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ほ座

あと何日 (毎月300字小説企画より)

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 あと三日で戴冠式だ。
 大事な式典を控える少年ムーリフは、赤髪の青年の褥に入り込み、昔寝かし付けてくれたあの頃の様に懐にうずくまって甘えた。
 
 だが今の青年は虚ろで、体内から発する光粒が幾つも浮かんでは一つ、また一つ空へと飛んでいく。
 
「ねぇスハイル。僕の話聞いてた?」
「あぁ……すみません、聞いていませんでした」
 
 するとムーリフはむっちりした頬を膨らませ、青年の消え入りそうな掌を手に取った。
 
「いい? いーち、にー、さーん、あと三日で僕は王様だよ? 絶対晴れ姿を見てね!」
 
 酷く細い指を折り曲げて、少年が一緒に数を数えあげる。その温かい感触に青年は笑みが溢れた。
 
「えぇ、必ず……」
 
 二人を見守る者達は皆俯き、涙を溢していた。
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