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仏蘭西戀物語・エマニエル夫人の恋人 2

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ジョスリーヌさんの衝撃的発言に驚き呆れるみんな。

ええ、客のを咥えている映像や画像すら見せて頂きました。

恐らくは軍用機材の高精細センサーカメラで撮影したものでしょう。

(作戦工作でブローニュやヴァンセンヌに誘い込んで、行為映像を撮影することもあるのですよ。ですから私の業務としての観点ですと、ここの取り締まりや風紀改善はあまり有り難くはないのですけどね…ですが、こうした男娼が不必要に増加するのもまた、困り物なのです。純粋な女性が行くと浮きますので)

そうです、カメラに映って男の足元に跪いている「女性」スカートまくり上げてましてね。

で、下半身が下着姿なのですが、フリーな左手で「あんたは痴女種かぁっ」と言いたくなりそうなブツをシコっておられるのですよ!

そしてそして、くだんの女性らしき方々、純粋な女性にしては肩幅が広めとか骨格がゴツいとか足首太いとか女性にしては頭や顔が不自然に大きいとか、複数サンプルのいずれもがよーく見ると見分けがつく状態です。

ですが、そういういわゆるヲカマな方々でも需要はあるにはあるようで、ひどいのになると森の奥にまで行かずに車道横の歩道の隅で暗がりをいい事に笛をお吹きになる作業を熱心にしておられるものも。

(古いポルノで男2名女1名などで、男対男の場合があるのを見た記憶はあるが…これは正直、外国の方に見せたくない汚点ですな…)ロベスピエール大佐が「見なきゃ良かった」という顔でげんなりしています。

(美男公の行為とは似ても似つかぬおぞましい姿ですね…美への冒涜です…)つかベラ子。お前まさか、口でもさせてたんか…。

(ええ、皇帝陛下のものを咥えさせられていたそうですから、あたしも皇帝ですし)

(だから合意を得てからやれよ…)

まぁ、娘の暴力的な性交実態は後で問い詰めるとしまして、差し当たってブローニュの森の実態調査です。

そして、確かにこれはジョスリーヌさんが顔を歪めているのも理解できます。

こんな中にあたしやベラ子などが押しかけて青姦場所を物色しているだけで、ショバ荒らしに見られかねません。なんせここは治安の悪さでは結構有名なパリです。

そもそもヲカマさんたち、食いっぱぐれてるから男娼に身をやつしている訳ですよね。

で、日本のニューハーフパブとかにいるヲカマさんとか、素人の男の娘のような行儀の良い子では絶対ないでしょう。ショバ荒らしと見たら男の思考と体力を発揮して襲って来る可能性は非常に高いと思われます。

(昼間の公園でビキニトップどころか水着になるくらいはみんな平気でやりますけど、場所によってはそれをやると売春婦に間違われるのはまだマシで、同業者のショバ荒らしと誤解され日光浴の最中に襲われかけたり、果ては屈強な難民が男娼になっているのもおりまして…新参の売春婦を強姦したケースすらあります)

(よそもんが勝手に縄張り争いしてるだけなのに、差別だって騒がれたらウザいよな。犯罪行為を働いた方がいわゆる日焼け民族だったりしたら尚更だぜ)

(まぁ、我々憲兵には帯銃…それもリーサル弾を装填した殺傷前提の銃器やらレーザー銃やらを携帯して任務に就く者も少なくありません。こと第三次大戦以降の治安維持に関して、発砲を躊躇しない姿勢が歓迎されているのは正直どうかとは思いますが)

(自らの生活が脅かされて参りますと、さすがに権利権利と犯罪者の権利を必要以上に申し立てる者が減るのは皮肉極まりない話ですわねぇ)

(昔と違って兵隊がそういう犯罪者予備軍のセーフゾーンとして機能してへんからな)

(なまじ死刑が廃止されている上に取り調べや裁判が面倒だからって、現場で射殺の事例、割と多いんですのよね…)

