闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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復活!まりあ結婚相談所!・4

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「とりあえずあたしの希望は…可能な限りNBでの寄宿舎生活は避けたい。それとスザンヌには何故あたしやスザンヌでなくベラちゃんが皇帝に就いたか、納得のゆく説明をして欲しい。あと雅美さんねぇ…確かに、雪子さんには信じられないだろうけど、厳罰やむなしかも知れないのよね」

「実行した犯罪でなくても厳罰とはこれいかに、だけど…」

「えーとな。痴女皇国は現在、犯罪についての成文法が…実は存在しないんだ。うはは」

「それがまずとんでもない話ですけど、法律ではなく人治主義で裁く理由とは」

「簡単。不要だからよ。リーゼ姉が管轄するのは現行犯でしょ。ただ…そもそも痴女皇国で現行犯が成立するのは実は微罪か極度の重罪なのよ。だって犯罪を企図した時点で聖環や罪環が警報鳴らすのに、大規模な計画的犯罪自体まず実行困難じゃん。つまり刹那的にやらかす事以外、ほぼ実際の結果…つまり実行犯が出ないわけよ」

「そして計画的犯行にしろ、その場の思いつきにしろ、あたしが処罰せにゃならんくらいの事を実行可能なのは、かなりの幹部または皇族だ。ほれ、マリアンヌとスザンヌがやった下着ハッキング。あれがいい例さ」

「あーなるほど…」

「そしてもういっちょ。過去の聖院でのトラブルや犯罪記録は全て参照可能。だから成文法こそないが類似事例を探してこれる。更に、実際に処理した金衣に直接色々聞けるしな」

「んで、あたしがスザンヌや雅美さんを微妙に庇ってる訳だけど、良かれ悪かれ聖院世界では痴女種を含む人間は資源だから、簡単に浪費するなというのが聖院的価値観。例えば日本なら死刑になるような重罪実行犯でも聖院に送られて来たら無害化され精気供給源かつ労働力に出来るからね」

「その代わり基本的人権は剥奪または凍結だ。女の罪人も女官にして働かせてしまうしな」

「殺さずに資源化しちゃうと…」

「そういうこった。実際に死刑執行されるまで延々養うような無駄はしねぇよ」

「確かに…それならいちいち分厚い法令や法規は必要ないですね…」

「ただ、学術資料としては修学宮図書館のライブラリに格納されてるし、製本も収蔵してるからな。なんせ、痴女皇国以外はあたしが法律だってのはできねーから、法学分野の教育は必須だよ」

「まぁ、まりあ先輩が歩く刑法なのは理解しますた。んで雅美さんが重罪未遂犯に近い理由は」

「まず連邦社会で痴女皇国が絡む犯罪行為の主導または加担。しかもNBや比丘尼国絡みのプロジェクトを本格始動した時期になんちゅう事やらかしたか」

「そしてね、リーゼ姉…スザンヌがやったの、今回は初代様絡めたクーデターに近い。だからちょっと待てやとならなかった?」

「んだ。あたしか母様が何年かNBに行く話が出てんのに、ベラ子の退位を企んだ時点で国家転覆
レベルじゃねーか。それもお前らがパンツいじっていんちゅうくん動かした時と違って、家族会はもちろん…おっさんの承認すら取ってねぇだろ」

「あの子、いんちゅうくん動かしたのと大して違わないって思ってるわよ」

「となると、このままだとお前ら間違いなくNB行きだな。皇帝なら皇帝になって何がしたいか…というより、何をして諸々の問題を解決していくかだ。それも分からずにトップに就きたいだけしか頭にないならちょっと勉強しろやって話になっちまうよな?」

「そのスザンヌと一括りで出荷されるのがやだから擦り寄ってんのに、リーゼ姉何とかしてよっ」

「はいはい。とりあえずお前らに渡した美少女魔法戦士の仕事がヒントだ。…ゆっきー…主人公二人の役をやってる奴、ちょっと噂流れてねぇ?」

「えーと、アレあれさんとソレそれさんですよね。確かに例のタキシード双葉仮面役の男優…いやタレントと少しややこしいお付き合いがあるとは聞いてます」

「む。つまりリーゼ姉。このまま行くとシリーズ途中で降板とかあり得る訳?」

「一応今期までは何とかするけど、既に声優プロダクションには内々に来期の次候補を打診するとかいう話になってる。それとこういう企画も出ていてな」

「あら、プリフェアのミュージカルじゃん」

「で、こっちはこっちでビューティーツインズ対プリフェアの映画に合わせて日比谷の舞台でもやろうとなっててな。例の茶色い電車の会社には既に話が行ってる」

「しかしこれ舞台とは言え、声優さんと違う人がやる必要ありますよね…特撮実写みたいにCGで大規模に誤魔化せないし」

「普通の人間にゃ無理だな。アクション俳優クラブ所属でも厳しいかも知れねぇ。普通の人間なら、な」

「何であたしの方をチラチラ…」

「マリアンヌちゃん。多分、痴女種化してたら身体は普通の人より動くわよ」

「ついでに声も、デジタル変調抜きに自然に現在の声優の声色を真似られる。声紋や音紋まで完全同一は厳しいかも知れねぇけど、いきなり声が変わってイメージ崩れたとか悲劇が起きない程度にそっくりさんにはなれるだろ」

「リーゼ姉の描いてる絵図が読めた…だけど声優稼業と学業両立できるか不安よっ」

「父様言ってたろ、あれNBでも公式配信されてるって…娯楽についちゃ連邦地球からの輸出品にまだまだ需要ありまくるんだよ。あの番組に噛まされましたって言えばNB行きがそれだけ遠のくって寸法よ」

