闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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ほうかご痴女宮日誌・うわこのょぅι゛ょつよい編

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皆様こんにちは。最近はここで話すことも板についてきたマリアヴェッラです。
さて、今回のお話はR15版からの続きだそうですから、こちらを読まれてからでも良いかも知れません。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/47/

ええ、すっぽんを食べてた理由とか、狭い道に相応しくない車を走らせた理由だけでも知って下さい。
あたしの苦労を知って下さいとも言うのですけど!

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「ちょっと待てかーさん、あいつらまだ小学生だろ…今度中学生か」

「あたしもそう思う。しかし考えてみてくれ。子供の教育に相応しくない場所とは言え、痴女宮にはスザンヌのお母さんがおる。更にマリアンヌに至っては父母揃って痴女宮や。しかも、ベラ子はまだしもマリアにしてみたら、両方とも正真正銘の妹やろ? 姉として妹の意見を聞いた上で、最適な答えを出すのを助けてやるならうちも文句言わんぞ」

「あー…それとさ、NBから領事なり大使なりを派遣する件よ…あれがあるじゃんか…公使居宅の用意よ…」

「はいはい、領事館ビルの増築話にもなりかねんあれな…物理的にまりあとスザンヌとマリアンヌの住まいを別な場所に確保するか、公使居室確保のためにビルを増改築するか…」

「その話がなけりゃ、何を寝言をで済んでたけどさ、痴女宮に実質住居を用意する必要があるなら現実的に考えなくちゃならないよな…」

「まりあどうすんのや」

「あれこそどうにでもなるよ。実質あたしそのものだぜ。ま、現実的に対処すると大学卒業までは領事館の職員居室を間借りさせてもらう。あとは領事館職員の椅子を用意するなり、どっかの企業なり官公庁に潜り込ませるなりだな。それに…痴女宮にまりあ住ませてみろ…あたしと見分けつくの髪の毛の色くらいしかないし、あたしも黒髪やめろと言われたら泣くぞ」

「つまり。マリ公が二人、痴女宮をうろつくと紛らわしくてかなわんけど、マリ公は今の姿をいじる気は全くないと…わがままゆーなー…」

「ま、今のあたしなら帰宅と同時に分体解除とか手はあるから、この際まりあよりスザンヌとマリアンヌの話にプライオリティを置こう。若様にはどこぞ高校中等部進学を打診されている」

「奴らがあのお受験校風に耐えられるんか?あたしはそれが心配やぞ…」

「えーと、ジーナさんのリクエスト、文科省でも真剣に検討して頂きました。しかし、保護者が痴女皇国在住である事から、現在通学中の阿倍野区にある私立どこか学園付属小学校、あそこの中学校にそのまま進学は困るとの学校側の意見と同じところばかりなんですよ…」

「かと言って公立はな…」

「在校生保護者や、教師側があの警備体制を受け入れるかは難しいですね。東京都に引っ越して頂く方法も考えましたが、学校はまだしも居住する区の区長が嫌がる可能性あり。区内を痴女種が多数往来する事に難色を示す野党区議が結構いるらしいんですよ。風紀に問題があるとか騒ぎそうなのが…」

「若殿様、僭越でございますが…お悩みでしたら祟らせて頂きましょうか? 親の所業で子に罪がとなります件、申したき事もございます。我が主上も意は同じでござります故」

「内侍様のお申し出、ありがたく受け取らせて頂きます。いや本当に例の女権政党ですとか、はたまた維新改革系が議席を取った区が結構ありましてね、真剣に対策したいのはやまやまだが都連にも反聖院系の酷使一派がと、田淵総裁も頭を痛める話もあるんですよ。真剣に対策する際には是非よろしくお願いいたします」

「はっはーん、で、うちらへの対応慣れしてるどこぞ高ならOKと…」

「ジーナさん。学校は二派に分かれますね。過去に実施したアンケート結果ですけど、政府からの聖院関係者受け入れ補助制度の恩恵を受けられるとか、卒業生の就職時に有利になる等のメリットを知っている学校は公私を問わず受け入れの意向を示します。しかし…」

「警備の警察や政財界関係者が入り込むと困る学校は嫌がると。あと、阿倍野のあそこが中学に上がるの嫌がる理由は簡単やで。下校時に出来れば保護者が迎えに来て欲しいて言われててん。しかし、あたしが忙しいとかクレーゼさんが忙しい時はどうしていたか…」

「かーさん。クレーゼ母様なら何するかわかってただろ…あそこの前、R25通ってるじゃん…」

「つまり会社に戻るトラックで拾って貰ってたんよ。そりゃ下手したら百済くだらの貨物駅に出入りしてるような連接トレーラーとか、先導車つくようなフルトレとくだいしゃが学校前に停車してたらなぁ…中学校上がったら何が来るかと不安に思うよなぁ…」

「神戸市とどこぞ高校にはマリアさん通学時に通達しています。最悪、アークロイヤル級空母が上で浮いてる場合があるからと。あそこだと神戸空港への発着経路は支障しませんからね」

「確かに一昨日もスケアクロウ、グラウンドに降ろさせてもろたしな」

「神戸市でも意見が紛糾していますが、灘区・東灘区と芦屋市や西宮市は協力姿勢を見せていますね。例の聖院関連事業で利潤を期待する層が区や市に圧力を掛けてるようなんですよ。芦屋と西宮市は通学要請に応じるよう、所在学校に対して教育委員会経由で勧告頂いてるとかで…ただ、実務担当の僕や加藤さんに八十川さん他、御所組…と仮称しておきますが、縦割りで動いていない者からすると、あそこ高校が一番話がしやすいのですよ」

