闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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仏蘭西戀物語・エマニエル夫人の恋人 7

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「ししししし侵略?」

「いやいやジーナ閣下、これは別に本当に痴女皇国が我が共和国を侵略対象にすると予測している訳ではありませんよ。お取り違えのないように願いたい。そしてマリアヴェッラ陛下、以前、イタリアを対象とした聖娼施設開設をお考えになられた事はありませんかな?」

「あー、確かベラ子が鬼退治作戦の辺りでなんか思いついてたよな。あれ結局どないなったん」

「いえ、ラッツィオーニ閣下にチラッと話はしたことあったんですよ。ただ…バチカンがローマにある以上、さしものイタリアといえどすぐには無理だって話になりまして、現在は様子見ってところですね」

「で、これは…マリアリーゼ陛下からの入れ知恵でしてね。皆様が行かれたルルドがございますな。あちらはカトリックの一大聖地でしたでしょう?」

「ええ…確かに大きな教会ですとか聖廟ですとか…修道服姿の方も多数拝見しましたけど…」

「そして今から遡る事200年以上前のナポレオン3世統治下とは言えど、産業革命が為され活版印刷はもちろん、写真撮影技術も実用の域ではありました」

「ですね、聖女様や当時のルルドのお写真も拝見させて頂きました」

「即ち、その時代に起きた出来事について信憑性の高い証拠が残せたのです。そんな状況下で奇跡が起きた。奇跡の内容自体は人によっては眉唾かも知れないが、どれほどに否定的に見ても、全くの絵空事とは言えないでしょう」

「ただ、私が仮にキリスト教の教皇であれば、非常に残念な知らせに思うだろう」毒盛り兄貴が静かに申します。「なぜ、我がイタリアで奇跡が顕現しなかったのか、とね。そして大統領閣下…であらせられますか。申し上げたきは奇跡が顕現したが故の宗教的聖地認定を受けたこの国で、二度三度と奇跡が起きても不思議ではない。聖母に祝福された土地として肯定的に民衆を誘導可能。そうではありませんかな?」微笑みながら言う毒盛り。

「ええ。チェーザレ猊下の言われる通りですよ。ルルドに聖母が降臨したのです。パリに聖母が降臨しても不思議ではない。ヴォージュ県ドンレミか、はたまたオルレアンならもっと良かったかも知れませんがね」

「そして、聖女を火炙りにしたはずのこの国に別の聖女が現れた。奇跡を伴って、ね」ワーズワース卿もおごそかに申されます。

「チェーザレ君。逆に、連邦世界でなぜ、フランスだったのかを考えてみようじゃないか。そうだね…当時の我が母国はそれこそ世界の覇権に王手をかけていた。植民地を含めれば、世界最大の領土を誇り日が沈まぬ事を標榜できる大帝国だったのだよ。…だが、そんな旺盛な国力を誇る国に聖母様が降臨しても有り難みがあるかね。そして…我が母国、連邦世界では昔、清教徒革命なる出来事が起きて以降、ローマ法皇の率いる宗派が力を失っているのだよ。仮にルルドと同時期の英国で奇跡が起きたとしても、聖遺物を珍重するカトリックとしては、聖母様の奇跡が英国に起きたとは喧伝しづらかったと思うよ」ワーズワース卿、聖環をメディアウォッチモードにしてカンペにしていますが、「痴女皇国世界の」毒盛りに連邦地球の歴史を伝えてますね。

「そして、貴国イタリアだが…1848年に革命運動が起き、イタリア「王国」としてようやく統一されたのが1861年だ。そしてバチカンはこのイタリア王国建国の際のあれこれで教皇領の相当数を失い、イタリアとの関係が悪化した。更に普仏戦争の煽りを受けて当時のバチカンを守護していたフランスが撤退すると…イタリアに接収されてしまうのですよ。その接収解除に当たって教皇庁と新たに条約を締結したのがですな、イタリアに軍事独裁政権を築いた結果、時刻表通りに列車が走り犯罪組織が一番元気を失くしたと言う実績をお持ちのムッソリーニ総統というのは皮肉めいているかも知れませんな」大統領閣下もイタリアの歴史についてお教えなさいます。

