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狂気の白金公女・白蛇騎士団誕生!

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「なるほど。ダリアと対を為す騎士の戦闘集団か。確かに暗殺軍団だけでは優秀な者の椅子は用意できない。これはこちらでも把握していた問題ね」

二代目クライファーネの要望として、持ち込まれた企画書に目を通しているのは女皇公室である。

で、それを書き上げた当人にあたしは尋ねる。

「まぁ、賢明なクラ子は既にあたしが何を聞きたいか察しているやろ。回答やいかに」

「おっおっおっおっ、女皇陛下の懸念たるや確かにわたくしも思いを抱いておりましたおおっおひっ」

で。

企画者はそれなりのもんを上奏してきた。

さっと目を通しただけでも素晴らしい内容に思えた。

思えたので、あたしの部屋に武装解除せずに入るのはまだ早いという事を身体で分からせるくらいで許してやると宣言。

むしろこれは褒美に思え。

というわけであたし自ら、クラ子に与えた剣の柄でクラ子のおめこを嬲っているわけで。

そう、問題はこいつに兵力を与えるにやぶさかではないのだ。

こいつは王女時代、実力発揮の場を与えられていなかった。臣下の将がやる気をなくすからという父王の判断で。

そして、内情を探った結果、王妃とこいつを誘拐。

で、父王はおばん…ま、それなりの年を召した婦人が誘拐された事を最大限に利用して体制立て直し中。むしろ小うるさい娘と低年式中古が消えて結構。敢えて妾を王妃にせず、王女弟の第二王子を煽って誘拐を公言している我が痴女皇国討伐軍編成中。

美しい姉を攫われて怒り心頭な弟王子はやる気満々だが、配下の戦力は諸侯領から出させたもので、純粋な国軍ではないのも調べがついている。

とどめ。まだ成人ではない第二王子を支えて欲しいと諸侯に軍を率いさせている。

ま、こんだけ言えば、近親相姦バレテーラの王子切り捨てと辺境領整理が裏にあるくらい読めるわけで。

ま、忠誠なんていくら誓おうと口約束よ。

あたしは口約束のレベルを超えた例外を知ってるが、重ねていうがありゃ例外にも程がある例外だから。

菅野さんの現役時代の日本人の忠誠度、こちらはおろか向こうでも例外だわな。

アサシンだって体液依存がなきゃどうなるかわからん。

あれはむしろあのレベルまで引き上げたダリアの功績だ。

アルトとの経緯もあるし、我が養女とするに依存はない。

そして重要ポイント。アルトもダリアも「売られた」んだ。

親に。

ただ捨てられたんじゃねぇ。売られたんだ。

この悲しみよ。

親への憎悪いかばかりか。

だから、あたしはアルトとダリアを愛しなくてはならない。家族とするに問題なし。

で、王女改めクライファーネ。こいつがいう騎士団設立に異存はねぇ。

むしろやらせたい。

やれ。

けしかけたい。

だがまだ信用ならねぇ。

忠誠を誓う手立てを考えろ。我が二番目の娘とするに相応しい何かを差し出してみろ。これがあたしの主張だ。なんでもいい。何を言おうが、とりあえずまぁよしと認めてやるから。

そう、この部屋に帯剣して入っても何も咎められない立場を得る為に。痴女皇たるあたしの首を刎ね、首級を挙げるために。

「いや、あたしな。首を刎ねられたくらいじゃ死なんが。いいのかよ」あたしに差し出された本を読み、とりあえずクラ子が出した結論が「首置いてけ」なんだよなぁ。

うん、まぁ、わかる。

とりあえず言ってみました感あるけど、わかる。

渡した本を読んで来たのは、単語の意味とかあれこれを都度聞いて来た事でもわかる。

日本の武士階級の摩訶不思議さには呆れていたが、生き方として理解できなくはないとは言っていた。

で、主君の命を狙う従者って生き方もあるぜ、自分の生に意義を持て。

意味を持て。

なんだっていい。

存在意義を自分で打ちたてろとけしかけていた結果が「いつかお義母様の首下さい」とはっきり言う事なんだから、肝が据わってんだかアホなんだか。

お前はまだ養女仮免だ。晴れて養女となった暁には犯してやるから。あたしのちんぽをぶち込むに値する価値を示せ。だから剣を突っ込んでる。

で、剣で凌辱しながら祖国の状況を教える。

その時のクラ子の目は絶望しかなかった。

仮に目の前の女皇の首を持ち帰って祖国に凱旋して、英雄女傑と讃えられるのか。

んなもん、ノーだ。

建前は王女の不屈の精神と武勇を褒めるだろう。讃えるだろう。

だが内心は「いらんことしやがって」になる。むしろ女皇を殺られた痴女皇国が復讐に燃えて攻め入る事すら考えられる。それよりは討伐軍を返り討ちにしてもらい、痴女皇国決して許すまじ末代まで敵を取れと語り継ぐべし。

