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第二十一話 バルミング伯爵家
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ここは、クライブ王国のバルミング伯爵領にある屋敷、そうレイリアが幼少期まで住んでいた屋敷であった。
その一室では人払いをして、極秘の話し合いが行われていた。話し合いをしていたのは、バルミング伯爵夫妻、つまりレイリアの実父であるブルーノと継母であるドミニカである。
「な、なんですって!エステルは生きていたって言うの??」
「・・・だから、要請をだした・・・エステルを連れ戻さないといけない・・・」
「な、なぜそんな勝手なこと?!」
ドミニカは夫であるブルーノに激高していた。只でさえ死んでいると思っていたエステルが、生きているとわかった途端に、まさか連れ戻すなどど夫であるブルーノが言うとは思わなかったからだ。
「仕方ないだろう!生きているのがわかったのに、何もしない訳にいかないだろう!!それに・・・あの方から、ナーリスバーナ侯爵に、エステルがあの国にいることを聞いたんだ!だからこそ、婚約は当初の約束通り、エステルでないと認めないと言われたんだ!!」
「!」
ドミニカは動揺した。ブルーノが言うように、ナーリスバーナ侯爵からエステルが生きているという話を聞いたのならば、まさか自分達がしたことがバレているのかと焦ったからだ。
「ま、待ってまさか・・・」
「いや、その事については何も仰っていなかった。エステルがアーレンベック共和国で生きているということを教えてくれただけだ。なぜそこにいるのか、事の経緯については何も触れられてなかった。」
ドミニカは一瞬ホッとした。しかしブルーノの次の言葉で、また焦ることになる。
「安心するのは早い。ナーリスバーナ侯爵に言われたんだ。なぜ少し調査すればわかることを、今までしなかったんだとな。つまり、今まで私達が何もしていなかったことに疑問を呈されたんだ・・・」
「それは・・・」
確かに不味いとドミニカは思った。元々こうなっているのは、バルミング夫妻がエステルことレイリアを亡き者しようとしていたからだ。自国であるクライブ王国では足が付くのを恐れ、わざわざ隣国であるアーベンレック共和国で事をなすために、レイリアは義母の甘い言葉でそそのかされて攫われてしまい、連れ出されたのだ。
その後、エステル殺害完了の旨の報告が、なかなか連絡が来ないことに、一時期は不審に思った時期もあった。しかしそもそも依頼したのが荒くれ者だったことから、面倒になっただけだろうと思い込み、その後何もしなかったという、何ともお粗末なことになっていたのだ。
「そもそもの婚約はバルミング家の長女であることが条件だった。だからオルガでは・・・」
「そんな!オルガじゃ、今さらオルガではダメだっていうの?」
「そうだ。いなかったのならまだしも、エステルの存在が公になった今、オルガではダメだと断られたんだ!!」
「そんな・・・それじゃあの子の気持ちは?」
「仕方ないだろう?!それならばお前が、ちゃんと確認しとけば、こんなことにならなかったのに!!
