69 / 396
仏蘭西戀物語・エマニエル夫人の恋人 4
しおりを挟む
「確かにあたしら痴女種は全員、異能生存体のようなもんだけど」
「むせる世界に生きている気はしませんね」
「100年も続いた戦争してないし、ストーカーおじさんに追跡されてないしね」
「頭もヅラじゃなしに髪の毛は自前だしな」
「青い液体に定期的に浸かる必要もないわね」
何をこの娘どもは言うておるのでしょうか。
まぁそれはともかく、この手の捕獲任務に向いた人材をという事で、呼び出したのは。
「ふむふむ。まぁ、買春の意志がある男性と売春の意志がある男性…女性の服を着ていても、が第一の対象と」
「で、囮に客を引かせて脈あり、または営業妨害をすれば捕獲と」
「めんどくさいから片端からドレインしちゃいましょーよ。捕まえてから頭の中に聞けばいい話ですから」
「それが出来たら楽な話なんやけどな…乱暴に捕らえるわけにもいかんのよ、ダリア」
ええ。この話に馴染まれた方ならやはりダリアが来ると思われた事でしょう。
しかも痴女宮ダリアはケイシーちゃんとマーゴットちゃんにサリアンと黒・紫合計10名は連れて来てますし、聖院ダリアは、サリーやしほ子まではまだ良いとして直美ちゃんとアンジェリーナちゃんまで…。
「回収要員ですがな。しかも連れ込み先まで用意しましたよ…聖院のテンプレス、とりあえずオーダー通り、パリ上空に浮かべてます。おっつけレナウンも来てくれますから5千人くらいまでなら収容楽勝っすね」
「まぁ、パリならある程度はわかりますし、ブローニュの森がいくら広いって言っても、うちらがメインに動けば…そーですねー。1時間もあればことは終わってるでしょ」
「ま、話によればヲカマさんゾーンやホモさんゾーンがあるようです。白エマとあたしで広域スキャンを入れて対象を探しましょう」
そして広域センサー役のエマ子も呼びました。
エマ子には捕獲した対象をテンプレスに転送する役目も与えています。
「捕獲対象は強盗・強姦・傷害・置き引きやスリなどたまたまブローニュに居合わせた不幸な現行犯犯罪者並びに、住所不定市民登録未了の予備軍。そして売春夫とペドフィリア。これでよろしいでしょうか、大統領閣下」と、あたしは確認します。
「それでお願いしましょう。で、善良なる浮浪者は丁重に扱って頂きたいのと…。そして身元引受人らしきの存在が確認出来る者については通常の犯罪者または不審者として憲兵隊経由で国家警察に引き渡し。身元不明者に関しては聖院引き受け。これでよろしくお願いしたい」と、大統領閣下からの仕分け条件をお伺いいたします。ちなみにこの現職大統領閣下、後述しますが軍歴、お持ちですよ。
そして公園内の浮浪者の方々は罪こそ犯しておられませんが、ついでだからとこの際回収の上で、労働力化して健康的で三食きちんと保障された特殊環境へお越し頂きましょうとなりました。
千人以上はさすがに聖院や痴女宮だけでは一気に吸収しきれませんが、そこはそれNBはもとよりアメリカ大陸やら比丘尼国の江戸開発やらで労働力人口を欲する場所がございますから。
というわけでちゃっちゃと役目と配置を決めてしまいましょう。
広域捜索・捕獲班(がんつ服着用)
白エマ子・黒エマ子
白ダリア・黒ダリア
黒薔薇騎士団5名・紫薔薇騎士団5名
囮女性班(立ちんぼさん向け助平服着用)
アグネス・ワーズワース
マリアヴェッラ・ワーズワース・ボルジア
カルメン・ポワカール
リヴィエラ・ポワカール
マリアンヌ・ワーズワース
高木スザンヌ
室見理恵(泣いています)
囮男性班(服装は後述します)
ジャック・ゴルディーニ
ヘンリー・ワーズワース
クリス・ワーズワース(聖院&痴女皇国)
ミシェル・ポワカール
重点地域捕獲班(がんつ服着用)
田中雅美(降格前の能力に一時復帰)
マリアンヌ・ド・ロレーヌ
エリザベート・ド・ヴァロワ
ケイシー・ギャラハン
マーゴット・クラレンス
ジョスリーヌ・メルラン
ドミニク・ボーレーヌ
高木サレルフィール
菅野しほ子
吉村アンジェリーナ
篠村直美
地上側指揮(迷彩軍服またはTAPPSパイロットスーツ着用)
聖院マリアリーゼ・ワーズワース
痴女皇国マリアリーゼ・高木
ジーナ・ワーズワース(聖院&痴女皇国)
で。文句を言う人間、そのいち。
「あのなぁジーナ。何で俺がわざわざパリに呼びつけられにゃならんのだ…」
「やかましい。この際土地勘があってフラ語ネイティブスピーカーなのが一名でも欲しいんじゃ。それに少将閣下の召喚の提案に乗られたのは祖国の大統領閣下であります。更に宙兵中将エルメンカーレ閣下並びにラッツィオーニ事務局長兼連邦宇宙軍・宙兵隊最高司令官閣下の承認も得ております。だから1時間くらいブローニュの森の散歩やと思うて、ハゲ頭光らしてうろうろしてくれたらええねんから…祖国の平和に貢献する思て歩いてぇや」ええ。嘉手納基地から大統領要請→事務局長指令→嘉手納基地常駐極東担当中将命令の流れでハゲを呼ばしてもらいました。
「わかった。ただしジーナ。嘉手納の年始始め記念式典には、マリアちゃんやベラちゃんと一緒にあのピンクのロット・サロペットを着て踊れ。俺の怒りはそれで我慢してやる」
ほぼいきなり無理やり転送されてきたせいか、憤懣やるかたない顔でハゲが申します。
ハゲの方はもちろん、頭髪の寂しい方にこんなハゲハゲハゲとハゲ連呼は心苦しい事この上ありませんが、このアルザス禿がハゲているので仕方ないのです、そう思って下さい。
「振り付けはあたしにやらせてくれ。あのペースで踊るのしんどいねんぞ。見た目が高校3年くらいなだけで、中身たるや、もはやそれなりのトシやねんからなあたし」
「…ゴルディーニ閣下…何であたしまで巻き添えに…姉はわかりますよ?」
「何であたしが安康服を着るのが当たり前なんだよベラ子!」
「マリアちゃん。俺はまだしも、大統領閣下やワーズワース大公殿下の青いつなぎ服なんだけどな。これを選んだのは誰だ」と、ハゲがじろり、とばかりにマリ公を睨みますが。
「…あたし…」ええ。なぜかこのハゲにマリ公は弱いのです。理由は後述します。
「いや。俺もこれがフランス人に通じるかはわからん。ただな…我が祖国がHENTAI文化に汚染されてからかなり経つだろ。OTAKUでなくとも、これを着てベンチに座ってジッパーに手を掛けるだけでどういう意味になるか、他ならぬこの俺ですら知っているんだぞ。俺も恥はかくから、交換条件として君たちも嘉手納で我々を笑わせてくれ。あ、マリアちゃん。君は蟹衣装でもいいぞ」と、今度はにこやかにマリ公に対して宣言するハゲ。