「ふむ…では、当時、イタリアで奇跡が起きても下手をすると教皇の耳に入らなかったか、祝福する事すら不可能だったと申されますか」

「ええ、国内統一を巡り…1818年頃から内戦下にありましたね。しかも統一過程でイタリア国内教皇領をあらかた失ったバチカン、イタリアとほぼ絶交断絶に近い関係になってしまうのですよ。これまた、ワーズワース殿下の言葉を借りれば「奇跡を起こすありがたみがない」状態だったのです…当時のイタリアも。そしてドイツ…猊下の時代には神聖ローマ帝国ですか、そこは我がフランスと戦争に突入しておりましたし、もっと問題点がある」

「大統領閣下。マルティン・ルターですかな」

「ええ、大公殿下。何やら歴史の授業をやり直している気分ですが…チェーザレ猊下。このルターと言う人物が起こした宗教革命は神聖ローマ帝国のみならず英国や当時のフランス王国など、欧州を席巻したのですよ。そして…その是非はともかく、ルターが生まれ活動したドイツでカトリックは絶対宗教勢力ではなくなったのです。これまた、聖母の奇跡を純粋に尊び守り伝えるかと言えば…」苦笑いする大統領閣下。

「清教徒とやらは聖母を崇めては下さらぬので?」と、素直に毒盛りは尋ねますが。

「あー、それあたしが答えるわ。と言うかベルナルディーゼ様…二代目様の方がいいっしょ」とマリ公。

「ではマリアリーゼに代わってお伝えします。簡単です。そのルターとやらは聖書の記述を重視し、聖書に書かれていない事を押し付けるのは良くないとして、当時の欧州を席巻していた絶対王権制度を否定し、王の権力を弱体化する動きを助ける論調を世に広めました。すなわち、聖書という書物を一種の法規または法則の根拠文献とみなしたのです。で…王を否定しかねないルターの論法では、人の形を取った聖女の価値を優先してくれるでしょうか」

「いわゆる法律や規則で議会だろうが貴族だろうが王族だろうが縛る、法治国家の考えの原型となる思想を説いたのがルターって神父さんなんだ。で、まぁ当然だけどバチカンからは破門されてるよ」

「なるほど…つまり皆様が言われる芋を有難がるお国も、聖母顕現の場所として相応しくはなかったのであろうと…」

「ええ、ワーズワース様もポワカール様も申される通り、聖母の奇跡を示すのに適切な場所は当時、正にあそこが最適だったのですよ」

「ではお聞きしたい。今のパリは最適と申される、と?」

「それはマリアリーゼに答えて頂きましょう。マリアリーゼ、お願いしますよ」

「へいへい。で、あたしも今のパリに聖母の奇跡ってのを起こすには下仕込みこそ必要だけど、まぁ悪くはないよなと思うんだ。むしろフランス革命以降に特に顕著になったんだけど、表現の自由を尊重する国民気風とバチカンの根深い対立があってね、そしてさ、よりによってそんな国の外れの田舎町で聖母の奇跡なんてものが起きたんだからそりゃあ大変な事だったと思ってよ、兄貴」

「うむ…」

「で、あたしらが見てきた通り、ルルドはパリについでフランスで二番目にホテルの客室数が多い巡礼地に祭り上げられたんだ。そして今回パリで何らかの奇跡を起こしたとしようよ。その奇跡の内容にもよるんだけどさ、奇跡を起こした理由付けが今、地球上で一番説明しやすい場所なんだなこれが。はっはっはっ」

「な、なぜにまたパリを…」

「おいベラ子、おめーは確かにイタリア生まれで半分はイタリア人だが、痴女皇国の皇帝だろうが。それに血筋から言うと、あたしやかーさんと同じ半分ロシア系だ。仮に今、ロシアで奇跡を起こして有り難がられるか?」このマリ公の言葉には、ベラ子のみならず全員が首を横に振ります。まぁ、仕方ないねっ。

「そしてイタリアが第一候補に上がらねー理由なんざ簡単よ。そもそも全国民の過半数が奇跡を喜ばないんだ」

「えええええ?」

「だって南北での経済格差を埋めるような奇跡を起こせるか? それは別に奇跡を起こさなくても、例えばイタリア何の木社がローマの南に工場を作るとか、ナポリ港に大規模な物流センターやコンテナ扱い埠頭を作るとかして現地の雇用や経済を支えるだけで充分じゃん。つまり、今のイタリアならわざわざ奇跡を起こすほどでもないのさ。南北経済格差を埋めてイタリア共和国を振興させるのは人の手で充分に可能なんだよ」