「ま、うちも修学宮を事実上新築移転して大規模に拡張した訳だし、幹部候補生めいた学生をまとまった数で留学させる構想もあるからさ。なんせ比丘尼国からの奨学留学生受け入れ話も出てるんだよ」

「崇徳…内侍には重要職務を頼まねばならんかも知れんな。すでに道真には修学宮講師派遣の話も出ておる。そなたもよく知るとは思うが、日の本に制度として童に読み書きを教える塾が、朝廷自らが金を出して方々に出来るのは、そなたらが現世にいた時よりもかなり後の世じゃ。比丘尼国に至っても事情は同じ。三河監獄国だけは時代の先端を突っ走っておるがな」

これには皆様苦笑い。

…監獄国に相当するメーカーが工業系の高校や大学を運営してるのを教えて貰った国主様、もともと国内に存在した私塾や刑務施設内の塾を再編成して、一種の義務教育制度定着に乗り出してるんですよ…。

「確かに、童女様も申しておられたが、読み書きが出来て文言を読み解く知恵がなくば、我等が朝廷に居た時分に如何なる善政を敷き知新にこれ努めよと申し渡しても、やすやすと有り難みを理解はしますまい。例えばこの水菓子。今や季節を問わずに求めれば手に入るそうで」と、ガラス鉢に入ったメロンをお示しになる上皇陛下。

「しかしながら…種を撒いてだけでは終わらぬ話をしても、栽培を面倒に思わば奨励を拒みよる。もしも朕がこれを広める役目であれば、せめて今の世並みに民草が多少なりとて賢ければと嘆いておったでしょうな」

「実はこれな…監獄国では通年、穫れるんじゃよ」ニヤニヤと話すおかみ様。

「冬に食べられますのか?」

「にわかには信じられませぬな…」

「ふじん。すまぬが」

「へい。実は頂いた念の結晶ですが、こんな使い道がありましてですね…具体的にはこれ、雷を落とすのに近い動きをする生物の仕組みで動かしてます。これの動作に、祈念を変換した精気を用いるわけでして。頂いたあれ、さすがそちらの百年分と云いますべきか、三億人分以上の濃度ありますからね。しかも怨念を大量に含んでますから、精気換算で三百億人分はいきますね…」と、たはら附設の生体発電施設を見せるエマちゃん。

これの実物、何やら馬鹿でかい長い筒がぐわんぐわん唸り倒してる代物でして、たはら港のすぐ側の工場内の送迎船着場に近い場所にあるの知ってますが、サンティシマ型やカティサーク型で使ってるヘリカル水流ジェット推進機そのものです。

あれの作動状態を変更する事で船を進める代わりに発電と温水化を可能にしてるらしいのですよ、これ。

つまり動作には精気の他に大量の水を必要とするのですが…たはらでは海水を使っています。で、これの排水のおかげでたはら港周辺の水が温かくなるために周辺では豊漁の事が多いそうで…。

(更に、ジェット水流で発電タービンの羽根も回してまっせ。なんせサンティシマ型の巨体を30ノット以上で航行させたり、カティサーク改型だと120km/h…60ノット以上の高速巡航すら可能な凶悪エンジンっすからね。現代の田原ならともかく、痴女皇国時代のたはらならこの発電機…フルシステム1基当たりの発電出力10万キロワット毎時ですから、これの常用一発で充分まかなえるんですけどね、よしご寮やたはら周辺のビニールハウスとかで消費する電力もここで作ってますので)

(いや、下手したらこの時代の田原市全域の電力需要すら賄うぞこれ。最大出力で四基全て回したら佐久間ダムに匹敵する発電量じゃねぇか、40万キロワットって…)

「で、これで冬でも熱気や熱湯をこしらえまして、興してこの建屋の中で実を結ばさせるわけですわ。これを動かすのに人の精気を使うわけでして…」

「なるほど、薪を山のように使わずとも良い訳か…」

「中が透けて見えるから日の光も当たると。これをぬくめるのに人の念や欲を用いるとは、確かに我らでは思い至りませぬな…」ビニールハウスというのですか、何棟もの透明な膜を骨組みに張った栽培棟が並んでいる光景を見せていますね。というか、監獄国の研修の際にここ、見せてもらいましたよ…。エマちゃんが見せてるのはその時の光景を撮影したものでしょう。メロンの他にイチゴなどもここで作ってましたし。

「ただ、これを動かしたり、温めすぎず冷えずにするためには人の手はいりまっせ。あと水やりや肥料の加減とか」

「そうそう、このからくり、もとは船を動かす為だそうだが…如何な船かを見せて頂くわけには参らぬか」

「ええ、お安い御用で」待てエマちゃん!あれ、現代の人が見ても仰天卒倒するから!