そう、日本でもあったよな。毎年正月に「用意整いましてございます」「まだ早い」の掛け合い。あれよあれよ。

あの、ある意味茶番で国民の結束を高めて内政不満の声から目を逸らさせるあれだよ。

下手に相互の国力を削ぐ総力戦なんぞやってみろ。漁夫の利を狙う第三国来るぞ絶対来るぞ。これも日本、昔やられたよな。我が母、ジーナが嫌がる卑怯な不意打ちや裏切り。

あの母親が根本的に誠意と契約履行を死ぬほど重視する理由。ジーナ母様いわくの「身体の祖国」が、国際政治経済の場でやらかした事を恥じてるからだ。

だが、世の中そんなもんよ、かーさんと、あたしはあるボードゲームを引き合いに出した。

そ、サイコロ一つ使わないあれ。密約裏切り謀略なんでもあり。囲むやつの頭がいいほど面白い、あの何とかロマシーってやつだ。友人関係を破壊しかねないあれだ。

よくあんなもん子供向けに出すよなと思うが、あれが普通に売られてる風土に近いんだよ、こっちも。今までは聖院が力で抑えてきた。アレーゼおばさま一人、マイレーネ一人で国を滅ぼしかねない。しかもルドゥタブルと違い環境破壊なしだ。クリーンだよねぇ。

そしてジーナ母様には、他ならぬNB。あれこそ二枚舌帝国そのものじゃねぇかと言ったよ。

あのワーズワース卿が単なる善人なタマかよ。名君だが決して善人じゃないよ。それ忘れちゃダメよとあたしは生まれて状況把握してから事あるごとに父様と母様に伝えてる。

あれもばけもんだと。

そりゃ戦闘力なら、今そこで控えてる裕美ですら瞬殺だろうよ。ただの人間が上級騎士クラスの痴女に勝てるかよ。

下手したら強化装甲着ても五分五分以上なようにあたしがいじってんだから。

でも、統治ってのはいくさだけじゃないよな。

税収管理。治水。開墾。街道整備。港湾。

どうだい、お前だけでできるかい?うん、賢いクラ子だ。首を横に振る。

ま、あたしはできるけどな。金衣ならな。

で、悩むクラ子。正直、

これだけ見てたら可憐な美姫だぜ。あたしでも今すぐ蹂躙したい。

だがそれはこいつにはご褒美だ。復讐の炎燃え盛る炎台に投げ込む薪にしやがる光景が見え見えだ。

ただし、あたしじゃない誰か。

誰かが薪を放り込めば別だ。

母様の本職の言葉だと、ロックオンが逸れるってやつさ。

で、あたしはクラ子に尋ねた。

地下墓所に保管しているお前の養女入りの儀式の動画や画像。

あれ、お前の祖国に撒いて構わないかと。実際に凌辱されてるお前の本音はともかく、だ。

あたしはお前の祖国を試したくなった。

お前が汚し抜かれた挙句、痴女宮の正門前に晒され嬲られたあれだ。

正門前で、そこの裕美に嬲らせたあれだ。

誰がどう見ても貴種じゃない格好の裕美が散々やる事やって、あたしが「悔しければ裕美の頭をぐりぐり足で踏めるくらいの成果を出せ。それくらいやらんと多分、真にお前は認められん」と抱きしめながら囁く少し前までのあれだ。

あたしはあれを見せたい。

その結果、寄せ集めではない国軍を動かしたらこの首やるよ、持っていけと。

堂々祖国に凱旋もよし。アルトに娶られるもよし。

家族会議の席上で提案した。最初から全力で殴りに来るなら、それやってでもクラ子取り返そうとした訳じゃん。

手土産は持たせてやろうず。そんくらいのプロレスには付き合ってやらぁ。

で、クラ子に質問。

国軍動かす気がなきゃどうすると。

仮にこちらの力量調べで最初は大物見として、威力偵察の結果の対応するかはこっちから丸見えだぜと。

天の上を未だに巡る目で一目瞭然だからな。

「かしこまりました。我が祖国、義母様に献上致しましょう。斯くなる上は我が所領にしてやろうかと存じます。しかしながら統治は無論、制圧も現状のわたくしには不可能。ですが、義母様の御力を頂ければ、如何なる結果を献納するも義母様の胸先三寸かと」

まぁ、あたしの琴線鳴らしやがって。

本当は草木一本残さず更地にしてくれようか。

しかし更地を渡してなんとする。

どの程度暴れたら良いか指示願いたいって事だなぁ。うん。いい回答だ。

更にこうも言い切る。

「現状ですらこの様では如何なる対応をするか読めたも同然。逆に、例えば国軍を出したとしても叩けばよし。どの道征服を企むなら国軍撃破は必定。我が凌辱を伝えるを待たず、侵攻準備を進言したく」

