闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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聖女様は助平がお好き?・2

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(確かにマリアヴェッラの抱く懸念に一理あり。アグネス様にとって改選直前にワーズワース様の身に何かあれば…それはあちら…NBの政治の世界でアグネス様には有利に働く話ともなりますね。ただ、平民の捉え方によっては陰謀と見られかねませんね)

(ベルナルディーゼ。となりますと、やはりアグネス様は野望をお持ちであると)

(ええ母様。NB副首相ライアン・オコーネル氏も確か今期で引退。その後任には長男アダムズ氏をお考えのようですが、アダムズ氏はNB宇宙軍アークロイヤル級艦長の立場であり、大佐であられますね…つまり、選挙に出るにはあと少し出世しておく方が有利な状況です)

あ、二代目様は中井ティアラちゃんの身体を使って、そのアグネスさんとギシギシあんあんやっておられる最中ですが、一方で我々と閉鎖心話中です。

(なるほど、それでアグネス様にも下院議員選挙出馬の打診がご実家から…)

(ヘンリー・ワーズワース氏はNB首相2選目であり、この改選前に下院解散などの事態に陥らない限りは一旦は自由労働党総裁の地位を降りる予定でしたが、ライアン氏が高齢を理由に引退を表明なさいました)

これが実はワーズワース陣営にとって、少し意外な話だったようなのですよ…この春先に体調不良を訴えられたライアン・オコーネル氏は82歳でして、ワーズワースお祖父様からは延命措置を勧められていたんです。

が、いつまでも年寄りが居座ってもと4月の終わりに引退を決意。これをワーズワース大公も認めざるを得ず、今回の下院改選と内閣改任に少なからず影響があると聞いています。

(一方で痴女皇国技術により回春処置を受けた検体であると公表しておられるワーズワース氏、特任承認を取って3選目をとりあえず狙い、聖母ジーナ様とアグネス様が議員の地位を獲得した後でタイミングを図り任期中途で引退、そして聖母様に自由労働党総裁、すなわちNB首相の地位を与えようと画策しておられますね)

ただ、この特任承認が取れるか。これが微妙らしいんですよ…。

ちなみにこの辺りの選挙の話は折に触れて出ていますが、NBの選挙制度についてはこのお話の後書き辺りですかね。後、首相の連続三選について元来はNBの国政法で禁じられているのも悩みの種のようですよ。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/60/

(ふむふむ。これが聖母様やマリアリーゼが打診を受けていたNB政界行きの話であると…)

(付け加えますとライアン・オコーネル氏はアグネス様の実父でいらっしゃいますね。一方、次期下院選挙で政権与党総裁の地位を狙うのはグレッグ・オルスコット議員…長女に故ローズマリー・オルスコット様がおられま自由労働党幹事長や円卓騎士団員の地位を一旦は降りられたようですが、再起を図っていらっしゃるようで)

(何度もヘンリー氏が首相に再選されるのもNBとしてはあまりよろしくはない。しかしながら、痴女皇国との関係をあまり重視していない閣僚や、対連邦へのタカ派の閣僚がNBの長に就くのも困り物であると考える者が国民世論の趨勢すうせいを占めておりますようで)

(確かに、そのおるすこっととやらが施政の長となり、果ては我等との関係を反故にされると困るは我々とて同じ)

で、何で神様とその娘さんが二人してNBの政治体制や選挙に関わる問題を、こうも詳しく話せるのやら。

はい二代目様。

(んなもん、私がどれほどの期間、ルルドとヌヴェールで無聊ぶりょうかこっておりました事か…そりゃあ政治について一家言申せるくらいにもなりますわよ)

(なるほどベルナルディーゼ。ルルド勤めはであったと)

(マリアヴェッラ。はっきり申し上げますが、聖院の地下墓所ではなく、あんな場所に行かされたのは一体全体どこの誰の差し金か理解しておいででしょうね?)

(あらあらベルナルディーゼ…そなたは聖院初の聖女様ではないですか…彼の地で聖女の系譜に相応しき者を探せと申し付けたのは確かにわたくしですがっ。ほほほっ。それにマリアヴェッラは家族会ほぼ満場一致で聖母認定を受けておりましてよっ)

(ぐぬぬ…マリアリーゼ!貴女は聖女認定者!わたくしに加勢なさい!)