(構わんでしょ。こないだのカリブん時にカティサークの船体状況とかチェックしたかったんで、ドローンを並航させてたんすよ。で、それの撮影映像と、あとサンティシマのカメラで追いかけたのっすから)いいんかいな…多分、全員、ひっくり返るよ…。

ええ。あれを船に使ったらどうなるか知ってる連中以外の全員がのけぞりました。

艦尾から壮絶な水流噴射ぶちかまして時速百キロ以上で海面をすっ飛んで行く帆船…帆は畳んでますけど…が余裕で砲撃を掻い潜って機関砲射撃で敵船の帆桁を破壊して回るという、まさに悪夢のような映像見せられたらそりゃあ、ねえ。

特に菅野さん夫妻が船、それも断じて帆船が出していい速度じゃないとおっさいます。

「だってよ、太平洋戦争当時の速い船…そうだな、島風…あの懲罰服の船な。あれで38海里、赤露のタシケントや米帝の魚雷艇でも40海里だったっけ、マリアちゃん。60海里なんて、複葉機なら下手したら離陸してるぞ…」

「絶対これモーターボートより速いわよ…海さんのミサイル艇とか海保さんの高速巡視船はもちろんだけど、ジェットスキーでもこれに負ける気がする…」

「菅野さん。あたし思うんだけど、このカティサークにさ、魚雷か対艦誘導噴進弾ミサイル積んだとしたら米帝相手に勝負しに行く?」と、姉が聞きやがります。

「対空火器さえ積めば余裕で勝負になる。射程100キロ程度の噴進弾積んだとして、敵さんに当てられる誘導装置さえなんとかすりゃあ何とかなるわ。当時の米帝の対艦砲でこいつに届くの持ってねぇし、速度から考えると魚雷撃ち込まれても普通にかわすぞこれ」

「というより…兵装によっては、現代地球の水上艦船としても実用できるんでは…私はあくまで趣味の範囲でしか理解できませんが、これは充分に連邦世界ですら通用する船ですよ…」

「エマニエルさん…これ、カティサークなんですよね?紅茶積んでも通常の三倍の速度でロンドンにお茶、届きますよ…私、ちょっと当時の紅茶相場競争に張って来ていいですか」

「ええ。赤く塗る話もありましたが、喫水下の防水塗装に留めました。なるべく保存艦のカティサーク同等になるように再現にこだわりまして…あと加藤さん。官憲の賭博になる可能性がありますから紅茶の話は後ほど。うはははは」

「…見た目が船ですが、何かこう、船の形をした別の生き物という気がいたしまする…」

「あの…東欧支部でこれ使う話があったのですが…厳密には、これの推進装置を使ったライン川やドナウ川仕様でして」と、乳上。

「実際にドナウ川水運で使用している底の浅い船と似たものを用意するとの事でしたが、この映像を見ると、果たして受け取って良いものやら、いささか悩みますわね…」

「あー、大丈夫。ドナウ仕様やライン仕様ならここまで無茶苦茶な速度、出ねぇようにさせるから!なんぼなんでもあそこでこんな速度出したら一撃で難破するのわかってるから!」


「んじゃ、あたしとアルトさん、先に痴女宮に戻りますから」

「こっちも若様とか警察関係の方、飛ばしたって…」

「だからかーさん、いい加減に転送を覚えろ!」とまぁ、駐車場で揉めに揉めまして。

とりあえず神社入口までお送りしようという事で、乱暴ルギーニの後席を空けて上皇陛下と内侍様にご乗車頂きます。助手席は変わらずに姉で。

更に、母の車を先行させて走る事になります。

(途中にかなりふざけた道幅のところがある。あと東山通でUターン、あんたの車じゃ絶対無理。鴨川沿いに五条まで降りてから回るか、護国神社のとこの交差点で回る方が無難や)という訳で、駐車場前の割と広い道を走り出しますが、千本通り手前の道が一車線じゃないですか!しかも対面通行!

「ああ、酷道並みだろ…景観条例とか色々あるけど、おそらくは立ち退きに応じてくれないんだろうな…ここの住民には都住まいというのがまず、ステータスなんだ。更に言うと、京都市内のどこ区住まいかで自動的に一種の地位が決まるんだよ…」

「ああ、…洛外は言うに及ばぬが…まず御所の近辺に住むか、さもなくば名社名仏の近隣、これは変わっておらぬのう…」

「正直、ざいせいさいけん都市というのですか、借財まみれになって朝廷に監督を受けた話をお聞きしました時は、ざまあ見ろというよりもまず、私どもの社に影響はないだろうなと心配を」ええ、皆様の時代のここ、財政難で難儀された事があるそうですね。こちらの歴史ではその後…。

(うん、見事にメロンなコールマインの街と同じコース。財政再建団体指定食らったんだよ…読者の皆様の世界のぶぶ漬け市がそうならないように祈っておくぜ…)だそうです。

「しかしこの唐車からぐるま、砂と土の車の王侯貴族が好むと聞いたが」

「ええ、正直、おいそれと買える値段じゃないのは、姉と一緒に購入契約の手続きをしましたのでよく理解しております。ですが、正に陛下のような方をお乗せする場合を考えて敢えてそういった仕様で発注したとも」と、エアサスの設定やら変速機の設定が快適モードになっているか確認しておきます。これにしておかないと結構ビシビシ来るんですよ、特に街中で。

「もともとあそこの王族って、日本で言う東夷とか、将門しょうもん公が生まれた時から下野住まいだったようなものでして、馬を駆り羊や駱駝という四つ足の獣を飼って暮らしていたのですよ。ですから、王族であっても馬を駆る感覚で自ら車を走らせるのを好む人物も少なくないのです」と、姉が解説して下さいます。

「あると殿がその辺りの出とお聞きしましたが」

「ええ、だいたい、あの辺の人間の性格はあれか、妹の静香。あんな感じです。ですのでしずしずと馬車なり牛車に乗るよりも、自らが一族を率いる立場だと無言で示すために速く力強いものを好むんですよ…」

「ああ、そうじゃ。そなたらの方では鬼汗国と申す国が、朕の没後に攻め入るのであったな。あの連中が正に騎馬を好んでおったとか。あの国が日の本を滅ぼすのはいささかに朕の趣向と違う故、野分を呼び寄せる手伝いをしたのであったか、阿波よ」