口上が気に入ったのであたしはアルトを呼び、クラ子に金衣の力をと、あたしと裕美が見守る前でやらせた。

アルトは恥ずかしがっていたが、今こいつにあたしが手を触れられん。それは女帝の矜持だ。すまんと土下座した。

だがアルトだ。あたしのアルトだ。クラ子に目線一つで股開かせた。クラ子もOK。真っ青なのは裕美。だから手加減せーゆーとるやろ。恨み買うなよと。わかれや。

ましてこいつは復讐に狂う白蛇やで。

そいつに金衣の力を与えてみろや。何起きるかわかるだろうが。姉に意趣返ししたい奴が他人の復讐心くらい気づけ。そして王侯貴族ってな、やくざと同じで面子で飯食ってるようなもんだろうがよ。

で、裕美が控えておとなしくしてる理由。きっちりのしつけて返されたから。うん。全く同じ場所で。

しかも散々犯して嬲った後によ。

「かかる女官長の私怨許すまじ。我に肉便器の掲示を掲げたならば目には目をなり。然るに掲示を出すまでもなく此れの用途を示す法のあるや。先ずは先日の便器たる我が尻より垂れしものにて使用の法を示すなり。我が恥辱の花摘みに興じたものは倣うもよし千回擦るもよし。更に真っ先にこれを汚す度胸ある者は用便後の我が尻を舐める栄誉を与えん」と、大音声で注目を集めて言い切りやがったすぐ後に実行したよ。

で、正門前でやらかすからには汚すから予め許可を取れば企み漏れかねず。事後に報告の不手際を詫びたいと、即あたしの前に来て剣を差し出すわけよ。つまりやらかしが気に入らん場合首を刎ねてくれと。

で、録画役の豚が撮った映像の一部始終を見てから決めると伝え、二人で見た。

なるほど、女官長の裕美を汚す度胸があるやつはなかなかいないと見たか。つまり、こいつは復讐とスカウトを同時にやってのけたんだ。

そして…舐めたのは黒豚マリー。後にクラ子が聞くと、やはり女官長の横暴に一言ありや。そこへ過日の暴虐を報復するが、何分場所が場所だ。万一の騒ぎの際に備えて予め警備を伏せたいと相談されて即OK。

で、首尾よく一番槍ならぬ一番尻の栄誉に預かり、ついでに勝利の興奮醒めぬクラ子にその場で蹂躙され、このマリーに続く者や我を訪ねよ。但し全ての期待に応えるには難しい。後日選抜の場を設けるのでしばし待てと伝えて、マリーを連れて去ったとか。

「合格だ、クライファーネ。但し条件がある。お前に付ける人数、ダリア配下と同条件に留める。つまりお前とマリーと…あと十一名か。釣り合いを取りたいから十三名にしてくれ。それとお前にも夢、というか構想があるだろ。だから無理は言わないが軍団の名前を提案させてくれ。白蛇騎士団ってのはどうよ」

「まこと我が心境を読まれし名前、謹んでその命名を頂きたく存じます。更にダリア様の配下にも黒蛇の名を与えれば我が国の武の象徴と定めやすくなるかと」

「いいね。ますます気に入った。制服は考えてやる。楽しみに待っとけ」ああ、アサシンプロトタイプ以来じゃないかな、こんなにワクワクしてデザインしたの。

そして楽しい閲兵式だよ。

ああ、素材がいいと映えるねぇ。

白い死神が十三人。

更にクラ子提案ダリア快諾の、フルフェイスプレートというか覆面だ。

ダリア組は黒に赤目。クラ子組は白に赤。白蛇を思わせる面と言わずプロテクタープレートと言わず、光の加減で蛇の鱗のように虹色に光る効果付きだ。

更にクラ子め、集団戦を想定した装備すらおねだりしやがって。

エナジードレインあるからいいじゃんと言ったんだが、まぁ見てくれと。ヴァンプレート付きのランスとかシールド大小を装備したスケッチを見せて、これと軽装の黒蛇が並べば、多彩な戦闘に対応した組織軍事力を誇示できると。
黒蛇の見劣りは、黒ランス与えてカバー。こっちは儀仗用としておけばよいと。

クラ子の気配りはダリアにも伝わっていた。隠し事ができない故に自然に伝わる話だ。

結果。26名が白黒に分かれて並ぶ前にアルトが凛々しく立つ。そこに向かってあたしが進んでアルトに指揮棒を渡して騎士団設立を痴女宮前で宣言。

黒にも単なる暗殺団ではなく正規兵の扱いを与えて花を持たせる。ここまで気ぃ使われてりゃ黒側も悪い気はしねぇ。むしろ意気軒高だ。

だが、あたしは一抹の寂しさも感じてるんだ。

アレーゼおばさまが、こいつらの前に立ってくれたらな、と。
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