「NBが嫌ならビューティーツインズねー…」

「評判が良ければ来期分2クールの主役もお前らだ。ょぅι゛ょな妹が変身可能な年齢に育ってからのセカンドシーズンというかストーリーの企画も出てるらしい。そっちの声優交代なら自然な話だろ?」

「しかしヲタさん方面に受けるのも良し悪しよ? あの人たち作品の出来にうるさいって聞いてるからその辺大丈夫なの? あたし炎上に巻き込まれんの嫌よっ」

「心配するな。基本的にスタッフは子供番組慣れしたベテラン揃いだ。来季の脚本は文豪な方かご負債にしたいとか言われたがな…スターブレイザーか種が割れる方に専念してくれと丁重にお断りした。来季は局またぎだがプリフェアと本編でも連携する企画だから向こう主導だけど、あっちの手堅い人がシリーズ監修する。決して登場人物全員昇天とか、間違っても頭がハゲてる人が監督になったら持って行きそうな展開はないから安心して出ろっ」

「ならいーけどさー。あとはスザンヌをどうやって納得させるかよねー。あの子、同年代にも割と容赦ないから…」


しかし凄い話になってきたものです。

あ、私、宇賀神雪子うがじんゆきこと申します。

例の痴女皇国交流プロジェクトの一環でベラちゃんことマリアヴェッラ陛下の学友を日本政府…もっと言うと宮内庁方面から申し付けられた立場です。

何か卒業後の進路まで今から決められたような気がしなくもありませんが、とりあえず1年はどこぞ高校に通学かたがた痴女宮の見学やらお手伝いなんぞしてくれと言われております。

…ですが、こちらのベテラン幹部の方の不祥事揉み消しまでやらされるとは!

そりゃ、うちの父親は正にそういう仕事を長年して来た揉み消しのプロとでも言うべき人物です。

ですが娘の私まで同じと思わないでくださいよ…が、室見先輩や田野瀬先輩に言わせると「諦めなさい」に尽きるそうです。身体能力が強化された分の仕事、絶対にやらされるからと。

「それに荒事は荒事専門がいるから大丈夫よ」

「ただねぇ、拳銃弾撃ち込まれたり撃ち込む付き合いは遠慮したいわね!」それは室見先輩だけでは。

まぁともかく、話の経緯をまとめて父のメディアウォッチに送信…読んでくれるか非常に不安です。

ええ、お察しの方、いらっしゃるかも知れませんけど、うちの父、天然記念モノのアナログ人間です。いくら何でも報道業を生業とする会社に勤めてるなら、最低これくらいは覚えなさいよ父さんという一面がありまして。

で、ある方の端末に送信。そして電話も入れさせて頂きます。

『お世話になっております。とちぎメディアサービス総務部です…雪子さん、どうしたの?』

「あー伊藤さんごめんなさい。うちの父が今動いてる件ですけど、こっち側の例の候補の担当、あたしにされたんですよ。で、一応現時点での計画内容の梗概、瞳さんのメディアウォッチにメールしときましたんで父に連絡しといて頂けますか。あとですね、この電話番号でどこにいてようが基本、あたしに連絡つくようにしてくれたみたいなので」

『あー、そーいえば転校したって聞いたけどあれかしら、日光土地観光開発わかさまかんけいの絡みの』

「そーそー。で、今後はとちぎ社のシステムに直接あれこれ送信したりすると後で色々あるらしいんで、すみませんけど瞳さんとは個人的に連絡させてもらうって事でよろしいでしょうか」

『あーはいはい、機密が色々絡む件ね…』

「そーなんですよー。ほんっと父のアナログ志向もそろそろ直さないとって思うんですけど、今回はちょっと悠長に構えてられない面もありましてぇ」

『仕方ないわねー…宇賀神さんのお父さんにはグレートかの焼肉で手を打ってもらうか…それか当分、池尻大橋が拠点でしょ?』

「つまり渋谷に呼べと…」

『いやー、関東メディアの近所の中華とか渋谷のイタリア料理とかおいしかったなー。久々に食べたいって言っとこう。あと、警察絡みの動きとか必要ある? 千葉県警本部の戸田さんからこないだ連絡来てたけど』

「あるかも知れませんね。ちょっと反社絡むみたいなんで」

『うげ。まぁいいわ、もしかしたらって話だけしときます。コロンビアマフィアより物騒じゃなきゃいいわよ…』

「あー、瞳さん、お父さんが海外ロケで撮影した内容に色々写ってて揉めたって言ってましたね…」

『それに今回はの人も来るんでしょ? んじゃあの時よりは遥かに安全でしょ』

さて、ここでとちぎメディアサービス本社総務部職員の伊藤瞳いとうひとみさん…あたしの電話相手についてちょっとだけ。

実はうちの父が処理した事件について、当事者の娘さんだった関係で高校生の身でありながらカーチェイスや銃撃戦に巻き込まれた事があるそうです。

そして、高校卒業後は専門学校に行って動物看護の仕事を目指していたようですが、第三次大戦の余波ですとかペットブームの下火もあって獣医学の方を目指したものの行き損ね…とりあえずとちぎメディアの契約社員の椅子をゲットして県内住まいの模様。通勤はラッシュの逆方向で宇都宮を目指すから多少は楽だそうですけど、東京まで新幹線ならともかく、快速で2時間近くはかかる場所だと流石に遊び場所には困るとは本人の嘆きの声。

『どうせなら宇都宮に住めと言われてんですけどねー、小山だと時間はともかく都内に出るのは便利な部類なんですよー』と申される昨今なのですが、都内住まいの私からするとそれなりに色々お金かかるし大変ですよーと返すのが通例です。