「ええ。前の車のちちうえ様ですか、あのような方ばかりの気性の者どもの振る舞いはまだしも、手先に大陸やら半島の者がおりますとねぇ…」後ろを振り向かなくとも、お二人が不機嫌そうなのがよくわかります。

「うーん、実際、頭の中の考えはともかく、私ら姉妹、もともとの人としての分類は日本民族じゃないんですけど、その辺は大丈夫なんですかね」

「そこが不思議ではありますが、わたくしの見立てでは豊葦原にほんの者と遜色はなし。でなくばおかみ様も仲良くさせて頂いていたかは、ちと解りかねます」

「阿波。それこそが、痴女皇国の方のあれであろう。今、朕も正に体験しておるが、他の同胞はらからの頭の中と想いが連なったり、考えた事が即伝わるとかな。それ故に皆の考えがまとまるのであろう。腹芸というものが良かれ悪かれ不要となるのは、そなたが皆に交わり暮らす時によう心得ておくのじゃぞ」

「心得ましてございまする。主上の真意も鴨川の川底の如く窺えております故に」

「朕のもとに戻るかはそなたに委ねる。童女殿、妹殿、朕の代わりをさせて済まぬが、阿波内侍には褒美を与える如く過ごさせてやって頂きたい」言い方はぞんざいですが、仮にも日本の皇帝を務めたお方です。私や姉と同格の姿勢を崩したくはないのでしょう。

顕仁あきひと陛下。和歌に造詣、深かったですよね」唐突に姉が後ろの陛下に聞かれます。

「うむ、我が父宗仁むねひと…鳥羽という方がそなたらには通りがよいかの…先代天皇はとにかく、そうした芸事に朕がうつつを抜かすのが我慢ならなかったようでな。あなた様も楽器楽曲にのめり込んでおられたであろうに。更に、朕も太上天皇の位に就いて躰仁なりひとに天位を譲ってから和歌を嗜む時を持てるようになったのであるが…いや、貞仁さだひと…白河様といい、我が父といい、後世に院政を強いた件で評価が分かれておるのは知悉しており申す。現世言葉で言うと、老害となるのかな」

「あーあーあー、わがままじいさん…ええ!陛下!あたしが今、何故に同情の心に満ちているかお分かりですよね!」姉。力むな。ワーズワース大公に聞かれたらどうすんのよ…。

「あたしがボロクソ言ってんの知ってるよ。それより、なまじ政治家として有能だったが故に長々と頂点に居座られる期間が長いのが出るとだな、困る人間もいるんだよ!」

「べらこ陛下。正直、そちら様では朕のような事はないと思うがな、関白の忠通藤原忠通とか、朕が父と争った時のような混沌は、誰でも体験して良いものではないと思う。朕が祟り神となった経緯は、皇位を巡ってそれなりに諸々の輩の思惑あってであるから、それ自体は誰が悪いとかは今更申さぬ。しかし、当時に生きておって関わった者で、野心なき者…憂国の気概ある者が少しでも居れば話は変わっておったであろうなぁ。これは菅公にも同情されておる」

(腹違いの弟さんが次期天皇に指名されて、無理やり帝位を下ろされてんだよ、この方…)と、姉がフォロー解説してくれます。ああ、うちの叔父ちぇーざれと逆パティーンですね。

「お気遣いありがとうございます。まぁ、我が国、いざとなれば優劣を決める手段が色々ありますし、基本的に殴り合う前からある程度結果が見えている事も多いですから…それに、仲裁役がそれなりにおりますしね」

「阿波にはその辺りも学ばせたくお願い致す」

「そうそう、陛下。先ほどの和歌の話ですが、日本の古文教師や、歴史学の教師が欲しいと言う要望が二カ所ほどありましてね。とりあえずこれ、わたしどもの修学宮講師募集要項です。菅公にお渡ししたのと大体同じですね」と、封筒を後ろの席に渡す姉。

「なるほど、では、朕のこの身体は…」

「おかみ様同様に、八百萬神族用活動義体としてお預けさせて頂きます。ただ…神社関係者に見つかるとまずいので、隠し方はおかみ様に尋ねてください。もし、講師の話が気に入られましたら、この体経由でご連絡を頂きますとお迎えに上がらせて頂きますので」

「悪しき考えを植え付けるやも知れんぞ?」

「今の陛下に限ってそれはないでしょうよ。だいいち、この身体があった方が内侍様とも楽しめますでしょ?」

「痛いところを突いてくれる…まぁ良い、民草の文才を鍛えるについては朕にも思うところ多々ある。あの忠通めですら歌才文才は菅公も認めるところよ。で、ちょうしんさい超震災とか言うのか、例えば朕に日本滅びよ世が憎い俺を落とした物書き選びが憎いなどと願い、天変地異を願うた輩がおったとしよう。しかるに、短冊に納まるように書き連ねてくれぬと…朕が諮る前に阿波が困るのよ…もう支離滅裂で、しかもやたらに文言が長い。とどめにどこぞからの引用とかばかりで、己の真意は何処いずこ、願いは何ぞと問い詰めたいのがあってな…」

「ええ。まず、わたくしが読んで沙汰をし易きように簡潔明瞭に書いて下さりませぬと、べらこ陛下の母様の願い出のように反故にさせて頂きます。それのみならず、ごみばこぽいのついでに、そんな願を掛けてこちらを悩ませて下さいました落とし前をつける意味でも、訳のわからぬ願い紙の書き主との縁切りを図らせて頂きたく」ああ、憤懣やるかたない感情が伝わってきます。