「マリアリーゼ。更に、この連邦世界でのバチカンの権威の低下を考えますと、余計にイタリアは第一候補ではなくなりますわね…」

「あ、二代目様が第一候補って言っておられるのに注目な。んでさ、これがパリなら難民移民問題が未だに尾を引いてる上に、既にルルドって聖母降臨実績のある土地が領土内だ。ルルドで起きたんならパリで起きても不思議じゃねぇ。大統領閣下やお祖父様の言う通りなんだよ。現に…うちらがルルドでこっそりやらかした件…大統領閣下、ジョスリーヌさん、あれの反響ってどうよ」

「ああ、それは大騒ぎですわ。大規模な奇跡顕現という事で現地の司祭はもとよりルルドのコミューン市長や県、そして地域圏議会議長までが祝意を発し臨時の祝祭を始めようという話にまで。バチカンからも近く教皇猊下が訪問される運びとなっております」

「…ただ、奇跡の実態、密かに連邦上層部とバチカンを含めた各国首脳にはお伝えしておりますよ、マリアリーゼ陛下のご指示通りに」とフランス陣が片棒担ぎを暴露。

「ふっふっふっ重畳重畳。でぇ、カトリック勢力がある程度強くて、かつ国政に強く関与していなくて、聖母や聖女と言った事例に実績のあるこのフランスだからこそやりやすいんだよ。聖母の奇跡の地だって宣伝しやすいし、そもそもよその国から巡礼の団体列車や臨時の航空便が頻繁に来る土地柄だ。実績はあるんだ。そしてお祖父様…英国で奇跡ってやつを仮にやってみるって、どうですかねぇ」ニヤリと笑ってワーズワース卿に話を振りますが。

「マリアリーゼ。有り難迷惑な行為になるからやめなさい…英国では、ね」と笑い返すお兄さんなジジイ。

「ですよねー。英国国教会も処理に困りますよねー。…で、毒盛り兄貴、現代のフランス共和国ってさ、中央集権型の官僚国家でもあるわけだからね。大統領閣下や政府の意向は極めて強力に国内に浸透する。だから奇跡を起こした謎の勢力に居座ってもらおうって便宜を図る動きに反対する連中がでかい顔出来るたぁ、あたしにゃ思えねぇ」

「即ち、大統領閣下や政府がパリに聖母教会を設立して、こちらのバチカンのような小さな国としての権利を求めたとすると…」

「その奇跡の内容によりますが、フランス共和国の利益となるならば全く問題はない。ただ、奇跡を求めてルルド以上の数の人々がパリに殺到されるといささか困りはしますな。対策はお持ちかと存じますが」

「そりゃ考えてるさ。ほれ、例のいけにえ村。あれが隠れるやり口に近い手口で、こちらの気が向いたら出てくりゃいいんですよ。ま、こんなめんどくさい手口考えた理由、法治国家が趨勢を占める連邦世界の地球にですね、中世時代の倫理観を基準にして都市国家作ったあたしたちの公式外交窓口を常設すると、連邦世界との政治経済思想その他諸々の齟齬そごがありすぎるからなんだけどね」

「しかしなぜパリに…」

「もいっこあるぜベラ子。この国は売春産業の歴史もまた古いんだ。だから売春を受け入れる素地が十分にある。そしてパリは欧州地域の交通の要衝だ。高速鉄道ならアムステルダムまで4時間、ロンドン2時間、ドイツ西部北部には3時間から4時間。そして欧州地域のハブ空港も、パリ近郊にでけぇのが2つもある。人を集めやすい立地なんだ。だから精気収集拠点を設けるにはうってつけなのさ、共和国政府のお許しさえ頂けりゃ、な」

「先ほど話に出た欧州売春地帯への人身売買。これを阻止する名目もあるとすれば、珍しい権利を主張する連中もでかい声上げへんやろ」と、あたしも助け舟を出しておきましょう。

