闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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狂気の浸透戦略・マリア結婚相談所

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「また何かよろしくない事をお考えのようで」

「おめーはあたしのお小言担当かよ」そう言って、あたしは読んでいたものをクラ子に見せた。

「ゼ◯シィ、と読めますね」

「ああ、連邦地球の日本の書物だ。定期的に刊行されてる。紙の時代のやつが…よっと。これだよ」

「何ですかこの分厚い凶器のような代物」

「安心しろ。ほとんどが何らかの宣伝広告だ。まともに読める記事は100ページもない」

「こんなものが月刊とか週刊とか狂ってますわね」

「それで緑がどうの温暖化がどうの言ってりゃ世話ねぇわな。ま、昔の奴のやらかしはいい。こりゃ婚活雑誌といってな。日本見て来たら分かると思うが平民平民、そこら中平民だろ」

「わたくしからすると異世界にもほどがありましたわね。ま、だからこそ稚児趣味だのほもだのの戯画を好きに書いて売れるんでしょうけど」

「問題は、趣味に生き過ぎて結婚しない傾向があるんだわ。そこでこういうものを刷って結婚意欲を煽るって訳だ。特に女のな」

「効き目はあったので?」

「さあな。だが、あたしの狙いは平民じゃない。とりあえず雅美さんがこの手の話には詳しいから呼んでくれ。ダリアとマリーはあたしが召集する」

「あーなつかしー、そうそう、この負け犬感を煽る内容がねぇ、またムカつくのよねー」その雑誌をめくって騒いでいる雅美さん。ま、向こうじゃ正にそれのターゲット読者だった時期がある人だ。理解は早い。

「それを読まないと負け犬になるのですか?」マリーが尋ねる。うん、多分お前なら縁のない雑誌だ。王女のままなら絶対縁談が来るからこんなもん読む必要はない。

「で、身分制度ありーの貧富格差ありーのなこの時代に、そんな雑誌は普通ならそもそも意味をなさん」

「マリ…陛下、もしかして王族貴族への痴女浸透を考えていません?」

「鋭いな。閃いたのは先日のアルト懐妊だ。痴女の子は痴女。これだ。そして、医療科学が未発達なこの世界ではちんぽ出さなきゃバレないと言っていい」

「なるほど。そうして各国主要部に痴女を潜り込ませると」首肯するダリアとマリー。

「政商豪商や貴族も対象だ。痴女一人送り込めばその国の政治経済を握れる。悪くしてもかき回せる。ダメでも逃げてこれる。現在のこの地球なら痴女を殺す手段を人類は持たない」

「どうだクラ子。そしてマリー。これは鎧をドレスに、剣を薔薇に持ち替えた戦いだ。と言ってもお前たちを行かせたい訳じゃない。行かせる奴の教育指導だ。ダリア、お前はアルプスのロッテンマ…イレーネさんのところに飛べ」

雅美さんが噴き出す。なんで知ってんだよあんなカビの生えた話。

(ネタ作品の一つで語り継がれてるのよね。それにマイレーネさんってムキムキのロッテンマイヤーまんまじゃない。草生えまくりよ。あはは)まぁ、一応名作劇場ものだしな。

「で、中小公国や貴族領がとりあえず目標だが、スイス聖院の有力顧客が目標にしやすいだろう。差し当たって書状を渡すから読んでもらえ。それと欧州視察だ。ま、半分は観光旅行みたいなもんだが浸透任務に必要なひび割れの気配はお前なら空気を吸うように探るだろ。必要があるならアルトを同行させる。黒蛇全てそれで動かしていい。それとだ」

「積極的に接触しなくていいが、大道芸人やサーカスの類がいたら、その大元を探っといてくれ。向こうじゃジプシー…ロマ族って言って流浪生活をしてる連中のシノギなんだが、こっちじゃ違う可能性がある」

「つまり…我々が似た事が可能か…でしょうか?」

「鋭いなダリア。芸人は貴賤を問わずに目を引く。王朝によっては宮廷道化を雇っていた例すらある。日本でも河原者って言ってな…クラ子はあの傾奇者の小説をちゃんと読んでたら分かるだろ。あれ、河原者がそれなりに重要な役目を果たす場面があるからな」

「ええ。我が国でも流浪の芸人は遇しておりました。庶民に何の芸も楽しみもないのは如何かという事で」

「よし。マリー。お前は宮廷舞踊他、教養や礼儀作法で必要な項目をまとめる事。資料が必要な場合にはクラ子と連携しろ。ある程度まとまった時点で、そっちの情報収集が必要な場合はクラ子とベル子で動いていい。必要があればショタ騎士団を動かせ」