「ほんっっっっっとうに困るのがあるのですよ。ですので、下々にもまず読み書きをというそちら様の思いや、主上のお考えも、民や世に恩恵があるのみならず、我が社の営みだけでも理にかなうのでございます」

「ちなみに、そういうとんでもない願の書き主は…」

「釈尊より、ほっとけと駄洒落を。ええ。菅公と同じく、焼かねば直らぬか、焼いても直らない者の扱いに苦慮しておりますのは我が社も同じう。ただ…当社は邪念怨念欲念を叶えるかは別にしまして、それはそれで頂戴してはおきますが。お宅さまの言葉を借りますと、資源は有効活用ですわっ」

ほほほほほと意識改善を誇られる阿波内侍様。

「しかし、それにつきましても…ああ、憎々しい…今宵はお部屋が半分くらいは埋まっておりますわね、らぶほ」

「うわー、内侍様、早速義体機能使ってますね。うちの愚母にも見習わせてぇな…どれどれ。なんか予想と違って若い子が多いですねー。祇園が近いから高齢者主体と思ったんですけどねぇ」

「ああ、芸妓と仲の良い旦那衆は別の場所を使われますわね。くるまを呼んで今出川のあたりとか。それよりまりや陛下。あれ、頂くことってお出来になりましょうや?…いえ、邪念ではなく精気。正直、最近はが多いのか、はたまたと申しますのですか、お泊まりして一晩中ではなく、二刻ばかりの御休憩の方ばかりのようなのでございますけどね。陛下に献上可能ならば、これまた資源は有効活用で。ついでにお尻をお振りの方の快感三千倍であればご満足を頂き、またこのらぶほにお越し頂くと私共にもありがたき千万で」

「できますよ。リモートドレインのやり方はこうでこうで」

「ちょっと姉、何を教えているのですか!」

「いいじゃねぇか。近藤夢さんに穴とか傷とかよりはるかに建設的だし、陛下や聖子様や兵衛佐様にも都合いいだろ。ついでにラブホに入る二人を見て盛った参拝客からドレインしとけば色々使い道あるだろうよ」

「はっはっはっ童女様もお話が早くて助かりますな。この御礼はいずれ是非に…そうですな、讃岐に来られた際にはうどんでも」

「寒い時にお願いしますよ。うちの連中で食い意地張ったの連れて行きますから」

「しかし、本当にものは使い様ではございますわねぇ。あの憎たらしい連れ込みが、こうも宝のお宿に見えまするとは」

「それをご理解頂けただけでも重畳ですよ。あ、うちの連中が内緒でここに来た際の願掛け、必ずあたしか妹に連絡願いますと更に幸甚です。内容によってはいけにえにさせて頂きますから」

「ねーさんそれ言論封鎖…」

「ばっきゃろー。痴女宮に請願処こしらえて対内窓口作ってんのに活用しねぇ奴が悪いんだよ。まぁ、連邦世界や、うちらの世界に戻って藤寺まで足運べる奴は幹部に限るだろうけどよ…」

「ですよねぇ。連邦世界への転送操作を許可してる人は限ってますし」

「まぁ、差し当たって今回は世話になり申した。重ねて申すが阿波よ。そなたの意志と知恵を試し、朕抜きでも独り立ち出来る力量を備えて参れ。これは三行半に非ず、現世で社を経営する為に必要なと思うが良い」

「主上の勅令として受け取らせて頂きます。必ずやこの阿波、成果を手にして参ります」

「童女様、べらこ陛下。何卒阿波を宜しくお躾け頂きたく祈り申也や」

「ええ。うちも、この後にもまだまだ色々と人を必要とする事がありますので、有能な方の参加は歓迎させて頂きますよ」ああ、この姉の言葉、本当に社交辞令で済まなくなるとは。


その後、陛下を神社前で降ろしてお見送りし、なんだかんだで痴女皇国に戻ったあたしたちですが。

(べらこ陛下。祇園の兵衛佐ひょうえのすけ様から緊急連絡に存じます。痴女皇国関係者2名が来訪。願い札を納めたとの報告にございます)ええ、修学寮担当女官として研修に入って貰っていた阿波内侍様から緊急心話が入ります。

(了解しました。今あたし、ちょうど授業中なので終わり次第安井金刀比羅宮に参ります。姉にも伝えて下さい)とお返事。…一体誰やねん、面倒を起こしてくれたのは…。

(ベラ子。あたしだ。わざわざ祇園まで来なくていいわ。あたしが願い札を現認した。で…頭が痛いんだが、今、こっちに意識をちゃんと回せるか?)姉がそういう言い回しをするのは絶対、ややこしい事が起きたからに決まっていますね…。

(いいですよ。とりあえず、どこの誰がわざわざあそこに行って願い事なんかしたのよ…)

(それが問題の核心だ。まず、書いたのは高木マリアンヌ。高木・アクエリアス・スザンヌとの連名だ。そして内容なんだけど…「私たちの親兄弟を含む痴女皇国関係者並びにフレデリック・ワーズワースとワーズワース家との縁切りをお願いします。勝手に私たちの人生を今のうちから決めないでください」とあるんだよ…内容自体は極めて真っ当と兵衛佐様は判断したけど、何分にもかーさんの実娘とクレーゼ母様の実娘だ。願掛けを叶えると痴女皇国に影響が絶対に出るから保留、直ちに痴女皇国上皇と皇帝に伝えよという崇徳陛下の裁定を下してくれてな)

(これ、社の側ですとっぷをかけておらねば確実に決済後に願掛け実行課程に回しておりましたね…差し当たりまして保留はさせておりますので、あとは皇妹様方の御沙汰につきましては皇帝室扱いにて対処願いますわ)

(了解です。阿波内侍様、対応ありがとうございます…ねーさん…これ、どーすんのよ…)

(ああ、まさか反抗期を全力でやるのが身内から出るとは…とりあえずジーナかーさんとクレーゼ母様には今、あたしから流した。今日のホームルームが終わったら天王寺の領事館に飛んでくれ。今、まりあからあの二人に話を聞いているから、お前が行くまでには事情がわかるだろ。わりーけど頼むわ)

(了解ー)はぁ、直接の面識はあまりない二人なんですが、血縁的には妹です…って妹になる…のかしら?