で。

今回の囮役、聖院の子達を返した穴埋めにと呼んだ腐れ縁の知り合いがいましてね。

そして犯罪取り締まりに関してフランス国家憲兵隊や国家警察の上位組織の所属者として動ける人でしてね。

「あのさぁジーナ。若返りさせてくれたのは恩に着るわよ。けどこれはないんじゃない?」

「お黙り。これくらい付き合ってぇや」

「…いえね、上海あたりでモーターショーやってた時代ならこんな阿呆な服着てるの結構いたわよ? けど台湾ならまだしも他所様の国でこれはねぇ…」と、自分の姿に文句を言うクッソやかましいおばはん、いやもといお姉さんを呼びつけさせて頂きました。ええ、R15枠ではともかく、R18枠のお話の方では初登場かな、連邦法務局パリ本部勤務、黄美娜ほんみーなーさんです。

「おやワーズワース大公殿下にポワカール大統領閣下。悪事の相談でしたらご遠慮願いたいのですが。特に地球制服とかろくでもない話はさすがに捜査部法務官としても手に余りますので、宙兵隊に話を振るしかありませんね」と、満更でもなさそうな、歩く18禁どすけべキャンギャル風立ちんぼスタイルなのを棚に上げて言う国際婦人警官。

「地球に制服を着用させる話なら、俺の手にも余るんだがな。黄法務官、今までの話は聞いてたかい?」

「ええもちろん。はぁ…お陰様でワーズワース大公やクリス君は元より、ゴルディーニ閣下と初めてお会いしたくらいの年齢には戻して頂けましたがねぇ。しかし法務局としての見解を申させて頂きますと、フランス共和国への売春夫移民不法ビジネス、これは十分に国際捜査対象にすることが可能に思えます。フランス国家憲兵隊または国家警察からの要請を頂いた場合、ですが」

ちなみに黄さん、名前を挙げた連中とは古くからの顔馴染みなんですよね。

対NBとの密輸事件捜査中に「たまたま」NBから持ち出された惑星改造用地表処理地衣類型ナノマシンの試作品を収めたコンテナを押収、地球に向けて持ち帰る民間船徴発の該当船が、当時のあたしが雇われ船長していた貨物船でしてね。

そして国家事業推進のための機密も機密だった件のナノマシンを取り返そうとしたNB側と、連邦宇宙軍の哨戒駆逐艦搭載航空機分隊に左遷されていたゴルディーニのおっさんの乗務艦と、荷主…連邦法務局の証拠品貨物監視官を担当した黄さんが添乗したあたしの乗務貨物船がニアミスいたしまして。

で、即奪還するよりも地球圏に押しかけて黒船外交ぶちかましたれと目論んでいたNBに名目拿捕されたあたしら、捕虜という名の親睦親善航海を延々1ヶ月近く続けて地球に戻ったって話があったと思って下さいませ。

更にはこの航海中にクリスとあたしはデキちゃった訳でしてねぇ。ふふふ。

ですから、天の声がその辺の話をするより先に後日談たる聖院や痴女皇国の話から先に皆さんに一連のことを公開してしまっただけで、黄さんと当時の関係者の間ではちゃんとした挨拶をすっ飛ばせる程度にはお互い顔馴染みではあるのですよ。

「黄さん、その組織を活性化させて炙り出すのに、今回のヲカマ狩りが有効やねんて…」

「そりゃジーナ、きっちり説明してもらわなくても筋書きはわかるわよ。パリで性倒錯売春者が大量に行方不明になる事件発生。当局は捜査に乗り出しはしたが不明者の大多数が不法滞在者または身許不明につき捜査は難航。となると…」

「ブローカーが新手の送り込み需要を考える可能性極大、だね。犯罪組織に関係機関が捜査を諦めたとか色々欺瞞情報を流すとか、街娼が大量に消えた事で買春需要が満たせない市民の声とやらがネットに流れ出せば、そういう利権に聡い連中は必ずなんか企むっしょ」

「ふむふむ。マリアちゃんも初めて会った時はまだ赤ちゃんだったのにこんなになっちゃって…まぁいいわ。とりあえず法務局でもその手のブローカーに当たりはつけてはいます。マリアちゃんの部下の特殊能力持ちの方々の協力があれば、摘発はすっごく楽なんだけどね」