(とりあえず、あたしやベラ子なら、ヲカマや男娼が一億人押し寄せようがローマ兵七万六千と同じ運命にできるんだけど…ジョスリーヌさん。この男娼連中がブローニュに千人いたとしようか。で、仮に全員行方不明になった場合、フランス共和国の政治経済治安にどこまで悪影響を及ぼすだろうか)

(性欲のはけ口を求めた男が性犯罪を犯すくらいですわね。むしろ治安維持や福祉にかかる不用な経費は節減できますし、観光や公園の日常利用に支障を来さぬ好結果を招くかと)

(で、売春についても提案がある。日本国では売春は犯罪であり、風俗産業は厳しく取り締まられる状態だ。だが…)

(オキナワでは実質許可制でしたわね。泡の国とかいうマットの上でローション使うあの業種とか)

(ドミニクさん。ママの店知ってはりますよね。今は痴女皇国のるっきーが名目オーナーで、実際には痴女皇国経営に等しいあそこ)

(ウィウィ…あたくしも踊らされましたわよ!)

(あそこは痴女皇国や聖院関係者の登竜門やからあきらめて。で、あそこは本当なら日本の風俗営業法2条5項の規定で言う3号営業で届出書取らなあかんねんけど、新規参入が極めて難しいがために2条1項の1号営業で許可取ってんねんわ。ちなみに沖縄県警に対しては連邦政府上位互換法適用条約を盾に連邦宙兵隊関連施設扱いとして無理矢理合法化していたりするのやっ)

(あれママが引退した時にかなり揉めたのよね…あたしと黒マリとかーさんで頭ひねって、若様にも意見聞いてさー、痴女種一名常駐させてるの名目にして特殊外交施設扱いにして店内治安は警視庁公安部外事課と宙兵警務隊所管にするとか無茶したからねー)

(で、警務のあたくしもたびたび顔を出すハメに!)

(で、うちの母がさっき、許可と届出書と言い分けてたでしょう。ドミニクさんはご存知だと思いますが、ロベスピエールさんとジョスリーヌさん、なぜ一般的なキャバレーとストリップティーズを分けているかお分かりでしょうか)

(マリアリーゼ陛下。もし私の推測が間違っていれば正して頂きたいのですが、南米諸国にあるようなディスコティーク兼売春施設めいたものか否か、つまり性的サービスを保証する営業内容か、はたまた単なる酒場扱いかで申請通過の難易度が変わるのでは)

(実際にあの店は…男が気持ち良くなる内容を実質提供してはいるよ、ジョスリーヌ)

(ああ、ロベスピエール大佐殿は実際に利用された経験をお持ちですわよね)

(カデナ赴任者であそこに足を踏み入れていないのは一部の女性か、さもなくば細君が厳しいか、はたまた男性同性愛者もしくは性的意欲に著しく欠けた稀有な存在であるかだな)

(実は裏情報やら何やらが手に入るとか、あたしがおるときは上官や同僚がおると知った女連中で活用価値を閃いた連中は女同士で来てたりしたわけよ…内緒の頼み事とか裏話の交換ができるからな…警務のドミニクさんにたまに来てもらう意味はみんなもわかるやろ…基地内部の情報管理にはうってつけの場所なんや…)

(実際の営業内容はともかく、なんらかの性的サービスを提供する店に対して日本の警察は、実は一切許可していない建前なんですよ。性風俗とみなされる店は全て、風俗営業届出書なる書式を提出します。そのスタンスは「こういうヒワイなサービスをする店を開店しますから連絡だけしときます」というた・て・ま・えなのです)

(マリアの話を補完しますと、届出書提出に対して所轄警察の担当部署は「届出書確認番号」なる数字列を書式で申請者に対して発行します。この番号をもらえない場合は風俗営業を届け出た内容に不適切事項があったから確認番号を出しませんと通知が来ますが…つまり、これまた建前ですが「何かわいせつなサービスをする店の開店連絡が来たから目だけは通したよ」という、単なる書類を見ただけの通告を出すわけですねん)