(よく気づいたわねベラ子さん。ふっふっふっ、最低でもあたしたちは貴方と同年齢、下手をするとあたしたちが姉なのよっ)

(そうよマリアンヌ。私らの人生を勝手に決めるとか配偶者を決めるとか、そういうことはせめて高校卒業くらいまでは待って欲しいものですわねっ)

(そしてリーゼ姉。お聞きでしょうから宣言しておきます。最低でもベラちゃんと同じか高校入学程度の成長促進をかけて頂いてからあたしらに将来の進路の話をして欲しいのです。この要求が受け入れられない場合…)

(ベラ子さん。あなたのお履きの下着、どこ製でしたかしらねぇ?)

(ぬ…もちろんマリアンローズ・プリマ…ティーンズ向けですけど…え?え?ちょっと、あたしまだ授業中!)

(ぐっふふふ。封印されたはずのいんちゅう君・ラスプーちんちんモードの味はいかがかしら?つまり、痴女皇国でマリアンローズの下着や制服をつけている全員の股間の運命は今、あたくしたち二人が握っておりますの)

(更に、痴女種の意識や知識共有が仇になりましたわね。あたしたちの意見が受け入れられない場合、ベラ子さんはもちろん、姉や母様方でも容赦はいたしませんことよ)

(ごめん、マリア…マリアンヌとスザンヌが痴女皇国移住や、天王寺の領事館ビルからの退去について難色を示してるんだよ…で、とりあえず君達と対等に話ができるように条件を整えてくれと父に直訴してね…)

(えええええ!それって身内のクーデター…とーさん…なんで止めて…ああ、ワーズワースお祖父様がおっさんに話を回しやがったな…うぐっ、頼むマリアンヌ!せめてぴーたーのーすにしてくれ!あたし今修学寮で阿波内侍さんの案内中なんだぞ!)

(知ったこっちゃございませんわねーさん。とりあえず武士の情けでランダム動作にはしてあげるから、作動が止まった間に色良い返事を考えてくださいね!仕事の早いのが痴女皇国の国是でしょ!)

(うぐぐ…これ、あたしの全力でも耐えるのキツすぎ…智秋先生ごめんなさい!ちょっと体調不良で早退させてーっ!)

(ぎゃあああああ!マリアンヌにスザンヌ!頼むから止めて!聖院のうちまで巻き込むな!今スケアクロウの乗務研修中やぞ!)

(スザンヌ!不満があれば後で聞きます!お願いですから止めて下さいまし!今ただでも日計処理の最中なのにーっ!)

(ぐふふふふ、確かにこれ、おじさんの言う通り強烈に効くわね…)

(ええマリアンヌ。…ふっ、アルテローゼさんでも不可能だった痴女皇国の政変がこうも簡単に行くとはね!ほほほほほほ、これは革命ですわよ!)

(さぁベラ子さん、ねーさん。諦めて交渉のテーブルをご準備なさい!私たちをあの淫魔の巣に連れて行くつもりなら延々このままよ!)

(お待ちなさい、童女様方…)

(え?この状況下で動けるなんて…)

(それ以前に知らない人ね…どなた?)どうやら姉、あの二人のところに阿波内侍様を飛ばしたようですね…。

(ふっ。第七五代立位太子にして天皇位たる顕仁あきひと陛下が愛妾、阿波内侍にございます。よろしうにお見知り置きを。我が管理の社、安井金刀比羅宮の八百萬神族管理実務の権禰宜職を兼ねさせて頂いておりますので、童女様方の願冊は妾にも知れるところにございます。童女様方の願い事は真っ当。されど、この話が進む理由にも母様方や姉様方にも一理ありきや。差し当たってはお国の実務の邪魔、止めて頂けるとありがたく存じます。しかしながらお止め頂けぬ場合…お二方様とも、ただひとのままでございますね? なれば、逆にわたくしが介入いたしまして、魔羅虫下履きを強制停止致しますよ? そして助平な張型の動作を今すぐにも止めねば童女様お二方に、我が社に願掛けを致しました一種の祟り返しが迅速に参ります。さぁ、只今を持ちましてお止めなさり候へさうらへ!)えええええ、何と、あの阿波内侍様が痴女皇国の内乱を阻止してしまわれるとは…。

(主上の時分を思わば、この程度の内乱には対処の心得は得てございます。とりあえず妹者様方を交渉の場に引き出して参りませう!)

(ぬううう、新顔ね?ですが痴女皇国在籍者とあれば制御は可能!名乗ったのが仇になったわね!)

