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第三章
第21話「夢の中で」①(♥)
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その夜、カンリンの屋敷では、広過ぎるベッドの上で少年がうずくまるようにして静かに泣いていた。
戻って来ないデュボイズに、いよいよ避けられてしまっただろうか。認めたく無い現実と、それでも会いたい気持ちがせめぎ合い、心が張り裂けそうになって身体中が悲鳴を上げた。
タキオンを苦しめているのは他にも理由があった。
大図書館が閉館し馬屋でデュボイズを待っていた時、カンリンが愁だ表情で会いに来てくれた事だった。
「カンリン様……あの、先生には会えたんでしょうか……」
気のせいだろうか。カンリンの瞼が心なしか赤く充血しているように見える。
カンリンの目線を逸らす仕草を見て、タキオンは結果が決して良く無かったのだと確信した。
「はい……会って話をしました。しかし……」
「あ! あのっ。カンリン様が気になさらないで下さい! ボクが先生に期待し過ぎたのがいけないんですからっ!」
「タキオン殿、違うのです。デュボイズは確かに貴方を愛していますよ。しかし、彼は世の中のルールを知り過ぎてしまった」
「へ? 世の中のルール、ですか?」
まだ世間に揉まれていない少年では、理解出来ずとも仕方がない。カンリンは疑問に思うタキオンを責める事なく、しかし旧友の想いも汲んで優しく語りかけた。
「デュボイズは悪くありません。憎むなら、世情を憎んでください。貴方が色んな経験をして独り立ちして、それでも尚、苦難に立ち向かう覚悟がおありなら、デュボイズと愛し合う事ができるでしょう……いずれ貴方も、その理由の分かる時が来るはずです……」
苦々しい表情のまま立ち去っていったカンリンの姿が、今も瞼の奥に焼き付いている。そしてそれ以降、タキオンは彼の言葉の節々を何度も反芻し、何を言いたかったのか理解しようとしていた。
「先生もボクを愛してる……それなのにどうして一緒になるのを拒むの? 好きな気持ちだけじゃ一緒になれないの? 世の中のルールって何さ……分からない……分からないよぉ……」
数日前の温もりが嘘のように冷たい。それでもデュボイズを想う気持ちに抗えず、綺麗に畳まれた青年のシャツを抱き締め、襟元に顔を埋めた。
(先生の匂いがする……この汗と薬品が少しだけ混じったような匂い。懐かしい。また抱き締められて抱き締めたい。逢いたいよ、せんせぇぇ……)
少年の心とは別物の如く、刻み込まれた身体の反応は実に正直だ。
懐かしく愛しい匂いを潜っただけで下腹が反応し、可憐な雄根が目を覚ます。そして今まで重ねた肌同士の質感を思い出し、与えられた止め処ない愛撫が名残惜しくなる。
「あ、んん……せ、んせぇぇ……ぁッ……」
タキオンの右手は自然に下穿きの中へと潜っていった。自身の竿は完全に反り立ち、布地から勢い良く飛び出した陰茎の先端から、透明の蜜が溢れ出ている。しかしタキオンの欲しい刺激はそれでは無い。
彼は自分の細い指に唾液を絡ませ、下穿きの奥、ヒクヒクと愛撫を待ち焦がれる小さな蕾に押し入れた。
戻って来ないデュボイズに、いよいよ避けられてしまっただろうか。認めたく無い現実と、それでも会いたい気持ちがせめぎ合い、心が張り裂けそうになって身体中が悲鳴を上げた。
タキオンを苦しめているのは他にも理由があった。
大図書館が閉館し馬屋でデュボイズを待っていた時、カンリンが愁だ表情で会いに来てくれた事だった。
「カンリン様……あの、先生には会えたんでしょうか……」
気のせいだろうか。カンリンの瞼が心なしか赤く充血しているように見える。
カンリンの目線を逸らす仕草を見て、タキオンは結果が決して良く無かったのだと確信した。
「はい……会って話をしました。しかし……」
「あ! あのっ。カンリン様が気になさらないで下さい! ボクが先生に期待し過ぎたのがいけないんですからっ!」
「タキオン殿、違うのです。デュボイズは確かに貴方を愛していますよ。しかし、彼は世の中のルールを知り過ぎてしまった」
「へ? 世の中のルール、ですか?」
まだ世間に揉まれていない少年では、理解出来ずとも仕方がない。カンリンは疑問に思うタキオンを責める事なく、しかし旧友の想いも汲んで優しく語りかけた。
「デュボイズは悪くありません。憎むなら、世情を憎んでください。貴方が色んな経験をして独り立ちして、それでも尚、苦難に立ち向かう覚悟がおありなら、デュボイズと愛し合う事ができるでしょう……いずれ貴方も、その理由の分かる時が来るはずです……」
苦々しい表情のまま立ち去っていったカンリンの姿が、今も瞼の奥に焼き付いている。そしてそれ以降、タキオンは彼の言葉の節々を何度も反芻し、何を言いたかったのか理解しようとしていた。
「先生もボクを愛してる……それなのにどうして一緒になるのを拒むの? 好きな気持ちだけじゃ一緒になれないの? 世の中のルールって何さ……分からない……分からないよぉ……」
数日前の温もりが嘘のように冷たい。それでもデュボイズを想う気持ちに抗えず、綺麗に畳まれた青年のシャツを抱き締め、襟元に顔を埋めた。
(先生の匂いがする……この汗と薬品が少しだけ混じったような匂い。懐かしい。また抱き締められて抱き締めたい。逢いたいよ、せんせぇぇ……)
少年の心とは別物の如く、刻み込まれた身体の反応は実に正直だ。
懐かしく愛しい匂いを潜っただけで下腹が反応し、可憐な雄根が目を覚ます。そして今まで重ねた肌同士の質感を思い出し、与えられた止め処ない愛撫が名残惜しくなる。
「あ、んん……せ、んせぇぇ……ぁッ……」
タキオンの右手は自然に下穿きの中へと潜っていった。自身の竿は完全に反り立ち、布地から勢い良く飛び出した陰茎の先端から、透明の蜜が溢れ出ている。しかしタキオンの欲しい刺激はそれでは無い。
彼は自分の細い指に唾液を絡ませ、下穿きの奥、ヒクヒクと愛撫を待ち焦がれる小さな蕾に押し入れた。
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