(はー、なるほど…男性が射精したり、極めて卑猥な内容で営業している店については、その確認番号通知とやらが実質的な営業許可だという訳ですか…)

(ロベスピエール大佐、ドミニク少佐。読めましたわ。即ち、マリアリーゼ陛下は、我が国が売春を許可するかどうかは別として、とりあえず売春婦として登録をさせる制度を提案されています。そうですわね、陛下)

(だよ。認めるかは別にしてとりあえず当局に申請だけは出させとくんだよ。で、不法入国者だの難民認定申請だのはともかく、最低限の身元証明しなきゃメディアウォッチ類で金のやり取りすらできねーんだから、建前としては認めないけど生きるために買い物の決済くらいは認めてやるから最低限の個人登録くらいはしろよって形を取るのさ)

(で、申請しない人間は文字通りの身元不明者として連行するなりできると…なるほど)

(ま、行方のわかってる行方不明者になってもらえたらうちやNBも活用しやすくなるって事ですよ。連邦社会じゃ強制思想統制や犯罪奴隷制度は知れたら騒がれますから、直接的に貴国に貢献する労働力として提供はできませんけどね)

(難民や犯罪者が従順な労働者という宝になるわけですわね…問題は倫理的に拒否感を抱く者が多い事に尽きますわ。共和国設立当初の精神からすると自由と平等からは外れますわね、よそで難民や犯罪者を活用頂きますと)

(博愛精神については正に神のお慈悲なのですがなぁ。聖院世界は私も知らないわけではないが、下士官以上はともかく、一般兵卒よりは絶対に恵まれていると断言できるでしょう)

(健康で強健な身体にして頂ける上に、かつ性欲の面倒まで見てもらえて何が不満かと。わずかな自由の阻害と、組織系統上やむを得ない不平等くらいでガタガタ言う奴こそ共和国の敵、サンテ刑務所終身服役が相応しいですわねっ)

ああ、そうです…この方々、ある意味二重三重スパイめいた立場なのですが、一番隠し事ができない代わりにいちばん彼ら彼女らの立場を配慮斟酌している我々痴女皇国のシンパなのです。

別に洗脳したわけでもオルグしたわけでもありませんが、フランス共和国の悩みや病巣めいた部分の解消に痴女皇国との交流を役立てようと考えている方々なのですよ。

そして惑星開発の労働力を欲するNBに対しても労働者を積極提供可能とあって、異教徒系を多数含む難民に悩むフランスへの接触は、理恵ちゃんの言った通りですね、うちの舅ことワーズワース大公がゴーサイン出しました。

けいー。共和国上層部がどう判断するかわかりませんけど、とりあえずツカミは撒きましたからねー)

(おおジーナ君、マリア、重畳だよ。あとは彼らが自国技術の他国売り込みについて競合国家の後塵を拝しがちなコンプレックスを突つけばよい。彼らのビジネスチャンスを叶える代償に、自国に好ましくない人々の積極処理をセットで提案しておけば、建前と本音を使い分けるだろう。説き伏せるのが困難ならば大統領と私を通信で繋いでくれ)

そーです。はるか百光年先のNBにいるワーズワース大公とも連携して、このめんどくさい国を攻めようという訳なのですよ。

そして餌は痴女皇国世界のブルボン王朝の交通インフラ開発。うちらが管理監督はしますが、道路や鉄道整備にとどまらないのは火を見るより明らかです。

実はフランス共和国、革命で粛清をやりすぎたり、王を抱く君主制のメリットに改めて気づいて反省はしました。

で、最後の王朝の子孫を担ぎ出そうとして「先祖を遠慮なくギロチン送りにした国の王にいまさらなれるか」と断られていたりします。

ですのでフランス側としては、共和国国内の統制強化のためにも痴女皇国世界に現存する王朝から人を出してもらう事すら考えております。

なんせボルジア家出身者るっきーとべらこが痴女皇国関係者として自由に出入りしている国のおとなりさんです。イタリアの蒙る恩恵に目が行かないわけがありません。

そして現政権のみならず高級官僚連中すら、すきあらば聖院利権に噛みたい意向なのは我々もしっかり把握していますので、今回の晩餐…に名を借りた外交交渉会議、気が乗りませんが性交いや成功させなくてはなりません。