(すんまへんエマニエルですぅ…あのですねー、阿波内侍さんってちょっと特殊経緯でここに来てるから、まだステータスコード登録とか済んでないんっすわー。ついでに服装は比丘尼国の元伊勢女官階級準拠の神職衣装を仮制服として着てもらってんすよ…ですから聖環で何をしようと、マリアンヌさんとスザンヌさんの操作はそもそも受け付けられないんですよ…。あ、あたしには聖環ハッキング操作、無効になりますからあたしも普通に稼働できますよ、ねーさんにベラ子母様。とりあえずお二人のお願いは分かりますけどね、いんちゅうの過剰出力使用はあまりに傍迷惑なので、あたしが制止してます。差し当たってベラ子母様の授業が終わったら、関係者の首根っこひっつかんで天王寺にお邪魔します。そこでお話でいいですね?)

(あががががが、エマちゃんと新顔さんの存在は盲点だったわ!悔しいいいいいい)

(諦めるのはまだ早いですわよマリアンヌ!あたくしたちの意志は鋼のように硬いのですからね!影響力行使の優位性がなくともあたくしの意志への介入はお祖父様とおっさんが許しませんからね!)

(あーきーまーせーん。話し合いで解決しなはれ。阿波内侍様も、祟るのちょっと待って下さいね。…いやー、ソーシャルハッキングの典型例だなこれ…はぁ頭いてぇ…ねーさん、これの対処用の改善仕様の淫蟲細胞、今から順次皆さんの下着に回していきますわ。ただ、お二人の話も全く理不尽じゃなくて、それなりに一理ある内容ですから、ちゃんと話し合いには応じたげて下さいね。反抗期で片付けちゃダメっすよ?)

(えまこはんに同意致します。謀反は抑えましたが、日の本と痴女皇国では咎人とがにんの扱いは違うが道理。ましてや身内の謀反…それも裳着もぎも未だしの童女様のしでかしとあらば、大人だいにんの罪とは異なるでございましょう。ついでに、刀傷沙汰はもちろん、死人怪我人もおらねば、童の悪戯と取れなくもなし。…ただ、童女様方…わたくしの世では悪さが過ぎたわらべは叩くが当たり前でした。とりあえずはわたくしが親御様方に代わりまして尻をはたかせて頂きます。その上で母様方とお話なさいませ)

(ひぎっ!いたたたっ!)

(お、お尻に手形が…)

(出家して仏門に入りましたままであれば、ひっぱたく前にまずは道理を説きますが、わたくしも神に祀りあげられましたので多少の理不尽は通します。我慢なさいませ。その代わりに体罰は済んでいると、よしなに伝えさせて頂きますよ、さ、お座りなさい)なんか、エマちゃんの助けがあったとはいえ、阿波内侍様が大活躍してしまった印象ががが。

(そうお思いでしたら後ほどご褒美下さいませ。尼服の下は給仕された下帯にしておきまする)うっふっふーという感情が流れてまいります。まぁ、ラスプーちんちん目当てでうちに来た面もある方なので、これしきで満足頂けるならば奉仕にやぶさかではありません。

(ただ…陛下、必ずこの童女様方の主張、耳にはお入れくださいまし。仏門の時も藤院の時分も、祟るにしろ叶えるにしろ、まずは話を聞きましてからにございますかと。大人だいにんの理不尽ばかり押し付けても難きお年かと存じます故に、何とぞよろしくお願いいたしまする)あー、そうか、配偶者すとくいんさまが理不尽な退位を押し付けられた人だけに、親が子を弾圧するのを嫌うのですね。

(あと、痴女宮の陛下のお部屋の氷室に隠してある氷菓をもらいましたからね。早く来ないとちょこみんとかっぷの残りはなくなると童女様が申しております…あ、あたくしはばにらで)ちょい待ち!それはやめて!ある場所とある場所に塗ってたのきちに舐めさせてる用なんですそれ!

(同じことをして欲しくば、はよう来なされと童女様方が。ほほほ)うぐぐぐぐぐ、前言撤回します…。

食い物あたしのあいすの恨みは怖い、とりあえずこれは身体に教えに行きますからね!