更に今は痴女宮に下宿してますから尚更ですしねぇ…。

『しかし、ビューティーツインズの件もそうなんだけど、全国放送・配信ドラマ担当させられてる群馬メディアも泣いてるわよ…嬉し泣き半分だけど…』

「仕方ないですよ、まりあ先輩と総務省の方針なんですから。地方活性化の名目でアニメ系とかドラマ系のキー局を地方に割り振るって…」

『今でこそだいぶ減ったけど、ビューティーツインズの1回目放送直後なんて、抗議殺到で大変だったんだからね? この時間帯にあの衣装は何よって感じで』

「メインスポンサーの方針ですからと言い訳して逃げてくれって言ったそうですね…苦情はこっちで持つからと…まりあ先輩が」

『確かに、メインスポンサーだけで予算賄ってるような番組だけどさぁ…』

(ちなみに音声通話で苦情を言って来た人の場合、NB本星ニューロンドン市内のテンプレスセキュリティ本社の広報担当者にこの電話を転送致しますがよろしいでしょうか。恒星間音声データ通信となりますので10秒ごとに1万円の通話料金となりますと伝えると大抵黙るようです)

(本社がNBにあるので、連邦からのメール内容も全て検閲対象となりますがぁっ。連邦とNBで締結した一時休戦協定締結時規定により、相互連絡名簿掲載者以外からの通信は全て連邦政府による身元確認情報を記載した上で先方に送達されます。NBからも同様の規定に基づいて送受信していますので除外はあり得ませんっ)

(更に不買運動とか抜かす奴に言いたいのだが、うちらの何を不買するのだねと。逆に痴女皇国が日本から色々買わせて頂いている訳だがっ)

(と言う訳なので瞳さん、悪いねんけどNB並びに連邦政府が盾として機能しているのをせいぜい活用して欲しいねん。よっぽどウザかった場合、うちかマリアかベラ子かエマ子に転送してくれたらきっちり説明したるけどなっ)

『…はい…しかし未だにこの心話というのに驚くのですが…』

(まー、あたしらが身内でほぼ常時繋がってるような状態にどっぷりハマってっからなー。慣れてなきゃ確かに違和感炸裂するよな)

(なお、前に別件でママの店に苦情入れて来られてんけど、マリ公とあたしがこれやったら効いたのなんの。頭の中身全部抜かれるのを理解して頂いてからは、くだんのフェミ団体は沖縄での活動から手を引いたようであるっ)と、ジーナさんにまりあ先輩にエマちゃんベラちゃんがいきなり乱入して来てうろたえる瞳さん。頑張って慣れてください。

そうそう。今の日本ではいわゆる聖院世界と接触してから10年は経過しているそうです。

ただ、あたしもその存在を知ったのはつい最近でして、何やら異世界めいた場所と地球社会が接触しているらしいという噂でしか知りませんでした。

つまり、大多数の民間人は聖院や痴女皇国の存在すらきちんと認識出来ていません。

若様やまりあ先輩に言わせると「全てを知れば聖院世界の存在を容認しない人間が必ず大声を上げる。そうなると本格的かつ大規模な情報統制や、果ては不要な支配行為にまで踏み切る事になってしまうから、ある程度の情報管制は受け入れて欲しい」と。

そして今でもそれは正しいとしか思えません。

もっとも、図らずも接触してしまった場合ですが…。

(さっきのフェミ団体…妖怪の親玉経由で脅した連中とは別口やけど、連邦宙兵隊の立場で事情を説明してご理解とご協力を強制した。あたしらに関する話などの記憶を消されるか、はたまたこの問題から手を引いて口をつぐむか二択からの選択をお願いしたい。記憶しておきたいなら構わないが、四六時中こんな感じで頭の中身監視されて、うちらの事を漏らそうとした時点で即、連邦宙兵隊警務部による連行案件となるぞと警告。実際、そいつならそいつを選択的に転送は○えーすでだんけして一瞬でこっちに引き寄せる手段持ってるしな)

(で、そのおばちゃんが電話して来たその場所にあたしが行ってさあ選べとやりました。結局は記憶消去を選びはりましたがっ)そー言えば安井金刀比羅宮の時も周りの民間人の頭の中、エマちゃんが一瞬で何かしてたな…。

で、逆に聖院世界についてのきちんとした知識を持って欲しい人々というのもおられまして、例えばあたしが現在通っているあそこ高校の理事長校長先生他幹部教師や、聖院関連施設が存在する自治体首長や幹部職員の方々には監視がつきますが実態はかなり正確に伝わっています。

あとは痴女皇国広報局のお仕事でもありますが、噂話として存在の浸透を徐々に図る方向で世間に伝えて行ってはいるようですね。

(もっとも、その当事者が今回はちょっとまずい事してるのが露見したから、もともと連邦社会向けの広報やっとったうちが担当しとんねんけどな…)とはベラちゃんのおかーさんたるジーナさんの弁。

(まー、ビューティーツインズも実は痴女種の存在を浸透さすための宣伝事業の一環と思ってもらえたらええねん。あれを許容せぇへん奴がどんだけ出て来てどう声を上げよるか見たいのんもあるしな。あれに文句つける奴は確実に痴女種、ひいては日本政府の交流対象本命たる比丘尼国に文句付けると見て間違いあらへんわ)

「まず根本的に痴女種とフェミニストって相容れそうで相容れませんよね」瞳さんとの電話を切ってまりあ先輩の部屋を辞した後、立ち寄った21階皇帝室秘書課のお部屋であたしはズバッと言い切ります。

