闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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狂気の鬼女軍団襲来・痴女宮警備隊編成編

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えーと。宙兵隊で航空機操縦士始めてはや○十年。飛び職一筋踊り子二筋のジーナおばはんです。

おかの戦い、特に大規模戦闘ってどっちか言うと苦手です。
でも、やらんと痴女皇国存亡の危機です。

だからマリア!ちょっと起きてこいや!

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「おかみさまー。その話はマジっすかー?…」
「我等の草の話が信じられぬか。ついでに言うと、かとまんずにおる、おのれらの草からもまりやに話が行っとる筈ぞ。を金で雇い集める動きがあると」
「いや、話の信憑性よりも、ようも痴女皇国を攻める気になりよったなと…」
「差し当たり朕もいつもの姿に戻る。婢女はしための驚きももっともなれど、ここで国を預かる者どもが狼狽する訳にも行くまいよ。差し当たり侵攻までにはまだ間がある。奴輩やつばらの狙う頃合いは、秋の野分のわけよ」
「ああ、台風…うちらにはあまり季節の関係がない気もしますが」
「朕やほどには天象をいじれぬようだが、野分の向きを捻じ曲げる事を考えとるようじゃの」
「確かに、聖院時代から気象や災害操作はしていると聞いておりましたが…わかりました。娘達を会議室にやりましょう。おかみさまもよろしければ。エマ子。関係者一同、テンプレス2世のブリーフィングルームに。出来れば雅美さんも呼んでくれ」
「了解」

で、擬態に戻った大江組と、痴女宮組でおかみさまから話を聞く事に。
まずはクリサンサマーネの浄化成功がおかみさまより告げられます。こちらは停泊中の「かが」貴賓室に移され、意識が戻り次第連絡を頂けると。ま、痴女化継続を希望するなら心話を使うでしょうし、人に戻る事を選んだなら「かが」から連絡が入るだろうと。

そして衝撃の、中印はぐれ鬼軍団テロ話です。こういう話こそマリ公に聞いてもらいたいんだがねぇ。
(とりあえず会話はマリア姉とアルトさんに送ってはいますよ。意識を戻し次第会話に参加してくるでしょうし、侵攻までには間があるらしいので、最悪、それまでに叩き起こしましょう)うむ、エマ子有能。