---------------------------------------------------------------------

べらこ「マリアンヌ。スザンヌ。あなたたちの言い分もわかりますが、許し難いことも世の中にはあるのです」
あんぬ「え」
すざこ「ちょっとあたくしの名前!いくらあたくしの母親がクレーゼ母様でもですね!」
べらこ「冷蔵庫を開けて、あるはずだったものが無いと知った時の失望感と怒り。乱暴ルギーニを鳥のフンまみれにされたのと同じか、それ以上の罪とあたしは認識します」
ないじ「ひぎぃいいいいい」
べらこ「阿波内侍様もこの機会ですからよくご理解ください。うちの国で食い物の恨みは怖いのです。一部日本人と同等以上の犯罪に認識される行為なのです」
マリー「あたくしも、お昼ご飯を邪魔されたら怒り狂いますわね。特に欧州に戻ってる時に」
あるこ「ええ、マリーに同じ」
くれこ「ええ、乳上に同じ」
べるこ「ええ、メーテヒルデさんに同じ。あと冠婚葬祭みたいな名前、何とかなりませんか」
るっきー「借金返したら考えてくれるらしいですわよ」
あなこ「イザベル陛下…あたくしなんかこれです…」
べるこ「アナの場合、自業自得という希ガスって気も致しますわね」
あるこ「あと、ご飯でぶち切れる部類、お一人いますわよ」
べらこ「どなたでしょう」
あるこ「多分ベラ子陛下、直接の面識はないはずです。初代クライファーネさん」
べらこ「あー、あー…あの方今は聖院でしたっけ…」
あるこ「聖院の方の欧州でしたかしら、元々あっちの出でいらしたし」
べらこ「まぁ、基本的に欧州組は片端からお昼を邪魔されると怒る…とメモメモ」
べるこ「人生の楽しみとも申しますから」
くれこ「それと、マリアンヌ様にスザンヌ様。出来ましたら聖院にご厄介になる方がいいと思います。希望はできる限りお伝えさせて頂きますよ」
マリー「こういうのも何ですけど、やはり痴女宮より聖院宮の方が未成年にはいいと思うのです。差はあまりありませんが」
サリー「まぁ、こっちはしほちゃんと私がいますしね。それと重大事項。痴女皇国ほどショタってる人、いませんよ」
あんじぇ「私もめんずの趣味は普通デースシネー」
白マリ「でもさー、こっちはこっちでマリアンヌとスザンヌいるからねぇ、しかもこっちゃまだ幼稚園の段階よっ」
べらこ「聖院にお預けするのも問題があるのですね。ではNBで」
クリス「ベラちゃん…やめとこう、それだめ」
べらこ「なぜにおじさま」
クリス「うちの国はまだ、教育体制がさほど整ってないのもあるけどね、正直さぁ、整いすぎてる本国があるからさぁ…」
白マリ「つまり、マリアンヌやスザンヌだと、NBに行かせたら、下手すると英国留学回しの刑が待ってるのよ」
べらこ「えええええ」
あんぬ「あたしたちが天王寺天王寺とこだわってる理由の一つです。英国の寄宿舎系学校とか正直避けたいんですよ!」
すざこ「ですからベラ子さん、あたくしとマリアンヌはなるべく大学卒業、せめて高校卒業までは日本でお願いしたいのです。これはマリアリーゼおねーさまにも要望しておきますわ」
べらこ「じゃ、ローマとかフィレンツェとかピサもダメなの?」
あんぬ「ご飯は美味しそうなんですけど、イタリア語めんどくせー」
すざこ「離れてわかる日本語のありがたみ」
べらこ「うう、イタリア語普及のために聖院第三公用語指定を請願します!」
あんぬ「姉にしか見えないいもうとがわがままいいます」
すざこ「マリアヴェッラさんはもう少し英語系の話し方をお願いしたいのですわ!」
べらこ「仕方ないじゃないですか!だいたいあたし、何もなかったら基本的にイタリア語でしゃべってイタリア料理食べてる国の人間の血が半分なんですよ!」
黒マリ「実はあたしもマリアンヌも該当するんだが、残り半分はスラブ系ロシア人だ。これは絶対に指摘しないでくれ。そして、マリアンヌ。あんたもあたし同様で、英国人とロシア人の混血なんだぞ、人種的には…」
あんぬ「げ。もしかしてそれは、成長したらリーゼ姉みたいになるってこと?」
白マリ「更にスザンヌ。あなた…母親、誰かお分かりよね。そして父親は高木のお祖父様」
黒マリ「なんか、アレサンドラお祖母様以上の強烈なのが確定してるよな…」
白マリ「ふっふっふっ、いいこと?どうしても痴女宮が嫌なら、規律正しくて清廉な暮らしができる場所は聖院でも痴女皇国でもあるわよ。ス・イ・ス・に」
べらこ「その手があったかぁあああ」
ないじ「そのよろれいひで変態す○すじんがいそうなお国に何があるのでしょうか」
白マリ「うちの支部があって、聖院の歩く秩序がいます」
黒マリ「痴女皇国の歩く秩序でもあるんだけどな。マリアンヌもスザンヌも知ってるよな?」
あんぬ「あー、今回の革命が成功しても、あの二人がいたか…」
すざこ「確かに、あの人とあの人相手はちょっと旗色悪いですわね…」
ないじ「何やらすいすというだけで、皆様が恐れおののく空気が」
黒マリ「内侍様。いずれ会うでしょうけどね…拳で全てを解決しそうな最終兵器が二人いるんですよ。うち。その一人がね、スイスにね」
白マリ「脱ぐだけで人が心肺停止するとか、失敗して呼び出されて睨まれただけで心肺停止するとか、果ては書類を読むだけでとある騎士が心肺停止しかけるとか」
アルト「マリアンヌさま。スザンヌさま。今回はいたずらでおわらせる方がいいと思うのです。あたくしが何におびえているか、おわかりですよね」
あんぬ「うん、わかるわアルトさん。わかるのよ。がくがく」
すざこ「…あたくし逃げますわっ」
ないじ「一体何ですのや、そのお方は」
黒マリ「簡潔に言う。この人とこの人には、初代様もおかみ様も、まず話し合い」
白マリ「むろん、あたしたちやかーさんも話し合いから始めます」
べらこ「エマちゃんでも話し合いから始めるわね、結果はともかくとして」
黒マリ「今回の崇徳陛下の件で、もし陛下が暴れたら最終兵器として出撃する可能性があったんだよ…」
ないじ「ひいいいい(皆の記憶を共有されている)」
ジーナ「スザンヌはまだしもマリアンヌ…あんた、うちら相手に反抗しても最終的にあの人かあの人が出てくるって知ってるやろ…まぁ、今回の件で来るかどうかわからんけど、来たらちょっとは覚悟しときや?」
あんぬ「あたしも逃げますっ」
べらこ「今更逃しませんよっ(ムチの音)」
あんぬ「きゃあああああああ!」
黒マリ「全く、マイレーネさんとアレーゼおばさまには淫蟲仕様を渡さなくて正解だったぜ…」
白マリ「渡してたらあんたもあたしも死んでたわよ…」
ジーナ「つーか、今話してる全員、連帯責任取らされる危険があるぞ!」
他全員「みんなで逃げれば怖くない!」
ジーナ(いや、どこに逃げるんや…)
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