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ほ座
誓い合う星々③♥
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「――――スハイル様、王宮に到着致しました!」
「――はっ!」
馭者台に乗っていた兵士に呼ばれ、スハイルは甘い記憶から目を覚ました。
あれからというもの、二人で度々城を抜け出しては湖の畔に向かい、数え切れないほど愛を分かち合った。
快楽の沼に堕ちていくのが気持ち良くて、肌を合わさる毎に淫らな姿を曝け出していった。
それがとても嬉しかった。本当の自分を見せ合う事がこんなにも幸せなのだと、恋人の存在を毎日噛み締めていたのだ。
レゴールから与えられる糧のおかげで、スハイルと守護星の命を少なからず永らえる事が出来た。守護星の老いて膨張する速度が無くなり、スハイル自身血色も良くなり以前より力が漲る様になった。
全ては愛する人のおかげだ。そしてレゴールをも末永く輝かせる事ができる。そう思っていたのに――。
そして一年前、王は倒れた。
レゴールの守護星は極超巨星という稀に見る巨大な恒星であったのが理由だった。守護星の成長過程で恒星風が吹き荒れ、その巨大な力を伴う暴風によって星の外層が吹き飛ばされてしまった。こうなった恒星は核のみの存在となり、もはや終末期とされ、精の効力も効かずに超新星爆発というもうすぐ訪れる死を待つだけとなる。
そして命を共にする星ビトの体内も多大な傷を負う事となる。当人は激しい痛みに耐え、守護星の死と共に最期の瞬間を待たねばならないのだった。
「スハイル様、王宮にご到着であらせられます!」
スハイルは速い足取りでレゴールの居る褥の間へ急いだ。
エントランスを抜けて大広間を通り、螺旋の階段を駆け上がって最上階にある王の居間へ向かう。その部屋の前では侍従達が何十人と扉の前に佇み、皆が俯いて涙を流していた。
「王は……王はまだご健在でしょうか!」
「スハイル様! お待ちしておりました! 王はスハイル様を待ち侘びてございます。ささ、急いで王のお側に……」
一人の侍従に促されてスハイルは褥の間へと急いだ。奥の部屋へ案内されると、天蓋の付いた豪奢な褥に医者や騎士団長達が囲み、その中心に苦しそうに横たわる青年の顔が見えた。
「あぁ……我が王……!!」
スハイルは思わず涙が溢れて駆け寄り、レゴールの左手を握った。その手の平は酷くやつれて、あの逞しく力強かった感触はもう無い。
「ス、ハイル……やっと来たか……」
「はい……!! スハイルはここに居ります。もうずっと離れませんから……!」
「お前、に……最期の……頼み、があ、る……」
「頼み……?」
するとレゴールは医者達の顔を見て扉の方へ視線を向けた。スハイル以外の皆は既に何か申し合わせをしていた様に、静かに頷いて一人、また一人と褥の間を後にする。
そして状況を飲み込めないスハイルに、最後に残った医者がその理由を教えてくれた。
「王はスハイル様がご到着されたら二人きりにして欲しいとの仰せでした。故に我々は一旦この場を離れます。後の事はよろしくお願い致します、スハイル殿」
「二人きりに……どうして……」
部屋に居た者が全員その場を立ち去り、とうとう二人きりになった。異様な静寂の中、金切り音よりも高い耳鳴りがスハイルの鼓膜を響かせる。するとレゴールがスハイルの顔を愛おしそうに眺め、訴える様に声を振り絞った。
「スハイル……どう、か……俺の、精を……もらってく、れ……」
それはどういう事か、何をするか分かっているのか。命の灯火が消え入りそうな時に、激しく身体を動かすというのか。
「何を仰いますか我が王! この様な状態で尚もご自分の首を絞めようとするのですか!?」
「ちがう……レゴールと……呼んでくれ……」