(ぶっちゃけ連邦世界でもアルストムは強いですからね。ただ、特許の相互利用について、GE社と東芝のような関係をきちんと結んでお互いが技術盗用をしない前提で行くなら、彼らと手を結ぶ事で得られる利益を享受する方向で行こうと父方面)

(英国なんの木社前面で行くんだろ? NBと比丘尼国とうちと日本のフロント企業役)

(もっちろん。フランスにはイギリス。これは常識よ。ほほほほほ)

(た、確かに我が共和国の天敵…)

(そもそもNBが噛んでいる時点でアルストムが暴走はしないと思いますが、あそこはいささか信用できない一面がっ)

(マリー。監督役を頼む場合にはよろしくやで)

(ほっほっほっ、お任せあれ。フランスの方々とのお付き合いはよーく心得ておりますからっ)

で、我々もロレーヌ公国の公女たるマリーを隠し球に用意しております。痴女種かつ罪人管理や比丘尼国ライン監督役経験者のマリーにとっては、病人や怪我人を治す程度で聖女扱いは気恥ずかしいようですが、連邦世界の人間からすれば奇跡の所業です。

(ロン毛さん級の救世主を作るくらいしないと聖女や聖母呼ばわりして頂けないのですよねぇ、痴女皇国側では)

とりあえず隙あらばルールブックを書き換えたりするドイツやフランスお得意の手口を封じる方策でこちらは臨んでるよー、と伝えるわけです。

(あとは聖院と痴女皇国世界双方でイザベルさんを抑えているのがでかい。あの人はもともとフランス王家出身、しかもハプスブルク家血縁だぜ。つまりイザベルさんの配偶者にはフランスまたはスペインの王位を継がせることも可能なんだよなぁ…痴女皇国世界じゃ王位継承権序列があるけど)

(まさにフランス王妃の実子であらせられますからねぇ…)

(本人は南欧支部長の椅子が気に入ってるし、借金返済のネタになるなら喜んで話に乗るわねっ)

(共和国を救うために、かつての王朝や属領関係者が手を差し伸べる絵図を描けばよいと…)

(必要があれば本国王室からも後押しさせよう。直接に王を頂くのではなく、イタリア同様に名誉国民の地位と名誉職を与えるだけで充分だと思うよ、フランスの方々)

(大公殿下からも口添えをよろしくお願いいたします…)

(スペインの債務なんて言ってみりゃ、うちがチャラにしてやればいいだけなんだけど、本人はそれ分かっててうちの方針に全力賛同してやる気満々だからなぁ。ある意味イタリア以上に痴女皇国に依存する体制作ってるから…)

(文化投資についてブルボン王朝のスポンサーにさせている件も意図を理解して頂いてますわよ)
この辺の会話で、次に痴女皇国世界でのフランスに対して打つ手をお読みの方もいらっしゃるかも知れませんが、とりあえず共和国側のフランスをこちらに確実になびかせなくてはなりません。

(共和国の方々には悪いが、世界の覇権を握る立場かどうかは貴国中枢を知る方々こそよくお分かりだろう。私がマリアに頼んでいるのはまさに貴国が貴国らしい立ち位置を維持する事、これに尽きる。皆さんもそれをよく理解して頂きたい)ワーズワース大公もフランスが歴史上で担って来た役目を承知しています。ですから滅ぼす事まかりならずで痴女皇国も動いていたりするわけです。