(何を言い争ってんですか…だいたい、ワーズワースの爺さんなんてそもそも男性性別にこだわってる限り、あたしらが寿命伸ばしても200年がいいとこなんですよ? それに爺さんにはあたしが一応は説明してますけどね…新型検体用素体ならもうちょい寿命伸ばせるけど、息子の嫁に色目使うとかしたら場合によっちゃ自動懲罰だよって…だからまだ、新型素体には切り替えてませんし、アグネスおばさまの懸念もあったから聖環アップデートは止めてます。ただ…1年以内には切り替えてもらわないと色々と弊害は出るって言ってますけどね)

前はもう少し寿命伸ばせるって言ってませんでしたっけ。

(黙っていた事がある。クリス父さんに関する限り、ベラ子にはご褒美な事実だがな…性別だよ…)

ぎゃあああああ…。

ええ、クリスおじさまだけじゃありませんよ…うちの叔父とか串刺しおじさんとか、軒並みこれを聞いた瞬間にそれは嫌だって瞬間的に反応する話だったんです。

寿命をもっと伸ばす事イコール、現状では最終的な性別に痴女種を選択してもらう必要があるって…。

そしてあたしは現状で自分で出来る事ですね…おじさまに髪はロングの方がお似合いですよとか囁きながら、事あるごとに男の娘スタイルを強要しています。

そして痴女宮内や門前町を二人して変装歩行していますよ。あ、この時のあたしは髪の毛ストレートでポニテとかアップとか色々変えています。

ええ、もちろんおじさまを抵抗なく痴女種化に合意させるための涙ぐましい事前工作です。これはそれほど焦る必要もありませんので、じわじわと意識改革を図っていますよ。

例えばあたしが「自分が男の娘」であるかのように振る舞いながら女官に口でちんぽの処理をさせている動画を送りつけて「おじさまも自室担当女官のお口でこれをさせてみて下さいよ~♪ベラ子はおじさまが無理矢理女官に口おめこさせてメス声上げてるのが見たいの~(ハート)」なんておねだりしている訳ですよ。

当然、おじさま用の女性服やら靴やら下着、更にはお化粧道具まで密かに揃えて、徐々に使用しています。

(それであたしが後輩にカマレズとか仕込んでた話を聞きたがってたのね…確かにあたしはそっち方面に男引っ張り込んだの1人2人じゃないけどさ、ほんとクリスくんには慎重にやってよ? 何かあってもあたしが庇えないよ?)

ええ、この計画は雅美さんの監修で、極めて慎重にじわじわと実行していますよ。

何でも女装はおじさまのトラウマの一つでして、昔、ジーナ母様にそれに近い事をされた時は激しく抵抗したそうですが、あたしだとまだ安心して付き合えると。

そりゃそうですよ…母様には面と向かって言ってませんけど、変態の道を歩ませるには変態行為にちゃんとお付き合いして褒めておだてて、更には女装させたならちゃんと一緒に歩いてあげるくらいはしないと、ただでもデリカートデリケートなおじさまですよ?

お亡くなりになったローズマリー夫人にしてもですよ、成長期で男に見られたいか男の第二次性徴が出るのを嫌がるかの二択状態のおじさまに変な迫り方したから、おじさまが嫌がってたんでしょうが。

全く、ローズマリーさんのせいで、あたし「も」苦労しているのですよ?

(マリアヴェッラが末恐ろしく見えますわね…)

ええ、あたしの記憶から、あの美男公本人じゃなくてドラマで美男公を演じた役者さんも真っ青なおじさまとあたしの2ショットや絡みを見たのでしょう。二代目様の呆れ声が伝わって来ます。

あれ、首から上なら本当に女二人の絡みに見えかねないんですよね…しかもその画像って「奇跡の一枚」じゃないのですよ。

(全くさぁ…あのクリスくんが死ぬほど嫌がってたイナリズシショップってサークルの本あるでしょ…まさかあれよりエグいカマレズ風味の仕込みを考える? 普通…)

(ふふふふふ、おじさまのアナルがあたしのちんぽを受け入れるまであと一歩、あと一歩なのです!)

(やはりマリアヴェッラに聖女認定を出さなくて正解だったわね…マリアリーゼに票を入れたのは正しかったとしか)こらこらこら!

(いえいえベルナルディーゼ、マリアリーゼに比べればまだまだ…マリアリーゼ、貴女…へんりー様の引き際について考えておられますわね?)