「了解いたしました」

「雅美さん、今回はすまんが欧州方面中心の仕事だ。クラ子が動く場合の赤蛇の管理と、場合によっちゃ白蛇も向こうへ派遣して色々調べさせる必要があるかも知れん。ある程度まとまったら異国のなんとかって具合に動いてもらおうと思うが、差し当たっては留守を守ってくれ」

「おーけーです。あとお願いが。ネットが連邦地球に繋がるなら、料理関係の検索をしたいのですが」

「ほう。いいとこつくな。確かに食事の重要性が薄れてるあたしらにゃ、抜けがちな知識だ。いいだろう。雅美さんの部屋のあれでいいかい?」

「差し当たっては中世欧州。あとこないだ行ったあたりな。トルコ・アラブ系。古代文明発祥地ならインドと中国も抑えたいが、あっちは広い。ターゲットは絞るか」

「そうですね。あの辺を抑えておけば充分でしょう」

そしてあたしは号令を発した。各員かかれ、と。

(へぇ。面白い事始めたね)

(まぁ、こういう国の盗り方もできねぇかなってな。なんせあたしらには時間はある…と言いたいが。天変地異までのタイムリミットによるな。例えばクラ子が執着してるっちゃしてる串刺しよ。あれも所詮は人間だ。死ぬか老いるまで待つっていう策も取れるからな、うちら。ただ、モタモタしてたら串刺しもろとも氷漬けってのは勘弁して欲しいね)

(んー。ミランコビッチ・サイクルだっけか。公転軌道の変化や自転軸変動の周期性。ただ、あれを計算し切るのはあたしでも無理無理無理無理かたつむり。M-IKLA-20でもきついって言ってた。それより実際に未来見に行った方がよほど早いってさ)

自転車に乗ったギャルのパンティーが見えねぇって豚が叫ぶとかじゃないぞ。地球なら地球の氷河期と間氷期の移行サイクルのことだ。こいつにある程度の周期性が見えるって学説があるんだが、計算変動要素を網羅しきるのが難しいとされてるんだ。

(一応、だ。こっちの予想だと…余裕時間が300年あればうちらの勝ちというか、人類種の保存に必要な最低限は揃う。ただ、それ未満だと痴女種保存で精一杯だな)

(全ての要素を収納しなくてもいいんじゃ…あ。人類は「想像する」からねぇ)

(あたしらだってするぜ。だが知覚能力が低い分、人類の方が強いんだよ、想像力)ちょっと説明入れるか。たとえば…そうだな…この話で白マリが孕んだとしよう。当然、相手が誰だって話になるよな。それを天の声が言わなきゃ読んだ奴は勝手に想像を始めるだろ。

(何であたしなのよーぶーぶー)

(問題はその欠けた時代の事に「神様」ってのが絡む場合だ。はい宗教誕生)

(…あ…なる。あなるじゃないわよ。なるほどねぇ。人類の想像力じゃ何もないとこから神様の話作って窓に!窓に!ってやってSAN値削れるからねぇ)

(…そう、あんな名状し難いバールみたいなもん握りしめてるの考えつくくらいの知能はあるんだ。あいつら)

(じゃなきゃあんたもショタ本収集したり描かせたりしないわよねぇ。雅美さんに遊ばせてるの、半分は痴女の能力で創作活動したらどうなるか見たいのもあるんじゃない?)

(あれはあの人やクラ子の趣味だ。ま、もう少し高尚な想像力が働けば、ギリシャ神話程度には壮大なもんも出来るんじゃねぇかな。何だよあの貞操観念とか諸々が完全破綻した話はよ。痴女宮組のあれこれ見て書いたんじゃねぇだろうな)

(そーよねー。人類史の神話って侮り難いわよねー。カリバーンからして一種の神話じゃん)

(ま、クリス父様は、あれがカリバーンって名前つけられた理由、一瞬で察したみたいだけどな。こっちじゃテンプレス2世の中にある。今も動いてて、あたしらの能力を補助してるんだよねぇ。つまり、あたしはあれに乗れる動かせる資格認定者ってわけよ)

そう、あれ、乗る奴選ぶんだよ。あれが。カリバーン自身が。

どんだけだよあの戦闘機…といっていいのか。ちなみにアーミングコンテナもちゃんと置かれてた。

M-IKLA-21カリバーン。またの名をユニバース。本体には超光速粒子銃しか装備していない。

動力は多重空間外燃式対消滅発電機。

推進器はICD-Gでスティックスドライブ・レベル4対応。

自分を含む、或いは含まなくても任意の空間丸ごと切り取って宇宙のどこでもいける飛ばせる。

更に過去未来へも。

あたしらが好き勝手にあっち飛びこっち飛びしてるだろ。

実はな…これ、カリバーンの機能、借りてんだよ。

なくても出来なくもないが、こっち使う方が圧倒的に楽だよな。

なぁ白マリ。

(そうそう。イラク…アルトの実家からみじゃ密かに大活躍だったんだよねぇ)