「その辺はうちの配下にも協力させるよ。で、パリにうちの拠点があれば協力もやりやすくなるって話さ」

「ねーさん…フランスって売春が非合法…」

「外交施設と定義してもらえりゃ治外法権だ。それにな…あたしゃこの国で大規模に売春事業をやる気はねぇな」

「なんでまた」

「正直今のあたしらじゃ、別に売春しなくても稼ぐ道はあるさ。そうだな、仮に売春で一人一日400連邦ドルを稼いでくれたとしようか。んで女官として千人採用した。これだけで日の売り上げは邦貨換算4千万円、40万連邦ドルだ。月額にしたら12億円、年額なら144億円、一億四千四百万ドルだぜ。だが…女の子の取り分を半分として引いてみろ。72億じゃスケアクロウどころかニンフェットの一機すら買えねぇんだぞ?」

「まぁ、根本的に一晩に二千人以上の風俗客がおるのかっちゅう問題もあるしな。ベラ子。東京とか日本を基準にすんなよ? あそことニューヨークだけは人口密度が異常やからな。固有名詞で珍珍英雄な校長先生だけ見て校長先生イコール買春大王と思うようなもんやぞそれ」

「まぁ、七千万連邦ドルでパリに建てられるビルは…少し小さいな、うん。つまり、一億ドルは確かに大金だが、鉄道や道路建設といったインフラ整備で動く金額としては端金なのですよ。痴女皇国世界のちょっとした国では充分に年間国家予算をまかなえるかも知れませんが、夜警国家から程遠い実情の連邦世界主導諸国からすると…ちなみに我が共和国の年間予算がだいたい80億連邦ドルです。ま、1億ドルは稼げるものなら稼ぎたいが、一億ドル以上の支出が発生すればそれは赤字だ。なまじ高福祉と人道主義の規律に縛られ過ぎて財政破綻した隣の轍を踏めば、我が共和国民全ての不幸だ、違いますかな」

「た、確かにそうですわね」

「だから端金と割り切って売春産業は地下勢力にある程度任せるんだよ。ただ、すぐ潰せるようにしねぇとな。そして…」

「安井金刀比羅宮側のらぶほの要領で精気がっつり頂く方がうちらには有り難い。せやな、マリ公」

「しかも痴女種にハマる危惧はしなくていいから少子化対策への悪影響も少なくて済むわね。最低限の性病蔓延対策さえしてあげれば、非合法滞在者なら医療費負担とか福祉費用を食いつぶす事もない。何なら奇跡名目であたしたちが治療してあげりゃいいのよ。黒マリ、これ聖院側でもフランス共和国に持ちかける価値はあるわね」

「え、ちょっと待って。痴女皇国の施設をパリに建てて売春するんじゃないの?」

「雅美さん…うちらが手を汚す必要はないんや。ただなぁ、反社作戦で捕獲する予定の連中をちょいと使えるとなぁ。にやにや」

「まぁ、大統領閣下とのお話で思わぬ活用方法が見つかったってとこかな。にやにや」

「ぐふふふふふ。これなら人材の有効活用って奴ですね。にやにや」

「なるほど、日本政府とフランス政府了承の上なら私は文句ないわね。にやにや」

「まぁ、人間…特に男性が資源であり有効活用されたい意志はよく理解いたしました。万が一発覚しても死刑制度廃止の試みに乗ったと説明できるでしょう。にやにや」

「なるほど、これも聖母様のお導きではある。にやにや」


とまぁ、集まった全員が悪役笑いを浮かべる話を致しました後。

「では班分けを発表します。エマちゃん」

「はいっ。どうも昨日はブローニュを重点的にやったせいもありますが、どうもヴァンセンヌの方が主戦場となりそうなふいんきです。で、不参加者もいますので班編成を変えました」

ブローニュ担当
白エマ子

ヴァンセンヌ担当

広域捜索・捕獲班(がんつ服着用)

白ダリア・黒ダリア
ジーナ・ワーズワース(聖院&痴女皇国)
マリアヴェッラ・ワーズワース・ボルジア
マリアンヌ・ド・ロレーヌ
エリザベート・ド・ヴァロワ
痴女皇国アルトリーネ(やりすぎ防止措置済)
聖院アルトリーネ(やりすぎ防止措置済み)
カルメン・ポワカール
リヴィエラ・ポワカール
ヴェロニク・ポワカール(何で私までという顔です)
黄美娜(何で私がという顔です)
室見理恵(泣いています)
アグネス・ワーズワース
マリアンヌ・ワーズワース
高木スザンヌ
ジョスリーヌ・メルラン
ドミニク・ボーレーヌ