むしろ、史実に沿った文明的文化的成果は挙げて欲しいとあたしやマリアに誘導を要請している立場なのです。

(大公殿下のご意向は必ずエリゼー宮に伝えさせて頂きますわ)

(とりあえず輸送機が着陸しましたら、積載したバスでそのままオテル・ド・マリニーに向かいますが、よろしいでしょうか…国賓用車両とか、いります? 大統領専用車と予備車のシトロエンとか)

(シトロエンというだけで何かこう、燃えそうな名前なんやけど)

(シトロエンユーザーが怒るからやめいっ)

(あ…ちょっとお待ちください。え…N118とD90はまだ良いがペリフェリックが混んでると。ふむ。了解しました。ではB107で降機した後はET60のユーロピューマに乗り換えて頂くと。かしこまりました。伝えさせて頂きます。…えー、いつもの事と言えばいつもの事なのですが、ヴィラクブレー基地B107からパリ市内まではともかく、ペリフェリック環状道路が夕刻の帰宅ラッシュに差し掛かる可能性があるので、VTOL機に乗り換えて頂くそうです。ジーナ閣下はユーロピューマ、ご存知ですよね。我が国の大統領用のあれでしたら10名と我々3名が何とか乗れますから、エリゼー宮内のヘリポートまで一気に飛びます。で、エリゼーからはマリニー通りを挟んですぐですから、オテル・ド・マリニー…)

(あたしらがエリゼー宮に足踏み入れて良いのだろうかという気がしなくもないねんけど…)

(ジャポンの皇帝の宮殿に招待されるような方を国賓扱いしないでどうしますか。TGV体験視察がなければ本当に大統領機でヴィラクブレーからルルドまでお送りしておりましたわよ?)

(ジーナ閣下は普通に各国首長と会談されることもおありの立場でしょう…)

(まぁ人間苦手もありますねんわ。フランス相手はアルザスハゲごるでぃーにさん呼べるもんなら呼びたいねんけどなっ)

(しかし真剣に国賓待遇になって来たな…大統領だけじゃなしに首相から何からフランス内閣の閣僚勢揃いしてたとかやめてくれよ…)

(治安維持くらいやったら今晩中にカタつけられるやろけど、色々頼まれたりするのもなぁ)

(その辺りは…エリゼー宮が空気を読んでくれる事を期待するしかありませんわね…)

(何か、フランス政府が婚活を焦るOLのように見えて来る話よね…)

(それよりマリアンヌとスザンヌ。お前ら大人と子供どっちの姿で行く? 一応それなりの大国の大統領閣下と同じテーブルにつくわけだから、見た目相応の扱いをされるからな?)

(スザンヌ。言っとくけどあたしも黒マリも政治家あしらいくらいは普通にやるわよ。ベラちゃんもイタリア行ったら首相辺りとは普通に話すし、何より今の連邦のトップ、あたしたちとは昔からのお馴染みさんだからね)聖院マリアがスザンヌをじろ、と睨みます。

(つ、つまり…国家首脳とごはんとか当たり前にこなせと…)

(そうよマリアンヌ。あんたはまだいいけど、スザンヌが聖院または痴女皇国トップを考えるなら絶対避けられない道ですからね? 痴女皇国はまだるっきーがいるけど、聖院ははっきり言うとあたしが外交の主な顔よ?)

