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第六十六話
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『転移門』がある遺跡跡から、王都まではさほど離れていなかった。転移門から見えていた宮殿は異国情緒溢れる様相だった。白色の大理石を基調に緑色とのグラデーションで、彫刻で装飾された壁面やドーム型の屋根が特徴的で、中心にそびえる巨大な尖塔がシンボルとなっていた。自国とは違う異国の建物や街を歩く人々にレイリアの目はきらきらと敷いていた。
「うわぁ、なんていうか。本当に違う場所に来たって感じ!」
「リアねぇさんなんだよ、その例え。」
レイリアの抽象的な例えに、アレクは笑った。
「だって、初めてだもん!えーとエキゾチック?っていうのかしら。とっても素敵!それに・・・」
レイリアはニヤッと笑うと肘でアレクをぐりぐりと突くと、
「アレクだって人のこといえないでしょ?嬉しそうにしてるのわかるんだから!」
「うっ、そりゃま、な。」
アレクは図星を突かれ顔が真っ赤になっていた。レイリアもアレクも、外国に仕事で遠征したことはあるが、ここまでの遠出は初めてだったし、また獣人の国であることから、人々は何かしらの動物の特徴を持っているので、アレクもまたそんな獣人達をキラキラした目で見ていたのだ。
「ふふ、お珍しいですか?」
「はい!見る物新鮮で、楽しいです!って、あ!」
レイリアはハッと気づいて、
「ご、ごめんなさい。お仕事なのに、またはしゃいじゃって・・・」
レイリアは前回と同じくやらかしたと思い、シュンとしたが、アントニーは首を横に振り、
「いえ、我が国をそのように言っていただけるのは嬉しいですよ。」
「そう?なら良かったのかな?」
レイリアは恥ずかしそうに笑っていた。
イ・ベルディ獣王国の宮殿謁見の間にて__
「ミルネス様、只今戻りました。」
「うむ、アントニーよく戻った。」
宮殿の謁見の間の玉座に座るのは、ミルネス・ツェスラヴァ、トラ族の出身の女王である。頭には獣人の特徴である猫のような耳があり、長いストレートの銀髪にはメッシュのような黒髪が混じっていた。その容姿は半月のようにしなやかにカーブした眉と鋭い瞳は金色で、意思の強さを現すようだった。唇の横には黒子があり、それが色気を増しており、一言で言うならば、美人系というやつだ。
異国の衣装は薄手のシルクやサテンのような生地で仕立てられた服は、身体のラインを柔らかく包み、生地が動くたびに肌が透けて見えそうで見えない、その絶妙なバランスが妖艶さを強調していた。
『うわ~、めっちゃ美人さん。女王様って言うのも納得。でも王女様って話だからお子さんがいるんだよね?でも、全然子供がいるように見えない』
レイリアはそんなことを思って、ミルネスに見惚れていると、それに気が付き声をかけた。
「娘、妾の顔に何かついておるか?」
「え!いやそういうのではなくて、綺麗だなって!!」
「ほぅ、正直な娘じゃな。」
ミルネスは悪い気はしなかった。そしてそのまま視線をヴァンに移した。
「そして、其方が剣豪であるヴァンデル・ブロームかや?」
「あぁそうだ。ヴァンと呼んでくれればいい。」
「ふふ、一度其方と戦ってみたいものじゃな。」
そういったミルネスの瞳は一瞬縦長になった。
「さて、では本題に入ろうかの。」
謁見の間では、アントニーから前に聞いた説明があったこととほぼ同じ内容で、娘である王女が突然眠り、そのまま眠りから覚めない旨の話がされた。
「そういった訳で、娘をなんとか眠りから覚まさせてほしい。この通りじゃ」
そういうと、女王という立場にも関わらず、ミルネスはレイリア達に頭を下げた。
「うわぁ、なんていうか。本当に違う場所に来たって感じ!」
「リアねぇさんなんだよ、その例え。」
レイリアの抽象的な例えに、アレクは笑った。
「だって、初めてだもん!えーとエキゾチック?っていうのかしら。とっても素敵!それに・・・」
レイリアはニヤッと笑うと肘でアレクをぐりぐりと突くと、
「アレクだって人のこといえないでしょ?嬉しそうにしてるのわかるんだから!」
「うっ、そりゃま、な。」
アレクは図星を突かれ顔が真っ赤になっていた。レイリアもアレクも、外国に仕事で遠征したことはあるが、ここまでの遠出は初めてだったし、また獣人の国であることから、人々は何かしらの動物の特徴を持っているので、アレクもまたそんな獣人達をキラキラした目で見ていたのだ。
「ふふ、お珍しいですか?」
「はい!見る物新鮮で、楽しいです!って、あ!」
レイリアはハッと気づいて、
「ご、ごめんなさい。お仕事なのに、またはしゃいじゃって・・・」
レイリアは前回と同じくやらかしたと思い、シュンとしたが、アントニーは首を横に振り、
「いえ、我が国をそのように言っていただけるのは嬉しいですよ。」
「そう?なら良かったのかな?」
レイリアは恥ずかしそうに笑っていた。
イ・ベルディ獣王国の宮殿謁見の間にて__
「ミルネス様、只今戻りました。」
「うむ、アントニーよく戻った。」
宮殿の謁見の間の玉座に座るのは、ミルネス・ツェスラヴァ、トラ族の出身の女王である。頭には獣人の特徴である猫のような耳があり、長いストレートの銀髪にはメッシュのような黒髪が混じっていた。その容姿は半月のようにしなやかにカーブした眉と鋭い瞳は金色で、意思の強さを現すようだった。唇の横には黒子があり、それが色気を増しており、一言で言うならば、美人系というやつだ。
異国の衣装は薄手のシルクやサテンのような生地で仕立てられた服は、身体のラインを柔らかく包み、生地が動くたびに肌が透けて見えそうで見えない、その絶妙なバランスが妖艶さを強調していた。
『うわ~、めっちゃ美人さん。女王様って言うのも納得。でも王女様って話だからお子さんがいるんだよね?でも、全然子供がいるように見えない』
レイリアはそんなことを思って、ミルネスに見惚れていると、それに気が付き声をかけた。
「娘、妾の顔に何かついておるか?」
「え!いやそういうのではなくて、綺麗だなって!!」
「ほぅ、正直な娘じゃな。」
ミルネスは悪い気はしなかった。そしてそのまま視線をヴァンに移した。
「そして、其方が剣豪であるヴァンデル・ブロームかや?」
「あぁそうだ。ヴァンと呼んでくれればいい。」
「ふふ、一度其方と戦ってみたいものじゃな。」
そういったミルネスの瞳は一瞬縦長になった。
「さて、では本題に入ろうかの。」
謁見の間では、アントニーから前に聞いた説明があったこととほぼ同じ内容で、娘である王女が突然眠り、そのまま眠りから覚めない旨の話がされた。
「そういった訳で、娘をなんとか眠りから覚まさせてほしい。この通りじゃ」
そういうと、女王という立場にも関わらず、ミルネスはレイリア達に頭を下げた。
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