「ゴルディーニ君…この青いコンビネイシオンに何か同性愛者に対してのサインめいた意味があるのかね…」怪訝な顔の大統領閣下の背後で腹を抱えて吹きそうになっているワーズワース大公他、ネタわかっている全員…。
ええ、爺さん…男性がこのツナギ着て公園のベンチに座る意味、知ってるんですよ。
というかマリ公に裏で入れ知恵してます…。
「大統領閣下。ご自身の尊厳のためにも知識を得ない方がより良い明日の糧となります。事情を知らぬ者からすれば、単なる体格の良い同性愛者とだけ見られますから」同じ格好のゴルディーニのおっさんが、同情的な目で大統領閣下を説き伏せます。
背後で若返ったジジイ…いや、舅とアグネスさんがこらえきれずに大爆笑してますが。
「まぁ確かに君は長年の嘉手納生活で日本文化をよく知る立場だろうし、マリアリーゼ陛下とも昵懇の仲だと聞いている。君が納得しているならば、この姿での囮役を務めるとしよう」
「あとマリアヴェッラ陛下、いやベラちゃん。君がママの店でグラッパ一瓶開けてわざと酔っ払って、うちの基地の所属隊員にセクハラまがいの行為を働いた件が一度だけなら俺もとやかくは言わん。だが、二度三度は…ああ、四度目はないようにしてくれ。あと君のイタリア人の方の母上も同じだ。店内だけならまだしも沖縄の風紀を下手に乱した結果、またぞろ俺や部下が那覇市長や沖縄県知事に呼び出されるのだけは何としても避けさせてくれ。そして君が何としてもアンコウ・スーツを回避したいならルクレツィアさんを身代わりにしたまえ。いいなっ」
「は、はいっ」
ベラ子…あんた何やっとんねん…。
これは折檻以外の道はありませんね…。
「ねぇゴルディーニさん。聖院の方まで巻き添え嫌なんだけど…痴女皇国はともかく聖院は嘉手納に迷惑をかけていないはずよ…」
「まぁ、そちらは除外しよう。ただし、ないとは思うが今回の件で何か憂慮すべき事態が発生した場合はその限りではない。くれぐれもフランス共和国と汎銀河人類族連邦、引いてはNBへの風評被害はくれぐれも避けるよう頼む」
「あい…」
(あの…なんでみなさんゴルディーニ閣下には従順なのでしょうか…ジーナ閣下)
(不肖わたくしジョスリーヌも疑問に思いましたが)
(私も不思議に思う。ゴルディーニ君は延齢措置こそ受けていたが、彼は模範的でこそあるが普通の人間の軍人のはずなのだが…嘉手納の歩く良識だという風評はこちらにも届いてはいるが…)
(大統領閣下。簡単です。うちの娘どもを基本、産まれた時からよく知っている人物だからです。更にマリアリーゼとマリアヴェッラは連邦軍属の地位がある限り、上官がこのハ…ゴルディーニ少将となりますから)
(高木スザンヌです。更に申しますとゴルディーニおじさん、うちの母で元聖院トップのクレーゼやアレーゼおばさま、果てはマイレーネさんまで顔馴染みなのです)
(高木マリアンヌです。つまり、怒らせたらリーゼ姉…マリアリーゼや母のジーナでも言うこと聞く相手と親しいからでもあります)
(なるほど…まぁ、その御二方が歩く最終兵器だとは聞いているが…)
で、文句たらたら、そのに。
「何でうちが。聖院のクリスもうちも鴨食うてへんぞ」
「やかましい。カタついたら治部煮でも鴨南蛮でも食わしたるから大人しくTAPPSの後ろ乗れっ」
「お前らだけ四季◯と瑞◯仕立てて米沢とか聞いたわ。聖院でもなんかやれっ」
「だからそっちのマリ公に頼めや…あーそやそや、あんた、前田慶次郎さんの面倒見てくれるんやったら話飲んだるぞ」
「おい。あんた、うちにあの傾奇もん押し付けるつもりかいっ」
「それにこれはゆくゆくは聖院欧州地域本部にも影響皆無ではない話や。今回あんたが協力しておかへんかった場合、うちらやなしにそっちのマイレーネさんに話がいくであろう」
「ぐぬぬぬぬ、とにかく貸し一個やからな!忘れんなよ!」
ええ。聖院のうちを無理矢理引きずり出しました。聖院側のクリスを呼んどいて聖院のうちを引っ張り出さない理由はありません。
最近でこそ単独行動も増えましたが、クリスを修羅場に投入する際にはわしも必ずセットでつける。
聖院でも痴女皇国でも高木夫妻の不文律のはずです。
で、文句言い、そのさんとよん。
「なんであたくしたちが囮組に」
「他のメンツを見ろ。大統領夫人に愛じ…ガールフレンドな方や。更にはアグネスさんまで。このメンツに何かあったら困るんや。せやからベラ子も混ぜとるんや。わかるかスザンヌ」
「そうよスザンヌ。あんたアグネスさんに何かあったらその場でNBか英国のナインズ送り確定よ。わかってるわよね?」
「更に言うとあたしまで留学のとばっちりが来るのよ。あたしの姉となりたくば模範手本をお見せ!そうすれば検討してあげるわっ」
「ベラちゃんのその検討が10年先か20年先か、それはわからないトネガワ的論法のような気がするの」
「それはいいんだけど何であたしまで囮にっ」
「理恵さん。ギャル服コレクションに日が当たるのです…夜ですけど」
「あたしはホモやヲカマ相手に見せるために買ったんじゃないのよベラちゃん!」
「まぁまぁ、なんかあったらあたしら助けに行きますよ。つか理恵さん。ヲカマの一人や二人手も触れずにアヘらせて倒せるのをいい加減自覚してください。…ところで大統領夫人にマドモアゼル・リヴィエラ。具合はいかがでしょうか」と、ちゃちゃっと施工してくれた痴女宮のダリアが申します。
「確かに若くはしていただきましたが…」
「そうですねぇ、まずまずというところでしょうか」
「泥棒猫と同じくらいの歳格好は気に入りませんが」
「奥様…お屋敷の中ならいざ知らず、他の方がいる場所でその呼称はおやめくださいと」
「そう言えばリヴィエラさん、一時期話題になっておられましたね。愛人ではないのかと」
「ええ。アグネス様と似ているかは分かりませんが、とりあえず奥様半公認で住み込みの家事手伝いをさせて頂いております。昔のジャポンで言えば書生になりますか」
「泥棒猫を飼う趣味はありませんが、夫が外で遊ぶ事を考えるだにまだ良しとしましょう」
(なんでまたそんなややこしい事に…)