スハイルを見つめるレゴールは一年前の様な好青年とは程遠く、酷く痩せて以前の様な面影は殆ど消え失せていた。それでも屈託のない青い瞳は健在で、今でもスハイルへの想いは変わらないのだと微笑む笑顔が表している。
その眼差しに、スハイルの瞳から涙が一気に溢れ落ちた。今でも想いは変わらない。むしろどんどん愛しい気持ちが大きくなって、愛する人の為ならこの身を捧げていいと何度も天に祈った。しかし無情にも若い青年の命は刮ぎ取られ、只々その姿を見守る事しか出来ない。
「レゴール……レゴール!! どうして私には貴方を救う事が出来ないのですか……!! 私が精を貰って助けてもらった様に、私も貴方を助けたかったのに……!! あまりにも御無体が過ぎるではないですか!!」
「俺の頼みを聞いてくれたら……それが、助けになる……」
「何故です!? 今の状態でなぜ助けになると……」
泣きじゃくるスハイルにレゴールは深く一呼吸した。力の無かった右手は恋人の腕をしかと握り、掠れた声で思いを告げ始めた。
「俺の精を貰って……もっと、長生きしてくれ……そして次の王の戴冠式を、見届けてくれ……」
「レゴール……」
「しゅ、守護星が吹き飛ばした恒星風で……今……新しい命がたくさん生まれようとしている……次の王も……その中から産まれる、だろう……だから……はぁはぁっ!」
レゴールの守護星が爆発の前兆である衝撃波を発する。同時にレゴールの身体に激痛が走り、彼は思わず苦しみもがいた。
「ふ、服を……脱がしてくれ……早く!!」
「わ、分かりました……」
スハイルはレゴールの身体を覆う布を優しく解き、自身も服を脱いで裸になった。
レゴールの身体は皮と骨だけになって痩せ細り、所々黒い斑点が浮き出ている。その姿はとても王とは思えない、痛々しく貧弱な姿だった。
スハイルはその変わり果てた姿にショックを受け悲しくなりながらも、横たわる下半身の上へと静かに跨った。
「レゴールは身も心も楽にしていて……私が全て好い様にしますから……」
スハイルの身体が青年に覆い被さり、二人は静かに唇を重ねた。微かに開いた唇の間に舌を挿れ、力無く動く相手の舌を絡め取って今でも激しく愛しているのだと伝える。
レゴールの身体は酷く熱い。守護星が核のみとなって激しく燃えているからだ。だが火傷しそうな体にスハイルの白い肌が密着し、紅く長い髪が二人を淫らに包んでいく。
「スハイル……感じると痛みも和らいで楽になる……」
「では、もっと気持ち良くしてあげますね……」
スハイルは体勢を変えて自身の恥部を恋人に見せつけた。これが最後の交合となるだろう。ならば、身体の隅々まで見せつけて愛した人の全てを記憶に刻み込んで欲しい。
そして膨らみ始めた精留塔を口に含んで舌で舐め上げ、最後を惜しむ様に形、硬さを味わう。
そのねっとりした口淫にレゴールも思わず感嘆の声を上げて、目の前の尻たぶを名残惜しそうに両手で撫で回した。
「あぁ……スハイル……綺麗で、ふっくらして、酷く魅惑な尻だ。俺のスハイル……俺だけ、の……」
「あっ……は、はん……! あぁ、指がぁ……あぁぁ、舌まで……はぁぁん……」
たっぷり唾液を付けたレゴールの指先が、ヒクヒクと震える蕾を撫でる。そしてスハイルの腰がゆっくり降ろされてレゴールの目の前に双丘を置くと、あの時の様に顔を埋めて蕾の中を舌で掻き分けていった。
「あ、あ、あ、それ……だめ……力が無くなってしまう……あぁぁ……」
体内で卑猥な舌を動かされる度、スハイルの腰はワナワナと甘く痙攣を起こした。挿入された舌で蜜壺と胡桃の性感帯をグチュグチュと掻き回され、それが嬉しくてスハイルの身体は力を失いレゴールの上にへたり込む。しかし一秒でも時間が惜しいと、スハイルの温かい口淫は伸びる剛直を無心でしゃぶり続けた。
「スハイル、時間がない……もう、お前の中に入らなくては……」