囮男性班

ジャック・ゴルディーニ
ヘンリー・ワーズワース
クリス・ワーズワース(聖院&痴女皇国)
ミシェル・ポワカール
ラドゥ3世(世の無情をはかなんでいます)
チェーザレ・ボルジア(殺しの顔をしています)
エドワード・ティーチ(心底嫌がっています)
庄司甚内(唐剣はこちらで預かりました)

転送・選別班(テンプレス2世艦内待機)

黒エマ子
田中雅美(降格前の能力に一時復帰)
ケイシー・ギャラハン
マーゴット・クラレンス
ニオオフラーネ
瀬戸凛
九鬼静香

地上側指揮(迷彩軍服着用)
聖院マリアリーゼ・ワーズワース
痴女皇国マリアリーゼ・高木

「おい…エマ子一人で大丈夫なのかよ…」

「その代わりフルパワーモードの許可もらいました。まぁ、ブローニュはそれほど大した事なくなってると思いますけど…問題は…」

「こっちよねぇ。エマちゃんたちの見立て通り、まず確実に主戦場はこちらになると思うわ。しらみつぶしにやっていくのと、昨日が底引き網漁とするなら今日は釣りで行くわよ。なるべく多く釣るのよ!」

「ほもとヲカマは釣る対象なんかい…」

「というかお母様。なんで私が呼ばれるのですか…私は別に若返りの必要性を感じないのですが…」

「ヴェロニク。あなた案内にかこつけてお菓子を何フラン分買い込みましたかっ。お父様があの経費を外務省枠で通す手間を考えなさい」

「だって皆様がお菓子を頂きたいと言うからパティシェの名前が通ったカフェにご案内を…」

「とりあえず変態を釣る餌は一つでも多く欲しいのです。あなたも国民なら共和国の未来のために貢献しなさいっ」

(なんか大統領閣下のご一家を見るにつけ、うちのかーさんが仏様かも知れないと思うんだけど…リーゼ姉)

(あたくしもマリアンヌに同じ。クレーゼ母様はあそこまで愛国者的な教育をいたしませんしね)

「マドモアゼル・ヴェロニク…あたしが側にいますから何とか耐えてください…」

「うう、マダム室見…ジャポンのヤマンバ姿がおいたわしいです…」

「いや。それはええねんけどうちのスカートはやめて欲しいねんけどな」

「やかましい。何としてもベラ子に勝つためや。うちはショーパンで行くからな!」

「母様それ汚くありませんか?聖院のかーさまの分までカウントって何ですかそれ」

「ほなお前にアルトつけたるから」

「アルトさんだとなぜか人が寄って来ないんですよ!たのきち呼んでいいですか!」

(あのさぁベラちゃん。はりせんでしばくよ…あたし買う物好きがパリにいると思うの?)

「やってみないとわからないじゃない!」

(とりあえず帰ったら文教局来て。福祉部備品の反省帽子用意させとくから…)

とまぁ、嫌々ながらあたしもネイキッドドレス風のワンピース着て参戦します。


で、ヴァンセンヌの森。

パリの名所に近いブローニュと違い、パリ東駅に近い…実家帰省の際に東駅を使うことも多いハゲに言わせると下町、ブローニュが新宿御苑ならヴァンセンヌは上野公園みたいなものだそうですが。

「ひぃいいいい!」

(クリス全力で広い道に逃げろ!今アルト行くから!チャリなら相手は追いつかれへん!)

(な、殴りたい…真剣に殴りたい…)

(教皇猊下、我慢です…木陰で吸引役が来るまで我慢しましょう…)

(頼むピストルくれ!せめて海賊刀カットラスでいい!)

(クリス準男爵、お怪我は!)

