【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

文字の大きさ
上 下
208 / 233

207:セレスティア帰宅

しおりを挟む
 俺は玲と上永先生のところに戻ると、そこには白のビキニ姿のセルニアがいた。
 布面積が少ない水着は、セルニアの白い肌を惜しげも無くさらしている。
 おおおぉぉ……
 素晴らしい。
 セルニアは少し恥ずかしそうに、俺に聞いてくる。
「あ、あの。どうでしょうか? わたくしの水着は、似合いますか?」
「ものすごく似合う。似合いまくっている」
 俺が即答すると、セルニアは頬を染めた。
「そ、そうですか。喜んでいただけて なによりですわ」
 そこに上永先生が、俺に日焼け止めを渡してきた。
「さあぁ、これで吉祥院さんを 塗り塗りするのよぉん」
「いやいや、何言ってんですか?」
「若い男女が海に来たら定番でしょぉん。さあ さあぁん、私たちに遠慮しないで塗り塗り塗りたくっちゃいなさぁい」
「……」
 俺は少しセルニアに塗るところを想像してしまった。
 お、落ち着け俺。
 セルニアが承諾するはず無いんだから。
 しかしセルニアは、モジモジとしながら、
「そ、その、背中だけですわよ」


 ズガガーン!


 俺の脳みそに落雷が直撃した。
 おさわりしても良いと、セルニアの許可が下りた。
 これでやらずしてなにをするというのか!?


 で、浜辺のシートにセルニアはうつ伏せになり、俺は日焼け止めを塗り始める。
「い、行くぞ」
「は、はい」
 ヌリン。
「ん……」
 ヌリヌリ。
「……あ……」
 ヌリヌリヌリヌリ。
「……ふぁ……あぁ……」
 俺は感涙する。
 生きてて良かった!


 で、背中は一通り塗り終わったんだが、
「こ、これ以上はダメですわ」
「そ、そうだね」
 今日の所は、これで満足しよう。
 セルニアは頬を染めたまま、自分で前のほうに日焼け止めを塗る。
「それにしても、奇遇ですわね。玲さんも商店街の福引きに当たっていたなんて」
 そうか、俺たちがここに来ている理由に、福引きに当たったって話を流用したのか。
 俺は話を合わせる。
「そうなんだ。これで夏に海に来ることができたね。夏休み中には行けなかったから」
「そうですわね。本当に海に来ることができて良かったですわ。貴方に水着姿を見せることができたのですから」
 セルニアの瞳は、少し情欲が混じっていた。
 さっきのスキンシップで、雰囲気が盛り上がると同時に、セルニアの気分も盛り上がっている。
 もしかして、今日は最後までいけるんじゃないのか?
 今は玲と上永先生が、なにやら海でイルカと一緒に泳いでいるからできないが、二人きりになることさえできれば、最後まで行けるんじゃないか?
 最後の最後まで行き着くことが出来てしまうのではないかー!?


 セルニアは砂浜に置いている俺の手に、手を重ねてきた。
「二人きりでないのが残念ですわね。でも、二人きりになれば……」
 ……その気になっている。
 セルニアもヤル気になっておられる!
 よし、落ち着け、俺。
 焦るんじゃない。
 なんとか二人きりになる方法を考えるんだ。
「二人きりになりさえすれば……」


「それでしたら、あちらのビーチハウスがいいと思いやす」
 猪鹿蝶 晶さんが、ハンディカメラを片手に、アドバイスしてきた。
「……あの、猪鹿蝶さん、いつからそこに?」
「日焼け止めを塗っているときから、カメラに納めておりやした。お二人とも夢中になって全く気付いておられませんでしたが」
「……そうですか」
「さあ、これをどうぞ」
 猪鹿蝶さんは避妊具を差し出した。
「これを装着すれば安心。この猪鹿蝶 晶、お二人が大人になる瞬間を、しかとカメラに収めやす」
「……やりません」
「なにを言っておりやす? 二人とも良い雰囲気でヤル気満々でした。アタシのことは気にしないでくださいやせ。遠慮せず大人の階段を上がってください」
「……いや、やりませんから。っていうか、ずっとチャンスが来るのをスタンバイして待っていたんですか?」
「いえ、ホテルで行われるパーティーの時間を知らせに来やした」
「わかりました。準備をします」
「急ぐことはありやせん。時間はありやすので、お二人でやる事を済ませてくださいやせ」
「だから やりませんって!」


 俺と猪鹿蝶さんのやりとりの横で、セルニアがビックリして固まっていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

薬屋の少女と迷子の精霊〜私にだけ見える精霊は最強のパートナーです〜

蒼井美紗
ファンタジー
孤児院で代わり映えのない毎日を過ごしていたレイラの下に、突如飛び込んできたのが精霊であるフェリスだった。人間は精霊を見ることも話すこともできないのに、レイラには何故かフェリスのことが見え、二人はすぐに意気投合して仲良くなる。 レイラが働く薬屋の店主、ヴァレリアにもフェリスのことは秘密にしていたが、レイラの危機にフェリスが力を行使したことでその存在がバレてしまい…… 精霊が見えるという特殊能力を持った少女と、そんなレイラのことが大好きなちょっと訳あり迷子の精霊が送る、薬屋での異世界お仕事ファンタジーです。 ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

呪われた黒猫と蔑まれた私ですが、竜王様の番だったようです

シロツメクサ
恋愛
ここは竜人の王を頂点として、沢山の獣人が暮らす国。 厄災を運ぶ、不吉な黒猫─────そう言われ村で差別を受け続けていた黒猫の獣人である少女ノエルは、愛する両親を心の支えに日々を耐え抜いていた。けれど、ある日その両親も土砂崩れにより亡くなってしまう。 不吉な黒猫を産んだせいで両親が亡くなったのだと村の獣人に言われて絶望したノエルは、呼び寄せられた魔女によって力を封印され、本物の黒猫の姿にされてしまった。 けれど魔女とはぐれた先で出会ったのは、なんとこの国の頂点である竜王その人で─────…… 「やっと、やっと、見つけた────……俺の、……番……ッ!!」 えっ、今、ただの黒猫の姿ですよ!?というか、私不吉で危ないらしいからそんなに近寄らないでー!! 「……ノエルは、俺が竜だから、嫌なのかな。猫には恐ろしく感じるのかも。ノエルが望むなら、体中の鱗を剥いでもいいのに。それで一生人の姿でいたら、ノエルは俺にも自分から近付いてくれるかな。懐いて、あの可愛い声でご飯をねだってくれる?」 「……この周辺に、動物一匹でも、近づけるな。特に、絶対に、雄猫は駄目だ。もしもノエルが……番として他の雄を求めるようなことがあれば、俺は……俺は、今度こそ……ッ」 王様の傍に厄災を運ぶ不吉な黒猫がいたせいで、万が一にも何かあってはいけない!となんとか離れようとするヒロインと、そんなヒロインを死ぬほど探していた、何があっても逃さない金髪碧眼ヤンデレ竜王の、実は持っていた不思議な能力に気がついちゃったりするテンプレ恋愛ものです。世界観はゆるふわのガバガバでつっこみどころいっぱいなので何も考えずに読んでください。 ※ヒロインは大半は黒猫の姿で、その正体を知らないままヒーローはガチ恋しています(別に猫だから好きというわけではありません)。ヒーローは金髪碧眼で、竜人ですが本編のほとんどでは人の姿を取っています。ご注意ください。

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~

八重
恋愛
【全32話+番外編】 「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」  伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。  ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。  しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。  そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。  マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。 ※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております

処理中です...