「それなら、蕾が喰む瞬間をじっくり見ていてください……」
「――――スハイル様、王宮に到着致しました!」
「――はっ!」
馭者台に乗っていた兵士に呼ばれ、スハイルは甘い記憶から目を覚ました。
あれからというもの、二人で度々城を抜け出しては湖の畔に向かい、数え切れないほど愛を分かち合った。
快楽の沼に堕ちていくのが気持ち良くて、肌を合わさる毎に淫らな姿を曝け出していった。
それがとても嬉しかった。本当の自分を見せ合う事がこんなにも幸せなのだと、恋人の存在を毎日噛み締めていたのだ。
レゴールから与えられる糧のおかげで、スハイルと守護星の命を少なからず永らえる事が出来た。守護星の老いて膨張する速度が無くなり、スハイル自身血色も良くなり以前より力が漲る様になった。
全ては愛する人のおかげだ。そしてレゴールをも末永く輝かせる事ができる。そう思っていたのに――。
そして一年前、王は倒れた。
レゴールの守護星は極超巨星という稀に見る巨大な恒星であったのが理由だった。守護星の成長過程で恒星風が吹き荒れ、その巨大な力を伴う暴風によって星の外層が吹き飛ばされてしまった。こうなった恒星は核のみの存在となり、もはや終末期とされ、精の効力も効かずに超新星爆発というもうすぐ訪れる死を待つだけとなる。
そして命を共にする星ビトの体内も多大な傷を負う事となる。当人は激しい痛みに耐え、守護星の死と共に最期の瞬間を待たねばならないのだった。
「スハイル様、王宮にご到着であらせられます!」
スハイルは速い足取りでレゴールの居る褥の間へ急いだ。
エントランスを抜けて大広間を通り、螺旋の階段を駆け上がって最上階にある王の居間へ向かう。その部屋の前では侍従達が何十人と扉の前に佇み、皆が俯いて涙を流していた。
「王は……王はまだご健在でしょうか!」
「スハイル様! お待ちしておりました! 王はスハイル様を待ち侘びてございます。ささ、急いで王のお側に……」
一人の侍従に促されてスハイルは褥の間へと急いだ。奥の部屋へ案内されると、天蓋の付いた豪奢な褥に医者や騎士団長達が囲み、その中心に苦しそうに横たわる青年の顔が見えた。
「あぁ……我が王……!!」
スハイルは思わず涙が溢れて駆け寄り、レゴールの左手を握った。その手の平は酷くやつれて、あの逞しく力強かった感触はもう無い。
「ス、ハイル……やっと来たか……」
「はい……!! スハイルはここに居ります。もうずっと離れませんから……!」
「お前、に……最期の……頼み、があ、る……」
「頼み……?」
するとレゴールは医者達の顔を見て扉の方へ視線を向けた。スハイル以外の皆は既に何か申し合わせをしていた様に、静かに頷いて一人、また一人と褥の間を後にする。
そして状況を飲み込めないスハイルに、最後に残った医者がその理由を教えてくれた。
「王はスハイル様がご到着されたら二人きりにして欲しいとの仰せでした。故に我々は一旦この場を離れます。後の事はよろしくお願い致します、スハイル殿」
「二人きりに……どうして……」
部屋に居た者が全員その場を立ち去り、とうとう二人きりになった。異様な静寂の中、金切り音よりも高い耳鳴りがスハイルの鼓膜を響かせる。するとレゴールがスハイルの顔を愛おしそうに眺め、訴える様に声を振り絞った。
「スハイル……どう、か……俺の、精を……もらってく、れ……」
それはどういう事か、何をするか分かっているのか。命の灯火が消え入りそうな時に、激しく身体を動かすというのか。
「何を仰いますか我が王! この様な状態で尚もご自分の首を絞めようとするのですか!?」
「ちがう……レゴールと……呼んでくれ……」
スハイルを見つめるレゴールは一年前の様な好青年とは程遠く、酷く痩せて以前の様な面影は殆ど消え失せていた。それでも屈託のない青い瞳は健在で、今でもスハイルへの想いは変わらないのだと微笑む笑顔が表している。