「とりあえず今回の首謀者の姿じゃが…、頼む」おかみさまの中で、もはやエマ子はエマニエル夫人扱い確定なのですね…で、どうもあの役の女優まんまの髪型だかららしいんですが、母親のあたしも同じヘアスタイルなんですが!
「えー、私と母様が大使のエロ夫人激似の話題はともかくですね、これが玄奘と、夫の藩王です」
げ。
いきなりやってますやん。
バインバイン系のおばはん。連邦法務局の黄さん覚えてはりますかね。こんにちわ、マリアとかに出てきた。あの人をもっと雅美さん黒化方向で妖艶にした感じ。
それが、旦那の口を吸いながら抱っこ状態で尻を振ってはります。エマ子、翻訳。
(ふふふふふ、この鬼どもこそ、貴方が亜大陸を制覇して一大帝国を築く足がかりで御座いますよ…ほれ斉天大聖。お館様の興をもっと引くがよいぞ)これ、どこかの宮殿か何かですね。このおばはんと、ヒゲの中東系っぽいおっさんがやってる前で、アーリア系らしい黒い踊り子が犯されてます。つーこた、ここはインドか。
んで、犯してるのは…赤ら顔の白猿。踊り子を組み敷いてますけど、ケツの動きで写生したのが分かりますね。かなりでかい猿です。で、イくと…おい!
「あわわわわ」皆顔面蒼白です。踊り子の首ねじ切って生き血飲んでますやん。で、首を一口に…更に、身体も…。
「これが猿鬼の斉天大聖。玄奘のしもべの一匹です。で、向こうで同じように犯した女を貪り食っているのが豚鬼族の天蓬元帥てんぽうげんすい」うげーみたくねー。
(くくく、我が夫は我が血と身体の虜よ。ああ愉快愉快。これも河伯よ。おのれがわしに血と精を与えたが故に成せた事。河伯、貴様の望みをゆうてみよ)なんかインスマスというかダゴン系な半魚人が現れましたけど。
「この河伯というのが人魚族と鬼族の混血で、玄奘を鬼族に引き入れた張本人なんです。こいつの他に、さっきの天蓬元帥も実は人魚族と豚鬼族の混血児。で、斉天大聖は鬼瓦族が猿を犯して産ませた化け物です」
「血を与えた言うてたよな、おばはん…」
「ええ。この藩王の軍の活力のみなもとですよ。このクソババア、元はパンチパーマ教徒で、この話の中原大陸国では異端だったんです。しかも当時は人間の男」この瞬間、うちらの面子の何名かはこうなった経緯の絵が描けた顔をしました。
「そうです。自分の信仰の根拠となる経典や文献の収集にひとり天竺を目指し旅立ちました。が…行き倒れかけた際に、川のほとりで玄奘を介抱した奴がいまして。それが河伯です」
「この名状し難い半魚人が?」
「こいつ鬼でしょ?普通ならこの坊主を食うはずでは…」
「ええ。河伯も飢えておりました。しかし、河伯は人の精気を得る技を備えておりまして、敢えて知恵者らしき玄奘におのが血を与え、鬼の生命力と力を授けたのです。そして比丘尼国から流れて、この川のほとりで通りかかる旅人の精気を奪い、時には肉を喰らいして生きながらえている窮状を話します」
「ふむ。なかなか知恵が回るやっちゃな…」おチビさんに戻った外道ちゃんが、ものすごく難しい顔をしています。
(いや、こういう悪知恵がついたはぐれが厄介なんですわ。なまじ知恵がついとんので、滅多に鬼が暴れたいう痕跡を残しよらんから狩り出すのも大変で)
「で、自分も長安では気触れ者扱いされており、天竺の存在と価値を説いても誰も話をまともに聞かない、いわば人に忌み嫌われ裏切られたような身であると打ち明けた玄奘と、人魚族のもと幹部で瀬戸組からつまみ出された河伯は意気投合。何としても天竺を目指し安住の地を見つけようと共に旅をする仲になりましたが…」
「ははあ、その道中で…おかみさま、昔、飢え死にしかけた時、大陸に逃れたはぐれ、何匹かおりましたな」
「うむ。あの猿や豚、そやつらか、あるいはその孫子まごこであろう。よくぞ世に潜み生き延びたというべきか…」
「隔世遺伝発現能力は、鬼種にはあるのですかね…実は、李自成も鬼瓦族の子孫なのですよ…そして、中原にいながら、天竺の玄奘と足並みを揃えています。恐らくはこの二匹、何らかの会話手段を備えておりますね」
「そして女体化が出来る事を河伯から聞いた玄奘、道中の村に尼僧ので忍び入っては精気や、時に人肉を調達してインド北部に至り…全員が女体化して中原から天竺へと旅を続けてきた尼の一団として藩王への謁見が叶います。はい、あとは見た通りというか、補足します。まず、こいつら、ケシの代わりに人を狂わせる薬を作ってばら撒いてます。原料は自分らの血液」
「な!何と!」
