10.5。まぁ最近は新開発するものも少ないのですけど、それでも9前後は記録できているんですよ)
「ふむ。流石は…痴女種能力が加勢に入るとこうもなりますか…思ったよりは女体化による劣化は少なめですね、マリアリーゼ」
(でな、ベラ子…慶次郎さんたちは戦争の際に戦術や戦略をその場で思いつく必要があるだろ。だから10近い数値を常に叩き出しているんだ。そして…監獄国の囚人でも、工場勤務者を中心にカイゼンをいくつも提案している優秀な従業員は同じくらいの数値を弾き出している。で、問題はベル君なんだよ…ベル君は知っての通り、お前に挨拶した際に乳上クリソツの痴女種状態を見せているし、それに少年の形態を取れるだろ。で、両者の場合のインスピレーションピークは男性形態時に8から9。そして…痴女種モードの際だけどな…ピーク値が6から7に減少するんだよ…)
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