(痴女皇国の話を聞くにつけ、我が家の内情より更にこじれた話という気もしますが。とりあえずマリアヴェッラ陛下、このリヴィエラは実は戦災孤児でして、セネガルのカザマンス紛争に巻き込まれた現地居住の共和国民一家で、唯一生き残った娘なのです)
(あそこは延々と続いている民族間紛争地帯でしてね。で、燃え盛る我が家を眺めながら呆然としていた幼いこの子でしたが、連邦宙兵隊扱いで何度目かの紛争調停に赴いた共和国陸軍の派遣部隊指揮を執っていた私のもとに、幸運にも彼女の応急的な保護を買ってくれていた現地部族の住民から身柄を託されまして…)当時を思い出しておられるのでしょう。大変に悲痛な表情で大統領閣下が事情を教えて下さいます。
(私もよくは覚えておりませんでしたが、どうも父母に色々と助けられ恩義を感じていたようでして…で、共和国の軍人なり民間人に私を託そうと奔走してくれていたようなのです)
(で、ならばと当時5歳くらいでしたかしら。子宝に恵まれなかった我々夫婦の養女にさせて頂こうかと)
(そして10年後に妻が二度目の懐妊をした際に…)なんか大統領閣下がめちゃくちゃ肩身狭そうです。
あたしは痴女種能力以前に情報局の人事情報を拝見していましたから、肩身が狭い理由を知ってはいましたけど…なかなかにややこしいんですよ、この三人の関係…。
(ええ。悶々としている夫の無聊を慰めてしまいやがりまして。いえ失礼。しかしながら上の子とも仲良くしておりましたし、育児を助けるばかりか女中のごとく家事に率先垂範する日常を知っておりました。何より当時のリヴィエラの年齢、不適切行為が発覚すれば夫の出世にはかなりまずい影響が出ましたから)
(で、長男様ご出産までは旦那さまの面倒を見る羽目に…ただ、私の義理の妹や奥様には気付かれてくれるなとだけ)
(泥棒猫行為にしても、カトリックの夫が悶々としているのを見るに見かねてとあれば、醜聞を騒ぎ立てるよりも見なかった事にした方が良いとなりまして…で、世間様から見れば異様な関係が今に至るも続いております次第です。側から見ればバカンスに赴く際にも普通の家族にしか見えませんし、貴族時代の女中お手付きのようなものと考えております)
(あーそうか…せんず…自慰行為はカトリックでは本来なら禁忌…)
(まぁご家族納得ならいいんじゃないでしょうか)
(年齢の件につきましても奥様。現代フランスだから騒がれるのです。14なんてあたくしの嫁入りの年齢でしてよ)
(あたしらダリアに至っては聖院入りが何と12歳。ここにいませんが、アルトさんも似たようなもんですしね)
(むしろイタリアの種馬とか揶揄された某ロリコン首相よりはよほど健全ではないかと)
(確かに皆様からすれば健全な部類でしょうね。更に泥棒猫とは言えど学業そこそこ優秀、来年には卒業と官公庁就職も決まってはおりますから)
(何より、彼女を養う立場であれば軍人もさりながら収入が必要だろうと、長女を授かった辺りで後方勤務から軍需系某民間企業への就職を斡旋されましてね。更にかような経歴では政界入りした方が良いと勧められ、当時の政権与党への紹介も預かりまして)
(で、50歳前に若い大統領爆誕と…)
そうなのです。この大統領閣下、まだお若い部類なんですよ。
そして戦火の中で救った娘を養女にするばかりか少子化対策にも貢献だの、割とフランス国民受けする経歴のお方です。なまじこの国の出世コース定番たる文官系官僚、それも政治学校の出ではないのが受けて民衆の支持を得ている方なんですね。
ですのでコートダジュールで一家揃って割と大胆な水着姿をパパラッチされても、別荘じゃなくてある程度の市民同様にホテルに滞在とかしておられるではないかと擁護の意見も出まして、まぁこんくらいならと年上教師の略奪婚だの、はたまたベルサイユ宮殿借り切って年下妻と再婚の結婚式よりは遥かにマシとフランス世論も一応の納得をしております。
そして大統領閣下、俳優のジャン・ポール・ベルモンドに割と似ているイケメンの部類でして、女性有権者の人気も高いようなのですよ。
ですので、我々痴女皇国他の力を借りたくなる理由も何となくわかります。この交渉で手土産を持たせれば確実にうちらサイドにつきますね。
(言い方は悪いけど足元を見れるんだよな)
(ただ、愛国者かつフランス特有の官僚社会に反発しているプロレタリア層の支持率が高い人だから、この大統領閣下を支援すればフランス政財界に対する牽制にはなるわよ。場合によってはあたしたちがルルドでやった事をあえて噂で流して、聖母的能力者の後ろ盾があると思わせれば、そうそう足元をすくう政敵は現れないとみたわ)
(硬直化した文官官僚社会に一石を投じる政権公約を掲げて当選しておられますしねぇ)
(わたくしも正直泥棒猫には腹立たしい思いがございます。が、このリヴィエラをご覧ください。これならば我が亭主も靡くだろう容姿でございましょう。皆様には及ばすともなかなかのもの。嫉妬の炎を燃やす輩には男女問わずこのリヴィエラや夫を捕まえる器量を持てと申したきところですわねっ)
(た、確かに…)
(えー。読者の皆様。リヴィエラさんを一言で言うたら、ゴダールの名前はカルメンという映画に出たオランダ人の女優さんか、二代目のヨーヨーの女優さん。で、奥様の現在は映画のTAXIに出た人の二十代と説明せぇ言う話がっ)
(ちなみにアンヌマリーさんはゴダールの気狂いピエロに出ていたアンナ・カリーナみたいな感じだな)
(そこはアルファヴィルと言うてやれよ…)
(かーさん。あまりに予算がなくてだな、反乱分子の死刑シーンをパリ市内の学校かどっかのプールで撮影したSF映画に言及してやるなよ…)
(ああ、単に水着の女が泳いでるプールに死刑囚を突き落として、ごく単純にその女死刑執行人が罪人の足引っ張って溺死させるだけの処刑という…あれ確かSF映画やのに、ろくに特撮とかセットとか使わずに全シーンをパリ市内で撮影したらしいな…)
(好意的に解釈するなら、当時のバリは近未来SF映画の舞台に出来たと言ってあげるべきよっ)
(主演俳優は豪華なんですよ、アルファヴィルだけでなくてあの時代までのゴダール作品…)
(で、ドミニクさんは中国女に出たアンヌ・ヴィゼアムスキー、ジョスリーヌさんはゴダールのマリアの二作目の方のミリアム・ルーセルをイメージして欲しいそうよ)
(あたしらの話のR15版のタイトル、実はゴダール絡みだと気付いてくれたかな?)