(もちろん。それとオルスコット議員…グレッグさんは例のローズマリー事件のせいで閣僚辞任、円卓騎士団除名になりましたが手腕や人脈もあって議員辞職は免れています。そしてNB国内の対連邦強硬派と反・痴女皇国派の実質リーダーになっていますね)

(その口調ではおるすこっと氏の失脚、果てはせいじ生命抹殺を考えていますね)

(えーとね、4月の夜会にグレッグさん招いたんですけど、事情があって欠席と。ただ、グレッグさんも全く自分の陣営の人間を参加させておかないのも怪しまれるだろうからと、何名か来させてますよ。で、ベラ子と握手してます)

(ふふふ、逃さないと…)

(現状で…グレッグ氏の間接感染は確認していますよ。そして自己懲罰機能が作動したが最後、あと半年以内には、脳血栓だろうと心臓麻痺だろうと大動脈急速剥離だろうといつ起きても不思議じゃなくなりますね。NBの細胞賦活制御技術じゃこれ、修復不可能なんですよ…危険部位を置き換えさせたところで、こちらの植え付けた駄洒落菌培地型鬼細胞がガンのように復活してきますから)

ああ、そうです…姉はローズマリーさんのご実家が「完全に断絶するだろう」としているんですよ…。

(いや、あたしらに協力する姿勢を見せてくれたらそんな病気や老齢化は影も形もなくなると思うんだよ。少なくともあの夜会に来るくらいはしてくれてりゃ、また話は変わってたんだけどさぁ)

(あれは姉を崇めぬ不信心者を祟るしろもの、その対象を聖母と聖女に変えたのでしたかしら?)

(そうですよ。今回の聖環の自動懲罰機能とペアになります…そして黒薔薇または紫薔薇資格者には特にきつい機能がつきましたから…)

(それを聞いたからこそわたくし、なしの身体をお願いしたのですがねぇ…ま、マリアヴェッラに当面、あいのりしておくと致しますか)

正直邪魔なんですが、姉いわく「ベラ子の監督役にちょうどいい。それに堕天使や雅美さんが万一にも暴走した場合の抑止力が常駐してると思え。初代様がいる限りお前の籠絡なんざ金輪際無理だからな…」ええ、お目付役だそうですよ…あたし姑と一緒に行動したくないのに…。

(その代わり、マリアヴェッラの身に何がない限りはなるべく大人しくしておいて欲しいと言われていましてよ。だから普通に過ごして大丈夫…まぁ、1日に20回は誰かとおめこしているような普段の暮らしが普通かと申しますとねぇ)その指摘が嫌なんや、おばちゃんっ。

(ベラ子の嘆きはともかく、そもそも黒薔薇は基本的に何かあれば皇族と接しますし、紫薔薇も全力活動が出来なくなるだけですからねぇ)

この会話はアグネスおばさまには内緒です。

というのも、おばさまは紫薔薇所属になっていましたよね。そして精気を自己体内精製できるとも。

(ただ、今回のアップデートで基本的には既に現地浸透の任務を渡している紫薔薇と同じ仕様だ。その精製精気で活動すると、個人に与えた制限差はあるけど一人卒から百人卒までの力しか出せねぇ。ま、潜入活動ならそれで充分だろ)

つまり、電気自動車の補助発電エンジン…レンジエクステンダーが作動したかのような低出力駆動状態になってしまうそうです。

で、黒薔薇なら黒薔薇本気の動きをしたいさせたい場合、皇族が供給下賜する精気…航空機用の高品質ハイオクガソリンと姉は言いますが、黒薔薇や幹部紫薔薇の場合は皇族精気をもらわないと長期的には身体性能すら劣化すると…。

(サリアンどうするんですか…彼女は今、痴女皇国の方のロンドンでしょ…)

(博子さんとセットで一時的な出力制限を入れてる。両方千人卒扱いだけど、今のロンドンじゃ充分だろ。それにフランスに行けばマリーかジョスリンに補給してもらえるだろ。聖女属性者なら千人卒稼働できる程度の純度で渡せるよ)

(まぁ、効果が見られない場合はまた手を考えるわ。それと…ジョスリンは黒薔薇だがマリーと依存関係を組ませたから、ベラ子に来る心配はしなくていいぞ!うははははは)

(ねーさんの気遣いが身に染みます…)

(ま、フランスからは…あの魔性の女のリヴィエラさんいただろ、あの子が海兵降下部隊扱い…つまりジョスリンと違って純然な軍籍者としていずれは着任する予定だ。聖女判定が出たから、ジョスリンはフランスに簡単に戻せなくなったんだよなぁ…もともとヤバい仕事してた子だし)

そしてこの精気供給対象を選ぶ機能、アグネスおばさまの制御用でもあると…。

(ま、保険よ保険。おばさまはあたしらともはや不可分だって自覚してくれてるからな。とりあえずグレッグ氏には息子さんがいるが子宝には恵まれていねぇし、奥さんの意向は…あたしらの不妊治療に頼るなって事で握り潰されてんだよな。つまり家庭不和が発生してる。ま、さっさと別れてテンプレス・ブライダルに駆け込んでくれたら何とでもしてやるよ)

つまり、ねーさんは今回、グレッグ・オルスコット氏が自由労働党代表選挙に勝利するも…任期を全う出来ない何かが起きるとお考えで?