「そらそや。売春を強制されるし、拒否は飢え死に直結。更に能力を悪用しようにも痴女種内で能力ヒエラルキーが確立してて能力規制はおろか思想統制までじわじわかけられる。とどめにあの人らの主張は受け入れられる余地がない上、最終的にはうちらに従うか拒否して自滅を選ぶか二択やからなぁ、現状」

で、秘書課長席に座る皇帝室長のジーナさん。

言わずと知れた、まりあ先輩やベラちゃんの実のおかーさんですね。

そしてエマニエル夫人ヘアスタイルまんまのどすけべおばちゃん…見た目はあたしより少し年上くらいですが。

ただ、ベラちゃんと同じくらい身長があるので、163cmのあたしとは大人と子供とまでは言いませんけど、立たれるとかなり威圧感があります。

そしてまりあ先輩が言う通りアメリカ辺りの水着モデルまんま体型。

痴女種でも上のランクならこの人に近い体型に変化する事も出来ますし、痴女種化の際に希望するか聞かれましたがやめておきました。

ええ、女として勝負するためのセンスがないと、仮にこの身体にしてもらっても身体負けするのは悟っておりますので…。

「そーいえばジーナさん、記者会見の際に結構無茶な受け答えする人で有名だって言ってましたよ、父」

ええ、この方、ほんっとーに「惜しい」と思います。

口を開くまでと喋り出してからの印象が180度変わりますから。

黙っていたらベラちゃん並みに人からおおーって思われる部類の高級美人さんに見える方なんですけどねぇ。

「あー、そらしゃーない。うちは連邦の宙兵隊員であって、日本国の自衛軍所属にあらずやから」

「確かに言われてみれば」

「で、連邦政府または宇宙軍・宙兵隊が記者会見する場合や取材時に発給してるプレスパス、これもユナイテッドプレスパスと言うて、特定国への利益誘導を企図した取材をしない研修受講終了証明証を発給しててな、それ持ってる人を優先的に招いたり質問権を与えてんねん。にも関わらず特定国や団体人種などへ与する発言や誘導する質問を繰り返した奴は出禁にする。悪質な場合は上位互換法規定に基づいて捜査入れるしな」

「一時期、琉球タイムズの本社に強制捜査入れたって話題になりましたよねぇ…」

「昔の沖縄作戦の際の沖縄での聖院と痴女皇国のトップ…つまりうちの娘どもの記者会見の時に何を聞いておったんやとしか言いようがない。あの後でも聖院に対する利益誘導的な質問が相次いだせいで、NBのフレミング機関とあたしの上司が協議した結果「まーしゃーないなー」とばかりにプレスライセンス制度決めてまいよったからな」

「ジーナさんの上司って…ラッツィオーニ事務局長ですよね?」

「当時は連邦宙兵隊大将兼統合参謀局長。まぁすぐに政界入りしたけどな」

「嘉手納イチやりにくい女って日本の報道じゃ有名でしたよ…」

「文句はラッツィオーニのおっさんとゴルディーニのどハゲおっさんにゆうてくれ。あたしを参謀局付嘉手納常駐広報担当将官とかにするから話があないあんなにややこしややこしくなったんや…」

「うちの学年でもあたしやベラちゃんの学友はまだしも、同学年の女子の心境は複雑ですよ。なんせベラちゃん、まりあ先輩みたいに擬装してないから、見た目からして痴女種の生きた実例でしょ。女としても人間としてもあれに勝てるのかという感想持ち多数ですね」

「そら分かりきっとる話や。せやからNB移住という形は取ってるけど、この勝ち馬に乗りたい奴への道開いてる訳やからな」

「まー、一種の志願兵制度ですよねー」

「ほっほっほっ。あたしも痴女種にならんが為に通った訳ちゃうけど、うちが昔通った道の類似系や。アメリカ合衆国に移住を考えた者の類似系や思たらええねん。ほれほれグリーンカード制度あるやろ。あれ取った後で軍役に就いたら国籍取得審査までの期間が縮まるやつな」

「それがフェミさんには我慢できないみたいなんですよね。軍隊が嫌だって」

「それこそ軍人差別というものやがな…しかも今は連邦軍在籍後任期満了除隊者は出身国復帰以外に、最終赴任地国での継続居住申請を在籍時で出せるようになってるからな。言うなれば連邦軍または連邦各部局経験者の居住地選択優遇制度やで」

「痴女種の場合どうするんですか?」

「特例で痴女種のまま戻す場合以外、NB国籍者として英国に対して出せる本国市民権審査の申請を出す。で、連邦社会に復帰を望む還俗者はまずこれに受かって頂いた上で、英国が窓口となって連邦政府に原国籍再復帰申請を出す。その際に還俗後に実施する身体能力試験と学業試験結果と勤怠並びに職務実績証明をうちらからも提出したるから、通れば本国帰還。通らない場合はイギリスかNB在住、もしくは痴女皇国または聖院Uターンを選択してもらう事になるな」

「それ落ちる場合あるんですか」

「まぁ確実に通る。ただ、問題は…痴女皇国にハマるとあんま戻りたがらんのよ…」

「あたしそれよくわからないんですよね。仮に今のあたしなら…能力適性が自分でも把握しきれてないせいもあると思うんですけど、確実に日本に戻りますね」

「実は再出家希望者も少なからず出とんねん…やっぱり普通の人間より色々はかどるやろ。あと、少数やけど差別的偏見に晒されたり、果ては物分かりの悪いのと一緒に暮らすのが耐えられへん言うんが主な理由やな。男を必ずしも必要と思えなくなる弊害は事前に説明しとるけど、実際に痴女種になってみんとなかなか想像しづらい話やしなぁ」