「わ、私のせいだと仰るの?あ、貴方だって、ほっとけばいいって仰ってじゃありませんか!」
「う、うるさい!!」
バルミング夫妻は苦境に立たされていた。もしエステルと接触すれば、自分たちのしたことが公になってしまう。何としても回避しなければならない事案だったのだ。
「・・・・そうよ・・・そうだわ!」
「何か思い付いたのか?」
「ふふ、なんでこんな簡単なこと思いつかなかったのかしら?」
ドミニカはいい案が思い付いたとばかりに、笑いが止まらなかった。
「な、何か策があるのか?教えてくれ!」
「同じことよ。」
「どういう意味だ??」
「同じことをすればいいのよ。」
そういうと、ドミニカはニヤリと笑い、
「今度こそ確実に殺せばいい。そうすれば何もかもが闇の中。そうではなくて?」
「ははっ!そ、そうだな!そもそも今までもいなかったのだ。ならば本当に、今度こそ確固たるものにすればいい!」
「そういうことよ!」
二人は解決策が見つかったとばかりに、部屋中に笑い声が響いていた。
『そうよ!確実にエステルがいなくなれば、オルガこそがナーリスバーナ家の花嫁に!』
だが、この時のバルミング伯爵夫妻はまだ知らなかった。エステルことレイリアが、冒険者ギルドでも上位にいるほどの強者になっていたことを。
その一室では人払いをして、極秘の話し合いが行われていた。話し合いをしていたのは、バルミング伯爵夫妻、つまりレイリアの実父であるブルーノと継母であるドミニカである。
「な、なんですって!エステルは生きていたって言うの??」
「・・・だから、要請をだした・・・エステルを連れ戻さないといけない・・・」
「な、なぜそんな勝手なこと?!」
ドミニカは夫であるブルーノに激高していた。只でさえ死んでいると思っていたエステルが、生きているとわかった途端に、まさか連れ戻すなどど夫であるブルーノが言うとは思わなかったからだ。
「仕方ないだろう!生きているのがわかったのに、何もしない訳にいかないだろう!!それに・・・あの方から、ナーリスバーナ侯爵に、エステルがあの国にいることを聞いたんだ!だからこそ、婚約は当初の約束通り、エステルでないと認めないと言われたんだ!!」
「!」
ドミニカは動揺した。ブルーノが言うように、ナーリスバーナ侯爵からエステルが生きているという話を聞いたのならば、まさか自分達がしたことがバレているのかと焦ったからだ。
「ま、待ってまさか・・・」
「いや、その事については何も仰っていなかった。エステルがアーレンベック共和国で生きているということを教えてくれただけだ。なぜそこにいるのか、事の経緯については何も触れられてなかった。」
ドミニカは一瞬ホッとした。しかしブルーノの次の言葉で、また焦ることになる。
「安心するのは早い。ナーリスバーナ侯爵に言われたんだ。なぜ少し調査すればわかることを、今までしなかったんだとな。つまり、今まで私達が何もしていなかったことに疑問を呈されたんだ・・・」
「それは・・・」
確かに不味いとドミニカは思った。元々こうなっているのは、バルミング夫妻がエステルことレイリアを亡き者しようとしていたからだ。自国であるクライブ王国では足が付くのを恐れ、わざわざ隣国であるアーベンレック共和国で事をなすために、レイリアは義母の甘い言葉でそそのかされて攫われてしまい、連れ出されたのだ。
その後、エステル殺害完了の旨の報告が、なかなか連絡が来ないことに、一時期は不審に思った時期もあった。しかしそもそも依頼したのが荒くれ者だったことから、面倒になっただけだろうと思い込み、その後何もしなかったという、何ともお粗末なことになっていたのだ。
「そもそもの婚約はバルミング家の長女であることが条件だった。だからオルガでは・・・」
「そんな!オルガじゃ、今さらオルガではダメだっていうの?」
「そうだ。いなかったのならまだしも、エステルの存在が公になった今、オルガではダメだと断られたんだ!!」
「そんな・・・それじゃあの子の気持ちは?」
「仕方ないだろう?!それならばお前が、ちゃんと確認しとけば、こんなことにならなかったのに!!
「わ、私のせいだと仰るの?あ、貴方だって、ほっとけばいいって仰ってじゃありませんか!」
「う、うるさい!!」
バルミング夫妻は苦境に立たされていた。もしエステルと接触すれば、自分たちのしたことが公になってしまう。何としても回避しなければならない事案だったのだ。
「・・・・そうよ・・・そうだわ!」
「何か思い付いたのか?」
「ふふ、なんでこんな簡単なこと思いつかなかったのかしら?」
ドミニカはいい案が思い付いたとばかりに、笑いが止まらなかった。
「な、何か策があるのか?教えてくれ!」
「同じことよ。」
「どういう意味だ??」
「同じことをすればいいのよ。」
そういうと、ドミニカはニヤリと笑い、
「今度こそ確実に殺せばいい。そうすれば何もかもが闇の中。そうではなくて?」
「ははっ!そ、そうだな!そもそも今までもいなかったのだ。ならば本当に、今度こそ確固たるものにすればいい!」
「そういうことよ!」
二人は解決策が見つかったとばかりに、部屋中に笑い声が響いていた。
『そうよ!確実にエステルがいなくなれば、オルガこそがナーリスバーナ家の花嫁に!』
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