「…抜かった…おかみさま、その手はうちらも気付きませんでしたわ…」
「ええ。鬼の血で鬼人化した仲間をじわじわ増やして、鬼人の軍隊を天竺と支那で作り上げてたんですよ…そしてアサシンやグルカを、鬼女軍団化したのが侵略の尖兵です。さっきこいつらのエサにされてたのが、鬼女適性が低い連中ですね…」
「なるほど…鬼の血で凶暴化させて犯して殺して奪う集団にしたと…で、躊躇した奴は、エサコースか…」
「更に、女体化出来るでしょ。カーリー軍と称する鬼美女軍を編成してます。なんか痴女皇国開国当時のマリアねーさんがやったような事を、更に凶悪無残な方向で推進していますね」
「あー、黒マリが起きたら絶対劣化コピーやと怒り狂いそうな話になっとるな…」
(お母様。口頭ではマリアねーさんのせいにしますけどね、こいつら、痴女細胞取り込んで擬態能力を向上させてますからね。あたしやミカエルが見たら瞬間的に判別できますが、こいつらが人に化けたらちょっと困りますよ…お母様。私が言いたい事、わかりますよね?)むすめのしせんがこわいです。
(救いは!救いは!)
(ありますよー。人鬼を狩り出し退治する十字軍作っちゃいましょー)
「とりあえず、他国からの流れ者の娼婦には要注意か…」
「李自成いう奴は何をしとんのよ」
「こやつは農民を率いている一揆の長の姿の影で、だいたい上海から南寧あたりまでの帮に、玄奘から預かった鬼女兵を潜り込ませています。で、帮を掌握させ淫売稼業を隠れ蓑にして鬼を増やし、比丘尼国を攻める兵力を蓄えてる最中ですね」
「婢女。敢えて言うが、おのれらの撒いた痴女化阻止細胞とやら。これがのうてもな、鬼の力で同じことをしておったであろう。ふじんの助けで李自成はもとより玄奘一味の頭の中がわしに筒抜けになったが、こやつらはまこと、手段を選ばん。そして痴女皇国との一番の違いにして許せぬ点がある。人を食らうに躊躇なし。下手をすれば、婢女の時代の牧場のごとく人を飼い増やしよる仕掛けまで考えておるぞ、此奴ら」
「まさに悪鬼の所業というか鬼というか…」
「今でこそおかみさまのお力でうちらは抑えておれますがな、鬼は元来、同族を食うに躊躇がおまへんねや…弱きものは強きものに食われて当然、とね」心底嫌そうな顔ですね、外道さん。
「聖母様。皆さんもお聞きいただきたい話やけど、わしらはそれで数を大いに減らしたことがおます。そして、大江を開く際の経緯で、人やそれ以上の叡智を授かれる存在だから、同族を食わずとも生き延びる知恵を示せば人の尊敬を集めて敬われ崇められるであろうと言われましてな。悦吏ちゃん。実際にうちらの精や汁で土地と言わず海と言わず恵み潤い、農民漁民には崇められとるよな」
「はいな。で、人はあたしらに敢えて犯される事でうちらに感謝を捧げてくれとりますわ」
「なるほど。共存共栄を実現している立場からすれば外道も外道の所業と…」
「大嶽。魔神鬼装備、確かめとき。あの越中の母娘、今でもお前の土像に毎日祈ってくれとるみたいやぞ」
「合点承知。が…聖母さま。聖母様方のお考えでは生かして捕らえ改心させるも手とか。奴輩やつばらへの怒りはあれど、果たしてわしが無闇に暴れ鏖殺すべきばかりが手か。策あらばお授けを」
「よし、大嶽も策を弄するが望みか。よいぞ。婢女…なんぞ案はないかえ」
「うーん。アルトとマリ公が目覚めるのが条件になりますけどね、仮にマリ公なら、奴らを迎撃するだけでなく策源地を破壊して反抗する意志を削ぐ作戦を立案するはずです。一応は軍人たる私の娘ですからね」
「ふむ。という事はまりやの親たる婢女に戦略があるとな」
「ま、そちらの日の本に、同じ話があるかどうか分かりませんが、わたしらに伝わる鬼さんがらみの民話にですね…」ここで雅美さんに目くばせ。
ブリーフィングルームのスクリーンに映し出される映像。まずは何とかの七人のジェネラルピーチな若様。
そして切り替わるはおっぱいばいんばいんで桃の鉢巻きをしたおねーちゃんと従者、そして悪役の鬼将軍や幹部の鬼とか鬼姫とか脇役の巫女さんとか。
で、おまけに般若の面で例の決め台詞をいうお侍さんの映像とかも。
「うちらの民話で、桃太郎伝説言いましてね。桃から生まれた赤子が成長して、鬼ヶ島に住む鬼を懲らしめる話がベース…基本になった様々な二次創作娯楽がありましてな。これにあやかる形で、悪い鬼をしばく正義の集団を編成しようかと」
「ぬぬぬ、その桃太郎とか桃姫とかぴーちひめとかいう話、詳しく聞かせやれ」ええ、大江組の食いつきが異常です。