「還俗せずに痴女種のまま帰国させる場合ってあるんですか」

「ある。既に宙兵隊に何人かおるぞ。黒薔薇所属扱いで宇宙軍と合同の外惑星探査開発軍団に入る事になるけどな。ま、これは英国を通じて教育受託費用や人材派遣費用貰ってる話やし」

「あー、テンプレスセキュリティ…」

「あれもうちら側が連邦世界はもとよりNBからしても国対国の国交を結ぶのが難しいからと、マリ公が苦し紛れに作った会社らしいけど、今となってはあれを活用した方がよろずスムーズに行く流れになってもうたからなぁ」

「言ってみれば痴女皇国籍者の身分保証を英国やらNBが代行するようなものですからねぇ」

「うちらにしても名より実を取れるからな…日本は対比丘尼国外交について未だ諦めないみたいやけど、先日も話はしたからな」

「ああ…立憲君主制移行示唆…」

「あれ予想通り、政府では大紛糾してるらしいな。おかみ様の子孫としての立場が代表なら話も聞くし助ける。でなかったら従来通り痴女皇国を経由しろ。これだけでもかなりの譲歩やねんけどな…比丘尼国は基本的に鎖国してるのを未だに理解してくれへん奴がおるんかいと」

「聖院の存在も話をややこしくしてる気もしますけど」

「今後は基本的に連邦に対しては痴女皇国が窓口でやろうという方針、聞いとるかな」

「ええ、聖院の外交体制が確立していないのが理由と聞きましたが」

「あっちはあっちでNBメインにお付き合いしてもらう事にした。実際、聖院は既に痴女皇国の辿った時間軸とは離れて独自時空化したらしいから、もはや似た別物と考えてええやろ」

「しかし、それだとNBの国政選挙出馬の話が…」

「向こうのNBとはまだ、そこまで話が進んでへんのよ…あれはうちら痴女皇国側のNBとのお話なのです…」

「よくこんがらがるのですが回避方法はないのですか?」

「ない。更に言うとごく稀にやらかす話らしいが、エマ子辺りが痴女皇国側に手を入れて何かしたつもりが、よくよく観察というか空間や時間軸データを見直したら聖院側をいじっていたとかな!」

何をどうしたらそういう汎ミスをするのかよくわかりませんが、一つだけ言える事があります。

「エマちゃん含めて下手な神話の神様真っ青な事が出来る集団なんですから…もう少し世間に対して慎重に行動しましょうよ!」

「うぅ…何故か宇賀神さんに言い返せない…」

「とりあえずジーナさん、明日は一応マリアンヌちゃんとスザンヌちゃんの面接というかオーディションの案内来てますよ? 親御さんとして娘さんたちの芸能活動承諾書にサインする必要ありますから、17時には田所さん懇意の代々木のダンススクール来てくださいよっ。まりあ先輩にもスケジュール流してますから来れるか打診ありましたよね?」

「あーめんどくっさいなー。あたし明日嘉手納やねんけど…まぁ5時に東京やったら何とかなるか…マリ公に転送頼も」

「服装は軍服でもエロ衣装でもすけべい水着でも何でもいいですからとにかく来てくださいよっ」

「ところで宇賀神さん。あんた何でわざわざ秘書課に来たんや」

「あ…忘れてた…今日の精気授受当番、あたしなんですよ…」

「ええー…また気の毒な…誰かおらんのかいな…ちっ、課付けの女官は…アルメレーニャか…宇賀神さん、うちで構わんか?」

げ。

「…仕方ないですね…ジーナさん受け身でしたらあたし耐えられると思います。それが凶器なのはベラちゃんから聞いてますからちんぽ仕舞ってくださいっ。あと淋の森はダメですよっ。最近は警備が厳しいみたいですし…」

「むぐぐぐぐ…しゃーないなー…テンプレス2世提督室で我慢するか…聖炎宮の工事まだ終わってないしな…」

「酷道1号線沿いなら妥協出来ますがっ」ええ、この人の青姦好きは聞かされていた通りなの知ってますから。

という訳で戦術倍力防護装甲というのですか、むせるロボットと警察のロボットの中間くらいの背丈のTAPPS7の後席に詰め込まれます。

元はと言えば南方熊楠ゆかりの紀伊半島の地衣類や植生調査を強く希望されたジーナさんの旦那様のクリス・ワーズワースさんが現地に行く足代わりに貸与されていたモノだそうでして、和泉葛城山系から取られたかつらぎ号というコールネームもあるようです。

…はい、誰もそんな名前で呼んでないのはご存知ですよね。サイズでわかると思いますが戦車並みかそれ以上の兵器を装備して、戦闘ヘリコプターや攻撃機のような使い方も出来るのは知ってます。

実際にたまに痴女宮付近で空を飛んでるの見た事もありますし、智秋記念牧場への荷運びにお付き合いして後席に詰め込まれた事もあります。

…ええ、これでないと行けない場所に行ける機能、かなり困った事に活用しておられるのも聞いております。

しかし、あたしが当の対象になるとは。

一応これ飛行機扱いらしく、JA6919というかなりふざけた機体番号もついているそうですが…痴女皇国ではあおかん号の名前で呼ばれているこの機体、正直乗りたくないんですよね…。