(聖院のリーゼ姉がきびしいっ)

(ったり前じゃん。あたしと黒マリがたどった道よりは楽なはずよっ)

(はい…大人モードで行きましゅ…)

(とりあえずVTOL機に乗り換えた際に着替えだ。で…こういう突発的な外交の場出席もあり得るから、一張羅を用意しとかなきゃならんのは二人ともわかるよな)

(マリ公。うちはどないしとく。無難に行くなら痴女皇国正装やけどな)

(いや、かーさんは宙兵隊公務将官装でいいだろ。いきなりだったからこれ着ましたアピールと、連邦サイドでもある立場を見せてくれ)

(あとは…理恵ちゃんと雅美さんとマリーとスザンヌとマリアンヌちゃんはスーツで行くわよ。で、あたしが聖院ホワイトで、黒マリとベラちゃんは痴女皇国ピンクのドレス。軍籍徽章の国籍バッジはあたしがNBで黒マリ英国、かーさん日本でベラちゃんイタリアでお願いね)

(へいへい)

(出来ればあたしは蟹衣装で行きたい気満々なんだが)

(マリアリーゼ陛下。我が共和国の臆病者どもに対する宣戦布告になりますからおやめください)

(えええええ? あんな可愛い蟹が…)

(黒マリ…あたしの虎柄衣装よりタチ悪いんじゃないの? あれ…)

(ジーナ閣下。そして皆様も。件のマリアリーゼ陛下ご着用のユルイ・フクですが、北欧作戦の際の映像を大統領閣下他、閣僚や高級軍人も分析目的で見ております。で、あの衣装を着た陛下が間抜けな道化どころか、敵の油断を誘うための極めて危険極まりない戦略的交戦意志を示す状態であると共和国上層部は認識しておりますので…。これ言っちゃっていいかな…あれを着た閣下の足止めが可能かはともかく、バイヨンヌの第1海兵歩兵空挺連隊からアルルカンTAPPS6装備の一個戦闘機動歩兵小隊が編成されてエリゼー宮に詰めておりますが、これに出動命令が下りますような事はなにとぞお慎み下さいますとですね、地球平和に大変な貢献が可能かと存じます)

(ところでジョスリーヌ君。あの…バイヨンヌの海兵歩兵と言えば完全な初動侵攻系実戦兵力じゃないか…核武装前提のTAPPSをパリに置くとは正気か? 陸軍もエリゼー宮も…)

(ジョスリーヌさん…あたしそこまで危険物件に思われてんの?泣きたいんだけど…)

(まぁこれはマリ公も悪いなっ。あの蟹衣装であそこまで暴れ倒したら、そらそう言う認識を受けもするやろ…)

(マリアリーゼ陛下。痴女種というだけで核装備したTAPPS複数機でも抑え切れないと言うのが連邦軍後方支援国家連絡会議諸国の認識です。ええ、味方の私やドミニク少佐ですら、パリをうろつく際には監視がつきまくる有様でしてぇっ。ジーナ閣下の言葉をお借りしますと「しばくぞぼけ」に尽きますわね…あの臆病で怯懦なアホどもわぁっ)

(あと…ジーナ閣下…ジョスリーヌは皆様のガイドとして晩餐に同席しますが、共和国軍籍のロベスピエール大佐と宙兵隊籍の私はレセプシオンに同席できません。会食の格を鑑みますと、バンケットルームには立ち入らないか、入れても護衛役でしょう。助言はさせて頂きますが共和国の閣僚には流石に直接発言がためらわれるところです。その辺りはご承知くださいませ…)

(まぁ、あの席上でジョスリーヌさんはまだしも、ドミニクさんが二重三重スパイやと確定してまいそうな発言はまずいわな)

(閣僚側の暴走発言の抑え役が欲しいところですわね…)

(なぁ、ジョスリーヌさん。うちに1名加えても大丈夫かな。話の持って行き方次第じゃ共和国側の味方になってくれるぜ)

(…イザベル陛下ですわね。かしこまりました。打診致しましょう)あ、ジョスリーヌさんもフランス陸軍仕様の生体インターフェイス持ちか…。

(陛下。大丈夫ですわよ。イザベル陛下の意思につきまして、少なくとも私は皆様同様に理解はしておりますつもりですし)

(んじゃちょっと呼ぶか…)