で。説明終了。

「なるほど、あのぐらまーなみすぴーちは鬼将軍の隠し子の可能性もあると。で、鬼の姫さまとは姉妹関係とは知らず…」
「ううむ。わしらも何か、世に親しまれるにはこの手の話をひろめていめーじあっぶを目論むべきやろか」
「あのデコの出た鬼とか、茨木がょぅι゛ょなやつも、本人の思いは別にして、鬼が鬼として民衆に親しまれてる証拠やしなぁ」
「なるほど、鬼の縁者が鬼退治でありんすか。これはありどすなぁ」
「しかし…ねぇジーナちゃん。連中のテロでゲリラな手口を考えたら、うちの騎士で一番手口が読めて対抗出来そうなのがダリアちゃんと旧黒蛇。次にサリアンと青天狗党だけど、足りるかしら…」
「痴女皇国の体制はある程度向こうも掴んでるみたいやね。エマ子が一度捕捉したら絶対ロックオンを外さないのまでは知られてへんけど、痴女が心を読むからと、昔のダリアみたいな記憶や思考を隠蔽欺瞞するアサシン技を教えられてる模様」
「雅美さん、そこでおかみさまから授かってる比丘尼国の上級巫女さん機能ですよ。比丘尼国麾下の鬼さんとはぐれ鬼すら遠隔識別可能。雅美さんでも使いこなせば、確実にカリマンタン島に接近する鬼を数キロ先から発見できますよ」
「問題は、ヨガ鬼女軍団を鬼女化した鬼や。人魚族あがりと、人魚族と鬼族のハーフが血液製剤を作っとるみたいでなぁ。水中行動可能やねん。これが船で来たら例のしろありくん1号で船ごと沈めてから一網打尽に出来るねんけどな」そうです。トリエステ港使用不可能作戦で使った木質材崩壊ナノマシン製剤が使えないんです、こいつらには。
「ったく、西遊記の猪八戒は不犯の誓いを守ってたのに、この豚鬼は欲に忠実すぎよ…更にこの名状し難いインスマウス河童野郎よ。こいつが全ての元凶みたいだけど、こいつら水なしで生きてられるの?」
「年単位の長期間活動可能。瀬戸組の幹部やくざだったらしいので、人魚生じんせいを破門にせんと示しがつかないと噴き上がってる三代目瀬戸組組長以下全員、天竺にカチコミかけて首をとって来るからと、外征許可をおかみ様にお願いしてる模様」
「それより潜水工作部隊の阻止に人魚回してくれや…水中作戦用のTAPPS、今から手配せぇ言われてもな」
「それは大丈夫や。今、瀬戸組の娘と付き添いが来る。ほれ、凛。それと…銀次か。瀬戸の三代目の長女の凛と、若頭の銀次や」
「あ、凛ちゃんと銛銀さんやん。悦吏子ですよ」
「あらーえりちゃんー。痴女皇国に戻ったんかー。あ、皆様お控えなすって。只今大巫女様のご紹介に預かりました瀬戸内は瀬戸組三代目、瀬戸三郎太が娘の瀬戸凛と申します。若衆頭の飯借ままかりの銀次、渡世稼業では銛の銀次と知られた男ともどもよろしうに」ななな何じゃこのド派手な琉装まがいのミニスカ褌娘に、ヤクザ丸出しの着流しのおっさんは…。
「ふっふ。ここの海回りに誰を行かすかで揉めてな。人魚頭の三郎太に不公平がないよう選べ言うたら、舞鶴商会の質屋いう頭と話し合うて、任侠な人魚集めて手本引きの賭場を開きよってな。で、この凛が勝ち越しよった。のう。サマのお凛よ」