まず、後ろの座席…座席と言うもはばかる構造な上に、めちゃくちゃ狭いです。

二人乗り出来る小型バイクの後ろにまたがる感じで座ります。

そしてシートベルト代わりの拘束アームで肩とお腹から腰にかけて固定されます。

足はぶらぶらさせておける余裕はありますが、大抵は踏み板…フットレストに乗せて踏ん張る必要があるくらい、飛行中はもちろん地上でもぐいんぐいん動くんですよ、このロボットまがい。

で、これまたバイクよろしく太ももでサドルをがっちりホールドしておく必要があるそうです…本当なら後ろの席の人も専用の簡易宇宙服みたいなのを着て脚も機体に固定する必要あるらしいんですけどね。

とりあえず、痴女皇国内でのいつもの格好…あの恥ずかしい深いスリットスカートな上下セットだとスカートが邪魔なのでミニスカモードにしてしまいます。

んでテンプレス2世の格納庫から夕暮れの聖院湖上空に舞い上がり、山の中腹をぐねぐねうねうね曲がりながら智秋記念牧場付近まで伸びる酷道1号線の途中にあるカーブの膨らんだ部分にTAPPSが降ります。

ぱかん、と前に向かって天井…外から見たらTAPPSの頭部になる、頭の長い異生物みたいな部分が開きます。

「やれやれ。夜間にここ使うのがおらんのが救いっと…」先に前からジーナさんが降りて来ます。野外で乗り降りする時のためにTAPPSの腕を足場がわりにする事が出来るそうでして、滑り止め加工もされています。

「この辺だとジーナさん苦手なあれ、いそうですよね…」あたしも拘束アームを外して機外へ…。

「あ、ちょっと待ち。アーム戻して…普通に乗り込むのと逆にお尻向けて後ろ入ってみて」と、もっかい機内に乗るように言われました。

なるほど…これなら降りなくても…。

で、後席側の背もたれに手をかけて身体を安定させて、と。そしてあたしの後ろにジーナさんが乗り込んでくる…って話が違いますよ!これ、あたしが突っ込まれる体勢じゃないですか!

「とりあえず先に渡すもん渡すから。あんた含めて四人分の一週間分…と」ええ、情け容赦なくパンツに開口部作られて突っ込まれます。確かに「渡される」場合は挿れられた方が美味しいというか気持ち良いんですけどね…ジーナさんとベラちゃんのはきついんですよ!

「まぁ、これが男いらん理由になるのは否定せぇへんな…うっいくっ」と、手早く補給して頂いたのがせめてもの救いですね…。

ただし、あたし側から他の人の分も含めて渡す作業があります。ですので一旦機外に出てポジションチェンジ。そして珍珍を生成して…と。

「実際にこれ、男の人はいつもぶら下げてんですよねぇ…」女性状態になったジーナさんがあたしの珍珍を握ります。今でだいたい16~17cmくらいですかね。

「うちが速攻で女に戻ったのでわかると思うが、普段ものすごい邪魔なんは間違いない。前にここにいたニューハーフな人もすごい困ってて、専用下着が支給されてたからな…宇賀神さんのでだいたいクリスの珍珍と同じくらいやな。バックやと挿れにくいやろから前向くわ。あたしの前に身体滑り込ませてみ」…ほんっと慣れてますね…。

「うちの旦那と身体のサイズ変わらんからな。で、うちがこう、身体何とか曲げてっと」

「うふぅっ、あまり激しく動けませんね…」

「その分腰使ったるから。ほれ」

「あっきつっ、なんかめちゃくちゃ締まるんですがっ」

「そら締めてるからやがな…あー宇賀神ちゃんやっぱり日本人やなー、うちの旦那も白人にしては硬い部類やけどちんぽの硬さがなー…うっいくいくいくっ中出してええよっ」

「あっ出ますっ出るっ出ちゃうっ」という訳で気持ちよくすっきり…あー、それで後席横に除菌清掃シートとかお掃除道具積んでんのか…。はい、やはりというべきか、後席サドル部がえらい事になってました。

このままでは座れませんので除菌シートで拭きあげて、消臭スプレー吹いておきます。

「しかしやはり人妻の貫禄というべきなのでしょうか。これはあずさんやよっしーと当たらせなくて正解という気も」と、帰路で感想を述べます。ベラちゃんほどではないにしても、ジーナさんが色々規格外らしいとは聞いてましたから、とりあえずあたしとおキヌちゃんが渡し役になる事にしています。

「場数で言うたらベラ子もまぁまぁ数こなしてる筈やねんけどな。まぁ、あれが本調子を戻すまでは身体が空いてたらうちも吸い上げしてくれ言われとるから、遠慮のう言いや」

「すみません。あと、親には内緒でっ」これだけは具体的に言ってませんし言えません。しかし、これやらないと本当に飢えて死ぬんですよねぇ…。

で、翌日。

学校が終わったあたしも特に着替えず、ベラちゃんと一緒に代々木へくっついて行く事に。まずは他の三人もろとも転送で学校から痴女宮へ。更にあたしとベラちゃんは皆と別れて代々木に。

さて、代々木と言うと、みなさん何を思い浮かべますか。

私たちの代ではもはやビル所有すら叶わず賃貸物件に本部を移した政党、ある場所では代々木レッズと言われている党を思い浮かべた方もいるかも知れません。

…その政治系掲示板のスレッドには、ビューティーツインズの妹二人やプリフェアの主人公クラスさえBBA呼ばわりする、本物のペドフェリアなふさふさした人が常連でいるそうです。

幸いな事にご本人は投資家で裕福な方らしく、性癖を願望で留めておられるそうですが…今言ったキャラクター、マリアンヌちゃんやスザンヌちゃんより年下の年齢設定ですよ…幼稚園児か乳幼児しかその下にいませんよ?