(しかし…アンヌマリーさんが不機嫌そうよ…)
(確かに国是を考えますと敢えて倫理には目をつぶってしまう考えも理解できなくはないのですが…ジーナ閣下にも一言申し上げたいのですがっ)
(ミス・ヴィゼアムスキ…いやアンヌマリーさん。うちらの実質結婚式の中継をご覧になられた事ありますやろか)
(いえ…伝聞と画像でしか…)で、あたしは自分の聖環を使い、件の映像を見せて差し上げます。
(これ一瞬でスカート部分外せましてな。で、見ての通りミニスカ花嫁になれる特注ドレスでな、つまりあたしらが走って逃げるの前提の服よ服)
(ほんとに警察に追いかけられてる…)
(しかも万雷の拍手と紙吹雪と歓声、明らかに祝福されてますわね…)
(NBに娯楽が少ないとは言え、もう熱狂的に喜ばれる挙式だったらしいからな。未だに当時の父様とかーさんを知るNB関係者からは冷やかされるぜ)
(警察の人もノリノリで遊んでたとは本人たちから聞いたわよっ)
(まぁ何や、NBでは未成年婚姻を糾弾するどころかむしろ歓迎された訳やけど、その裏にはローズマリーさん…クリスの実の母親の隠れ悪妻ぶりが知れ渡っとってなぁ)
(言いたくはありませんが、母が事故死した際には単なるお悔やみだけでなく、これでクリス君も少しは楽になるのじゃないかと気遣いの声を多数もらいまして…事実、気が楽になりはしたんですけどね)
(いや、娘のあたしが断言する。白マリも知ってるし、実際に過去のローズマリーさんの行状、あたしらなら逐一調べられっからな。かーさん、あの時の事故現場検証や事情聴取に立ち会った全員の意見は一致していたぞ。そりゃ不幸な事故だが仮に天罰なるものがあれば、これは正に天罰だろうと)
(まぁ、天狗の仕業やともっぱらの噂やったな)
(NBに天狗はいないでしょって突っ込みはともかくですね、そりゃ父様の結婚式はもちろん、アグネスさんの存在を黙認するどころかNB国民で容認してなかったのはごく少数よっ。あの人の所業が明るみに出たら黙ってしまったし…児童虐待だけじゃ済まずに政権与党幹部夫人の地位を悪用しての汚職がずーらずーらだったもんねぇ…)
(主人に代わって申しますが、私の方もそれなりの家柄でして、ローズマリーの実家を黙らせることは不可能ではなかったのですよ。ただ…あの子の死後に出てきた諸々、彼女の実家にも関わる話でして…野放しにしていた責任について厳しく言わざるを得ませんでしたのよ。アンヌマリーさん。児童虐待について対策のお仕事に就かれていらっしゃるなら、ある程度の地位や権力を有した女性がどの程度やりたい放題できるか、想像つきまして?)と、当事者の一人たるアグネスさんが辛辣な一言を。
(いや、マドモアゼル・ヴィゼアムスキ。俺だって話を聞いてみれば、こりゃあ神様も公平になりもするさと言う内容だったからな。ま、おかげで連邦もNBも聖院も全てが首の皮一枚で繋がって今に至ってるんだ。なぁクリス君たち。これが人生ってもんだ。そうは思わないかい?)と、クリスとの付き合いも大概長いアルザスハゲも申します。
(そうですね。ゴルディーニさんには色々と教えていただきましたし。航宙駆逐艦に左遷されておられなければ僕と遭遇してはいなかったでしょうから)
(ま、おかげで俺も将官用徽章をつけられる身分になったし、俺にしてみりゃルルドの奇跡に匹敵する話になったからな。君の奥様のお守り以外は、だが)
(やかましいドハゲっ磨くぞっ)ほんまにこのハゲはいらん事を言うなぁっ。
というわけで、ハゲにこれ以上何かを言わせないためにも、あたくしは発令させて頂きますっ。
「ではまだ若い大統領閣下に花を持たせ一家円満に貢献するためにも我々は挺身協力、汚物は消毒作戦開始や!」
…そして文句いい、そのご。
「あの…私は何をすれば…」エマ子が各員をとりあえず転送でパリ上空のテンプレスに送り届けましたが、配置を決めてなかった人がおどおどしています。
で、あたしは決めてなかった意図をお教えします。
「最初から荒事なんて、いくら非行未成年を扱っておられたとは言えど無茶でしょう。あたしらも無茶は申しません。ですから見学を兼ねて待機の間に痴女種化措置を受けて頂きます」
「ふむ。聖母様、このためにわたくしを…」はい。ベルナルディーゼ様の名前がなかったでしょ?リスト。
「いや、普通ならダリアあたりでちゃっちゃと済ませてしまえばいいんですけどね。何ならうちがやっても…うん、まりあー。今のうちも二代目様も痴女種化施工可能やよなー」
(基本的におばはんはあたしと同じ事ができるのだよ。本当はエマ子レベルも可能なのだが、やり方教えたら何するかわからんからあたしや白マリレベルに留まってもらうからなっ)
(いや、お前らと同じだけでも大概、世界制服とか宇宙を制服できるレベルや思うねんけどよ…まぁええ。二代目様にやってもらお。ええよな?)