「へえ。二位の…難波のどさ健はんには悪いことしたなあと。サマ見逃したろ思うたんですが、瀬戸組のしでかしの始末つけんと示しつきまへんき、ヒレの一枚は貰うてでもうちらが勝たんとあかんかって…ちなみにヒレは舞鶴商会の首領どんがフカヒレ汁にする言うて、仕込みの干しをさせとるそうですわ」
「なんかヤクザもんに小指の天ぷらを食わせる料理人が出てくる、某ブラックカレーな少年漫画を彷彿とさせる凄惨な博打を想像したのだが」
「…あの漫画、麻薬カレー以外にもそんな危険なネタが…」
「それ以前に手本引き言うだけでも大概マニアックな賭博なのに、サマが当たり前なんか…」
「バレへんかったらええんですわ。もっとも、潰したい賭場に行ってわざとバレるネタ仕込んでシクる時もありますけどのぅ。で、騒がれたら因縁つけ返して暴れるとか」
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「そいつもやくざもんですか」どんなヤクザだ。下手な野郎なら唯じゃおかねぇと、目が語ってますね。
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「ななな何ですのこの似合わんデカい帽子被ったお兄ちゃん」
「…頭も悪そう、というか因縁をつけ返しそうなツラですな。どっちかというと噛み付く犬ですか」
「銀さん正解。まさにこのキューピー、ちんちくりんな外観を逆手に取って舐め切った相手を血の海に沈めて呉の街を恐怖のズンドコに突き落としまくりよってな、凶悪無比な凶行がいまだ伝わる人鬼ひとおにや」で、こいつの所業を検索して見せてやります。
「え、安芸のやくざでここまで頭おかしいの…ああ、何匹または何人かおりますわ。人族のやくざもんでも、わしらにそうそう敵わんのにですな、隙を見れば命を取ろうとしよるあっぱれな命知らずが結構おったことがありましてなぁ。今では一応は縄張りを決めたり、陸やくざと縁組したりしてそれなりに友好関係を築いてはおりますけどの」
「ああ、いくさで頭がおかしうなって、街で兵隊の行儀のまんま暴れよったんか…そら親も煙たがるわ」
「まぁ、こんだけ頭いかれてたらねぇ。あと、マイレーネさんの劣化版で酒癖が悪かったけど、とにかく拳を武器にして殴る殴る殴るでのし上がった奴もおりましてな。こっちはあずまのみやこのやくざ者ですけど」はなやまかおる もでる がぞう。これは有名だと思うよ。
「ふむ、こっちはなんか、顔はともかくは垢抜けとりますな」
「せやの銀さん。やくざもんにも色々おるが、この男は伊達を競い一張羅を着こなす類やなぁ」
「なかなか正確に見てはるなぁ。こいつの上司がという街で幅を利かせに利かせて手下にも背広…堅気以上にパリッとしたなりを着せてましてね。で、組を解散した後は河原者のやくざ歌舞伎の俳優になりよったくらいのおっさんなんで、当然、配下のこのこぶし男も影響を受けてる。とにかく得物を使わずに殴って殴って殴りまくって勝ったお兄ちゃん」で、この兄ちゃんの経歴も簡単に。
「ほう!拳で勝つのにこだわりよんのか!おもろい男じゃの」