まぁそれはともかく。

純正ですら悪趣味な外観をしているパルテノン神殿まがいの前面のリムジンと黒いマスタング…あのー、まりあ先輩、うちの父の車、また何か変な手を加えてませんか?以前より変なドロドロした音がうるさくなってますよ?

(あーバレたか。奥様が乗るから元のエンジンに戻してたんだけど宇賀神さんに行くからって、シボレーのスモールブロックエンジン…LS7に載せ替えたんだよ。ちゃんと改造車検通してるから捕まんねーぞ。一応街乗り主体だしミッションはオートマだから敢えてインジェクションに戻して馬力落としてるけど、本来このエンジンに付いてたホーリーの4バレルキャブに戻したら素組みでも600馬力は堅いぞ)

(何ですかその魔法の呪文…さっぱりわかりませんけど、うちの父が乗って死なない程度にしてくださいよっ)

(安心しろ。ベラ子の乱暴ルギーニより100馬力足りない500馬力だっ)

(それでも逸般人向けすぎますっ)

「いやいや、まりあさん…こいつはご機嫌過ぎるぜ…ベンツのAT与えるとか何でと思ったが、パワーがあり過ぎる。こりゃ電気仕掛けがないと光永パンテーラの二の舞だ」そのマスタングから降りて来た父が助手席にいた人物に感想を述べています。

「その代わりベタ踏みでもちゃんと前に出て行くでしょ? 苦労したんだよ? この型のマスタングにシボレーのスモールブロック組み込むのって」

「7リッターってまんま光永パンテーラじゃないですか。よくこんなエンジン見つけて来ましたね」

「実はあれ以上だよ。NASCAR仕様を公道用にデチューンさせて出力も低速寄りに振ってるから。キャブに戻したら、ベンツの9速オートマのままでも300km/hは堅いと思うよ」

「インジェクションとあのオートマ、燃費対策もあるって聞きましたね」

「うん。今なら街乗りでリッター8、高速だと12は行くから。これキャブに戻したらもっとえらい事になるからねっ。なるべくキャブレター仕様のフィーリング出るようにしたけどさ、普段は絶対スタビリティコントロール切らないでよ?」

「ま、C2かC3あたりのヴェットのエンジンが載ってると思えばいいか。しかし、このエンジンならヴェットに載せて踏んでみてぇもんだ」

「またいい個体がないか探しとくよ。C1はさすがに古過ぎるからねぇ、ルート66は気取れないけどさ」

などとアメ車談義をしてる二人を引きずり、リムジンから降りて来た田所さんと…。

「やぁやぁ高木さん、早速ですが日の出社の監督の球磨川さんと今の主演の所属の社長さんですよ。はっはっはっ、田所さんはともかく、お二方にもこの手の車に慣れて頂けるようなお仕事やお付き合いが増える商機を持ち込んでもらえて何よりです」ええ、ほもな会社のとっても偉い人が…。

そりゃ普通の声優系プロダクションやアニメ制作会社の監督さんがこんな車に縁がある訳ないですよね…。お二人とも乗り慣れない車と普段は接点がない人相手にかなり緊張していたご様子。

「宇賀神、おメーは今回とちぎメディアの役員の立場だからな。向こうの社長にも了承は取ってる。単なるオーディションじゃねーんだからきちんと見るとこ見ろよバカヤロー」と、いつもの調子の田所さんですが、白一色のスーツって地味ですね。

「ああ、俺も最近は立場があるからなぁ」と、スーツの裏地をまくって見せてくれましたが…シャネルのスカーフですか、青地に金色のシャネルネックレスを印刷した柄の奴が裏地です。

もうロールスロイスより輪姦、いえ、真っ白なリンカーンのリムジンから降り立つ方がいいと思えるその姿、隣の有名な芸能プロダクションのオーナー様と趣味の悪さを競ってるんでしょうか…。

(服の趣味が悪いのはこの人たちの習性だ。深く気にすんな)

まぁ、お金を持っているのは確かでしょう。

このご時世にガソリン撒き散らすような車を乗り回し、芸術的なまでに成金趣味を極めるかのような装いに身を包めるのですから。

「まぁ、とりあえず中に入りましょうや。それと…」と、オーナー様の隣にいる比較的若い男性も一緒に来るように促されます。

(まりあ先輩…この人あの農家系番組に出てるレギュラーメンバーじゃないですか…)

(あー、タキシードツインリーフ仮面、来期で中の人入れ替わるから。その候補だよ。本人は結婚してそろそろプリフェアを観る年齢の娘さんもいるから、今回の企画でプリフェアに絡めるのはありがたいみたいだぜ。ほらおとーさんこの役だよーって)

(えええええ!じゃ、スザンヌちゃん騙されたって言いませんか?)

(安心しろ。今の双葉仮面の◯◯は来季のプリフェアの一人のお兄さん役を用意してる。抜けざるを得なくなった時の対策だよ)

(なるほど、鉄腕系の方ならクリーンイメージで売ってますしね)

などと内輪の話をしながらダンススタジオに入ります。

そして待機していたマリアンヌちゃん、スザンヌちゃんと保護者のジーナさんとクレーゼ財務部長とご対面して一同ご挨拶。プリフェアとビューティーツインズの番組プロデューサーの方と…スザンヌちゃんお目当ての◯◯さんまでいるじゃないですか!これ、冬イベの売り子決めるだけの話どころか今後の番組に関わる重要関係者揃ってますやん!