(だから地球に制服着せてそれで地球をせいふくとかベタなネタ出すんじゃねぇっ。…えーとな、うん、基本インマヌエル型ボディで…えまこー。二代目様の身体で痴女種化施工モードパーミッション外しといてくれー、chmod -v /dev/slut/slut.app 601で…/dev/slut/slut.app -rw----x- いや、実際はこんな単純なもんじゃないんだけどさ、皆さんにわかりやすいイメージってこんなんかなぁと)
(誰に言ってるんすか…はいはい、実行権限渡しましたからね。あとヴィゼアムスキさん。聖院二代目金衣ベルナルディーゼ様のされる事を拒まないようにお願いします。泣こうと喚こうと、これをしないと痴女種になれませんので…)と、エマ子が割ときっつい事言ってます。
本当はマリ公・エマ子・ベラ子・(あたし)は直接にあれせんでもいけるらしいです。
実際にマリ公が何人か、挿入どころか手も触れずにやってましたでしょう。
ですが…ええ、ヴィゼアムスキさんは必ず、通常手順で痴女種化措置を受けて頂かねばなりません。
「お待ちくださいジーナ閣下、いえ聖母様」
「彼女は共和国政府職員、我が夫の部下です」
「遺恨禍根を残したまま出向させては我が共和国の恥」
「聖母様。マドモアゼル・ヴィゼアムスキに対する痴女種化施工、私と義娘にお任せ頂けませんでしょうか」
「…二代目様。お二人は現状では人間同様ですねん。で、この後は囮になってもらうこともありますし、まずは一時的にカルメン夫人とリヴィエラさんのお二人を千人卒化。その後ならお二人どちらかでヴィゼアムスキさんを相手してもらったら自動的に十人卒から百人卒の間で痴女種化しますわ」
「むせる世界に生きている気はしませんね」
「100年も続いた戦争してないし、ストーカーおじさんに追跡されてないしね」
「頭もヅラじゃなしに髪の毛は自前だしな」
「青い液体に定期的に浸かる必要もないわね」
何をこの娘どもは言うておるのでしょうか。
まぁそれはともかく、この手の捕獲任務に向いた人材をという事で、呼び出したのは。
「ふむふむ。まぁ、買春の意志がある男性と売春の意志がある男性…女性の服を着ていても、が第一の対象と」
「で、囮に客を引かせて脈あり、または営業妨害をすれば捕獲と」
「めんどくさいから片端からドレインしちゃいましょーよ。捕まえてから頭の中に聞けばいい話ですから」
「それが出来たら楽な話なんやけどな…乱暴に捕らえるわけにもいかんのよ、ダリア」
ええ。この話に馴染まれた方ならやはりダリアが来ると思われた事でしょう。
しかも痴女宮ダリアはケイシーちゃんとマーゴットちゃんにサリアンと黒・紫合計10名は連れて来てますし、聖院ダリアは、サリーやしほ子まではまだ良いとして直美ちゃんとアンジェリーナちゃんまで…。
「回収要員ですがな。しかも連れ込み先まで用意しましたよ…聖院のテンプレス、とりあえずオーダー通り、パリ上空に浮かべてます。おっつけレナウンも来てくれますから5千人くらいまでなら収容楽勝っすね」
「まぁ、パリならある程度はわかりますし、ブローニュの森がいくら広いって言っても、うちらがメインに動けば…そーですねー。1時間もあればことは終わってるでしょ」
「ま、話によればヲカマさんゾーンやホモさんゾーンがあるようです。白エマとあたしで広域スキャンを入れて対象を探しましょう」
そして広域センサー役のエマ子も呼びました。
エマ子には捕獲した対象をテンプレスに転送する役目も与えています。
「捕獲対象は強盗・強姦・傷害・置き引きやスリなどたまたまブローニュに居合わせた不幸な現行犯犯罪者並びに、住所不定市民登録未了の予備軍。そして売春夫とペドフィリア。これでよろしいでしょうか、大統領閣下」と、あたしは確認します。
「それでお願いしましょう。で、善良なる浮浪者は丁重に扱って頂きたいのと…。そして身元引受人らしきの存在が確認出来る者については通常の犯罪者または不審者として憲兵隊経由で国家警察に引き渡し。身元不明者に関しては聖院引き受け。これでよろしくお願いしたい」と、大統領閣下からの仕分け条件をお伺いいたします。ちなみにこの現職大統領閣下、後述しますが軍歴、お持ちですよ。
そして公園内の浮浪者の方々は罪こそ犯しておられませんが、ついでだからとこの際回収の上で、労働力化して健康的で三食きちんと保障された特殊環境へお越し頂きましょうとなりました。
千人以上はさすがに聖院や痴女宮だけでは一気に吸収しきれませんが、そこはそれNBはもとよりアメリカ大陸やら比丘尼国の江戸開発やらで労働力人口を欲する場所がございますから。
というわけでちゃっちゃと役目と配置を決めてしまいましょう。
広域捜索・捕獲班(がんつ服着用)
白エマ子・黒エマ子
白ダリア・黒ダリア
黒薔薇騎士団5名・紫薔薇騎士団5名
囮女性班(立ちんぼさん向け助平服着用)
アグネス・ワーズワース
マリアヴェッラ・ワーズワース・ボルジア
カルメン・ポワカール
リヴィエラ・ポワカール
マリアンヌ・ワーズワース
高木スザンヌ
室見理恵(泣いています)
囮男性班(服装は後述します)
ジャック・ゴルディーニ
ヘンリー・ワーズワース
クリス・ワーズワース(聖院&痴女皇国)
ミシェル・ポワカール
重点地域捕獲班(がんつ服着用)
田中雅美(降格前の能力に一時復帰)
マリアンヌ・ド・ロレーヌ
エリザベート・ド・ヴァロワ
ケイシー・ギャラハン
マーゴット・クラレンス
ジョスリーヌ・メルラン
ドミニク・ボーレーヌ
高木サレルフィール
菅野しほ子
吉村アンジェリーナ
篠村直美
地上側指揮(迷彩軍服またはTAPPSパイロットスーツ着用)
聖院マリアリーゼ・ワーズワース
痴女皇国マリアリーゼ・高木
ジーナ・ワーズワース(聖院&痴女皇国)
で。文句を言う人間、そのいち。
「あのなぁジーナ。何で俺がわざわざパリに呼びつけられにゃならんのだ…」
「やかましい。この際土地勘があってフラ語ネイティブスピーカーなのが一名でも欲しいんじゃ。それに少将閣下の召喚の提案に乗られたのは祖国の大統領閣下であります。更に宙兵中将エルメンカーレ閣下並びにラッツィオーニ事務局長兼連邦宇宙軍・宙兵隊最高司令官閣下の承認も得ております。だから1時間くらいブローニュの森の散歩やと思うて、ハゲ頭光らしてうろうろしてくれたらええねんから…祖国の平和に貢献する思て歩いてぇや」ええ。嘉手納基地から大統領要請→事務局長指令→嘉手納基地常駐極東担当中将命令の流れでハゲを呼ばしてもらいました。
「わかった。ただしジーナ。嘉手納の年始始め記念式典には、マリアちゃんやベラちゃんと一緒にあのピンクのロット・サロペットを着て踊れ。俺の怒りはそれで我慢してやる」
ほぼいきなり無理やり転送されてきたせいか、憤懣やるかたない顔でハゲが申します。