「どんな手を使うてでも勝たなあかん時はあるけどの、こういう男は嫌いやないのぅ」ふむふむ、人より強い弱いは別として、ヤクザとして名前を売る逸話は必要そうやね。
(なんかお母様、やたらこういう人を扱い慣れておられませんか)
(あー、軍隊なんか半分やくざもんの集まりみたいなもんやし、沖縄のママの店でもやくざもん来るし。何よりあたしの実家の雲助いうか大八稼業。これも人足やくざの変形みたいなもんやからなぁ)
(こういう経験があるからご先祖様が重宝しておられる予感)
「というと聖母様。わしらに名を上げさせてくれる場所、考えてはりますな。おかみさま。聖母様に進言させて頂いてよろしおますやろか」
「おう、知恵が湧くなら貸したり」
「お聞きかとは存じますが、わしらは陸もいけますがやはり得意は海ですな。そして、こいつらの諸々を伺いましたが、ひとたび陸に上げたら厄介な事しよりますやろ。即ち、陸揚げ直前までに何としても捕らえるが必須かと」
「確かにそやねぇ。極端な話を言うたら、そこら歩いてる奴に噛みついただけで、相手は鬼になるんやろ?」
「ですな。ですが、水練をしとるとは聞きますけど悟浄…その、河伯いう魚やくざのこっちの名前ですけどな。あれは元々川やくざですねん。しかも、うちらのシマの海とちごて、ここは外海、大海原直結や。なんぼなんでも延々天竺から泳いで来て無事とは思えん。せやから途中まで船を使う可能性も考えられますわ。海原におるときに鬼を探るからくりとかおますやろか」
「エマ子。海洋監視衛星に鬼探知機能、付けられるか」
「ちょっとアップデート必要ですけどね。生体光学アイ装備すれば可能」
「よっしゃ。ダマになって移動してるのがあったら鬼の乗った船やとわかる程度でええわ」
「で、どっちみち港から上がる時に泳いで来よりますやろ。なんぼ水中を動けるいうたかて、潜る深さとか色々差し障りはおますから、泳いでくる道順は限られる筈ですわ。で、この辺に漁師はおりますかの」
などなど、流石に海に詳しいやくざだけはあり、色々と話をまとめます。港周辺の海底地形図や、海流図のデータを詰め込んだ痴女皇国環も渡して、と。
「あ、エマ子、フロッグマン対策用のソナーとか水中機雷ってこっちに在庫あるか作れるか?なかったらNBから取り寄せるけど」
「連邦規格の奴なら私で作れますよ。水中機雷だと瀬戸組の皆さんにも被害が出る可能性がありますから、設置場所は選びますけどね」
「よっしゃエマ子。ソナーアレイの設置場所みつくろって。対人機雷は設置方法を瀬戸組の方にお教えして設置してもらお。水中識別用の超長波発信やアクティブピンパターンで反応する信管のやつ拵えてくれたらええわ」
「爆発したら、水の中からいらんことしいが上がって来たとみなせると」
「うむ。この手のテロ屋と言うのは泥棒や殺し屋と同じでな。自分がおることを知られるとまずいから、訓練されているやつは探知されてるのを知った段階で自爆攻撃か退却のどっちかしよるんですわ。もっとも、この時代にそこまで考えて鍛えてるかはわからんので、うろたえてめちゃくちゃを始める可能性もあるけど、まあ、見つけた時の話にしましょ」