(何でよりによって青少年省局員が少年愛好家…)

(ありがとうドミニク君、この男は他と別に頼む。ジョスリーヌ君…こやつの担当上司に連絡してくれ…あと関係省庁指導を首相と相談したい。明日の緊急会談セッティングを事務官に連絡しておいてくれ…)

(ジーナさん…僕はもう島◯服着れません…ア◯トルフォも嫌です…)

(ぎゃああああ!ID見せて逮捕したいんだけど!お願い捕縛させて!)

(何で女装ヲカマなのに女見たら襲ってくるんですか!こいつら両方いけるわけ?)

(ダリア!お祖父様とアグネスさん後方に退避させろ!)

(うぇ…雅美さんに見せて頂いた田亀◯五郎の漫画のような光景が…)

(ベラちゃん何を見てるのよ…ああ、本物がこんなにも野獣先輩だったなんて…)

(それ知ってるミセス室見もたいがいよっ。しかし、夫やゴルディーニさんのあの服の意味を知ってるのがいるなんて…)

(車組の売春婦も大概ですよ…まず性病治療からですね…ああっこんな年齢で客取らんでください!あたしの複合視覚が作動エラーをーっ)

(まりあさま。おねがいします。アルトリーゼにしてください…)

「あたくしも同じく。ぜぇぜぇ…みたくないみたくないみたくない」

(あのですな、皆さん大概や思いますけどな、送り込まれた連中仕分けしてるうちとかナディアはんの顔色、今どないなってるか想像してください)

(得物が手元にあれば介錯しております…それか川に叩き込みたく…)

(ああっマーゴ吐かないで!)

(ケイシー少尉…本国帰還申請してよろしいですか…)

(何ぬるいこと言ってるの!汚っさんの処理もクラブジュネスなら割とあるでしょ!)

(何という我が共和国の暗部…いいですかリヴィエラにヴェロニク!貴女方のお父様のためにも痴女皇国との協力姿勢を必要とする理由の一つがこれなのです!現実を知るためにも我慢して処理なさい!)

(お母様が前線看護兵時代に戻ってる…)

(義母様の兵士の目が怖いですぅ…)


えーと。

阿鼻叫喚でした。

あたし、これ以上詳細言いたくないし思い出したくありません。

ええやろ天の声。

みんなの悲鳴で察してもらえるやろ?

(ベラ子。この混乱では賭けどころやないぞ…)

(政府関係者他公務員の方まで混ざってるなんて…しかも女を買うんじゃなくて…!)

(アグネス。何としてもNBでの同性愛に対するネガティブキャンペーンを張る必要性を感じている私は間違っているだろうか…)

(あなた。少なくともミス田中の参考資料のような美青年愛の世界はまだしも、ヤマジュンに留めましょう。リアルなゲンゴロー・タガメは辛すぎます…大統領閣下も同性愛に寛容な貴国の風潮に今一度一考を頂けますと…うっぷ)

(申し訳ありませぬ陛下…つい二、三人を…)

(私はお止めしたのですが…)

(とりあえずあたしが治療しとくから。まぁ手加減はしてくれたようだけどさ、頼むよ兄貴…)

(俺はアレーゼ様にアテミとか習ってたけどよ…、しかし腹が立つのは俺を避けられた事だな!)

(ティーチさん…僕も避けられたかった…)

(あのエロおじさんが公務員だなんて…)

(クリス様、いえクリスさん…後で口直しをジーナさんかあたしがしますからどうか泣かないでください…)

まぁ、機会があればその辺の話が詳細に語られる事もあるでしょう。

天の声曰く、全盛期の久◯寺公園のほも側と西をかま側を煮詰めて濃度五倍くらいにした話になるかも知れないそうですので、さすがに公開をためらっているようですが…新世界◯際劇場の地下、と言えばそっち方面の汚っさん事情に詳しい人は理解するだろうから私は書きたくないと泣いていました。

ええ、あたしも同じ意見です。

たまたま野外行為の名所とか言うのでクリスを伴って週末の◯宝寺を訪れた以上の衝撃的光景でしたから。

(って言うかおばはん!あんな素人お断りな場所に父様連れて行くな!あそこですら免疫無い奴には阿鼻叫喚の地獄だろ!)

(まぁ、さすがにあそことか沢◯宜は避けた方がいいわよね…)

(沢良◯知ってる白マリも大概だぞ…)

一言だけ言わせてください。住所不定な方とほもの組み合わせ、最強でした…!
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