そんな中でビューティーツインズの今期の服と、まだ企画段階ですが来期用案という服に着替えて歌い踊りをさせられた二人、さすがに痴女種化しているとは言えど緊張はしていた模様。

もっとも、プロデューサー2名に声優プロダクション社長さんとほもの親玉の方はそうでもなくですね。

「いや高木さんにお母様方、ぜひ一度限りと言わず来期の企画出演をお願いしたいのです。両番組ともに活性化を図れる話ですし、何卒お子様方の出演に承諾を頂ければ」と偉いさん方みんなで土下座せんばかりの勢いで懇願なさいます。

いや、ほもの親玉の方なんて普通こんな態度絶対に取りませんよ?

更には鉄腕系と暴風系の男子2名にまで手を取られています。むろんマリアンヌちゃんとスザンヌちゃんにも。

(あたくしは役柄変更は気に入りませんが、事情を聞くだに仕方ないでしょう。鉄腕系の方も男前ですし…スザンヌ、異論ありませんわね!)

(あぃ…全く出なくなる訳じゃありませんから仕方ないと思いますわ)

(あたしは全く異論なーし。かーさまはいかが)

(まぁ、これだけ偉い人が集まって頼みに来てるんや。何かしらのお土産持たすのが筋言うもんやろ)

と、とりあえず来期に出演する話も含めて大筋でまとまり、マリアンヌちゃんとスザンヌちゃんは声優事務所と契約する事に。

ですが、その後の話が驚愕でした。

「実は高木社長…」と、親玉氏が切り出します。

そして件の◯◯さんを呼んで話をさせるには、最近このオーディション絡みでいささかよろしくない噂のキャバクラチェーン経営者他、反社から懇意の芸能プロダクション、特に声優の推しを依頼される出来事多数。

彼らの影がちらつくせいで飲みはおろかおちおち出歩くにも事欠く有様。今回の役柄交代には実はその辺の事情も絡んで来るそうで。

更には出演声優に絡む利権問題もあり、なるべく警察沙汰を避けて両番組のイメージを損ねず事態を収拾させたいとTV局側プロデューサーから補足説明があります。

…はーん、もしかしたら雅美さん、これに噛んでるか巻き込まれてるかも知れませんね…。

そしてその後が驚きです。

「高木社長…いえ上皇陛下、せめて今期の収録まで、うちの◯◯の護衛をテンプレスセキュリティ社に依頼させて頂く訳には参りませんでしょうか。何分にもこの件、私共としても世に広める事なく解決を図りたいのですが…」あー、◯◯さんのロリータスキャンダルに絡んでるんですね。

しかもかなりきつい証拠を向こうに握られていると見た。

(ゆっきー正解。ビューティーツインズの出演の前に雅美さんが反社と組んで手配した未成年者と以下略。んで寝かされてた証拠、雅美さんのコントロールが効かなくなった反社連中が話が違うとばかりに実力行使で持ち出してゆすりにかかってるみたいだな)

(それで最近雅美さん見ないのか…)

(流石のあの人もあたし噛んでる番組の屋台骨揺らしたらまずいって事で火消しにかかったが、あの人はあの人で前科一犯だろ。連邦社会の日本じゃあの人単独だとあまり荒事に走れねぇんだよな…とりあえず初代様監視で謹慎中)

「田所社長と宇賀神取締役におかれましても、昔からのお付き合いと今の番組キー局の利害がありまして、それぞれのお立場でご協力を申し出て頂けまして…」

「何か昔のやりとりみてぇな話だが…高木さん…我々で何とかしたいが、相手が反社、それも規模のでかい連中だけに本当なら警察を入れざるを得ないんですよ、我々だけなら」田所さんが苦渋に満ちた顔で伝えられます。

「当社の所属声優の身辺にも不穏な接触を図る者が現れた話もありまして…」

「つまり何ですか。皆様の本音はその反社組織の無力化でございますわね。お義姉様、いかがいたします? 連邦社会の日本に関係する話だけに、マリアリーゼとお義姉様の判断で家族会承諾も得られると思いますわ」クレーゼ財務部長が皆様にあれこれ言わせずにまりあ先輩とジーナさんに話を振ります。振りますが。

「警察の力は多少は借りないとなりませんね。その何とか連盟って反社、幹部だけで100人からは警視庁のリストに載ってますからね」まりあ先輩が言い切ります。

「では…」落胆するおじさんたち。

しかし、その言葉に反応して目を光らせる者が。

「…高木さん。警察と一口に言っても色々ありますよね」と、うちの父が静かに申します。

「もちろん。そして痴女皇国が絡む話となると、警視庁や警察庁の上位設定担当者の専決事案となります。加藤さん」

いきなり現れた長身で人相の悪い人に皆が驚きます。

「あら、加藤様とは祇園の時以来ですわね」

「加藤さん、今回は公安外事でもないけどいけるん?」

「はっはっはっ、痴女皇国が絡むと皇宮警察の専従部に随時出向させられてしまいますのでね。それよりまりあさん、私を皆様にご紹介頂きますとありがたいのですが」と、白手袋を嵌めた手でご自身を指差しておられます。

「あーこりゃ失礼。皆さん、この加藤さんだけどね、前に安井金刀比羅宮で人間の手に余る話があった際に来てくれた特殊な警察屋さんだから。こういう表に出しづらい話があった際の日本政府の担当者の一人だから安心してもらっていいよ。間違っても普通の桜田商事の中の人じゃないから」

「というわけで呼ばれましたが、本来は警視庁公安部のしがない司法警察員の加藤と申します。ま、今回は逮捕状とか家宅捜索令状の交付が難しい話らしいが、その方が実は私も得意でしてね。能力は劣りますがマリアリーゼ陛下並びに痴女皇国の方々と似た者だとお考え下さい」
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