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第一章
第4話③
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――ノスフェラトゥとは魔物達の君主であり力の根源であった。
その昔、ファンジェレル大陸は主に神の末裔、天上人と地上人と魔物の3種族の均衡により世界が成り立っていた。
しかしノスフェラトゥが現れてから、魔物は地上人の生気や血肉を捕食する為に度々襲い、猛威を奮うようになった。
ちなみに地上人とは人間の事を指すが、他にもエルフやドワーフも含まれる。しかし、この時代の魔物の暴徒化によりエルフやドワーフは絶滅した。
そして魔物達を集結させ、世界の頂点に君臨しようとしたのがノスフェラトゥであった。
天上人は地上で起こっている事を懸念し、残った人間達に六本の聖剣を渡してノスフェラトゥを討伐させた。
神の力で作られた聖剣の威力は絶大で、魔物達の魔力を吸い取っては一太刀で倒し、ノスフェラトゥも心臓を突き刺されてその身を封印されたのだった――――
「……そんな事はボクも知ってます。子供でも知ってますよ。必ずこの大陸のおとぎ話として聞かされますからね」
タキオンは少し退屈そうに口を尖らせる。しかしデュボイズは真剣な顔でなだめた。
「まぁ、聞きなさい。本題はここからだ」
それが十年前、何者かによってノスフェラトゥの封印が解かれ復活したのである。
いや、実際に復活する所を見た者は誰も居ない。
実際人々が目にしたのは、魔物の巣と言われるファンジェレル岩山郡で大きな雷が落ち、黒い渦が沸き起こり、三日三晩大陸全土に大嵐が続いた。その直後から魔物の数が増えて凶暴化し、人間を襲うようになったのだ。
実際見た者が居なくても、起こった事を推察するにノスフェラトゥが蘇ったと思うのは自然な事だった。
更に今では岩山郡だけではなく、天上人の聖地とされるパングァナ大砂漠にも魔物が頻繁に出没するようになった。
その為、砂漠を挟んだ二つの大国、エンディリア公国とグァルナード帝国は共同で討伐隊を組み、日々魔物からの脅威と戦っている。
「……それがボクの身体に入った夢魔も関係しているんですか?」
タキオンは不安な顔でデュボイズに問うた。
「魔力が強まっている事は、必ず何かしらの因果があるだろう。だが、憶測ばかりでは埒が明かないな。ノスフェラトゥが居た時代に似たような事があったかもしれん。だが全く違う理由で夢魔が巣食った可能性もあるし……うーむ、色々調べなくてはな……」
デュボイズはブツブツ言いながらぎっしり詰まった本棚を漁り、頭を掻きむしりながら文献を調べ始めた。
タキオンはただデュボイズを見つめる事しか出来なかった。そして何も出来ない自分が情けないと、無意識に奥歯を噛み締めるのだった。
その昔、ファンジェレル大陸は主に神の末裔、天上人と地上人と魔物の3種族の均衡により世界が成り立っていた。
しかしノスフェラトゥが現れてから、魔物は地上人の生気や血肉を捕食する為に度々襲い、猛威を奮うようになった。
ちなみに地上人とは人間の事を指すが、他にもエルフやドワーフも含まれる。しかし、この時代の魔物の暴徒化によりエルフやドワーフは絶滅した。
そして魔物達を集結させ、世界の頂点に君臨しようとしたのがノスフェラトゥであった。
天上人は地上で起こっている事を懸念し、残った人間達に六本の聖剣を渡してノスフェラトゥを討伐させた。
神の力で作られた聖剣の威力は絶大で、魔物達の魔力を吸い取っては一太刀で倒し、ノスフェラトゥも心臓を突き刺されてその身を封印されたのだった――――
「……そんな事はボクも知ってます。子供でも知ってますよ。必ずこの大陸のおとぎ話として聞かされますからね」
タキオンは少し退屈そうに口を尖らせる。しかしデュボイズは真剣な顔でなだめた。
「まぁ、聞きなさい。本題はここからだ」
それが十年前、何者かによってノスフェラトゥの封印が解かれ復活したのである。
いや、実際に復活する所を見た者は誰も居ない。
実際人々が目にしたのは、魔物の巣と言われるファンジェレル岩山郡で大きな雷が落ち、黒い渦が沸き起こり、三日三晩大陸全土に大嵐が続いた。その直後から魔物の数が増えて凶暴化し、人間を襲うようになったのだ。
実際見た者が居なくても、起こった事を推察するにノスフェラトゥが蘇ったと思うのは自然な事だった。
更に今では岩山郡だけではなく、天上人の聖地とされるパングァナ大砂漠にも魔物が頻繁に出没するようになった。
その為、砂漠を挟んだ二つの大国、エンディリア公国とグァルナード帝国は共同で討伐隊を組み、日々魔物からの脅威と戦っている。
「……それがボクの身体に入った夢魔も関係しているんですか?」
タキオンは不安な顔でデュボイズに問うた。
「魔力が強まっている事は、必ず何かしらの因果があるだろう。だが、憶測ばかりでは埒が明かないな。ノスフェラトゥが居た時代に似たような事があったかもしれん。だが全く違う理由で夢魔が巣食った可能性もあるし……うーむ、色々調べなくてはな……」
デュボイズはブツブツ言いながらぎっしり詰まった本棚を漁り、頭を掻きむしりながら文献を調べ始めた。
タキオンはただデュボイズを見つめる事しか出来なかった。そして何も出来ない自分が情けないと、無意識に奥歯を噛み締めるのだった。
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