ハゲの方はもちろん、頭髪の寂しい方にこんなハゲハゲハゲとハゲ連呼は心苦しい事この上ありませんが、このアルザス禿がハゲているので仕方ないのです、そう思って下さい。
「振り付けはあたしにやらせてくれ。あのペースで踊るのしんどいねんぞ。見た目が高校3年くらいなだけで、中身たるや、もはやそれなりのトシやねんからなあたし」
「…ゴルディーニ閣下…何であたしまで巻き添えに…姉はわかりますよ?」
「何であたしが安康服を着るのが当たり前なんだよベラ子!」
「マリアちゃん。俺はまだしも、大統領閣下やワーズワース大公殿下の青いつなぎ服なんだけどな。これを選んだのは誰だ」と、ハゲがじろり、とばかりにマリ公を睨みますが。
「…あたし…」ええ。なぜかこのハゲにマリ公は弱いのです。理由は後述します。
「いや。俺もこれがフランス人に通じるかはわからん。ただな…我が祖国がHENTAI文化に汚染されてからかなり経つだろ。OTAKUでなくとも、これを着てベンチに座ってジッパーに手を掛けるだけでどういう意味になるか、他ならぬこの俺ですら知っているんだぞ。俺も恥はかくから、交換条件として君たちも嘉手納で我々を笑わせてくれ。あ、マリアちゃん。君は蟹衣装でもいいぞ」と、今度はにこやかにマリ公に対して宣言するハゲ。
「ゴルディーニ君…この青いコンビネイシオンに何か同性愛者に対してのサインめいた意味があるのかね…」怪訝な顔の大統領閣下の背後で腹を抱えて吹きそうになっているワーズワース大公他、ネタわかっている全員…。
ええ、爺さん…男性がこのツナギ着て公園のベンチに座る意味、知ってるんですよ。
というかマリ公に裏で入れ知恵してます…。
「大統領閣下。ご自身の尊厳のためにも知識を得ない方がより良い明日の糧となります。事情を知らぬ者からすれば、単なる体格の良い同性愛者とだけ見られますから」同じ格好のゴルディーニのおっさんが、同情的な目で大統領閣下を説き伏せます。
背後で若返ったジジイ…いや、舅とアグネスさんがこらえきれずに大爆笑してますが。
「まぁ確かに君は長年の嘉手納生活で日本文化をよく知る立場だろうし、マリアリーゼ陛下とも昵懇の仲だと聞いている。君が納得しているならば、この姿での囮役を務めるとしよう」
「あとマリアヴェッラ陛下、いやベラちゃん。君がママの店でグラッパ一瓶開けてわざと酔っ払って、うちの基地の所属隊員にセクハラまがいの行為を働いた件が一度だけなら俺もとやかくは言わん。だが、二度三度は…ああ、四度目はないようにしてくれ。あと君のイタリア人の方の母上も同じだ。店内だけならまだしも沖縄の風紀を下手に乱した結果、またぞろ俺や部下が那覇市長や沖縄県知事に呼び出されるのだけは何としても避けさせてくれ。そして君が何としてもアンコウ・スーツを回避したいならルクレツィアさんを身代わりにしたまえ。いいなっ」
「は、はいっ」
ベラ子…あんた何やっとんねん…。
これは折檻以外の道はありませんね…。
「ねぇゴルディーニさん。聖院の方まで巻き添え嫌なんだけど…痴女皇国はともかく聖院は嘉手納に迷惑をかけていないはずよ…」
「まぁ、そちらは除外しよう。ただし、ないとは思うが今回の件で何か憂慮すべき事態が発生した場合はその限りではない。くれぐれもフランス共和国と汎銀河人類族連邦、引いてはNBへの風評被害はくれぐれも避けるよう頼む」
「あい…」
(あの…なんでみなさんゴルディーニ閣下には従順なのでしょうか…ジーナ閣下)
(不肖わたくしジョスリーヌも疑問に思いましたが)
(私も不思議に思う。ゴルディーニ君は延齢措置こそ受けていたが、彼は模範的でこそあるが普通の人間の軍人のはずなのだが…嘉手納の歩く良識だという風評はこちらにも届いてはいるが…)
(大統領閣下。簡単です。うちの娘どもを基本、産まれた時からよく知っている人物だからです。更にマリアリーゼとマリアヴェッラは連邦軍属の地位がある限り、上官がこのハ…ゴルディーニ少将となりますから)
(高木スザンヌです。更に申しますとゴルディーニおじさん、うちの母で元聖院トップのクレーゼやアレーゼおばさま、果てはマイレーネさんまで顔馴染みなのです)
(高木マリアンヌです。つまり、怒らせたらリーゼ姉…マリアリーゼや母のジーナでも言うこと聞く相手と親しいからでもあります)
(なるほど…まぁ、その御二方が歩く最終兵器だとは聞いているが…)
で、文句たらたら、そのに。
「何でうちが。聖院のクリスもうちも鴨食うてへんぞ」
「やかましい。カタついたら治部煮でも鴨南蛮でも食わしたるから大人しくTAPPSの後ろ乗れっ」
「お前らだけ四季◯と瑞◯仕立てて米沢とか聞いたわ。聖院でもなんかやれっ」
「だからそっちのマリ公に頼めや…あーそやそや、あんた、前田慶次郎さんの面倒見てくれるんやったら話飲んだるぞ」
「おい。あんた、うちにあの傾奇もん押し付けるつもりかいっ」
「それにこれはゆくゆくは聖院欧州地域本部にも影響皆無ではない話や。今回あんたが協力しておかへんかった場合、うちらやなしにそっちのマイレーネさんに話がいくであろう」
「ぐぬぬぬぬ、とにかく貸し一個やからな!忘れんなよ!」
ええ。聖院のうちを無理矢理引きずり出しました。聖院側のクリスを呼んどいて聖院のうちを引っ張り出さない理由はありません。
最近でこそ単独行動も増えましたが、クリスを修羅場に投入する際にはわしも必ずセットでつける。
聖院でも痴女皇国でも高木夫妻の不文律のはずです。
で、文句言い、そのさんとよん。
「なんであたくしたちが囮組に」
「他のメンツを見ろ。大統領夫人に愛じ…ガールフレンドな方や。更にはアグネスさんまで。このメンツに何かあったら困るんや。せやからベラ子も混ぜとるんや。わかるかスザンヌ」
「そうよスザンヌ。あんたアグネスさんに何かあったらその場でNBか英国のナインズ送り確定よ。わかってるわよね?」
「更に言うとあたしまで留学のとばっちりが来るのよ。あたしの姉となりたくば模範手本をお見せ!そうすれば検討してあげるわっ」
「ベラちゃんのその検討が10年先か20年先か、それはわからないトネガワ的論法のような気がするの」
「それはいいんだけど何であたしまで囮にっ」
「理恵さん。ギャル服コレクションに日が当たるのです…夜ですけど」
「あたしはホモやヲカマ相手に見せるために買ったんじゃないのよベラちゃん!」
「まぁまぁ、なんかあったらあたしら助けに行きますよ。つか理恵さん。ヲカマの一人や二人手も触れずにアヘらせて倒せるのをいい加減自覚してください。…ところで大統領夫人にマドモアゼル・リヴィエラ。具合はいかがでしょうか」と、ちゃちゃっと施工してくれた痴女宮のダリアが申します。
「確かに若くはしていただきましたが…」
「そうですねぇ、まずまずというところでしょうか」
「泥棒猫と同じくらいの歳格好は気に入りませんが」
「奥様…お屋敷の中ならいざ知らず、他の方がいる場所でその呼称はおやめくださいと」