(ま、未来を読んだらそこが分岐点になるだろ?ただ…あたしらは下手な占い師やら何やらより一つ上手の連中…厳密に言えば三柱の力も借りられるだろ。二代目様、如何したもんですかね)

(皆まで言わずとも。やはりこの中井王冠の身体、正直を言えば私の身には窮屈です。一応、そなたらの頼みもありますから万卒の位は与えておきましたが…後は修練あるのみでしょう。それよりアグネス・オコーネル・ワーズワース様の身体をお借りする方がマリアリーゼの頼みを聞きやすいかと。アグネス様、よろしくて?)

(私は構いませんが…)

(あとマリアヴェッラ。貴女はいつぞやのブローニュやヴァンセンヌの時よりは物分かり…良くなっておりまして?)

へいへい。もう二代目様が何を申されたいか承知しておりますよっ。

(ねーさん直接覗き禁止。それで手ぇ打ちますっ。二代目様の…いえ、三姉妹様のお告げが聞けたらいいんでしょ?)

(ちっ。あんまハメ過ぎて羽目外すなよっ。一応ベラ子の保護者でもあるからバイタルと精気流動はモニタさせてもらう。あと初代様、二代目様経由で運命選定種との交渉、お願いできますか)

(合点承知。流石にこの話、マリアヴェッラだけに重責を背負わせるに忍びず。マリアヴェッラもよろしくて?)

お願いします。

またえらくベラ子が素直だなと思われた方へ。

初代様が真剣だったからです。

それと、初代様があたしの前に出て二代目様憑依のおばさまと致すと喧嘩になるらしいので、初代様は交渉役に徹する模様です。

で…二代目様はNum…つまり尼僧服が好みなのでしょうか…あと、アグネスおばさまの時は紫色ベースなんですね…。

で、尼さん姿と言うと…ストッキングこそバックシーム入りの黒ですが、ガーターベルトやブラやおぱんちゅが紫ベースの穴開きど助平仕様。確か二代目様も御年この度一千さ…痛い痛い痛い乳首噛まないで下さい!

事実を申し上げただけでこの仕打ち、ムカつくので取り出しましたる黒洗濯ばさみ4つで舌と乳首とお豆を挟ませて頂きます。

と言っても、アグネスおばさまに被害が及ばないように軽めですよ? あたしがしばき回したいの、あくまで二代目様であっておばさまではありません。

あと…二代目様が呼ばれた御三方。

皆様にも危害を加える気はありませんよ。あくまで目標はこのどぐされスケベ尼さんですからね?

(ったく…そりゃ、こんな跳ねっ返り相手ならバルキリーも苦戦しますわね、ウルド姉様…)

(ええ、ヴェルザンディ姉様…こんなのにバルキリーやフレイヤがしてやられるとは)

(お待ちなさい妹達。我々は喧嘩を売りに来たのではありません事よ)

(え…と…どちら様で…)

なんかいきなり現れた女神様みたいな方々ですけど。割と結構失礼な事をのっけから言われましたし、しかもその無礼な事を言いやがった一番下の妹さんらしい方、あのいつぞやのいけにえ村でやり合った戦乙女とやらの姿じゃないですか…。

ですが、一番上のお姉さんらしいき方が手を上げて、その末の妹さんを制します。

(第二十三代聖院金衣女聖になるのですかね、痴女皇国二代目皇帝、マリアヴェッラとやら)

(我等は見ての通り、北欧神種族の末裔。巨人ミーミルの一族の者にして運命を紡ぐ者)

(そなた、地球のルルドでモイライ三姉妹に会ったでしょう。あれは我等と同じ役…ただ、受け持ちは違いますがね)

ふむ。

ねーさんも北欧神種族だからと言っていきなり戦争する気はなさそうです。

それに、あのルルドでお会いした人の運命を決めるというお役目の方々のお仲間であれば、人をいけにえに捧げさせてどうのこうのとやっている訳でもなさげ。

更にはこちらの話を聞いて下さる雰囲気。

(まぁ、マリアヴェッラ…とりあえず、その奥様との行為を継続なさい。そなたなら2つ以上の事を同時におできになりますよね。そなたからの力をべルナルディーゼに与える事で、我等三姉妹はこの場に留まる事が可能。しかし、いつまでもという訳には参りません)