超光速粒子銃は発射初速光速で放たれる荷電粒子「みたいなもん」だ。だが次第に拡散しながら無限速へ加速し、発射時に込められた情報を目標の中へ撒き散らし刻みながら透過していく。

そ、マジェスティック・キャンセラーって装備の根底技術がこれだ。

これがあるからいわゆる魔術呪術の類は「使えなかった」状況にされてしまう。

あらゆる物理兵器も無効。放たれた瞬間に「射ってなかった」事にされる。

カリバーンの存在を「受け入れる」しかなくなるんだ。

ああ。乗り込んだ父様と母様を守るためにできてるんだ。

それでもやろうってバカの為に、MIDI化モジュールと外装兵装を別途オプションで組み付けられる。

これつけたらMIDI06に変わる。対消滅粒子超光速放出機能が付加される。縮退砲にもなる。

な?以前、母様がアルトに冗談半分の脅しフカシをやった根拠がこれだ。

母様は手加減してたけど、実際には地球から全部の生命消すのに十分どころじゃねぇよ。

一瞬で地球吹っ飛ぶよ。

対消滅反応の残滓のガンマ線撒き散らして。

量産型伝説何とかかよお前って代物になってしまうんだ。

…ただ、この状態で起動するには、母様と父様合わせて合計七人の合意が必要となる。

そして意識のシンクロ。つまり、最低1名は金衣が面子に混ざる必要があるんだ。

九人揃って意思統一を示したり、十五人だか揃えないと初期起動しないの、あっただろ。

あれの類似品さ。

ただ、母様は「おい、七人ミサキかよ」って怒ってたけどな。

縁起の悪い人数にすんなよって。

ま、わざと「MIDIとして使うにはめんどくせぇ」仕様なんだよ、理由わかるだろ。

一人でこんなん動かせてみろ。神にも悪魔にも宇宙よりでかいなんとかエンペラーにも余裕でなれるじゃねぇか。

ああ、ワーズワース大公、お祖父様が、あたしのとこにこれ置いてくれてる理由、わかるよな。

最悪の場合、本当にどうしようもない場合はこれを使え。

使って何とかしてから逃げて来いって無言のメッセージだ。

とりあえずお前が痴女の帝国をちゃんと回せるまではNBにも地球にも来んなって言ったくせに、意地の悪いジジイだぜ。まったく。

「マリア。本当は君の意思もわかるんだ。生命力を高めるための作業として、黒魔術や異端宗教の要素も取り入れてみよう。性欲で生存本能をかき立てて統一思考を持たせようという意向も悪くないとは思うんだよ。だが、NBにも議会はある。国民全員に政治に参加する手立ても用意している。私が認めても、君の国を認めない保守的な思考の持ち主や、敬虔に神を信じる人物も国民にはいるんだ。今の時点では…NBの大多数を納得させるのは難しいんだよ。すまない」ああ、ジジイはこう言ってあたしに謝ってくれたな。

「はいはいお祖父様。悪いマリアでもその辺の事情は理解しております。ところで、いつもとは違うお酒を嗜まれているご様子ですが」

「うむ。今回のマリアの件で、マリアにこちらの情勢を押し付けてしまうからにはだ。私はやはり英国本国に準拠した思想理念や、生活習慣を前提として日々を送る必要を感じてはいるんだ」

だったらそこに映ってる離れよ。それなんだよ。

日本式家屋じゃねぇか。

母様も散々招かれて愚痴酒に付き合わされたってぼやいてた場所だよ。

それぶっ壊して本邸で寝起きしろや。

ほんっとによお。

口で言ってることとやってること全然違うじゃねぇかクソジジイ。

後ろのアグネスさん笑い堪えるの必死になってるじゃねぇか。

「ま、たまには本国で昔から喧嘩相手に認定している国の酒を嗜むのも悪くはないのでは、と思い立ってね。こんな酒もなかなかのものだね」

おい、そのシャンパンクーラーは何だよ。

引っ張り出したボトルのラベルに書かれたKRUGって文字は一体何だよ。

更にあんた、ゴルディーニさんと密かに飯や酒について会う度に嫌味の投げ合いしてるだろ。

知ってるぞ。

更に英国自体、フランス料理を宮廷料理にしたり、王宮でフランス語使ってただろ。

あんだけクッソ仲悪いくせに何やってんのお前ら。

つまり、建前としては痴女皇国の公式的支援は現時点で国家としてはできまへん。

しかしながら今後の進展如何ではどうなるかわからんからパイプは残しとくよ。

あと、マリアならカリバーンがなくても他の時空のマリアと繋がることができるだろう。

マリア達で力を合わせることもできるはずだ。

一度頑張ってみなさい、ともな。

(ま、流石にこんだけしてくれてりゃ、このライム野郎ライミーって嫌味は言えんわな)