てな感じで作戦会議をまとめて、と…。
(婢女。銀次と凛はまだ、あれをもろとらんのよ…お前で何とか種を入れたってくれへんか?)
(ええー、ヤクザの娘に手ぇつけたら後が怖いですやんか)
(しゃーないのー。銀次は外道、凛はよりみつに頼むわ。流石に外道に相手されて嫌がる奴は大江にはそうそうおらんからな。それに凛は縁がなかったら次期親分や。よりみつに抱かれて箔つけとくんもええやろ。ま、お前が抱いたったかてハクはつくねんから、働きの後の褒美に頼むで)
(へいへい。ま、理屈はわかりますさかいに、あんじょうさして貰いますわ)

さて、あとは陸か…ダリアで何とかなるかなぁ。なんせ今回はカリマンタン島全域なんだよなぁ、警戒対象。
で、ここでちょっと説明しておきます。以前、聖院世界の聖院所在地はここの南側で、連邦社会のボルネオ島とは少し地形が変わってますよと言いましたが、もう少し具体的に言うと、ボルネオ島の南側の比較的低い土地がなくなってて、屋久島に近い地形になってます。つまり、平地がものごっつい少なくなってますので、上陸して少し歩くとすぐに山が始まります。んで面積はだいたい日本列島と同じくらい。連邦社会のボルネオが日本の二倍近いデカさなんで、ちょっとだけ楽ですけどそれでも日本と同じですよ。
まぁ、最悪、聖院と門前町さえ守っときゃ何とかなっかー。向こうも実行すりゃあまり時間はかけてられないらしい情報もあるし、何より鬼はうちの痴女より長期耐久低燃費タイプでないのははっきりしてるから、絶対に人を襲いに人里に現れるだろうと鬼の皆様も言うてるしなぁ。
(何を頭抱えてんだよクソババァ。あんたも痴女化してる上に例の鬼センサー実装したんだろ?あれの有効距離のデータ、おかみさまから頂いてなかったのかよ。で、とりあえずこっちゃ寝たきりだがアルトはもうちょっとかかるけど一両日中には起こせる。んで、あたしは心話できるし、エマ子から送られてきた情報は今片端から見てる最中だ)

---------------------------------------------------------------------

黒マリ「ったくよう。エマ子の高性能分体装備してて何を言うてけつかると」
ジーナ「うるへー。さっさと起きてこいっ」
黒マリ「だから起きれねぇんだよ。頭だけとりあえずエマ子に助けて貰って回してるようなもんだから」
エマ子「それでもマリア姉復帰は大きいですよ。処理能力差はともかく、実戦経験の個体保持データ量は比べ物にならないくらい膨大ですから」
ベラ子「マリア姉さんがすごいのは↓にも書かれてますね。あたくしと話をされております」
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/46/
ジーナ「まぁ、一つ言っておこう。このマリ公はディプロ○シーオタクだ」
エマ子「ああ、あのサイコロ一つ使わずに進める、友達をなくしたい時にするボードゲーム」
マリア「あれ、あたしらの時代じゃオンラインゲームなんだわ。で、不特定多数の集まる場所があって、同好の士を募ってその場で遊び始められると思ってくれ」
エマ子「あれが好きって…言っちゃなんですが、あのディ○ロマシー、ものすごい高等知能を要しますよ。一言で言うとチェーザレ様とかマキァベッリ様向けです」
ジーナ「で、それに入り浸ってた時期があった。ちなみにマリ公はその時から並列処理ができたから、それで学業や仕事に支障を来たすことはなかったんだが…」
ベラ子「チェーザレ叔父様の名前が出た時点で、大体どういう遊びか想像がつきます」
ジーナ「一言で言うと、まず密約を必要とする。それと、あたしもやってはみたけど”裏切り必須に近い”これがどうにもこうにも。参謀系の教育カリキュラムならともかく、戦術飛行隊員の教育に流石にこれはいらんだろうと、あたしは深入りやめたけどな」
マリア「裏切らなくても勝てなくはないけど、時間が更にかかるぜ。これ、5~6時間はかけないと決着つかねぇからよ」
ジーナ「とりあえず今回は喪主まりあちゃんに続いて、軍師まりあちゃんらしい。がんばれ」
マリア「ほんっと人使いの荒い話だぜ…」
ジーナ「ちなみにアルトくんもこき使われる模様。なお、アルトはあたしの愛人状態に戻るが、これアルトには仕事やからな。おかみさま機能をマリ公に確実に移植する職務を与えられる模様」
マリア「あるとがばばぁにとられた」
ジーナ「だから取ってない。つか悔しかったらさっさと起きてきて相手してやれ」
マリア「ううううう」
エマ子「あ、アルトさんには、愛人稼業の他に超重要な役目ありますからね。はい、あの人が聖院に入る前に何をしてたかですとか、あの人のご実家の家業を思い出してみましょう!」
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