「また何ですかぁっ陛下。アナの穴を以下略しております最中にっ」

ええ。何でそう乱れた格好で飛ばされて来るのでしょうか。

「たまには毛色の違うお相手の洞穴を攻略させて頂きたいところではありますわね。こほん。失礼、フランスのお三方。わたくし、フランス王アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシスの娘にして先代スペイン国王フェリペ2世が妃、エリザベート・ド・ヴァロワでございます。現在は痴女皇国南欧支部長兼スペイン国王イザベル・デ・バロイス1世と名乗らせて頂いております」

(えー、イザベルさんの名乗りがややこしいっ)

(マリアンヌ…これくらい一発で理解なさいよ…)

(えーと、整理させて下さいまし…)

「はいはい。まずあたくしの父親は先程申しました通りフランス国王をしておりました。で、その妻にメディチ家からまいりました我が母カトリーヌ。そしてフォンテーヌブローで産まれたわたくしがカトー=カンブレジ条約…フランスとイタリアが以前に結んだ和平条約の締結条件たる政略結婚の話によって、わたくしが14歳の時にフェリペ2世の下に嫁がせて頂きました。つまり人種としてはイタリアとフランスの混血となりますかしら。で、そちら様の歴史ではわたくしは早々に産後の苦しみの果てに若くして死ぬ運びになっておったかと存じますが、こちらでは痴女皇国の皆様に、ありがたき話なれど下心ありまくりなお救いを頂きましてですねぇ…借金女王をやらせて頂いておりますわっ!」

(なんか自己紹介が恨みに満ち満ちている…)

「そりゃ重臣のアナに裏切られるに等しい政変起こされるわ夫は早死にするわ、仕方なくスペイン王位を継承するわスペイン軍費債務肩代わりの条件に痴女皇国南欧支部長にされるわ、あたくしからしますと痴女皇国の皆様はありがた半分恨み半分ですのよっ!全く…フランスも王統が絶えて共和国とやらになられたそうですが、我が国の債務を肩代わり頂けるのであれば、この際肌の色がピーとかピーでも構いませんもごもごもががががが!」

「わわわわわイザベルさんだめ肌の色特に日焼け系の話題を現代で出すのダメ絶対ダメ!」聖院マリアがイザベルさんの口を慌てて抑えます。

(ああ、この世代の人って、ナチュラルに差別発言が口から出ること結構あんねんよな…)

(まぁそれは致し方ありませんわよね)

(あたくしも痴女宮に連れて来られてしばらくするまでは結構色々ありましたけど、女性の権利とか言われましてもイマイチピンと来なかったですわねぇ…)

「差し当たりましてイザベル陛下。ここなロベスピエール大佐監督のもと、連邦軍籍のわたくしドミニクと、フランス軍警務関係者のジョスリーヌが痴女皇国の皆様方のご案内役を勤めさせて頂いております。今回お呼び立てした件ですが、マリアリーゼ陛下」まぁまぁお座り下さいと壁際の空き座席にイザベルさんを座らせたドミニクさん、マリ公に話を振ります。

「えーとな、イザベルさん。あんたとこの鉄道や道路整備にも関わる話なんだわ。まぁ心話で説明した通り、こっち…連邦世界の共和国フランスは痴女皇国世界のフランス王国の交通整備利権が欲しくて欲しくて欲しいわけなんだよ。だけどいくら出自がヴァロワ朝フランス王家だって言っても、スペインで女王様をしてる今のあんたの立場からすれば痴女皇国側のフランス、ひいてはハプスブルグ家と完全に足並みを揃えられねぇよな」

「ええ。正直なところ実家ながら、もう少し周囲に対して大人しくして欲しいのが本音ですわね」

「で、あたしの頼みなんだが、まずは共和国フランスの鉄道技術をスペインに対して有償で導入することに合意して欲しい。で、パリからリヨン・バルセロナ・マドリードを経由してカディスやジブラルタルへの路線とだな、マドリードからポルトガルのリスボンへの路線…この二つを最優先して建設させたいんだ」
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