(なんだかんだで肉親認定してくれてんだよなぁ。マリアンヌの誕生会ん時も、物陰で色々あれこれ聞かれたし。だが、流石にこっちでやってる内容、録画しとけってのは…まぁ、なるべく大人しめの渡しといた。あとあたし映ってないやつな。何だよあのエロジジイはよ。ったく)

(ま、言わない言わない。ファインテックか何か、特殊装備の会社の役員の椅子も残ってんでしょ?)

(ああ、うちの痴女服の開発製造はあそこだ。付け加えると、あのデザインを流用した下着や水着は連邦でも大好評でな。あたしの隠れた小遣い稼ぎとしちゃ、がっぽがっぽでうっはうはよ)

(だったらこないだのスイートとかの経費立て替えてよ!こっちはそんなエロ稼業で裏金作るの難しいんだからね!)

(へいへい。とりあえず白マリのNBの口座でいいのか?)

(そーね、そっから先、連邦に引っ張ってくるのはこっちで何とかするわ。あーめんどくっさぁ)

(全く、前にもちらっと思ったけど、地球占領して連邦解体する方がよほど宇宙のためにならんかって思うぜ)

(そうしたらそうしたでいらん火種出来るっしょ?ま、さすがに連邦側でも、例の転移転送技術とバーターで、限定的だけど人員と通貨交流を図る話は、こっちの時点でもすでに出てるけどね。そっちはどうなのよ)

(英国限定。しかも金の出どころとか口座名とか金額の審査がややこしい。まだそっち経由の方がマネロンには楽だよ)

(こんだけ実質的にガンガン行き来してんのにねぇ)

(アークロイヤル級限定だがな。それも気に入らんみたいだが、英国と日本に実艦で技術供与してんじゃねぇか。朴里しろよと)

(ブラックボックスカチ割る度胸があると思う?特に日本)

(まーな。なんせ第二次世界大戦中…太平洋戦争中でも拿捕客船の使用料貯めておいたり、何とかちゃんにちんぽ生やす奴の電気の会社への特許料支払いの為にマカオに金回してたくらい律儀な国だからなぁ)

(あれのおかげであたしら行った時も楽できたしね。米国政界へのロビー活動もスムーズだったし)

(ま、向こうの菅野さんは「俺は何をして飯を食えば」って泣いてたがな)

(がんばれ♪がんばれ♪以外に言うことはないわね)

(…そうだ。さっき言ってた婚活の話だが、白マリのとこから何人かこっち来させられねぇ?下級で還俗後の嫁ぎ先がねぇとかよ、上級でもやっぱ結婚したいよねーとか)

(そーねぇ…ぱっと思いつくので一人いるのよ)

(お、いーじゃんいーじゃん。来させろよ)

(すとーっぷ。名前聞いたら考え込むよ)

(誰よ)

少し間を置いて、静かに白マリが思考を送ってきた。

ああ、考え込むよな。

(初代クライファーネ)

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クラ子「どうしましょ」

黒マリ「どうしましょ」

クラ子「なんか更に、あたしに生写しらしいじゃないですか!どうするんですか!」

アルト「あとですね。あれですね、本当にほえほえ~~~ですからね。クラ子と真逆かな…」

黒マリ「あれ嫁にする酔狂なやついんのかよ」

アルト「言っておきますが、家事全般アウトです。登院後に帯剣忘れはありませんが、ぱんつ履き忘れくらいはへいきでやります」

黒マリ「まぁ、聖院時代でもぱんつあんま意味ねーしな。履いててもやれる穴開き仕様デフォルトだし」

クラ子「当時は淫蟲仕様とかございませんでしたからね」

黒マリ「あ、淫蟲に改良加えたぞ」

クラ子「どういう感じに?」

黒マリ「あたしの意思でちんこ型に変形する。で、動く」

クラ子「…何ですのそのわいやれすりもこんばいぶ」

アルト「マリア様が悪用する未来しか見えません」

クラ子「禿げしく同意」

黒マリ「あたしに信用ないのわかってるけどよ、もうちょっと手加減して言えよお前ら!」
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