「そう言えばリヴィエラさん、一時期話題になっておられましたね。愛人ではないのかと」
「ええ。アグネス様と似ているかは分かりませんが、とりあえず奥様半公認で住み込みの家事手伝いをさせて頂いております。昔のジャポンで言えば書生になりますか」
「泥棒猫を飼う趣味はありませんが、夫が外で遊ぶ事を考えるだにまだ良しとしましょう」
(なんでまたそんなややこしい事に…)
(痴女皇国の話を聞くにつけ、我が家の内情より更にこじれた話という気もしますが。とりあえずマリアヴェッラ陛下、このリヴィエラは実は戦災孤児でして、セネガルのカザマンス紛争に巻き込まれた現地居住の共和国民一家で、唯一生き残った娘なのです)
(あそこは延々と続いている民族間紛争地帯でしてね。で、燃え盛る我が家を眺めながら呆然としていた幼いこの子でしたが、連邦宙兵隊扱いで何度目かの紛争調停に赴いた共和国陸軍の派遣部隊指揮を執っていた私のもとに、幸運にも彼女の応急的な保護を買ってくれていた現地部族の住民から身柄を託されまして…)当時を思い出しておられるのでしょう。大変に悲痛な表情で大統領閣下が事情を教えて下さいます。
(私もよくは覚えておりませんでしたが、どうも父母に色々と助けられ恩義を感じていたようでして…で、共和国の軍人なり民間人に私を託そうと奔走してくれていたようなのです)
(で、ならばと当時5歳くらいでしたかしら。子宝に恵まれなかった我々夫婦の養女にさせて頂こうかと)
(そして10年後に妻が二度目の懐妊をした際に…)なんか大統領閣下がめちゃくちゃ肩身狭そうです。
あたしは痴女種能力以前に情報局の人事情報を拝見していましたから、肩身が狭い理由を知ってはいましたけど…なかなかにややこしいんですよ、この三人の関係…。
(ええ。悶々としている夫の無聊を慰めてしまいやがりまして。いえ失礼。しかしながら上の子とも仲良くしておりましたし、育児を助けるばかりか女中のごとく家事に率先垂範する日常を知っておりました。何より当時のリヴィエラの年齢、不適切行為が発覚すれば夫の出世にはかなりまずい影響が出ましたから)
(で、長男様ご出産までは旦那さまの面倒を見る羽目に…ただ、私の義理の妹や奥様には気付かれてくれるなとだけ)
(泥棒猫行為にしても、カトリックの夫が悶々としているのを見るに見かねてとあれば、醜聞を騒ぎ立てるよりも見なかった事にした方が良いとなりまして…で、世間様から見れば異様な関係が今に至るも続いております次第です。側から見ればバカンスに赴く際にも普通の家族にしか見えませんし、貴族時代の女中お手付きのようなものと考えております)
(あーそうか…せんず…自慰行為はカトリックでは本来なら禁忌…)
(まぁご家族納得ならいいんじゃないでしょうか)
(年齢の件につきましても奥様。現代フランスだから騒がれるのです。14なんてあたくしの嫁入りの年齢でしてよ)
(あたしらダリアに至っては聖院入りが何と12歳。ここにいませんが、アルトさんも似たようなもんですしね)
(むしろイタリアの種馬とか揶揄された某ロリコン首相よりはよほど健全ではないかと)
(確かに皆様からすれば健全な部類でしょうね。更に泥棒猫とは言えど学業そこそこ優秀、来年には卒業と官公庁就職も決まってはおりますから)
(何より、彼女を養う立場であれば軍人もさりながら収入が必要だろうと、長女を授かった辺りで後方勤務から軍需系某民間企業への就職を斡旋されましてね。更にかような経歴では政界入りした方が良いと勧められ、当時の政権与党への紹介も預かりまして)
(で、50歳前に若い大統領爆誕と…)
そうなのです。この大統領閣下、まだお若い部類なんですよ。
そして戦火の中で救った娘を養女にするばかりか少子化対策にも貢献だの、割とフランス国民受けする経歴のお方です。なまじこの国の出世コース定番たる文官系官僚、それも政治学校の出ではないのが受けて民衆の支持を得ている方なんですね。
ですのでコートダジュールで一家揃って割と大胆な水着姿をパパラッチされても、別荘じゃなくてある程度の市民同様にホテルに滞在とかしておられるではないかと擁護の意見も出まして、まぁこんくらいならと年上教師の略奪婚だの、はたまたベルサイユ宮殿借り切って年下妻と再婚の結婚式よりは遥かにマシとフランス世論も一応の納得をしております。
そして大統領閣下、俳優のジャン・ポール・ベルモンドに割と似ているイケメンの部類でして、女性有権者の人気も高いようなのですよ。
ですので、我々痴女皇国他の力を借りたくなる理由も何となくわかります。この交渉で手土産を持たせれば確実にうちらサイドにつきますね。
(言い方は悪いけど足元を見れるんだよな)
(ただ、愛国者かつフランス特有の官僚社会に反発しているプロレタリア層の支持率が高い人だから、この大統領閣下を支援すればフランス政財界に対する牽制にはなるわよ。場合によってはあたしたちがルルドでやった事をあえて噂で流して、聖母的能力者の後ろ盾があると思わせれば、そうそう足元をすくう政敵は現れないとみたわ)
(硬直化した文官官僚社会に一石を投じる政権公約を掲げて当選しておられますしねぇ)
(わたくしも正直泥棒猫には腹立たしい思いがございます。が、このリヴィエラをご覧ください。これならば我が亭主も靡くだろう容姿でございましょう。皆様には及ばすともなかなかのもの。嫉妬の炎を燃やす輩には男女問わずこのリヴィエラや夫を捕まえる器量を持てと申したきところですわねっ)
(た、確かに…)
(えー。読者の皆様。リヴィエラさんを一言で言うたら、ゴダールの名前はカルメンという映画に出たオランダ人の女優さんか、二代目のヨーヨーの女優さん。で、奥様の現在は映画のTAXIに出た人の二十代と説明せぇ言う話がっ)
(ちなみにアンヌマリーさんはゴダールの気狂いピエロに出ていたアンナ・カリーナみたいな感じだな)
(そこはアルファヴィルと言うてやれよ…)
(かーさん。あまりに予算がなくてだな、反乱分子の死刑シーンをパリ市内の学校かどっかのプールで撮影したSF映画に言及してやるなよ…)
(ああ、単に水着の女が泳いでるプールに死刑囚を突き落として、ごく単純にその女死刑執行人が罪人の足引っ張って溺死させるだけの処刑という…あれ確かSF映画やのに、ろくに特撮とかセットとか使わずに全シーンをパリ市内で撮影したらしいな…)
(好意的に解釈するなら、当時のバリは近未来SF映画の舞台に出来たと言ってあげるべきよっ)
(主演俳優は豪華なんですよ、アルファヴィルだけでなくてあの時代までのゴダール作品…)
(で、ドミニクさんは中国女に出たアンヌ・ヴィゼアムスキー、ジョスリーヌさんはゴダールのマリアの二作目の方のミリアム・ルーセルをイメージして欲しいそうよ)
(あたしらの話のR15版のタイトル、実はゴダール絡みだと気付いてくれたかな?)