その眼差しに、スハイルの瞳から涙が一気に溢れ落ちた。今でも想いは変わらない。むしろどんどん愛しい気持ちが大きくなって、愛する人の為ならこの身を捧げていいと何度も天に祈った。しかし無情にも若い青年の命は刮ぎ取られ、只々その姿を見守る事しか出来ない。
「レゴール……レゴール!! どうして私には貴方を救う事が出来ないのですか……!! 私が精を貰って助けてもらった様に、私も貴方を助けたかったのに……!! あまりにも御無体が過ぎるではないですか!!」
「俺の頼みを聞いてくれたら……それが、助けになる……」
「何故です!? 今の状態でなぜ助けになると……」
泣きじゃくるスハイルにレゴールは深く一呼吸した。力の無かった右手は恋人の腕をしかと握り、掠れた声で思いを告げ始めた。
「俺の精を貰って……もっと、長生きしてくれ……そして次の王の戴冠式を、見届けてくれ……」
「レゴール……」
「しゅ、守護星が吹き飛ばした恒星風で……今……新しい命がたくさん生まれようとしている……次の王も……その中から産まれる、だろう……だから……はぁはぁっ!」
レゴールの守護星が爆発の前兆である衝撃波を発する。同時にレゴールの身体に激痛が走り、彼は思わず苦しみもがいた。
「ふ、服を……脱がしてくれ……早く!!」
「わ、分かりました……」
スハイルはレゴールの身体を覆う布を優しく解き、自身も服を脱いで裸になった。
レゴールの身体は皮と骨だけになって痩せ細り、所々黒い斑点が浮き出ている。その姿はとても王とは思えない、痛々しく貧弱な姿だった。
スハイルはその変わり果てた姿にショックを受け悲しくなりながらも、横たわる下半身の上へと静かに跨った。
「レゴールは身も心も楽にしていて……私が全て好い様にしますから……」
スハイルの身体が青年に覆い被さり、二人は静かに唇を重ねた。微かに開いた唇の間に舌を挿れ、力無く動く相手の舌を絡め取って今でも激しく愛しているのだと伝える。
レゴールの身体は酷く熱い。守護星が核のみとなって激しく燃えているからだ。だが火傷しそうな体にスハイルの白い肌が密着し、紅く長い髪が二人を淫らに包んでいく。
「スハイル……感じると痛みも和らいで楽になる……」
「では、もっと気持ち良くしてあげますね……」
スハイルは体勢を変えて自身の恥部を恋人に見せつけた。これが最後の交合となるだろう。ならば、身体の隅々まで見せつけて愛した人の全てを記憶に刻み込んで欲しい。
そして膨らみ始めた精留塔を口に含んで舌で舐め上げ、最後を惜しむ様に形、硬さを味わう。
そのねっとりした口淫にレゴールも思わず感嘆の声を上げて、目の前の尻たぶを名残惜しそうに両手で撫で回した。
「あぁ……スハイル……綺麗で、ふっくらして、酷く魅惑な尻だ。俺のスハイル……俺だけ、の……」
「あっ……は、はん……! あぁ、指がぁ……あぁぁ、舌まで……はぁぁん……」
たっぷり唾液を付けたレゴールの指先が、ヒクヒクと震える蕾を撫でる。そしてスハイルの腰がゆっくり降ろされてレゴールの目の前に双丘を置くと、あの時の様に顔を埋めて蕾の中を舌で掻き分けていった。
「あ、あ、あ、それ……だめ……力が無くなってしまう……あぁぁ……」
体内で卑猥な舌を動かされる度、スハイルの腰はワナワナと甘く痙攣を起こした。挿入された舌で蜜壺と胡桃の性感帯をグチュグチュと掻き回され、それが嬉しくてスハイルの身体は力を失いレゴールの上にへたり込む。しかし一秒でも時間が惜しいと、スハイルの温かい口淫は伸びる剛直を無心でしゃぶり続けた。
「スハイル、時間がない……もう、お前の中に入らなくては……」
「それなら、蕾が喰む瞬間をじっくり見ていてください……」
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