木片に書かれた文字らしきを読みながら告げる全裸…でもないか、布を纏ったお姉さんが申します。あ、文字はいけにえ村の要所要所に書かれていたのと同じっぽいですね。

(これは古来より我等の定めた人の生を記すルーン文字。そして我等の長姉たるウルズ…ウルドの定めた一節に従い、そなたに今を与えましょう。しかしてマリアヴェッラ、そなたの用向きは私ヴェルザンディではなく、末妹スクルドにあるかと)で、天秤を片手に持ったお姉さんが申します。

え。

この戦乙女さんに聞くんですか…嫌な予感が。

(あのねぇ…あれだけヴァルキリーの一人をボコボコにしておいて、タダで未来を聞こうなどとはおこがましいにも程がありますよ…まぁ、あれはゲフィオンも悪いから消されて妥当でしょう。さてマリアヴェッラ、私ども三姉妹は北欧の神であって北欧の神にあらず。かつては人の数、肌の色や言葉や風習の数だけのモイライやパルカエ、そして我等ノルニルがおりました。ですがそれらは神同士の争いや共食いなど、様々な出来事を経て、そなたらの星についてはモイライが取り仕切るようになりました)

(しかるに人は別の星に行き、住まいを作る始末。そこで彼の地の人々の運命に関して定めを為す役が求められ、我等三姉妹がそこ…そなた達がNBと称している星での生まれた者についての定めを量る事となりました)

(正直、何で我等の太陽から遥か離れた場所で人の運命をまたぞろ紡ぐ羽目になるとは。私たちは北欧神種族を根絶やしにされかけた事よりも、むしろ何が悲しうてせこせこと。しかも妖精も小人もいないので大変なんですよ?)

何となく言いたい事は分かります。

でまぁ、それなら姉に頼んで初代様や一時期の二代目様のように仮の身体を用意してもらうか、あるいはアフロディーネちゃんやペルセポネーゼちゃんみたいに痴女種として生まれてみてはいかがでしょう。

めんどくっさい事からは逃げるのも一手でっせ。

(それが出来たら苦労してませんわよ…ラケシスもアトロポスもクロトも文句たらたらでしたでしょ?)

エマ助。ちょっと来て。

あんたこういうの、スクリプトとかバッチとかマクロとかで、ある程度自動化出来ないの?

あたしもゆっきーが気にしてた時、占星術の教科書の電子ブック読んでみたけど、基本は惑星の配列と角度で決まるもんよね。

(まぁ、出来なくはありませんよ。ただ…もう一つ要素があるんですよ。その時に「生まれる」か。これも決める必要がありましてね。いくら強い運勢を持って国なり星なりを牽引して行く指導者とか支配者が出来る時があったとしても、その時刻に生まれる子がおれへんかったら運勢も決められまへんわな)と、ドカ○姿ですけど、何故か土建業者様御用達とおぼしきごっついパソコン片手に来たエマ子です。

そして来るなり座り込み、手に持った缶を一気に空けておりますが。

どうでもいいけど今日はビールなのね。

(比丘尼国はそろそろ暑い時期ですよって。NBはまだ温帯以外でも作業がありますねんけどな)

(そーなのよねー。いくらそそのかしても産んでくんなきゃそもそも生贄になる運勢すら定めらんないもんねー)

(未来決めるのもこれはこれで大変なんですからね。マリアヴェッラ、ちょっと代わってみる?)

やです。ねーさんも死ぬほど嫌がってたし、嫌がった理由も聞いて知ってますから。

(だけどねぇ、あの星の住民の運勢が決まるような話でしょう。…はぁ…貴女を助けたくはないのだけど、せっかくの職場を失くすのも嫌だから一つだけ聞かせてあげましょう。勿体はつけません。死亡順位はヘンリー・ワーズワースを先になさい。いくらグレッグ・オルスコットが邪魔でも先に処分してはなりません)

なんでまた。

ですが、巻物を開いてあたしに見せる戦乙女様。

だからその三角とか四角とか組み合わせたけったいな文字、あたしには読めんっちゅーねん。

(ルーン文字くらい覚えなさいよ…まぁいいわ。今挙げた名前の男性2名、互いの死期は似通っています。ただし…完全に何年何月何日とがっちり決まってる訳でもないのよ。そしてそこに貴女方の介入の余地を作っておきます。ですからマリアヴェッラ…上手く行けば、貴女達の側で面倒見てる人類も引き続き貴女達の資産として抱え込めるし、私達やモイラも職を失いません。何よりナンム、貴女もそうでしょ? だからマリアヴェッラの責任、結構重大なのよ? 私が喧嘩しないのはかかってこれ。失敗は許されないわよ?)
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