(しかし…アンヌマリーさんが不機嫌そうよ…)
(確かに国是を考えますと敢えて倫理には目をつぶってしまう考えも理解できなくはないのですが…ジーナ閣下にも一言申し上げたいのですがっ)
(ミス・ヴィゼアムスキ…いやアンヌマリーさん。うちらの実質結婚式の中継をご覧になられた事ありますやろか)
(いえ…伝聞と画像でしか…)で、あたしは自分の聖環を使い、件の映像を見せて差し上げます。
(これ一瞬でスカート部分外せましてな。で、見ての通りミニスカ花嫁になれる特注ドレスでな、つまりあたしらが走って逃げるの前提の服よ服)
(ほんとに警察に追いかけられてる…)
(しかも万雷の拍手と紙吹雪と歓声、明らかに祝福されてますわね…)
(NBに娯楽が少ないとは言え、もう熱狂的に喜ばれる挙式だったらしいからな。未だに当時の父様とかーさんを知るNB関係者からは冷やかされるぜ)
(警察の人もノリノリで遊んでたとは本人たちから聞いたわよっ)
(まぁ何や、NBでは未成年婚姻を糾弾するどころかむしろ歓迎された訳やけど、その裏にはローズマリーさん…クリスの実の母親の隠れ悪妻ぶりが知れ渡っとってなぁ)
(言いたくはありませんが、母が事故死した際には単なるお悔やみだけでなく、これでクリス君も少しは楽になるのじゃないかと気遣いの声を多数もらいまして…事実、気が楽になりはしたんですけどね)
(いや、娘のあたしが断言する。白マリも知ってるし、実際に過去のローズマリーさんの行状、あたしらなら逐一調べられっからな。かーさん、あの時の事故現場検証や事情聴取に立ち会った全員の意見は一致していたぞ。そりゃ不幸な事故だが仮に天罰なるものがあれば、これは正に天罰だろうと)
(まぁ、天狗の仕業やともっぱらの噂やったな)
(NBに天狗はいないでしょって突っ込みはともかくですね、そりゃ父様の結婚式はもちろん、アグネスさんの存在を黙認するどころかNB国民で容認してなかったのはごく少数よっ。あの人の所業が明るみに出たら黙ってしまったし…児童虐待だけじゃ済まずに政権与党幹部夫人の地位を悪用しての汚職がずーらずーらだったもんねぇ…)
(主人に代わって申しますが、私の方もそれなりの家柄でして、ローズマリーの実家を黙らせることは不可能ではなかったのですよ。ただ…あの子の死後に出てきた諸々、彼女の実家にも関わる話でして…野放しにしていた責任について厳しく言わざるを得ませんでしたのよ。アンヌマリーさん。児童虐待について対策のお仕事に就かれていらっしゃるなら、ある程度の地位や権力を有した女性がどの程度やりたい放題できるか、想像つきまして?)と、当事者の一人たるアグネスさんが辛辣な一言を。
(いや、マドモアゼル・ヴィゼアムスキ。俺だって話を聞いてみれば、こりゃあ神様も公平になりもするさと言う内容だったからな。ま、おかげで連邦もNBも聖院も全てが首の皮一枚で繋がって今に至ってるんだ。なぁクリス君たち。これが人生ってもんだ。そうは思わないかい?)と、クリスとの付き合いも大概長いアルザスハゲも申します。
(そうですね。ゴルディーニさんには色々と教えていただきましたし。航宙駆逐艦に左遷されておられなければ僕と遭遇してはいなかったでしょうから)
(ま、おかげで俺も将官用徽章をつけられる身分になったし、俺にしてみりゃルルドの奇跡に匹敵する話になったからな。君の奥様のお守り以外は、だが)
(やかましいドハゲっ磨くぞっ)ほんまにこのハゲはいらん事を言うなぁっ。
というわけで、ハゲにこれ以上何かを言わせないためにも、あたくしは発令させて頂きますっ。
「ではまだ若い大統領閣下に花を持たせ一家円満に貢献するためにも我々は挺身協力、汚物は消毒作戦開始や!」
…そして文句いい、そのご。
「あの…私は何をすれば…」エマ子が各員をとりあえず転送でパリ上空のテンプレスに送り届けましたが、配置を決めてなかった人がおどおどしています。
で、あたしは決めてなかった意図をお教えします。
「最初から荒事なんて、いくら非行未成年を扱っておられたとは言えど無茶でしょう。あたしらも無茶は申しません。ですから見学を兼ねて待機の間に痴女種化措置を受けて頂きます」
「ふむ。聖母様、このためにわたくしを…」はい。ベルナルディーゼ様の名前がなかったでしょ?リスト。
「いや、普通ならダリアあたりでちゃっちゃと済ませてしまえばいいんですけどね。何ならうちがやっても…うん、まりあー。今のうちも二代目様も痴女種化施工可能やよなー」
(基本的におばはんはあたしと同じ事ができるのだよ。本当はエマ子レベルも可能なのだが、やり方教えたら何するかわからんからあたしや白マリレベルに留まってもらうからなっ)
(いや、お前らと同じだけでも大概、世界制服とか宇宙を制服できるレベルや思うねんけどよ…まぁええ。二代目様にやってもらお。ええよな?)
(だから地球に制服着せてそれで地球をせいふくとかベタなネタ出すんじゃねぇっ。…えーとな、うん、基本インマヌエル型ボディで…えまこー。二代目様の身体で痴女種化施工モードパーミッション外しといてくれー、chmod -v /dev/slut/slut.app 601で…/dev/slut/slut.app -rw----x- いや、実際はこんな単純なもんじゃないんだけどさ、皆さんにわかりやすいイメージってこんなんかなぁと)
(誰に言ってるんすか…はいはい、実行権限渡しましたからね。あとヴィゼアムスキさん。聖院二代目金衣ベルナルディーゼ様のされる事を拒まないようにお願いします。泣こうと喚こうと、これをしないと痴女種になれませんので…)と、エマ子が割ときっつい事言ってます。
本当はマリ公・エマ子・ベラ子・(あたし)は直接にあれせんでもいけるらしいです。
実際にマリ公が何人か、挿入どころか手も触れずにやってましたでしょう。
ですが…ええ、ヴィゼアムスキさんは必ず、通常手順で痴女種化措置を受けて頂かねばなりません。
「お待ちくださいジーナ閣下、いえ聖母様」
「彼女は共和国政府職員、我が夫の部下です」
「遺恨禍根を残したまま出向させては我が共和国の恥」
「聖母様。マドモアゼル・ヴィゼアムスキに対する痴女種化施工、私と義娘にお任せ頂けませんでしょうか」
「…二代目様。お二人は現状では人間同様ですねん。で、この後は囮になってもらうこともありますし、まずは一時的にカルメン夫人とリヴィエラさんのお二人を千人卒化。その後ならお二人どちらかでヴィゼアムスキさんを相手してもらったら自動的に十人卒から百人卒の間で痴女種化しますわ」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる