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第三十九話
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「えーと、それってリンデルベルク帝国のおとぎ話なのよね?ってことはアレクは・・・」
そう、アレクが脈絡もなく、他国の話をするはずはない。ということは・・・
「うん。俺は、リンデルベルク帝国の出身。そこから逃げてきたんだ。」
「そうなのね・・・」
これで、アレクがリンデルベルク帝国の人間であることはわかった。だが肝心なことはまだ何もわかってはいなかった。
「で、その話がどうしたの?」
「物語にあるように、王族には竜の血が混じっているっていうのは知ってる?」
「え?あれ物語じゃなくて、本当なの?!」
レイリアが驚くとアレクは頷いた。
「でも、そんなのどうやってわかるの?」
レイリアは不思議そうに聞いた。本当に竜の血が混じっているかなど、何か証明になるようなものがないと、本当にそうだとはわからないからだ。
「竜の血はね、ちゃんと現れるんだよ。身体に出るんだ。ある竜の特徴が。」
「竜の特徴?」
「身体のどこかの皮膚が鱗状になるんだ。」
「鱗?」
「うん、物語のあるように、リリアナは金の竜だからね、だから金の鱗が身体のどこかに出るんだよ。・・・こんなふうに。」
そういうと、アレクは腕をまくって見せた。二の腕の内側にうっすらと鱗状のものがあった。
「えぇ!気が付かなった。」
「うん、見ての通り俺のは、よく見なきゃわかんないくらい、範囲も狭いしはっきりと出ていないんだ。しかも俺の場合、これはここに来てから現れたんだけどね。俺自身も最近知ったくらいだし。」
言われてみれば、出会った時に手当した時には見かけなかったなと納得した。
「え?ちょっと待って?でもこれって王族しかないんでしょ?ということは・・・」
「うん。一応リンデルベルク帝国の皇子・・・だったりする。」
「・・・・・・」
レイリアは目が点になり、しばし沈黙していたが、
「えぇええええええええ!!!」
次の瞬間大きな声で驚いていた。
「リアうるさい・・・」
「だ、だってじっちゃん!皇子様なんだって、アレクが!!!」
レイリアは思い切りアレクに指を差しながらヴァンに訴えていた。しかし、すぐに違和感に気が付いた。
「あれ?じっちゃんあんまりどころか、全然驚いていないよね?」
「・・・まーな」
「・・・もしや知ってたの?」
レイリアの問いに肯定するかのように、ヴァンはニヤリと笑った。
「えーーー!なら私だけ知らなかったの?!」
「まぁそういうこったな。」
「私だけ仲間外れーーー!」
レイリアは恨めしい目でアレクを見たが、アレクは慌てて否定した。
「ち、違うんだよ、リアねぇさん!俺、じじいにも何も話してないから!」
「え?どういうこと?」
「俺がちぃーっとばかり長いこと遠征に行ってた時があっただろ?あの時ギードから連絡があったからな。それで遠征先で少しばかりアレクのことを情報収取したってわけだ。俺も本人から聞いたのは今回が初めてだよ。」
「あ、そういうこと・・・」
真相を聞くとレイリアは安心して、肩の力が抜けた。
「びっくりした。てっきり私だけ置いてけぼりなのかと思って焦っちゃった。」
「まさか!俺を拾ってくれたのはリアねぇさんじゃないか!」
「拾ったって。そこは助けたって言ってよ!」
そんなやり取りで、場は少し和やかになった。そして、レイリアは一番肝心なことを聞いた。
「アレク、追われてきたって言ってたわよね。て皇子様がどういった経緯でここまでくることになったの?」
レイリアは、アレクが皇子と聞いて何となく予想はできてはいたが、ちゃんと本人の口から真相を聞きたかった。
「察しはついてると思うけど・・・王位継承の件で逃げて来たんだ。」
それを聞いて、レイリアはやっぱりと思った。皇子が国をまたいで追われるなど、それぐらいしか思いつかなかったからだ。
「俺は、王と正妻である母との子供で、王位継承事態は順当でいけば正当継承者なのかもしれないけど、リンデルベルク帝国は少し王様になるにはルールがあって・・・・
「・・・もしやさっき話していた金の鱗状のこと?」
アレクは頷き、話を続けた。
「うん。金の鱗は『竜紋』っていうんだけど、当時俺にはそれがなかった。だけど・・・俺の三つ上の兄上には、それがはっきりと現れていた。」
「じゃ、王位は・・・・」
「このまま俺に『竜紋』が現れなければ、兄上が第一王位継承者になる。」
そういうと、アレクは顔を見られないように下を向き、話を続けた。
「別に・・・俺は兄上が王になるのだったら、それで全然よかった。自分に『竜紋』が現れなくても、兄上が王になって、その側でサポートしようって決めていたのに・・・なのに・・・」
アレクは次の言葉を続けられず、膝の上に乗っていた拳にグッと力が込められたことで、アレクが何を言いあぐねているのかわかった。
「要は不安要素は摘みたかったんだろうよ。」
「じっちゃん!!」
ヴァンの容赦のない突っ込みに、レイリアは声を荒げた。
「今更隠したって意味ねぇだろ。」
「そうだけど、言い方!!」
「アレクはそんなこと気にやしねぇよ。」
「じじいはわかってんだな。」
アレクは卑屈な笑みを浮かべていた。
「リアねぇさんいいんだ。じじいの言うとおりだから。俺は兄上の王位継承権を脅かす者として、命を狙われる羽目になったんだ・・・」
そう言い放ったアレクの顔は泣きそうだった。
そう、アレクが脈絡もなく、他国の話をするはずはない。ということは・・・
「うん。俺は、リンデルベルク帝国の出身。そこから逃げてきたんだ。」
「そうなのね・・・」
これで、アレクがリンデルベルク帝国の人間であることはわかった。だが肝心なことはまだ何もわかってはいなかった。
「で、その話がどうしたの?」
「物語にあるように、王族には竜の血が混じっているっていうのは知ってる?」
「え?あれ物語じゃなくて、本当なの?!」
レイリアが驚くとアレクは頷いた。
「でも、そんなのどうやってわかるの?」
レイリアは不思議そうに聞いた。本当に竜の血が混じっているかなど、何か証明になるようなものがないと、本当にそうだとはわからないからだ。
「竜の血はね、ちゃんと現れるんだよ。身体に出るんだ。ある竜の特徴が。」
「竜の特徴?」
「身体のどこかの皮膚が鱗状になるんだ。」
「鱗?」
「うん、物語のあるように、リリアナは金の竜だからね、だから金の鱗が身体のどこかに出るんだよ。・・・こんなふうに。」
そういうと、アレクは腕をまくって見せた。二の腕の内側にうっすらと鱗状のものがあった。
「えぇ!気が付かなった。」
「うん、見ての通り俺のは、よく見なきゃわかんないくらい、範囲も狭いしはっきりと出ていないんだ。しかも俺の場合、これはここに来てから現れたんだけどね。俺自身も最近知ったくらいだし。」
言われてみれば、出会った時に手当した時には見かけなかったなと納得した。
「え?ちょっと待って?でもこれって王族しかないんでしょ?ということは・・・」
「うん。一応リンデルベルク帝国の皇子・・・だったりする。」
「・・・・・・」
レイリアは目が点になり、しばし沈黙していたが、
「えぇええええええええ!!!」
次の瞬間大きな声で驚いていた。
「リアうるさい・・・」
「だ、だってじっちゃん!皇子様なんだって、アレクが!!!」
レイリアは思い切りアレクに指を差しながらヴァンに訴えていた。しかし、すぐに違和感に気が付いた。
「あれ?じっちゃんあんまりどころか、全然驚いていないよね?」
「・・・まーな」
「・・・もしや知ってたの?」
レイリアの問いに肯定するかのように、ヴァンはニヤリと笑った。
「えーーー!なら私だけ知らなかったの?!」
「まぁそういうこったな。」
「私だけ仲間外れーーー!」
レイリアは恨めしい目でアレクを見たが、アレクは慌てて否定した。
「ち、違うんだよ、リアねぇさん!俺、じじいにも何も話してないから!」
「え?どういうこと?」
「俺がちぃーっとばかり長いこと遠征に行ってた時があっただろ?あの時ギードから連絡があったからな。それで遠征先で少しばかりアレクのことを情報収取したってわけだ。俺も本人から聞いたのは今回が初めてだよ。」
「あ、そういうこと・・・」
真相を聞くとレイリアは安心して、肩の力が抜けた。
「びっくりした。てっきり私だけ置いてけぼりなのかと思って焦っちゃった。」
「まさか!俺を拾ってくれたのはリアねぇさんじゃないか!」
「拾ったって。そこは助けたって言ってよ!」
そんなやり取りで、場は少し和やかになった。そして、レイリアは一番肝心なことを聞いた。
「アレク、追われてきたって言ってたわよね。て皇子様がどういった経緯でここまでくることになったの?」
レイリアは、アレクが皇子と聞いて何となく予想はできてはいたが、ちゃんと本人の口から真相を聞きたかった。
「察しはついてると思うけど・・・王位継承の件で逃げて来たんだ。」
それを聞いて、レイリアはやっぱりと思った。皇子が国をまたいで追われるなど、それぐらいしか思いつかなかったからだ。
「俺は、王と正妻である母との子供で、王位継承事態は順当でいけば正当継承者なのかもしれないけど、リンデルベルク帝国は少し王様になるにはルールがあって・・・・
「・・・もしやさっき話していた金の鱗状のこと?」
アレクは頷き、話を続けた。
「うん。金の鱗は『竜紋』っていうんだけど、当時俺にはそれがなかった。だけど・・・俺の三つ上の兄上には、それがはっきりと現れていた。」
「じゃ、王位は・・・・」
「このまま俺に『竜紋』が現れなければ、兄上が第一王位継承者になる。」
そういうと、アレクは顔を見られないように下を向き、話を続けた。
「別に・・・俺は兄上が王になるのだったら、それで全然よかった。自分に『竜紋』が現れなくても、兄上が王になって、その側でサポートしようって決めていたのに・・・なのに・・・」
アレクは次の言葉を続けられず、膝の上に乗っていた拳にグッと力が込められたことで、アレクが何を言いあぐねているのかわかった。
「要は不安要素は摘みたかったんだろうよ。」
「じっちゃん!!」
ヴァンの容赦のない突っ込みに、レイリアは声を荒げた。
「今更隠したって意味ねぇだろ。」
「そうだけど、言い方!!」
「アレクはそんなこと気にやしねぇよ。」
「じじいはわかってんだな。」
アレクは卑屈な笑みを浮かべていた。
「リアねぇさんいいんだ。じじいの言うとおりだから。俺は兄上の王位継承権を脅かす者として、命を狙われる羽目になったんだ・・・」
そう言い放ったアレクの顔は泣きそうだった。
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